19.退職教員等外部人材活用事業(拡充)

平成21年度要求額:4,346百万円
(平成20年度予算額:2,898百万円)

●事業の概要等

1.事業概要

 本事業は、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるため、都道府県及び政令指定都市が退職教員や経験豊かな社会人等を学校に配置する場合に、事業費の3分の1を補助するものである。

(活用例)

  • 経験豊かな社会人による授業を行うための非常勤講師(特別非常勤講師を含む)の配置
  • 習熟度別少人数指導の授業を実施するための非常勤講師の配置
  • 小学校において特定の教科の授業を充実するための非常勤講師の配置
  • 中学校において、武道の指導を充実するための非常勤講師(特別非常勤講師を含む)の配置
  • 小1プロブレムに対応するため、ティームティーチングの授業を実施するための非常勤講師の配置
  • 不登校等生徒指導上の諸課題への対応を行うため、学級担任等が家庭訪問等を実施する際の授業代替のための非常勤講師の配置
  • 特別支援学校のセンター的機能を充実させるため配置する特別支援教育コーディネーターの授業を代替するための非常勤講師の配置

2.指標と目標

【指標】

  • 非常勤講師配置数

【目標】

  • 平成21年度において、全国に10,500人程度(週12時間換算)の非常勤講師を配置し、様々な学校の課題に対応することにより、子ども一人一人に向き合う環境づくりを推進する。

(平成20年8月末現在で41都道府県で本事業が実施され、約6,500人の非常勤講師が配置されている。)

【効果の把握手法】

  • 事業実績報告書の提出によって、非常勤講師の配置状況を把握する。

●事業の事前評価結果

1.必要性の観点

 教員勤務実態調査(平成18年度文部科学省実施)によると、教諭の残業時間は1ヶ月当たり平均34時間と多忙化が指摘されており、教員が子ども一人一人に向き合う環境が十分であるとはいえない状況にある。
 これまでの教育再生の取組を真に実効あるものとし、子どもたちの学力の向上と規範意識の育成を図るためには、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくることができるよう、学校現場で日々頑張っている教員を支援する体制を整備することが必要である。
 このことは、平成20年7月1日に閣議決定された教育振興基本計画にも、「教員が子ども一人一人に向き合う環境づくりの観点から、教職員配置の適正化を行うとともに、(中略)退職教員・経験豊かな社会人等の外部人材の積極的な活用を図る。」と明記されているところであり、喫緊の課題として外部人材の積極的な活用に取り組む必要がある。
 なお、教員が子ども一人一人に向き合う環境づくりの観点から、退職教員や経験豊かな社会人等の外部人材の積極的な活用を図るため、事業を拡充するとともに、平成20年度は都道府県の事業費を補助対象としていたが、地域の実情に応じた積極的な活用が行われるよう、教職員の人事権を有し都道府県と同等の財政規模を有する政令指定都市が行う事業についても補助の対象とする。

2.有効性の観点

 事業初年度である平成20年度においては、8月末現在で41都道府県で本事業が実施されており、最終的には全国で約7,000人程度の非常勤講師の配置が見込まれている。
 さらに平成21年度は、教員が子ども一人一人に向き合う環境づくりの観点から、退職教員や経験豊かな社会人等の外部人材の積極的な活用を図るため、事業を拡充するとともに、平成20年度は都道府県の事業費を補助対象としていたが、地域の実情に応じた積極的な活用が行われるよう、教職員の人事権を有し都道府県と同等の財政規模を有する政令指定都市が行う事業についても補助の対象とするため、前記の目標の達成が見込まれる。

3.効率性の観点

アウトプット

 平成21年度内に10,500人程度(週12時間換算)の非常勤講師が配置されることにより、教員が子どもと向き合うことができる環境を充実させ、子どもたちの学力の向上と規範意識の育成が図られる。

事業スキームの効率性

 本事業の予算規模(4,346百万円)に対して、アウトプットとして全国に10,500人程度(週12時間換算)の非常勤講師が配置されることを通して、教員が子どもと向き合うことができる環境を充実させ、子どもたちの学力の向上と規範意識の育成が図られると見込まれるため、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

代替手段との比較

 本事業は義務教育の条件整備の一環であることから、地方の実情を踏まえつつ全国的な普及、向上を図る必要があり、国の事業として実施するが、地方自治体の事業として実施するとした場合には、自治体の財政状況に左右されるなど教育の質に格差が生じうる。

-- 登録:平成21年以前 --