41.発達障害等に対応した教材等の在り方に関する調査研究(新規)

平成21年度要求額:159百万円
(平成20年度予算額:−百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 発達障害等のある児童生徒については、個々によって様々な認知特性・行動特性(「書く」「読む」「計算する」等の学習に必要な能力の習得における困難さ、発達段階に不釣り合いな注意力の欠陥、多動性・衝動性など)を抱えており、それが原因で国語や算数等の教科学習に遅れが生じたり、日常生活に大きな困難を抱えている。
 そこで、小・中・高等学校及び特別支援学校において、発達障害等のある児童生徒の障害特性、発達段階、教科の特性などに応じた教科用特定図書等の在り方、及びそれらを利用した効果的な指導方法や教育的効果、通常学級において使用する際の配慮等について実証的な研究を実施し、教科学習等における困難の改善を図るものである。
 当事業では、21、22年度に教材等の在り方に関する基礎研究及び実証研究を実施し、その調査研究結果を広く普及させることにより、全国の学校における障害特性等に応じた教科学習等の改善を図る。

2.指標と目標

【指標】

 当事業の協力校における発達障害等のある児童生徒の教科学習等における困難さの改善。

【目標】

 21年度までにすべての委託団体において教科用特定図書等の試作を完成させる。達成年度までに、教科用特定図書等を使用した実践研究を実施し、当事業の協力校における発達障害等のある児童生徒の約70パーセントについて、教科学習等における困難さの改善が見られることを目標とする。

【効果の把握手法】

 本事業の効果は、委託団体において研究した教科用特定図書等を、協力校(1団体当たり5校程度)において実際に活用し、児童生徒に対する教材等を使用する前後の理解度や満足度、教員に対する教材の活用しやすさ等を、アンケート等を通じて把握する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 発達障害については、外見からは判断が難しい障害であるため、読む、書く、計算する、集中力を持続させるといった学校での学習に必要な基礎的な能力が備わっていない発達障害等の児童生徒は、本人の努力不足や親のしつけが悪いなどと叱責を受けることが多く、自己肯定感を持ちにくく、適切な教育的支援がされない場合、いじめや不登校などにつながるケースもあると言われている。
 また、弱視については、同じ視力であっても、見え方が個々に異なっており、ルーペ・拡大読書器等の視覚補助具を活用しても、十分な支援ができているとは言い難い。
 このため、発達障害等の児童生徒の障害特性、発達段階、教科の特性などに応じた教科用特定図書等や教材の在り方、それらを利用した効果的な指導方法や教育的効果等を研究し、障害のある児童生徒の教科学習等における困難の改善を図ることにより、基礎学力の確実な習得と、学校生活や社会にうまく適応できるようにする必要がある。
 よって、当事業の実施は不可欠である。

2.有効性の観点

 本事業では、小・中・高等学校等における発達障害等の障害のある児童生徒の教科用特定図書等や教材の在り方について実践研究を行い、適切な支援が図られることを目指すものである。
 各分野の専門性を有する団体に委託して実践研究を行うことや、研究成果について、研究報告書の作成・配付、文部科学省ホームページへの掲載などを通じて、広く普及を図ることで、目標は達成できると見込まれる。

3.効率性の観点

アウトプット

 発達障害等は障害の状態や程度が様々であり、それらの障害に応じた教科用特定図書等や教材の在り方、指導方法についての研究が十分であるとはいえないため、先般、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」にも必要な調査研究を推進するものと規定されたところである。
 そのため、平成21年度は障害特性に応じた教科用特定図書等の在り方に関する基礎研究及び教材の試作を目標として実施し、達成年度である平成22年度において、学校現場における教育的効果の検証や効果的な指導法等の実践研究を実施する。
 本事業で、それぞれの障害特性に応じた教材等の在り方を示すことは、障害のある児童生徒の教育を改善し、自立と社会参加に大きく寄与する可能性があることを勘案すると、当事業の効果は大きいと考えられる。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(159百万円)に対して、アウトプットとして、複数の指定先による研究が行われることを通し、各種障害に応じた教材等や指導方法の在り方が示され、それに基づいた適切な指導や支援が行われることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合は、当該自治体における研究のみであり、障害の状態が極めて多様である発達障害や弱視の子どもの実態等を踏まえた評価や成果の活用が困難であり、本事業における十分な効果が期待できない。
 国の委託事業として行うことにより、地域や学校、児童生徒の発達段階や障害の状態等に応じた研究を行い、その成果についてきめ細かな評価・分析が可能となるなど、より効果的な取組が期待できる。

-- 登録:平成21年以前 --