2.ロジックモデルについて

1.ロジックモデルの定義・意義

  前述のとおり、セオリー評価とは、「施策の論理的な構造」を明らかにし、その質や内容を評価する手法であるが、この「施策の論理的な構造」のことをロジックモデルという。つまり、ロジックモデルとは、ある施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示したものである。
  ロジックモデルを策定することは、事前又は事後的に施策の概念化や設計上の欠陥や問題点の発見、インパクト評価等の他のプログラム評価を実施する際の準備、施策を論理的に立案する等のうえで意義のあることである。

2.ロジックモデルの作成

  本総合評価では、対象とする文部科学省の国際競技力向上施策に加えて、その他の主体等が行う国際競技力向上のための各施策が、「平成22年までにオリンピック競技大会においてメダル獲得率3.5パーセントを実現する」という基本目標に至るまでの流れを論理的に構造化するとともに、基本目標達成に対して、各施策がどの程度貢献しているか検証可能なロジックモデルを作成した。

インプット~アウトカム3までの整理

インプットの整理
  • 国際競技力向上施策の対象は、平成13年度以降(スポーツ振興基本計画策定後)16年度までとして整理。
  • 国際競技力向上施策を各施策区分にしたがって分類し、各施策の実施主体や関係団体を整理。
  • 文部科学省が予算措置していない事業、スポーツ振興くじ助成並びにスポーツ振興基金助成の対象となっていない事業は外部要因として整理。
アウトプット(結果)の整理
  • 各施策や事業の結果について、本来、論理的に期待される状況を明文化し、その状況を示すと考えられる指標を検討して整理。
アウトカム(成果)1
  • アウトプット(各施策や事業の結果)から直接的に得られると考えられる成果を整理。
  • 各施策や事業の成果について、本来、論理的に期待される状況を明文化し、その状況を示すと考えられる指標を検討して整理。
アウトカム(成果)2・3
  • アウトカム1から、基本目標に至ると考えられる論理的な流れを整理。

  なお、本ロジックモデルについては、外部要因(文部科学省が予算措置していない事業、スポーツ振興くじ助成並びにスポーツ振興基金助成の対象となっていない事業)として整理した施策も含め、国際競技力向上施策全体を示すものとして作成した。

3 ロジックモデルの妥当性の検証

  上記の整理により、文部科学省では、三菱総研と共同で国際競技力向上施策のロジックモデル案を作成した。作成したロジックモデルの妥当性の検証に当たっては、研究会の各委員より、各施策が基本目標につながるロジックの妥当性についてご意見をいただき検証を行った。また、JOC及び複数の競技団体に対してもヒアリングを実施し、ロジックモデルの妥当性について意見聴取した。競技団体からは、「個別の競技種目については必ずしも当てはまらないロジックはあるが、各種競技を包含したものとして考えれば妥当なロジックモデルである」との評価を得ている。

4.ロジックモデルを用いた調査分析

(1)アウトカム1の影響度について

  直近のオリンピック競技大会((アテネ大会/ソルトレークシティ大会)以下、同じ。)と今後の国際競技力向上に影響を与えると思われる施策について、各競技団体に対するアンケート結果を分析し、各競技団体からみて、どのアウトカム1が国際競技力向上(アウトカム3)・基本目標(メダル獲得率3.5パーセント)に対する因果関係が強いと考えられるかを明らかにした。

今後の大会への影響度

国の支援の必要性

  直近のオリンピック競技大会への影響度と今後のオリンピック大会への影響度とを比較すると、次のような傾向がみられる。(図表2-49)

  1. 国際競技力に対する影響度がこれまでも今後も相対的に高い施策分野として、「国際経験」「指導者」「合宿」「日常的なトレーニング」
  2. 国際競技力に対する影響度が今後相対的に高まる施策分野として、「選手発掘」「一貫指導」「医・科学サポート」
  3. 国際競技力への影響度が高く、国の支援への期待が相対的に高い分野として、「国際経験」「指導者」「合宿」「日常的なトレーニング」「一貫指導」「医・科学サポート」

(2)ロジックモデルに沿った指標の測定

  ロジックモデルにより整理したアウトプット(結果)、アウトカム(効果)のうち、文部科学省が関係する事業(注1)、(注2)について、測定が可能と思われる範囲で指標(アンケート調査を含む。)を設定し、文部科学省の施策の効果、貢献度等の分析を実施した。
  なお、アンケート調査については、各競技団体に対して実施し、JOC等の他の主体に対しては実施しなかった。

  • (注1)文部科学省が関係する事業とは、文部科学省が国費により予算措置した事業のうち、国際競技力向上施策に直接的に関係する事業のほか、文部科学省において制度構築した施策であるスポーツ振興基金助成及びスポーツ振興くじ助成の対象となっている事業をいう。
  • (注2)文部科学省が関係する事業であっても、「トップを目指す競技人口拡大」「アンチ・ドーピング活動の推進」については指標設定の対象外とした。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

Adobe Readerのダウンロード(別ウィンドウで開きます。)

PDF形式のファイルを御覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、まずダウンロードして、インストールしてください。

-- 登録:平成21年以前 --