34.学校マネジメント支援に関する調査研究事業(拡充)

平成21年度要求額:42百万円
(平成20年度予算額:10百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 教員が児童生徒に向き合う時間を確保するとともに、心身ともに健康な状態で、児童生徒の指導にあたるため、また、学校において、校長のリーダーシップの下、組織的・機動的な学校運営が行われるために、1学校事務の外部委託、2校務分掌の適正化、3保護者等への対応、4教員のメンタルヘルス対策といった分野を柱として学校マネジメント支援に関する調査研究を行う。また、委託した調査研究の成果について普及などを図るため、連絡協議会を開催する。
 具体的には、応募のあった都道府県及び指定都市教育委員会の研究課題を審査会にて審査の上、事業を委託し、委託を受けた教育委員会が課題に対処するために必要となる調査等を実施することや、教育委員会が学校を指定し、その指定校において課題解決に向けた試験的な取組が行われる。
 学校マネジメント支援は、今後の学校運営の在り方に直結する重要課題であり、教育振興基本計画や経済財政改革の基本方針2008において、政府として来年度から本課題に取り組むことが決定されていること、また、本課題の解決には、各地域における課題の背景をそれぞれ考慮して取り組む必要があることから、平成21年度においては、委託した多くの教育委員会において調査研究を実施し、達成年度である平成22年度にはさらに普及させていくことを予定している。

2.指標と目標

【指標】

校務の効率化や適正化の変化の内容、職場環境の改善内容、教員の勤務の負担感の軽減の程度

【目標】

委託した教育委員会における教員の勤務負担軽減

【効果の把握方法】

 本事業の効果は、調査研究を委託した教育委員会から提出される事業報告書から把握する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 教育は人なりと言われるように、教育の質の向上は教員にかかっている。教員が子どもと向き合う時間を確保し、質の高い授業や生徒指導等を行うこと、また心身ともに健康な状態で子どもの指導にあたることができるようにするためには、学校マネジメント支援を図ることは喫緊の重要課題である。
 このことは、経済財政改革の基本方針2008や教育振興基本計画において明記され、政府がこれからすぐに取り組むべき事項として、閣議決定されたことからも明らかである。
 また、総理の下に設置された教育再生会議第3次報告においても、各種調査や提出書類の簡素化・軽減、校内会議の削減・合理化等を図ること、学校問題解決支援チームを全ての教育委員会に設置することが提言され、その後まとめられた最終報告(「社会総がかりで教育再生を」)において、直ちに実施に取りかかるべき事項としてフォローアップすることとされている。
 このように学校マネジメント支援の取組を全国に広めていくことは必要であり、現在の委託数では不十分であるため、全国に普及させていくためにも拡充は必要である。

2.有効性の観点

 本事業は、1事務の外部委託、2校務分掌の適正化、3保護者等への対応、4教職員のメンタルヘルス対策などを通じて、学校マネジメントを支援し、教員が児童生徒に向き合う時間を確保するとともに、心身ともに健康で、児童生徒の指導に当たること、また組織的・機動的な学校運営が行われることで、より質の高い教育を提供し、全国的な教育水準の向上を図ることを目的としている。
 学校マネジメント支援という課題は、全国的な課題であり、全ての都道府県・指定都市教育委員会において教員の勤務負担軽減に資すると考えられる取組などを実施し、これまで以上に教員が児童生徒に向き合う時間を確保することを目標としており、平成21年度からは本事業の委託先を増やし、全ての都道府県・指定都市教育委員会を対象とすることにより、未だ教員の勤務負担軽減に対応できていない地域に対しても本課題に着手させることが見込まれる。
 また、校務の効率化や適正化の変化の内容、職場環境の改善内容、教員の勤務の負担感の軽減の程度を把握することにより、総合的に教員の勤務負担軽減に関する実例を収集し、各地域にフィードバックすることができる。

3.効率性の観点

アウトプット

 本事業の実施により、全ての都道府県・指定都市教育委員会において、学校マネジメント支援についての実践的な取組が実施される。具体的には、勤務実態の調査、専門家チームの設置、調査の削減等の業務の見直し、校務の分担の見直しなどが行われる。また、次のステップとして、こうした取組を踏まえて、マニュアルの作成、チーム設置の普及、業務の削減・効率化、適正な校務分掌が実現されることが見込まれる。
 また、国としてはこうした取組についての事例を多く集積し、連絡協議会を開催する。
 平成21年度においては、委託した多くの教育委員会において調査研究を実施し、達成年度である平成22年度にはさらに普及させていくことを予定している。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(42百万円)に対して、アウトプットとして、全ての都道府県・指定都市において、学校マネジメント支援に関する実践的な調査研究事業が行われること、幅の広い実例を収集できること、またそれをフィードバックすることにより、全国に効果的かつ効率的にその成果を波及することが期待できるため、本事業は効果的であると判断する。

代替手段との比較

 本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、特色ある効果的な取組を広く全国に周知し、多様な取組を実施する波及効果を期待している本事業における十分な効果が期待できない。
 また、国が主催して連絡協議会を開催することにより、調査研究事業の成果を各地域に紹介することができ、全国的な広がりも期待できる。

-- 登録:平成21年以前 --