政策目標1 生涯学習社会の実現

政策目標1 生涯学習社会の実現
 国民一人一人が、生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会を実現する。
施策目標1‐1 教育改革に関する基本的な政策の推進等
 (改正教育基本法の理念の下、豊かな人間性を備えた創造的な人材育成のための教育改革を推進するため、教育改革について周知・啓発を図る。また、教育統計調査及び国際研究協力活動等の着実な実施を図る。)
【主管課:生涯学習政策局調査企画課】
【関係課:生涯学習政策局政策課】
評価結果の概要  改正教育基本法の概要、趣旨等を掲載したパンフレットを作成し、全国の学校等に配付・周知した。また、「教育改革セミナー」を全国7カ所で開催し、改正教育基本法や教育改革の推進状況に関する広報・啓発を行った。
 4つの教育統計調査(「学校基本調査」、「学校保健統計調査」、「学校教員統計調査」、「地方教育費調査」)及び諸外国の教育制度等に関する調査・研究を実施し、それぞれを報告書等により公表した。
 ユネスコ、OECD(経済協力開発機構)及びIEA(国際教育到達度評価学会)等の国際機関等との国際教育協力活動及び国際比較調査研究について、国内における実施等協力活動を推進した。これにより、教育改革を進めるにあたって必要となる客観的で信頼性の高いデータ・情報を提供している。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 今後、教育をめぐる様々な状況変化等に対応した統計調査を、より適切に実施していくため、調査事項など必要な見直し等の検討を行う外部有識者による検討会を設置するための経費の要求を行った。(平成20年度850千円→平成21年度予算案2,301千円)
 また、成人として必要不可欠な普遍的な能力を諸外国と比較分析するデータを収集し、教育行政等の施策立案に資するため、新たにOECDの国際成人力調査(PIAAC)に参加する経費の要求を行った。(平成21年度予算案75,928千円(新規))
 ユネスコ、OECD(経済協力開発機構)及びIEA(国際教育到達度評価学会)等の国際機関等との国際教育協力活動及び国際比較調査研究について、課題となっている我が国の教育の成果を国際的に幅広く比較する実証的データを収集するため、OECD高等教育における学習成果の評価(AHELO)及び国際成人力調査(PIAAC)等、346百万円(うちAHELO分38百万円、PIAAC分144百万)を概算要求に盛り込んだ。
平成21年度予算案209百万円
(うちAHELO分5百万、PIAAC分93百万円)
【制度改正】
 改正教育基本法を受けた制度改正や教育振興基本計画の内容の周知・普及など教育改革の趣旨徹底を図るため、セミナーの開催やパンフレットの配布などを行ったことにより国民の理解を一定程度得ることが出来た。引き続き、国民各層の理解を得るため、周知・普及を図る。
【機構・定員要求】
 諸外国における教育制度・教育事情に関する情報が求められる機会が増えており、今後もこうした要求により適切に対応する必要があることから、国際教育指標開発及びPIAAC等に積極的に取り組むための国際教育統計専門官(1名)を要求した。(平成21年度 国際教育統計専門官1名措置)
 OECDが国際教育インディケータ事業として決定したPIAACに参画し、事業の実施体制を強化するため、総括研究官(1名)の増を要求した。(平成21年度 総括研究官1名措置)
【業務改善】
 「統計調査等業務の業務・システム最適化計画」に基づき、平成20年度「社会教育調査」において「政府統計共同利用システム」のオンライン調査を導入した。各国教育基礎資料データベースの調査対象国の拡大をした。
【業務の効率化】
 教育改革セミナーの経費について、平成20年度においては平成19年度の実績を踏まえ、その効率化のための見直しを行い、削減を図った。(平成19年度実績:5,300千円→平成20年度予算:4,812千円)

施策目標1‐2生涯を通じた学習機会の拡大
 (高度で体系的かつ継続的な学習機会を提供する高等教育機関等において、学習者の多様なニーズに対応し、生涯を通じた幅広い学習機会を提供する。)
【主管課:生涯学習政策局政策課】
【関係課:生涯学習政策局生涯学習推進課、高等教育局専門教育課】
評価結果の概要  教育機関等において多様な学習機会を提供し、もって生涯学習社会の実現を目指すため、放送大学学園の授業評価システムの構築、専修学校・文部科学省認定社会通信教育等の振興、生涯学習フェスティバルの開催等の取組を行った。
 一度社会に出た者が大学や専修学校等における社会人入学、公開講座の受講等を通じ、就職や社会参加をするなど再チャレンジに取り組むことができるよう、「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業における講座の開発などを通じて支援を行った。
 高等学校卒業程度認定試験等について、矯正施設での受験機会を拡大したことなどから実施箇所・受験者数ともに増加しているが、試験の実施に関して平成19年12月に、コンピュータの採点プログラムの一部に誤りがあることが判明し、合否判定に影響が生じたこと等重大な問題が発生した。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 これまでの取組の成果を踏まえ、多様化する生涯学習ニーズに対応するため、放送大学における放送のデジタル化を活かした学習環境等の整備・充実に向けて10,580百万円を平成21年度概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:9,311百万円)
 社会人の学び直し機会提供の推進のため、659百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案540百万円)
 広く国民一般に対し生涯学習に係る活動を実践する場を全国的な規模で提供するための「生涯学習フェスティバル」を引き続き実施するため、113百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案108百万円)
 高等学校卒業程度認定試験について、矯正施設での受験機会を拡大したことに伴う試験実施体制の整備、及び採点プログラムの一部誤りの問題を踏まえ、システム運用支援体制の強化に要する経費として、270百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案258百万円)
【機構・定員要求】
 高等学校卒業程度認定試験について、試験制度のさらなる改善や普及を図るため、認定試験専門官(1名)の新設を要求した。また、採点プログラムの一部誤りの問題を踏まえ、プログラムミス等の再発の防止、及びシステムの改善の企画・立案等に取り組む専門職(1名)の新設を要求した。(措置無し)
【業務改善】
 高等学校卒業程度認定試験について、採点プログラムの一部誤りの問題を踏まえ、採点時に一部の解答用紙を無作為抽出し、担当職員の手作業により採点、プログラムによる採点と比較・確認を行うことにより、再発防止を図った。

施策目標1‐3 地域の教育力の向上
 (多様な学習活動の機会や情報提供、様々な機関、団体が連携することにより、地域における学習活動を活性化させ、地域における様々な現代的課題等に対応するとともに、総合的に地域の教育力の向上を図る。)
【主管課:生涯学習政策局社会教育課】
【関係課:生涯学習政策局生涯学習推進課、同男女共同参画学習課】
評価結果の概要  地域住民のボランティア活動や課題解決活動等を支援する「『学びあい、支えあい』地域教育力活性化事業」にのべ100万人以上が参加したことや、すべての子どもを対象として、放課後や週末等に学校の余裕教室等を活用し、安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する取組を支援する「放課後子ども教室推進事業」が全国6,300ヶ所で実施されたこと等、多様な事業が展開され、それぞれに多くの参加者が得られた。
 また、「地域と共に歩む博物館育成事業」等様々な調査研究においては、その成果が審議会や協力者会議等における審議の参考資料として活用されるとともに、各地方公共団体等に広く配布され、適切に普及が行われた。
 本目標の各施策は、一定の成果を上げている。今後は事業を引き続き実施するとともに、一定の成果を上げたモデル事業等については、新たな課題への取組や、事業の重点化等を行う。
評価結果の政策への反映状況(平成20年度以降の取組) 【概算要求】
 図書館未設置地域などでの図書館サービスを普及・定着させるための仕組みづくりや、博物館の館種を越えたネットワークの構築などを行い、その普及を図るため、279百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:72百万円)
 地域が抱える課題を解決するために、社会教育施設など様々な機関・団体によるコンソーシアムが実践する優れた社会教育の取組を重点的に推進し、全国的な普及を図るため、220百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:76百万円)
 地域のボランティア活動支援センターにおける活動希望者と活動の受け入れ先との効果的なマッチング方法や関係団体・機関との連携、支援センターの運営等に関する調査研究のため、29百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:27百万円)
 地域全体で学校を支援する体制づくりを引き続き推進するため、6,378百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:委託分3,404百万円、補助分14,261百万円の内数)
 人権一般の普遍的観点からの取組及び各人権課題に対する取組を推進するため、158百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:158百万円)
 社会教育専門職員を対象に社会教育に関する専門的・技術的な研修を実施することにより、社会教育指導者の資質向上を図るため、83百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:82百万円)
 学校・家庭・地域社会を結ぶ要として重要な役割を担うPTAの活動状況調査を実施し、PTAの活性化を図るための施策を推進するため、36百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:36百万円)
 女性が自己の可能性やライフステージ別の自己イメージを若い時期から持てるよう、ライフプランニングに関する意識形成等を促すため、52百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:25百万円)
 すべての子どもを対象として、放課後や週末等に学校の余裕教室等を活用し、安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、学習活動やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動等の機会を提供する取組を支援するため、6,910百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:委託事業分127百万円、補助事業分14,261百万円の内数)
 NPOを核とした多様な主体の協働によって生まれる、柔軟かつ専門性の高い組織力を活かし、市民の学習活動等を支援・促進するとともに、市民力の向上を図るなど、「民」主導による生涯学習の活性化を目的とした「生涯学習活性化プロジェクト」を実施するため、18百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:9百万円)
 全国の社会教育活動等の実態調査や、社会教育事業の開発等に関する調査研究のほか、奉仕活動・体験活動に関する調査研究及び情報収集等を行うことにより、地域における社会教育事業の活性化を図るため、112百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:82百万円)

施策目標1‐4 家庭の教育力の向上
 (近年の都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等を背景として、子育てに関して悩む親が増えてきていることが指摘されている。このため、以下の達成目標に掲げた家庭教育に関する支援の充実を図り、子育て中の親の悩みや不安感を解消し、家庭教育に取り組むことができるようにする。)
【主管課:生涯学習政策局男女共同参画課】
【関係課:初等中等教育局幼児教育課】
評価結果の概要  近年の都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等を背景として、子育てに関して悩む親が増加していることが指摘されている。このため、「家庭教育手帳」の作成・配付、「家庭教育支援総合推進事業」の実施などの取組を通じ、家庭教育に関する支援の充実を図ったところ、内閣府「社会意識に関する世論調査」の調査結果によれば、前回の調査より、子育てを肯定的に捉える親の割合が増加している。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 すべての親へのきめ細かな家庭教育支援の充実を図る家庭教育支援関係事業については、これまでの評価結果から達成目標をより明確にし、1,995百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案598百万円)
【業務改善】
 構築したモデルについての評価を実施するため、事業の検証を着実に行うよう全ての委託先に対して要請した。

施策目標1‐5 ITを活用した教育・学習の振興
 (高度情報社会を担う人材を育成するための教育・学習を推進するとともに、ITを効果的に活用した教育・学習の機会を充実する。)
【主管課:生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)】
【関係課:初等中等教育局参事官(産業教育・情報教育担当)】
評価結果の概要  学校における地上デジタルテレビ放送の効果的な活用方策の開発・普及などを通じて、高度情報化社会を担う人材を育成するための教育・学習を推進するとともに、ITを効果的に活用した教育学習の機会の充実に努めた。
 エルネットについては、一部、衛星通信を活用したシステムからインターネットを活用したシステムへの移行に伴う準備期間が必だったため一部の指標が前年度より下回っている特殊要素があるものの、「インターネットを活用して配信された、地域において開発された学習コンテンツの配信数」自体は増えている。それ以外については順調に進捗していることから、ITを活用した学習機会の提供は全体として順調に進捗していると評価できる。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 これまでの取組の成果を踏まえ、学校における地上デジタルテレビ放送の普及・活用の促進を図るため84百万円を平成21年度概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:62百万円)
 平成23年7月のデジタル放送への完全移行に向け、新たに小中高等学校等における地上デジタルテレビを整備するため7,500百万円を平成21年度概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:アンテナ等工事費について公立学校施設整備費の中で措置)
 生涯学習コンテンツの普及、質の向上を図るため184百万円を平成21年度概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:183百万円)
 学校教育又は社会教育に利用されることが適当と認められる教育用コンテンツを奨励し、その普及・促進を図るため、13百万円を平成21年度概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:13百万円)
 新たに地域における情報リテラシー教育を普及・促進するために259百万円を平成21年度概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:3百万円)
【機構・定員要求】
 情報リテラシーに関する施策の推進を図るため、情報リテラシー係長(1名)及び係員(1名)の新設を要求することとした。(情報リテラシー係長1名措置)

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大臣官房政策評価室

-- 登録:平成22年01月 --