45.拡大教科書等普及推進事業(新規)

平成21年度要求額:300百万円
(平成20年度予算額:−百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

1.標準規格に基づく拡大教科書等の普及推進事業

(1)モデル教科書作成支援(法第6条第3項)

 標準規格に基づく拡大教科書の製作に関し、教科書発行者へ支援を行う。

(2)教科書発行者等への標準規格説明会の開催(法第6条第3項)

 標準規格に基づく拡大教科書の作成がより円滑に進むよう、教科書発行者の実務担当者等に対して標準規格に関する説明会を開催する。

(3)全国の教科書センターや視覚障害特別支援学校への展示(法第3条)

 拡大教科書等の見本を、全国の教科書センターや視覚障害特別支援学校に展示することにより、学校関係者等への周知を図る。

(4)拡大教科書等に関する指導の手引き作成のための調査研究

 外部機関に委託し、小中学校の通常学級における弱視児童生徒への指導充実を図るため、拡大教科書等に関する指導の手引きを作成する。

(5)拡大教科書等普及推進会議の開催

 新教育課程教科書に向け、拡大教科書等の普及推進方策について引き続き検討

2.教科書デジタルデータ提供の普及推進事業

(1)教科書デジタルデータ管理運営のためのシステム開発(法第5条)

 法により、教科書発行者は教科書デジタルデータを文部科学大臣又は文部科学大臣が指定する者(以下「データ管理機関」という。)に提供することが義務付けられたが、データ管理機関において、データを管理したり、提供データの他用途への転用を防止するためのシステムを開発する。

(2)教科書デジタルデータの管理運営(法第5条)

 データ管理機関において、ボランティア団体等からの要請を受け付けたり、データ管理システムの運営を行うため、必要な体制を整備する。

(3)教科書デジタルデータの変換経費(法第5条)

 教科書発行者からデータ管理機関に提供された教科書デジタルデータについて、ボランティア団体等にとって使い勝手のよいデータへの変換作業を行う。

(4)ボランティア団体等に向けた、データ活用の手引書作成、講習会開催(法第5条第3項)

 データ管理機関が提供する教科書デジタルデータをもとに、ボランティア団体等が効果的に拡大教科書等の編集を行うことができるよう、データ活用の手引書を作成するとともに、全国で講習会を開催する。

2.指標と目標

【指標】

教科書発行者による標準規格に基づく拡大教科書等の発行状況等
提供データの他用途への転用を防止するためのシステムの整備状況

【目標】

 教科書発行者による標準規格に基づく拡大教科書等の発行及び教科書デジタルデータを活用したボランティア団体からの拡大教科書等の発行が促進されることにより、拡大教科書等が必要とする児童生徒に速やかに、かつ、確実に給与されること

【効果の把握手法】

 本事業の効果は、事業後の拡大教科書等の発行状況等について検証することにより把握する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 通常学級に在籍する障害のある児童生徒に対しては、拡大教科書等について義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和38年法律第182号)に基づく無償給与が行われておらず、予算措置によって無償給与してきた。
 平成20年6月に制定された、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(平成20年法律第81号)」においては、通常学校に在籍する障害のある児童生徒に対する拡大教科書等の無償給与について規定するとともに、国における施策の推進について示されたところであり、また、同法が採決された際には、

  • 1 拡大教科書等の供給・普及の促進という国の責任を果たすためには、教科書発行者による拡大教科書等の発行が重要であることにかんがみ、その発行が一層促進されるよう、必要な措置を講ずること。
  • 2 教科書発行者からの教科書デジタルデータの提供については、その提供が円滑に行われるとともに、提供されたデジタルデータが適切に管理・活用されるよう必要な支援措置を講ずること。
     その際、拡大教科書等を作成するボランティアにとって使い勝手のよいデジタルデータが提供されるよう、適切な処置を講ずること。

等といった附帯決議を受けている。
 国としては、これらを受け、現在の諸問題を早急に検討・解決し、視覚に障害のある児童生徒に拡大教科書を普及充実させることで、障害のある児童生徒に対する教育における機会均等の保障を担保していく必要がある。

2.有効性の観点

 本事業により得られる教科書デジタルデータの提供拡大や標準規格に基づく拡大教科書等の発行の促進等といった成果を通じて、必要とする児童生徒に拡大教科書等を速やかに、かつ、確実に給与することが可能となる。

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業の実施により、教科書発行者からボランティア団体等への教科書デジタルデータの提供が拡大し、ボランティア団体等による教科書デジタルデータを活用した拡大教科書等の発行が促進するとともに、教科書発行者による標準規格に基づく拡大教科書等の発行が促進される。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(300百万円)に対して、アウトプットとして、

  • 1標準規格に基づく拡大教科書製作に関する教科書発行者への支援
  • 2教科書発行者等への標準規格説明会の開催
  • 3全国の教科書センターや視覚障害特別支援学校への展示
  • 4拡大教科書等に関する指導の手引き作成のための調査研究結果
  • 5教科書デジタルデータ管理運営のためのシステム開発
  • 6教科書デジタルデータの管理運営体制の整備
  • 7教科書デジタルデータの変換作業
  • 8ボランティア団体等に向けた、データ活用の手引書作成、講習会開催

といった成果を得られることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 仮に本事業を地方自治体の事業として実施することとした場合には、統一的な効果が期待できず、また、得られた効果の普及に関しても国が本事業を行うことの方がより効果的かつ効率的であるといえる。

-- 登録:平成21年以前 --