優れた資質能力を有する教員を養成・確保するとともに、教員のやる気と能力を引き出す。
目標達成年度:平成24年度(基準年度:平成20年度)
初等中等教育局教職員課(山下 和茂)
初等中等教育局初等中等教育企画課(関 靖直)
児童生徒や保護者からの尊敬と信頼を得られるような優れた資質能力を有する教員を養成・確保するとともに、能力と実績に応じた評価と処遇を行うことを通じて教員のやる気と能力を引き出す。
各地域における教員の養成・採用・研修の各段階を通じた取組を充実し、教員の資質能力の向上を図るため、各都道府県・指定都市教育委員会と大学との連携等を推進する。
・判断基準2-7-1:大学と連携している教育委員会の割合
教員が最新の知識技能を修得することを目的として実施される教員免許更新制が、平成21年度より円滑に導入できるよう、全ての都道府県において体制を整備する。
・判断基準2-7-2イ:免許状更新講習プログラム開発委託事業への取組がなされている都道府県数
・判断基準2-7-2ロ:平成21年3月時点において、受入予定人数と予備講習履修人数の合計が受講対象者数よりも多い都道府県数(必修領域)
評価システムの改善・運用を積極的に進めることにより教員の能力と実績に応じた評価と処遇が行われるようにする。
・判断基準2-7-3:新しい教員評価システムが既に試行又は実施されている都道府県・指定都市教育委員会の割合
全体評価:A
判断基準 | 大学と連携している教育委員会の割合 |
---|---|
S=全教育委員会 A=9割以上 B=8〜9割 C=8割未満 |
平成20年度は、大学での教員研修の改善を目的として大学との連携の取組を行っている都道府県教育委員会の割合を調査していないため、直近のデータ(平成18年度)と平成20年度の連携に関する取組を合わせて評価を行った。平成20年度の取組としては、教員免許更新制の導入をきっかけにして、受講予定者数と受入れ予定人数の調節や受講者のニーズの把握等において大学と教育委員会の連携が行われている。また、教育職員免許法施行規則を改正し、教職実習の円滑な実施を努力義務化するなど制度の面で連携強化につながる取組が行われた。
(指標・参考指標)
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
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イ 大学での教員研修(現職研修)の改善を目的とした大学との連携の取組を行っている都道府県・指定都市教育委員会の割合(「教員の資質向上連絡協議会」の事前アンケート) | 53.3 | 62 | 85 | 87.1 | ‐ | ‐ |
(出典:教職員課調べ)
判断基準イ | 免許状更新講習プログラム開発委託事業への取組がなされている都道府県数 |
---|---|
S=47都道府県及び通信教育等全国的な実施としての取組 A=43〜46都道府県及び通信教育等全国的な実施としての取組 B=43〜46都道府県 C=42都道府県以下 |
判断基準ロ | 平成21年3月時点において、受入予定人数と予備講習履修人数の合計が受講対象者数よりも多い都道府県数(必修領域) |
---|---|
S=全47都道府県で達成 A=全都道府県の合計数で達成しており、なおかつ43〜46都道府県で達成 B=全都道府県の合計数で達成しているが、都道府県別では42都道府県以下 C=達成している都道府県が42以下で全都道府県の合計数でも未達成 |
(出典:教職員課調べ)
免許状更新講習の課題を把握するための免許状更新講習プログラム開発委託事業がすべての都道府県の大学等(104大学等)で実施され、また平成21年度の免許状更新講習の開設予定状況においても、ほぼすべての都道府県で必要な講習量を確保できている(必修領域:46都道府県、選択領域:全47都道府県)など教員免許更新制の円滑な導入に向けた体制の整備は順調に進捗している。
(指標・参考指標)
18 | 19 | 20 | |
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イ平成20年度免許状更新講習プログラム開発委託事業に応募した大学が所在する都道府県数 | − | − | 全47 |
ロ平成21年3月時点において受入予定人数と予備講習履修人数の合計が受講対象者数よりも多い都道府県数 | − | − | 46 |
(参考)免許管理システム開発補助金を申請した都道府県教育委員会数 | − | 全47 | 整備済み |
(出典:教職員課調べ)
○判断基準2-7-3(A)
判断基準 | 新しい教員評価システムが既に試行又は実施されている都道府県・指定都市教育委員会の割合 |
---|---|
S=全ての都道府県・指定都市教育委員会において実施 A=全ての都道府県・指定都市教育委員会において試行又は実施 B=80%以上の都道府県・指定都市教育委員会において試行又は実施 C=80%未満の都道府県・指定都市教育委員会において試行又は実施 |
教員の能力や実績をきちんと評価し、その結果を人事や処遇、研修などに適切に反映することが重要であることから、調査研究事業を実施するとともに、各種会議や教育委員会幹部との個別の情報交換の場を通じて、各教育委員会の取組を促してきた。その結果、全ての都道府県・指定都市教育委員会において、既に新しい教員評価システムが試行又は実施されている。
なお、教員評価の取組に加えて、平成20年4月現在、64都道府県・指定都市のうち53の教育委員会が優秀教員表彰の取組を導入している。
【必要性の観点】
教育基本法第9条において、教員は「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責につとめなければならない」とされ、そのため「その身分は尊重され、待遇の適性が期せられるとともに、養成と研修の充実を図られなければならない」と規定されている。
また、教員を取り巻く社会状況が急速に変化し、学校教育が抱える課題も複雑・多様化する現在、教員には、不断に最新の専門知識や指導技術等を身に付けていくことが重要となっている。
以上のことから、魅力ある優れた教員の養成・確保のための取組は引き続き実施する必要がある。
【有効性の観点】
魅力ある教員の養成・確保は、都道府県等教育委員会や教員の取組と併せて効果が表れる性質のものであるが、本事業は、学校教育が抱える課題の複雑・多様化に対応した、かつ、不断に最新の専門知識や指導技術等を身に付けるための取組であることから、目指す効果が得られるものと判断した。
【効率性の観点】
(事業アウトプット)
本事業の実施により、1.教員免許更新制に関する取組の促進、2.教育委員会と大学、大学間、地域間における連携の促進などが期待される。
(事業アウトカム)
教員免許更新制の実施により教員が最新の知識技能を修得することができると考えるが、それだけはなく大学が現職教員と交流を持つことにより教員養成等にも活かされるものと考える。また、教育委員会と大学等の連携の推進により、研修や養成にそれぞれ活かされることになる。
以上のことから本事業は非常に波及効果の高いものであり、効率性の観点から妥当な取組といえる。
【予算要求への反映】
これまでの取組を引き続き推進。
【機構定員要求への反映】
定員要求に反映
【具体的な反映内容について】
理科教育の充実のため、養成、更新講習、研修等を通じた教員の資質形成の過程を踏まえた教科教育の指導法の在り方及び人材発掘・供給システムの構築に関して調査研究し、その具体的な手法を開発するため、平成22年度概算要求及び定員要求(教員資質向上モデル開発専門官1名及び現職教育係員1名)を行う。
達成目標2-7-1
教育委員会と大学の連携は進んでいるものと認識しているが、さらに連携を改善充実する必要があると考えられるため、引き続き本施策を実施していく予定である。
達成目標2-7-2
教員免許更新制については平成21年4月の導入に向けて十分な体制を整備することができたものと認識している。今後も教員免許更新制の円滑な実施について取組の推進を図っていく。
達成目標2-7-3
都道府県教育委員会・指定都市教育委員会において、教員評価の結果を配置や処遇、研修等に適切に反映するなど教員評価の内容面の改善を目指す。
○教員免許更新制の実施に係る関係省令の整備(通知)(事務次官通知:平成21年4月1日)
○教育委員会や大学向けに教員免許更新制の実施に関する説明会を多数開催
等
○平成21年度の免許状更新講習の開設予定状況等について調査
免許状更新講習の開設予定や受講対象者を調査するため12月と3月に調査を行い、必要な講習量に満たない地域に対して開設を促した。
○平成20年11月に教員養成課程の質的な向上に関する協力者会議を設置
現場で生じている様々な課題や今後の新たな教育課題により的確に応え得るための教員養成課程の質的な充実について、有識者によるフォローアップと専門的な検討を行うことを目的に設置。
○教員採用等の在り方に関する点検結果の取りまとめ
大分県での教員採用等をめぐる贈収賄事件を受けて、教員採用等の在り方に関する点検を各教育委員会に求め、その結果を2度にわたりとりまとめた。
○「平成21年度「教員採用等の改善に係る取組事例」の送付について(通知)」(平成20年12月24日付け教職員課長通知)の送付
大学等教員養成機関や教育実習校との連携を密にし、教育実習の評価を客観的なものにするなどの条件整備を図るよう要請。
○教職課程認定大学への実地視察
平成20年度においては、34大学に対して実施視察を行い、その報告書をまとめた。
○教員研修評価・改善のためのシステムの提供
平成19年度に「教員研修評価・改善システム開発事業」で開発したシステムを、各教育委員会での教員研修の評価・改善の取組みに資するよう、都道府県教育委員会等へ提供した。
○機構定員改善
初等中等教育局教職員課に教員免許企画室を新設した。
○教育職員免許法施行規則の改正
教職実践演習の導入、教職課程の是正勧告・認定取消し等の規定を整備、教職指導・教育実習の円滑な実施の努力義務化を行った。
特になし
※【平成22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。
【事業概要等】 | 【20年度の実績】 | 【22年度の予算要求への考え方】 |
---|---|---|
教員資格認定試験 (開始:昭和39年度 終了:‐ 20年度予算額:163百万円) | ||
教員資格認定試験等を実施する。 | 小学校教諭二種免許状、特別支援学校自立支援活動教諭一種免許状、幼稚園教諭二種免許状を取得するための教員資格認定試験を実施した。 | 引き続き実施(平成21年度予算において見直しを行い、効率化に努めたところ(21年度予算145百万円) |
教員の資質向上連絡協議会 (開始:昭和62年度 終了:‐ 20年度予算額:1百万円) | ||
大学及び教育委員会相互の連携、協力を図るために、教員の養成・採用・研修等に係る諸問題について協議を行う。 | 大学、教育委員会の関係者相互の連携、協力をより緊密なものとすることができた。 | 引き続き実施 |
教員免許更新講習研究委託 (開始:平成20年度 終了:平成20年度 20年度予算額:350百万円) | ||
免許状更新講習において多様で質の高い講習プログラムが提供され、講習の修了認定や更新講習に係る諸手続等が円滑に実施されるよう、更新講習の実施に伴う諸課題について研究・検証を行う。 | 20年9月末までに国の支援事業を活用して104大学等で試行が行われ、更新講習の実施に伴う諸課題を研究・検証し、成果を大学等へ普及することができた。 【平成20年度達成年度到来事業】 平成21年度から実施される教員免許更新制の試行として大きな成果をあげた |
平成21年度から免許状更新講習が実施されたため、更新講習の試行は終了。なお、平成21年度は全国各地域において多様で質の高い免許状更新講習が開設され受講の機会均等が図られるよう必要な支援を行うための経費を計上している。平成22年度も引き続き講習開設への補助のための経費を要求する予定) |
教員免許更新制情報提供事業 (開始:平成20年度 終了:平成20年度 20年度予算額:40百万円) | ||
大学・教育委員会・教員等に教員免許更新制の情報を提供する。 | 大学・教育委員会・教員等に対して、教員免許更新制への理解を深めることができた 【平成20年度達成年度到来事業】 大学や教育委員会に対する説明会を開催し、平成21年度から実施される教員免許更新制の制度の周知が図られた。 |
終了(平成21年度からは教員免許更新制理解促進事業として実施。平成22年度も引き続き制度の周知のための経費を要求する予定。) |
教員養成課程の実地状況調査・指導等 (開始:昭和55年度 終了:‐ 20年度予算額:6百万円) | ||
課程認定大学の実地調査を実施した。 | 課程認定大学の現状を理解するとともに、課程認定大学に対して、必要な改善等の指導を行った。 | 引き続き実施 |
(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと)
独法名 | 20年度予算額 | 事業概要 | 備考(その他関係する政策評価の番号) |
---|---|---|---|
独立行政法人教員研修センター | 1,439百万円 | 各地域で学校教育において中心的な役割を担う校長・教頭等の教職員に対する学校管理研修や喫緊の重要課題について、都道府県教育委員会等が行う研修等の講師や企画・立案等を担う指導者を養成するための研修等を実施している。 | ‐ |
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --