政策目標11 スポーツの振興

  • 世界共通の人類の文化の一つである、スポーツの振興により、生涯スポーツ社会の実現に向けて地域におけるスポーツ環境を確保するとともに、わが国の国際競技力を向上させ、子どもから大人まで心身ともに健全な明るく豊かで活力のある社会を実現する。スポーツ振興基本計画に明記されている政策目標に基づき、3つの施策によってその目的の達成を目指す。

主管課(課長名)

 スポーツ・青少年局企画・体育課(有松 育子)

20年度の施策状況と評価

総合評価 A

 スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の文化の一つであり、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心の健全な発達に必要不可欠なものである。
 平成20年度においては、平成18年9月に改訂された、国のスポーツ行政の根幹となる「スポーツ振興基本計画」に基づき、以下のとおり、子どもの体力の向上、生涯スポーツ社会の実現、国際競技力向上に向けた取組が想定どおり達成されている。

○ 子どもの体力の向上(11-1) A

  • 「スポーツ振興基本計画」において、長期的に低下傾向にある子どもの体力について、スポーツの振興を通じ、その低下傾向に歯止めをかけ、上昇傾向に転ずることを目指している。
  • 平成20年度においては、国、地方自治体、学校等により実施される取組により、子どもの体力の低下に歯止めをかけ、上昇傾向に転じさせることを目的とし、元気アップ親子セミナーの実施、学校体育・運動部活動の充実、社会体育施設の整備推進等の取組を進めてきた。
  • 「平成19年度全国体力・運動能力調査」より、平成13年度からの各種目の測定結果と比較すると、全ての種目についてほぼ横ばいで推移していること、また、教員の指導力向上のための研修の充実が図れていること、中学校の運動部活動における地域の外部指導者の活用状況が現状維持で推移していること、部活動への参加率について、中学生が高い水準を維持し高校生においても増加傾向にあること、さらに、学校体育施設の整備が、伸び率率は高くないものの着実に進められていることなどを総合的に考慮し、子どもの体力の向上に向け、「想定どおり順調に進捗している」と判断する。

○ 生涯スポーツ社会の実現(11-2) B

  • 「スポーツ振興基本計画」において、国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味、目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現を目指している。
  • 平成20年度においては、総合型地域スポーツクラブ育成推進事業や、総合型地域スポーツクラブ充実・強化のための環境整備等の事業を通じ、身近なスポーツ環境の整備を推進するための取組を行った。
  • 総合型地域スポーツクラブが市区町村において順調に育成されていること、先進的な研修プログラムの下、指導者の養成が図られていることより、生涯スポーツ社会の実現に向け「想定どおり順調に進捗している」と判断する。平成18年度内閣府の実施した世論調査から推計すると成人の週1回以上の運動・スポーツ実施率は44.4%であり、経年的には着実に増加していることから、生涯スポーツ社会の実現に向けて順調に進捗していると判断できる。他方、スポーツ指導者の確保・活用については先進的な研修プログラムの元、指導者の養成が図られており、十分な進捗が得られているものの、地域のスポーツ環境の整備状況については、その方策の一つである「総合型地域スポーツクラブの全国展開」について既育成市区町村が約60%であり、進捗にやや遅れが見られる。総合的に「おおむね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる」と判断する。

○ 国際競技力の向上(11-3) A

  • 「スポーツ振興基本計画」において、平成13年度に1.7%であったオリンピックのメダル獲得率を平成22年度までに355%にすることを目指している。
  • 平成20年度においては、「チーム『ニッポン』マルチサポート事業」の実施やナショナルトレーニングセンターの整備推進、日本オリンピック委員会や日本体育協会への補助を行った。
  • 平成18年2月のトリノ冬季オリンピック競技大会(メダル獲得率0.40%(金1))及び平成20年8月の北京オリンピック競技大会(メダル獲得率2.61%(金9、銀6、銅10))を合わせたメダル獲得率は、2.15%にとどまっているが、北京オリンピック競技大会では、過去5回の大会の中で前回のアテネ大会に次ぐメダルを獲得するとともに、入賞種目数ではアテネ大会と同数であるなど、一定の成果も見られる。また、メダル獲得率の向上に向けた選手強化活動については、オリンピック競技団体における専任コーチ数及び国内外での強化合宿開催数が、昨年度実績より大幅に増加するなど、国際競技力の向上に向け、「想定どおり順調に進捗している」と判断する。

21年度以降の政策への反映方針

  • 子どもの体力の向上にあたっては、子どもの全国的な体力の状況等を把握・分析し、地域の特色を活かした運動習慣や生活習慣等を改善するための取組などを実践的に行うモデル事業の実施や、教員の指導力向上や学校体育への外部指導者の活用の促進を図るとともに、運動部活動の活性化を進める。また、平成20年3月に改訂した学習指導要領において、中学校で武道を必修化したことを踏まえ、学校における武道指導の充実に向けた取組を進める。さらに、子どもが体を動かす場となる学校体育施設の整備を引き続き進めていく。
  • 生涯スポーツ社会の実現にあたっては、地域のスポーツ環境の充実が必要との観点から、総合型地域スポーツクラブ未設置市町村の課題分析及び課題解決に向けた取組を検討するとともに、設立効果に関する調査研究の実施を検討する。また、全国体育指導委員研究協議会を通じて、スポーツ指導者の質の向上を図るとともに、地域の実態・住民のニーズに応じた指導ができる指導者を育成できる仕組みづくりについて検討する。
  • 国際競技力の向上にあたっては、引き続き、ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点の指定・高機能化などの施策を推進していく必要があり、また、達成年度である平成22年度が近付いている中、最終的な目標であるメダル獲得率3.5パーセントについては未だ達成されていないことから、今後は、より一層戦略的にメダルを獲得するための支援方策を講じていく必要がある。
     特に、オリンピック等の国際競技大会において、優れた成績を上げるためには、トップアスリートのパフォーマンスのみならず、スポーツ医・科学や科学技術を活用した用具や機器のサポートが不可欠となっており、そのことが成績そのものに大きな影響を及ぼすようになっている。このため、平成21年度から、競技力向上ナショナルプロジェクトを実施しており、平成22年度以降も引き続き本事業を実施する。

関連する政府等の方針(主なもの)

  • スポーツ振興基本計画 11-1、11-2、11-3 全般
  • 教育振興基本計画:11-1(第3省P217〜8行目、P2230〜31行目、P2235〜P2313行目)
    11-2(第3章P201〜7行目、P23
  • 骨太07: 11-1、11-2、11-3(第4章P4826〜30行目)
  • 骨太08: 11-1、11-2、11-3(第5章P2625〜27行目)
  • 福田総理施政方針演説 11-1、11-2、11-3

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大臣官房政策課評価室

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