施策目標12-4 文化芸術振興のための基盤の充実

(基準年度:19年度・達成年度:23年度)

  高度化・多様化する国民の文化への関心に応えるため、文化ボランティアの自立的・継続的な活動を推進するための環境整備を行うとともに、文化に関する情報提供の充実を図る。また、文化活動を支える基盤として、国語の普及・啓発や日本語教育の充実を図るとともに、著作権の適切な保護と公正な利用を図り、著作権制度の普及・啓発を行う。

主管課(課長名)

  • 文化庁長官官房政策課(小松弥生)

関係課(課長名)

  • 文化庁長官官房国際課(亀岡 雄)、同著作権課(山下和茂)、文化庁文化部国語課(匂坂克久)

評価の判断基準

  各達成目標の平均から判断(S=4、A=3、B=2、C=1として計算)。

  • S=3.4以上~4.0
  • A=2.6以上~3.4未満
  • B=1.8以上~2.6未満
  • C=1.0以上~1.8未満

平成19年度の状況と総合評価結果

達成目標12‐4‐1 A

  文化ボランティア推進モデル事業において、平成19年度は14団体を採択し、その先進的活動を支援した。委嘱団体を対象に調査を行ったところ、各団体が実施した事業への参加者のうち、文化ボランティア活動を継続している者は46.0パーセントであり、一部について想定どおり達成できなかった。
  文化に関する情報提供については、文化庁ホームページについて、アクセシビリティに配慮した運用を開始するなどし、アクセス数の前年度比が想定以上となった。
  以上により、本目標については、想定どおり達成されたと判断。

達成目標12‐4‐2 S

  著作物等の流通を促進するための調査研究については、計画どおり進捗。また、コンテンツ流通にかかるシンポジウムを開催し、想定以上の320名の参加を得、調査研究等の成果につき普及を図った。著作権等管理事業については、事業者全体の管理する著作物数が前年度比約23パーセント増となり、著作権等の集中管理が想定以上に促進された。この他、著作者が予め一定の利用条件を付した意思表示をしておく意思表示システムの構築を目指した研究についても、計画どおり進捗。
  以上により、本目標について、想定した以上に達成されたと判断。

達成目標12‐4‐3 A

  著作権講習会については、箇所数・受講者数ともに想定を下回った。ただし、受講者アンケートで、受講者の92パーセントが理解が深まったと回答、受講者の理解度については想定以上の成果が得られた。
  マンガ教材の配付については、平成19年度は、全員に一律に配付するのではなく、配付希望を募り、希望のあった中学校の生徒に発送することとしたため、配付数は減少したが、配付を希望する生徒の割合は高かった。また、その内容をWebサイトに掲載し、読本が配付されていない学校でも閲覧できるようにしている。
  以上により、本目標について、想定どおり達成されたと判断。

達成目標12‐4‐4 A

  1二国間協議等の場を通じた侵害発生国・地域への取締り強化の要請、2海賊版対策セミナー開催事業の実施、3権利の執行推進の支援、4日米欧協力体制の整備、5トレーニングセミナーの実施を通じ、アジア諸国における海賊版対策を確実に推進し、本目標については想定どおり達成された。

達成目標12‐4‐5 S

  国語問題研究協議会については、東西2か所で開催、4つの研究協議を実施した。参加者は527名、参加者の満足度は97.0パーセントであった。「言葉」について考える体験事業については、全国12か所において、1,182名の参加者を得て実施し、また「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業については、全国3か所において、のべ423名の参加者を得て実施、参加者の満足度はいずれも想定した80パーセントを超えた。
  以上により、本目標について、想定した以上に達成されたと判断。

達成目標12‐4‐6 S

  日本語教育研究協議会については、東京において、520名の参加者を集め開催した。また、その満足度については、93.1パーセントと高く、想定以上に達成されたと判断。

  よって、施策目標12‐4下の各達成目標については、概ね順調に進捗しており、文化芸術振興のための基盤の充実は、想定した以上に順調に進捗しているものと判断する。

  評価結果:S

必要性・有効性・効率性分析

必要性の観点

  平成19年2月に閣議決定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第二次基本方針)」では、「文化芸術の振興に当たって重点的に取り組むべき事項」として、「質の高い文化ボランティア活動を活発にするための環境整備」が取り上げられているほか、「文化芸術の振興に関する基本的施策」のなかで、「国語の正しい理解」「日本語教育の普及及び充実」「著作権等の保護及び利用」が文化の基盤をなすものとして位置づけられているところである。また、著作権等の保護及び利用については、「知的財産推進計画」においても新しい課題への対応が重点事項として取りあげられるなど、政府をあげて取り組むべき課題のひとつとされている。
  今後も、社会の変化に対応しながら文化芸術の振興を図っていくため、その基盤の充実に着実に取り組んでいく必要がある。

有効性の観点

  • 先進的な文化ボランティア活動の支援や全国フォーラムの開催等を通じ、文化ボランティア団体が連携しながら継続的に活動する環境の整備が図られる。
  • 著作物の利用実態や流通のあり方に関する調査研究等を通じ、情報化の進展に対応した著作物の円滑な流通を促進する。併せて、アジア諸国における海賊版対策を実施することにより、我が国の著作物を適切に保護する。
  • 国語に関する協議会、「言葉」について考える体験事業等を通じ、国民の国語に対する理解を深める。また、日本語を学習する外国人を対象とした日本語教育の充実を通じ、我が国および我が国の文化芸術に対する理解の増進が図られる。

効率性の観点

事業インプット

  • 文化芸術振興のための基盤の充実に必要な経費 748百万円(平成19年度予算額)
    • 文化政策の推進 151百万円
      (文化ボランティア活動推進事業 35百万円 等)
    • 著作権の保護 216百万円
      • 著作権に関する普及啓発事業 57百万円
      • 情報化の進展に対応した著作権施策の推進 62百万円 等
    • コンテンツの保護の推進 50百万円
    • 国語施策の充実 53百万円
    • 外国人に対する日本語教育の充実 209百万円 等

事業アウトプット

  本事業の実施により、1文化ボランティア活動のための環境整備や文化に関する情報提供の充実が図られる、2文化活動を支える基盤として、国語の普及・啓発や日本語教育の充実が図られる、3著作権の適切な保護と公正な利用が図られる、といった効果が見込まれる。

事業アウトカム

  本事業の実施により、より多くの国民が文化芸術に親しむ機会や、多様な文化活動を支える基盤の充実が期待される。
以上より、事業の波及効果も認められ、効率性の観点から妥当である。

今後の課題及び政策への反映方針

予算要求への反映

  これまでの取組を引き続き推進

機構定員要求への反映

  定員要求に反映

具体的な反映内容について

  • 達成目標12‐4‐1については、平成20年度から開始した「文化ボランティア支援拠点形成事業」により、文化ボランティア・コーディネーター養成を引き続き支援する。
  • 達成目標12‐4‐2については、情報化の進展に対応した著作権施策を推進するべく、引き続き調査研究等に取り組む。
  • 達成目標12‐4‐3については、著作権制度の普及・啓発を図るため、著作権講習会を引き続き実施するとともに、読本に代わる新たな著作権教材の開発に努める。
  • 達成目標12‐4‐4については、我が国の著作物を適切に保護するため、引き続きアジア諸国において海賊版対策を実施する。
  • 達成目標12‐4‐5については、引き続き国語問題研究協議会の内容の充実を進め、参加者の満足度を高めるよう努める。また、「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業の実施箇所数を増加し、指導者を養成することにより、地方自治体が単独で体験事業を実施できるようにし、それに伴い「言葉」について考える体験事業については、段階的に縮小する。
  • 達成目標12‐4‐6については、日本語教育の充実を図るため、引き続き研究協議会等を実施するとともに、地域の日本語教育の体制整備に係る事務体制を強化するため、日本語教育調査官2名の要求を行う。

関係する施政方針演説等内閣の重要施策(主なもの)

第169回国会における福田内閣総理大臣施政方針演説(平成20年1月8日)

  「(前略)我が国の優れた文化や芸術を一層発展させることは、現代に生きる我々の使命です。アニメや音楽など新しい文化の担い手を育てるとともに、日本の誇りである伝統文化芸術の継承や発展、文化財の保存・活用などに着実に取り組んでまいります。(後略)」

「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)

第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築

2.未来を切り拓く教育
  • (前略)日本文化の海外への戦略的発信や文化財の保存・活用、子どもの文化芸術体験など文化芸術を振興するため、総合的な施策を推進する。

「知的財産推進計画2008」(平成19年6月18日知的財産戦略本部決定)

重点編

  1. 我が国の重点戦略分野の国際競争力を一層強化する
    • 2.世界一の情報通信基盤を一層活用する
  1. 国際市場への展開を強化する
    • 1.国際市場環境を整備する
    • 2.海外展開を加速する
  1. 世界的共通課題やアジアの諸問題への取組にリーダーシップを発揮する
    • 2.国際的な知的財産制度のハーモナイゼーションを主導する
    • 4.アジアの中で日本が担うべき役割を積極的に果たす

  ※ 本編は掲載事項が多岐に渡るため、省略。

「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第二次基本方針)」(平成19年2月9日閣議決定)

第1 文化芸術の振興の基本的方向

3.文化芸術の振興に当たって重点的に取り組むべき事項

  (1)重点的に取り組むべき事項

  1)日本の文化芸術の継承、発展、創造を担う人材の育成
  「(前略)地域や学校における質の高い文化ボランティア活動を活発にするための環境整備を図ることが必要である。」

第2 文化芸術の振興に関する基本的施策

  1. 国語の正しい理解
  2. 日本語教育の普及及び充実
  3. 著作権等の保護及び利用

関連達成目標

  なし

政策評価担当部局の所見

  達成目標12‐4‐6について、日本語を学習する外国人の増加及び定住化に対応するための日本語教育を充実することに対応した指標を設定することを検討すべき。

達成目標12‐4‐1

  高度化・多様化する国民の文化への関心に応えるため、文化ボランティアの自立的・継続的な活動を推進するための環境整備を行うとともに、文化に関する情報提供の充実を図る。

(基準年度:19年度・達成年度:23年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 (文化ボランティアの自立的・継続的な活動を推進するための環境整備)
委嘱団体が実施した事業への参加者のうち、文化ボランティア活動を継続している者が50%以上となることを想定。
  • S=60%以上
  • A=50%以上
  • B=40%以上
  • C=40%未満
判断基準2 (文化に関する情報提供の充実)
文化庁ホームページへのアクセス数が前年度比+15~30%となることを想定。
  • S=30%以上増加
  • A=15~30%増加
  • B=0~15%増加
  • C=減少

2.平成19年度の状況

文化ボランティアの自立的・継続的な活動を推進するための環境整備

  文化ボランティア推進モデル事業において、平成19年度は14団体、事業を開始した平成15年度から累計では163団体を採択し、その先進的活動を支援するとともに、文化ボランティア全国フォーラムの開催等を通じて、そのネットワークづくりを進めてきた。

  平成19年度委嘱団体を対象に調査を行ったところ、各団体が実施した事業への参加者のうち、文化ボランティア活動を継続している者は46.0パーセントであった。

文化に関する情報提供の充実

  文化庁ホームページでは、単なるHTMLテキストによる情報発信にとどまらず、各種検索データベースによる情報発信も行っている。平成19年度には、文化遺産オンラインのバージョンアップを行い、更に検索しやすいシステムとした。

  また、平成19年度からはアクセシビリティに配慮した運用を開始し、子どもや高齢者、障害者も含めあらゆる人にとって使いやすくなるよう改善した。

指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.各団体が実施した事業への参加者のうち、文化ボランティア活動を続けている者の割合 46.0%
2.文化庁ホームページへの月平均アクセス数(前年度比) 2,172,893
(−)
2,574,336
(+18.5%)
3,601,222
(+39.9%)

参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
文化ボランティア全国フォーラム参加者数 250 60 178

  ※ フォーラムの開催規模は年度により異なる。

指標に用いたデータ・資料等

  • 平成19年度事業委嘱団体への調査(文化庁調べ)
  • 文化庁ホームページへのアクセス数(文化庁調べ)
  • 文化ボランティア全国フォーラム参加者数(文化ボランティア全国フォーラム弘前実行委員会調べ)

指標の設定根拠

  文化ボランティア活動推進事業は、実施団体が活動を継続することのみならず、文化ボランティア自身が、自立的・継続的に活動できる環境整備を目指しているため、指標として文化ボランティア活動を続けている者の割合を設定する。

  文化政策情報システムの整備のうち、国民に対する文化に関する情報提供の充実の度合いを図るものとして、文化庁ホームページへのアクセス数を設定する。

3.評価結果

  A

判断理由

  各判断基準に照らした結果、BプラスSとなり、達成目標12‐4‐1は概ね想定どおり達成されたものと判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

文化ボランティア活動の推進について

  文化ボランティアの推進に関しては、平成15年から5年間にわたり「文化ボランティア推進モデル事業」等により、その推進を図ったことで、文化ボランティアが広がりを見せ、またモデルとなる事業も出てきた。今後は、文化ボランティアが自立的・継続的に質の高い活動ができる環境の整備を図る必要がある。
  このため、平成20年度からは、ボランティアと受け入れ先のマッチングやボランティアのとりまとめ等の役割を担える文化ボランティア・コーディネーターの養成を支援する「文化ボランティア支援拠点形成事業」を開始し、自立的・継続的な文化ボランティア活動の推進を図る。
  また、委託団体が他地域の団体と情報交換を行い、刺激を受けながら、事業の質を高められるよう、文化ボランティアフォーラムやインターネット上の情報交換についても、内容を充実させる。

文化政策情報システムの整備

  引き続き、コンテンツの充実を図り、文化に関する情報や文化庁の取組について総合的に提供する。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
文化ボランティア推進モデル事業(30百万円) 文化ボランティアの継続的な活動の場の創設や提供を行う先進的取組を支援するとともに、その成果の普及を図る。 14団体に委嘱し、文化ボランティアの継続的な活動の場,機会を提供する事業や、文化ボランティア及び文化ボランティアの研修事業など、先進的取組を支援した。 平成20年度より、本事業の発展的事業である「文化ボランティア支援拠点形成事業」を開始しており、引き続きこれに取り組む。
文化政策情報システムの整備(85百万円) 文化庁ホームページの充実及びその基盤ともなる庁内の情報通信ネットワークシステムの円滑な運営を行う。 アクセシビリティに配慮した運用を開始したほか、文化遺産オンラインのバージョンアップを行うなど、情報提供の充実を図った。 継続

達成目標12‐4‐2

  著作物等の利用実態や流通の在り方等に関する調査研究等を行い、その成果の普及等を通じて、情報化の進展に対応した著作物の円滑な流通を促進する。

(基準年度:19年度・達成年度:23年度)

1.評価の判断基準

  (S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)

判断基準1 著作物等の流通を促進するための調査研究を実施
  • S=当初計画以上に進捗している
  • A=当初計画どおりに進捗している
  • B=当初計画に比べやや遅れている
  • C=当初計画に比べ大幅に遅れている
判断基準2 コンテンツ流通促進シンポジウムの開催
  • S=参加者が300名以上
  • A=参加者が250名以上300名未満
  • B=参加者が200名以上250名未満
  • C=参加者が200名未満
判断基準3 著作権等管理事業者の管理する著作物等の件数
  • S=前年度と比較して5%以上増加
  • A=前年度と比較して増加
  • B=前年度と比較して変化なし
  • C=前年度と比較して減少
判断基準4 意思表示システムの構築
  • S=当初計画以上に進捗している
  • A=当初計画どおりに進捗している
  • B=当初計画に比べやや遅れている
  • C=当初計画に比べ大幅に遅れている

2.平成19年度の状況

  デジタル化・ネットワーク化の進展により、誰もが著作物の創作・提供・利用等が容易にできるようになったが、我が国においては、著作物の創作・利用等に係る契約等権利処理が十分に機能していないのが現状であり、今後、我が国のコンテンツ市場の活性化、海外市場への展開、権利者の利益の適正な分配といった観点等から、権利処理を円滑に進めるための仕組みづくりを進める必要がある。
  そのため、国内外の著作権制度や著作物の流通実態等について調査研究を行い、著作物が円滑に流通するような著作権制度の在り方や契約モデル等の検討を行い、その成果等については、シンポジウム等を通じて普及を図っている。
  また、調査研究の報告内容は文化審議会著作権分科会において挙げられている課題検討のための重要な材料となっている。

著作物等の流通を促進するための調査研究を実施

  放送番組については、番組制作時において、権利者等から放送の許諾しか得ておらず、2次利用を行おうとする際、再度権利者の許諾が必要となる場合が多く、また、許諾が必要な権利者も多数存在するため、流通が円滑に行われていない等の指摘がある。そのため、海外における映像コンテンツの流通実態や著作権制度等について調査を行い、その成果を基に流通を促進するための施策や仕組み等について検討を行う。なお、平成19年度は米・韓の現状について調査を実施。
  また、我が国の著作権の登録制度の在り方について検討を行うため、諸外国の著作権等登録実務についての調査を行った。

コンテンツ流通促進シンポジウムの開催

  コンテンツの流通を円滑に進めるための施策等について、調査研究等の成果を発表するとともに、パネルディスカッションを通して、今後の課題やその解決策等について検討を行う。平成19年度においては、「次世代ネットワーク社会の到来は著作権制度を揺るがすのか」をテーマに実施し、約320名の参加者があった。

著作権等管理事業の推進

  文化庁では、著作権等管理事業を行う者の登録を行っているが、この事業は、事業者が権利者からの委託を受け、権利を集中的に管理するもので、管理する著作物について利用者から一定の使用料の徴収を行うことで、利用の許諾を行い、徴収した使用料は権利者に分配するものである。
  これら、著作権等の集中管理の促進は、著作物の流通円滑化の有効な手段とされており、事業者が管理する著作物数の増加や権利の範囲の拡大や委託者数の増加等を図ることが必要とされている。なお、平成18年度末において、事業者全体の管理する著作物数は前年度比約23パーセント増となった。

意思表示システムの構築

  現在のネットワーク社会では、誰でも自分が作った著作物をインターネット経由で公衆に簡単に提供できるようになったが、著作者からの事前許諾を必要とする著作権制度を維持しつつも、著作物の積極的活用を図る仕組みの構築が強く求められている。
  そのため、文化庁では、著作者が予め一定の利用条件を付した意思表示をしておくことにより、利用者が利用の都度、著作者の了解を得る必要がない意思表示システムの構築を目指しており、19年度においては、利用条件の類型化やルール等について研究を行った。

著作権情報提供システムの運用・充実

  現在、文化庁ではホームページを通じて著作物を利用する際に必要となる情報等の提供を行っている。現在ホームページにて運用を行っているシステム(著作権登録データベース、標準契約書式データベース、著作権等管理事業者登録システム)については、利用者が効率的に最新の情報を得られるようにするため、外部委託により法改正等著作権制度の見直しを踏まえた必要なシステムの改修や情報の更新作業を行うこととしている。平成19年度については、法改正等は行われなかったため、情報の更新を行い、著作権に係る新しい情報の迅速な提供を行った。

指標・参考指標

単位:千件

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度
著作権等管理事業者の管理する著作物数 2,360 3,197 3,446 4,250

指標に用いたデータ・資料等

  • 著作権管理事業等の報告書(文化庁調べ、著作権等管理事業法第19条第1項に基づく報告徴収)

指標の設定根拠

  著作権等管理事業は権利者から著作権を預かり集中管理するもので、利用者は利用したい著作物が集中管理されている場合、権利者と直接交渉することなく、あらかじめ決められた使用料を支払えば利用することができる。そのため、管理事業者の管理著作物数の増加は、利用者の利用手続の簡素化、ひいては著作物の流通促進につながるため、指標として設定した。

3.評価結果

  S

判断理由

  各判断基準に照らした結果、A‐S‐S‐Aとなり、達成目標12‐4‐2は想定どおり順調に進捗していると判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  著作物等の流通円滑化策の検討を行うため、昨年度に引き続き、著作物の流通実態や制度の在り方等について調査研究を実施するとともに、その結果等を踏まえ、コンテンツ流通促進シンポジウムを開催する。
  意思表示システムの構築に関しては、19年度の調査研究結果等を踏まえ、20年度において試行版を作成、実証実験及びその分析を行い、21年度以降の本格運用を目指す。
著作権等管理事業者に対しては、委託著作物数の増加や委託対象の権利の範囲の拡大による集中管理事業の拡大を促し、また、広く一般に対して、ホームページを通じて著作権等に係る最新の情報を提供できるよう、必要に応じて情報提供システムの改修を行う等、著作物等の流通円滑化を総合的に推進する。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
情報化の進展に対応した著作権施策の推進[62百万円] 国内の知的財産制度、海外の著作権制度等や契約実態等について調査研究等を行い、それを基に情報化の進展に対応した著作権制度の在り方や著作物等の円滑な流通促進手段等について検討を行う。また、著作物の流通が促進されるよう、著作権に係る最新の情報提供等を行う。
  • 映像に係る著作物等の海外(米・韓)の利用・契約実態についての調査研究及び海外の著作権登録制度についての調査研究を実施。
  • コンテンツ流通促進シンポジウム「次世代ネットワーク社会の到来は著作権制度を揺るがすのか」の開催
  • 著作物等の利用に関して、ネット上であらかじめ意思表示を行うための意思表示システムを構築するための調査研究を実施。
  • 登録制度の登録状況、著作物の利用等に係る契約方法等に関する情報、著作権等管理事業者の情報等を文化庁ホームページを通じて提供 等
継続

達成目標12‐4‐3

  著作権に関する講習会の開催やマンガ教材の学校への配付等を通じて、著作権制度の普及・啓発を図る。

(基準年度:19年度・達成年度:23年度)

1.評価の判断基準

  基準の結果の平均から判断する。(S=4,A=3,B=2,C=1と換算する)

判断基準1 講習会−開催箇所14箇所 受講者数3,300名
  • S=想定以上に実施した。(16箇所以上:3,631名以上~)
  • A=想定通り実施した。(13~15箇所:2,970~3,630名)
  • B=想定通りには実施できなかった。(10~12箇所:1,320~2,969名)
  • C=ほとんど実施できなかった。(0~9箇所:0~1,319名)
判断基準2 講習会−受講者の理解度(受講者アンケートで理解が深まったと回答する率)80%を得ることを想定
  • S=想定以上に実施した。(90%~100%)
  • A=想定通り実施した。(70%~89%)
  • B=想定通りには実施できなかった。(40%~69%)
  • C=ほとんど実施できなかった。(0%~39%)
判断基準3 マンガ教材の配付
  • S=全国の中学3年生のうち、マンガ教材の配付を希望した生徒の割合 80%~100%
  • A=全国の中学3年生のうち、マンガ教材の配付を希望した生徒の割合 60%~79%
  • B=全国の中学3年生のうち、マンガ教材の配付を希望した生徒の割合 40%~59%
  • C=全国の中学3年生のうち、マンガ教材の配付を希望した生徒の割合 39%以下

2.平成19年度の状況

  著作権講習会の開催について、国民一般、教職員、図書館職員等の対象者別の講習会を12箇所で開催し、2,603名の参加者に対する普及啓発を行い、受講者アンケートでは、理解が深まったとの回答を受講者の92パーセントから得られた。
  マンガ教材の配付については、財務省が平成19年度に実施した「予算執行調査」の結果、7割の学校では読本が配付されるだけであったり、使用されていないなど、読本が著作権教育に必須な教材とは言えず、「予算の効率的な執行の観点からは、廃止すべき」との結果が出たため、平成19年度については、全員に一律に配付するのではなく、配付希望を募り、希望のあった中学校の生徒に発送することとし、その結果配付数が減少することとなった。ただし、「予算執行調査」の結果において、約7割の中学校からは、電子媒体の教材が求められていることから、マンガ教材については、Webサイトに掲載し、読本が配付されていない学校でも閲覧できるようにした。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.著作権の普及・啓発を図るための講習会等 開催箇所数 13 13 14 15 12
受講者数 3,204 3,449 3,027 3,948 2,603
2.著作権講習会受講者の理解度
(受講者アンケートで理解が深まったと回答した率)
88% 88% 92%
3.「中学生向けマンガ」の配付数 1,257,591 1,240,882 1,244,692 1,252,524 779,702

指標に用いたデータ・資料等

  1. 都道府県著作権事務担当者講習会・教職員著作権講習会・図書館等職員著作権実務講習会の開催会場数及び受講者数
  2. 1.の講習会において受講者から徴したアンケート結果
  3. 「インターネット時代のまんが著作権教室」(財団法人消費者教育支援センター(文化庁監修))の発送実績

指標の設定根拠

  1. 講習会開催の側面から国の取組に対する定量的評価を行うため、文化庁が主催する各講習会の開催件数及び合計受講者数を指標として設定する。
  2. 講習会開催の側面から国の取組に対する定性的評価を行うため、上記1の各講習会において受講者から徴したアンケートにより集計された満足度を指標として設定する。
  3. 教材提供の側面から国の取組を定量的評価を行うため、「インターネット時代のまんが著作権教室」の発送実績(配付数)を指標として設定する。

3.評価結果

  A

判断理由

  著作権講習会のうち、一般を対象とした著作権セミナーについては、(平成17年度より)各都道府県の共催希望に応じて開催しているところ、平成19年度については、7県からの申し出であったため、18年度の9県から減少した。
  しかしながら、著作権講習会受講者のアンケートにおいて、理解が深まったとした回答率が前年度を上回った。
  また、「中学生向けマンガ」の配付において、財務省の「予算執行調査」の結果を踏まえ、希望する学校に限って配付することとしたため、配付部数が減少することとなったが、希望する生徒の割合は相当あった。(なお、配付されない学校でも閲覧できるよう、Webコンテンツを作成し、文化庁のサイトに掲載した。)
よって、各判断基準はB,S,Aとなり、評価結果はA(順調に進捗)と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成21年度においても、講習会及び教材の充実を図り、さらなる著作権の普及・啓発に努めるとともに、著作権に関する講習会については、これまでの施策の効果を維持しつつ、受講機会の拡大及び業務の省力化を図る。また、マンガ教材については、読本に代わる新たな著作権普及教材を開発し、Webサイトを通じて提供した上で、学校教育現場での活用状況を調査・分析しながらそれらの教材について事例の追加や内容の更新等を行うことにより、著作権教育の充実に資するよう改善を図る。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
著作権講習会の実施
(6百万円)
各都道府県著作権事務担当者・教職員・図書館職員および一般の方々を対象とした著作権講習会を実施。 全国12箇所で講習会を実施することができた(計2,282名が受講)。
  また、エル・ネットの活用等改善を図ることによって、より充実した著作権制度の学習機会の提供を行うことにより普及啓発の推進が図られた(24箇所の施設で計321名が視聴)。
継続
著作権マンガ教材の配付
(38百万円)
全国の中学3年生にマンガ教材を配付。 財務省予算執行調査の結果にもあるとおり、約7割の中学校からは電子媒体の教材が求められていることから、読本及びWebサイトにより学習教材を提供することにより、全国の中学校における著作権教育を支援することができた(779,702部)。 20年度予算において発展的に組替え、21年度以降継続

達成目標12‐4‐4

  アジア諸国における海賊版対策を実施することにより、我が国の著作物を適切に保護する。

(基準年度:19年度・達成年度:23年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 海賊版対策事業を確実に実施する。
  • S=想定した以上に達成
  • A=想定どおり達成
  • B=一定の成果があがっているが、一部については想定どおり達成できなかった
  • C=想定どおりには達成できなかった

判断基準2 権利執行支援セミナー参加者数
  • S=201人以上
  • A=151人~200人
  • B=101人~150人
  • C=100人以下

判断基準3 トレーニングセミナー参加者数
  • S=451人以上
  • A=401人~450人
  • B=351人~400人
  • C=350人以下

2.平成19年度の状況

  アジア諸国における海賊版対策事業として、1二国間協議等の場を通じた侵害発生国・地域への取締り強化の要請、2海賊版対策セミナー開催事業の実施、3権利の執行推進の支援、4日米欧協力体制の整備、5トレーニングセミナーの実施を行った。
各事業の実施状況は以下のとおり。

  1. 我が国コンテンツの海賊版被害が特に深刻な国・地域において、法整備、取締りを要請するため、著作権担当部局と定期的に協議を実施した。
  2. アジア太平洋諸国の著作権行政担当者を招へいし、海賊版対策セミナーを開催した。
  3. アジア地域における著作権侵害に悩まされている権利者の要請に応えるため、著作権制度や民事、刑事の法制度、また水際対策を含む権利執行に関する調査を実施し、ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)を作成した。また、これまでに作成したハンドブックを活用するなどして、日本企業等を対象としたセミナーを国内外で開催した。
  4. 日米規制改革・競争政策イニシアティブ及び知的財産権に関する日EU知財対話等の枠組みを利用し、著作権保護意識の高い欧米と連携した海賊版対策について協議を行った。
      日EU間では、平成19年6月に日・EU首脳間で合意した「知的財産権の保護と執行に関する日・EU行動計画」に基づき、アジア等の第3国における情報交換の強化等の分野で協力を強化する取り組みを進めている。日米欧間では、平成19年10月、「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)」に関するプレス・ステートメントを、日米EU等より同時に発出し、知的財産権保護に関心の高い国々と協議を開始する等、活発な協力を行っている。
  5. 平成19年度から、侵害発生国・地域の税関職員等、取締り機関職員に対し、日本コンテンツの海賊版と正規品の違いやCJマークの説明を行う真贋判定セミナーを実施した。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
3.セミナー参加者数       332 200
5.セミナー参加者数 553

指標に用いたデータ・資料等

  • 権利進行支援セミナー及びトレーニングセミナー参加者数(文化庁調べ)

指標の設定根拠

  3.権利執行支援セミナーは、より多くの著作権者等に、侵害対策のノウハウを教授することにより、また、5.トレーニングセミナーは、よく多くの現地取締機関職員に、日本コンテンツに関する知識を付与することにより、我が国著作物の適切な保護を図るものである。このため、当該事業の達成目標を図る指標として、セミナーへの参加数を設定する。

3.評価結果

  A

判断理由

  各事業実施状況から、総合的にAと評価する。(実施状況は5.主な政策手段の「19年度の実績」を参照)

  1. 中国との二国間協議に関しては、米国が著作権問題に関して中国をWTOに提訴し、係争中であることを理由として開催されなかったものの、台湾及び韓国とは協議を実施し、著作権侵害に対する法制度及び国際協力等に関する情報・意見交換を通じて、我が国の海賊版対策に資する重要な情報が得られた。
  2. アジア太平洋諸国11カ国及び米国から著作権行政担当者各1名を招へいし、海賊版対策セミナーを開催した。今年度は「インターネット上の著作権侵害対策」をテーマに活発な議論を行い、著作権に関する意識向上のための啓蒙活動及び技術と著作権保護とのバランスを取ることの重要性を共通認識とし、特にインターネット上における著作権及び著作隣接権に関する保護体制を確立するため、WCT(WIPO著作権条約)とWPPT(WIPO実演・レコード条約)に加盟することが有効であり、著作権侵害対策への継続的な努力と、相互協力が重要であることが確認された。
  3. ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)を作成し、国内権利者等へ配付した。(平成20年度実施予定の権利執行セミナーでの使用分を含む)
    また、平成18年度に作成した韓国における著作権侵害対策ハンドブックを活用したセミナーを国内外4か所で開催した。(参加者数(予想)250人、(実績)200人)
  4. 日米規制改革・競争政策イニシアティブ、知的財産権に関する日・EU知財対話等の枠組みにおいて、日米欧連携した海賊版対策を行うべく、協議を行った。
  5. バングラデシュ及び中国6カ所で、取締機関職員を対象とした真贋判定セミナーを実施した。(参加者数(予想)500人、(実績)553人)

4.今後の課題及び政策への反映方針

  海賊版対策事業は、継続して実施することが重要である。今後も継続的に侵害発生国・地域への要請、ハンドブック作成やセミナーの開催等によって国内権利者の権利執行を支援するとともに、これまでの日米及び日EUとの間で既存の枠組みの中での著作権保護、海賊版対策に係る連携のあり方に関する協議を実施してきたが、これを見直し、さらに一歩進んだ協力体制を構築するため、従来の協議に加え、日米欧が共通するアジア地域の著作権侵害国の担当行政官を招へいし、海賊版取締りを強化するよう働きかける会議を開催することにより、日米欧連携した海賊版対策を実施し、我が国の著作物の適切な保護を図る。
  米国が著作権問題に関して中国をWTOに提訴し、係争中であり、さらに我が国も第三国参加したこともあり、中国との二国間協議については、依然困難な状況ではあるが、継続的に開催を呼びかけ、定期的な実施に努める。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
二国間協議
(5百万円)
我が国コンテンツの海賊版被害が特に深刻な中国、台湾における法整備、取締りを要請するため、著作権担当部局と定期的な協議を実施する。 台湾及び韓国との協議を実施し、共同で海賊版対策に取り組んだ。 継続
海賊版対策セミナー開催事業
(6百万円)
アジア太平洋諸国の著作権行政担当者を招へいし、海賊版対策セミナーを開催する。 アジア太平洋諸国11カ国及び米国から著作権行政担当者を招へいした海賊版対策セミナーを開催し、著作権保護政策に関する活発な議論を行った。 「日米欧連携した海賊版対策の強化」として継続
権利の執行推進の支援
(14百万円)
侵害発生国・地域における著作権制度や民事、刑事の法制度、また水際対策を含む権利執行に関する調査を実施し、権利執行の手引き書となるハンドブックを作成する。また、ハンドブックを活用したセミナーを国内外で開催する。 ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)を作成し、国内権利者等へ配付した。また、18年度に作成した韓国における著作権侵害対策ハンドブックを活用したセミナーを国内外で開催した。 継続
日米欧協力体制の整備
(6百万円)
日米規制改革・競争政策イニシアティブ及び知的財産権に関する日・EU知財対話等の枠組みを利用し、著作権保護意識の高い欧米と連携した海賊版対策について協議を行った 日米規制改革・競争政策イニシアティブ、知的財産権に関する日・EU知財対話等の枠組みにおいて、日米欧連携した海賊版対策を行うべく、協議を行った。 「日米欧連携した海賊版対策の強化」として継続
トレーニングセミナー
(20百万円)
侵害発生国・地域の取締り機関職員に対し、真贋判定セミナーを実施する。 取締機関職員を対象とした真贋判定セミナーを、バングラデシュ及び中国6カ所で実施した。 継続

達成目標12‐4‐5

  国語についての正しい理解を深めるため、国語に関する協議会、「言葉」について考える体験事業等を通じて、国民に対する国語の普及・啓発を図る。

(基準年度:19年度・達成年度:23年度)

1.評価の判断基準

  基準の結果の平均から判断する。(S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)

判断基準1 国語問題研究協議会に1会場200名以上の参加者を集め、参加者の満足度80%を得ることを想定。
  また、平成19年2月に出された文化審議会答申「敬語の指針」についての内容説明や、その答申に関係する実践発表を行い、答申の趣旨・内容をより具体的な形で理解する機会とする。
  さらに、平成16年2月の文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」に関係する実践発表や、定型詩による国語力向上の取組(参加体験型)についても具体的な形で理解する機会とするとともに、
  1. 学校教育における国語力向上の取組について
  2. 学校教育における敬語指導について
  3. 社会生活における敬語の問題への取組について
  4. 定型詩(俳句)を取り入れた国語力向上のための指導手法について
に関する研究協議を行うことを想定。
  • S=想定以上に達成された
  • A=想定どおりに達成された
  • B=想定どおりに実施できなかった
  • C=ほとんど実施できなかった

判断基準2 言葉について考える体験事業。参加者の満足度80%を得ることを想定。
  • S=想定以上に達成された
  • A=想定どおりに達成された
  • B=想定どおりに実施できなかった
  • C=ほとんど実施できなかった

判断基準3 「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業。参加者の満足度80%を得ることを想定。
  • S=想定以上に達成された
  • A=想定どおりに達成された
  • B=想定どおりに実施できなかった
  • C=ほとんど実施できなかった

2.平成19年度の状況

  国語問題研究協議会については、東西2か所で開催し、527名の参加者を集め、想定した4つの研究協議を実施することができた。なお、参加者の満足度については、97.0パーセントであった。
  また、「言葉」について考える体験事業については、全国12か所において、1,182名の参加者を集めて実施し、参加者の満足度が93.2パーセントであった。
  さらに、「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業については、全国3か所において、のべ423名の参加者を得て実施し、参加者の満足度が86.6パーセントであった。これらの事業を見ると、国語の普及・啓発が順調に図られていると考えられることから、想定どおり達成したものと判断する。

指標・判断基準

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.国語問題研究協議会 延べ参加者数 415 475 449 560 527
参加者の満足度 97.0%
2.「言葉」について考える体験事業 参加者の満足度 94.5% 96.8% 93.2%
3.「言葉」に関する参加体験型講
習の指導者養成事業
参加者の満足度 86.6%

評価に用いたデータ資料等

  1. 「国語問題研究協議会における参加者からのアンケート」(文化庁調べ)
  2. 「「言葉」について考える体験事業における参加者からのアンケート」(文化庁調べ)
  3. 「「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業における参加者からのアンケート」(文化庁調べ)

指標の設定根拠

  国の取組に対する定性的評価を行うため、上記1~3の各事業において参加者から徴したアンケートにより、明らかになった満足度を指標として設定する。

3.評価結果

  S

判断理由

  各判断基準に照らした結果、S、S、Sとなり、達成目標12‐4‐4は「想定以上に達成された」と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成21年度においても、さらに国語問題研究協議会の内容の充実を進め、参加者の満足度を高めるように努めていく。
  また、「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業の実施箇所数を増加し、指導者を養成することにより、地方自治体が単独で「言葉」について考える体験事業を実施できるようにする。それに伴って、「言葉」について考える体験事業については、段階的に縮小する。

  →予算、機構定員等への考え方

  国語の普及・啓発のより一層の推進を図るため、平成21年度要求において、「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業の箇所数を増やす。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
政策手段の概要 19年度の実績 21年度予算要求への考え方
国語問題研究協議会等の開催(5百万円) 国語の普及・啓発を図るため、国語問題研究協議会を開催する。 国語問題研究協議会については、東西2か所で開催し、527名の参加者を集め、想定した4つの研究協議を実施することができた。なお、参加者の満足度については、97.0%であった。 継続
地域の国語力向上事業(9百万円) 地域の国語力の向上を図るため、「言葉」について考える体験事業及び「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業を実施する。 「言葉」について考える体験事業については、全国12か所において、1,182名の参加者を集めて実施し、参加者の満足度が93.2%であった。
  さらに、「言葉」に関する参加体験型講習の指導者養成事業については、全国3か所において、のべ423名の参加者を集めて実施し、参加者の満足度が86.6%であった。
拡充
国語に関する調査及び調査研究(20百万円) 国語施策を進める上での参考とするため,国語に関する調査を実施するほか,文化審議会国語分科会の審議を進めるための重要な資料とするための調査・研究を実施する。 言葉遣いや国語力についての考え方や慣用句等の意味の理解等についての調査を行ったほか,文化審議会国語分科会における「常用漢字表」の見直しを審議する上での重要な調査研究を行った。 継続

達成目標12‐4‐6

  国内における日本語を学習する外国人の増加及び定住化に対応するため、日本語教育を充実する。

  (基準年度:19年度・達成年度23年度)

1.評価の判断基準

  基準の結果の平均から判断する。(S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)

判断基準 日本語教育研究協議会の参加者アンケートにおいて、「参考になった」と回答した人の割合。
  • S=80%以上(想定以上に達成された)
  • A=70%以上(想定どおりに達成された)
  • B=60%以上(想定どおりに実施できなかった)
  • C=50%未満(ほとんど実施できなかった)

2.平成19年度の状況

  日本語教育研究協議会については、東京において開催し、日本語教師などの日本語教育関係者520名の参加者を集めた。また、その満足度については、93.1パーセントと高く、想定以上に達成したものと判断する。

指標・判断基準

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
日本語教育研究協議会 1.参加者数 579人 526人 495人 532人 521人
2.満足度 83.1% 93.1%

評価に用いたデータ資料等

  日本語教育研究協議会における参加者アンケート(文化庁調べ)

指標の設定根拠

  国の取組に対する定性的評価を行うため、上記日本語教育研究協議会において参加者から徴したアンケートにより、明らかになった満足度を指標として設定する。

3.評価結果

  S

判断理由

  判断基準に照らした結果、Sとなり、達成目標12‐4‐5は「想定以上に達成された」と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成21年度においても、さらに日本語教育研究協議会の内容の充実を進め、参加者の満足度を高めるように努めていく。また、地域の日本語教育の体制整備に係る事務体制を強化するため、日本語教育調査官2名の要求を行う。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度予算要求への考え方
日本語教育研究協議会等の開催(2百万円) 日本語学習者の増大と学習目的の多様化に適切に対応した日本語教育を行うため、日本語教育研究協議会を開催し、日本語教育の水準の向上と日本語教育の推進を図る。 日本語教育研究協議会については、東京において、520名の参加者を集め開催した。また、その満足度については、93.1%であった。 継続
「生活者としての外国人」のための日本語教育事業(132百万円) 外国人が円滑に日本社会の一員として生活を送ることができるように、日系人等を活用した日本語教室の設置運営、退職教員や日本語能力を有する外国人を対象とした日本語指導者養成等を実施し、日本語教育の充実を図る。 「生活者としての外国人」のための日本語教育事業を外国人集住都市を中心に、全国35箇所において実施した。 拡充

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