施策目標2‐6 地域住民に開かれた信頼される学校づくり

 地域や子どもたちの実情に応じた教育を可能とする特色ある学校づくりや自主的・自律的な学校運営を実現するとともに、保護者や地域住民が学校運営の状況について把握し、積極的に参画できるようにする。

施策期間

 目標達成年度:平成24年度(基準年度:平成20度)

主管課(課長名)

 初等中等教育企画課(関 靖直)

関係局課(課長名)

 初等中等教育局主任視学官(袖山 禎之)、同局参事官(岩本 健吾)

施策の全体像

 地域住民に開かれた信頼される学校づくりのため、学校・家庭・地域の連携・協力を促す学校関係者評価や学校運営協議会制度、及び生徒や保護者、地域、社会のニーズに対応する高校教育改革について、以下の3つの達成目標を設定して取り組む。

○達成目標2-6-1

 学校関係者評価等の取組の充実を通じ、保護者や地域住民等と教職員との共通理解及び学校改善に向けた連携・協力を促す。
 学校関係者評価は、保護者や地域住民等の学校関係者が、自己評価の結果を評価することを通じ、学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互の連携を促し、学校運営の改善への協力を促進することを目的としており、また、外部アンケートは、学校運営に対する保護者、地域住民等の意見や要望を把握するためのものであるため、上記の目標が達成されたかについては、以下の指標を用いて判断することとする。
 ・判断基準2-6-1イ:学校評価実施状況調査における学校関係者評価実施率
 ・判断基準2-6-1ロ:学校評価実施状況調査における外部アンケート実施率

○達成目標2-6-2

 保護者や地域住民のニーズを迅速かつ的確に学校運営に反映させ、学校・家庭・地域社会が一体となったより良い教育を実現するため、保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って公立学校運営に参画できる仕組みである「学校運営協議会制度」を活用した取組が多くの地域で行われるよう、その着実な推進を図る。
 「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進プラン」の趣旨が、「各地域において、学校運営協議会制度が円滑かつ効果的に実施され、新しいタイプの学校運営が着実に推進される」ことであるため、上記の目標が達成されたかについては、以下の指標を用いて判断することとする。
 ・判断基準2-6-2:調査研究事業の委嘱校で学校運営協議会未設置校のうち新規に学校運営協議を設置した学校数の割合
(参考指標:学校運営協議会を設置した学校数)

○達成目標2-6-3

 多様化する生徒のニーズを考慮しつつ、生徒や保護者、地域、社会のニーズに対応した特色ある高等学校づくりのため、総合学科、単位制高等学校、中高一貫教育校の設置促進などを通じた高等学校教育改革を推進する。この目標の達成状況については、以下の指標を用いて判断することとする。
 ・判断基準2-6-3イ:総合学科を設置する高等学校の増加数
 ・判断基準2-6-3ロ:単位制高等学校の増加数
 ・判断基準2-6-3ハ:中高一貫教育校の増加数

達成状況と評価

全体評価 A

全体的に想定通り進捗していると判断できる。

○判断基準2-6-1(B)

判断基準 学校関係者評価等を行っている公立学校の割合
S=80%以上
A=70〜80%未満
B=60〜70%未満
C=60%未満

 「学校関係者評価」については、平成19年6月には学校教育法が改正され、第42条において学校評価に関する規定が新たに設けられた。これを受けて文部科学省では学校教育法施行規則を改正し、学校関係者評価の実施・公表について新たに規定を設け、努力義務とした(平成19年12月施行)。さらに、平成20年1月には、学校評価ガイドラインを改訂し、学校評価の充実に向けて、各学校や教育委員会の取組の参考となるモデルを示してきた。これにより、今後の学校関係者評価の実施率には上昇が見込まれるが、学校現場の負担軽減の観点から調査を隔年実施としたため、平成19年度間の状況は把握していない。平成20年度間の状況については、本年度中に調査を行う予定としている。また、教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)においては、学校関係者評価について「できる限りすべての学校において実施されることを目指し」と記述しており、引き続き、学校関係者評価の実施率の向上に向けて努めていく。
 一方、児童生徒や保護者、地域住民を対象とするアンケート(外部アンケート等)については、平成18年度において、88.9%の公立学校で行われており、取組が進んでいるものと考えられる。
 このように、法令等の改正や外部アンケート等の充実により、保護者や地域住民等が教職員と共通理解を持ち学校改善に向けて連携・協力を促進するための学校関係者評価等の充実については、順調に進捗していると判断する。

(判断基準2-6-1イ)

  15 16 17 18 19 20
学校評価実施状況調査における学校関係者評価実施率(公立学校) 49.1% 調査予定

(判断基準2-6-1ロ)

  15 16 17 18 19 20
学校評価実施状況調査における外部アンケート等実施率(公立学校) 88.9% 調査予定

判断基準2-6-2(A)

判断基準 調査研究事業の委嘱時に学校運営協議会が未設置の学校のうち、その後学校運営協議会を設置した学校数の割合
S=80%以上
A=50〜80%未満
B=20〜50%未満
C=20%未満

 本事業の委嘱時に学校運営協議会が未設置の学校のうち、その後新たに学校運営協議会を設置した学校数の割合は63%であり、想定どおり順調に進捗していると判断する。

(判断基準2-6-2)

    15 16 17 18 19 20
調査研究事業の委嘱時に学校運営協議会が未設置の学校のうち、その後学校運営協議会を設置した学校数の割合 調査研究事業の委嘱時に学校運営協議会が未設置の学校数(ア) 63 116 188 251
その後学校運営協議会を設置した学校数(イ) 23 71 126 157
割合(イ/ア) 37% 61% 67% 63%

(参考指標)

学校運営協議会を設置した学校数(翌年度4月1日現在) 15 16 17 18 19 20
17 53 197 346 478

○判断基準2-6-3(A)

判断基準イ 総合学科を設置する高等学校の増加数(対前年度比)
S=30校以上
A=15〜29校
B=5〜14校
C=4校以下
判断基準ロ 単位制高等学校の増加数(対前年度比)
S=65校以上 かつ 定時制・通信制課程において20校以上
A=40校以上 かつ 定時制・通信制課程において15校以上
B=15校以上 かつ 定時制・通信制課程において5校以上
C=14校以下 又は 定時制・通信制課程において4校以下
判断基準ハ 中高一貫教育校の増加数(対前年度比)
S=40校以上
A=25〜39校
B=10〜24校
C=9校以下

 平成20年度においては、総合学科を設置する高等学校、単位制高等学校、中高一貫教育校の全てについて、生徒や保護者、地域、社会のニーズを踏まえた上で、前年度と比較して増加しており、これらを通じた高等学校教育改革の推進が、想定どおり順調に進捗していると評価できる。

(指標・参考指標)

    16 17 18 19 20
総合学科を設置する高等学校数 249 286 301 322 334
・伸び(ポイント) 0 37 15 21 12
単位制高等学校数 592 686 751 807 857
・伸び(ポイント) 0 94 65 56 50
うち、定時制・通信制課程 245 281 315 336 362
・伸び(ポイント) 0 36 34 21 26
中高一貫教育校数 153 176 203 280 334
・伸び(ポイント) 0 23 27 77 54

必要性・有効性・効率性分析

【必要性の観点】
 (学校評価について)
 学校関係者評価の実施・公表については、平成19年に改正された学校教育法施行規則において、努力義務として新たに規定が設けられたところである。また、教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)においても、「保護者等による学校関係者評価について、できる限りすべての学校において実施されることを目指し、各学校・教育委員会の取組を促す」と記述されており、学校関係者評価の普及に向けた事業を引き続き実施していく必要が高いと考えられる。
 (コミュニティ・スクールについて)
 保護者・地域・学校・教育委員会が一体となってより良い学校づくりを進めるため、保護者や地域住民の声を学校運営に直接反映させることのできる仕組みとしてのコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)が多くの地域で活用されるよう、制度の一層の定着と推進を図る必要がある。
 (高等学校教育改革の推進について)
 高等学校等への進学率が約98パーセントに達し、生徒が多様化する中、生徒や保護者、地域、社会のニーズに対応した特色ある高等学校づくりが求められており、総合学科、単位制高等学校、中高一貫教育校の設置促進などを通じた高等学校教育改革を推進する必要がある。

【有効性の観点】
 (学校評価について)
 「学校関係者評価」については、平成19年度の法令等改正を受けて新たに規定が設けられたものであり、その趣旨の周知を行っていく必要がある。本事業では、全国60都道府県・指定都市等において、学校評価の充実・改善のための実践研究を行うことで、法令改正や「学校評価ガイドライン」の改訂において示された、学校関係者評価を行う上でのモデルを浸透させる効果が見込まれる。また、その研究成果については文部科学省において集約することで、好事例の共有を図ることができると考えられる。

 (コミュニティ・スクールについて)
 保護者や地域住民の声を学校運営に直接反映させることのできる仕組みとしてのコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の推進は、保護者・地域・学校・教育委員会が一体となったより良い、開かれた学校づくりに繋がると考えられる。

 (高等学校教育改革の推進について)
 総合学科、単位制高等学校、中高一貫教育校の設置促進などを通じた高等学校教育改革の推進は、生徒や保護者、地域、社会のニーズに対応した特色ある高等学校づくりに繋がると考えられる。

【効率性の観点】
 (事業インプット)
 (主な施策)
 ・学校関係者評価等の充実 607百万円
 ・コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進プラン 182百万円
 ・新時代に対応した高等学校教育改革推進事業等 7百万円
 ・定時制・通信制チャレンジ事業 9百万円

(事業アウトプット)
 上記のような諸施策を実施することにより、
 ・学校関係者評価について、実効ある学校評価を行う上でのモデルの浸透、および都道府県・市町村間での好事例の共有
 ・保護者や地域住民の声を学校運営に直接反映させることのできる制度としてのコミュニティ・スクールの一層の活用
 ・総合学科、単位制高等学校、中高一貫教育制度の設置促進などを通じた高等学校教育改革の推進
などの効果が期待できる。

(事業アウトカム)
 上記のような施策を着実に実施していくことにより、地域に開かれた信頼される学校づくりを推進することができる。

施策への反映(フォローアップ)

【予算要求への反映】
 これまでの取組を引き続き推進

【機構定員要求への反映】
 特になし

【具体的な反映内容について】

○達成目標2-6-1

 平成19年6月の学校教育法施行規則の改正により、学校関係者評価が努力義務とされ、また、学校評価の取組を実効あるものとするために、平成20年1月に「学校評価ガイドライン」を改訂した。今回の評価結果も踏まえ、全国における学校評価の実践事業を引き続き行うことでこれら法令等改正の趣旨を徹底させるとともに、好事例の共有を図り、先進事例については文部科学省から発信することを通じ、取組のすみやかな全国への普及を促す。

○達成目標2-6-2

 学校運営協議会の設置(コミュニティ・スクールの指定)の全国的な展開、及び地域住民と学校の連携強化のためのつなぎ役の設置や、保護者や地域住民の学校運営への参加の促進等のため、制度の一層の定着と推進のための取組を実施する。

○達成目標2-6-3

 今回の評価結果を受け、引き続き、総合学科、単位制高等学校、中高一貫教育校の設置促進などを通じた高等学校教育改革の推進に必要な施策を実施するとともに、課題となっている高等学校教育の質の保証・向上のための取組を進める。

関連した行政活動(主なもの)

  • 学校評価推進事業協議会(平成20年11月25日、12月10日、12月12日)
     学校関係者評価の充実等について、実践校による発表や協議を行うことにより、学校評価の一層の推進に資する。
  • コミュニティ・スクール推進フォーラム(平成20年8月25日、8月28日、10月20日、11月18日、11月20日)
     保護者や地域住民などが一定の権限と責任を持って学校運営に参画する新しい仕組みであるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)について、各地域における取組の発表、協議等を行うことにより、その円滑かつ効果的な導入に資する。
  • 中教審初等中等教育分科会への審議依頼(平成20年6月16日)
     「学校段階間の連携・接続の在り方」について審議する中で、中高一貫教育制度の検証と改善方策等についても審議を依頼。
  • 全国高等学校教育改革研究協議会(平成20年10月15日)
     高等学校教育改革及び中高一貫教育について、各都道府県における先進的な取組の事例、検討状況について情報交換及び協議等を実施し、もって高等学校教育改革等の一層の推進に資する。
  • 高等学校教育の改革に関する推進状況について(平成20年10月27日)
     各都道府県等における高等学校教育の改革に関する推進状況について調査を行い、その結果を取りまとめ、公表。

備考

 特になし

具体的な達成手段

 ※【22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。

【事業概要等】 【20年度の実績】 【22年度の予算要求への考え方】
学校評価推進のための実践研究(開始:平成18年度 終了:− 20年度予算額:320百万円)
学校評価のシステムの構築に向けた実践研究を全国の指定地域で行うとともに、ブロック別研究協議会の開催などにより、事業の成果について情報提供を行う。 全国60地域において、「学校評価の充実・改善のための実践研究」を実施。
また、全国3箇所において「学校評価推進事業ブロック別協議会」を実施し、事業の成果について情報を共有した。
継続
各地域の取組状況を踏まえた具体的な研究課題を設定し、効果的な実践研究の推進を図る。また、各地域の取組を推進する観点から、引き続き事業成果の情報提供に努める。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進プラン(開始:平成17年度 終了:− 20年度予算額:182百万円)
学校や都道府県教育委員会等に保護者や地域住民等を構成員とする委員会を設置して学校運営協議会制度について調査研究を行う。また、学校、教育委員会関係者等を対象とした協議会を開催するなどし、研究の成果の普及を行う。 調査研究事業の委嘱校で学校運営協議会未設置校のうち31校で新たに学校運営協議会を設置した。
全国で学校運営協議会を設置している学校は本事業委嘱校以外の学校も含めると478校となった。
「国の果たすべき役割を踏まえた事業」にふさわしい事業となるよう改善の上、継続する。
新時代に対応した高等学校教育改革推進事業等(開始:平成19年度 終了:− 20年度予算額:7百万円)
生徒や保護者、地域、社会のニーズに応じた高等学校づくりや高等学校教育の質の向上に資するための実践研究を行い、今後の高等学校教育の在り方について検討する。 17都道府県・指定都市教育委員会、74校の取組を支援。 多様化する生徒の実情を踏まえつつ、高等学校教育の質の保証・向上や生徒や保護者、地域、社会のニーズに対応した特色ある高等学校づくりを進めるため、来年度以降も継続する。
定時制・通信制チャレンジ事業(開始:平成19年度 終了:− 20年度予算額:9百万円)
社会や生徒の多様なニーズに対応するため、産業界、地域社会、大学等との連携・協力のもと、社会や生徒のニーズに応じた定時制・通信制課程の改善・充実を図るための実践研究を行う。 17都道府県・指定都市教育委員会、48校の取組を支援。 様々な入学動機や学習歴を持つ者が学んでいることを踏まえ、多様なニーズに対応した定時制・通信制課程の改善・充実を図るため、来年度以降も継続する。

(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと)  

独法名 20年度予算額 事業概要 備考(その他関係する政策評価の番号)

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --