(基準年度:19年度・達成年度:25年度)
気候変動や地球ダイナミクス等、環境・海洋分野の諸問題は、人類の生存や社会生活と密接に関係していることから、これらの諸問題を科学的に解明し、国民生活の質の向上と安全を図るための研究開発成果を生み出す。
各達成目標の平均から判断(S=4、A=3、B=2、C=1として計算)。
気候変動や地球ダイナミクス等、環境・海洋分野の諸問題は、人類の生存や社会生活と密接に関係している。これらの諸問題を科学的に解明し、国民生活の質の向上と安全を図るための研究開発を引き続き行った。
施策目標10‐3の下の各達成目標についての平成19年度の状況は、以下の通り。
人工衛星、ブイ、船舶、アルゴフロート等を活用し大気、海洋、陸域における観測を行うとともに南極域における研究・観測を行うことで、地球温暖化等の地球規模の環境変動等の解明を行った。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書をはじめ、地球温暖化対応のための政策決定に貢献するモデル技術を高度化し、短期から長期にわたる気候変動予測について、極端現象を含めた確度の高い予測情報を提供するための研究を行った。
海洋・陸面・大気の観測を着実に行い、データの蓄積が進み、多くの研究者の利用に資するとともに、地球環境変動の現象と過程に関する研究および各種モデルの開発が進んでおり、概ね順調に進捗した。
バイオマス分野については、自治体等がバイオマス利活用の中長期計画を策定する際に利用が可能なプロセス技術、安全性評価、物流を含めた統合的なバイオマス集積・処理システムのモデル開発を行うなど、産学官連携により、バイオマスの利活用に関する研究開発を5年間行い、プロジェクトを終了した。
地球内部ダイナミクス分野では、海底地殻変動による災害の軽減に資するために、巨大地震の発生域であるプレート沈み込み帯の地殻構造の解析を進展させるなど、海域の地震・火山活動に関する調査観測等による現象と過程に関する研究を行い、地球内部プレートの動的挙動モデルの開発が進んでおり、概ね順調に進捗した。
海洋・極限環境生物分野では、中深層生物の細胞培養法やそれを用いた実験法を確立するなど、特殊な環境に生息する生物の機構を解明した。
基盤技術開発分野では、自律型無人探査機に複数の探査機器を同時に搭載し、海底精密調査試験を3回実施するなど、実運用に向けた詳細なデータの取得が確認できた。
深海地球ドリリング計画では、地球深部探査船「ちきゅう」の掘削試験を引き続き行い、掘削に必要な技術をさらに蓄積するとともに、研究や解析着手に必要なLWDデータや地殻コア試料を取得するなど、順調に進捗した。
以上のように、各分野とも順調に進捗していると評価できる。
達成目標の結果は、全ての項目でAとなり、平均で3.0となった。
これらの各達成目標から、施策目標の評価をAとする。
評価結果:A
気候変動等地球環境の観測・予測分野や地球内部ダイナミクス分野、バイオマス分野の研究開発は、災害の軽減、地球環境の保全等、人類の生活や社会基盤の発展・安定に大きく影響する分野である。
また、海洋・極限環境生物分野は、産業利用等への応用が期待され、深海地球ドリリング計画では地球環境変動、地球内部ダイナミクス、海底地殻内微生物の解明等、地球科学に関する研究を促進するものである。
このため、環境・海洋分野の研究開発を引き続き推進していく必要がある。
環境・海洋分野の研究開発を推進することは、環境・海洋関連政策に寄与するとともに、人類の生活や社会基盤の発展・安定に貢献するものである。
本事業の実施により、環境・海洋分野の研究が促進される。
人類の生活や社会基盤の発展・安定や新規産業の開拓等が期待され、これらの効率性の観点から妥当である。
これまでの取組を引き続き推進
引き続き、地球温暖化、水循環、資源循環、地球ダイナミクス、深海掘削等の環境・海洋分野の問題について、第3期科学技術基本計画や総合科学技術会議の環境分野推進戦略、地球観測の推進戦略、南極地域観測第7期計画(18~21年度)を受け、その影響を科学的に解明し、適切な対応を図るための研究開発を行う。
特に、第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)の重点推進分野に位置づけられる環境分野の研究は引き続き着実に推進する。また、推進分野に位置づけられるフロンティア分野については、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」に位置づけられる次世代型深海探査技術および深海底ライザー掘削技術の要素技術開発を平成19年度より開始したところであり、着実に推進するように努める。
第2期基本計画において、国家的・社会的課題に対応した研究開発の中で特に重点を置き、優先的に資源を配分することとされたライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野については、次のような観点から、引き続き基本計画においても、特に重点的に研究開発を推進すべき分野(「重点推進4分野」という。)とし、次項以下の分野内の重点化の考え方に基づきつつ優先的に資源配分を行う。
(中略)
また、上記の重点推進4分野以外のエネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティアの4つの分野について、引き続き、国の存立にとって基盤的であり国として取り組むことが不可欠な研究開発課題を重視して研究開発を推進する分野(「推進4分野」という。)と位置付け、次項以下の分野内の重点化の考え方に基づきつつ適切な資源配分を行う。
気候変動研究領域では、以下のように7つのプログラムを設定し、観測、予測、影響把握、適応策から政策科学と対策技術へつながる一貫したシステム的研究体制の下で、重要な研究開発課題に取り組む。
気候変動を監視しつつ、海水面、雪氷圏等への地球温暖化の直接的な影響を的確に把握する包括的な観測体制を整備し、人の健康、生態系に与える影響等の間接的な影響を含めた評価を行うことが必要である。また、地球温暖化に係る温室効果ガス及び関連物質の状態を包括的、継続的に観測し、地球温暖化のプロセスの理解を深め、気候変動の将来予測の不確実性を削減することが求められている。これらは、地球温暖化に関わる現象解明・影響予測・抑制適応の知見の集積にとって不可欠であり、また広く地球環境の包括的な理解を深めるものである。
南極地域は、その地理的特性と地球環境モニタリングの面から科学観測を欠かすことのできない重要な地域である。今後の南極観測においても、南極が有する、極めて汚染の少ない空間、地球史情報の半永久的な凍結保存、宇宙に開かれた窓等の優位性を活用し、全地球的視点からの地球環境に関する観測や地球システムの観測を更に強化する必要がある。同時に、国際社会における我が国の責務としての基本的な観測の継続を確保する必要がある。
(2)分野別の戦略的な研究開発の推進
環境分野
ポスト京都議定書に向けスーパーコンピュータを用いて21世紀の気候変動を正確に予測する科学技術
フロンティア分野
次世代海洋探査技術
地球温暖化の科学的な知見の不確実性を低減するため、また、温暖化の影響評価及び適応策を検討するためにも、途上国の能力向上の支援をしつつ、全球地球観測システム(GEOSS)をはじめとする国際的なネットワークにより、地球観測衛星等による環境モニタリングや最先端のシミュレーション技術を利用した将来予測、情報の共有を長期にわたり着実に実施する。
2.地球観測、気候変動予測及び影響評価への国際貢献
国際的な気候安定化政策は、気候等に関する科学的知見に基盤を置いており、IPCCに代表される科学の成果が大きな流れを作る。我が国の優れた気候関連科学をさらに進め、独自の政策基盤を確保することが重要である。地球上の地域ごとの気候変動予測など、観測・予測精度の向上を図り、IPCCの第5次評価報告書に向けてより一層の貢献を果たし、国際的枠組み作りへの有効な情報、知見を提供する。
また、開発途上国を中心とした海外への地球観測データや地域の環境影響評価・予測結果等の提供を通じ、国際貢献を図る。
なし
人工衛星、ブイ等を活用し大気、海洋、陸域における観測や南極域における研究・観測を行い、「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」の推進に寄与するとともに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書へ科学的根拠を提供できる確度の高い予測モデルの開発を行うことで、地球環境・気候変動観測・予測分野における国際的な枠組みに貢献し、各種政策決定に寄与する。
(基準年度:13年度・達成年度:26年度)
判断基準1 | 地球観測分野における人工衛星の開発・運用・利用状況 |
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判断基準2 | 南極地域観測第7期計画の進捗状況 |
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判断基準3 | GEOSS構築推進に貢献する観測研究・技術開発の進捗状況 |
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判断基準4 | データ統合・解析システム構築の進捗状況 |
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判断基準5 | 気候変動予測にかかるモデル開発およびシミュレーション技術開発等の進捗状況 |
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1 人工衛星からの地球観測については、気候変動予測や環境変動の解明等に係る観測データの取得・提供に資する衛星の研究開発及び運用を行った。陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)については、運用を継続し、国内外へのデータ提供や共同研究を通じ、植生把握等の利用実証を実施した。特に、ブラジル政府機関にアマゾンの森林伐採域のデータを提供するなど、違法伐採地域の特定に貢献した。また、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)(平成20年度打上げ予定)、全球降水観測計画/二周波降水レーダー(GPM/DPR)、地球環境変動観測ミッション(GCOM)、雲エアロゾル放射ミッション/雲プロファイリングレーダ(EarthCARE/CPR)については引き続き順調に研究開発を行った。
2 南極地域観測事業においては、平成18年度から4か年を1単位とする第7期計画を策定し、観測活動を実施している。平成19年度は、以下のような特段の進捗が見られた。
3 第3回地球観測サミット(平成17年2月)で承認された全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画に貢献するために、「地球観測システム構築推進プラン」を推進した。本プランの下で、「地球観測の推進戦略」(平成16年12月総合科学技術会議)におけるニーズに対応する戦略的な重点化5分野のうち、温暖化予測精度の不確定性要因の減少、観測の空白域での観測の強化に寄与する地球温暖化とアジア・モンスーン地域の水循環・気候変動、及び対流圏大気変化に関する観測研究・技術開発を推進した。地球温暖化の解明に必要な大気・海洋間の炭素循環に関する観測研究においては、海洋二酸化炭素センサーの性能試験、漂流可能な小型センサーの設計・製作等を行うとともに実証観測を開始した。また、アジア・モンスーン地域の水循環・気候変動に関する観測研究においては、大気・海洋現象の観測・解明のために大気・海洋観測データ取得に必要なブイシステムの開発・改良・運用及びセンサーの精度評価等を行うとともに実証観測を開始した。さらに、地球温暖化の解明に必要な対流圏大気変化に関する観測研究においては、対流圏の大気汚染ガス・エアロゾルの測定装置の改良、東アジア地域における観測網構築等に着手し、概ね順調に進捗している。
4 データ統合・解析システムについては、期間中に構築を予定している1ペタバイトの処理空間のうち約600テラバイトのハードディスクアレイによる処理・解析容量を整備するとともに、さまざまな地球観測データや気候変動予測の数値モデルの出力などから、地球温暖化・水資源・生態系分野に必要な情報に変換して提供するための応用機能の開発を進めた。これまでに「だいち」などの人工衛星のデータや、地上・海洋観測のデータ、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書に使用された世界の20以上の数値モデルなどのデータが蓄積された。なお、高速データダウンロード専用ツール群(通常転送速度の26倍速を実現)についても開発を行い、効率的なデータ投入を可能にした。
5 気候変動予測については、平成19年度から「21世紀気候変動予測革新プログラム」を開始した。これは、平成19年にノーベル平和賞を受賞したIPCC第4次評価報告書に、地球シミュレータ活用による研究成果が多数取り上げられることで、科学的根拠の提供による貢献を果たすなど、非常にレベルの高い成果が出ているほか、マスコミや雑誌などにも多数取り上げられ、平成18年度に終了した「人・自然・地球共生プロジェクト」の成果を基盤として、平成26年に策定する計画のIPCC第5次評価報告書に貢献するため、引き続き地球シミュレータを活用して地球温暖化予測研究を行うものである。初年度の平成19年度については、予測モデルの物理過程改良やモデルの高解像度化、データ同化、アンサンブル手法の見直しや、現在気候再現実験、海面水温アンサンブル実験と不確実性の評価等を行い、達成目標について概ね順調に進捗している。
また、全球大気海洋結合モデル(CFES)の改良に注力し、海洋モデル(OFES)及び大気モデル(AFES)に新たなスキームを導入することで、より正確な混合層及び下層雲の再現に成功した。これらの改良したCFESによる長期積分を開始した結果、中緯度の大気海洋相互作用をより詳細に予測することが可能となった。
以上のことから、10‐3‐1の目標に向かい概ね順調に進捗している。
平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
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JAXA(ジャクサ)が開発し打ち上げた地球観測衛星 | 1 | 0 | 0 | ||
地球観測システム構築推進プランで観測を開始した地点数及び開発された観測測器または手法の数 | 4 | 119 | 77 | ||
データ統合のために蓄積された観測等のデータ量(バイト) | 約300テラバイト |
A
地球観測・気候変動予測に関する研究は「2.平成19年度の状況」から見ても、研究開発の段階は順調に進捗している。
今後も引き続き、気候変動予測精度の向上や環境変動の解明に貢献し、「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」を推進するため、衛星による地球観測を推進することを国が取り組むべき重要な施策とする。陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)を始めとして、既に打ち上げられている衛星については着実な運用を継続する。また、平成20年度中(予定)の打上げに向けて温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の試験を継続するとともに、今後も地球環境観測に資する衛星の着実な研究開発を推進する。
南極地域は、地球環境変動を顕著に捉えることができる場所であり、さらに地球システム全体に重大な影響を及ぼしている。このため、南極地域観測に対する社会の期待もますます増大しており、南極地域観測を今後も継続する必要がある。南極地域観測事業の推進を図る上で最も重要かつ不可欠なものが、観測隊を派遣し、大量の物資を輸送する体制である。輸送体制の確保については、南極観測船「しらせ」が平成19年度南極行動で退役するため、平成21年度の就航に向けて、計画どおりに新南極観測船の建造を進捗させる必要がある。また、南極地域観測の継続性の観点から、平成20年度は、南極地域観測統合推進本部(事務局:研究開発局海洋地球課)において、オーストラリア南極局との共同観測、輸送の計画を検討する。
地球観測システム構築推進プランについては、温暖化予測の不確実性要因の減少、観測の空白域での観測の強化に寄与する地球温暖化・炭素循環、アジア・モンスーン地域の水循環・気候変動、及び対流圏大気変化に関する観測研究・技術開発並びに大気・海洋観測データ取得のためのシステム構築を着実に実施するとともに、開発したセンサー等の普及に努める。また、観測網の充実により全球の二酸化炭素等の濃度分布を高精度に把握し、その成果を温暖化予測モデルへ提供することで予測の高精度化に貢献する。
また、引き続きデータ統合・解析システムの構築を目指すが、開発中のプロトタイプシステムを使い、各種実証モデルの、さらに、GEOSSへの貢献の一環として、当該システムのアジア地域における水資源管理や洪水・渇水被害軽減への有効性についても取り組みを始める。
気候変動予測分野については、引き続き、現象と過程に関する研究を行い、各種モデルの開発を進め、それらのモデルを用いた数値実験や計算結果の解析を行いながら予測精度を向上させる。
また、実際の大気・海洋諸現象のメカニズム解明とその予測を高精度で実現するシミュレーションプログラムの開発を進め、信頼のおける技術を確立することが必要である。
脱温暖化社会の構築のための政策立案及び対策の確立を推進するためには、健全な意思決定のための科学的基礎の構築が必要とされており、より精緻な予測モデルの開発と高い信頼度を有する予測情報の創出が急務であり、IPCC第5次評価報告書をはじめ、まだ不確実である予測の精度を高め、より確かな科学的根拠を付与できるよう「21世紀気候変動予測革新プログラム」の拡充、推進を行う。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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独立行政法人宇宙航空研究開発機構による実施 (運営費交付金128,826百万円の内数、地球観測衛星開発費補助金13,671百万円の内数) |
人工衛星の研究開発及び運用。 | 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の着実な運用を継続するとともに、気候変動予測の向上や環境変動の解明に資する地球観測衛星の研究開発を行った。 | 継続 |
地球観測システム構築推進プラン (573百万円) |
「地球観測の推進戦略」で示された地球システムの包括的な理解に向けて体系的に取り組むべき課題・事項において我が国の独自性の確保 とリーダーシップの発揮ができる観測研究・技術開発を行い、研究終了後、国際的な協力・連携の下で実施される全球観測に応用・実用化されることにより、 GEOSS構築を促進させることを目指す。 | [得られた効果]
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継続 |
データ統合・解析システム (620百万円) |
地球観測データを科学的、社会的に有用な情報へと変換し、それを国際的に共有することにより、包括的、調整的、及び持続的な地球観測のための国際的な取組であるGEOSSの構築への貢献を目指す。 |
|
継続 |
「21世紀気候変動予測革新プログラム」 (2,313百万円) |
地球温暖化の抑制や適応策のための効果的、効率的な政策及び対策の実現に資するため、確度の高い予測情報の創出や、信頼度情報の提供、近未来の極端現象による自然災害分野の影響評価に関する委託研究事業を実施。 | 予測モデルの物理過程改良やモデルの高解像度化、データ同化、アンサンブル手法の見直しや、現在気候再現実験、海面水温アンサンブル実験と不確実性の評価等を実施した。 | 継続 |
南極地域観測事業に必要な経費 (6,105百万円) |
極域に現れる諸現象を、超高層大気、海洋、雪氷、地質等の様々な分野で観測し、その実態と因果関係、変動のメカニズムを総合的に解析し、地球的規模での極域の役割の解明を図る。 | 第7期計画に基づく、観測活動を実施。 | 継続 |
南極地域観測船建造に必要な経費 (7,664百万円) |
平成21年度の就航に向けて、新南極観測船の建造を進捗させる。 | 防衛省の平成17年度砕氷艦基本計画、17AGB建造工程に基づく建造を実施。 | 継続 |
アジア・太平洋域を中心とした地域での海面・陸面・大気の観測を行うことにより地球環境観測研究分野の基盤を構築するとともに、地球環境変動について予測モデルの開発などを行うことにより、気候変動予測研究の充実を図る。
(基準年度:13年度・達成年度:20年度)
判断基準1 | アジア・太平洋域を中心とした地域での海面・陸面・大気の観測及びデータ解析・公開の進捗状況 |
---|---|
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判断基準2 | 地球環境変動の予測のためのモデル開発・数値実験等の進捗状況 |
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判断基準1に関する平成19年度の状況は以下のとおり。
世界23カ国とEUの協力、世界気象機関(WMO)、政府間海洋学委員会(IOC)の支持の下に、国際アルゴ計画(目標稼働フロート数:3,000基)に積極的に参画し、地球環境変動予測に不可欠な海洋データを全地球規模で収集するためアルゴフロートを投入している。本年度、稼働中のフロート数は3,000基を超え、全球海洋を約300キロメートルの分解能で覆う水温・塩分観測網が整った。わが国は平成19年度までに635基を投入し、このうち375基が稼働中で、これは全世界で観測中のアルゴフロート(3,129基)の12.0パーセントにあたる。
北極海多年氷海域で新型の氷海観測用プロファイラーPOPS(Polar Ocean Profiling System)による観測を始め、世界で初めて北極海からのアルゴフロート・データの配信を行った。北極海の太平洋側における急激な海氷減少は、太平洋から暖かい水が流入し、海洋が温暖化したことによるものであることを明らかにした。また、北太平洋での物質循環観測及び取得データの解析・公開に関わる成果としては、西部北太平洋亜寒帯域の溶存二酸化炭素をはじめとする溶存成分の時系列変化を明らかにするため、2001年からのデータの品質管理を行い公開した。
海洋地球研究船「みらい」等の研究船、海洋観測ブイシステム、アルゴフロート等による観測データは品質管理を行った上で公開を行い、多くの研究者、現業機関の利用に供している。特に、海洋観測ブイシステムのデータのホームページに対するアクセス数は14万件を超え、多くの研究者の利用に資している。また、平成19年にノーベル賞を受賞したIPCCの第4次評価報告書にも、これらの観測によって得られた成果が多く引用されている。その他、気象庁をはじめ世界中の気象予報機関により、水温予測やエルニーニョ現象の監視・予測といった気象・海洋業務に活用されている。
北ユーラシアから東南アジアにかけ、陸面・流域気象水文観測、レーダー・ウインドプロファイラー・GPS等の大気観測等を行い、水循環変化による急激な凍土融解およびインドネシアでの豪雨や突風に関して新たな知見を得た。また、パラオ周辺域やモルディブでも大気・海洋の集中観測を実施した。
これらは、第3期科学技術基本計画の環境分野における戦略重点科学技術に位置づけられている「地球・地域規模の流域圏観測と環境情報基盤」に資するものである。
判断基準2に関する平成19年度の状況は以下のとおり。
結合モデルを用いた200年間に亘る過去再現実験を行い、気候変動の大きな要因となる熱帯域のエルニーニョ現象とインド洋ダイポールモード現象(IOD)の再現性及び予測性の高さにおいて、世界第1位の成果を出した。また、世界初のIOD予測に2年連続で成功し、これは世界で唯一の成果である。
現状の大気大循環モデルにおける不確定性の要因である積雲パラメタリゼーションを用いない、水平分解能数キロメートルで全球を覆う全球雲解像モデルNICAM(非静力学正20面体大気モデルNonhydrostatic Icosahedral Atmospheric Model)を用いて、熱帯の大規模擾乱(マッデンジュリアン振動)の再現実験を行い、組織化した積雲クラスターの詳細構造まで現実的な特徴を世界で初めて再現した。
全球3次元海洋生態系モデル(COCO-NEMURO)に海洋炭素循環モデル相互比較研究計画(OCMIP)に基づく炭素循環過程を組み込んだ経年変動実験を行い、北太平洋における太平洋十年振動(PDO)の気候変動と、生物生産及び大気海洋CO2(二酸化炭素)フラックスの長期変動についてモデル結果を解析した。この結果、モデルは1970年代の気候シフトをよく再現しており、気候シフト後、海面水温の低下や生物生産の増加とともに、二酸化炭素の海洋への吸収量が増加したことを示した。
動的全球植生モデル(DGVM)を全球レベルまで開発し、現在陸面‐大気結合モデルMATSIRO-AGCMにつなぎ始めた。また、局所間相互作用を陽に扱うことのできる(それぞれの方程式を一つずつ解くことができる)新しい動的全球植生モデル(SEIB-DGVM)を用いて、異なる種子分散条件において温暖化シミュレーションを詳しく行った。その結果、これまで全球植生モデルでは考慮されることのなかった種子分散が、将来の全球炭素収支に大きな影響を与えうることが予測された。
以上のように、海洋・陸面・大気の観測を着実に行い、データの蓄積が進み、多くの研究者の利用に資するとともに、地球環境変動の現象と過程に関する研究および各種モデルの開発が進んでおり、概ね順調に進捗している。
平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
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1.アルゴフロートの投入フロート数
|
257 | 374 | 468 | 557 | 635 |
2.海洋観測ブイの取得データへの研究者からのアクセス数 | 147,230 | 133,181 | 143,984 | 143,593 | 142,743 |
3.アルゴ計画による塩分水温データ取得数 | 5,141 | 7,346 | 10,578 | 13,878 | 13,216 |
4.アルゴフロート取得データへの研究者からのアクセス数 | 6,294,290 | 13,317,606 | 18,237,593 | 28,134,635 | 16,987,684 |
A
2.のように、海洋・陸面・大気の観測を着実に行い、データの蓄積が進み、多くの研究者の利用に資するとともに、地球環境変動の現象と過程に関する研究および各種モデルの開発が進んでおり、概ね順調に進捗している。
→予算、機構定員等への考え方
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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地球環境観測研究 [独立行政法人海洋研究開発機構 運営費交付金37,190百万円の内数] |
各種観測機器を用い、海洋・陸面・大気の観測研究を実施する。 |
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継続 |
地球環境予測研究 [独立行政法人海洋研究開発機構 運営費交付金37,190百万円の内数] |
各種観測データ等を基に、スーパーコンピュータを利用し、地球環境予測モデルを開発する。 |
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継続 |
「持続型経済社会」の実現に向け、都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化に関するプロセス技術開発を行うとともに、その実用化と普及を目指して、影響・安全性評価及び社会システム設計に関する研究開発を産学官の連携・協力で推進する。
(基準年度:15年度・達成年度:19年度)
判断基準 | 廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化に関するシステム開発状況および「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」成果発表会における講評 |
---|---|
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プロセス技術開発としては、家庭から排出される一般廃棄物や廃材等の建設廃棄物等を低温でガス化し、組成が安定した有価ガス(メタン、水素等)を効率的に取り出しエネルギーに変換する技術開発を行った。この技術開発においては、ガスエンジン発電技術と結びつけることにより、従来のゴミ処理発電に比べ、2倍の発電効率を達成するなど、当初の目標以上の効率を達成した。
また、その安全性の検証として、各種廃棄物のガス化炉で発生する副生成物(重金属等)に対し、プラントの運転条件による毒性の傾向の把握を行った。
さらに、技術の普及に向けた社会システム設計において、バイオマスの発生源、輸送及び変換プロセスに関するデータを取りまとめた要素モデルの開発を進め、自治体等がバイオマス利活用の中長期計画を策定する際に利用が可能なプロセス技術、安全性評価、物流を含めた統合的なバイオマス集積・処理システムのモデル開発を行った。
経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)の一つ「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として、産学官連携により、バイオマスの利活用に関する研究開発を5年間行い、研究開発は順調に進捗し研究を終えた。
平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
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廃棄物・バイオマスの再資源化の技術開発として行うガス化発電によるエネルギー変換効率:従来方式比 | 1 | 1.1 | 1.3 | 1.7 | 2 |
文部科学省データ調べ
A
指標としたエネルギー変換効率は年度を経る毎に向上しており、研究開発は順調に進捗し研究を終えた。
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球環境科学技術委員会において、指標とした原料化、燃料化のエネルギー変換効率を従来の2倍にできるなど、研究開発は順調に進捗し、当初の目標をほぼ達成しており、全体的に良い成果が上がったと評価された。
研究成果普及のため、その成果をホームページで公開し、環境省、国交省、経産省などの関係省庁や研究機関、地方自治体からアクセスできるよう整備を行う方針である。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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経済活性化のための研究開発プロジェクト「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」 (306百万円) |
一般・産業廃棄物・バイオマスの再資源化に関するプロセス技術開発、影響安全性評価、物流含む社会システムの設計に関する委託事業を実施 | プロセス技術開発として構築した実証プラントでは、高効率ガス化システム技術等の開発を実施し、目標としたエネルギー変換効率:従来方式比2.0倍を達成した。 プロジェクトの最終年度となり、自治体等がバイオマス利活用をしていくにあたっての中長期計画策定において利用が可能な、プロセス技術、安全性評価、物流を含めた統合的なバイオマス集積・処理システムのモデル開発を実施した。 |
19年度で廃止 |
海域の地震・火山活動を引き起こす地球内部の動的挙動(ダイナミクス)について、調査観測等により現象と過程に関する研究を推進するとともに、海底地殻変動による災害の軽減に資するモデルを開発する。
(基準年度:13年度・達成年度:20年度)
各判断基準の結果の平均から判断する(S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)
判断基準1 | より信頼性の高いシミュレーションのための、地殻構造解析や物性情報の組込み等、プレート挙動モデルの高度化の進捗状況 |
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判断基準2 | マントル対流モデルと結びついた地球内部構造モデルの開発のための、広帯域海底地震計のデータを用いた南太平洋ホットスポット域の観測データの蓄積及び数値実験による地球マントル対流の再現の進捗状況 |
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判断基準3 | プレート沈み込み・マントル深部物質上昇等による地球内部の物質移動についての知見を蓄積するための、地球深部起源マグマの化学的・岩石学的解析、地球内部の超高圧下での物性実験等の進捗状況 |
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判断基準1については、日本列島の地殻変動に密接に関係するフィリピン海プレート・太平洋プレートの沈み込み帯及び伊豆・小笠原・マリアナ弧に重点を置いて構造イメージングを進めるとともに、プレート沈み込み帯に伴う流動・変形・破壊過程を含む時空間スケールの異なるプレート挙動並びに島弧地殻の形成過程を表現する新しいプレート挙動モデルについて、平成16年度までに開発したモデルを、特に深さ方向に拡大し、また、地震波P波の速度構造に基づくモデルの作成を行った。これにより、より信頼性の高いシミュレーションが可能となった。
判断基準2については、マントル対流モデルと結びついた地球内部構造モデルを開発するため、観測研究を実施した。主な成果として、広帯域海底地震計のデータを用いて南太平洋ホットスポット域のマントル構造についてモデルを求め、スーパープルームの全体像を明らかにした。プルームが引き起こす地表面の変形を対流計算によって求め、実測される地形異常を説明することができた。また、マントル対流数値実験の中にプレート運動の効果と大陸の効果を取り入れることに成功し、実際のマントルに近い条件でのマントル対流の再現が可能になった。
判断基準3については、プレート沈み込み・マントル深部物質上昇等による地球内部の物質移動についての知見を蓄積するため、地球深部起源マグマの化学的・岩石学的解析、地球内部の超高圧下での物性実験等を行った。主な成果として、島弧進化・大陸地殻形成の過程で地殻物質がマントルへ転移する際の新しいモホロビチッチ不連続面の概念を提案したこと、マントル最下部における物性を明らかにしつつあること、が挙げられる。
以上のように、海域の地震・火山活動を解明し、海底地殻変動による災害の軽減に資するために、調査観測等による現象と過程に関する研究を行い、地球内部プレートの動的挙動モデルの開発が進んでおり、概ね順調に進捗している。
A
2.に示すように、調査観測等による現象と過程に関する研究を行い、地球内部プレートの動的挙動モデルの開発が進んでおり、概ね順調に進捗している。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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地球内部ダイナミクス研究 [独立行政法人海洋研究開発機構 運営費交付金37,190百万円の内数] |
各種観測データ等を基に、スーパーコンピュータを利用し、マントル・プレートの動的挙動モデルを開発する。 | プレート挙動モデルの高度化を推進。マントル下降流・上昇流域での地震・電磁気観測とマントル構造推定及びさらに実際のマントルに近 い条件で様々な相転移を取り入れたマントル・コア対流に関する数値実験、室内実験をもとに地球内部構造モデルの開発が進捗した。また、岩石学・地震学を融 合させた島弧進化の解析が進捗し、特に、新しいモホ面の概念を提案した。 | 継続 |
海洋の多様な生物・生態系を把握するとともに、その機能等を解明する。また、得られた成果を基に産業応用につながる研究開発等を行い、社会への還元を目指す。
(基準年度:13年度・達成年度:20年度)
各判断基準の結果の平均から判断する(S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)
判断基準1 | 深海底等の極限環境が生物に与える影響と生物の機能の解明のための、解析法の検証及び環境適応機能の解析の進捗状況 |
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判断基準2 | 地殻内微生物の生息環境・種類・量に関する知見の蓄積のための微生物の探索・調査及び新培養法の確立の進捗状況 |
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判断基準3 | 中・深層以深の深海生態系における生物生産、食物連鎖、物質循環の解明のための、生物群集の分布調査・解析及び生物群集と環境因子の関連性調査の進捗状況 |
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判断基準4 | 菌株・DNA等のバイオリソースの保存・管理状況 |
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判断基準1については、極限環境微生物のメタゲノム解析を引き続き進める一方で、機能解析から同定された高圧・低温増殖必須遺伝子80個のうち40個について、遺伝子・物理的相互作用がみられ、細胞内におけるネットワークを明らかにした。また、臨界点近くでの微粒子挙動を精密に測定するための圧力制御装置の開発、中深層生物の細胞培養法やそれを用いた実験法を確立した。
判断基準2については、下北沖の地殻内にこれまで知られているより豊富なバイオマスが存在することを明らかにし、多くの活動的微生物構成種の培養に成功したほか、地殻内微生物と地質学的な環境条件との関わりを明らかにした。また、εプロテオバクテリアのゲノム解析等により、新規なエネルギー代謝系の存在や窒素代謝系の存在を明らかにした。さらに、「現場環境物理条件再現下培養法」や「環境工学的バイオリアクター法」といった新しい培養法を確立し、これまで分離できなかった新規の深海・地殻内微生物の培養に成功した。
判断基準3については、中・深層における動物プランクトンの日中鉛直行動の動態を探ることにより、物質循環において中・深層プランクトンの果たす役割を解析した。また、化学合成生物であるシロウリガイの共生細菌の全ゲノム情報を利用して遺伝子発現解析を行い、細胞内共生による進化でゲノムが縮小する過程を解析した。
判断基準4については、非常に多くの深海微生物を分離しており、バイオリソースとしての保存・管理が適切に行われており、その保存数は着実に増加している。
以上のように極限環境生物の特性等の解明に関する研究が進んだ。また国際バイオエキスポへの出展、深海バイオフォーラムの開催、民間企業との共同研究などを通じて研究成果の還元も行われ、概ね順調に推移した。
年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 |
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深海微生物の保存菌株数
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4,200 | 4,700 | 5,050 | 6,000 | 6,800 |
経済社会活動の発展や国民生活の質の向上をめざし、菌株・DNA等の貴重なバイオリソースの保存・管理を行い、適切な取り決めの下提供するため、その保存管理の状況を把握するために、深海底をはじめとする極限環境の保存菌株を参考指標とした。
A
2.に示すように生物特性等の解明に関する研究が進んだ。また国際バイオエキスポへの出展や、深海バイオフォーラムの開催、民間企業との共同研究など、研究成果の還元も行われ、概ね順調に進捗した。また、菌株・DNA等の貴重なバイオリソースの保存・管理について、概ね順調に拡大した。
引き続き、コアサンプル等からの地殻内微生物の探索・解析やメタゲノム解析、化学合成生態系の共生細菌の機能の解析や、生物群集の定量的分布調査及び解析などを進める。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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海洋・極限環境生物研究 [独立行政法人海洋研究開発機構 運営費交付金37,190百万円の内数] |
海洋の多様な生物・生態系を把握、深海底・海底地殻内等で生物の探索、特徴的な生態系の研究等を行う。得られた成果をもとに民間企業との共同研究等を行う。 |
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継続 |
海上・海中・海底・地殻内等の多様な環境下での調査観測機器開発等、海洋に関する研究開発の進捗のために必要な基盤技術を開発する。
(基準年度:13年度・達成年度:20年度)
各判断基準の結果の平均から判断する(S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)
判断基準1 | 自律型無人探査機(AUV)を用いた実観測に向けた観測性能向上のための、海底地形探査等の観測機能の海域試験および、性能確認の進捗状況 |
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判断基準2 | 海底におけるケーブル式観測システム開発のための要素技術開発および、実海域試験の進捗状況 |
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判断基準3 | 海洋の現場環境観測を可能とするセンサーや水中音響技術の高度化等の研究開発および、実海域試験の進捗状況 |
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判断基準1については、実運用に向けて自律型無人探査機「うらしま」に複数の探査機器を同時に搭載し、海底精密調査試験を3回実施した。これらの試験で、起伏のある海底でビークルの高度を一定に航行させ、機体の高度制御のチューニングを実施し、熱水鉱床海域における精密海域地形図の作成および熱水の噴出を音響的に計測することに成功した。また、ソナーに合成開口処理を適用し、進行方向分解能を向上させることに成功した。さらに、これらと並行して、電源部の高性能化やバラストシステムの簡素化等運用・保守整備性の向上を図った。
判断基準2については、東海地震の震源域である豊橋沖に敷設されている長さ約60キロメートルの通信用光海底ケーブルの先端に設置した分岐装置に地震・水圧観測センサー等を接続し、長期間の連続観測を開始した。また、観測精度を向上するための時刻同期システムについて、4カ月間の長期間の計測を行い、時刻が高精度に保たれていることを確認した。さらに、観測機器をニ次元的に高密度に配置するために必要なケーブル展張装置の海域試験を行い、複雑な海底へのケーブル展張と回収が行えることを確認した。
判断基準3については、試料採取を行わず直接現場環境のpH(ペーハー)測定を可能とするセンサーの開発を目的とした、酸/アルカリ応答の速い固体素子(半導体素子)である「イオン選択性電界効果型トランジスタ」を電極に用いた試作小型pH(ペーハー)センサーについて、特性評価を行い、現場校正機能の検討を行った。また、水中音響技術については、画像や数値データ等を高速に伝送するために、製作した広い周波数帯域で使用可能な送波器の試験を行い、高速なデータ伝送に適した特性が得られることを確認した。この装置を用いて海域実験を行い、500メートルの距離で80kbps(キロビットパーセカンド)の通信が可能であるという結果を得た。
以上のように、各プロジェクトによる技術開発が進んでおり、海洋に関する研究開発の進捗のために必要な基盤技術の開発が概ね順調に進捗している。
A
2.に示すように、各プロジェクトによる技術開発が進んでおり、海洋に関する研究開発の進捗のために必要な基盤技術の開発が概ね順調に進捗している。
→予算、機構定員等への考え方
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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・海洋に関する基盤技術の開発 [独立行政法人海洋研究開発機構 運営費交付金37,190百万円の内数] |
海洋分野における研究開発を実施するのに必要な機器等の基盤技術の開発を行う。 |
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継続 |
水深4,000メートルの海域において、海底下7,000メートルの掘削をめざす地球深部探査船「ちきゅう」を運用し、統合国際深海掘削計画(IODP)において国際的に供用することにより、地球環境変動、地球内部ダイナミクス、海底地殻内微生物の解明等、地球科学に関する研究を促進する。
(基準年度:18年度・達成年度:25年度)
各判断基準の結果の平均から判断する(S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。)
判断基準 | 地球深部探査船「ちきゅう」の運用技術や深海底ライザー掘削技術等の蓄積及び科学掘削の進捗状況 |
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判断基準 | 掘削コア試料・データの管理提供システムの構築や研究プロポーザル支援など、科学者を支援する研究環境や仕組みの整備の進捗状況 |
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判断基準 | IODP計画における我が国の主導性を発揮するための各種委員会の推進と、国際戦略・研究計画等の策定への参画の進捗状況 |
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判断基準1については、平成18年度に引き続き、外部資金を導入した海外試験掘削を実施した。傾斜掘りを含む2孔のライザー孔と6孔のライザー孔上部孔(ライザーレス掘削区間)を掘削し、国際運用に向けた経験・知見の蓄積を図った。海外試験掘削を終了後、統合国際深海掘削計画(IODP)における科学掘削:南海トラフ地震発生帯掘削計画(NanTroSEIZE)を開始した。全3研究航海を通じて掘削同時検層(LWD)を5サイト合計4,274メートルの計測、試料採取掘削を6サイト合計3,400メートル、全体で33孔12,800メートルの掘削を実施し、当初計画で目的とした事項についてほぼ達成し、研究や解析着手に必要なデータ及びコアサンプルを着実に取得した。
判断基準2については、昨年度開発・試験を実施した研究データ管理システム「J-CORES」の実用、データの配信を開始したほか、高知コア研究所にてIODPコア試料の受け入れを開始し、独自の管理ソフトによる保管管理、コア試料に対するリクエストの評価及び試料発送を行った。また、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)と協力しIODP乗船研究者を対象にした研究支援プログラムや次世代乗船研究者育成を目的とした大学院生や学生を対象とするスクーリングを行った。
判断基準3については、2回開催されたIODP国内科学委員会の運営支援や、より効果的な掘削プロポーザルの育成・実効化を図るための公募型支援枠を3件実施した。また、科学諮問組織(SAS)に設置されている8つの委員会・パネルおよび関連する会議への委員派遣支援や国際陸上科学掘削計画(ICDP)国内実施委員会の開催支援を行い、日本の国際的なプレゼンスを高め、発言力の向上に努めた。
A
2.に示すよう、平成19年度は計画通り海外試験掘削およびIODPとしての南海トラフ地震発生帯掘削計画Stage1を実施した。操船技術、掘削技術、コアを含むデータ取得技術等が充分に発揮され、研究や解析着手に必要なLWDデータや地殻コア試料を取得し、概ね順調に進捗している。
→予算・機構定員等への考え方
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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深海地球ドリリング計画 [独立行政法人海洋研究開発機構 運営費交付金37,190百万円の内数] |
地球深部探査船「ちきゅう」の運航・掘削に関する技術を蓄積し、国際的に供用する。 | 海外試験掘削での経験の蓄積及びIODPの枠組みでの国際運用を開始し、データ及びコアサンプルを着実に取得した。 | 継続 |
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --