2.新規・拡充事業評価

事業名【1】専修学校教育創造開発プラン(新規)
【主管課:生涯学習政策局生涯学習推進課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 専修学校教育について、めまぐるしく変化する社会の人材ニーズに対応するための継続的な教育プログラム開発による教育内容の多様化・高度化や、専修学校教員の資質向上や評価制度等の質の保証のための体制整備等の実施は、企業等の要請に応える人材養成機関である専修学校の振興を図ることとなり、ひいては日本経済の維持・発展に資するものであることから、本事業の実施が必要である。
(有効性)
 本事業を経年にわたり実施することで、多様な社会の人材ニーズに対応した教育プログラムの開発や、その活用の効率的な推進のための体制整備が進捗し、優れた成果が広く普及されることになる。これにより、専修学校教育全体の振興が図られるとともに、日本経済を支える有為な人材が育成されることが期待され、目標の達成が見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:1,022百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
 職業教育の中核的機関である専修学校教育の振興を目的とした本事業については、行政刷新会議WGの事業仕分けにおいて、「キャリア教育・職業教育」について「実施は自治体の判断に委ねる」との評価結果となったことを踏まえ、国として予算要求を行なわないこととした。
事業名【2】地域におけるキャリア教育・職業教育推進事業(新規)
【主管課:生涯学習政策局生涯学習推進課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 (1)近年、我が国では、経済・社会情勢の変化に伴う人材育成システムの変化や人材ニーズの高度化と迅速な育成の要請、若者の社会的・職業的自立や社会・職業への移行に向けた準備が不十分であることなど、職業に関連する様々な課題が生じており、これらの課題解決のため、キャリア教育・職業教育の充実が求められている。
 キャリア教育・職業教育の一層の推進にあたっては、地域によって産業構造・就業構造、人材ニーズ等が大きく異なるとともに、職場体験やインターンシップ等を積極的に取り入れることが必要であることなどから、「地域の人材は地域で養成する」という観点に立ち、地域の学校や産業界、関係機関等の密接な連携のもとに実施することが重要である。
 (2)また、勤労観・職業観や社会的・職業的自立に必要な能力等は、子どもたちの発達の段階に応じて身につけさせるべきものであり、義務教育段階から高等教育に至るまでの体系的な取組、学校教育終了後も職業に関する能力の向上や職業の変更等が可能となるよう、生涯学習の観点に立ったキャリア形成支援や雇用のミスマッチの解消といった観点も含め、地域ぐるみの積極的な対応が求められる。
 (3)加えて、地域の産業界等との連携の下でキャリア教育・職業教育を推進していくことは、近年大きな課題とされている地域の自立や活性化の観点からも、大きな意義がある。
(有効性)
 地方公共団体において、関係機関により構成される「キャリア教育・職業教育推進協議会」を設置し、「キャリア教育・職業教育推進プラン」を策定する。協議会の下でキャリア教育・職業教育推進チームが関係者に対する働きかけ・助言・調整等を行うことにより、地域のニーズを踏まえたキャリア教育・職業教育の推進が図られる。これらのモデル事例を、文部科学省においてとりまとめ、全国に普及することにより、地域のニーズに即した人材育成を計画的・総合的に行っていくための仕組みの構築という、上記の目標は達成できると見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:168百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議WGの事業仕分けにおける「各種モデル的事業は意欲ある地域・学校で既に実施している」という指摘や、その後寄せられた国民からの意見の中の「費用対効果からの必要性や国家財政上の緊急性が認められない」といった指摘等を踏まえ、国として予算要求を行わないこととした。
事業名【3】地域協働による家庭教育支援活性化促進事業(新規)
【主管課:生涯学習政策局男女共同参画学習課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 都市化、核家族化、地域における地縁的つながりの希薄化などの社会構造上の影響や、少子化対策、児童虐待防止といった喫緊の課題への対応として、社会全体での家庭教育支援の推進を図ることが必要であるが、多くの自治体において、家庭教育に無関心な親や仕事で忙しい親など支援が行き届きにくい親への対応が課題となっている。そのため、国として、地域の様々な人の関わりにより、こうした親などに対し、様々な家庭の状況に応じた支援や、発達段階・現代的課題に応じた支援のための課題の整理及び効果的な手法の開発を行う必要がある。また、併せて地域や学校、福祉関係機関、企業等の連携による一体となった取組の推進や中核的な人材の質の向上を図るための取組、先進的な取組事例等の情報発信を行い、地域における取組の活性化充実を図ることが必要。
(有効性)
 「訪問型家庭教育相談体制充実事業」において、効果的な支援手法の開発を行うとともに、「家庭教育支援基盤形成事業」(学校・家庭・地域の連携協力事業の1メニュー)により、その成果の普及・定着を図り、地域人材の養成や学習機会の効果的な提供などの地方公共団体の主体的な取り組みを支援し、地域全体で家庭教育支援に取り組む体制づくりを推進することとしており、目標の達成が見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:259百万円
(平成22年度予算案:32百万円)

【事業名の変更】
 全国家庭教育支援研究協議会の開催へ名称変更

【事業内容の見直し】
 地域協働による家庭教育支援活性化推進事業については、行政刷新会議WGによる事業仕分けにおいて、「実施は各自治体の判断に任せる」と指摘されたことを踏まえ、委託事業のうちモデル事業等を廃止することとした。
事業名【4】学校ICT活用推進事業(拡充)
【主管課:生涯学習政策局参事官】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 教育の情報化については、急速な情報化の進展に伴い、膨大な情報量を誇るインターネットを活用した調べ学習やデジタルコンテンツを活用することで、子どもが視覚的に理解できる等、確かな学力を育成する上で大変有効なツールである。
 しかしながら、ICTを使って教科指導ができる教員の不足や自治体の厳しい財政事情などから教育の情報化が一部では進んできているものの諸外国と比べて進捗は遅れている。
 このようなことから、国が先導的に授業における効果的なICTの活用方法を開発するため研究開発事業を実施しその成果を普及し効果を示したり、指導主事等に対するICT活用の研修を行うことで、自治体における教育の情報化に向けた取組が加速化されるものと考えており、また、新学習指導要領を確実に実施するためにも当事業は必要不可欠なものである。
(有効性)
 本事業は、教育の情報化を促進する観点から、平成17年度に開始され、その後、平成18年度に策定された「IT新改革戦略」及び平成21年度に策定された「i-Japan戦略2015」の目標達成のために引き続き実施してきている。平成22年度新規分については、「概ねすべての教員がICTを使って教科指導ができる」ことを目指し、教員のICT活用指導力の養成を実施することで、当該目標の達成に資すると見込まれる。このほか、学校教育情報化促進プログラムでは、新たなデジタル教材の開発等を行うことで補正予算で整備されたICT機器の活用の活性化が図られるほか、ICTによる効果的な学校経営、ICTを活用した新たな授業モデルに関する研究開発などを予定しており、これらの成果を普及することで「IT新改革戦略」等に掲げる目標達成のほか、新学習指導要領の円滑な実施に資するものと見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:717百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議WGの事業仕分けにおいて、「総じてICT推進の必要性については、否定しないものの、事業の実施内容に問題がある」との意見があり、「廃止」という評価結果になったこと等を踏まえ、予算計上しないこととした。
事業名【5】退職教員等人材活用事業(拡充)
【主管課:初等中等教育局財務課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 子どもたちの学力の向上と規範意識の育成を図るためには、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくることができるよう、学校現場で日々頑張っている教員を支援する体制を整備することが必要である。
 一方で、教員勤務実態調査(平成18年度文部科学省実施)によると、教諭の残業時間は1ヶ月当たり平均34時間と多忙化が指摘されており、教員が子ども一人一人に向き合う環境が十分であるとはいえない状況にある。
 また、新学習指導要領は、小学校で平成23年度から、中学校で平成24年度から全面的に実施することとしているが、平成21年度から算数・数学・理科を中心に先行して実施しているところであり、授業時数や指導内容を増加した新学習指導要領の円滑な実施を図るため、指導体制を整備することが必要である。
 このことは、平成20年7月1日に閣議決定された教育振興基本計画にも、「授業時数や指導内容を増加する新学習指導要領の円滑な実施を図るために、教職員定数の在り方(中略)など教育を支える条件整備について検討する」や「教員が子ども一人一人に向き合う環境づくりの観点から、教職員配置の適正化を行うとともに、(中略)退職教員・経験豊かな社会人等の外部人材の積極的な活用を図る」と記述されているところであり、喫緊の課題として退職教員等の人材の積極的な活用に取り組む必要がある。
(有効性)
 事業初年度である平成20年度においては、44県で本事業が実施され、全国で約6,500人(週12時間換算)の非常勤講師等が配置されたところである。また、平成21年度においては、58県市で本事業が実施され、全国で約14,000人(週12時間換算)の非常勤講師等が配置されている。
 各都道府県及び各政令指定都市において、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるとともに、新学習指導要領の先行実施における理数教科の授業時数の増等に対応するため、非常勤講師等を配置する必要があることから、前記の目標の達成が見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
 新学習指導要領の先行実施における理数教科の授業時数増への対応等のため、7,690百万円を概算要求に盛り込んだ。その後、理数教科の授業時数増に伴う少人数指導の充実について定数改善により対応することとして本事業の見直しを図った。(平成22年度予算案:2,760百万円)
事業名【6】キャリア教育総合推進プラン(新規)
【主管課:初等中等教育局児童生徒課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 教育振興基本計画では、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策の中で「普通科高等学校におけるキャリア教育を推進する」とされた。また、骨太09においても、小中高校におけるキャリア教育の強化を推進することとされている。
 さらに、中教審「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について 審議経過報告」において、「産業社会と人間」のようなキャリア教育の中核となる内容を教育課程に位置づけることや、学校外に企業や地域社会との調整を行う者を確保すること等、高等学校におけるキャリア教育の在り方について提言されており、積極的な取組を行う必要がある中、実証的な研究に取り組むことにより、効果的な事業モデルを構築すること、そして、そうした成功モデル例を地方公共団体等に提示する必要があるため。
(有効性)
 本事業を実施することにより、学校と企業や地域社会の連携が円滑に進み、外部の専門的な人材の活用がより効果的に行われることが見込まれる。
 また、「産業社会と人間」やそれに類する内容を普通科高等学校において実施するための研究やその効果の検証が行われることが見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:297百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議WGの事業仕分けにおいて、「キャリア教育・職業教育」については「実施は自治体の判断に委ねる」との評価結果となったことを踏まえ、国として予算要求を行なわないこととした。
事業名【7】公立学校施設の耐震化等の推進(拡充)
【主管課:大臣官房文教施設企画部施設助成課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 安全・安心で豊かな学校施設を確保するためには、耐震化が必要不可欠であるとともに、太陽光発電の導入をはじめとするエコスクールの整備や地域材等の木材利用の推進、バリアフリー化、アスベスト対策、老朽化への対応、特別支援学校の教室不足の解消、学校統合への対応など、様々な課題への対応が求められている。
 特に、公立小中学校等施設の耐震化については、着実に進捗しているものの、「地震防災対策特別措置法」により義務付けられた耐震診断でさえ未実施の建物が、平成21年4月1日現在、3,205棟ある。また、耐震診断は既に実施されているものの十分な耐震性が認められず、今後対応が必要な施設も相当数残っている。このため、地方公共団体の要望を踏まえて、その取組を引き続き推進していく必要がある。
(有効性)
 公立小中学校等施設の耐震化について着実に進捗しているなど、一定の効果が現れている。引き続き本事業を実施することにより、全国の公立小中学校等施設の耐震化事業が促進され、現在より多くの公立小中学校等施設において、児童生徒や教職員等が一日の大半を過ごす場の安全が確保されるとともに非常災害時における地域住民の応急避難場所の安全が確保される。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:121,177百万円
(平成22年度予算案:115,136百万円)

【事業内容の見直し】
 行政刷新会議WGによる事業仕分けの結果等を踏まえ、予算額を縮減しつつ、学校耐震化に予算をより重点化し、耐震化の着実な推進に努めていく事としている。
事業名【8】高校奨学金事業等の充実・改善(新規)
【主管課:初等中等教育局児童生徒課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 高等学校等就学支援金の支給とともに高校の実質無償化を図るためには、現在の高校奨学金事業を改善し、従来の奨学金に加えて、入学時に必要な経費などを対象に給付型の奨学金を付加的に設定するなど、さらなる追加支援策を講ずる必要がある。
(有効性)
 交付申請の件数に対する交付決定の件数の割合は100%が見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:12,251百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
予算編成過程で廃止。
事業名【9】幼稚園就園奨励費補助事業(拡充)
【主管課:初等中等教育局幼児教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 「骨太の方針2009」において、「幼児教育、保育のサービスの充実・効率化・総合的な提供、財源確保方策と合わせた幼児教育の無償化について総合的に検討する。」、「安心して教育が受けられる社会の実現に向けて、各学校段階の教育費負担に対応するため、所要の財源確保とあわせた中期的な検討を行いつつ、当面、軽減策の充実を図る。」と盛り込まれており、幼稚園に通う園児をもつ保護者の経済的負担の軽減及び保育料等の公私間格差の是正を図り、幼稚園の就園機会の充実を図る本事業の拡充は不可欠である。
(有効性)
 平成21年度予算では、第3子以降は「幼稚園に同時就園」及び「兄・姉が小学校3年生までである園児」の場合ともに[0.0](無償)としたところである。平成22年度概算要求においては、さらなる保護者負担の軽減を図るため、「兄・姉が小1〜3の場合」の現行の第2子の保護者負担[0.9]を[0.6]とする拡充要求をするので、目標は確実に達成される。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:20,903百万円
(平成22年度予算案:20,417百万円)

【事業内容の見直し】
 子ども手当の創設を踏まえ、低所得者への給付の重点化を図る観点から、補助単価の在り方を抜本的に見直した。
 また、第2子の保護者負担の軽減を図った。(第1子の保護者負担割合を1.0とした場合の第2子の負担割合を0.9から0.75に引き下げ)
事業名【10】教科用特定図書等普及事業(拡充)
【主管課:初等中等教育局教科書課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
  平成20年6月に制定された、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(平成20年法律第81号。以下「法」という。)」においては、通常学校に在籍する障害のある児童生徒に対する拡大教科書等の無償給与について規定する(法第9条及び第10条)とともに、国における施策の推進について示されたところであり、また同法が採決された際には、
(1)拡大教科書等の供給・普及の促進という国の責任を果たすためには、教科書発行者による拡大教科書等の発行が重要であることにかんがみ、その発行が一層促進されるよう、必要な措置を講ずること。
(2)教科書発行者からの教科書デジタルデータの提供については、その提供が円滑に行われるとともに、提供されたデジタルデータが適切に管理・活用されるよう必要な支援措置を講ずること。
その際、拡大教科書等を作成するボランティアにとって使い勝手のよいデジタルデータが提供されるよう、適切な処置を講ずること。
等といった内容の附帯決議を受けている。
 また、平成20年4月、文部科学省に設置した拡大教科書普及推進会議(視覚障害教育の専門家や教科書発行者、ボランティア団体等の関係者により構成される)の「第一次報告(平成20年12月)」、「第二次報告(平成21年3月)」において、法の趣旨を適切に踏まえた拡大教科書等の普及充実を図るための取組が文部科学省において行われることが必要であると報告されている。
 国としては、これらを受け、現在の諸問題を早急に検討・解決し、視覚に障害のある児童生徒に拡大教科書を普及充実させることで、障害のある児童生徒に対する教育における機会均等の保障を担保していく必要がある。
(有効性)
 本事業により得られる教科書デジタルデータの提供拡大や標準規格に基づく拡大教科書等の発行の促進等といった成果を通じて、必要とする児童生徒に拡大教科書等を速やかに、確実に給与することが可能となる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:270百万円
(平成22年度予算案:157百万円)
事業名【11】義務教育費国庫負担金
【主管課:初等中等教育局財務課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 義務教育費国庫負担制度は、義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担するものであり、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る役割を担っている。
 また、優れた教員を確保するため、メリハリある教員給与体系の実現に取り組むとともに、子どもたちの学力の向上と規範意識の育成を図る観点から、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるため、教職員定数の改善に取り組むこととしており、教育の質的向上を図る観点からも本事業は重要な役割を担っている。
(有効性)
 義務教育費国庫負担制度は、義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担することにより、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることを目的としている。
 本事業は、5月1日現在における公立小・中学校の教員定数の充足率(都道府県ごとに、義務標準法第6条に基づき算定した教員定数に対する各都道府県が実際に配置した教員数の割合)が全ての都道府県において100%となることを目標としているが、平成20年度においては、教員定数を充足している県が45県、未充足となっている県が2県(未充足2県の平均充足率は99.6%)となっている。
 なお、未充足となっている2県については、平成20年5月2日以降、随時、教員を配置しており、年度途中で未充足は解消されている。このような状況から、年度内において充足率100%を達成することができると見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
 義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担することにより、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、1,637,958百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成22年度予算案:1,593,767百万円)
 また、教員が子ども一人一人に向き合う時間を確保するとともに、新学習指導要領の円滑な実施を図ることができるよう、概算要求に教職員定数5,500人の改善を盛り込んだ。(平成22年度予算案では4,200人の改善)
事業名【12】TAを活用した学生実験実習の充実支援事業(新規)
【主管課:高等教育局大学振興課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 上述の「事業に至る経緯・今までの実績」で示した通り、大学の教育研究活動を充実するとともに、優秀な大学院生に対するTA・RAを抜本的に充実することが喫緊の課題となっている。そのような状況の中で、本事業は、大学が優秀な大学院生をTAとして数多く採用し、経済的支援を充実するのみならず、教育補助活動への参加を通じた学生の資質向上や、実験・実習など大学の教育活動の充実等を図るものであり、事業実施の必要性は極めて高いと言える。
(有効性)
 平成20年度に、文部科学省先導的大学改革推進委託事業を活用し、大学の学部学生及び修士課程学生に「博士課程進学の決断を阻害する要因」及び「博士課程が魅力的になるために必要な活動や仕組み」等について調査したところ、前者については「博士課程に進学するよりも企業で働くほうが魅力的であること」及び「在学中の生活水準が保障されていないこと」、後者については「学費・生活費に経済的支援」及び「博士課程に対応した就職支援の取組」がそれぞれ1位、2位の回答となった。
 一方、大学院部会において、平成18年3月に策定した大学院教育振興施策要綱の検証を進める中で、これまで、「組織的な大学院教育改革推進プログラム」等の大学教育改革のための支援事業の推進により、大学改革の活性化や教員の意識改革等、大学においてその事業効果が着実に見られているとの指摘がある。
 以上を踏まえると、本事業の実施により、上述した目標の達成は確実に見込まれると言える。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:-百万円
(平成22年度予算案:0百万円)
予算編成課程で廃止となった。
事業名【13】アジア等における高度産業人材育成拠点支援事業(新規)
【主管課:高等教育局専門教育課】
【関係課:高等教育局高等教育企画課】
評価結果の概要 (必要性)
  アジア諸国との信頼・協力関係を強化するため、大学間交流を促進し、アジア等の成長の担い手となる高度かつ実践的な人材育成を図るとともに、我が国の先端技術分野における技術者の質的・量的不足を解消する必要がある。
(有効性)
 選定に当たっては、対象分野に関する教育研究の実績や外国人学生の受入れ実績等を要件とし、かつ実現性の高い優れた取組を選定し、重点的に支援することとしており、それを通じて当該目標を達成することは可能であると考える。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:1,000百万円
(平成22年度予算案:500百万円)
【事業名の変更】
 平成22年度予算案には「日中韓等の大学間交流を通じた高度専門職業人育成事業」として計上。
【事業内容の見直し】
 第2回日中韓サミットにおいて三国の大学間交流の促進が合意されたこと等を踏まえた新たな事業とすべく検討した結果、対象地域をアジア等から中国・韓国を中心とした地域へ見直すとともに、育成すべき人材を、高度な産業人材から、成長の担い手となる高度かつ実践的な幅広い人材へ見直した。この結果、平成22年度より「日中韓等の大学間交流を通じた高度専門職業人育成事業」として、我が国の国際競争力の強化を図り、日中韓の協力強化と安定的で健全な発展に寄与する事業を実施することとした。
事業名【14】実践型研究リーダー養成事業(新規)
【主管課:科学技術・学術政策局基盤政策課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 平成19年度の「民間企業の研究活動に関する調査報告」(文部科学省)によると、学士号取得者、修士号取得者、博士課程修了者及びポストドクターの採用にあたり重視する能力・資質のうち、「進行管理能力(リーダーシップまたは研究プロジェクトの進行管理の能力)」を「重視する」と回答した民間企業の割合は、学士号取得者では23.7%、修士号取得者では37.8%、博士課程修了者では50.4%、ポストドクターでは55.2%である。このことから、産業界において、博士号取得者及びポストドクターは、学士号取得者及び修士号取得者よりも「進行管理能力」を求められていることがわかる。また、企業からは技術をマネジメントする人材及び技術を俯瞰できる目利き人材、戦略を立案できる人材の不足が懸念されているとともに、国内外の研究者からも我が国の人材についてリーダーシップ不足が指摘されている(「民間企業の研究開発動向に関する実態調査」社団法人研究産業協会 平成20年3月、「第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究 内外研究者へのインタビュー調査」文部科学省 科学技術政策研究所 平成21年3月)。一方で、企業からは、博士課程修了者の採用を増やす要件として、博士課程修了者の人間力の向上(コミュニケーション力、協働で仕事をする力、リーダーシップ等)があげられている(「産学における人材の活用及び交流・流動化に関する調査研究」株式会社日本総合研究所 平成21年3月)。
また、社会の多様な分野に、リーダーに求められる素養・能力を備えた博士号取得者等の科学技術関係人材を輩出することにより、上位目標である、科学技術関係人材の質と量の確保を実現が促進される。特に、若手研究者の質の確保の一環として、リーダーに求められる素養・能力の伸長に特化した本施策を実施することにより若手研究者の質の確保が一層促進されることが見込まれる。
(有効性)
 リーダーとしての素養・能力を身に付け、産業界で活躍する人材の数(本事業を経て産業界へ就職した学生の人数)の増加等については、委託機関の選定段階で応募機関の計画を精査し、実効性の見込まれる計画を採択すること及び文部科学省による進捗状況の確認により、達成できるものと見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:200百万円
(平成22年度予算案:102百万円)
事業名【15】デジタル・ミュージアムの実現に向けた研究開発の推進(拡充)
【主管課:科学技術・学術政策局計画官】
【関係課:研究振興局情報課】
評価結果の概要 (必要性)
 本事業は、既に失われ、又は現在失われつつある文化をより現実に近い形で保存するとともに人々に体感してもらうことを可能とするシステムの実現のための研究開発であり、ここで得られる研究成果は、技術的観点はもとより、文化的観点、教育的観点等からも波及効果が大きい。
 EUでは既に「フレームワーク計画」(Framework Programme)の第6次及び第7次における研究領域であるDigiCult(Digital Heritage and Cultural Content)において、文化的・科学的資源の保存(デジタル化)とVR(バーチャルリアリティ)・画像認識・位置検出等の先進技術を活用した映像展示が推進されているほか、米国においても、スミソニアン博物館において3次元計測と3次元CG表示を行う等、関連技術を展示に応用する取組が行われているところであり、より先進的な文化発信システムの構築に向けた研究開発を他国に先駆けて我が国において実施することにより、関連技術の競争力を維持・向上することが期待される。
 一方、文化の保存・活用側においては、貴重な文化財を災害等による喪失から守ろうという機運が近年ますます高まっており、文化財に負担をかけずに鑑賞者の多様なニーズに合わせた魅力的な情報提供を行うことが求められている。
 本事業の実施にあたっては、産学官の研究者および博物館・美術館等のミュージアム関係者との連携を想定しており、現状のニーズに沿った効果的・効率的な研究成果の創出や活用を行うことが期待できる。
(有効性)
 大型ディスプレイ開発技術やロボット開発技術等のものづくり技術、コンピュータビジョンに代表されるセンシング技術、インタラクティブ3D技術を含むユーザ・インタフェース技術等、本研究事業に関連した要素技術は、日本が強い分野である。
 特に、VR(バーチャルリアリティ)技術に関しては、研究者を束ねる学会を持っているのは日本だけであり、SIGGRAPH等国際学会における実空間表示系では、わが国の存在感が際だっている。触覚インタフェース分野でも、東京大学のほか、東京工業大学、大阪大学、国際電気通信基礎技術研究所等が国際会議で活発な発表を行っている。また、立体映像表示、表示映像とのインタラクション、触角ディスプレイ等については東京大学等が世界各国に特許を出願している。
 このように、他国と比較しても高度な技術が我が国にあることから、これらを統合したシステムを構築しようとする本事業の目的達成可能性は高い。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:304百万円
(平成22年度予算案:103百万円)

【事業内容の見直し】
 平成22年度は、平成21年度の調査検討結果に基づき、デジタル・ミュージアムのシステムについて全体の詳細設計を行い、研究開発計画を明らかにすることとした。
事業名【16】世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)(拡充)
【主管課:科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(推進調整担当)】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 「第3期科学技術基本計画」、「イノベーション創出総合戦略」などにおいて、我が国の科学技術水準を向上させ、将来の発展の原動力であるイノベーションを連続的に起こしていくためには、その出発点である我が国の基礎研究機能を格段に高め、国際競争力を強化することが求められており、そのためには、「世界トップレベルの研究拠点づくり」が必要とされている。「世界トップレベルの研究拠点づくり」を具体化する一つの施策として、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)を平成19年度から実施してきたところである。
 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)は毎年、外国人を含めた外部有識者によるプログラム委員会、PD・POからなるフォローアップ会合を行っている。フォローアップでは、各拠点とも当初計画どおり着実に進行し成果を得ていることが確認され、世界水準の研究環境と研究水準を達成しつつあるが、引き続き、「第3期科学技術基本計画フォローアップ」においても指摘されているように、グローバル化の流れに乗り遅れないような国際戦略の一環として、優れた頭脳を引きつける場としての世界トップレベル研究拠点の強化及び拡充をすすめていく必要性がある。
(有効性)
 本事業は世界から第一線の研究者が集まる、優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える拠点」の形成を目指している。また、具体的な参考指標に関しては、1.研究者、研究支援員、事務スタッフ等も含めた総勢が200名程度あるいはそれ以上2.研究者のうち3割は外国人3.世界トップレベルの研究者(主任研究者)10〜20名程度あるいはそれ以上4.国際学会での招待講演実績、国際賞の実績、論文被引用の状況としている。20年度の実績では1.1拠点あたり平均164名2.1拠点あたり平均38%3.1拠点あたり平均23名4.素粒子・宇宙物理分野の代表的国際会議PASCOS2009での招待講演、クラフォード賞受賞、フルボルト賞受賞、素粒子・宇宙物理分野での論文被引用が世界第1位と第2位の主任研究者、マテリアルサイエンス分野の論文被引用で世界4位の機関となっており、進捗状況は順調である。今後、さらに本事業が進展していくことにより、我が国が優秀な人材の世界的な流動の「環」の中に位置づけられ、内外の研究人材が自然に蓄積されるような世界トップレベルの研究拠点がつくられていく見込みがある。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:9,312百万円
(平成22年度予算案:7,283百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、平成19年度より開始した5拠点に係る「「目に見える拠点」の形成が進みつつあり、科学技術システム改革の先導に向けた取組が想定通り達成できている」という評価結果を受け、更に日本が科学技術の力で世界をリードしていく観点から、地球規模問題の解決に資する分野等で新規3拠点の拡充を図ることとし、9,312百万円の概算要求を行ったところ。その後、行政刷新会議による「予算要求の縮減」という結果を受け、既存5拠点の予算規模見直し等を行うとともに、新規拡充を環境分野の1拠点のみとして実施することとした。
事業名【17】外国人研究者受入れ環境整備促進事業(仮称)(新規)
【主管課:科学技術・学術政策局国際交流官】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 海外からの優秀な人材の獲得・定着には、分散している各種事務手続きの窓口の統一等の研究機関事務局体制の強化のみならず、家族のケアを十分行うなど生活環境等研究機関の周辺環境を整備する必要がある。
(有効性)
 海外の優れた研究者を円滑に受け入れるための周辺生活環境の整備を行う事により、配偶者に対する仕事の斡旋や医療のサポート等を英語で一元的に行うことが可能となり、優秀な外国人研究者の受入れや定着が促進される。以上により、目標は達成される見込みである。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:200百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議WGにおける事業仕分けにおいて、大学の国際化の重要性については異論がなかったが、大学が取り組むべきである、効果は小さいと思われる等の意見があり、廃止との評価結果を受けた。今後の外国人研究者受入れ体制整備の在り方については、事業仕分けの結果やその後の文部科学省に頂いたご意見等を参考に、検討することとし、平成22年度の予算計上は見送ることとした。
事業名【18】産学官民連携による地域イノベーションクラスター創成事業(仮称)(新規)
【主管課:科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(地域科学技術担当)】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 これまで、地域活性化の観点から、知的クラスター創成事業や都市エリア産学官連携促進事業により、地域のポテンシャルを重視して、数多くのクラスター形成が進められ一定の成果を上げつつある。一方、今後我が国が長期的観点から目指すべき社会の姿は低炭素社会や健康長寿社会等であり、これらの姿は国と地域や人一人の市民が協働して成し得るものであることから、今後は、戦略的長期的に取り組むべき重要な技術を念頭に、国が、国家的・社会的ニーズを踏まえて大きな目標や課題を設定し、地域が主体となりつつ、地域単独では実施できないような新たな研究開発システムの形成を目指す必要がある。
(有効性)
 地域のイニシアティブの下で、地域内の大学や産業界との連携を進め、クラスターを形成するという当該事業は国際的にも多く用いられている手法であり、高い成果をあげていることから、有効な施策である。また、地域が単独で行うよりも、国が競争的に支援することにより、優れた構想に対して重点的な投資をすることが可能となるとともに、競争的な環境の下で、地域の構想自体がより洗練されたものになる。さらに、科学技術振興機構(JST)や関係府省と共同で外部有識者による評価を行い、優れたプロジェクトは事業終了後にJSTや関係府省の施策へ優先的に措置されるような仕組みを構築し、事業終了後も地域の自立的な取組が可能となる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:1,500百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議WGの事業仕分けの結果において、「廃止」という評価結果になったこと等を踏まえ、平成22年度の予算計上を見送ることとした。
事業名【19】科学研究費補助金(拡充)
【主管課:研究振興局学術研究助成課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 我が国が持続的に発展していくためには、多様な学術研究の推進など、イノベーションを絶え間なく創造する環境作りが必要である。科学研究費補助金は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたる学術研究を支援するものであり、イノベーションの種を生み出し、ひいては我が国全体の社会・経済発展に資するものとして必要な事業である。
(有効性)
 科学研究費補助金は、大学等において行われる学術研究を推進し、我が国の研究基盤を形成するための基幹的な経費として、長期的視野に立った助成を行ってきており、その拡充と制度改革が不断に行われてきた。平成21年度においては、対前年度費38億円増の1,970億円を計上しているところである。また、採択課題数も着実に増加し、平成20年度実績で約57,000件の研究課題を支援するなど、あらゆる分野の学術研究への幅広い助成が行われている。さらに、研究成果として報告のあった論文数等も着実に増加している。今後も、第3期科学技術基本計画等の方針に基づき、科学研究費補助金の拡充が引き続き図られる見込みであり、その場合、採択件数も増加し、研究成果として報告される論文数等も着実に増加する見込みである。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:200,000百万円
(平成22年度予算案:200,000百万円)
事業名【20】ポストドクター等の参画による研究支援体制の強化(新規)
【主管課:研究振興局研究環境・産業連携課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 内閣総理大臣指示書(平成21年9月18日)や文部科学大臣指示書(平成21年9月18日)等にあるとおり、大学等における研究力の強化及び基礎研究の充実は極めて重要である。しかしながら、我が国の研究者当たりの研究支援者数は欧州の1/3程度(※1)という国際的に見て極めて低い水準にあり、また欧米と異なり研究支援者の職務上の役割期待が不明確であるために本来研究支援者が行うべき業務に研究者が忙殺されているなど、諸外国に比べ大きな遅れをとっている。こうした現状を改善するため、研究現場に精通したポストドクター等の高度専門人材の参画により我が国の研究支援体制を抜本的に強化する必要がある。
(※1)出典:総務省統計局「科学技術研究調査報告」、OECD「Main Science and Technology Indicators」
 第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査(※2)においても、大学研究者の研究時間の量・質を確保し、さらに改善していく上で、研究支援機能の強化、具体的には研究支援者の増強を検討することの重要性が指摘されている。特に、大学における設備利用の非効率、テクニシャン(技術支援者)の不足が問題点として挙げられており、分野や大学毎の特性を踏まえた有効な研究支援強化方策についての検討の必要性、及びそのノウハウを多くの大学で共有できることを眼目としたモデル事業を国の一定の支援のもとに実施することの有効性が指摘されている。(※2)『第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究』(2009年3月文部科学省 科学技術政策研究所)
 また、人類の知的資産の拡充に貢献し、同時に世界最高水準の研究成果や経済を支える革新的技術などのブレークスルーをもたらす研究成果を創出する上で、各研究開発分野を支える国として重点的に整備すべき知的基盤を長期的な視野を持って継続的かつ確実に体系化し、広く供用可能なものとすること、及びそのような知的基盤整備等の研究・技術支援業務に従事する高度専門人材の育成・確保は不可欠である。
(有効性)
◆R&Dアドミニストレーション体制の整備
 高度専門人材を活用した研究マネジメント体制構築のために優れた取組を推進する大学等を公募により選定し平成22年度は15機関を支援する予定である(平成26年度までに50機関の採択を目指す)。本事業による支援機関が優れた先行事例となり、全国的な波及効果と制度としての定着が期待される。
◆組織横断型研究・技術支援体制の整備
 我が国の技術支援体制の強化を図る優れた取組を推進する大学等を公募により選定し、平成22年度は15機関を支援する予定である(平成26年度までに50機関の採択を目指す)。本事業による支援機関が優れた先行事例となり、全国的な波及効果と制度としての定着が期待される。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:953百万円
(平成22年度予算案:0百万円)

【事業内容の見直し】
  総合科学技術会議による平成22年度新規施策を対象とした優先度判定において、SABCの4段階のうち3段階目であるBの優先度と判定されたことを受け、より優先すべきと判定された他施策の予算確保の必要上、今回は予算計上を見送ることとした。
事業名【21】次世代スーパーコンピュータの開発・整備及びその利用促進(拡充)
【主管課:研究振興局情報課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 大学や公的研究機関では、ナノテクノロジーやライフサイエンス、環境・防災、原子力、航空・宇宙等の幅広い分野において10ペタFLOPS級の計算資源のニーズが顕在化している。産業界においても、ものづくりや創薬等において、製品化までの開発期間や開発コストの大幅な縮小を可能とするなどのシミュレーションのメリットが認識され、「スーパーコンピューティング技術産業応用協議会」が設立されるなど高性能スパコンへの期待が高まっている。一方、平成14年3月に運用を開始した地球シミュレータ以降、我が国にはスパコン開発プロジェクトがなく、スパコン開発において米国の後塵を拝している状況。
 以上から、我が国の技術力を維持・強化するとともに、我が国全体としての計算資源量を飛躍的に拡大するため、次世代スパコンを開発することが必要。また、世界最先端の次世代スパコンの完成後、速やかにその性能を最大限発揮させ、成果を普及させるためには、平成22年度から「戦略プログラム」の準備研究が必要。
(有効性)
 科学技術・学術審議会下の次世代スーパーコンピュータプロジェクト中間評価作業部会での中間評価報告書においては、「スカラ型単一のシステムは、プロジェクトの目標達成を念頭に置いたシステム構成として妥当」等とされていること、次世代スーパーコンピュータ戦略委員会において利活用の具体的方策の検討が着実に進んでいることから、目標達成は可能と見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:26,759百万円
(平成22年度予算案:22,779百万円)

【事業名の変更】
「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」に事業名を変更。

【事業内容の見直し】
 行政刷新会議WGによる事業仕分けの評価結果等を踏まえ、次世代スーパーコンピュータプロジェクトを利用者側視点に立った多様なユーザーニーズに応える「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ」の構築に進化・発展することとした。具体的には、
 1.ナンバーワンの世界最先端・最高性能を目指した次世代スパコンを開発するとともに、
 2.次世代スパコンと国内の様々なスパコンをネットワークで結び、協調的に利用するオンリーワンの「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ」を構築することとした。
事業名【22】脳科学研究戦略推進プログラム(拡充)
【主管課:研究振興局ライフサイエンス課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 高齢化、多様化、複雑化が進む現代社会が直面する様々な課題の克服に向けて、脳科学に対する社会からの期待が高まっている。(例 アルツハイマー病など認知症とされる人:約170万人、うつ病などを含む気分障害:約90万人、自殺者の数:毎年3万人以上など)
 このような状況を踏まえ、『社会に貢献する脳科学』の実現を目指し、社会への応用を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進するため、脳科学委員会における議論を踏まえ、重点的に推進すべき政策課題を設定し、その課題解決に向けて、研究開発拠点等を整備することが必要である。
 そのため、本年度は、本事業における従来からの取組に加えて、健やかな人生を支えるために、「発生から老化まで」という人間及び脳神経の一生の「健やかな育ち」「活力ある暮らし」「元気な老い」の3段階に着目し、心身の健康を支える脳の機能、健康の範囲を逸脱するメカニズム等を「分子基盤と環境因子の相互作用」という視点で解明する課題の設定が必要である。
(有効性)
 本事業は「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(第1次答申)」を踏まえ、「社会に貢献する脳科学」を目指した研究開発拠点等の整備及び各研究開発拠点等において重点的に推進すべき政策課題対応型研究を進捗により、蓄積された知見、技術を活用し、医学・薬学への貢献、産業応用に向けて生命現象のさらなる解明を図ることを目標としている。
 これまでに、神経発生・発達の段階で生じる微細な異常が、小児期のみならず成人してから発症する多くの精神・神経疾患の直接・間接の原因となることが明らかとなりつつあり、発症の分子基盤として生理学的な老化と共通の分子メカニズムの関与が明らかになりつつあるといった科学的知見も得られている。また、脳科学研究が学際性・融合性の高い学問であることを踏まえると、脳と心身の健康(健康脳)に向けた拠点の整備は、事業開始にあたり十分整備されていると考えられる。さらに、脳科学研究戦略推進プログラムにおいては、公募により研究拠点を募集し、外部有識者を含む選考委員会で厳正に審査し、目標を達成しうる研究機関を採択している。また、採択時のみならず、事業実施期間中も、文部科学省、PD、POらが頻繁に指導しているほか、平成21年度からは、採択した拠点同士の連携体制を確保し、一層の政策誘導を確保するための枠組み創設の検討を文部科学省主導で始める予定である。
 以上、科学的観点及び実施体制の観点において、設定した目標を達成できる見込みである。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:2,400百万円
(平成22年度予算案:2,390百万円)
事業名【23】再生医療の実現化プロジェクト(拡充)
【主管課:研究振興局ライフサイエンス課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 再生医療は、難病・生活習慣病等に対して、新たな治療法を実現し、患者のQOLと国民福祉の向上をもたらすものであり、細胞移植や組織移植によって、これまでの医療を根本的に変革する可能性を有する先端医療である。
 平成19年11月、京都大学山中教授らの研究チームが、世界で初めて、生命の萌芽である胚を滅失することなく、成人の皮膚細胞から様々な細胞に分化する能力を持つヒトiPS 細胞(人工多能性幹細胞)を作り出すことに成功したという論文が発表された。
 iPS 細胞については、平成18年8月に同じく山中教授らの研究チームがマウスの細胞からの樹立に成功して以降、ヒトの細胞での樹立に向けて国際的な競争が行われていた。山中教授らによるiPS細胞の樹立成功は、世界に誇れる日本発の成果であり、また再生医療の実現に向けた大きな第1歩であるため、今回の成果を受け、国際競争が進む中で、我が国の研究を加速させ、また再生医療技術の開発などを日本全体で戦略的に進めていくことが求められている。
 係る状況の中で、文部科学省においては、科学技術・学術審議会ライフサイエンス委員会幹細胞・再生医学戦略作業部会等における議論を踏まえ、ヒトiPS細胞を中心に、ヒトES細胞、ヒト体性幹細胞を用いた再生医療研究を総合的に推進するヒトiPS細胞等研究拠点を整備するとともに、幹細胞の操作技術に関する開発等を推進し、再生医療を実現化していく必要がある。
 本事業では、こうした再生医療の実現化を目指し、世界に誇る画期的な成果であるiPS細胞に関する研究をさらに発展させるとともに、ヒト幹細胞を用いた前臨床研究を強力に推進し、研究成果の社会還元をいち早く図ることとしており、国民生活の向上を目指して、日本全体としての研究体制を構築して、戦略的に研究を推進する必要がある。
 特に平成22年度においては、難病の患者の細胞を用いた疾患研究の推進や、創薬研究等に資する、iPS細胞リソースの収集・保存・提供を行う(iPS細胞バンク)の構築が必要である。また、再生医療の実現化には、安全性や有効性の確認のために、中型以上の動物やサル等の霊長類動物を用いた研究(前臨床研究)の実施が必要であるため、平成21年度補正予算で設備整備を行ったiPS細胞研究4拠点と個別研究事業実施機関が共同して、iPS細胞を用いた前臨床研究を実施できるように支援を行う。
 なお、本研究分野は、世界的にも競争の激しい分野であり、難病患者等の医療費削減や、製薬・医療機器開発等による経済の活性化も見込まれることから、積極的に推進する必要がある。
(有効性)
 本事業は、各種施策を踏まえた、わが国の幹細胞・再生医学研究の体制を強化するための研究開発拠点等の整備及びこれらにより推進される再生医療の実現化のための研究により、先端的医療の実現に資する知見の蓄積、技術の開発、またそれに必要な環境の整備を図ることを目標としている。
 これまでに、ウイルスを用いない方法でマウスiPS 細胞の樹立に成功したほか、ヒトiPS 細胞から血小板等の各種血液細胞への分化誘導に成功し、また、脊髄を損傷したマウスにヒトiPS細胞から作製した神経前駆細胞を移植することにより症状を改善する等の成果を挙げており、10カ年計画で実施されている本事業の終盤となる今後は、iPS細胞等を研究者がニーズに応じて入手可能とするバンクの構築や、中型以上の動物や霊長類動物を用いた前臨床研究の実施を行い、開発を加速することで、iPS細胞等を用いた革新的な幹細胞操作技術や治療技術等のさらなる実現化が見込まれる。
 また、本事業の実施体制は、PD・PO・各研究代表者により構成される拡大運営委員会、外部委員より構成される評価委員会を設置し、運営委員会・成果報告会等を定期的に開催し、厳正な事業実施を行っている。また、約30機関が参加する「文部科学省iPS細胞等研究ネットワーク」を活用し、iPS細胞等研究を日本全体で円滑に進めるよう、研究成果や知的財産に関する情報等の一元化をはかるための体制を構築している。
 加えて、「iPS細胞研究ロードマップ」(平成21年6月24日 文部科学省)においても、今後のiPS細胞研究に関して、iPS細胞等を一元管理・配布提供するシステム(バンク)の構築、及び安全性や有効性の確認のための中型以上の動物やサル等の霊長類動物を用いた前臨床研究について具体的な目標として設定され、それに基づいて、関係府省と連携し、必要な施策の遂行に努めていくこととしている。
 以上、科学的観点及び実施体制の観点より、設定した目標を達成できる見込みである。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:2,800百万円
(平成22年度予算案:2,370百万円)2次補正予算への前倒しによる減額。
事業名【24】分子イメージング研究戦略推進プログラム(新規)
【主管課:研究振興局研究振興戦略官付】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 第3期科学技術基本計画(平成18年度~平成22年度)、新健康フロンティア戦略(平成19年4月策定)、イノベーション25(平成19年6月閣議決定)等に基づいて、第�T期プログラムが推進された。また、最近でも、健康研究推進戦略(平成21年7月31日策定)において、医薬品開発過程の迅速化・効率化や、革新的医療技術の安全性・有効性の評価手法等の開発のためにも、バイオマーカーや分子イメージング等の基盤技術開発が重要と指摘されている。
 第1期プログラムの結果、優秀な研究者を結集した拠点が整備されるとともに、1.高比放射能プローブ開発等による分子イメージング技術の飛躍的向上、2.疾患モデル動物における機能評価法の確立、3.創薬候補物質の標識化や薬物動態予測法など、様々な優れた要素技術等が開発された。しかしながら、それら技術のヒトでの安全性・有効性が実証される段階に至っていないことなどから、革新的な医療技術の開発や、その審査等で十分に活用されていないのが現状である。従って、開発された分子イメージングの要素技術等が、革新的な医療技術の開発加速や審査等に活用できることを、早期に臨床研究等によって実証し、実用化に繋げていく必要がある。このためには、第�T期プログラムにおいて整備した研究拠点を活用し、具体的な技術を創出できる体制を構築して、効率的に研究を進めていくことが重要となる。
(有効性)
 本事業の計画にあたっては、第1期プログラムで開発された優れた要素技術をいち早く応用研究に結びつけていくために、1.製薬企業、臨床医等の意見、ニーズが高い分野、2.臨床など実用に近い分野、3.関係機関が参加し連携の必要がある分野、等の観点から事業の対象とする分野を絞り込む等の工夫をしているため、目標を達成できる可能性は高い。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:700百万円
(平成22年度予算案:530百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議による事業仕分けにおける「目標、計画をもっと明確にしてほしい」等の指摘を踏まえ、研究分野をがん等に重点化し、当該分野において分子イメージング技術の実証を行うことを目標とした。
事業名【25】感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(新規)
【主管課:研究振興局研究振興戦略官付】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
○第3期科学技術基本計画に基づく分野別推進戦略(ライフサイエンス分野)において、戦略重点科学技術として「新興・再興感染症克服科学技術」が選定されており、感染症対策のような人類共通の課題への対策にも貢献することの重要性が示されている。
○総合科学技術会議においてとりまとめられた「科学技術外交の強化に向けて」(平成20年5月19日)において、第�T期プログラムは、科学技術外交を推進するために取り組むべき施策の一つとして取り上げられており、ODA等のわが国の支援で整備された各国・地域の拠点等を活用・設備の充実を図り、開発途上国のニーズに応じた共同研究や人材育成を実施することとされている。
○平成20年5月に横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD4)において宣言された「横浜行動計画」の中で、第�T期プログラムは、アフリカ開発を進める上で重要な役割を担うプロジェクトとして位置づけられている。
 本事業は、これら方針に沿ったものであり、国として積極的に推進することが必要である。
(有効性)
 第1期プログラムにおいて、8カ国に計12カ所の研究拠点を開設し、幅広い領域の専門家が一体となって現地研究者・専門家と共に研究を進める研究体制を構築した。引き続きこの研究体制を維持し、人材育成と社会への情報発信を行うとともに、拠点間のより一層の連携はもとより厚生労働省関係機関や海外機関との連携を含めた感染症研究ネットワーク機能や協力関係の強化を行うことで、予防・診断薬や新薬の開発など具体的な新興・再興感染症対策の強化に資することが見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:2,100百万円
(平成22年度予算案:1,900百万円)

【事業内容の見直し】
 本事業については、行政刷新会議による事業仕分けの「厚生労働省との連携、大学の能力を生かして縮減」という指摘や、その後寄せられた国民からの意見の中の「海外研究拠点の活動については長期的に継続して基礎研究・人材育成を行うべき」といった指摘等を踏まえ、海外研究拠点の拠点機能は維持しつつも、厚生労働省との効率的な連携を進めるとともに、大学の研究能力を最大限活用することにより、事業内容を見直した。
事業名【26】地震・津波観測監視システム(第2期)(新規)
【主管課:研究開発局地震・防災研究課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 東海・東南海・南海地震の今後30年以内の地震発生確率は極めて高く、これらが同時発生した場合、国民の生命・財産への甚大な被害が生じる恐れが指摘されている。これまで、陸域については地震本部の方針に基づき、世界的にも類を見ない高密度かつ高精度なリアルタイム観測網を整備してきているが、海域については陸域と比較して十分な観測機器が整備されておらず、地震発生予測に必要となる観測データが不足している。また、人的被害の軽減に非常に有効であると考えられる緊急地震速報や津波予警報の精度低下の原因となっている。
 そのような状況を踏まえ、文部科学省では、平成18年度より4ヵ年計画で、東南海地震の想定震源域である紀伊半島熊野灘沖にリアルタイム観測可能な海底ネットワークシステムの整備を進めている。一方、過去の記録や最新の研究成果によると、東海・東南海・南海地震は将来連動して発生する可能性が高いとされており、文部科学省では、平成20年度より5ヵ年計画で、「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」を実施し、連動性評価のための地震発生予測モデルの構築等を進めている。発生予測モデルを高度化し、南海トラフ巨大地震の高精度な連動性評価を行うためには、東南海地震の想定震源域におけるモニタリングとほぼ同一時期かつ長期にわたる南海地震の震源域におけるモニタリングが必要不可欠である。
(有効性)
 我が国の地震調査研究は、地震本部の設立以降、全国稠密な基盤観測網の整備、基礎研究の推進による知見の獲得、全国地震動予測地図の作成、緊急地震速報の開始等、多くの成果が上がっている。また、地震本部の方針の下、文部科学省が平成18年度から委託事業として実施している「地震・津波観測監視システム(第1期)」については、平成21年度中にはシステムを敷設し、平成22年度以降、システム本格稼動開始を予定しているところである。
 このような我が国のこれまでの地震調査研究に関する研究開発の実績と経験、さらには他の事業の進捗状況等を考慮すると、得ようとする効果は確実に達成されるものと見込まれる。
 なお、地震本部政策委員会や、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会においても本事業の評価を行い、有効性を確認するとともに事業の進捗を把握する。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:1,510百万円
(平成22年度予算案:1,510百万円)
事業名【27】気候変動適応戦略イニシアチブ(新規)
【主管課:研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 今後、最大限の温室効果ガスの排出削減努力を行ったとしても、温暖化による影響を完全に抑制することはできないため、気温上昇やヒートアイランド現象激化に伴う熱中症リスク増加への対応や、台風や集中豪雨といった極端現象への減災・防災などの対策を講じることは必須である。また、科学的に検証された適応策を事前計画的に行うことにより、影響の発現後に事後対処的な対策を施す場合に比べて影響被害額と適応対策費の総和を抑制することが可能となることや、長期の気候変動を見据えた計画的な適応が、副次効果的に現在の異常気象災害のリスクも軽減する場合が多いこと明らかになってきており、早急に適応策を実施する事が必要である。
 さらに、「気候変動適応型社会の実現に向けた技術開発の方向性(中間取り纏め)」(本年6月、総合科学技術会議)では、必須の基盤技術の一つとして、観測・予測データを統合的に解析・使用する共通的なプラットフォームを最大限活用して気候変動に伴う革新的な適応策研究を実施することが盛り込まれており、政府として本事業を強力に推進することが求められている。
(有効性)
 本事業では、適応策の研究の基礎となる気候変動の観測・予測データや、研究テーマ間の協調、データ統合・解析システムの利用にかかる調整などを効果的に行うための連絡調整の場を整備した上で、自然科学と社会科学の研究者の協力体制により研究開発を実施する。これにより、各分野において研究実績と知見を持つ大学・研究機関等が研究資源を集約し、政策課題に基づく研究開発を効果的・効率的に実施することが可能となると考え、目標の達成が見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:2,440百万円
(平成22年度予算案:1,618百万円)
事業名【28】最先端超小型衛星群の開発・実証(新規)
【主管課:研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室】
【関係課:研究開発局宇宙開発利用課宇宙開発利用課、研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室】
評価結果の概要 (必要性)
 本事業は、「全球地球観測システム(GEOSS)」10年実施計画への我が国の貢献として行う地球観測衛星に係る研究開発の一環として、我が国の最先端の科学技術を結集した高頻度の地球観測衛星システムとして必要である。
 宇宙基本計画においては、従前の宇宙開発利用が国民生活に十分に定着していなかったため、新たな宇宙利用を開拓すること、また、新産業と宇宙関連産業の拡大と雇用の創出を小型実証衛星プログラムとして求めていることから、本事業によって、これらの実現を図る必要がある。
(有効性)
 我が国には既に大学等に自由な発想や想像力による学術研究、宇宙機関で培われてきた基盤的研究開発、中小企業・ベンチャー企業等の優れた技術開発といった超小型衛星に係る実績、技術的知見が蓄積されている。また、諸外国においても50kg級で5m程度の分解能を実現する超小型衛星の事例があることから、地球観測システムとしての利用可能性の実証を通じ、本事業の目的達成の可能性は高い。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:1,000百万円
(平成22年度予算案:300百万円)
事業名【29】IAEA保障措置体制下における日本の保障措置制度の改善・強化(拡充)
【主管課:科学技術・学術政策局原子力安全課保障措置室】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
(1)IAEA保障措置の受け入れは国際約束に基づく義務であり、原子力の平和利用を担保する唯一の手段である。
(2)一方、IAEAの保障措置結論において、全ての核物質が平和的原子力活動の中にとどまっている旨の保障措置結論を得るためには、国内保障措置にかかるさまざまな課題等に対し、事前にかつ迅速に対応・改善していかなければならない。
(3)特に
(ア)厳格な管理を必要とするプルトニウムの利用(プルサーマル計画)に伴い、燃料受入、燃料装荷や取替燃料に伴う立会査察等の増加に対応し、保障措置効果を維持して効率的に実施
(イ)もんじゅなどの施設に設置されている機器の活用で、データ集約、レビューを可能とし、国内保障措置活動の評価・認定体制を構築等は、IAEAの保障措置結論を得るために取り組まなければならない課題であり、本事業はそのために必要な施策である。
(有効性)
 IAEAの保障措置結論は、日・IAEA保障措置協定等に基づき、IAEAの独立検認により導出される。よって、我が国は、国内保障措置における評価・認定制度の確立、リモートモニタリングの導入等により効率化を図りつつIAEA保障措置効果を維持するとともに、国内保障措置活動における問題事象に適切に対応し問題解決がなされれば、IAEAの保障措置結論としての原子力平和利用の担保が可能となるので目標の達成は可能である。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:3,309百万円
(平成22年度予算案:3,117百万円)

【機構・定員要求】
 原子力の平和利用の確保については実施体制の強化を図るため、平成22年度機構・定員要求により、保障措置室を研究開発局核不拡散・保障措置室へ振替要求を行った。(要求どおり措置)
事業名【30】宇宙利用促進調整委託費(新規)
【主管課:研究開発局参事官(宇宙航空開発担当)】
【関係課:研究開発局宇宙開発利用課】
評価結果の概要 (必要性)
 本事業は、平成21年度における宇宙開発利用に関する施策について(平成20年12月2日宇宙開発戦略本部決定)の中で「これまでの取組に加え、宇宙利用が促進され、国民生活の一部に取り込まれることを目指し、人工衛星に係る潜在的なユーザーや利用形態の開拓等、宇宙利用の裾野の拡大を目的として、産学官の英知を幅広く活用する新たな仕組みを政府として構築することとする。」とされたことを受け、実施している。宇宙利用促進は国民生活の向上に大きく寄与するものであるが、気象、通信・放送などの分野において、既に日常生活に浸透し不可欠な存在になっているものの、それ以外の分野では広範な利用や国民生活への定着が必ずしも十分なものになっていないため、本事業により宇宙利用を促進することが必要である。
(有効性)
 本事業において、これまで衛星データを利用したかったがノウハウがなくできなかった者など潜在的なユーザーの掘り起こしにつながり、一層宇宙利用の促進が図られることとなる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:1,500百万円
(平成22年度予算案:492百万円)
事業名【31】競技者・指導者等のスポーツキャリア形成支援事業(新規)
【主管課:スポーツ・青少年局競技スポーツ課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 ジュニア競技者がトレーニング活動に専念している期間には、学業の停滞が生じ、引退後の生活に支障をきたす恐れがある。また、国際競技力向上のためには、トップレベル競技者が、選手として日常のトレーニングや国際競技大会等で得た貴重な経験を、引退後に指導者等として次代の競技者に伝えることが有益である。このため、競技生活の初期からキャリアデザインの重要性等を理解させる機会を提供するとともに、引退後に指導者等を目指す競技者に対し、実践と理論を組み合わせた高度な指導理論を学習する機会を提供する必要がある。また、昨年来の世界的な経済危機の中で、企業の運動部の休廃部が続いており、トップレベル競技者がトレーニング活動に専念できない事態が生じており、国際競技力の向上の観点から、活動の継続を支援する必要がある。
(有効性)
 トップレベル競技者やジュニア競技者等に対するスポーツキャリア形成支援について、現状では、各競技団体が主要な担い手であるが、取組を行っていない競技団体も多く見られる。また、取組を実施している競技団体においても、事務体制及び財政能力の限界から、必ずしも競技者等のニーズに応えるだけの研修は行われていないと考えられる。しかし、第一線で活躍できる期間が限られているという競技者の特性からすると、多くの競技者が研修等に対するニーズを有していると考えられる。本事業の実施により、スポーツキャリアの形成に関する潜在的なニーズが発掘され、多くの競技者等がプログラム、ガイダンス等に参加すると考えられることから、上述の目標を達成できると見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:181百万円
(平成22年度予算案:90百万円)

【事業内容の見直し】
 予算編成過程において、本事業のうち企業アスリート支援プログラムを廃止し、その他のプログラム(スポーツキャリア大学院プログラム、キャリアデザイン支援プログラム、国際的スポーツ人材養成プログラム)に重点化することとした。
事業名【32】子どものための優れた舞台芸術体験事業(新規)
【主管課:文化庁文化部芸術文化課】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 次代の芸術文化の担い手である子どもたちの豊かな心や感性を育むために、学校において子どもたちに芸術文化に触れる機会を提供することは、我が国の芸術文化の振興を図る上で必要であると考える。
(有効性)
 平成19年度の実施状況に関する調査である「学校における鑑賞教室等に関する実態調査(社団法人日本芸能実演家団体協議会)」では、鑑賞教室が児童・生徒に与える効果の回答としては、「舞台芸術への関心を高められた」が85.1%、「豊かな心や感性・創造性をはぐくめた」が82.0%となっている(本調査結果は「本物の舞台芸術体験事業」を含む、学校における舞台芸術の鑑賞教室全般に関するデータである)。また、「文部科学省政策評価に関する調査研究(株式会社三菱総合研究所)」では、「当該事業をきっかけに文化・芸術活動を実施したくなった児童生徒の割合」が81.1%、「豊かな心や感性、創造性を育てるきっかけになったと思う保護者・教職員の割合」が保護者78.0%、教職員78.2%となっており(本調査結果は、「本物の舞台芸術体験事業」を対象としたデータである。)、児童・生徒に与える効果は高いという結果が出た。引き続き事業を充実し、この結果を維持する。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:4,975百万円
(平成22年度予算案:4,975百万円)

【事業内容の見直し】
 舞台芸術の公演団体による巡回公演に加えて、芸術家個人や小グループを学校等へ派遣できるようにすることにより、学校において文化芸術に触れる機会の選択肢を増やし、児童・生徒に与える効果が高まるよう、事業の充実を図った。
事業名【33】建造物防災施設等(緊急防災施設耐震改修)(新規)
【主管課:文化庁文化財部参事官(建造物担当)】
【関係課:】
評価結果の概要 (必要性)
 東南海・南海地震の発生が切迫するなか、近畿圏を中心とした地域において文化財建造物の防災対策の必要性が一段と高まっている。能登半島地震や岩手宮城内陸地震があり、このような地域においても大地震が発生しており、全国的な耐震、防災対策の必要性が生じた。
 また、本年4月の中央防災会議において、地震時に想定される災害から重要文化財建造物及びその周辺地域を一体として守るための防災対策のあり方及び実現方策等について、早急に取り組む必要がある旨指摘されたところである。
(有効性)
 本事業は、目標が達成された後も絶えることなく継続して行うことが必要である。
 当面の達成年度である平成26年度までに、重要文化財(建造物)の密集地域である近畿圏2府4件において消火設備の耐震改修の完了が見込まれる。
評価結果の
政策への反映状況
【概算要求】
平成22年度予算概算要求額:255百万円
(平成22年度予算案:255百万円)

お問合せ先

大臣官房政策評価室

-- 登録:平成22年06月 --