施策目標2‐10 幼児教育の振興

 教育基本法第11条(幼児期の教育)の規定を踏まえ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園と保育所との連携の強化を図りつつ、その質の向上など幼児教育の推進向けて取り組む。

施策期間

 目標達成年度:平成23年度(基準年度:平成19年度)

主管課(課長名)

 初等中等教育局幼児教育課(濵谷浩樹)

関係局課(課長名)

 高等教育局私学部私学助成課(小山竜司)

施策の全体像

 教育基本法(平成18年12月22日法律第120号 以下「新教育基本法」という、以下同じ。)第11条(幼児期の教育)の規定を踏まえ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園と保育所との連携の強化を図りつつ、その質の向上など幼児教育を推進するため、以下の4つの達成目標を設定して取り組む。

○達成目標2‐10‐1

 「認定こども園」制度の普及促進を図り、保護者や地域の多様な教育・保育ニーズに応える。認定こども園制度は平成18年度に創設された新しい制度であることから、更なる制度の普及促進が求められているところであり、以下の2つの指標で判断する。
・判断基準2‐10‐1イ:認定こども園の認定件数
・判断基準2‐10‐1ロ:認定こども園が設置されている都道府県数

○達成目標2‐10‐2

 幼稚園における学校評価や幼稚園教育要領の理解促進等を通じ、幼児教育の質の向上を図るための指標として、以下の2つの指標を設定し、判断する。学校評価には、自己評価・学校関係者評価・第三者評価の3つの形態があるが、平成19年の学校教育法等の一部改正により自己評価については義務、学校関係者評価については努力義務となったところである。また第三者評価については、現在、その在り方が検討されているところである。したがって、努力義務である学校関係者評価を実施している幼稚園の割合を判断基準とする。また、幼稚園教育要領の理解促進等については、平成20年に改訂された幼稚園教育要領の主旨及び内容等の周知徹底を図ることを目的に新教育課程説明会を行ったところであり、その参加者数を判断基準とする。(「新教育課程説明会」については、本施策目標の「具体的な達成手段」の項目を参照)
・判断基準2‐10‐2イ:学校関係者評価(保護者・地域住民等で構成された委員会等が、自己評価結果について評価することを基本として行う評価)を行っている幼稚園の割合
・判断基準2‐10‐2ロ:新教育課程説明会参加者

○達成目標2‐10‐3

 幼稚園が行う子育て支援について内容の充実を促し、地域や保護者のニーズに対応したものとするため、以下4つの具体の子育て支援事業の実施率を指標に設定し、判断する。それぞれ、幼稚園教育要領に具体例としてあげられているものを判断指標とする。
・判断基準2‐10‐3イ:幼稚園教職員による子育て相談の実施率
・判断基準2‐10‐3ロ:子育て支援事業の情報の提供(情報誌・紙)の実施率
・判断基準2‐10‐3ハ:未就園児に対する保育の実施率
・判断基準2‐10‐3ニ:子育て井戸端会議の実施率

○達成目標2‐10‐4

幼稚園に通う園児をもつ保護者の経済的負担を軽減することにより、幼稚園への就園機会の充実を図るための指標として、以下の3つの指標を設定し、判断する。指標としては、特に経済的の負担の大きい兄弟姉妹のいる家庭に対する就園奨励費事業措置後の経済的負担軽減の割合を設定することとし、第1子の保護者負担に対する第2子以降の負担割合を判断基準とする。
・判断基準2‐10‐4イ:第2子以降の保護者負担の軽減【同時就園の場合】(第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合)
・判断基準2‐10‐4ロ:第2子以降の保護者負担の軽減【兄姉が小1~3の場合】(第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合)
・判断基準2‐10‐4ハ:第2子以降の保護者負担軽減に係る適用条件の拡充

達成状況と評価

全体評価 B
 
全体として一定の進捗はみられたものの、個々の達成目標について十分に達成できたとは言えないものもあるため、今後、目標達成年度に向けて取り組みを更に進める。

○判断基準2‐10‐1(B)

判断基準イ 認定こども園の認定件数
S=2,000件以上
A=1,400件以上
B=700件以上
C=700件未満
判断基準ロ 認定こども園が設置されている都道府県数
S=47都道府県
A=39~46都道府県
B=31~38都道府県
C=30都道府県以下

 認定こども園制度とは幼稚園、保育所等のうち、1.就学前の子どもに幼児教育、保育を提供する機能、2.地域における子育て支援を行う機能を備え、認定基準を満たす施設は、都道府県知事から「認定こども園」の認定を受けることができる制度で、平成18年10月に開始された。
 なお、認定こども園の制度改革について検討を行うため、平成20年10月に、内閣府特命担当大臣(少子化担当)、文部科学大臣、厚生労働大臣の3大臣合意により、「認定こども園の在り方に関する検討会」が設置され、平成21年3月に報告書がまとめられた。本報告書において、平成23年に認定件数が2,000件以上となることを目指すことが盛り込まれたことを踏まえ、判断基準イ、ロともに平成23年の達成を目指すこととする。
 判断基準アについては、2,000件以上をS、平成19年4月1日現在の、平成19年度中の申請見込み件数(542件)と平成19年4月1日現在の認定件数(94件)であることを踏まえ、700件未満をCと設定する。判断基準イについては、47都道府県でS、平成19年の設置都道府県数(30)以下をCとする。
 認定こども園の認定件数は、平成19年4月1日現在で94件、平成20年4月1日現在で229件、平成21年4月1日現在で358件と、毎年、認定件数は増えているものの、さらなる普及促進が求められている。(判断基準イ:C)一方、認定こども園が設置されている都道府県は平成19年4月1日現在で30都道府県、平成20年4月1日現在で40都道府県、平成21年4月1日現在、43都道府県となっており、平成23年度の達成年度に向けて、認定こども園の認定体制の整備は着実に進んでいる。(判断基準ロ:A)これらを踏まえ、判断基準2‐10‐1の評価をBとした。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
イ:認定こども園の認定件数(各翌年4月1日現在) 94 229 358
ロ:認定こども園が設置されている都道府県数(各翌年4月1日現在) 30 40 43

【出典】イ、ロ文部科学省・厚生労働省幼保連携室「平成21年認定こども園件数等調査」

○判断基準2‐10‐2(A)

判断基準イ 学校関係者評価(保護者などの学校の関係者が、当該学校の自己評価結果について評価するもの)を行っている学校の割合
S=69%以上
A=50%以上
B=22%以上
C=22%未満
判断基準ロ 新教育課程説明会の参加者
S=16,100人以上
A=14,800人以上
B=10,200人以上
C=10,200人未満

 判断基準イについて、学校評価については、平成19年6月の学校教育法の一部改正により、学校評価の実施等に係る総合的な根拠規定が盛り込まれるとともに、平成19年10月の学校教育法施行規則の一部改正により、学校評価に関する所定の規定を行った。
 さらに、平成20年3月に「幼稚園における学校評価ガイドライン」を示したところである。学校関係者評価に関する調査は平成18年度からであるが、本調査は教育現場の負担軽減を図る観点から隔年実施となっており、平成19年度調査は実施していない。また、平成20年度調査は本年度末に集計予定であるため、判断基準は平成18年度のものを判断基準に用いた。平成18年度における公立学校の学校種別にみた学校関係者評価に実施率は、幼稚園で22.1%、小学校で50.2%、中学校で51.2%、高等学校で69.3%であった。これらを元に、達成年度である平成23年度までに、まずは現段階において実施率が一番高い高等学校の実施率を目指すこととし、69%以上をSと評価する。また、22%を現状維持としてBとする。
 判断基準ロについて、園長が新教育課程説明会に参加することで、各園にフィードバックすることができると考え、平成20年度学校基本調査にある幼稚園の職員別教員数(本務者)において、園長の人数である約10,200人以上をB、さらに、副園長・教頭を加えた約14,800人以上をA、さらに主管教諭・指導教諭の人数を加えた約16,100人をSとする。

 平成20年の学校関係者評価実施率は本年末に集計予定となっており、かつ、調査が隔年実施であるため、平成18年の指標で評価している。しかし、平成20年3月に「幼稚園における学校評価ガイドライン」を示したこともあり、平成20年度においては、一定の進捗が見られるものと思われる。(判断基準イ:B)
 また、新教育課程説明会の参加者は、幼稚園等における教育の改善及び充実を図るため、平成19年度の幼稚園教育要領の改訂を受け、その趣旨の説明等を行うものであるが全都道府県を対象とした説明会に加え、全都道府県に出向いて新教育要領に関する説明会を開催した結果、22,804名の参加があり、幼稚園の園長、副園長、教頭、主管教諭、指導教諭の人数を加えた数を超える参加者数を得られ、顕著な成果を上げたと言える。(判断基準ロ:S)これらを踏まえ、判断基準2‐10‐2の評価をAとした。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
イ:学校評価実施状況調査における学校関係者評価実施率     22.1% 平成21年末
集計予定
ロ1:幼稚園教育課程理解推進事業参加者数 26,262人 26,934人 27,643人 26,529人
ロ2:新教育課程説明会参加者数 22,804人

【出典】イ 文部科学省「平成18年度間 学校評価及び情報提供の実施状況調査結果」
ロ1 幼稚園教育課程理解推進事業の実施報告書より集計
ロ2 新教育課程説明会の実施報告書(地方説明会)より集計

○判断基準2‐10‐3(B)

判断基準イ 幼稚園教職員による子育て相談の実施率
S=40%以上
A=36%以上
B=32%以上
C=32%未満
判断基準ロ 子育て支援事業の情報の提供(情報誌・紙)の実施率
S=34%以上
A=30以上
B=26%以上
C=26%未満
判断基準ハ 未就園児に対する保育の実施率
S=64%以上
A=60%以上
B=56以上
C=56%未満
判断基準ニ 子育て井戸端会議の実施率
S=28%以上
A=24%以上
B=20%以上
C=20%未満

 幼稚園において何らかの子育て支援事業を実施している幼稚園は、平成19年度では全体の79.9%、平成20年度では全体の81.8%となっており、約2%上昇している。これを踏まえ、個々の子育て支援事業の実施率についても、同程度の上昇が見込まれる。従って、各判断基準は、基準年である平成19年度調査における実施率を現状維持としてB、毎年度2%ずつ上昇し、達成年度である平成23年度に8%以上上昇した場合をSと評価する。
 各事業の達成度や進捗についてはそれぞれ地域の実情によりその実施状況が異なるものの、一部についてはやや遅れが見られるが、文科省としては、幼稚園における子育て支援は、地域の実情に応じて行うものであるが、その実施園数が増えていることを踏まえ、その充実を図るため、平成20年度3月に、「幼稚園における子育て支援活動及び預かり保育の事例集」を作成したところである。(判断基準イ:B、判断基準ロ:B、判断基準ハ:B、判断基準ニ:C)これらより、判断基準2‐10‐3の評価をBとした。今後も事例集の周知徹底など、引き続き地域の実情に応じ、子育て支援の充実強化に関する取組を進める必要がある。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
イ:子育て支援事業の幼稚園教職員による子育て相談の実施率 32.9% 31.8%
ロ:子育て支援事業の情報の提供(情報誌・紙)の実施率 26.2% 26.1%
ハ:子育て支援事業の未就園児の保育の実施率 57.8% 58.9%
ニ:子育て支援事業の子育て井戸端会議 21.6% 19.5%
参考指標
子育て支援事業の実施率
      79.9% 81.8%

【出典】文部科学省 「平成20年度幼児教育実態調査」

○判断基準2‐10‐4(B)

判断基準イ 第2子以降の保護者負担の軽減【同時就園の場合】
(第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合)
S=5年間で第2子を0.5、第3子以降を0.0に軽減
A=5年間で第2子を0.6、第3子以降を0.1に軽減
B=5年間で軽減なし
C=5年間で悪化
判断基準ロ 第2子以降の保護者負担の軽減【兄姉が小学生の場合】
(第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合)
S=5年間で第2子を0.5、第3子以降を0.0に軽減
A=5年間で第2子を0.6、第3子以降を0.1に軽減
B=5年間で軽減なし
C=5年間で悪化
判断基準ハ 第2子以降の保護者負担軽減措置に係る適応条件の拡充
S=小学校3年生までに兄姉を有する園児を対象
A=小学校2年生までに兄姉を有する園児を対象
B=小学校1年生までに兄姉を有する園児を対象
C=適応条件拡充なし

 幼稚園に通う園児をもつ保護者の経済的負担軽減を図る就園奨励費事業のうち、特に兄弟姉妹のいる家庭の保護者負担を軽減することにより、幼稚園への就園機会の充実を図るため、第2子以降については、第1子の保護者負担と比較して経済的負担が軽減されるよう措置しているところである。一方、保育所については、第1子の保護者負担を1とした場合、第2子の負担割合は0.5、第3子以降の負担割合は0.5となっている。これらを元に、判断基準イ~ハについては、保護者負担がより軽減されている保育所における保護者負担割合をSと設定し、平成18年度を基準とした現状維持をBとする。
 従来、第2子以降の保護者負担の軽減については、同時に幼稚園に就園していることを適用条件としていたが、平成18年度は小学校1年生に兄姉を有する幼稚園児、平成19年度は小学校2年生までに兄姉を有する幼稚園児、平成20年度は小学校3年生までに兄姉を有する幼稚園児とする、第2子以降の保護者負担軽減の適用条件の緩和拡充を行ったところである。(判断基準ハ:S)しかしながら、第2子以降の保護者負担の軽減については、平成20年度の第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合は、同時就園の場合、第2子は0.7、第3子以降は0.2、兄姉が小1~小3の場合、第2子は0.9、第3子以降は0.8となっており、想定通りの軽減を図ることができず、据え置きとなっている。(判断基準イ:B、判断基準ロ:B)
 以上のことから、平成20年度の基本目標の達成度合については、兄弟姉妹のいる家庭への保護者負担の軽減に向けてさらに努力が必要であると考え、2‐10‐4の評価はBとした。

(指標・参考指標)

    16 17 18 19 20
イ 第2子以降の保護者負担の軽減【同時就園の場合】
(第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合)
第2子 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7
第3子以降 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2
ロ 第2子以降の保護者負担の軽減【兄姉が小1~小3の場合】
(第1子の保護者負担を1とした場合の第2子以降の負担割合)
第2子 0.9 0.9 0.9
第3子以降 0.8 0.8 0.8
ハ 第2子以降の保護者負担軽減措置に係る適用条件の拡充     小1まで
拡充
小2まで
拡充
小3まで
拡充
       
参考指標就園奨励費補助単価の引き上げ率(平均) 1% 3%

 【出典】各年度の就園奨励費補助金の概要より

必要性・有効性・効率性分析

【必要性の観点】
 平成18年に改正された教育基本法第11条に規定されたように、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、この時期に質の高い幼児教育が提供されることは極めて重要である。また、学校教育法改正等を踏まえ、平成20年3月には幼稚園教育要領の改訂が行われ、平成21年4月より実施されている。
 このように、幼児教育の重要性はますます高まってきているところであり、希望する全ての子どもが質の高い幼児教育を受けられるよう、幼保の連携を図りつつ、幼児教育の質の向上に取り組むとともに、保護者の経済的負担の軽減等の取組を通じて幼児教育の振興を図ることが必要である。

【有効性の観点】
 幼稚園と保育所の連携については、これまでも教育内容の整合性の確保や、施設の共用化等の施策を進めてきたが、平成18年に、教育・保育を一体的に提供し、地域における子育て支援を実施する施設を認定する認定こども園制度を開始した。認定こども園制度は、1.親の就労の有無にかかわらず施設の利用が可能となる、2.適切な規模の子どもの集団を保ち、子どもの育ちの場を確保できる、3.既存の幼稚園の空き教室の活用により保育所の待機児童の解消に資する、4.育児不安の大きい家庭への支援を含む地域の子育て支援が充実するなどの効果が期待できる。
 幼児教育の質の向上を図るため、平成19年に学校教育法を改正するとともに、その改正や社会の変化を踏まえ、平成20年3月に幼稚園教育要領の改訂を行い、平成21年4月から実施している。また、「幼稚園における学校評価ガイドライン」を示すなど、質の高い幼児教育が提供されるよう質の維持・点検を行うために学校評価の充実は重要である。さらに、幼稚園における子育て支援活動を推進することで、地域における幼児教育の充実も図ることができると考えられる。
 さらに、私立が多い幼稚園について保育料の公私間格差の是正を図り、保護者の経済的負担の軽減を図ることによって、希望するすべての子どもが質の高い幼児教育を受けられるようになると考えられる。

【効率性の観点】
(事業アウトプット)
 本事業の実施により、1.保護者や地域の多様なニーズに柔軟かつ適切に対応し、2.幼稚園教育全体の質の向上や質の維持・点検を行い、3.保護者の経済的負担の軽減や公私立幼稚園間における保護者負担の格差の是正を図ることができる。

(事業アウトカム)
 上記のような諸施策を着実に実施していくことにより、多様な教育・保育ニーズに対応した質の高い幼児教育が提供されるようになり、幼児教育の振興を図ることができる。

施策への反映(フォローアップ)

【予算要求への反映】
 これまでの取組を引き続き推進

【機構定員要求への反映】
 定員要求に反映

【具体的な反映内容について】
 達成目標2‐10‐1の認定こども園制度については、平成19年度重要対象分野に関する評価も実施しており、政策評価・独立行政法人評価委員会の答申において、運用改善策の有効性の検証を通じて、設置数が増えない原因の掘り下げた分析とそれを踏まえた見直し・改善が求められている。認定こども園制度の普及・促進策としては、内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)、文部科学大臣、厚生労働大臣3大臣合意による認定こども園制度の在り方に関する検討会」において、認定こども園制度の具体的な改善方策についての報告書「今後の認定こども園制度の在り方について」をとりまとめ、会計処理簡素化、事務手続改善等の課題について、報告書に盛り込まれた「工程表」に基づき改善を図っていく。また、幼稚園・保育所の枠組みを超えた認定こども園への新たな財政措置も合わせて、認定こども園制度が一層積極的に活用されるよう引き続き取り組む。また、認定こども園の設置促進及び運営に関する支援を強化するため、平成21年度に認定こども園運営係長を1名定員要求した。

 達成目標2‐10‐2については、全国における学校評価の実践事業を行うことで先般の法令等改正の趣旨を徹底するとともに、好事例の共有化を図り、すみやかな全国への普及を促す。また、平成19年度に幼稚園教育要領の改訂を行い、平成21年度から実施することとしている。今後は、平成21年度からの円滑な実施に向け、改訂内容の趣旨を徹底させるとともに、好事例の共有化を図り、幼児教育の一層の質の向上を目指す。

 達成目標2‐10‐3の子育て支援事業については、平成19年度重要対象分野に関する評価も実施しており、政策評価・独立行政法人評価委員会の答申において、公立幼稚園等における潜在的な保育ニーズに対する対応が求められている、幼稚園における子育て支援は、地域の実情に応じて行うものであるが、多様化する保護者ニーズに対応するため、平成20年3月に「幼稚園における子育て支援活動及び預かり保育の事例集」を作成した。引き続き子育て支援事業を促進していくために、本事例集の周知徹底に努めるとともに、私学助成等による財政支援の充実を図ることが必要。

 達成目標2‐10‐4については、幼稚園への就園を更に推進するため、引き続き幼稚園就園奨励費補助金制度の充実を図ることが必要。
 また、平成22年度機構定員要求においては、幼児教育に係る経済的負担軽減制度創設に向けた体制強化のため、幼児教育無償化推進専門官1人を要求する予定。

関連した行政活動(主なもの)

• 平成20年度子育て支援対策臨時特例交付金(安心こども基金)の運営について(通知)(文部科学省初等中等教育局長・厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知:平成21年3月5日)
 「安心こども基金管理運営要領」を定め、周知を図るため、本通知を発出した。

• 認定こども園制度の普及促進について(通知)(文部科学省初等中等教育局長・厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知:平成21年3月31日)
 「認定こども園制度の在り方に関する検討会」において報告書が取りまとめられたことを踏まえ、認定こども園の普及促進を図るため、本通知を発出した。

• 「認定こども園制度の普及促進等に関する検討会」を開催(平成20年5月~7月)
 文部科学省・厚生労働省の両局長級の検討会を設置し、認定こども園の普及促進策や運用改善策などをとりまとめた。

• 「認定こども園の在り方に関する検討会」を開催(平成20年10月~平成21年3月)
 少子化対策担当、文部科学大臣、厚生労働大臣3大臣合意による検討会において、認定こども園制度の具体的な改善方策についての報告書「今後の認定こども園制度の在り方について」をとりまとめた。

• 認定こども園の認定件数等調査(平成21年4月1日)
 全国の認定こども園の認定件数等を調査し、認定こども園制度の普及状況を検討。

• 認定こども園 認定申請手続等に関する事務マニュアルの作成(平成21年3月)
 認定こども園の認定手続等における問題点や改善例、認定手続き等に関するQ&A、各都道府県における手続きなどをとりまとめたマニュアルを作成し、各都道府県に配布した。

• 幼稚園における学校評価ガイドラインの改訂(平成20年3月)

• 幼稚園における子育て支援活動及び預かり保育の事例集の作成(平成21年3月)
 地域の実情に応じて工夫がなされている事例をとりまとめ、都道府県に配布した。

備考

 特になし

具体的な達成手段

 ※〔22年度の予算要求への考え方〕には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。

【事業概要等】 【20年度の実績】 【22年度の予算要求への考え方】
新教育課程説明会 (開始:平成20年度 終了:平成20年度20年度予算額:20百万円)
【平成20年度達成年度到来事業】
幼稚園の教育課程の基準について、その趣旨の説明等を行うことにより、幼稚園等における教育の改善及び充実を図る。 平成20年3月28日に幼稚園教育要領が告示され、平成21年4月1日より実施されることに伴い、「幼稚園の教育課程の基準について、その主旨の説明等をおこなうことにより、幼稚園等における教育の改善及び充実を図る」ことを目的に、文部科学省及び47都道府県において「新教育課程説明会(中央説明会)」「新教育課程説明会(地方説明会)」を実施した。なお、本事業は、改訂幼稚園要領の実施に伴い、改訂の主旨及び内容について周知を目的としたものであるため、単年度事業である。
・「新教育課程説明会(中央説明会)」参加者数22,804人
・「新教育課程説明会(地方説明会)」参加者数339
「新教育課程に係る周知をはかるために実施し終了。本事業に係る目的は十分果たした。今後は、幼稚園の運営等に係る必要な措置を充実させていく。
幼児教育の改善・充実調査研究 (開始:平成20年度 終了:- 20年度予算額:76百万円) 
幼児教育に関する様々な課題について、都道府県や教育機関等に調査研究を委託し、国として必要な支援策を検討する。 31団体に委託し、調査研究が行われた。 継続。研究の成果を踏まえ、幼児教育の質の向上を図る。
幼稚園就園奨励費補助 (開始:昭和47年度 終了:- 20年度予算額:19,212百万円) 
保護者の所得に応じた経済的負担の軽減等を図ることを目的として保育料等を軽減する「就園奨励事業」を実施している地方公共団体に対して、国が所要経費の一部を補助する。 交付先
(市町村)1,349件
(都道府県)2件
交付決定額
(市町村分)19,211,975千円
(都道府県分)25千円
さらなる充実を図るため拡充要求を行う。

(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと) 

独法名 20年度予算額 事業概要 備考(その他関係する政策評価の番号)

 ○21年度に開始された事業の概要、予定指標(※これらは20年度実績評価の結果に関係するものではない)

【事業概要等】 【目標・設定予定の指標】 【22年度の予算要求への考え方】
認定こども園への新たな財政措置(20年度1次補正予算:約21億円(文科省・厚労省合計)、20年度2次補正予算:「安心こども基金」1,000億円の内数(文科省・厚労省合計)、21年度補正予算「安心こども基金」1,500億円の内数(文科省・厚労省合計))
「安心こども基金」を造成し、国・地方による幼稚園・保育所の枠組みを超えた総合的な財政支援を行うことにより、認定こども園の緊急整備を図る。(各都道府県に基金を造成) 達成目標2‐10‐1の関連事業
【目標】
認定こども園制度の普及促進を図り、保護者や地域の多様な教育・保育に応える。
【設定予定の指標】
・認定こども園の認定件数
・認定こども園が設置されている都道府県数
平成20~22年度までの3ヶ年度の予算を平成20年度2号補正予算で措置済み。
幼稚園教育理解推進事業(21年度予算額:36百万円)
幼稚園教育の振興・充実を図るために、幼稚園の教育課程の編成をはじめとした幼稚園教育に関する内容、幼稚園の運営・管理、保育技術等に関する専門的な講義、研究協議等を行う。 達成目標2‐10‐2の関連事業
【目標】
平成20年3月に改訂された新幼稚園教育要領の理解を更に深めることにより、幼稚園教育の質の向上を図る。
【設定予定の指標】
・幼稚園教育課程理解推進事業参加者数
継続。平成20年3月に告示された幼稚園教育要領は、平成21年4月1日から実施されているところである。教育基本法が目指す幼児期の教育の重要性に鑑み、「生涯にわたる人格形成の基礎を培う」ためには、幼稚園教育要領の趣旨を踏まえた教育実践を行うことが必要である。特に教科書のない幼児教育において、その教育の質を保障するために、幼児教育についての協議等を引き続き行っていく。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --