文部科学省が実施している国際競技力向上施策のうち、一貫指導システムの構築に関する施策を取り上げ、施策の実施と効果の関係性を分析した。
調査対象団体として、文部科学省の一貫指導システム構築支援施策を活用している日本水泳連盟(シンクロナイズド・スイミング)および日本卓球協会の2つの競技団体を選定した。
一貫指導システムとは、「優れた素質を有する競技者が、指導者や活動拠点等にかかわらず、一貫した指導理念に基づく個人の特性や発達段階に応じた最適の指導を受けることを通じ、トップレベルの競技者へと育成されるシステム(スポーツ振興基本計画より抜粋)」を指しており、本調査で対象とする両団体の一貫指導システムは、以下のとおりである。
選手の発掘 | 発達に応じた指導 | |
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シンクロナイズド・スイミング |
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卓球 |
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分析方法としては、一貫指導対象者と同世代の一貫指導対象以外の国内大会上位成績者の成績、および、一貫指導対象者と一貫指導システム導入前の同レベルとの選手の成績を比較し、一貫指導システムが、どの程度、競技成績に影響を与えたのかを分析した。具体的には、以下のア~エの手順で行った。
「オーディション選考選手」を一貫指導システムの対象として位置づけることとする。平成13年度のオーディションの応募資格は小学4年生~小学6年生の女子で、シンクロの経験の有無は問わず、審査項目は身体能力、バレエ(アーティスティック能力)、泳力、テクニック、面接、作文の合計6項目に従って9名が選考された。
2001年におけるオーディション選考選手の2004年までの成績は、2002年度、2003年度に多少ばらつきがあったものの、2004年度には全員が10位以内に入っている(2002年度、2003年度に成績が一旦落ちる傾向については「考察」を参照)。
一方で、同世代のオーディション選考選手以外の大会上位選手の2002年度、2003年度、2004年度の成績は、伸びはほとんど見られず、成績のばらつきが大きい。具体的には、2001年度から2002年度にかけては、12名中6名が成績を落としており、1名しか成績を上げていない。また、シンクロナイズド・スイミングでは、個人差はあるものの概ねデュエットよりも、フィギュアやソロで大会に出場できること自体が、競技レベルの高さを表しており、オーディション選考外の選手は、フィギュアまたはソロに出場すらしない傾向が強く、2002年度には12名中7名が、2003年度には12名中11名が、2004年時点では12名中5名しか出場していない。
この両者を比較したとき、オーディションによって将来性を見込んで発掘した選手の方が順調に競技力を向上させていることは明らかであり、一貫指導システムの効果は大きいものと考えられる。
図表3‐67 一貫指導システム対象・非対象の若年競技者の成績の推移比較(シンクロ)
<一貫指導対象競技者>
<一貫指導対象外競技者>
※予:予選の順位(決勝進出できなかったことを示している)
(注)大会不出場者はグラフには表示されていない。
1997年の大会上位成績者10名は、1998年度、1999年度は成績に大きなばらつきが見られ、1998年度には6名が4位以内に入っているものの4名が予選敗退もしくは出場しておらず、1999年度には5名が8位以内にはいっているものの5名が予選敗退もしくは出場していない。3年後の2000年度には、10名中8名が8位以内の成績をおさめているが、毎年の成績のばらつきが大きい。
一方で、2001年におけるオーディション選考選手の成績は、ばらつきは年々小さくなっており、2004年度には全員が10位以内に入っている。
以上より、一貫指導システムの導入前後の比較からは、一貫指導と競技力の間の相関関係について、一貫指導を受けている競技者の方が毎年安定した成績を残している傾向があり、一貫指導システムの効果と考えることができる。
図表3‐68 一貫指導システム導入前後の若年競技者の成績の推移比較(シンクロ)
<一貫指導導入後競技者>
<一貫指導導入前競技者>
※予:予選の順位(決勝進出できなかったことを示している)
(注)大会不出場者はグラフには表示されていない。
No. | 氏名 | 平成13(2001年) | 平成14(2002年) | 平成15(2003年) | 平成16(2004年) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 選手S1 | 2 | 予16 | 8 | 4 |
2 | 選手S2 | 1 | 7 | 5 | 1 |
3 | 選手S3 | 1 | 21 | 3 | 2 |
4 | 選手S4 | 6 | 13 | 予15 | 6 |
5 | 選手S5 | 3 | 2 | 予13 | 5 |
6 | 選手S6 | 予38 | 30 | 予 9 | |
7 | 選手S7 | 予13 | 1 | 7 | 2 |
8 | 選手S8 | ||||
9 | 選手S9 | 予17 | 4 | 予16 | 予10 |
No. | 氏名 | 平成13(2001年) | 平成14(2002年) | 平成15(2003年) | 平成16(2004年) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 選手S10 | 4 | 予9 | 予14 | |
2 | 選手S11 | 6 | |||
3 | 選手S12 | 6 | 39 | 7 | |
4 | 選手S13 | 9 | 46 | ||
5 | 選手S14 | 10 | 39 | 26 | |
6 | 選手S15 | 予9 | |||
7 | 選手S16 | 予10 | 35 | 7 | |
8 | 選手S17 | 13 | 80 | ||
9 | 選手S18 | 予11 | |||
10 | 選手S19 | 8 | |||
11 | 選手S20 | 17 | 予20 | ||
12 | 選手S21 | 18 | 6 | 12 |
No. | 氏名 | 平成9(1997年) | 平成10(1998年) | 平成11(1999年) | 平成12(2000年) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 選手S22 | 1 | 1 | 6 | 1 |
2 | 選手S23 | 2 | 4 | 4 | 3 |
3 | 選手S24 | 6 | 3 | 13 | 5 |
4 | 選手S25 | 1 | 2 | 20 | 8 |
5 | 選手S26 | 4 | 予15 | 8 | 1 |
6 | 選手S27 | 2 | 2 | 1 | 4 |
7 | 選手S28 | 7 | 42 | 19 | 15 |
8 | 選手S29 | 6 | 33 | 7 | 3 |
9 | 選手S30 | 4 | |||
10 | 選手S31 | 5 | 4 | 28 | 6 |
水泳連盟の一貫指導担当者へのヒアリングに基づくと、データの解釈上の次の点に留意する必要がある。
多くの調査対象者の成績がいずれも2年目(2002年度、1998年度)に成績が落ちているのは、オーディション選考選手を基準としているため調査対象者の年齢が12歳で、次年度(2002年度、1998年度)からは、13歳から15歳を対象とした全国ジュニアオリンピックカップに最年少として大会に出場することが大きな要因ということである。その影響で、オーディション選考選手においても2年目、3年目には、成績のばらつきが見られた可能性が高い。
本相関分析によると、一貫指導システム導入後の2001年度以降は、一貫指導と競技力との間に一定の相関関係が見られ、将来的な成長を見込んで選考した一貫指導対象の競技者は、当初の成績に関らず、その後、ほぼ全員がトップレベルに競技力を向上していることから、その効果は大きいものと考えられる。
一方、一貫指導導入前と導入後では、毎年の競技力の安定性の面で一貫指導導入後の方が優れており、その効果が把握された。さらに、一貫指導導入前後の比較においても、個人的に見ると、2001年度のオーディション選考選手の中には、既に世界でもトップレベルの成績や競技力を見せ始めている競技者も出てきており、1997年よりもトップの水準は高まっていると考えられる。
「研修合宿参加選手」を一貫指導システムの対象として位置づけることとする。研修合宿参加者の基準は2001年度全国ホープス大会上位16名およびカブ・バンビもしくは強化本部推薦より3名となっている。
※日本卓球選手権大会のカテゴリー別の概要は以下の通りである。
カテゴリー | 対象年齢 | 備考 |
---|---|---|
ジュニア | 18歳以下 | ‐ |
カデット14歳以下 | 14歳以下 | ジュニアとの重複参加可 |
カデット13歳以下 | 13歳以下 | ジュニアとの重複参加可 |
ホープス | 小学生5、6年生 | カデットとの重複参加可 |
カブ | 小学生3、4年生 | カデットとの重複参加可 |
バンビ | 小学生2、1年生 | カデットとの重複参加可 |
2001年一貫指導対象者において、成績を維持もしくは向上している選手は、2002年度では18人中13人(72.2パーセント)で、2003年度では18人中9人(50パーセント)となっている。一方で、一貫指導対象者以外の同世代の大会上位成績者においては、成績を維持もしくは向上している選手は、2002年度では13人中11人(84.6パーセント)で、2003年度では13人中6人(46.8パーセント)となっていることから、2003年度時点で比較すると、一貫指導対象選手の方が対象外選手よりも、若干成績を維持・向上しているといえる。(大会不出場者の成績は算定対象外)
また、比較的、一貫指導対象外選手の方が、2002年、2003年と年度を重ねるほど各選手の成績にばらつきが顕著になっている。(成績の「維持・向上」の定義については、1位から4位、4位から8位、ベスト16、ベスト32の枠内はいずれも同一成績とみなした。また、1ランク上位の大会に出場した場合、成績がひとつ下の枠になったとしても同一成績とみなした。)
この両者を比較したとき、同世代における一貫指導対象者と一貫指導対象外の選手との間には、成績の伸び率やばらつきが異なっており、一貫指導の効果が競技力に影響を与えている可能性があることが伺える。
図表3‐73 一貫指導システム対象・非対象の若年競技者の成績の推移比較(卓球)
<一貫指導対象競技者>
<一貫指導対象外競技者>
(注)大会不出場者はグラフには表示されていない。
2001年一貫指導対象選手 | 2001年一貫指導対象以外の選手 | |||
---|---|---|---|---|
2002年度 | 2003年度 | 2002年度 | 2003年度 | |
維持・向上した選手 | 13人 | 9人 | 11人 | 6人 |
維持・向上した選手の割合 | 72.2パーセント | 50パーセント | 84.6パーセント | 46.1パーセント |
※「維持・向上」成績の「維持・向上」の定義については、1位から4位、4位から8位、ベスト16、ベスト32の枠内はいずれも同一成績とみなした。
2001年一貫指導対象者において、成績を維持もしくは向上している選手は、2002年度では18人中13人(72.2パーセント)で、2003年度では18人中9人(50パーセント)となっているのに対して、1997年の大会上位成績者で成績を維持もしくは向上している選手は、1998年度では19人中7人(36.8パーセント)で、1999年度では19人中10人(52.6パーセント)となっている。
3年間の成績経過を一貫指導対象選手と比較すると、1997年度大会上位成績者については、翌年1998年度は4割弱しか成績を維持・向上できず、各選手にばらつきはみられるものの、翌々年1999年度は5割以上が成績を維持・向上しており、2001年の一貫指導対象選手より高い維持・向上率を示している。1999年度は、1997年度の大会上位成績選手の方が、2001年一貫指導対象選手よりも、大会の上位成績を占めている選手の割合が高い。
こうした結果を踏まえると、一貫指導の導入前と導入後の選手と競技力の間の相関関係については明らかにはならなかったと言える。
図表3‐75 一貫指導システム導入前後の若年競技者の成績の推移比較(卓球)
<一貫指導導入後競技者>
<一貫指導導入前競技者)>
(注)大会不出場者はグラフには表示されていない。
2001年一貫指導対象選手 | 1997年大会上位成績者(ホープス16位までカブ3位計19名) | |||
---|---|---|---|---|
2002年度 | 2003年度 | 1998年度 | 1999年度 | |
維持・向上した選手 | 13人 | 9人 | 7人 | 10人 |
維持・向上した選手の割合 | 72.2パーセント | 50パーセント | 38.8パーセント | 62.5パーセント |
※「維持・向上」成績の「維持・向上」の定義については、1位から4位、4位から8位、ベスト16、ベスト32の枠内はいずれも同一成績とみなした。
図表3‐77 平成13(2001)年度 ホープス・カブ研修合宿対象者(同年度複数入賞は上位を採用)
図表3‐78 平成13(2001)年度 ホープス・カブ上位者(研修合宿対象外)
図表3‐79 平成9(1997)年度 ホープス・カブ上位者 (同年度複数入賞は上位を採用)
日本卓球協会の一貫指導担当者へのヒアリングに基づくと、データの解釈上の次の2つに留意する必要がある。
ひとつには、卓球界は一貫指導システムが導入される以前から、伝統的に、優秀な選手の多くは学校ではなくクラブから輩出されており、元々、クラブでの一貫指導が充実している傾向が比較的強いという点である。
もうひとつには、本調査の一貫指導の対象となっている「研修合宿」は、国際競技力の向上や優秀な能力を有する特定選手の育成だけでなく、指導者をも含めた全国一律的な指導法の普及も大きな目的のひとつである点である。従って、指導法の普及は間接的には卓球界の底上げにはなるものの、国際競技力向上とは若干目的が異なっている点である。
本相関分析によると、一貫指導システム導入後の2001年度以降は、一貫指導と競技力との間に一定の相関関係が見られ、将来的な成長を見込んで選考した一貫指導対象の競技者は、当初の成績に関らず、その後、ほぼ全員がトップレベルに競技力を向上していることから、その効果は大きいものと考えられる。
また、一貫指導導入前と導入後においても、一貫指導と競技力との間に一定の相関関係が見られ、成績の向上や成績のばらつきの縮小の面で一貫指導導入後の方が優れており、その効果が把握された。さらに、個人的に見ると、2001年度のオーディション選考選手の中には、既に世界でもトップレベルの成績や競技力を見せ始めている競技者も出てきており、1997年よりもトップの水準は高まっていると考えられる。
アテネオリンピック開催前におこなわれた平成16年度重点競技強化事業の対象となった競技種目と対象外の競技種目の国際競技成績の比較を行い、重点競技強化事業が、どの程度、国際競技成績に影響を与えたのかを分析することを目的とする。
JOC加盟団体のなかで、夏季オリンピック競技種目(29団体58種目)を比較調査対象とする。
重点競技強化種目 (16団体23種目) |
非重点競技強化種目 (22団体35種目) |
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分類1 (9団体14種目) |
分類2 (7団体9種目) |
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柔道(男子) 柔道(女子) 水泳(競泳) 水泳(シンクロ) 陸上競技(短距離) 陸上競技(投てき) 陸上競技(マラソン) レスリング(男子) レスリング(女子) 体操(体操競技男子) 卓球(女子) 野球 ソフトボール ボート(男子) |
サッカー(男子) サッカー(女子) バレーボール(女子) バレーボール(ビーチバレー) バドミントン 自転車(トラック) バスケットボール(女子) アーチェリー ホッケー(女子) |
水泳(飛込み) 水球(男子) 水球(女子) 陸上競技(中・長距離) 陸上競技(跳躍) 陸上競技(混成) 体操(体操競技女子) 体操(新体操) 体操(トランポリン) 卓球(男子) バレーボール(男子) ウエイトリフティング(男子) ウエイトリフティング(女子) テニス(男子) テニス(女子) ハンドボール(男子) ハンドボール(女子) ライフル射撃(ライフル) ライフル射撃(ピストル) |
ボート(女子) セーリング 自転車(ロード) 自転車(マウンテンバイク) クレー射撃 フェンシング トライアスロン(男子) トライアスロン(女子) バスケットボール(男子) 馬術 ボクシング テコンドー カヌー(スラローム) カヌー(レーシング) 近代5種 ホッケー(男子) |
オリンピック実績ポイント |
|
オリンピック競技種目であれば、5点を追加する。 | |
チームゲームは個人競技種目の10倍の得点とする。 |
重点競技強化種目の過去3回のオリンピックにおける成績をみると、23種目のうち、全体の60.9パーセントにあたる14種目はシドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が向上している。また、同レベルの成績を維持した種目は全体の17.4パーセントにあたる4種目、成績が低下した種目は全体の21.7パーセントにあたる5種目となっている。
ちなみに、全体の69.6パーセントにあたる14種目はアテネオリンピックでメダルを獲得しており、約8割が入賞以上を果たしている。従って、重点競技強化種目は、アテネオリンピックで好成績を残したといえる。
図表3‐81 重点競技強化種目の国際競技力の推移
非重点競技強化種目の過去3回のオリンピックにおける成績をみると、全体の14.3パーセントにあたる5種目はシドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が向上している一方で、成績が低下した種目は全体の22.9パーセントの8種目となっている。同レベルの成績に留まった種目が22種目となっており、全体の62.9パーセントと最も多くなっている。
ちなみに、35種目のうち、4種目はアテネオリンピックでメダルを獲得しており、その他2種目が入賞(4位から8位)を果たしている。全体の11.4パーセントの種目がメダルを獲得しており、17.1パーセントが入賞以上を果たしている。
図表3‐82 非重点競技強化種目の国際競技力の推移
重点競技強化種目と非重点競技強化種目の国際競技力の推移を比較すると、重点競技強化種目の方が、シドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が向上した種目の割合が著しく高く、且つ、メダル獲得の割合も非常に高くなっていることから、重点競技強化事業との国際競技力は相関関係があるものと推察される。
重点競技強化種目 23種目 |
非重点競技強化種目 35種目 |
||||
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該当種目数 | 割合 | 該当種目数 | 割合 | ||
シドニーからアテネの成績 | 向上した | 14 | 60.9パーセント | 5 | 14.3パーセント |
同レベル | 4 | 17.4パーセント | 22 | 62.9パーセント | |
低下した | 5 | 21.7パーセント | 8 | 22.9パーセント | |
メダル獲得種目数 | 14 | 69.6パーセント | 4 | 11.4パーセント | |
入賞種目数 | 4 | 17.4パーセント | 2 | 5.7パーセント |
重点競技強化種目(分類1)の過去3回のオリンピックにおける成績をみると、全体の57.1パーセントにあたる8種目はシドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が向上してことがわかる。一方で、シドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて柔道(男子)とソフトボールの2種目の成績は低下しているものの、両者とも、メダルを獲得しており、過去3大会とも上位成績をおさめている。
ちなみに、14種目のうち、78.6パーセントにあたる11種目はアテネオリンピックでメダルを獲得しており、14.3パーセントにあたる2種目が入賞(4位から8位)を果たしている。
図表3‐84 重点競技強化種目(分類1)の国際競技力の推移
重点競技強化種目(分類2)の過去3回のオリンピックにおける成績をみると、9種目のうち、全体の66.7パーセントにあたる6種目はシドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が向上している。その中でも、サッカー(女子)、バレーボール(女子)、バスケットボール(女子)、ホッケー(女子)の4種目は、シドニーオリンピックでは出場権が得ることができなかったがアテネオリンピックには出場している。シドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が低下している種目は、サッカー(男子)、バレーボール(ビーチバレー)、バドミントンの3種目である。
ちなみに、全体の33.3パーセントにあたる3種目はアテネオリンピックでメダルを獲得しており、22.2パーセントにあたる2種目が入賞(4位から8位)を果たしている。
図表3‐85 重点競技強化種目(分類2)の国際競技力の推移
重点競技強化種目(分類1)と重点競技強化種目(分類2)の国際競技力の推移を比較すると、シドニーオリンピックからアテネオリンピックにかけて成績が向上した種目の割合は重点競技強化種目(分類1)の方が若干低くなっているが、逆に、成績が低下した種目の割合も低いことから、重点競技強化事業のなかでも、助成度合いと国際競技力の間に明確な相関関係は確認されないものの、重点競技強化種目(分類1)の方は、上述の通り、成績が低下した種目もメダルを獲得していることもあり、一定の効果はみられるものと考えられる。
重点競技強化種目(分類1)合計:14種目 | 重点競技強化種目(分類2)合計:9種目 | ||||
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該当種目数 | 割合 | 該当種目数 | 割合 | ||
シドニーからアテネの成績 | 向上した | 8 | 57.1パーセント | 6 | 66.7パーセント |
同レベル | 4 | 28.6パーセント | ‐ | ‐ | |
低下した | 2 | 14.3パーセント | 3 | 33.3パーセント | |
メダル獲得数 | 11 | 78.6パーセント | 3 | 33.3パーセント | |
入賞数 | 2 | 14.3パーセント | 2 | 22.2パーセント |
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --