大学拠点接種とは

 現在、文部科学省においては、新型コロナワクチンの接種に関する地域の負担を軽減するとともに、接種の加速化を図るため、自治体接種に影響を与えないよう、医療従事者や会場などを自ら確保することを前提に、大学等における学生・教職員等を対象とするワクチン接種(大学拠点接種)を進めています。
文部科学省としては、大学等の学生・教職員等へのワクチン接種が進み、一刻も早く、安心して大学等へ通うことができるようにすることが重要だと考えています。そのため、医療従事者を確保できる医療系学部を有する一部の大学だけでなく、その他の多くの大学等においても学生や教職員のワクチン接種が可能となるよう、各大学と一体的に取組を進めることを目的とした「大学等ワクチン接種加速化検討チーム」を立ち上げました。
 このチームにおいては、自大学の学生・教職員へのワクチン接種だけでなく、大学が地域における教育関係者等へのワクチン接種の拠点となることを目指しています。具体的には、各大学においては自大学のみならず、近隣の他大学・短大・専門学校等の学生・教職員等、近隣の幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の教職員、また、海外への留学を検討している学生等や地域の方々など、大学が地域貢献の一環として、「大学拠点接種」を進めていけるよう取り組んでおります。

 「大学拠点接種」を実施する上で、医療系学部を置かない大学については、医療系人材を自ら確保することに課題があります。そのため、文部科学省としては、以下のような形で、体制構築がなされるよう、各大学等と協力して医療系人材の確保を進める予定です。

  1.医療系学部を置く他大学等との連携
     医療系学部を置く小規模大学や看護系の専門学校と近隣の大学等が連携し、複数大学等が医療スタッフや接種会場を協力して確保するなどして、各大学等の学生・教職員に対してワクチン接種を実施。
  2.学内に所属する医師免許等を持つ教職員の活用
     学内の医師免許や看護師資格等を保有する教職員(例えば、医師免許を持つライフサイエンス系学部の教員や、看護師資格を持つ養護教諭養成講座の教員等)の協力を得てワクチン接種の体制を構築し、ワクチン接種を実施。
  3.自大学と関係する他の医療機関等との連携
     自大学の保健管理センター(教職員や学生に対する厚生施設)の活用や、自大学に関係する医療系人材の協力、外部の医療機関との連携等により、ワクチン接種を実施。
  4.地方自治体と連携した接種
     学生等へのワクチン接種を加速化させる意向を持っている自治体と連携し、大学等が会場を提供して自治体から医療スタッフの派遣を受け、近隣大学等の学生を含むワクチン接種を実施。
  5.医療系人材バンクの活用
     自大学に医療系の学部等を置かない大学で医療スタッフの確保が困難な場合、日本医師会の新型コロナワクチン接種人材確保相談窓口を活用することにより医療人材の紹介を受け、ワクチン接種を実施。

 ワクチン接種については被接種者本人の同意が必要であり、どこの会場で接種を受けるのかも含め、本人の希望に基づくことが大前提です。そのため、周囲の圧力で接種が強制されるようなことや、接種の有無で不当な扱いがなされることはあってはなりません。ワクチンの効果や副反応について十分に理解をした上で、適切に接種が進むように取り組んでまいります。

 加えて、ワクチンを接種した場合、新型コロナウイルス感染症の発症を予防できると期待されていますが、ワクチンを接種した方から他人への感染をどの程度予防できるかはまだ分かっていません。また、ワクチン接種が徐々に進んでいく段階では、すぐに多くの方が予防接種を受けられるわけではなく、ワクチンを接種した方も接種していない方も、共に社会生活を営んでいくことになります。このため、引き続き、「3つの密(密集・密接・密閉)」の回避、マスクの着用、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒などの感染予防対策を継続していただくよう、お願いします。