(基準年度:17年度・達成年度:22年度)
豊かで安全・安心で快適な社会を実現するための研究開発等を行い、これらの成果を社会に還元する。
各達成目標の平均から判断(S=4、A=3、B=2、C=1として計算)。
「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」、「地震調査研究推進」、「東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究」、「地震・津波観測監視システム」、「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」等のプロジェクトや、独立行政法人防災科学技術研究所における防災科学技術に関する基礎基盤研究について、概ね順調に進捗した。
テロ対策等について、「安全・安心科学技術プロジェクト」により、関係省庁や空港等の現場と連携した危険物検知装置の開発等が進んでいる。また、効率的・効果的な食品成分分析技術の開発や放射線源の管理のための取組など、成果の社会実装に向けて、ニーズに立脚した研究開発等が順調に進捗した。
評価結果:A
国民の生命、財産等を守り、安全・安心な生活を実現することは国の責務である。このため、自然災害発生による被害を最小限に抑えられるよう、地震及び火山に関する調査研究や、防災科学技術に関する研究開発を実施することが必要である。また、文部科学省の持つ科学技術的知見を安全・安心な社会の構築に活用するため、技術シーズをユーザーニーズにつなげるテロ対策等の具体的な課題を解決する研究開発を実施することが必要である。
例えば、「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」の成果が緊急地震速報に活用されたり、地震調査研究の成果が統合された高精度な地震動予測地図が完成したりするなど、防災科学技術に関する研究開発や、地震調査研究の成果が社会へ還元された。テロ対策等に資する技術についても、テラヘルツ波を活用した封筒内違法薬物・危険物検知装置の実証実験が税関で実施されるなど、成果の還元が進んでいる。また、平成20年度以降も継続する研究開発プロジェクトについては、概ね順調に進捗しているため、今後、安全・安心で快適な社会の実現に資することが見込まれる。
本事業の実施により、地震発生メカニズムの解明や、地震発生予測・強震動予測の高度化、防災科学技術の高度化、国民への迅速な情報提供等に資する研究開発の進捗、テロの未然防止への貢献が期待される危険物の探知装置の研究開発の進捗等の効果があった。
上記アウトプットにより、自然災害やテロ等の脅威から国民の安全が確保され、安全・安心な社会の構築の大きく貢献する。
これまでの取組を引き続き推進。
定員要求に反映。
達成目標10‐8‐1について、地震調査研究については、平成11年4月に地震調査研究推進本部(以下、「地震本部」)が策定した基本計画「地震調査研究の推進について‐地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策‐(以下、「総合基本施策」)」の策定から10年程度経過し、全国を概観した地震動予測地図の作成、緊急地震速報の開始等の一定の成果が上げられた一方、現状の長期評価や現状評価は東海・東南海・南海地震の連動発生可能性等を情報提供できるものではない、海域のリアルタイム情報伝達体制が十分に整っていない、沿岸海域の調査観測・研究が殆ど行われていない、首都直下地震や長周期地震動に関する情報が不足している、等の課題が山積している。このため、地震本部において、「新たな地震調査研究の推進について‐地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策‐(以下、「新総合基本施策」)の策定に向けた検討が進められており、平成21年度以降は、新総合基本施策に基づいた調査観測・研究等を推進する。また、火山調査研究については、近年、我が国の火山観測・調査研究・防災体制が脆弱であることから、早急な体制強化を行う。
達成目標10‐8‐2について、これまで順調に実施されてきた事業を継続して実施するとともに、特に、放射線利用に伴い発生する廃棄物の埋設技術基準等の整備のための廃棄物対策専門官を新規に機構定員要求して規制活動の人的基盤を強化する。また、「安全・安心科学技術プロジェクト」については、ニーズの高い分野について積極的に拡充する必要がある。さらに、防災科学技術研究に関する国際協力を推進するための防災研究調整官、及び火山防災科学技術研究を確実に推進するための専門職を新規に定員要求して、防災科学技術推進体制を強化する。
3.良好な治安と災害に強い社会の実現等
(1)社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術
(1)第3期基本計画の理念と政策目標
理念3 健康と安全を守る
‐安心・安全で質の高い生活のできる国の実現に向けて‐
◆目標6 安全が誇りとなる国 ‐ 世界一安全な国・日本を実現
なし
地震及び火山に関する調査研究や、災害発生時の被害軽減を目指した防災科学技術に関する研究開発を推進し、自然災害に強い安全・安心な社会の構築に向けた科学技術基盤を確立する。
(基準年度:17年度・達成年度:22年度)
判断基準 | 各研究課題(全18研究課題)の進捗状況の平均から判断する。 |
---|---|
|
地震本部が策定した方針や、第3期科学技術基本計画、社会基盤分野推進戦略等に基づき、平成19年度より「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」(平成19~23年度)を新規に開始したほか、「地震調査研究推進」(平成17年度~)、「東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究」(平成15~20年度)、「地震・津波観測監視システム」(平成18~21年度)等を着実に実施するとともに、「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」については研究課題を終了した。また、独立行政法人防災科学技術研究所における、防災科学技術に関する基礎基盤研究も着実に推進された。
また、地震本部においては、平成19年(2007年)新潟県中越沖地震の発生を受けた臨時会開催や、活断層に関する長期評価の公表、「全国を概観した地震動予測地図」の改訂版の作成、地震調査研究成果の広報等、その運営が着実に実施された。その他、平成21年度から10年程度の地震調査研究の基本となる新総合基本施策策定のための検討も進められた。
さらに、防災科学技術に関する研究開発から得られた知見を、学校教育や社会教育等に積極的に活用していくための方策を、平成19年4月より「防災教育支援に関する懇談会」において検討を進め、同年8月に中間とりまとめを策定した。
全研究課題の成果報告書の内容を活用。その際、総合基本施策や、「地震に関する基盤的調査観測計画」(平成9年8月、地震本部)、「今後の重点的調査観測について」(平成17年8月、地震本部)等に示された内容を評価の判断に用いた。特に、総合基本施策において当面推進すべき地震調査研究として掲げられた、地震動予測地図の作成・高度化や、地図の作成に必要となる各種評価の高度化、また、リアルタイム地震情報伝達システムの開発等にどの程度寄与したのかということを主な判断指標とした。
A
「自然災害に強い安全・安心な社会の構築に向けた科学技術基盤確立」のために平成19年度に実施した研究課題18件のうち、「想定した以上に順調に進捗」は1件、「想定通り順調に進捗」は15件、「一部については進捗にやや遅れが見られる」は2件、「想定した通りには進捗していない」は0件であった。
各研究課題の進捗状況を数値化し、想定した以上に順調に進捗している場合を「4点」、想定通り順調に進捗している場合を「3点」、概ね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる場合を「2点」、想定した通りには進捗していない場合を「1点」としたところ、全18課題の平均値が約2.9点であったため、判断基準に基づき、「A」と判断した。
地震調査研究については、平成11年度の総合基本施策の策定から10年程度が経過し、「全国を概観した地震動予測地図の作成」、「緊急地震速報の開始」等の一定の成果が上げられた一方、多くの課題が山積している。具体的には、
現状の長期評価や現状評価は、今後国難となり得る東海・東南海・南海地震の連動発生可能性等、詳細な地震の切迫性を情報提供できるものではない。
海域のリアルタイム観測網が十分に整備されていない等の理由から、リアルタイム情報伝達体制が十分に整っていない。
近年、沿岸海域を震源とする被害地震が多発しているにも関わらず、当該地域の調査観測・研究が殆ど行われていない。
首都直下地震についての詳細な強震動予測のための情報や、長周期地震動に関する情報が不足している。
等の課題が挙げられる。このため、地震本部において、現在、平成21年度からの10年程度の地震調査研究の基本となる新総合基本施策の策定に向けた検討が進められており、平成20年8月に中間報告が決定される予定となっている(平成21年3月に最終報告を予定)。このため、平成21年度以降は、この新総合基本施策に基づいた調査観測・研究等を推進することが必要となる。また、平成20年5月の中国四川省大地震、同年6月の岩手・宮城内陸地震等により大規模な被害が発生しており、地震調査研究や地震防災研究の重要性が改めて認識されている。
火山調査研究については、我が国の火山観測・調査研究・防災体制が脆弱であることから、早急な体制強化が必要となる。また、地震及び火山現象は共通する地球科学的背景を持つことから、科学技術・学術審議会において7月に建議を行う予定である「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」においても、地震と火山を統合した計画となっており、平成21年度以降は地震調査研究と火山調査研究は互いに連携して推進することを考慮する。
→予算、機構定員等への考え方
上記の方針に基づき、継続課題については引き続き必要な予算要求を行うとともに、新規・拡充施策についての検討や、評価対象政策の改善・見直しを行う。また、防災科学技術研究に関する国際協力を推進するための防災研究調整官、及び火山防災科学技術研究を確実に推進するための専門職を新規に定員要求する。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
---|---|---|---|
地震調査研究推進本部の運営 (853百万円) |
地震調査研究推進本部の運営、及びその活動支援・広報事業を行う。また、気象庁と共同で運営している地震観測データの一元化処理装置の維持管理等を行う。 | 地震調査研究推進本部会議を2回、政策委員会関連会議を計14回、地震調査委員会関連会議を計85回開催し、地震調査研究に関する総合的かつ基本的な施策の立案、予算の事務の調整、総合的な調査観測計画の策定、関係機関の調査結果等の収集・整理・分析及び総合的な評価、広報等を行った。 具体的な成果としては、
また、気象庁、大学、防災科学技術研究所等が有する地震観測データを一元的に収集・整理・分析し、地震調査研究推進本部の評価等に提供するためのシステムが老朽化していることから、その更新に着手した。 |
継続 |
地震調査研究推進 (624百万円) |
地震調査研究推進本部の方針に基づき、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に高いと判定された地域の特定の地震を対象とした重点的調査観測や、基盤的調査観測の基準(長さ、活動度等)を満たすことが新たに判明した断層帯に対する追加調査、これまでに実施した評価の信頼度が高いとはいえない断層帯に対する補完調査を実施する。 | 1. 重点的調査観測(糸魚川−静岡構造線断層帯) 反射法地震探査、重力探査、電磁気探査により、当該断層帯のうち、特にセグメント境界の可能性の高い諏訪湖周辺の構造のイメージングを明らかにすることができた。また、継続的な自然地震観測により、断層帯中部域における、地震時の破壊過程の推定に役立つ応力状態や地殻内地震発生下限域が明らかになりつつある。さらに、変動地形調査により、活断層の分布についての詳細な知見が得られ、今後、断層帯の変位量分布などの精度向上につながるものとなる。地震本部が策定した「今後の重点的調査観測について」で掲げた調査観測が順調に進んでおり、「想定通り順調に進捗」と判断。 2. 重点的調査観測(宮城沖) 海底地震観測や津波堆積物調査により、詳細な地震活動の空間分布の把握や、東北地方沿岸域の津波浸水に関するシミュレーション結果が得られた。また、仙台圏における高精度強震動予測に関しては、モデルのチューニングが行われ、一定の改善が見られた。地震本部が策定した「今後の重点的調査観測について」で掲げた調査観測が順調に進んでおり、「想定通り順調に進捗」と判断。 3. 重点的調査観測(根室沖) 択捉島沖における過去地震の津波波形記録調査、津波堆積物調査、ロシア側地震データの調査・収集により、千島海溝沿いで発生する大地震の長期評価の精度向上に資するデータが蓄積された。地震本部が策定した「今後の重点的調査観測について」で掲げた調査観測が順調に進んでおり、「想定通り順調に進捗」と判断。 4. 追加調査 幌延断層帯においてトレンチ調査、ボーリング調査等を実施することにより、活断層の評価に必要な位置、形態、活動履歴等、当該断層帯の長期評価等に必要となるデータが得られた。以上のことから、「想定通り順調に進捗」と判断。 5. 補完調査 神縄・国府津−松田、森本・富樫、山崎、中央構造線(金剛山地東縁−和泉山脈南縁)、新庄盆地、十日町、福井平野東縁の7断層帯について、トレンチ調査、ボーリング調査等を実施し、全ての断層帯において、位置、形態、活動履歴等、活断層評価の信頼性向上に結びつくデータが得られた。また、過去の補完調査の成果については、概ねその後の地震調査委員会における長期評価改訂のための審議に資する結果が得られている。以上のことから、「想定通り順調に進捗」と判断。 |
継続 |
首都直下地震防災・減災特別プロジェクト (1,450百万円の内数) |
首都圏における稠密な調査観測を行い、複雑なプレート構造の下で発生しうる首都直下地震の姿(震源域、将来の発生可能性、揺れの強さ)の詳細を明らかにするとともに、耐震技術の向上や地震発生直後の迅速な震災把握等と有機的な連携を図り、地震による被害の大幅な軽減や効果的な救援活動に資することを目指す。 |
1.プレート構造調査・モデル構築
2. 耐震性評価・機能確保研究
3.広域的危機管理・減災体制研究
なお、上記の3プロジェクトは、5ヵ年の研究期間の初年度であり、現時点ではまだ一部の研究成果しか出ていないものの、当初の計画通りプロジェクトは進捗しているため、いずれも「想定通り順調に進捗」という判断としている。 |
継続 |
東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究 (1,450百万円の内数) (20年度達成年度到来事業) |
東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺で発生する地震を対象として、海底地殻構造調査研究及び海底地震観測研究等を実施する。 | 【事業期間全体の総括】 1. 海底地殻構造調査 1944年東南海地震における滑り量分布の不均質性を規定し、南海トラフ巨大地震の連動発生の多様性を示唆する、各種の構造要因の抽出に成功した。以上のことから、「想定通り順調に進捗」と判断。(平成19年度終了) 2. 海底地震観測 東南海・南海地震想定震源域および周辺について、海洋地殻、マントル内における地震活動の詳細が示され、応力場の空間分布が推定された。また、日本海溝・千島海溝については、十勝沖及び三陸沖における想定アスペリティ周辺の地震活動の時空間分布及び地震波速度構造が推定された。以上のことから、「想定通り順調に進捗」と判断。 3. 過去の地震観測データの整理・分析 すす書き記録紙のデジタル化を行い、データベースシステムの試作版を制作したが、平成20年度が最終年度であることを鑑みると、仕様の検討、システム構築に若干遅れが見られる。また、この記録紙の調査により、1933年三陸地震の余震の詳細な活動が得られた。以上のことから、「概ね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる」と判断。 4. 高機能地震計の開発 基盤的地震観測網で用いられている、高感度地震計、強震計をベースに広帯域高ダイナミックレンジ化をはかるため、短周期での振り切れを押さえる等の改良を行い、長期稼働状態において広帯域地震計と一致した地震記録を得ることができた。しかし、常時微動観測によるノイズ性能確認がなされておらず、総合評価を行うには至っていない。このため、平成20年度が最終年度であることを鑑みると、「概ね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる」と判断。 なお、上記事業のうち東南海・南海地震を対象とした調査研究は、
また、日本海溝・千島海溝周辺で発生する地震を対象とした調査研究についても、当該地域の地震発生予測の高度化に寄与しており、20年度終了後には、地震動予測地図の更新や、「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」の中で、得られた知見を活用することとしている。 |
廃止 |
地震・津波観測監視システム (1,558百万円) |
地震計・津波計等を備えた稠密なリアルタイム海底ネットワークシステムを構築するための技術開発を推進し、東南海地震の想定震源域である紀伊半島熊野灘沖に敷設する等により、高精度な海溝型地震予測モデルの構築や、地震・津波発生の早期検知等による迅速かつ的確な防災・減災対策への寄与を目指す。 | 1. 海底ネットワークシステムの整備 海底における稠密な長期リアルタイム観測システムの基本設計に基づき、地震計・津波計の評価、装置組み込み、設計手法等を検討し、詳細な仕様を決定した。また、観測点配置についての検討及びケーブルルート選定のための広域海域調査を実施し、ケーブル全体の展開案を決定するとともに、陸上局の立地選定(三重県尾鷲市)を実施した。以上のことから、平成22年度のシステム稼動開始に向けて「想定通り順調に進捗」と判断。 2. 次世代観測システムの開発
3. インドネシア等における地震発生機構の解明 インドネシアのスマトラ島ケパヒヤンに整備した広帯域地震観測点を運用し、データ収集を実施するとともに、インドネシア及びその周辺における既存観測点から得られた観測データも用いて、当該海域で発生する約100個の海溝型地震の震源メカニズムを解析・公開した。今後、これら解析結果は波形データとともにデータベースに登録する。以上のことから、平成22年度のデータセンターシステム開始に向けて「想定通り順調に進捗」と判断。 |
継続 |
高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト (121百万円) |
地震発生後、主要地震動(S波)が到達する前に地震の位置、時刻、規模等の情報を自治体等の防災関係機関に伝達し、自動的に防災措置を講じることを目指すための研究開発を関係省庁との連携のもと推進する。 | 1. 地震波波形処理と提供の研究 観測した地震計のデータを安定的に収集し処理するアルゴリズムや、震源・震度推定の高度化に関する研究を行い、99%の地震について、地震検出後数秒後に必要な精度が確保された震源位置を推定できるシステムを構築した。この震源位置推定システムは、平成19年10月に気象庁から一般提供が開始された緊急地震速報システムに取り入れられている。以上のことから、「想定した以上に順調に進捗」と判断。 2. 利活用に関する実験・調査 緊急地震速報を利活用した防災対応・支援システムとして、情報家電、エレベータ等の機器制御や屋外作業者向けシステム等、11分野14課題についての開発を進め、うち9分野11課題において実用化可能なレベルであることを確認した。以上のことから、「想定通り順調に進捗」と判断。 |
廃止 |
独立行政法人防災科学技術研究所による基礎基盤研究の推進 (運営費交付金8,369,361千円の内数) |
独立行政法人防災科学技術研究所において、地震災害の軽減に資するための総合的な研究開発、火山災害、気象災害、土砂災害等の防災上の社会的・政策的課題に関する総合的な研究開発を実施する。 | 地震災害、火山災害、気象災害、土砂災害等を対象とした防災科学技術に関する研究開発を、防災科学技術研究所中期計画に基づき着実に実施したため、「想定通り順調に進捗」と判断。 | 継続 |
安心・安全に係る課題の解決に向け、文部科学省の持つ多様な科学技術的知見の現場における活用を図るための基盤を構築する。
(基準年度:17年度・達成年度:22年度)
判断基準 | ニーズに立脚したテーマについて、現場ユーザーと連携しつつ、研究開発等を進め、成果を社会に実装する。 |
---|---|
|
平成18年7月の「安全・安心科学技術に関する研究開発の推進方策について」(科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会安全・安心科学技術委員会)を踏まえ、安全・安心に関する重要研究開発課題に関する研究開発を通じて、国家安全保障、国民生活の安全・安心の確保へ貢献するとともに、安全・安心に資する科学技術推進のための拠点の整備、関連研究者等のネットワークの構築を図ることを目的とした「安全・安心科学技術プロジェクト」を平成19年度から開始した。
平成19年度においては、特に、テロ対策等に資する研究開発について公募を実施し、危険物検知装置の開発や拡散・被害予測シミュレーションを行うプロジェクトを開始した。また、テロ対策等に係る知・技術の共有化を図るため調査研究を行った。
さらに、安全・安心科学技術委員会においては、平成19年7月に「安全・安心科学技術の重要研究開発課題について」をとりまとめ、これを踏まえ、平成20年度「安全・安心科学技術プロジェクト」では、地域の安全・安心の確保に係る研究開発を実施するための経費を措置した。
国際的には、日米間で実施している「安全・安心科学技術協力イニシアティブ」の下で、バイオテロや爆発物に関するワークショップを開催するなど具体的な協力が進展した。
関係省庁との連携について、警察庁と文部科学省で、平成19年4月に、「テロ・犯罪対策のための研究開発推進会議」を設置した。
なお、「科学技術振興調整費」においても、安全・安心に資する研究開発について、平成16年度より、公募を行っており、社会への実装を目標とした課題についても支援を行っている。
加えて、文部科学省では、国民の健康で安心な生活に資するため、日本食品標準成分表を作成しているが、科学技術・学術審議会資源調査分科会の意見踏まえ、ビオチン、ヨウ素、セレン、クロム及びモリブデンの成分分析に資するため、「国民の健康な食生活に資する食品成分定量分析」事業を平成19年度より開始し、現場ユーザーを含む専門家の意見を反映しつつ、コンポジット分析が可能な場合についてのサンプリング方法、定量方法等、より低コストの分析方法を提案した。
さらに、放射線源の管理について、国際原子力機関(IAEA)が策定した「放射線源の安全とセキュリティに関する行動規範」において求められている線源のトレーサビリティを確保するため、放射線源登録管理システムの開発を平成19年度より開始するとともに、放射線障害の防止に関する規制事務を効率的に実施する放射線障害防止総合管理システムを平成18年度に引き続き運用し、システムの一部を改修した。
A
テロ対策、食品成分分析、放射線源の管理等のテーマについて、現場ユーザーと連携した、研究開発等がそれぞれ順調に進捗しているため、Aと判断した。
成果を社会に実装させるため、国際的な連携や関係省庁との連携等をさらに推進する。平成19年度順調に進捗した「安全・安心科学技術プロジェクト」については、ニーズの高い分野について積極的に拡充する必要がある。
その他、放射線利用に伴い発生する廃棄物の埋設技術基準等の整備のための廃棄物対策専門官を新規に機構定員要求する。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
---|---|---|---|
安全・安心科学技術プロジェクト(405百万円) | 重要研究開発課題の研究開発(テロ対策等)を進めることにより、国家安全保障、国民生活の安心と安全確保への貢献を目指す。また、この取組を通じ、安全・安心に資する科学技術推進のための拠点の整備、関連研究者等のネットワークの構築を図る。 | 3年間の研究開発プロジェクトとして、ウォークスルー型爆発物探知システム(日立製作所)、ミリ波パッシブ撮像装置の開発(東北大学)、有害危険物質の被害拡散予測と減災対策研究(東京大学)を採択し、研究開発を進めた。また、生物剤・化学剤の検知装置については、フィージビリティスタディを実施した。加えて、安全・安心に関わる知・技術の共有化に資するため、関係機関間のネットワークの構築やワークショップの開催を行った。 | 継続 |
国民の健康な食生活に資する食品成分定量分析(27百万円) | 「日本人の食事摂取基準」(平成16年10月25日、厚生労働省策定)に新たに推奨量等が定められたクロム、モリブデン、セレン、ヨウ素、ビオチンの5成分について、一部の主要食品の成分値を定量分析し、より低コストの分析方法等について提案。 | 5成分の含有量が比較的高いと思われる主要食品(600品目程度)のうち76品目について成分値を定量分析し、その分析値を資源調査分科会食品成分委員会作業部会において評価した結果、これら分析値の妥当性が確認されるとともに、20年度以降の分析方法について、「コンポジットが可能な食品については、サンプリングは5ロットまで、コンポジットする点数は1ロット5点、分析試料の大きさは1点20〜40グラムまでが望ましい」との提案がなされた。 | 継続 |
放射線障害防止総合管理システムの運用(22百万) | 放射線障害防止法に基づく規制対象者のデータを整備することにより、公衆の放射線障害の防止に貢献する。 | 放射線障害防止総合管理システムの運用及び改修が適切に行われた。 | 継続 |
放射線源登録管理システムの整備・運用(34百万) | 国際原子力機関(IAEA)が定めた「放射線源の安全とセキュリティに関する行動規範」において求められている、放射線源の所在情報を登録し国内の放射線源をトレース可能にする放射線源登録管理システムについて、2008年度までに整備し、2009年度より運用を開始する。 | 放射線源登録管理システムの開発に着手した。 | 継続 |
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --