(対象税目:所得税、住民税)
国民が、その経済的事情を心配することなく、安心して子どもに適切な教育を受けさせることができる環境を整備するため、現行の特定扶養控除制度について、高等学校及び大学の授業料の額を勘案した上乗せ措置(計9万円(所得税6万円、住民税3万円)を所得控除)を講じ、家計の負担が大きい高校生及び大学生に係る教育費負担を軽減する。
なお、税制の抜本改革において、扶養控除制度の見直しが行われる際には、現行の特定扶養控除制度よりも家庭の教育負担が一層軽減されるよう、税制上の配慮を行う。
家庭の教育費負担の軽減に係る税制上の措置を講じることにより、国民が、その経済的事情を心配することなく、安心して子どもに適切な教育を受けさせることができる環境を整備する。
内閣府「社会意識に関する世論調査」において、子育ての辛さの内容として、「子どもの将来の教育にお金がかかること」を挙げた者の割合(パーセント)
調査実施時期 | 平成16年1月 | 平成17年2月 | 平成18年12月 | 平成19年1月 | 平成20年2月 |
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割合 | 39.1![]() |
39.2![]() |
39.8![]() |
42.4![]() |
45.8![]() |
平成22年に実施される内閣府「社会意識に関する世論調査」において、子育ての辛さの内容として、「子どもの将来の教育にお金がかかること」を挙げた者の割合を、現在(20年2月調査)の45.8パーセント未満とする。
内閣府「社会意識に関する世論調査」を活用する。
我が国の教育費の私費負担割合は諸外国と比較して高く、また、内閣府の調査によると、子育ての辛さの内容として「子どもの将来の教育にお金がかかること」を挙げた者の割合が、全体の4割を超え、全10項目中第1位となっており、また、その割合が一貫して増加傾向(16年:39.1パーセントから17年:39.2パーセントから18年:39.8パーセントから19年:42.4パーセントから20年:45.8パーセント)にあるなど、教育費に対する国民の負担感が非常に大きいことが明らかになっている。
現行の扶養控除やその上乗せ措置である特定扶養控除は、これまで、教育費を含めた経済的負担の軽減に一定の役割を果たしてきたが、上述の状況を踏まえれば、特に教育費の負担が重い16歳以上23歳未満の特定扶養親族(高校生・大学生相当)を扶養する家庭については、その経済的負担をより一層軽減することが必要不可欠である。
約490億円(所得税:330億円、住民税:160億円)
(特定扶養親族数は「平成18年民間給与実態統計調査及び申告所得税標本調査」より)
授業料の減免措置や独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金事業は、希望する学生に対して教育の機会均等の観点から措置されるものであり、これらの施策が全ての教育費を負担している家庭に対して教育費の負担感を軽減する直接的な効果をもたらしているとは言えない。上述したとおり、子育ての辛さの内容として「子どもの将来の教育にお金がかかること」を挙げた者の割合が、全体の4割を超えるなど、教育費に係る国民の負担感が非常に大きいという現状を踏まえれば、効果がより多くの家庭に波及する施策の実施が求められるところである。
以上より、実質的に家庭の教育費負担を軽減するとともに、大多数の国民が抱いている教育費に対する負担感を軽減する観点から、特定扶養親族(高校生・大学生相当)を扶養する家庭について、高校及び大学の授業料の額を勘案し、所得税について6万円、住民税について3万円を所得控除する本要望は効率的であり妥当であると判断する。
なお、児童手当制度は、小学校修了前の児童を養育している保護者に対し、月額5,000〜10,000円を支給するものであり、特に教育費負担の重い16歳以上23歳未満の特定扶養親族を扶養する家庭の教育費負担を軽減することにはならない。
(参考)特定扶養親族数5,482,216人(出典:平成18年民間給与実態統計調査及び申告所得税標本調査)
-- 登録:平成21年以前 --