1-3.義務教育費国庫負担金【施策目標3-1】

平成23年度要求額:1,602,695百万円
(うち、「元気な日本復活特別枠」要望額:224,700百万円)
(平成22年度予算額:1,593,767百万円)
事業開始年度:平成23年度
事業達成年度または定期評価実施年度:平成23年度

主管課(課長名)

初等中等教育局財務課(伯井 美徳)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

 義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育にかかる費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っている。(日本国憲法第26条)
 そのため、国は義務教育費国庫負担制度により、義務教育に必要な経費のうち最も重要なものである教職員の給与費について、その3分の1を負担している。
 このことにより、義務教育に対する国の責任を果たすと同時に、この制度を通じて全国すべての学校に必要な教職員を確保し、都道府県間における教職員の配置基準や給与水準の不均衡をなくし、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られている。(義務教育費国庫負担法第1条)

2.事業に至る経緯・今までの実績

 義務教育無償制や教育の機会均等と教育水準の維持向上という目的を達成するため、義務教育費国庫負担制度は、昭和15年の制度創設以来、義務教育に必要な経費のうち最も重要なものである教職員の給与費について国庫負担している(昭和24年のシャウプ勧告に基づき昭和25年度~27年度に一時的に廃止されたが、全国知事会からの要請もあり昭和28年度に復活した)。
 その間、国と地方の役割分担、国と地方の財政状況等を踏まえて、国庫負担の対象の見直しが行われており、昭和18年度に旅費が、昭和37年度に共済費が、それぞれ国庫負担の対象として追加されている。その後、昭和60年度に旅費及び教材費が、平成元年度に恩給費が、平成15年度に共済費長期給付及び公務災害補償基金負担金が、平成16年度に退職手当及び児童手当が、それぞれ国庫負担の対象から外れ一般財源化されている。さらに、平成18年度には国の補助金等の整理及び合理化を目的として、国庫負担割合を2分の1から3分の1に引き下げている。

3.事業概要  

 公立義務教育諸学校(小学校、中学校、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の小・中学部)の教職員の給与費について、都道府県が負担した経費の3分の1を国が負担している。

公立義務教育書学校の教職員の給与費について、都道府県が負担した経費の3分の1を国が負担

 また、本年6月に閣議決定された「新成長戦略」や本年7月に取りまとめられた「中央教育審議会初等中等教育分科会提言」を踏まえ、新学習指導要領の円滑な実施や教員が子どもと向き合う時間の確保による質の高い教育を実現するため、35・30人学級の実現を柱とする新・教職員定数改善計画(案)[平成23年度~30年度までの8ヵ年計画]を策定したところである。
 平成23年度概算要求には、その初年度分として、小学校1・2年生で35人学級を実現するため、8,300人の教職員定数の改善を盛り込んでいる。

少人数学級の推進など教職員定数の改善

4.指標と目標  

指標

 各都道府県における公立小・中学校教員定数の充足状況

目標

 新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)に基づき教職員定数の改善を図る(詳細は上記概要資料参照)。

効果の把握方法

 毎年度行っている義務標準法第19条に基づく報告により把握する。

事業の事前評価結果

A.必要性の観点

1.事業の必要性

 義務教育費国庫負担制度は、義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担するものであり、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る役割を担っている。
 また、優れた教員を確保するため、メリハリある教員給与体系の実現に取り組むとともに、子どもたちの学力の向上と規範意識の育成を図る観点から、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるため、教職員定数の改善に取り組むこととしており、教育の質的向上を図る観点からも本事業は重要な役割を担っている。
 さらに、新学習指導要領の円滑な実施や教員が子どもと向き合う時間の確保による質の高い教育を実現するため、計画的な学級編制及び教職員定数の改善に取り組むこととしており、教育環境の整備を図る観点からも本事業は重要な役割を担っている。

2.行政・国の関与の必要性

 義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育にかかる費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っていることから、義務教育費国庫負担制度による財源保障は国の責務である。

3.関係する施政方針演説、審議会の答申等

  • 教育振興基本計画 第3章 p.22の4~8行目、p.25の1~16行目、p.39の9~18行目
  • 文部科学大臣への総理指示書 2

B.有効性の観点

目標の達成見込み

 義務教育費国庫負担制度は、義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担することにより、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることを目的としている。
 本事業は、5月1日現在における公立小・中学校の教員定数の充足率(都道府県ごとに、義務標準法第6条に基づき算定した教員定数に対する各都道府県が実際に配置した教員数の割合)が全ての都道府県において100パーセントとなることを目標としているが、平成20年度においては、教員定数を充足している県が45県、未充足となっている県が2県(未充足2県の平均充足率は99.6パーセント)となっている。
 なお、未充足となっている2県については、平成20年5月2日以降、随時、教員を配置しており、年度途中で未充足は解消されている。
 このような状況から、年度内において充足率100パーセントを達成することができると見込まれる。

C.効率性の観点

1.インプット

平成23年度要求額
義務教育費国庫負担金に必要な経費 1,603,054百万円

2.アウトプット

 義務教育費国庫負担制度により、義務教育に必要な経費のうち最も重要なものである教職員の給与費について、その3分の1を負担することにより、各地方公共団体の財政状況にかかわらず、全国どの地域においても安定的に公立義務教育諸学校に必要な教職員が配置され、全国的な義務教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られるなどの成果が見込まれる。
 また、新学習指導要領の円滑な実施や教員が子どもと向き合う時間の確保の観点から、計画的な学級編制及び教職員定数の改善を図ることにより、質の高い教育を実現するための教育環境の整備が図られる。

今後の方針及び外部評価・有識者委員からの指摘等

 計画のとおり実施していくことが適当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --