79.Web社会分析基盤ソフトウェアの研究開発(新規)

  • 情報基盤戦略活用プログラムの中で実施

平成21年度要求額:1,040百万円の内数
(平成20年度予算額:−百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 情報量の増大と提供形態の多様化が急速に進むWeb情報を基に、大学や研究機関等における科学技術・学術研究の基盤及び企業におけるマーケティング等の経済活動の基盤等となるアーカイブ基盤を実現するため、本事業では、「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発(平成15〜19年度)」で開発したWeb情報の収集・分析技術の対象であったテキスト情報だけでなく、近年劇的な伸びを見せている画像・映像コンテンツも対象として効率よくWeb上の情報の収集を行うためのクローリング技術と、蓄積したWeb情報をより柔軟かつ高精度に分析するための技術の研究開発を行うとともに、必要なWeb情報の収集も併せて実施する。
 また、本事業の成果と併せて「革新的実行原理に基づく超高性能データベース基盤ソフトウェアの開発」の成果である超高性能データベース基盤ソフトウェアを活用することにより、Web情報の分析に用いるデータベースの高速化・高性能化が図られ、より大きな効果が得られるものと期待される。
 なお、これらの技術の研究開発に当たっては、より実用的な技術としていくため、研究開発の段階からWeb情報アーカイブ基盤の構築に前向きな企業や研究機関等による運営委員会を設置し、それら企業等のニーズを技術の研究開発に反映させるとともに、将来のアーカイブ基盤の構築や運用等の方向性についての検討を行う。
 これにより形成されるWeb情報のアーカイブ基盤については、今後の社会研究等の学術基盤や経済活動の基盤として重要なものとなる。

表:年次計画

2.指標と目標

【目標】

 Web情報の分析技術及びWeb情報のクローリング技術の開発を計画通り実現する

【指標】

社会学、言語学、経営学、マーケティング等の分野に対し実利用可能なソフトウェアの本数

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 実世界の様々な事象が網羅的かつ即時的にWeb上の情報として反映され、貴重な文化資産として形成されつつあることから、それらのWeb情報の収集・分析による高度利用は学術、文化及び社会活動等において非常に有益である。これまで文部科学省ではテキスト情報を対象とした収集・分析技術の研究開発を実施したが、近年CGMや画像、動画等の情報が急増していることから、それらも対象とする技術が早急に求められる。
 本事業によりそれを実現し、大学や研究機関等における社会学や言語学等の研究に活用することで、社会科学分野の学術的発展に大きく寄与すると期待される。また、広く一般の意見が反映されるCGM等のWeb情報の分析を企業におけるマーケティング分析等に活用することで、産業面でも新たな機会の創出が期待できる。これらの効果をいち早く我が国が享受できるようにするために、諸外国に先駆けて本事業を実施すべきである。

2.有効性の観点

 本事業の目標であるWeb情報の分析ソフトウェア及びクローリングソフトウェアの開発を実施するにあたり、テキスト情報に限定しているとはいえ、平成19年度まで実施していた「e-Society基盤ソフトウェア」において、Web上の話題の変遷を追跡可能なWeb構造時系列解析技術や、更新頻度に応じた可変周期大規模Web情報収集技術を開発した実績を有している機関もあることから、本事業の目的達成の可能性は高い。

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業においては、膨大なWeb情報を分析するためのソフトウェア及び効率よくクローリングするためのソフトウェアが開発される。そのソフトウェアを多くの企業や研究者に利用してもらい、利用した感想や改善点をフィードバックすることにより、事業終了年度までには実利用可能なソフトウェアを開発する。

事業スキームの効率性

 本事業を実施するにあたり、研究開発段階から、Web情報アーカイブ基盤の構築に前向きな研究機関等による運営委員会を設置し、1技術の研究開発に反映させるべき各研究開発機関のニーズや、2将来のアーカイブ基盤の構築や運用等の方向性について検討し、研究開発に反映する。
 このような体制の下、本事業を推進することにより、ソフトウェアの開発を効率的に行うとともに、多様な分野への利活用が可能となり事業の効果をより広く及ぼすことで効率性が高まることが期待される。

代替手段との比較

 本事業の実施にあたっては、関連する複数の機関において、どのような技術シーズが育ちつつあるかを見極め、それらシーズを最大限活用することにより、効率的・効果的な計画の実施を図る。
 また、本事業は大学や研究機関等における社会学や言語学等の社会科学分野を始めとした幅広い分野の研究に活用可能なWeb情報の分析技術を開発するものである。民間ではそのような学術研究の基盤と技術の開発は期待できないことから、国として実施する必要がある。

-- 登録:平成21年以前 --