66.知的クラスター創成事業(グローバル拠点育成型)(新規)

平成21年度要求額:3,200百万円
(平成20年度予算額:−百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 都道府県等が、地域に存在する国際優位性を持つコアとなる技術シーズを活用し、事業化に向けた支援体制のもと、産学官共同研究や、国際交流事業を実施し、地域イノベーション創出していくための事業計画を策定する。また、都道府県等が指定する中核機関が事業全体をマネジメントする。
 具体的な事業内容は以下の通り。

  • 大学等において、企業ニーズを踏まえた産学官共同研究を実施
  • 科学技術コーディネータや海外の特許制度に精通した弁理士等のアドバイザーを配置
  • 国際交流を促進するための国際シンポジウム等を開催

 なお、地域の自立性を高めるため、地域の資金負担が必要なマッチングファンド方式を採用する。また、本事業に提案があった地域のうち、採択には至らないもの、今後の展開が期待される地域においては、調査研究事業を実施する。

(申請者)

都道府県又は政令指定都市(共同提案も可とする)

(採択地域数)

平成21年度 5地域

(実施期間)

1地域当り5年間(3年目で中間評価)

(事業費)

1地域当り3〜5億円(地域の提案に基づき柔軟に対応)
(産学官共同研究費、国際シンポジウム開催費、海外旅費、コーディネータ人件費等)

2.指標と目標

 これまでの知的クラスター創成事業等における実績も踏まえ、事業終了後の評価において、優れていると評価される地域の割合を6割以上とすることを目指す。事後評価にあたっては、クラスター施策や産学官連携に関する専門家等からなる有識者により、参加機関・研究者数、特許出願数、実用化・企業化件数等の推移と共に、事業計画の妥当性、技術評価、国際的なネットワーク形成等のクラスター形成のための取組み、地域への波及効果、今後の発展可能性等の評価項目に分けて、総合的に評価する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 国際競争力の激化や、人口減少・少子高齢化の急速な進展等、我が国の経済状況を取り巻く環境は厳しさを増しており、また、地域経済活動に目を向けても、生産拠点の海外流出や公共工事の削減等により、地域経済の地盤沈下が一層進んでいる状況にある。
 国際競争力・生産性向上の原動力となる科学技術の高度化・多様化や、科学技術駆動型の地域経済活性化の実現のためには、地域が有するポテンシャルを活用し、顔の見えるネットワークにおいて産学官の共同研究を進めること必要である。
 文部科学省ではこれまでも、世界中からヒト・モノ・カネを惹きつける国際競争力のあるイノベーティブ・クラスターの創出を目指した知的クラスター創成事業、及び、小規模でも地場産業等の地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成を目指した都市エリア産学官連携促進事業を実施してきたところである。
 都市エリア産学官連携促進事業の終了地域の中には、国際競争に打ち勝つことのできる技術コアを確立させ、今後我が国の成長センターと成りえる地域が存在することから、我が国全体の科学技術の更なる高度化を図るため、これらの地域に対し、国際的なネットワーク形成活動や共同研究等に対する支援を行うことが我が国の国際競争力の強化や、科学技術の一層の高度化のためには必要である。

2.有効性の観点

 各地域の事業実施期間である5年間の3年目には、外部有識者による中間評価を実施し、進捗状況等と評価することとしている。その段階で事業内容について厳しく評価し今後の展開にむけての助言を実施することとしている。このような仕組みとしていることから、目標は達成される見込みである。
 また、これまで関連事業において成果を出してきており、今後グローバルな拠点となり得る地域が多数存在することから、目標は達成される見込みである。

3.効率性の観点

アウトプット

 大学等の知恵を活用した新規事業の創出、製品の高機能化・高付加価値化等に繋がる成果の創出が見込まれる。また、それらの成功事例を通じて、各地域における産学官の交流・ネットワーク形成が進み、科学技術を活用した地域活性化の取組が地域に定着する。

事業スキームの効率性

 都道府県等地方自治体が提案主体となり、事業の実施は地域が指定する中核機関に担わせることで、地域構想に基づいた事業計画の下で、最適な体制を構築し、効率的な事業の実施が期待される。また、地域負担を求めることで、より集中的な投資が行われ、イノベーションが加速する。

代替手段との比較

 大学や企業の自主性に任せた産学官連携では、個別の研究開発に留まり、地域におけるイノベーションを連鎖的に創出するまでには至らないことが多い。我が国には、独自のポテンシャルを有する特色ある地域が多数ある。地域のイニシアティブの下で、地域内の大学や産業界との連携を進め、クラスターを創成するという当該事業は国際的にも多く用いられている手法であり、高い成果をあげていることから、有効な施策である。また、本事業は特に国際競争優位性をもつ技術的コア及び事業化支援システムを持つ地域に対し、国際的な活動を中心とした支援を実施し、国際的なネットワークの形成を図ることから、これまでにない取組であり、我が国の国際競争力強化に資するものである。また、地域が単独で行うよりも、国が競争的に支援することにより、優れた構想に対して重点的な投資をすることが可能となるとともに、競争的な環境の下で、地域の構想自体がより洗練されたものになる。

-- 登録:平成21年以前 --