4.重要対象分野に関する評価(総合評価)

テーマ名 少子化社会対策に関する子育て支援サービス
【主管課:生涯学習政策局生涯学習推進課、初等中等教育局幼児教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 【結果の概要】
【認定こども園制度】
 認定こども園は、幼稚園と保育所の制度の枠組みを超えて、小学校就学前の子どもに対し、幼児教育・保育を一体的に提供するとともに、地域における子育て支援の取組を充実させる新たな選択肢として導入された制度である。
 平成18年10月の制度創設から1年が過ぎたことから、制度が保護者や地域のニーズに応えているかどうかを検証するため、施設を利用している保護者や施設、地方公共団体に対し実態調査を行った。その結果、保護者の8割近く、施設の9割以上が認定こども園を評価するなど、制度への期待が大きい一方、施設や地方公共団体からは、省庁間や自治体間の連携充実、財政支援、会計処理・申請手続きの改善、制度の普及啓発などについて今後の改善課題として求める声が大きかった。
 認定こども園の認定件数は、平成19年4月1日現在で94件、平成20年4月1日現在で229件と着実に増えつつあるが、制度が十分に活用されているとは言い難い。保護者や地域の多様なニーズに応えることが可能であり、また、国民からの期待も大きい認定こども園制度の一層の普及促進を図る必要がある。
【子育て支援・預かり保育】
 近年の少子化、核家族化等の社会状況の変化により、幼稚園は、地域における幼児期の教育のセンターとしてその施設や機能を解放し、子育ての支援等に努めていくことが求められている。平成19年6月には学校教育法が改正され、幼稚園の機能として子育て支援、預かり保育が位置づけられた。また、平成20年3月には、子育て支援の一層の充実を目指し、預かり保育の教育活動として適切な活動となるよう具体的な留意事項を示した幼稚園教育要領の改訂が行われた。
 保護者の要請や地域の実態などを検証するため、子育て支援と預かり保育に関する実態調査を行った。その結果、子育て支援活動を活用してよかったと感じたことのない保護者はほとんどいないことからも、子育て支援活動は有効であるといえる。さらに、よかったと感じる内容について、子どもの遊ぶ場所ができた、子育ての不安や悩みを相談できる友達が増えた、リフレッシュできた、不安やストレスが軽くなったなど多様であった。
 預かり保育の実施率は年々上昇しており、預かり保育を受けている幼児数も増加している。平成9年度から13年度間の増加率は他に比べて大きく、事業の効果が一定程度現れているものと判断できる。さらに、一層の充実を望む子育て支援活動の充実を望む内容では、「必要なときに子どもを預かってほしい」との要望が高く、保護者のニーズの高さがうかがえた。
 子育て支援活動、預かり保育については、実施率が年々増加していること、活動内容について満足している保護者もいるが、一層の充実を望む保護者も多いことから、一層の推進を図る必要がある。
【放課後子ども教室推進事業】
 放課後子ども教室推進事業は平成20年度で2年目を迎える新しい事業であるが、実施箇所数や年間平均開催日数の増加等から、徐々に地方へ定着してきているものと考えられる。事業の実施に当たっては、各地域の実情に応じた安全管理がなされているとともに、活動場所まで移動する必要のない小学校での実施も進んでおり、安全で安心して活動できる場の確保への取組が進んでいる。
 また、放課後子ども教室は、各地域の実情に応じた活動内容を実施できることとなっているが、実際に多様な活動がなされており、子どもたちからも好評であることを鑑みれば、充実した活動が行われているものと考えられ、こうした活動を通じ、違う学年の児童や大人とのふれあいの中で、子どもの社会性、規範意識、自主性などが育まれていき、教育的観点から非常に有意義なものと考えられる。
 更に、本事業の趣旨の一つである「家庭の経済力等にかかわらず、学ぶ意欲のある子どもたちに学習機会を提供する」ということについても63.2パーセントが取り組んでおり、本事業の趣旨が地方へ浸透している結果ともいえる。
 こうした様々な取組を通じて、保護者、事業へ参画する大人からは地域の子どもに対する関心が高まったという結果が出ており、本事業が地域の教育力の向上に寄与していると考えられる。一方、本事業の実施に当たり、地方において予算や人材、実施場所の確保が困難であることなどが調査から明らかとなった。

【今後の課題】
 今回の評価結果において明らかになった課題や今後の反映の方向性を踏まえ、今後の少子化社会対策に反映させる必要がある。
評価結果の政策への反映状況(改善事項等)  評価対象としたテーマに関連する事業について、以下のとおり予算措置等を行っている。

【認定こども園制度】
(予算関係)
・課題となっている認定こども園への財政支援充実のため、新たな財政措置を講じた。(20年度1次補正:21億円、2次補正:「安心こども基金」1,000億円の内数(1次、2次ともに文部科学省・厚生労働省合計額)、21年度1次補正:「安心こども基金」1,500億円の内数(文部科学省・厚生労働省合計額))
(機構・定員関係)
・認定こども園の設置促進及び運営に関する支援の強化のため、認定こども園運営係長(1名)が平成21年10月1日より措置された。(認定こども園運営係長1名措置)
(業務改善関係)
・認定こども園認定申請手続き等に関する事務マニュアルを作成した。
・平成20年10月に内閣府特命担当大臣(少子化対策)、文部科学大臣、厚生労働大臣の3大臣合意により立ち上げた「認定こども園制度の在り方に関する検討会」において、1.財政支援の充実、2.会計処理等における二重行政の解消、3.教育と保育の総合的な提供の推進、4.家庭や地域の子育て支援機能の強化、5.質の維持・向上への対応などの認定こども園における課題について議論を進め、21年3月に報告をとりまとめた。現在、報告で指摘された課題への対応等に取り組んでいる。
(参考:認定こども園認定件数 358件(平成21年4月1日現在))
【子育て支援・預かり保育】
(予算関係)
・子育て支援や預かり保育を実施する私立幼稚園への助成を行う都道府県に対する国庫補助を引き続き実施。4,404百万円を平成22年度概算要求に盛り込んだ。(平成22年度予算案4,404百万円)
【放課後子ども教室推進事業】
(予算関係)
 すべての子どもを対象として、放課後や週末等に学校の余裕教室等を活用し、安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する取組を支援するため必要な経費を概算要求に盛り込んだ(平成22年度予算案13,093百万円の内数)。
(機構・定員関係)
 総合的な放課後対策の実施のための企画・立案等を行うため、子ども学習活動企画係の新設を要求した(係長1名、係員1名措置)。
(業務改善関係)
 事業に参加する子どもの実態把握調査や事業のプログラム等に協力可能な団体等の紹介、地域において優れた取組を行っている教室の表彰を行うなど、地方における活動の充実・推進のための取組を行った。
テーマ名 若年者雇用対策
【主管課:生涯学習政策局生涯学習推進課、同社会教育課、初等中等教育局児童生徒課、高等教育局大学振興課、同専門教育課、スポーツ・青少年局青少年課】
【関係課:】
評価結果の概要 【結果の概要】
中学校・高等学校におけるキャリア教育

【キャリア教育実践プロジェクト】
 本事業の目的は、生徒が明確な目的意識を持って日々の学業生活に取り組み、児童生徒が「生きる力」を身に付け、主体的に自己の進路を選択・決定できるなど、社会人・職業人として自立していくことができるようにするため、公立中学校が5日間の職場体験を円滑に実施できるよう都道府県・市町村レベルの取組支援を行うとともに、各地域で職場体験を行う体制を構築することである。上述の各評価結果などから、事業の目的は概ね図られているといえる。
【高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究】
 本事業の目的は、若者が職業について考えたり、進路の選択・決定を先送りしたりする傾向、いわゆるモラトリアム傾向や、進路意識や目的意識が希薄なまま進学する者の増加が指摘される中、高等学校、特に普通科高校でキャリア教育に取り組むことにより、キャリア教育を充実することにある。各評価結果などから、本事業の指定をキャリア教育に取り組む契機とし、事業の目的に向けて推進しているといえる。
【発達段階に応じたキャリア教育支援事業】
 本事業の目的は、平成19年度から平成20年度まで実施した「キャリア教育実践プロジェクト」を通して得られた課題(例:小・中学校を一貫したプログラムの開発、地域(保護者・住民・事業所等)に対して協力を促す効果的な広報活動、産業構造や地理的制約(離島・山間部等の壁地)等の地域の実情を踏まえた対応策)に対する解決策(モデルケース)を提示し、普及・定着を図ることであり、そのために、小・中学校の発達段階に応じた組織的・系統的なキャリア教育プログラムの開発等の調査研究を実施している。
<専門高校関連施策>
【「目指せスペシャリスト(スーパー専門高校)」】
 目指せスペシャリスト事業については、専門高校における教育の充実・活性化だけでなく、生徒個々人レベルにおいても、専門的な知識・技術の習得、勤労観、職業観の醸成などに大きな効果があることが判明したが、今後の事業展開においては課題があることも明らかになった。
【専門高校における「日本版デュアルシステム」推進事業】
 日本版デュアルシステムを更に充実するためには、判明した課題を中心とし、事業実施前後の比較のデータ把握に努める等更なる研究が必要である。加えて、近年、産業社会の技術革新が急速に進む中で、専門高校生がより高度な実践力習得するため、専門高校における教育の一層の充実が求められているとともに、いわゆる「2007年問題」や若者のものづくり離れ等が社会問題化する中で、技術の継承や若手のものづくり人材の育成が急務となっているなどを背景として、これまで以上に、専門高校生が地域の産業を担う専門的職業人として活躍することが求められている。これを受けて、文部科学省は、平成19年度より、経済産業省と共同で、専門高校と地域産業界が連携(協働)して若手ものづくり人材を育成することを目的として、生徒の長期間の企業実習(デュアルシステム)に加えて、技術者等による学校での実践的指導、教員の高度技術習得を盛り込んだ人材育成プログラムの開発を開始している。
 更に、平成20年度より、経済産業省に加え、国土交通省や農林水産省、水産庁と連携し、地域のものづくりや食・くらしを支える人材を育成するための事業を「地域産業の担い手育成プロジェクト」(平成21年度予算額335百万円)として実施している。
 この事業の中で、日本版デュアルシステムを含めた先導的かつ効率的な教育システム等の更なる調査研究を進めていくことが必要である。
<高等教育関連施策>
【社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム】
 「再チャレンジ支援総合プラン」や「「経済財政改革の基本方針2007」といった提言等を踏まえ、社会人の「学び直し」のニーズに対応するため、大学等における教育研究資源を活用した、優れた実践的教育プログラムの開発・普及を進めるとともに、履修証明制度の定着促進、実践型教育プログラムの開発・普及を図り、再チャレンジを可能とする柔軟で多様な社会の実現に向けた高等教育機会の充実するため、平成19年度から「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」を実施している。
 平成19年度は246大学325件の申請中126件の優れた取組を選定し、当初想定通りの事業展開が図られている。また、選定件数に対し2.5倍の申請があり、競争的な環境の整備や資源配分の効率化が図られている。
 平成20年度においては、30件程度の取組を選定することとしており、社会人の学び直しニーズに対応する教育プログラムの開発・普及が更に進むことが期待されるとともに履修証明制度や実践型教育プログラムのモデルケースとなることが期待される。
【産学連携による実践的人材育成事業】
 「産学連携による実践的人材育成事業」は、国公私立大学等が、長期インターンシップ・プログラム開発(平成17年度〜)、ものづくり技術者育成(平成19年度〜)、サービス・イノベーション人材育成(平成19年度〜)といった社会的要請のあるテーマについて、産学連携による実践型人材の育成に資する新たな教育プログラムの開発・実施を行う委託事業である。
 平成17年度の事業開始以降、長期インターンシップ・プログラム開発30件、ものづくり技術者育成12件、サービス・イノベーション人材育成6件の優れた取組を選定しており、当初想定通りの事業展開が図られている。また、各テーマそれぞれに、選定件数に対し約3倍から7倍の申請があり、競争的な環境の整備や資源配分の効率化が図られている。
 さらに、比較的長期のインターンシップを実施する大学院研究科数、参加学生数ともに大きな伸びを示しており、実践的な人材育成に関して、本事業による効果が現れていると考えられる。
【現代的教育ニーズ取組支援プログラム】
 若年者雇用が社会問題となる中で、大学等における学生の高い職業意識・能力の育成のため実践的かつ体系的なキャリア教育を組織的に行なう取組を選定し、財政支援を行なうとともに、広く社会に情報提供を行なうことによる、質の高いキャリア教育の促進を目的として、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」のテーマとして平成18年度から「実践的総合キャリア教育の推進」を設定している。
 平成18年度は173件、平成19年度は153件の申請があり、それぞれ33件、30件の優れたキャリア教育に関する取組を選定しており、当初想定通りの事業展開が図られている。また、選定に当たっては、選定件数に対し5倍を超える申請があり、競争的な環境の整備や資源配分の効率化が図られている。さらに、職業意識の形成等を目的とする授業科目の開設大学数やインターンシップの実施大学等数の拡大にも貢献していることが言える。

<専修学校関連施策>
【専修学校・高等学校連携等職業教育推進プラン】
 本事業における各講座は、実践的な職業体験講座を実施することで、職業に必要な技術・技能の学習意欲と職業意識の涵養を図ることを目的としているが、各評価結果などから、職業意識の涵養は概ね図られているといえる。

【専修学校を活用した再チャレンジ支援推進事業】
 本事業において、各講座の目的は、若者の再チャレンジを支援するプログラムにおいては、実践的な職業教育による再就職支援であり、ニートの自立を支援するプログラムにおいては、職業意識の高揚や自立支援である。各評価結果やフォローアップ状況で明らかとなった就職率などから、両事業とも概ね各講座の目的は達成されていると考えられる。
<その他>
【公民館等におけるニート支援モデル事業】
 本事業における取組により、地域住民が若者たちの社会的自立を自分たちの課題としてとらえ、地域社会において解決していこうとする意識が醸成されるなどの成果が得られ、他の市町村のモデルとなる取組が行われており、一定の効果をあげたと考える。

【青少年の意欲向上・自立支援事業(自立に支援を要する青少年の体験活動)】
 自立に支援を要する青少年として、ひきこもり青年、不登校児童・生徒、ニート等を対象とした事業を実施した平成19年度の都道府県数は、平成17年度の31道府県から40道府県に増加しており、支援体制の整備が伺える。また、事業数については、96事業から138事業に増加している。それぞれの内訳についても、概ね順調に増加しており、本施策については、順調に進捗した。
 また、参加者の変容については、ひきこもり青年は85パーセントの改善、不登校児童・生徒は86パーセントの改善、ニートは89パーセントの改善を示し、自立に支援を要する青少年に対する体験活動の高い有効性が示された。

【今後の課題】
 今回の評価結果において明らかになった課題や今後の反映の方向性を踏まえ、今後の若年者雇用対策に反映させる必要がある。
評価結果の政策への反映状況(改善事項等)  評価対象としたテーマに関連する事業について、以下のとおり予算措置等を行っている。

 高等学校、特に普通科でのキャリア教育の充実を期すため、高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究事業として100百万円を平成21年度予算に盛り込むとともに、組織的・系統的に地域の実情を踏まえたキャリア教育を小中学校で連携して行うため、発達段階に応じたキャリア教育支援事業として55百万円を平成21年度予算に盛り込んだ。
 進路指導において、社会人として自立が迫られる後期中等教育修了までに生涯にわたるキャリア形成の基本となる能力・態度を育成することを推進するため、各自治体等が自主的に課題設定したものに対して、国として先導的な取組を採択し、課題への対応を図る。(平成22年度予算案491百万円の内数)

 専門高校における職業教育に関しては、専門高校と地域社会等が連携した職業教育の充実を図るため、地域社会や産業を支える専門的な職業系人材の育成を推進する事業(「目指せスペシャリスト(スーパー専門高校)、「地域産業の担い手育成プロジェクト」」を平成22年度予算に盛り込んだ(学校・家庭・地域連携協力推進事業補助金(13,093百万円の内数、補助率1/3)のメニューとして実施)。

 「専修学校を活用した就業能力向上支援事業」については内容を見直し、専修学校教育の多様化・高度化や質保証のための体制整備を推進するための新規事業として予算要求するとともに、専修学校の教育機能を活用して高校生のキャリア教育を推進する「専修学校・高等学校連携等職業教育推進プラン」を予算要求したところだが、いずれの事業も行政刷新会議WGの事業仕分けにおいて、「キャリア教育・職業教育」については「実施は自治体の判断に任せる」との評価結果となったことを踏まえ、国として予算要求しないこととした。
 また、公民館等におけるニート支援モデル事業に関しては、平成18〜20年度までの事業であり、20年度で廃止となった。

 社会人の学び直しニーズの対応教育推進プログラムに関しては、社会人の「学び直し」のニーズに対応するため、1,764百万円を平成21年度予算に盛り込んだ。

 産学連携による実践的人材育成事業に関しては、多様な社会の要請に対応できる人材や、新たな産業を創出する創造性豊かな人材など、実践的な人材を育成するため、513百万円を平成21年度予算に盛り込んだ。

 現代的教育ニーズ取組支援プログラムに関しては、大学等における学生の高い職業意識・能力の育成を図るため、11,000百万円を平成21年度予算に盛り込んだ。

 青少年の意欲向上・自立支援事業(自立に支援を要する青少年の体験活動)に関しては、青少年の様々な課題に対応した体験活動を推進するため、青少年体験活動総合プランの一部として37百万円を平成22年度予算に盛り込んだ。
テーマ名 医師確保対策
【主管課:高等教育局医学教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 【結果の概要】
〈教育・訓練の拡充への対応策及びその効果の見込みについて〉
 医学部入学定員について、平成20年度以降、医師不足が深刻な地域や診療科の医師を確保するための実効ある取組を行うことを条件に増員を図っている。また、増員に伴って必要な教育環境の整備のための支援を行っている。

 医学部の量的拡大がほぼ完了した昭和50年代以降、医学部の教員数は増加しており、学生1人あたりの教員数についても増加している。また、平成21年度の医学部入学定員の増員に伴い必要な教育環境の整備の支援を行った。
 また、平成17年度より実施している共用試験(CBT及びOSCE)の平均点は上がっており、将来医師となる学生の質についても一定の水準が保たれていることが推察できる。さらに、平成21年5月には、必要最低単位数の明確化により臨床実習を充実させる等卒前・卒後を一貫した医師の養成の観点から医学教育の改善策をとりまとめた。

〈地方勤務義務付けによる医師の偏在を是正するための諸施策について〉
 医師の地方勤務義務付けに関して、都道府県は地域の医師の確保のため、医学部卒後一定期間の地域の医療の従事を返還免除の条件とする奨学金を設定する取組が行われている。また、大学の入学者選別において、地域医療に従事する意欲のある都道府県内の高校出身者等を対象とした選抜枠を設けることを進めている。

 大学における地域枠の設定が進んでおり、実際の一般枠で入学した者に比べて地域枠で入学した者の方が、地域に定着する確率は高くなっており、地域枠が地域定着策として一定の機能を果たしていることが分かる。
 また、自治医科大学では、卒業後、一定期間自治体が指定する地域で勤務することを条件に、学費を免除する制度を行っているが、この制度により卒業生の約9割が地域で従事している。このことから、奨学金による医師確保対策は医学部卒業後、一定期間医師不足地域での勤務を条件とするものであることから、一定の効果があるものと期待できる。
【今後の課題】
 今回の評価結果において明らかになった課題や今後の検討の方向性を踏まえ、今後の医師確保対策に反映させる必要がある。
評価結果の政策への反映状況
(改善事項等)
 評価対象としたテーマに関連する事業について、以下のような取組を行っうこととしている。

○平成22年度の医学部の入学定員について、360人増の8,846人に増加を図った。増員にあたっては、1.都道府県が地域医療に従事することを返還免除の条件とする奨学金を設定し、2.大学が、地域医療を担う意思を持つ者を選抜して地域医療に関する教育に取り組むこととしている。
○増員が円滑に実施されるよう、増員に必要な教員経費等の教育環境の整備に必要な経費について、平成21年度第2次補正予算案において2,377百万円、平成22年度予算案において1,482百万円を盛り込んだ。

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-- 登録:平成22年06月 --