施策目標7‐3 地域における科学技術の振興

 世界レベルのクラスターとして発展可能な地域に重点的な支援を行うとともに、小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスターを各地に形成する。

施策期間

 目標達成年度:平成22年度(基準年度:平成14年度)

主管課(課長名)

 科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(地域科学技術担当)(増子宏)

関係局課(課長名)

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施策の全体像

 世界レベルのクラスターとして発展可能な地域に重点的な支援を行うとともに、小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスターを各地に形成するために、以下の2つの達成目標を設定して取り組む。

○達成目標7-3-1

 世界中からヒト・モノ・カネを惹きつける、世界レベルの地域クラスターを育成することにより、地域イノベーション・システムの構築や活力ある地域づくりに貢献し、我が国の科学技術の高度化・多様化やイノベーション・システムの競争力強化を図る。この効果を図るために、事後評価において、優れていると評価された地域の数を判断基準とする。
 ・判断基準7-3-1イ:知的クラスター創成事業実施地域の中で、中間評価または終了評価において、優れていると評価された地域の数(平成20年度評価実績分)
 ・判断基準7-3-1ロ:知的クラスター創成事業実施地域の中で、中間評価または終了評価において、優れていると評価された地域の数(これまでの累積)

○達成目標7-3-2

 小規模でも地場産業等の地域の特色を活かした強みを持つクラスターを各地域に育成し、新技術シーズの創出や産学官連携基盤の構築を通じた我が国の科学技術の高度化・多様化やイノベーション・システムの競争力強化を図る。この効果を図るために、事後評価において、優れていると評価された地域の数を判断基準とする。
 ・判断基準7-3-2イ:都市エリア産学官連携促進事業実施地域のうち、事後評価において、優れていると評価された地域の数(平成20年度評価実績分)
 ・判断基準7-3-2ロ:都市エリア産学官連携促進事業実施地域のうち、事後評価において、優れていると評価された地域の数(これまでの累積)

達成状況と評価

全体評価 A

下記の達成目標の評価結果から、地域における科学技術の振興が図られ、世界レベルのクラスター及び小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスターが各地に形成されつつあると考えられる。

○達成目標7-3-1イ、ロ(イA、ロA)

判断基準イ 知的クラスター創成事業実施地域の中で、中間評価または終了評価において、優れていると評価された地域の数(平成20年度評価実施分)
S=優れた知的クラスターが6割より多く、育成されている。
A=優れた知的クラスターが5割以上、6割以下、育成されている。
B=優れた知的クラスターが4割以上、5割未満、育成されている。
C=優れた知的クラスターが4割未満である。
判断基準ロ 知的クラスター創成事業実施地域の中で、中間評価または終了評価において、優れていると評価された地域の数(これまでの累積)
S=優れた知的クラスターが6割より多く、育成されている。
A=優れた知的クラスターが5割以上、6割以下、育成されている。
B=優れた知的クラスターが4割以上、5割未満、育成されている。
C=優れた知的クラスターが4割未満である。

 世界レベルのクラスター形成に対する支援として、平成14年度より「知的クラスター創成事業」を実施しており、これまでに24地域(第1期が18地域、第2期が6地域)を選定し、原則5年間の事業の3年目に中間評価、事業終了後に終了評価を実施している。
 各地域における評価にあたっては、クラスター施策や産学連携に関する専門家等からなる有識者会議により、「事業の妥当性」、「技術的評価」、「知的クラスター形成のための取組」、「地域への波及効果」、「今後の発展の可能性」及び「総合評価」の項目に分けてクラスター形成を強化、発展させるような広域的、国際的な連携がなされたか等の視点から4段階で評価し、各地域の取組の進捗状況または成果について総合的に評価を行っている。
 平成20年度は、平成19年度で事業が終了した4地域に対して終了評価を実施した。その結果、2地域については総合評価A以上の評価を受けている。また、中間評価と合わせた累積で、知的クラスター創成事業終了22地域に対して、12地域が総合評価A以上の評価を受けている。

(指標・参考指標)

  S A B C
平成16年度中間評価〜18年度中間評価 0 4 3 0 7
終了評価(18年度終了地域) 1 5 5 0 11
終了評価(19年度終了地域) 0 2 2 0 4

(指標の設定根拠)

  • 知的クラスター創成事業は、世界レベルのクラスターを形成することを目的としているため、総合評価がA以上の地域を優れた知的クラスターとし、その累積数を、施策目標期間を通じて達成すべき目標として掲げている。(判断基準ロ)
  • 一方、実績評価の目的である、年度毎の施策の効果を測定・評価し、施策の不断の見直しや改善を図るという観点から、当該年度において事後評価を実施した地域を対象とする。(判断基準イ)
  • 判断基準イ及び判断基準ロにおいて、半数以上の地域が概ねA以上の評価を得ることを標準的な達成度合いとした。

○達成目標7-3-2イ、ロ(イA、ロA)

判断基準イ 都市エリア産学官連携促進事業実施地域のうち、事後評価において、優れていると評価された地域の数(平成20年度評価実施分)
S=優れたエリアが6割より多く、育成されている。
A=優れたエリアが5割以上、6割以下、育成されている。
B=優れたエリアが4割以上、5割未満、育成されている。
C=優れたエリアが4割未満である。
判断基準ロ 都市エリア産学官連携促進事業実施地域のうち、事後評価において、優れていると評価された地域の数(これまでの累積)
S=優れたエリアが6割より多く、育成されている。
A=優れたエリアが5割以上、6割以下、育成されている。
B=優れたエリアが4割以上、5割未満、育成されている。
C=優れたエリアが4割未満である。

 小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成に対する支援として、「都市エリア産学官連携促進事業」を平成14年度から実施しており、平成20年度において30地域(一般型が14地域、発展型が16地域)を選定し、その評価については、3年間の事業終了後に終了評価を実施している。
 事後評価については、クラスター施策や産学連携に関する専門家等からなる有識者会議により、連携基盤整備型及び一般型については、「事業の目的と目標」、「事業計画」、「事業成果」及び「地域の取組」の項目に分けて4段階で評価し、また発展型については、「事業の目的」、「事業計画」、「事業成果」、「地域の取組」、「研究開発による成果、効果」及び「総合評価」の項目に分けて地域の特性を反映した独自の効果的な施策が実施されたか等の視点から4段階で評価し、各地域の取組の進捗状況または成果について総合的に評価を行っている。
 平成20年度は平成19年度で事業が終了した13地域に対して事後評価を実施した。その結果、11地域については総合評価A以上の評価を受けている。なお、一般型については「総合評価」の項目が無いため、項目別評価結果の平均値を総合評価とした。また、これまでに、都市エリア産学官連携促進事業を終了した50地域に対して、42地域がA以上の評価を受けている。

(指標・参考指標)

  S A B C
平成16年度事後評価 0 14 5 0 19
平成17年度事後評価 0 8 1 0 9
平成18年度事後評価 1 8 0 0 9
平成19年度事後評価 1 10 2 0 13

(指標の設定根拠)

  • 都市エリア産学官連携促進事業は、日本各地に地域の特色を活かしたクラスターを形成することを目的としているため、総合評価がA以上の地域を優れたエリアとし、その累積数を、施策目標期間を通じて達成すべき目標として掲げている。(判断基準ロ)
  • 一方、実績評価の目的である、年度毎の施策の効果を測定・評価し、施策の不断の見直しや改善を図るという観点から、当該年度において事後評価を実施した地域を対象とする。(判断基準イ)
  • 判断基準イ及び判断基準ロにおいて、半数以上の地域が概ねA以上の評価を得ることを標準的な達成度合いとした。

必要性・有効性・効率性分析

【必要性の観点】
 経済活動のグローバル化や急速な少子高齢化、生産拠点の海外移転等による地域経済の地盤沈下など、日本経済・社会を取り巻く環境は厳しさを増している。地域の活性化を図り、日本が今後とも国際競争力を維持していくためには、地域固有の研究開発テーマとポテンシャルを有する大学等を活用し、製品・サービスの高機能化・高付加価値化(イノベーション)を図っていくことが必要である。
 第3期科学技術基本計画においても、地域における科学技術の振興は、地域イノベーション・システムの構築や活力ある地域づくりに貢献するものであり、ひいては、我が国全体の科学技術の高度化・多様化やイノベーション・システムの競争力を強化するものであるので、国として積極的に推進することとされている。
以上から、地域における科学技術の振興に対する財政的支援の必要性は極めて高い。

【有効性の観点】
 本事業は、地域のイニシアティブの下で事業全体のマネジメントを進めていくものであり、地域における科学技術の振興にとって有効な手段となっている。
 また、これまでの事業成果として、産学官の連携基盤の整備、多数の大学・企業等の研究者が共同研究に参画、多数の事業化・特許出願等、といった成果があらわれている。

【効率性の観点】
(事業インプット)
 ・地域における科学技術の振興に必要な経費 13,630百万円(平成20年度予算額)
 うち、知的クラスター創成事業 9,030百万円
 うち、都市エリア産学官連携促進事業 4,600百万円
(事業アウトプット)
 これまで実施してきた多くの地域で、産学官連携による新事業、新企業、新商品等の成果が着実にあがっており、各地域の事業計画も順調に進捗している。
(事業アウトカム)
 世界レベルのクラスター及び小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスターが各地に形成されつつある。

施策への反映(フォローアップ)

【予算要求への反映】
 これまでの取組を引き続き推進

【機構定員要求への反映】
 特になし

【具体的な反映内容について】

達成目標7-3-1

 おおむね想定通りに進捗していることから、引き続き、世界レベルのクラスター形成に向けた取り組みを継続する。

達成目標7-3-2

 おおむね想定通りに進捗していることから、引き続き、小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成に向けた取り組みを継続する。

関連した行政活動(主なもの)

経済産業省との連携

○クラスタージャパン2007
 全国の優れたクラスタープロジェクトの取組事例・研究開発成果等を一同に集め、情報発信、情報交換の場とすることにより、ビジネスへの展開を促進することを目的としている日本最大級のクラスター関連イベント。

○地域クラスターセミナー
 地域におけるクラスター政策の普及・浸透を図り、地域のイニシアティブに基づくクラスター形成を推進するため、地域の産学官関係(産業界、大学等、行政、支援機関等)を対象に、施策情報やクラスター形成の取組事例等の情報を提供するとともに、地域がめざすクラスター形成のための戦略、現在の課題等について議論を行う。

○産学官連携拠点の形成支援
 文部科学省と経済産業省の産学官連携、クラスター関連施策等を有機的に組み合わせて、総合的・集中的に支援する「産学官連携拠点」を両省が共同で選定する。

備考

 特になし

具体的な達成手段

 ※【22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。

【事業概要等】 【20年度の実績】 【22年度予算要求への考え方】
知的クラスター創成事業(第�T期)(開始:平成14年度 終了:平成20年度 20年度予算額:1,500百万円)
 地方自治体の主体性を重視し、知的創造の拠点たる大学、公的研究機関等を核とし、関連研究機関、研究開発型企業等による国際的な競争力のある技術革新のための集積(知的クラスター)の創成を目指す。
(1地域あたり年間約5億円×5年間)
【平成20年度実施地域】
事業実施地域数:3地域
事業化件数:42
特許出願件数:83
論文件数:414
参加機関数:227
参加研究者数:521
継続地域も含めて、事業実施地域がすべて終了したことから平成20年度に「知的クラスター創成事業(第1期)」を終了し、「選択と集中」の視点に立ち、世界レベルのクラスター形成を強力に推進するため、実施地域数を絞り込み、「知的クラスター創成事業(第2期)」へ移行した。
知的クラスター創成事業(第2期)(開始:平成19年度 終了:平成24年度 20年度予算額:7,530百万円)
 「知的クラスター創成事業(第1期)」の成果等を踏まえ、「選択と集中」の視点に立ち、世界レベルのクラスター形成を強力に推進することを目指す。(1地域あたり年間約5〜8億円×5年間) 【平成20年度実施地域】
事業実施地域数:9地域
事業化件数:122
特許出願件数:141
論文件数:923
参加機関数:625
参加研究者数2,024
【平成19年度までの成果報告】
調査対象地域数:6地域
事業化件数:998
特許出願件数:2,972
論文件数:6,908
参加機関数:649
参加研究者数:2,050
※参加機関及び参加研究者数は19年度の数値、それ以外は事業開始から19年度までの累積値。
平成22年度概算要求においても、引き続き世界レベルの地域クラスターの形成を推進し、地域イノベーションシステムの競争力強化を図るため、「知的クラスター創成事業(第2期)」の実施に必要な予算を要求する。
都市エリア産学官連携促進事業(開始:平成14年度 終了:平成21年度 20年度予算額:4,600百万円)
 地域の個性を重視して、大学等の「知恵」を活用し新技術シーズを生み出し、新規事業等の創出、研究開発型の地域産業の育成等を目指す。
(一般型:1地域あたり年間約1億円×3年間、発展型:1地域あたり年間約2億円×3年間)
【平成20年度実施地域】
事業実施地域数:32地域
事業化件数:154
特許出願件数:97
論文件数:418
参加機関数:754
参加研究者数1,833
【平成19年度追跡調査】
調査対象地域数:50地域
事業化件数:900
特許出願件数:1,196
論文件数:3,797
参加機関数:1,353
参加研究者数:3,231
※参加機関及び参加研究者数は19年度の数値、それ以外は事業開始から19年度までの累積値。
平成22年度概算要求においても、引き続き、地域の自立性を促進しつつ、地域の特色を活かしたクラスター形成等に向けて、「都市エリア産学官連携促進事業」の実施に必要な予算を要求する。

(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと) 

独法名 20年度予算額 事業概要 備考(その他関係する政策評価の番号)
独立行政法人科学技術振興機構 11,025百万円
※運営費交付金中の推計額
「地域イノベーション創出総合支援事業」
全国に展開しているJSTイノベーションプラザ・サテライトを拠点として、自治体、他府省等との連携を図りつつ、シーズの発掘から企業化までの研究開発を切れ目なく行うことにより、地域におけるイノベーションの創出を総合的に支援する。
 

○21年度に開始された事業の概要、予定指標(※これらは20年度実績評価の結果に関係するものではない) 

【事業概要等】 【目標・設定予定の指標】 【22年度予算要求への考え方】
知的クラスター創成事業(グローバル拠点育成型) (終了:25年度 21年度予算額:12百万円)
国際的に強み・特徴のある研究ポテンシャルや技術的にコアとなるシーズを活かし、グローバルな展開を図ることにより、国際競争力を持った地域クラスターの育成を推進する。 【目標】
これまでの知的クラスター創成事業等における実績も踏まえ、専門家による中間評価または終了評価において総合評価がA以上の地域が5割以上とすることを目指す。
【設定予定の指標】
有識者により、参加機関・研究者数、特許出願数、実用化・企業化件数等の推移と共に、事業計画の妥当性、技術評価、国際的なネットワーク形成等のクラスター形成のための取組、地域への波及効果、今後の発展可能性等の評価項目に分けて、総合的に評価
平成22年度概算要求においても、国際競争力を持った中規模のクラスターの育成を推進するために必要な予算を要求する。

官房部局の所見

  • 知的クラスター事業、都市エリア事業について、事業終了後も拠点が発展し続けているかについてフォローアップを行うことが重要。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --