(対象税目:所得税)
重要文化財(建造物)を所有する個人が重要文化財の修理を行った場合には、修理に要した費用の一定割合を税額控除する。
(19年度個人所有の重要文化財国庫補助事業数16件、所有者自主修理数(推定)48件(注))
16
48
227
28.2
貴重な国民共有の財産である重要文化財建造物について、所有者の個人負担を軽減することにより、当該建造物の適切な保存・維持のために必要な修理を促進し、重要文化財としての価値を損なうことなく後世に継承していくことを目的とする
税制改正の結果、修理の割合がどの程度増大したか等について確認する。
我が国の多くの重要文化財建造物は木や紙など脆弱な材料を用いて作られているものが常に風雨に曝されていることから、その価値を大きく減ずることのないように適切な周期で大規模な修理(維持修理は平均30年周期、解体・半解体修理は平均150年周期)を行うとともに、当該建造物の価値を維持していくために必要な小規模な修理を定期的に行っている。
大規模な修理については、必要に応じて国庫から補助を行っているが、その費用が多額であるため、個人の所有者にとっては自己負担分が重荷となっている。また、国庫補助の対象とならない小規模な修理については、その費用の全額が所有者の負担となる。
このような状況を踏まえ、国民共有の財産である重要文化財建造物を適切に保存・維持していくためには、所有者の修理費用の自己負担を軽減するための税制上の優遇措置が必要である。また、文化財保護法において、文化財の保護は国や地方公共団体の任務であるとともに、所有者の責務とされており、国や地方公共団体による補助に加えて、税制措置によって所有者自らの取組を後押しすることが必要である。
計 4,320万円
減税見込額(10パーセントの税額控除の場合) 4,320万円0.1
432万円
現在、主に大規模な修理について、国庫補助により支援を行っており、国庫補助事業は文化財の保護のため不可欠なものである。
他方、国庫補助事業では、予算上の制約から、文化財修理の全てには対応できるものではなく、所有者の自主的な修理が促進される必要がある。また、国庫補助による支援を待つことなく、所有者自ら継続的に行われるべき修理を実施することが必要である。
継続的な修理・保存措置が、所有者自らによって行われることによって、国庫補助事業による大規模修理事業の周期を長期化させ、事業費を抑制し、結果として、公費負担を抑制することにつながるものと考えられる。
-- 登録:平成21年以前 --