1.必要性の観点
- 少子化などによる日本経済の経済活力の減退や、現在の労働市場を取りまく諸課題など、これら社会的課題の解決には、社会や経済のあり方に関する従来の経験や既存の知識のみならず、課題に関する新しい認識の枠組みの創出が必要であり、とりわけ、社会科学を中心とした諸学の協働により、課題の解決に向けた実証的な研究を行う必要が高まっている。
- また、現在、科学技術・学術審議会に「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」を設置して、人文学及び社会科学の研究成果の社会還元などについて審議が行われている。同委員会の「「人文学及び社会科学の振興について」審議経過の概要」(平成19年8月)においても、人文学や社会科学研究において、「政策や社会の要請に応える研究」を積極的に推進していくことが必要であるとの提言がなされている。
- さらに、本事業の実施による研究成果を課題解決のための選択肢として社会へ発信することにより、「経済・社会の活性化」と「社会の安全・安心」の両立を視野にいれた「国民の生活と福祉の向上」に資することが期待される。
- このように政策や社会の要請に対応した人文・社会科学研究を行うことが必要不可欠であることから本事業が開始された。
2.有効性の観点
本事業は、平成20年度開始であるため具体的な達成度の判断については今後検討を要するが、実施に当たっては、大学等研究機関により提案された課題について、外部有識者による審査を行い、事業目的に相応しい課題を選定するため、目標の達成は見込まれると判断している。
3.効率性の観点
アウトプット
本事業の実施により様々な社会的課題の解決のための社会提言等につながる研究成果を得られる。
事業スキームの効率性
本事の予算規模(209百万円)に対して、アウトプットとして、大学等研究機関への公募により提案された課題について、外部有識者による審査の上、事業目的に相応しい課題を選定し、社会提言等につながる研究成果を得られることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
代替手段との比較
- 以下の点より、本事業は国が行うべき重要な責務であると考える。
- 本事業は、近未来において「国」が直面する経済的、社会的な諸課題の解決に向けた実証的な研究を委託するものである。
- 本事業は、政策や社会の要請に対応する公益性の高い事業であるため、収益性を求める民間団体等が行うよりも、国が行うことがより適している。
- 本事業は、日本国内すべての研究資源(大学等研究機関)を活用することを想定しており、地方公共団体が本事業を行う場合、活用できる研究資源が限定される可能性があるため、国が行うことがより適している。
- なお、本事業については、競争的資金に係る庶務の経験と実績のある日本学術振興会に業務の一部を委託することにより効率化を図っている。