施策目標1-2 生涯を通じた学習機会の拡大

(基準年度:17年度・達成年度19年度)

  高度で体系的かつ継続的な学習機会を提供する高等教育機関等において、学習者の多様なニーズに対応し、生涯を通じた幅広い学習機会を提供する。

主管課(課長名)

  生涯学習政策局生涯学習推進課(上月 正博)

関係課(課長名)

  生涯学習政策局政策課(栗山 雅秀)、高等教育局専門教育課(藤原 章夫)

評価の判断基準

  各達成目標の結果の平均から判断(各達成目標結果をS=4、A=3、B=2、C=1として計算。小数点第二位を四捨五入)。

  • S=3.3~4.0
  • A=2.5~3.2
  • B=1.7~2.4
  • C=1.0~1.6

平成19年度の状況と総合評価結果

達成目標1‐2‐1 A

  幅広い年齢層等で構成される学生集団の学習ニーズが多様で流動的である中、有職者を含めた様々な層の社会人等に高い満足度を保ちつつ、適切に学習機会を提供するとともに、授業内容の質的充実のための試みについても、約8割の教員から教育内容・方法の改善に活用していくとの結果が得られていることから、想定どおり達成されたものと判断。

達成目標1‐2‐2 B

  生涯学習フェスティバルについては、開催都道府県における参加者割合が増加しており、また、来場者アンケートにおける「生涯学習に興味がわいた」の割合が増加しているため、概ね順調に進捗したものと判断した。文部科学省認定社会通信教育については、受講者が減少しているため、十分に達成されなかったものと判断した。

達成目標1‐2‐3 A

  専修学校における学習機会の提供については、専修学校における開設学科数において、半数の分野で開設数が向上したことで多様化が図られ、総数としてもほぼ前年度と同様に開設されているため、想定どおり達成された。

達成目標1‐2‐4 B

  高等学校卒業程度認定試験等については、出願者数が増加しており、かつ、平成19年度より新たに矯正施設での受験機会を拡大したことにより実施か所数が増加しているが、試験の実施に関しては、平成19年12月に、コンピュータの採点プログラムの一部に誤りがあることが判明し、平成17年度以降「世界史A」が正しく採点されておらず、1,901人の受験者の合否判定に影響が生じたこと等により、重大な問題が発生したことから、十分に達成されなかった。

達成目標1‐2‐5 A

  「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業で開発した講座の学習を経て、再チャレンジに成功した者を出した講座の割合が66パーセントとなっており、再チャレンジを希望していた者が実際に就職や社会参加をするなど再チャレンジのための第一歩を踏み出すことが可能となったと考えられるため、想定どおり達成された。

達成目標1‐2‐6 B

  大学公開講座については、受講者数は減少しているが、開設講座数については増加していることから、一部については想定どおり達成できなかった。

達成目標1‐2‐7 A

  大学における社会人受入数及び受入学校数については未調査であるが、専修学校においてはこれらの数字は伸張していることから、概ね順調に進捗しているものと判断。

  これらの達成目標の中には、数値上減少しているものや横ばいとなっているもの、運営に重大な問題が発生したものなど、一部については想定どおり達成できなかったものもあるが、数値上増加しているものや想定どおり達成されたものもあることから、一定の成果を上げられた。

  評価結果:A

必要性・有効性・効率性分析

必要性の観点

  経済の発展に加え、科学技術の高度化、情報化、少子高齢化等の進行を背景として、人々は、物質的な豊かさに加え、精神的な面での豊かさを求め、生涯を通じて健康で生きがいのある人生を過ごし、その中でそれぞれの自己実現を図ることを求めている。人々は自己の充実・啓発や生活の向上のため、多様な学習の機会を求めており、国民一人一人がその生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、また、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が求められている。
 学習には各個人がその興味や関心に基づき、自らを深めるために行う個人的な活動としての側面があるが、このような国民の学習活動を促進することは、国民一人一人が、充実した心豊かな生活を送り、また、職業生活に必要な知識・情報・技術等を習得・更新することにより経済的にも豊かな生活を送ることを可能とするものである。また、同時に、このことは社会を支え発展させることができる国民一人一人の能力を向上させることにつながるものであり、これは、ひいては社会全体の活性化を図り、我が国の持続的発展に資するものである。我が国の現状及び将来を見据えると、生涯学習社会の実現の必要性・重要性がますます高まっているといえる。

有効性の観点

  放送大学や専修学校や大学や民間事業者等による取組の支援については、各主体による自主的な取組を支援することで、多様な主体による生涯学習機会の提供や生涯学習概念の普及・啓発等を図るものである。具体的には、放送大学において、昭和60年の学生受け入れ開始以来、約105万人が在学し、平成19年度までに約5万人の卒業生を輩出するなど、社会一般に対して幅広く学習機会を提供してきた。
  また、高等学校卒業程度認定試験等については、その実施により、次の学校種での教育を受けることが可能になるなど、学習機会の充実等の効果が見込まれ、大学入学資格検定時代の受験者数も併せると、これまでに延べ約53万人が受験した。
以上を踏まえて、目指す効果が達成できると判断した。

効率性の観点

事業インプット

  • 生涯を通じた学習機会の拡大に必要な経費 11,541百万円(平成19年度予算額)
  • 放送大学学園補助金 7,422百万円
  • 生涯学習フェスティバル 123百万円
  • 社会通信教育の振興 5百万円
  • 生涯学習施策に関する調査研究 27百万円
  • 専修学校教育の運営改善に関する調査指導 21百万円
  • 専修学校教育重点支援プラン 445百万円
  • 専修学校・高等学校連携等職業教育推進プラン 91百万円
  • 高等学校卒業程度認定試験等 261百万円
  • 再チャレンジのための学習支援システムの構築 528百万円
  • 生涯学習施策の総合的推進 72百万円
  • 大学等開放推進事業 14百万円
  • 生涯学習情報誌「マナビィ」にかかる経費 2百万円
  • 大学・専修学校等における再チャレンジ支援推進プラン 2,528百万円

事業アウトプット

   1放送大学や専修学校や民間教育事業者等に対する支援を通じて学習機会が提供されたこと 2民間教育事業者等との連携を通じて生涯学習概念が普及・啓発されたこと 3高等学校卒業程度認定試験等の実施を通じて、次の学校種での教育を受けることが可能になるなど、学習機会が充実されたこと

事業アウトカム

  事業が確実に遂行されることにより、人々の学習需要が拡大されるとともに、それに応じた学習機会が提供されると考えられることから、ニーズに応じた学習機会が拡大するものと考えられるため、効率性の観点から妥当である。

今後の課題及び政策への反映方針

予算要求への反映

  評価対象政策の改善・見直し

機構定員要求への反映

  定員要求に反映

具体的な反映内容について

  達成目標1‐2‐1については、授業内容の質的充実や、学生の受講機会の拡大を図る観点からも、放送のデジタル化を活かした学習環境の整備を推進していく必要があり、南関東地域以外の学生に対するハイビジョン放送、字幕放送、データ放送、マルチチャンネル放送等の多様なサービスの提供など、今後の放送メディアの在り方等について検討していく。

  達成目標1‐2‐2については、生涯学習フェスティバルについては事業の今後の在り方も含めて検討していく。また、文部科学省認定社会通信教育については、今後、民間団体との更なる連携・協力等も含めて、その普及・奨励を引き続き図っていく。

  達成目標1‐2‐3については、平成19年度からの事業を継続し、若者、フリーター・ニート、中高年、子育て終了後の女性などの就職困難者に対する再就職支援を推進する事業を行うとともに、中学生や高校生に対する職業意識の醸成を目的とした事業については、事業を拡充し、その促進を図る。また、社会的要請の高い課題に対応する教育内容や方法等についての重点的な研究開発を行う委託事業を引き続き実施する予定。

  達成目標1‐2‐4については、今後ともより多くの受験対象者に本制度が活用されるとともに、社会的通用性を一層高めるため、引き続き、本制度の周知に努めていく。また、試験の実施に際しては、今後事故が起きないよう全力を挙げて取り組むとともに、本試験への信頼を回復させるよう努める。
  また、平成21年度機構定員要求において、高卒認定の実施体制を強化し、受験機会の拡大や制度の改善等を行うため、調査研究及び関係機関との連絡調整等を行う認定試験専門官と、システムの改善、運用、情報管理等を行う専門職(認定試験システム担当)を要求する。

  達成目標1‐2‐5については、再就職・起業等の再チャレンジを学習相談・情報提供から講座の開設・成果の認証まで地域の関係機関と連携を取りながらワンストップで支援するシステムを構築し、またその成果を全国的に普及させる方針である。

  達成目標1‐2‐6については、事業は平成19年度で終了したが、引き続き必要な実態調査や啓発資料の作成を行い、大学等に対して情報提供するなど、その普及のきっかけづくりを行っていく。

  達成目標1‐2‐7に関しては、平成20年度に創設されたジョブ・カード制度の中核の一つである職業能力の形成に資する実践的な教育プログラムのモデルケース開発を含めた普及など大学・専修学校等の更なる生涯学習機会の提供を行うため事業を実施する。

関係する施政方針演説等内閣の重要施策(主なもの)

経済財政改革の基本方針2007 ‐「美しい国」へのシナリオ‐ (平成19年6月19日閣議決定)
第4章 持続的で安心できる社会の実現
2.教育再生
(2)心と体の調和の取れた人間形成
2 体験活動の推進

  専門高校や専修学校等が地域社会と連携して行う特色のある職業教育の取組の積極的支援。

第2章 成長力の強化
1.成長力加速プログラム
1 成長力底上げ戦略
(1)人材能力戦略

  2 大学・専門学校等を活用した「実践型教育システム」の構築
就職困難者や新卒者等に対し大学・専門学校等の教育プログラムを開放し、「実践型教育プログラム」を提供する。

新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について ‐知の循環型社会の構築を目指して‐(答申)(平成20年2月19日 中央教育審議会答申)
記載事項(抜粋)
第1部今後の生涯学習の振興方策について
4.具体的方策
(社会教育施設等を活用した多様な学習の場の充実)

  また、全国の国民に放送を通じて幅広く大学教育の機会を提供している放送大学については、学生がより質の高い授業を受けられるよう、BS放送の活用など、放送のデジタル化等を踏まえた学習者の視点に立った取組をさらに推進することが求められる。(相談体制の充実)

  就業・起業やボランティア活動・社会参加等の新たなチャレンジをしようとする人に対し、地域や社会・産業界のニーズを具体的に把握、明確化し、キャリア形成支援を含めた学習相談を行うとともに、必要な知識等が習得できる学習機会を民間団体等の協力を得つつ社会教育施設等において提供する等、学習相談から学習成果の活用までを一貫して支援する学習支援システム(ワンストップサービス)を構築することが有効である。

関連達成目標

  なし

政策評価担当部局の所見

  1‐2‐4について、目標の達成度合いをより正確に把握するための判断基準や指標の検討が必要。

達成目標1‐2‐1

  放送大学を活用し、広く社会人等が大学教育を受ける機会を提供するとともに、教育内容の質的向上を図ることにより、生涯学習の充実に資する。

(基準年度:17年度・達成年度:19年度)

1.評価の判断基準

判断基準 授業評価における理解度・満足度に加え、社会人等に対する教育機会の状況を勘案して判断。
  • S=幅広い年齢層や有職者等に対する教育機会が幅広く提供されており、かつ授業評価における理解度・満足度がいずれも70%以上である。
  • A=幅広い年齢層や有職者等に対する教育機会が幅広く提供されており、かつ授業評価における理解度・満足度がいずれも60%以上である。
  • B=幅広い年齢層や有職者等に対する教育機会が幅広く提供されており、かつ授業評価における理解度・満足度のいずれかが60%未満である。
  • C=幅広い年齢層や有職者等に対する教育機会が幅広く提供されており、かつ授業評価における理解度・満足度がともに60%未満である。

2.平成19年度の状況

  放送大学は、テレビ、ラジオの放送を利用して、広く社会人等に大学教育の機会を提供することにより、大学教育に対する国民の広範な要請に応え、生涯学習の中核的機関としての役割を果たしている。
  学生層は20代から50代の有職者を含む幅広い層で構成されており、これらの社会人等の学習ニーズに柔軟に対応できるよう、現代的課題に即した科目や、専門的知識・技能の習得ができる科目等の開設、様々な分野について体系的に学習することができる科目群履修認証制度(放送大学エキスパート)の活用促進など、その特性を活かし、社会人等がいつでもどこでも質の高い大学教育を受けられる機会の充実を図っている。
  また、授業評価により学生の意見等を把握し、放送授業及び印刷教材の改善等に資するため、幅広い年齢層等で構成される学生集団等の特徴を踏まえた授業評価システムの構築を進めており、平成19年度までに延べ247科目、51,095人の学生を対象に調査が実施されている。
  期間全体を総括すると、放送大学においては、引き続き社会人等の高い有職率や幅広い年齢構成による学生が学んできた。また、授業評価システムの構築について、平成17年度より3カ年計画で実施しており、幅広い年齢層と有職者に対し、テレビ・ラジオによる大学教育を提供する他の大学にはない特徴を有する放送大学において、例えば、授業レベルに対するニーズでは、「もっとわかりやすく」と「より専門的に」は常に同程度あることなど質的向上を図りつつ学ぶ学生の多様なニーズに応えていくため、このような特性を踏まえた評価手法や反映方法について試行し、主任講師等に対して報告書を配付するなど、一定のシステムを構築することができたと考えられる。

指標

○放送大学学生の有職者の割合、年齢別構成

  (パーセント)

  平成17年度 平成18年度 平成19年度
学生の有職率 学部 72.1 72.4 72.1
大学院 85.5 84.9 84.9

   ※ 各年度の第2学期の在学生の状況

  (パーセント)

  平成17年度 平成18年度 平成19年度
学生の年齢別構成 学部 10代 4.3 3.6 5.0
20代 18.0 16.6 15.9
30代 27.1 26.8 26.2
40代 21.5 22.6 22.4
50代 16.5 17.3 17.0
60代以上 12.5 13.0 13.4
大学院 10代 0.0 0.0 0.0
20代 6.9 6.7 5.8
30代 22.8 22.3 20.5
40代 33.9 31.5 31.9
50代 24.0 25.4 25.4
60代 12.4 14.2 16.4

   ※ 各年度の第2学期の在学生の状況

○授業評価2007 学生による授業評価報告書(平成20年3月)

  平成19年度における授業評価調査は学部・大学院科目を調査対象とし、放送授業、印刷教材、単位認定試験等について四段階で評価する選択肢回答方法と、授業科目のよかった点や改善点などについて自由記述により評価する自由回答方法により実施した。本結果については、放送授業の主任講師や教育課程編成委員会等の関係会議への提供等により教育内容の充実に活用されている。
  調査結果から、1学生の授業に対する理解度や満足度については高い(学部:理解度67パーセント、満足度73パーセント 大学院:理解度78パーセント、満足度82パーセント)が、授業内容や方法等について課題もあることがわかった。
  例えば、放送授業の改善点の提案として、テレビ科目の特性を活かした映像の活用、ラジオ科目は効果的に聴かせるメリハリのある語り口、印刷教材については、図表・写真をより一層活用すること等の趣旨の指摘もなされている。
なお、そのような点を含め、教員に対するアンケート調査では全体で約8割から教育内容・方法の改善に活用していくとの結果が得られている。

【理解度、満足度についての肯定的評価】

  (パーセント)

  平成17年度 平成18年度 平成19年度
理解度 学部 69 65 67
大学院 77 78
満足度 学部 74 70 73
大学院 80 82
  • ※ 理解度及び満足度は、全体評価として科目の内容に対して、理解できたか、満足しているか問う設問に対して「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した学生の割合を示す。
  • ※ 大学院科目については、18年度より評価を実施した。

参考指標

  (科目)

  平成17年度 平成18年度 平成19年度
19年度新規開設科目数 85 84 79

  (人)

  平成17年度 平成18年度 平成19年度
科目群履修認証制度 認証状発行数 223 1,092
  • ※ 科目群履修証明制度は18年度より創設

指標の設定根拠

  放送大学が広く社会人等に大学教育の機会を提供することを目的とした大学であることから、「有職者の割合」及び「年齢別割合」を指標とした。また、授業の質的側面については、受講する学生の理解度・満足度を測定することで、学生のニーズにあった教育内容が提供されているか判断しうると考えられることから、アンケート結果を指標とした。

3.評価結果

  A

判断理由

  幅広い年齢層等で構成される学生集団の学習ニーズが多様で流動的である中、有職者を含めた様々な層の社会人等に高い満足度を保ちつつ、適切に学習機会を提供するとともに、授業内容の質的充実のための試みについても、約8割の教員から教育内容・方法の改善に活用していくとの結果が得られていることから、想定どおり達成されたものと判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  放送大学では、放送授業を原則として4年間継続して放送していること、非常に幅広い年齢層や多様な職業の学生が学んでおり、学生に対して一定のまとまった特性を求めることが難しいことなどに特徴があるが、今後も質の高い大学教育の機会を提供していくため、引き続き多様なニーズに対応した教育内容の充実を図ることや、授業評価を継続して実施し、カリキュラム編成や授業科目の制作等に活用・反映していくとともに、今後は、FD(ファカルティー・ディベロップメント)等、教員の講義手法の改善のためにどのように活用していくかが課題となっている。
  なお、授業内容の質的充実や、学生の受講機会の拡大を図る観点からも、放送のデジタル化を活かした学習環境の整備を推進していく必要があり、南関東地域以外の学生に対するハイビジョン放送、字幕放送、データ放送、マルチチャンネル放送等の多様なサービスの提供など、今後の放送メディアの在り方等について検討していく必要がある。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
放送大学の充実・整備
(7,889百万円)
社会人の多様化する生涯学習ニーズに対応するため、わが国の生涯学習の中核的機関である放送大学に対し、学習環境の充実・整備のために必要な経費の補助を行っている。 放送大学では、平成19年度開講科目の一部を対象として、学部・大学院科目に対して学生等による授業評価を実施し、学生による授業評価結果の分析を行い報告書としてとりまとめた。 継続

達成目標1‐2‐2

  民間教育事業者等の協力を得つつ、地域における生涯学習概念の普及・啓発を図るとともに、民間教育事業者等の活動を支援することで生涯学習の機会を整備し、生涯学習の一層の振興を図る。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 生涯学習フェスティバルにおける開催県の人口に占める参加者の割合
  • S=平成19年度の参加者割合を過去3ヵ年度の参加者割合の平均と比較し、5%以上増加している
  • A=平成19年度の参加者割合を過去3ヵ年度の参加者割合の平均と比較し、増加している
  • B=平成19年度の参加者割合を過去3ヵ年度の参加者割合の平均と比較し、減少している
  • C=平成19年度の参加者割合を過去3ヵ年度の参加者割合の平均と比較し、5%以上減少している
判断基準2 生涯学習フェスティバルの来場者アンケートに占める「生涯学習」に“非常に興味がわいた”、“少し興味がわいた”の合計割合
  • S=合計割合が、過去3ヵ年度の参加者割合の合計割合の平均と比較して、5%以上増加している
  • A=合計割合が、過去3ヵ年度の参加者割合の合計割合の平均と比較して、増加している
  • B=合計割合が、過去3ヵ年度の参加者割合の合計割合の平均と比較して、減少している
  • C=合計割合が、過去3ヵ年度の参加者割合の合計割合の平均と比較して、5%以上減少している
判断基準3 文部科学省認定社会通信教育の受講者総数
  • S=平成19年度の受講者数の平均を過去3ヵ年度の受講者数の平均と比較し、5%以上増加している
  • A=平成19年度の受講者数の平均を過去3ヵ年度の受講者数の平均と比較し、増加している
  • B=平成19年度の受講者数の平均を過去3ヵ年度の受講者数の平均と比較し、減少している
  • C=平成19年度の受講者数の平均を過去3ヵ年度の受講者数の平均と比較し、5%以上減少している

2.平成19年度の状況

  全国生涯学習フェスティバルは、広く国民一般に対し生涯学習に係る活動を実践する場を全国的な規模で提供すること等により、国民一人ひとりの学習活動への参加を促進し、もって地域における生涯学習の一層の振興に資することを目的としている。平成19年度においては、岡山県において開催し、民間教育事業者等の協力を得つつ、県内全市町村において開催した。
  さらに、文部科学省認定社会通信教育については、民間で行われている通信教育のうち、学校または民法法人が行う通信教育で社会教育上奨励すべきものを社会教育法第51条等の規定に基づき文部科学大臣が認定し、その普及奨励を図っている。平成19年度においては、文部科学省認定社会通信教育の受講生は約9万1千人であった。

指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
生涯学習フェスティバル 開催都道府県人口に対する参加者数の割合 27% 46% 27% 41%
来場者アンケートに占める「生涯学習」に“非常に興味がわいた”、“少し興味がわいた”の合計割合 93.6% 91.3% 87% 88.9% 89.2%
文部科学省認定社会通信教育 受講者総数 152千人 129千人 113千人 103千人 91千人

参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
生涯学習フェスティバル 参加者数 350千人 466千人 281千人 812千人 811千人

指標に用いたデータ・資料等

  • (生涯学習フェスティバル)実施報告書等から作成
  • (文部科学省認定社会通信教育)

指標の設定根拠

  生涯学習フェスティバルについては、地域における生涯学習の一層の振興に資することを目的とした事業であり、当該開催都道府県における参加者割合を把握することで、本事業による量的な側面での普及・啓発の成果を測定することができ、また、来場者アンケートを把握することで、本事業による質的な側面での普及・啓発の成果を測定しうると考える。
  また、文部科学省認定社会通信教育については、国民が本通信教育をどれだけ受講しているかを測定することで、参加の量的状況を測定しうると考える。

3.評価結果

  B

判断理由

  生涯学習フェスティバルについては、平成19年度の参加者割合と過去3ヵ年度の参加者割合の平均を比較したところ、直近3ヵ年の数字に比較して増加しており、また、来場者アンケートに占める「生涯学習」に“非常に興味がわいた”、“少し興味がわいた”の合計割合が過去3ヵ年度の参加者割合の合計割合の平均と比較して僅かながら増加しているため、概ね順調に進捗したものと判断した。
  文部科学省認定社会通信教育については、平成19年度の受講者数と過去3ヵ年度の受講者数の平均を比較したところ、直近3ヵ年の数字に比較して5パーセント以上減少しているため、十分に達成されなかったものと判断した。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  教育基本法の改正を踏まえた中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」においては、知の循環型社会をキーワードに、社会や時代の変化に対応した生涯学習振興行政の再構築が提言されている。生涯学習概念の普及・啓発を図る上でも、本年度で20回を迎える生涯学習フェスティバルについても、より社会や時代の変化に対応したものとなるよう、そのあり方を検討していく。
  また、文部科学省認定社会通信教育については、受講対象者の拡大に努めることとし、平成20年度からは法務省の協力の下、全国の矯正施設に普及資料を配付。さらに、近年、受講者数が減少傾向にあることから、民間団体との更なる連携・協力等による受講者の意識等調査を実施し、これらの原因を分析するとともに、今後の普及・奨励のあり方を検討していく。
  生涯学習の機会を整備するにあたっては、改正教育基本法第3条に規定されているように、学習の成果を適切に生かすことができる社会である必要がある。その実現に資するための方策として、平成20年度から「生涯学習の学習成果の評価等の在り方の調査研究」を実施する。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
生涯学習フェスティバル
(123百万円)
生涯学習活動を実践する場を全国的な規模で提供することにより、国民一人ひとりの生涯学習への参加意欲を促進し、今後の学習活動の進展に資する。 11月2日から6日の5日間に渡り、岡山県内全27市町村の参加により開催し、約81万人が参加した。 拡充
社会通信教育の振興に必要な経費
(5百万円)
学校又は民法法人の行う通信教育で、社会教育上奨励すべきものを認定し、その普及を図る。
  • 受講者総数:9万1千人
  • 表彰式の実施:82名(対象:優れた成績で修了した者)
継続

達成目標1‐2‐3

  専修学校において職業教育機能を活用した多様な学習機会の充実を図る。

(基準年度:17年度・達成年度:21年度

1.評価の判断基準

判断基準1 専修学校における分野別開設学科数の推移
  • S=前年度に比べすべての分野で学科数が増加
  • A=前年度に比べ半数以上の分野で学科数が増加
  • B=前年度に比べ半数未満の分野で学科数が減少
  • C=前年度に比べすべての分野で開設学科数が減少
判断基準2 専修学校における総開設学科数の推移
  • S=前年度に比べ増加(前年度比1%を超える増加)
  • A=前年度とほぼ同様(前年度比1%以内の変動)
  • B=前年度に比べ減少(前年度比1%を超える減少)
  • C=前年度に比べ大きく減少(前年度比3%を超える減少)

2.平成19年度の状況

  専修学校は職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的とし、実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関である。
  平成19年度においては専修学校の持つ職業教育機能を活用し、「適職への再挑戦を希望する若者」「定年退職を控え再就職を考える社会人」「子育て等により就業を中断した女性」といった就職困難者に対し、「再チャレンジ」支援策として「学び直し」の機会を提供するとともに、高校生を中心とした若年者の職業意識を涵養するため、職業に就くために必要な知識・技能・資格等の事例紹介や実践的な職業体験講座を提供した。
  また、専修学校が当面する社会的要請の高い課題(地域人材の育成やキャリア指導の推進など)に対応するためのプログラム開発を支援し、その全国的な普及を図る事業を展開した。
  これらの事業の実施により、各専修学校において、多様な学習ニーズに対応したカリキュラムの開設が行われ、様々な学習機会の提供が図られた。
分野ごとの進捗状況において半数の分野で開設学科数の進捗が見られ、学科数全体もほぼ前年度と同様であったため、専修学校における学習機会の充実は、着実に展開されたといえる。

指標・参考指標

(指標1)
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
分野別開設学科数 工業分野 1,698 1,684 1,607 1,588 1,547
農業分野 42 56 71 88 92
医療分野 1,958 2,001 2,009 2,037 2,037
衛生分野 890 927 964 996 991
教育・社会福祉分野 687 710 711 732 758
商業実務分野 1,304 1,240 1,301 1,264 1,269
服飾・家政分野 1,225 1,154 1,100 1,023 948
文化・教養分野 1,772 1,860 1,943 1,987 2,061
(指標2)
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
総開設学科数 9,576 9,632 9,706 9,715 9,703

参考指標

事業の委託件数 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
専修学校教育重点支援プラン(申請件数) 40
(66)
47
(69)
30
(68)
専修学校・高等学校連携等職業教育推進プラン(申請件数) 36
(44)
専修学校を活用した再チャレンジ支援事業(申請件数) 85
(117)

指標に用いたデータ・資料等

  • 指標1、2 学校基本調査報告書
  • 参考指標 文部科学省

指標の設定根拠

  専修学校における分野別開設学科数の推移を指標とすることで、専修学校において提供する学習内容の多様性を測定することが可能となり、また、専修学校における総開設学科数の推移を指標とすることで、専修学校において提供する学習の総量を測定することが可能となると考え、本指標を設定した。

3.評価結果

  A

判断理由

  専修学校における開設学科数において、半数の分野で開設数が向上したことで多様化が図られ、総数としてもほぼ前年度と同様に開設されているため。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成20年度においては、平成19年度からの事業を継続し、若者、フリーター・ニート、中高年、子育て終了後の女性などの就職困難者に対する再就職支援を推進する事業を行うとともに、中学生や高校生に対する職業意識の醸成を目的とした事業については、事業を拡充し、その促進を図る。また、社会的要請の高い課題に対応する教育内容や方法等についての重点的な研究開発を行う委託事業を引き続き実施する。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
専修学校教育の運営改善に関する調査指導
[21百万円]
専修学校教育の課題についての調査及び研究協議等を実施するとともに、専修学校に関する最新の情報を提供するためのガイドブックを作成・配付。 平成19年度は委託調査を1件実施 拡充
専修学校教育重点支援プラン
[445百万円]
社会的要請の高い課題に対応する教育内容や方法等についての重点的な研究開発を「研究指定校」として指定した専修学校に委託し、その成果を全国に普及する。 平成19年度の委託件数は30件 拡充
専修学校・高等学校連携等職業教育推進プラン
[91百万円]
高校生の自主的な進路選択など、若年者の職業意識の涵養を図るため、高等学校と連携した意識啓発のための職業教育等を実施する。 平成19年度の委託件数は36件 継続
専修学校を活用した再チャレンジ支援事業
[768百万円]
平成19年度の委託件数は85件であり、多様な学習機会の提供が図られた。
   (20年度総括) 20年度においては、109件の申請に対し74件の採択を行なった。予算減の影響もあり件数は減少したが、前年度とほぼ同水準で事業が実施され、概ね目的どおり事業は進捗された。
平成19年度の委託件数は85件 20年度で廃止
(新規事業「専修学校を活用した就業能力向上支援事業」に改組充実)

達成目標1‐2‐4

  高等学校卒業程度認定試験等により学習機会の充実を図る。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 出願者数
  • S=過去3年平均の出願者数より10%以上増加
  • A=過去3年平均の出願者数より増加
  • B=過去3年平均の出願者数より減少
  • C=過去3年平均の出願者数より10%以上減少
判断基準2 試験の実施か所数
  • S=10%以上増加
  • A=概ね前年と同じか所で実施
  • B=10%以上減少
  • C=−
判断基準3 試験の実施運営
  • S=滞りなく実施できた。
  • A=概ね滞りなく実施できた。
  • B=軽微な問題が発生した。
  • C=重大な問題が発生した。

2.平成19年度の状況

  我が国は、国民の誰もが生涯のいつでも、どこでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯学習社会の実現を目指している。高等学校卒業程度認定試験(以下「高卒認定」という。)及び中学校卒業程度認定試験(以下「中卒認定」という。)は、様々な理由により高等学校及び中学校を卒業できなかった者の学習成果を適切に評価し、広く高等教育及び後期中等教育を受ける機会を付与する制度であり、生涯学習社会の理念に沿った重要な役割を担っている。
  高卒認定については年2回試験を実施しており、平成19年度は第1回、第2回合わせて、31,796人が出願、28,317人が受験し、都道府県教育委員会及び関係機関の協力の下、延べ94の試験会場(各都道府県内1か所、2回)において試験を実施した。
  また、平成19年度からは新たに法務省と連携し、受験希望者がいる全国の矯正施設(刑事施設及び少年院)で試験を実施し、第1回、第2回合わせて、388人が出願、384人が受験し、延べ133の施設において試験を実施した。
  中卒認定については、年1回試験を実施しており、平成19年度は96人(うち矯正施設6人)が出願、86人(うち矯正施設6人)が受験し、都道府県教育委員会及び関係機関の協力の下、出願者がいた24都道府県の試験会場及び3矯正施設において試験を実施した。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
高等学校卒業程度認定試験(注1) 出願者数 26,859人 24,960人 26,631人 29,619人 31,796人
うち矯正施設 388
実施か所数 94か所 94か所 94か所 94か所 227か所
うち矯正施設 133
中学校卒業程度認定試験 出願者数 78人 80人 73人 77人 96人
うち矯正施設 0 3 0 1 6
実施か所数 22か所 24か所 23か所 23か所 27か所
うち矯正施設 0 2 0 1 3

  (注1)平成16年度以前は大学入学資格検定。

【参考】

   「『高等学校卒業程度認定試験』合格者の進路状況調査の結果について」(平成19年5月)
高卒認定合格後の進路「大学・短大・専門学校に入学」

平成13年度 平成18年度
39.1% 50.1%

  「『高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)』に関する調査報告」(平成18年4月)
採用試験における高卒認定合格者の扱い「高卒と同等」

  平成13年度 平成18年度
企業 13.8% 21.2%
地方公共団体 20.8% 38.3%

指標に用いたデータ・資料等

  • 文部科学省調べ

指標の設定根拠

  高卒認定及び中卒認定は、様々な理由により高等学校及び中学校を卒業できなかった者の学習成果を適切に評価し、広く高等教育及び後期中等教育を受ける機会を付与する制度であり、出願者数については、これらの制度がどの程度活用されているのかという観点から、指標に設定した。また、試験の実施か所数については、高卒認定及び中卒認定の受験機会が、場所的な条件から阻害されないような形で、広く試験が実施されているかという観点から、指標に設定した。さらに、試験の実施運営については、受験者が試験を滞りなく受験する前提として、適切な形で試験が運営されることが必要であることから、指標に設定した。

3.評価結果

  B

判断理由

  判断基準1については、高卒認定の平成19年度の出願者数が過去3年平均の出願者数(27,070人)より17.5パーセント(4,726人)増加していること、また、中卒認定についても増加傾向となっていることにより、順調に進捗したものと判断した。
  判断基準2については、高卒認定において、平成19年度より新たに矯正施設での受験機会を設けたが、予想以上に実施か所数が増加し、矯正施設入所者の需要に対応することとなった。
  判断基準3については、中卒認定は滞りなく実施されたが、高卒認定については平成19年度第2回の試験問題に訂正が生じた科目があり、一部の試験会場で訂正内容が受験者に伝達されなかったこと、また、平成19年12月に、コンピュータの採点プログラムの一部に誤りがあることが判明し、平成17年度以降「世界史A」が正しく採点されておらず、1,901人の受験者の合否判定に影響が生じたことにより、重大な問題が発生したものと判断した。
  以上の判断基準1から3により、総合的にBと判断した。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  高卒認定については、大学入学資格付与の機能を維持すること、受験対象者を拡大しより多くの方々の受験が可能な試験にすること、就職等においても活用されるよう社会的通用性を高めることなどを、基本的な考え方として、平成17年度、大学入学資格検定から制度が変わったものである。これまでも、都道府県教育委員会、関係省、経済団体への制度の周知に努めてきたところであるが、より多くの受験対象者に本制度が活用されるとともに、社会的通用性を一層高めるため、引き続き、本制度の周知に努めていく必要がある。
  また、平成19年12月、コンピュータの採点プログラムミスによる合否判定過誤が判明し、1,901人の受験者やその保護者及び大学等関係機関に多大な迷惑をかけることとなった。該当する方に対する賠償については、現在鋭意手続きを進めているところである。
  なお、二度とこのような事故が起きないよう、1平成20年度より、新たに開発した高卒認定プログラムを使用(既に適切に採点できることを確認済み)、2採点後に解答用紙を無作為抽出し、手作業による採点を行う、3試験結果の統計資料により、担当職員が確認を行うとともに、問題を作成した外部委員による分析を行うといった方策を講じ、再発防止に全力を挙げて取り組むとともに、本試験への信頼回復に努める必要がある。
さらに、高卒認定の実施体制を強化し、受験機会の拡大や制度の改善等を行うため、調査研究及び関係機関との連絡調整を行う認定試験専門官と、システムの改善、運用、情報管理等を行う専門職(認定試験システム担当)の定員を要求しているところ。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
高等学校卒業程度認定試験等(261百万円) 高等学校卒業程度認定試験及び中学校卒業程度認定試験は、高等学校及び中学校を卒業できなかった者等の学習成果を適切に評価し、広く高等教育及び後期中等教育を受ける機会を付与する制度で、生涯学習社会の理念に沿った役割を担っている。 高等学校卒業程度認定試験については、第1回試験を平成19年8月8日(水曜日)・9日(木曜日)に、第2回試験を11月17日(土曜日)・18日(日曜日)に実施した。
   中学校卒業程度認定試験については、平成19年11月5日(月曜日)に実施した。
   出願者数については、2.の(指標・参考指標)のとおりである。
継続

達成目標1‐2‐5

  学習機会の提供や学習相談を行う再チャレンジのための学習支援システムを構築するなど、生涯学習社会の充実を図る。

(基準年度:19年度・達成年度:21年度)

1.評価の判断基準

判断基準 「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業で開発する講座の学習を経て、再チャレンジに成功した者(注2)を出した講座の割合
  • (注2)就職、起業、NPOの立ち上げ、ボランティアへの参加等につながった者を成功者とみなし、単なる意識・意欲の向上は含まない。
  • S=80%以上
  • A=60%〜80%
  • B=40%〜60%
  • C=40%以下

2.平成19年度の状況

  「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業は、地域社会や企業等が求める人材の資質や能力を具体的に把握し、学習活動を経て社会参加や就業、起業等の新たなチャレンジをしようとする人に対する学習相談を行うとともに、チャレンジするために必要となる学習機会を、社会教育施設等において提供するなど、学習者の再チャレンジに資する学習支援システムを構築するものである。
  具体的には、有識者で構成する「再チャレンジ推進委員会」を設置し、再チャレンジのための学習支援を行う委託先の選定や今後の事業推進のための検討を行った。加えて、全国16カ所において大学等高等教育機関・企業・地方公共団体・NPO等で構成する「再チャレンジ学習支援協議会」に委託し、地域社会や企業等が求める人材に関するニーズの把握や、再チャレンジに資する学習機会の情報収集を行うとともに、再チャレンジを目指す者に対し、地域社会や企業等が求める人材ニーズとの整合性を持たせた学習相談や学習機会の提供等を行った。また、出産・育児後の女性に特有の事情を踏まえ女性メンターの育成や身近な場所で講座などを実施したほか、再チャレンジ者がライフスタイルに合わせて学習しやすい方法で効果的に利用できるように「ITを活用した学習提供システム」を開発した。平成19年度においては、当事業で開発した講座(136講座)の学習を経て、再チャレンジに成功した者を出した講座(90講座)の割合は66パーセントとなっており、想定どおりに達成したものと判断。(再チャレンジに成功した者を出した講座した講座数は平成20年3月31日現在のものであり、今後さらに増加することが見込まれる。)
また、生涯学習社会を構築していくためには、地域社会において学習機会を提供する場の整備や学習情報の提供による支援が必要であり、そのためには、国(関係省庁)や地方公共団体、関係企業、民間団体等が連携協力しつつ、生涯学習社会の推進を図るため、参考となる情報の提供が不可欠である。このため、生涯学習推進のための総合的な情報誌として「マナビィ」を刊行した。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
再チャレンジに成功(就業・起業・社会参加)した者を出した講座の割合 講座数         136
再チャレンジに成功した者を出した講座数         90
(66%)

   

指標に用いたデータ・資料等

   平成19年度「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業実績報告書

指標の設定根拠

  当事業が開発した講座に参加した者が、実際に就職や社会参加をするなど、再チャレンジのための第一歩を踏み出すことが可能となったと考えられるため、本指標を設定した。

3.評価結果

  A

判断理由

  「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業で開発した講座の学習を経て、再チャレンジに成功した者を出した講座の割合が66パーセントとなっており、想定どおりに達成したものと判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  現状では、企業等の人材ニーズや、再チャレンジを目指す者の学習ニーズを踏まえた学習機会が十分に提供されていない、学習相談から学習機会の提供・就業・社会参画までの連続した支援体制になっていないという問題のほか、出産・育児後の女性特有の事情を踏まえた内容の講座が、社会教育施設等の身近な場所で提供されていないなどの課題がある。

  また、再チャレンジ支援総合プラン(平成20年1月)のほか、中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」(平成20年2月19日)においても、「就業・起業やボランティア活動・社会参加等の新たなチャレンジをしようとする人に対し、地域や社会・産業界のニーズを具体的に把握・明確化し、キャリア形成支援を含めた学習相談を行うとともに、必要な知識等が習得できる学習機会を民間団体等の協力を得つつ社会教育施設等において提供する等、学習相談から学習成果の活用までを一貫して支援する学習支援システム(ワンストップサービス)を構築することが有効である。その際には、産業界・大学・専修学校・NPO等の民間団体や首長部局の労働行政担当等との連携を強化することが求められる。」と指摘されているところである。

  「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業については、平成19年度から21年度までの3年間実施する予定であり、再就職・起業等の再チャレンジを学習相談・情報提供から講座の開設・成果の認証まで地域の関係機関と連携を取りながらワンストップで支援するシステムを構築し、またその成果を全国的に普及させる方針である。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
「再チャレンジのための学習支援システムの構築」について(528百万円) 社会参加や就職・起業等の新たなチャレンジをしようとする人に対して学習相談を行うとともに、必要な学習機会を身近な社会教育施設等において提供する等、再チャレンジに資する学習支援システムを構築する。 全国16カ所に大学等高等教育機関・企業・地方公共団体・NPO等で構成する再チャレンジ学習支援協議会を設置し、再チャレンジを 目指す者に対し、企業が求める人材ニーズとの整合性を持たせた学習相談や学習機会の情報提供等を行った。また、女性に対する学び支援事業として出産・育児 後の女性を対象とした身近な場所での講座等を実施したほか、再チャレンジ者がライフスタイルに合わせて学習しやすい方法で効果的に利用できるようにITを 活用した学習支援システムを構築した。 当事業は平成19年度から3カ年の予定であり、21年度においても引き続き実施する方針である。

達成目標1‐2‐6

  大学等における公開講座を充実させることを通じて、生涯学習の機会を拡充させる。

(基準年度:18年度・達成年度:19年度)

1.評価の判断基準

判断基準 大学等における公開講座数及び受講者数の対前年度比
  • S=前年度の大学等における公開講座数及び受講者数の対前々年度比がいずれも110パーセント%以上の場合。
  • A=前年度の大学等における公開講座数及び受講者数のいずれもが増加した場合。
  • B=前年度の大学等における公開講座数又は受講者数のいずれかが増加しなかった場合。
  • C=前年度の大学等における公開講座数及び受講者数のいずれもが減少した場合。

2.平成19年度の状況

  大学等公開講座は、地域住民に対し広く高度な学習の機会を提供する極めて意義のあるものであり、年々着実に地域に定着している。平成18年度の実績(平成19年度中に調査)においては、開設講座数は約33,900講座、受講者数は約134万人となった。
期間全体を総括すると、受講者数については、平成17年度比で3パーセント減少しているが、開設講座数については17年度比で13パーセント増加している。なお、大学等開放推進事業の創設年度である平成16年度実績と平成18年度実績との比較においては、開設講座数〔約8,800講座(35パーセント)〕、受講者数〔約14万3千人(12パーセント)〕共に大幅に増加している。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
大学等における公開講座 開設講座数 23,031 25,019 30,004 33,857
受講者数 1,077,442 1,195,567 1,373,403 1,338,450

指標に用いたデータ・資料等

  • 開かれた大学づくりに関する調査(文部科学省)

指標の設定根拠

  大学公開講座の開設講座数を把握することで、公開講座による学習機会の提供がどの程度なされているのかを測定することが可能となり、また、受講者数を把握することで、受益者数を測定することが可能となると考え、本指標を設定した。

3.評価結果

  B

判断理由

  大学公開講座の受講者数は17年度比で減少しているが、開設講座数については増加していることから、一定の成果が上がっているが、一部については想定どおり達成できなかった。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  大学等公開講座は年々増加傾向にあるが、近年の少子高齢化等社会情勢の変化、技術革新の進展、生涯学習意識の高まり等に伴い、生涯学習ニーズもより高度化、多様化しており、それに対応した講座の開設及び内容面の充実が求められている。また、地域社会を形成する他機関(行政機関・民間団体等)との連携方策や、修了者に対する評価方法、講座を実施する大学等の教職員に対する評価など、運営面においても様々な課題が指摘されている。
本事業は平成19年度で終了したが、引き続き必要な実態調査や啓発資料の作成を行い、大学等に対して情報提供するなど、その普及のきっかけづくりを行う。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
大学等開放推進事業
(14百万円)
大学等公開講座の諸問題解決のため、有効方策について調査研究を行うとともに、大学等の機能を解放し、子どもたちに様々な体験活動の機会を提供するなど今後の大学開放の推進を図る。 公開講座を大学が開設する際の大学側の評価の在り方を探るべく、大学長等へ意識調査をするとともに、公開講座の在り方に関する調査研究フォーラムの開催などを通じて全国に普及啓発を行い、各地における大学等公開講座について充実を図った。 19年度で廃止

達成目標1‐2‐7

  大学・専修学校において社会人等が学ぶ機会の充実を図る。

(基準年度:19年度・達成年度:20年度)

1.評価の判断基準

判断基準 指標の数値の対前年度比
  • S=前年度に比べ指標1.から3.のすべて数値が増加
  • A=前年度に比べ指標1.から3.のうち2つの数値が増加
  • B=前年度に比べ指標1.から3.のうち2つの数値が減少
  • C=前年度に比べ指標1.から3.のすべての数値が減少

2.平成19年度の状況

  大学・専修学校等においては、社会人等の再就職やキャリアアップを目的とした学び直しの機会の充実に資するため、実践的教育プログラムを中心とした再就職を支援する講座の開発・実施を行う事業を展開した。
  大学等(大学・短大・高等専門学校)においては、平成18年度において221大学が主に社会人等を対象にした体系的な教育課程を提供してきたが,平成19年度は、大学等の教育研究資源を活用し、社会人の再就職やキャリアアップに資する優れた社会人の学び直しニーズに対応した教育プログラムの開発・普及を行った。
  また、専修学校においては、その職業教育機能を活用し、早期離職した若者や、キャリアアップを望む社会人、子育てにより就業を中断した女性などの就職困難者への再就職支援を行う講座や、ニートに対する職業意識の向上を目的とした講座などを開設した。
  これらの取組の結果、大学等に関しては,主に社会人等を対象にした体系的な教育課程を提供する大学数が平成19年度において,更に増加することが期待され,また社会人受入を実施する大学が着実に伸びているなど積極的な社会貢献が進んでいる。
  専修学校では、平成19年度においては、社会人の受入人数、受入学校数ともに増加し、適職への再挑戦を希望する者等のニーズに対応した学習機会の多様化が進められている。
以上より、概ね順調に進捗したと判断。

指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.学生以外の者を対象とした教育課程を提供する大学数 221校 未調査(注3)
2.私立専修学校における社会人受入数 56,416人 58,823人 56,812人 51,364人 77,250人
3.私立専修学校における社会人受入学校数 1,450校 816校 1,296校

  (注3)未調査の部分については、平成20年度中に調査を実施予定(平成21年度中公表予定)。

参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
社会人特別選抜実施大学数 選定件数 452校 467校 475校 483校 495校
「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」選定件数(申請件数) 申請件数 126
(315)
「専修学校を活用した再チャレンジ支援推進プログラム」選定件数(申請件数) 選定件数         85
(117)

指標に用いたデータ・資料等

指標
  • 私立学校等実態調査(文部科学省)
  • 大学における教育内容改革状況調査(文部科学省)
参考指標
  • 「専修学校を活用した再チャレンジ支援推進事業」選定件数(文部科学省)
  • 「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」選定件数(文部科学省)

指標の設定根拠

  私立専修学校における社会人受入数及び社会人受入学校数を把握することで、専修学校において社会人に対して学習機会がどの程度提供されているかを測定することができると考え、本指標を設定した。なお、大学については平成20年度中に調査を実施する予定である。

3.評価結果

  A

判断理由

  専修学校における社会人受入数及び受入学校数が伸長しており、大学数については未調査であるが増加が期待されていることから、概ね順調に進捗していると判断した。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  適職への再挑戦を希望する若者の増加、子育て等により就業を中断した女性や定年退職者の再就職ニーズの高まりなど、再チャレンジを可能とする柔軟で多様な社会の実現のため、大学・専修学校等の職業教育機能を活用して、社会人等の「学び直し」の機会の充実を図っていく必要がある。
  このような状況を踏まえつつ、平成20年度に創設されたジョブ・カード制度の中核の一つである職業能力の形成に資する実践的な教育プログラムのモデルケース開発を含めた普及など大学・専修学校等の更なる生涯学習機会の提供を行うため事業を実施する。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」
(1,760百万円)
各大学等における教育研究資源を活用し、社会人の学び直しニーズに対応した教育プログラムを展開する優れた取組を支援する。 126件の優れた取組を選定し、社会人の多様な学び直しニーズに対応できる教育プログラムの開発・実施が進められた。 継続
「専修学校を活用した再チャレンジ支援推進プログラム」
(768百万円)
(20年度達成年度到来事業)
新たなチャレンジを目指す若者、中高年、女性、ニート等を支援するため、専修学校の持つ職業教育機能を活用して、それぞれの特性等に応じた職業能力向上のための学習機会の提供を行なう。 平成19年度の委託件数は85件であり、多様な学習機会の提供が図られた。
   (20年度総括) 20年度においては、109件の申請に対し74件の採択を行なった。予算減の影響もあり件数は減少したが、前年度とほぼ同水準で事業が実施され、概ね目的どおり事業は進捗された。
20年度で廃止
(新規事業「専修学校を活用した就業能力向上支援事業」に改組充実)

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --