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新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン

1 基本的考え方

(1)趣旨

 新型コロナウイルス感染症については長期的な対応が求められることが見込まれるところであるが,こうした中でも持続的に児童生徒等の教育を受ける権利を保障していくため,学校における感染およびその拡大のリスクを可能な限り低減した上で,学校運営を継続していく必要がある。
 本ガイドラインは,そのための学校運営の指針を示すものである。

(2)ガイドラインの対象及び対象期間

 本ガイドラインの対象は,幼稚園,幼保連携型認定こども園,小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校及び専修学校高等課程とする。
 本ガイドラインの対象期間は,新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第15条第1項の規定に基づく新型コロナウイルス感染症対策本部が設置されている期間とする。

2 学校における感染症対策の考え方

 新型 コロナウイルス感染症と共に生きていく社会を前提とした場合,新規感染者数が限定的となった地域であっても,再度感染が拡大する可能性がある。このため,長丁場に備え,手洗いや咳エチケット,換気といった基本的な感染症対策に加え,感染拡大リスクが高い「3つの密」を徹底的に避けるために,身体的距離の確保(ソーシャルディスタンスあるいはフィジカルディスタンス)といった「新しい生活様式」に,学校を含めた社会全体が移行することが不可欠である。
 学校における新型コロナウイルス感染症への対応を検討する上では,新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言等を踏まえ,以下のような感染状況の段階に応じて行うことが適切である。

①特措法第32条第1項に基づく新型インフルエンザ等緊急事態宣言(以下「緊急事態宣言」という。)の対象となっている都道府県に相当する感染状況である地域

②感染の拡大に注意を要する地域や,感染経路が不明な感染者が一定程度存在していたことなどにより当面の間注意を要する地域

③感染が一定程度収束し,感染拡大が見られない地域

3 感染者等が発生した場合や児童生徒等の出席等に関する対応

(1)衛生主管部局との連携

 児童生徒等及び教職員の感染が判明した場合又は児童生徒等及び教職員が感染者の濃厚接触者に特定された場合には,衛生主管部局と連携し,適切に校内の消毒を行うとともに,感染者の行動履歴把握や濃厚接触者の特定等のための調査に協力する。

(2)出席停止等の取扱い

 ①出席停止の措置を取るべき場合
 児童生徒等の感染が判明した場合又は児童生徒等が感染者の濃厚接触者に特定された場合には,学校保健安全法(昭和33年法律第56号)第19条の規定に基づく出席停止の措置を取る。
 これに加えて,新型コロナウイルス感染症への対応として,児童生徒等に発熱等の風邪の症状がみられるときにも,同条に基づく出席停止の措置を取る。感染がまん延している地域(2の①や②の感染状況の段階である地域)においては,同居の家族に発熱等の風邪の症状がみられるときにも,出席停止の措置を取る。(教職員の取扱いについては6(1)を参照)

②上記のほかに「欠席」の扱いとしない場合
 保護者から感染が不安で休ませたいと相談のあった児童生徒等については,新型コロナウイルス感染症については現時点で未だ解明されていない点も多いなどの特性に鑑み,例えば,感染経路の分からない患者が急激に増えている地域であるなどにより,感染の可能性が高まっていると保護者が考えるに合理的な理由があると校長が判断する場合には,指導要録上「出席停止・忌引等の日数」として記録し,欠席とはしないなどの柔軟な取扱いも可能である(幼稚園等については,備考欄等にその旨を記載)。
 また,医療的ケアが日常的に必要な児童生徒等や基礎疾患等のある児童生徒等については(3)を参照する。
 なお,海外から帰国した児童生徒等については,政府の水際対策の取組として一定期間自宅等での待機の要請の対象となっている者は,当該待機の期間を経ていることを確認した上で,健康状態に問題がなければ登校させて構わない。
 学校保健安全法第19条による出席停止の指示等を行った場合においては,当該児童生徒が授業を十分に受けることができないことによって,学習に著しい遅れが生じることのないよう,5(1)に記載の必要な措置を講じること等にも配慮する。

(3)医療的ケアを必要とする児童生徒等や基礎疾患等がある児童生徒等

 医療的ケアを必要とする児童生徒等(以下「医療的ケア児」という。)や基礎疾患等がある児童生徒等については,主治医の見解を保護者に確認の上,登校の判断をする。登校すべきでないと判断した場合の出欠の扱いについては,「非常変災等児童生徒又は保護者の責任に帰すことができない事由で欠席した場合などで,校長が出席しなくてもよいと認めた日」として扱うことができる。また,指導要録上も「欠席日数」とはせずに,「出席停止・忌引等の日数」として記録を行う(幼稚園等については,備考欄等にその旨を記載)。
 併せて,医療的ケア児の登校に当たっては,事前に受入れ体制などを学校医等に相談する。
 このほか,特別支援学校等における障害のある児童生徒等については,指導の際に接触が避けられなかったり,多くの児童生徒等がスクールバス等で一斉に登校したりすることもあることから,こうした事情や,児童生徒等の障害の種類や程度等を踏まえ,適切に対応する。

4 臨時休業の実施

(1)臨時休業を実施する場合の考え方

①学校で感染者が発生した場合
 児童生徒等や教職員の感染が確認された場合,学校の設置者は,濃厚接触者が保健所により特定されるまでの間,学校の全部又は一部の休業を実施する。また, 感染者の学校内での活動の状況や地域の感染拡大の状況を踏まえ,学校内で感染が広がっている可能性が高いと判断した場合にも,学校の全部または一部の臨時休業を行う。これらについては,感染した児童生徒等や教職員の学校における活動の態様接触者の多寡地域における感染拡大の状況及び感染経路の明否を踏まえて判断する。

②緊急事態宣言の対象区域に属すると特定された地域等
 緊急事態宣言が出された場合において,特措法第45条第2項に基づき都道府県知事より学校の施設の使用の制限又は停止等の要請を行ったり,同法第24条第7項や第36条第6項等に基づき,都道府県知事や市町村長が教育委員会に対し,必要な措置を講ずることの要請を行ったりする場合がある。いずれの場合であっても,学校の設置者は,児童生徒等の生活圏におけるまん延状況を把握し,児童生徒の学びの保障も考慮しつつ,臨時休業の必要性について,首長と事前に十分相談を行い,必要に応じ学校の臨時休業等の措置を講じる。

(2)臨時休業を行う場合の留意点

①分散登校日の設定
 学校の臨時休業を行う際,緊急事態宣言の対象区域に属すると特定された地域も含め,地域の感染状況に応じ,学校の全部を休業とした上で任意の登校日を設ける方法や,学校の一部を休業とした上で授業日としての登校日を設ける方法などにより,分散登校(児童生徒等を複数のグループに分けた上でそれぞれが限られた時間,日において登校する方法)を行うことにより,感染リスクを可能な限り低減しつつ,学校教育活動を継続することが重要である。
 この場合,時間帯又は日によって登校の対象とする学年又は学級を順次変える方法や,学級を複数のグループに分けた上で,登校の対象とするグループを順次変える方法等により工夫することが考えられる。

②児童生徒等の心身の状況の把握
 学校の全部を休業とする場合,学級担任等を中心として,電話等を通じ,臨時休業に伴い自宅で過ごす児童生徒等及びその保護者との連絡を密にし,休校期間中において必ず定期的に児童生徒等の心身の健康状態を把握する(概ね2週間に1回程度)。その際,保護者だけではなく,児童生徒等本人とも直接電話等で会話するなどして,児童生徒等の状況を的確に把握する。また,様々な悩みやストレス等に関し,必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラー等による支援(児童生徒の発達段階等に応じて電話による相談を含む。)を行うとともに,相談窓口(「24時間子供SOSダイヤル」や各自治体において開設している相談窓口等)を適宜周知したり,設置したりするなど,児童生徒等の心のケア等に配慮する。特に,要保護児童対策地域協議会に登録されている支援対象の児童生徒等に関しては,在宅時間が大幅に増加することに伴う児童虐待のリスクも踏まえ,電話等で定期的に児童生徒等の状況を把握すること(概ね1週間に1回以上)。加えて,スクールソーシャルワーカー等を活用するなどして児童相談所等の関係機関と緊密に連携し,必要な支援を行う。
 臨時休業中や分散登校期間中であっても,児童生徒等の状況等から,対面での指導(児童生徒等の心身の状況の把握や心のケアを含む。)等の必要性が高いと考えられる場合には,感染症対策を徹底した上で,短時間の最小限度の範囲で行うことも考えられる。
 ①にも記載しているとおり,地域の感染状況に応じ,登校日を適切に設定することも考えられるが,登校日以外の日においても,体調面にも配慮した上で,虐待のリスクなど特に配慮を要する児童生徒等一部の者については登校させたりするなど,きめ細かな対応のための工夫を行う。

③子供の居場所の確保
 学校の臨時休業を行う場合には,保護者が休暇を取得するなどの協力が必要となるが,子供の居場所確保に向けた取組を行うかどうかについては,当該学校を臨時休業とした趣旨を踏まえ,児童生徒等の間での感染拡大リスクを考慮し,慎重に判断する必要がある。特に,4(1)②における学校の臨時休業が行われる場合にあっても,要請の趣旨を踏まえつつ,保護者が医療従事者である場合等について,都道府県の首長部局等と十分に相談の上,居場所の確保について検討することが望ましい。
 また,学校の一部を休業とする場合においても,分散登校に伴い,登校する児童生徒の兄弟姉妹である幼児や低学年の児童が自宅で一人になる場合が生じることも考えられるところであり,担当部局と相談し,地域全体としての子供の居場所づくりに配慮する必要がある。
 その上で,子供の居場所確保に向けた人的体制の確保や学校の教室等の活用等を実施する場合には,一斉臨時休業期間中の対応として示した「新型コロナウイルス感染症防止のための小学校等の臨時休業に関連した放課後児童クラブ等の活用による子どもの居場所の確保について(依頼)」(令和2年3月2日付け文部科学省初等中等教育局長ほか連名通知)の例を参照した対応を行う。その際,以下の点には特に留意する。

・学校の教室等の活用
 学校の臨時休業に伴い,放課後児童クラブ,放課後等デイサービスにおいて通常時より利用児童のニーズが高まることが考えられるため,密集性を回避し感染を防止すること等から,一定のスペースを確保することが必要である。
 このため,教室,図書館,体育館,校庭等が利用可能である場合は,国庫補助を受けて整備した学校施設を使用する場合であっても財産処分には該当せず,手続は不要であり,積極的に施設の活用を推進する。
 また,放課後等デイサービスについても,学校の臨時休業期間においては,放課後等デイサービス事業所が学校施設を活用してサービスを提供した場合でも報酬を請求することを認めるので,教室, 図書館,体育館,校庭等が利用可能である場合は,積極的に施設の活用を推進する。

・給食提供機能の活用
 子供の居場所確保に当たり,児童生徒等に対して学校給食の調理場や調理員を活用して昼食を提供することも工夫の一つと考えられ,地域の実情やニーズに応じて対応を判断する。

・幼稚園を臨時休業する場合の預かり保育等の提供
 幼稚園の臨時休業を行う場合には,幼稚園は一人で家にいることができない年齢の幼児が利用していることを踏まえ,感染拡大防止のための万全の対策を講じた上での預かり保育の提供を縮小して実施すること等を通じて,必要な者に保育が提供されないということがないよう,居場所の確保に向けた取組を検討する。特に,子ども・子育て支援新制度や幼児教育・保育の無償化において保育の必要性の認定を受けている幼児であって,保護者が医療従事者や社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な者である場合や,ひとり親家庭などで仕事を休むことが困難な者の子供の保育が必要な場合等については積極的な対応を検討する。
 また,これらの居場所確保の取組に当たって昼食を提供することも工夫の一つと考えられるため,地域の実情やニーズに応じて対応を判断する。

④非常勤職員等の業務体制の確保
 学校の臨時休業においては,各地域や学校の実情に応じ,非常勤職員を含む職員全体の働く場の確保を図るとともに,組織全体としての業務体制の確保に万全を期す。具体的には,授業がない場合であっても,非常勤講師の場合は授業準備や児童生徒の家庭学習の支援,学校用務員の場合は学校施設の修繕,給食調理員の場合は給食調理場等の清掃,消毒,寄宿舎の職員の場合は寄宿舎の清掃や消毒,寄宿舎運営に係る検討等の業務,特別支援教育支援員の場合は教材準備の補助の業務等を行うことが考えられ,補助金事業により配置される職員等を含め,他の職員についても休業期間中も何らかの業務に携わることが可能であると想定されるところであり,各教育委員会等において,当該非常勤職員についてはその任用形態や学校の運営状況等を,補助金事業により配置される職員についてはその補助目的を踏まえながら,適切に対応する。
 なお,基本的には上記の通り類似の業務を行うことにより対応することが考えられるが,これが困難である場合には,例えば,本人の同意を得て業務内容を変更して新たな業務を行わせることなど,適切に対応することが考えられる。
 また,やむなく職員を休業させる場合,休業手当の支給の判断を適切に行う。

⑤分散登校日を設定する場合の出欠の取扱い等

・学校の全部を休業とする場合
 学校の全部を休業とした上で任意の登校日を設定する場合は,指導要録上の「授業日数」(幼稚園等については教育日数。以下同じ。)には含まないものとして取り扱う。

・学校の一部を休業とする場合
 学校の一部を休業とした上で授業日としての登校日を設定する場合,児童生徒の出欠の取扱いについては,「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(平成31年3月29日初等中等教育局長通知)別紙等における考え方を踏まえ,以下のとおりとなる。
・学年の全部を休業とした日数は授業日数には含めない
学年の一部を休業とした日数は授業日数に含まれ,授業のある児童生徒については出欠を記録するとともに,授業のない児童生徒については「出席停止・忌引等の日数」として記録する(幼稚園等については,備考欄等にその旨を記載)
なお,出欠を記録する際には,「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」(令和2年4月10日付け初等中等教育局長通知。以下「学習指導通知」という。)の3(2)に示したとおり,やむを得ず学校に登校できない児童生徒への必要な配慮を行う。

5 学習指導等

(1)学習指導

・臨時休業等に伴い登校できない児童生徒への学習支援
 臨時休業等により児童生徒が授業を十分に受けることができないことによって,学習に著しい遅れが生じることのないよう,学校が指導計画等を踏まえながら,教科書及びそれと併用できる紙の教材,テレビ放送,オンライン教材・動画,同時双方向型のオンライン指導等を組み合わせた家庭学習を課すとともに,登校日の設定や家庭訪問の実施,電話や電子メールの活用等を通じて教師による学習指導や学習状況の把握を適切に行い,児童生徒等の学習を支援する必要がある。その際,「新型コロナウイルス感染症対策のために小学校,中学校,高等学校等において臨時休業を行う場合の学習の保障等について」(令和2年4月21日付け文部科学省初等中等教育局長通知)別紙の「学習計画表」等も参考に計画性を持った家庭学習を課すなどの工夫を講じる。また,文部科学省においても,児童生徒の円滑な家庭学習を支援する教材等を「子供の学び応援サイト」に随時掲載しており,家庭学習を課す際に本サイトを活用することも考えられる。
 特別支援学校等においては,児童生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等,学校の臨時休業等の状況等を十分踏まえ,個別の指導計画等の精査や見直しを行う。加えて,家庭における学習内容の提示や教材等の提供に当たっては,児童生徒や必要に応じて協力を求める保護者等にとって実施しやすい方法や留意すべき点等も合わせて分かりやすく示すこと等に配慮する。
 幼稚園については,各園が行うことができる活動はどういった内容や形態があるか,教育のほか家庭及び地域における教育の支援も含め,各園における幼児や家庭及び地域の状況を踏まえて検討する。その際,「子供の学び応援サイト」に掲載した「新型コロナウイルス感染症への対応のための幼稚園等の取組事例集」も参考としつつ,家庭で過ごす幼児の教育支援や保護者支援等に取り組む。
 また,児童生徒が学校に登校することができるようになった時点で,臨時休業等の間の学習内容の定着を確認した上で,児童生徒の状況を踏まえ,可能な限り,令和2年度の教育課程内での補充のための授業や教育課程に位置付けない補習を実施する,家庭学習を適切に課す等の必要な措置を講じる。
 なお,新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒に対し学校が課す家庭学習については,学習指導通知においてその基本的な考え方や学習評価への反映,登校再開後の指導等について示しているので,参照されたい。

(参考)子供の学び応援サイト
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/index_00001.htm

・登校日の設定等による学校での指導の充実
 感染拡大防止に十分配慮しながら,教師が様々な工夫を行いつつ,学校における指導を充実させるため,地域の感染状況や児童生徒・教職員の負担を勘案しつつ,臨時休業期間中も登校日を設ける,学校の空き教室や社会教育施設等も最大限活用して分散登校を実施するなどして,学校での指導を充実させることが考えられる。
 その際には,進路の指導の配慮が必要な小学校第6学年・中学校第3学年等の最終学年の児童生徒が優先的に学習活動を開始できるよう配慮する。併せて,最終学年以外の指導においては,教師による対面での学習支援が特に求められる小学校第1学年の児童にも配慮する。なお,高等学校等においても,進学や就職を控えた高等学校第3学年の生徒等に配慮するなど,生徒の発達段階や多様な学校の実態を踏まえつつ,同等の対応を検討する。
 また,登校再開後は,例えば1コマを40分や45分に短くしたうえでの一日当たりの授業コマ数の増加等の時間割編成の工夫や長期休業期間の短縮,土曜日の活用,学校行事の重点化や準備時間の縮減等の様々な工夫により,学校における指導を充実させることが考えられる。
 その際には,新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業により,学校教育法施行規則に定める標準授業時数を踏まえて編成した教育課程の授業時数を下回ったことのみをもって,学校教育法施行規則に反するものとはされないとされていることも踏まえ,児童生徒や教職員の負担軽減にも配慮する。
 なお,新型コロナウイルス感染症の影響により,上記のとおり各種の取組を行い学校における指導を充実したとしても,なお年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難である場合の特例的な対応等について,「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における『学びの保障』の方向性等について」(令和2年5月15日付け初等中等教育局長通知)において示しているので,参照されたい。また,教科書発行者の協力も得て,特例的な対応をとる際に参考となる資料(小学校6年生・中学校3年生全教科)を「子供の学び応援サイト」に掲載しており,義務教育段階の他の学年についても順次掲載予定なので,必要に応じ参考にされたい。

(参考)子供の学び応援サイト「学校の先生へ」ページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00512.html

・ICTの活用
 児童生徒に家庭学習を課す際や学習状況の把握を行う際にはICTを最大限活用して遠隔で対応することが極めて効果的であることを踏まえ,今回が緊急時であることにも鑑み,学校の設置者や各学校の平常時における一律の各種ICT活用ルールにとらわれることなく,家庭環境やセキュリティに留意しながらも,まずは家庭のパソコンやタブレット,スマートフォン等の活用,学校の端末の持ち帰りなど,あらゆる機器や環境を最大限活用する。そのために,各学校及び学校の設置者において,家庭の通信環境について至急把握する。
 一方,家庭の端末等を活用することはあくまで緊急的な対応であり,各設置者において一刻も早く児童生徒のICT環境を整えることが必要である。このため,各設置者においては,令和元年度補正予算,令和2年度補正予算における端末や通信機器整備支援も活用し,直ちに調達行為に入るとともに,納期を分割することなどにより,特に早急に整備が必要な分は優先的に整えるなどの対応を行う。これにより,遅くとも令和2年8月までには,少なくとも小学校第6学年・中学校第3学年等の最終学年の児童生徒や,経済的理由等でICT環境を準備できない家庭に対してICT環境が整備されることを目指す。
 また,ICTを活用した家庭学習に係る低所得世帯への通信費の支援については,就学援助(要保護児童生徒援助費補助金),特別支援教育就学奨励費(要保護世帯)及び高校生等奨学給付金において,通信費相当額を追加支給することとしており,これらの支援制度等を周知し,活用を促す。
 さらに,ICTを活用した遠隔での指導等を行う際の著作物利用に係る著作権等の取扱いについては,平成30年著作権法改正による「授業目的公衆送信補償金制度」が4月28日に施行され,著作権者等の許諾を得ることなく円滑な著作物利用が可能となっていることに留意すること(補償金額については,令和2年度は特例的に無償)。

・各学年の修了及び卒業の認定等
 臨時休業等に伴い,やむを得ず学校に登校できない状況にあった児童生徒については,各学年の課程の修了又は卒業の認定に当たっては,弾力的に対処し,その進級,進学等に不利益が生じないよう配慮する。

(2)学校図書館の活用

 学校図書館については,感染症対策を徹底した上で,時間帯を決めるなどして貸出等を行うことが望ましいことのほか,特に分散登校をする場合において時間帯により登校する児童生徒が変わる場合,学校図書館を児童生徒の自習スペースとして活用することも考えられる。

(3)学校給食の実施

 「学校給食衛生管理基準」 に基づく調理作業や配食を行うなど衛生管理を徹底すること,食事前後の手洗いを徹底することのほか,会食に当たっては飛沫を飛ばさないよう,机を向かい合わせにしない,または会話を控えるなどの対応を行う。
 臨時休業に伴い学校給食を休止する際には,関係事業者等と十分協議を行うなど,関係者の理解と協力を得られるよう留意する。

(4)部活動

 部活動の実施に当たっては,生徒の健康・安全を第一に考慮して,地域の感染状況に応じて実施内容や方法を工夫する。
 なお,学校の全部を休業とする場合は,部活動は自粛する。

(5)指導体制の確保

 学級を2つのグループに分けて指導を行う場合や土曜日に授業を行う場合には,学校における対面指導の時間に加え,家庭学習の支援への対応や給食時の対応,登下校の安全管理など,通常時とは異なる業務の発生も考慮した人的体制を確保する必要がある。このため,教職員の役割等の校務分掌の見直し,勤務日や勤務時間の適切な割振りを行うとともに,地域の感染状況に応じた加配教員や学習指導員,スクール・サポート・スタッフの活用等を行うことにより,教職員の勤務負担が過重とならないよう十分に留意しつつ,きめ細かな指導及び身体的距離を確保するための指導体制の確保を図る。

6 その他

(1)教職員の勤務

 公立学校の教職員については,教職員本人が罹患した場合には病気休暇等を取得させることや,発熱等の風邪症状により勤務しないことがやむを得ないと認められる場合には特別休暇等を取得させること,教職員が濃厚接触者であるなど当該教職員が出勤することにより感染症が蔓延する恐れがある場合には在宅勤務や職務専念義務の免除により学校へ出勤させないようにすることなど,各地方公共団体の条例等にのっとり教職員の服務について引き続き適切な取扱いを行う。また,教職員が学校へ出勤しない場合においては,在宅勤務や職務専念義務の免除等の措置の趣旨を踏まえる。
 また,週休日である土曜日に登校日を設けたり授業を行ったりする場合には,教職員の勤務日及び勤務時間について,各地方公共団体の条例等にのっとり,適切に振替を行う。
 なお,学校の全部又は一部を休業する場合においては,教職員において,在宅勤務や時差出勤のほか,管理職を含む学校の教職員がローテーションで出勤するなどの自身の健康にも配慮する勤務形態の工夫を可能な範囲内で行いつつも,児童生徒等の学習指導や児童生徒等の心のケア等を家庭任せにすることなく,必要な業務を確実に継続することが求められる。

(2)授業料等や修学支援等の取扱い

 臨時休業期間中の学校における授業料等納付金の取扱いについては,学校の設置者の権限と責任において適切に定め,運用すべきものであるが,学校の教育活動に必要となる費用を総合して定められているものであり,また,当該期間など一時的に通学できない期間が生じたとしても,学びの保障のために学校による教育に関する様々な役務の提供に取り組まれていることを踏まえれば,必ずしも授業料の返還が生じるものではないと考えられる。
 この際,就学援助等については,その認定及び学用品費等の支給について,申請期間の延長等,可能な限り柔軟な対応を行うとともに,新型コロナウイルス感染症の影響等により家計が急変し年度の途中において認定を必要とする者について,速やかな認定と必要な援助を行う。
 公立高等学校及び特別支援学校等において,新型コロナウイルス感染症の影響等により,児童生徒等の学資を負担している者の状況が変化し,入学料,授業料等の学納金の納付が困難な者に対して,各教育委員会においては,各地方公共団体における入学料等の免除,減額及び猶予に関する制度等も踏まえて配慮する。また,私立学校においても,都道府県私立学校主管部課において,各私立学校における学納金の免除,減額及び猶予等の柔軟な対応が行われるよう各私立学校を設置する学校法人に対して周知いただきたい。また,私立学校の行う学納金の減免に対し,適切な支援を行うことが望まれる。
 高等学校等就学支援金や高校生等奨学給付金については,各学校や高校生等の状況に応じ,申請期間の延長や申請期限の複数回設定など生徒等に配慮した柔軟な対応を行う。高等学校等就学支援金については,新型コロナウイルス感染症の影響により,生徒・保護者等からの書類提出が遅れる場合には,高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成22年法律第18号)第6条第3項の「やむを得ない理由」に該当するものとして取り扱って差し支えなく,また.その他の高校生等への修学支援についても同様に取り扱って差し支えない
 また,新型コロナウイルス感染症の影響等により年度の途中において家計急変した高校生等に対し,公立高等学校等に在学する高校生等については,文部科学省が実施する高等学校等修学支援事業費補助金(家計急変世帯への支援)私立高等学校等に在学する高校生等については,同じく私立高等学校等経常費助成費補助金も活用し,授業料減免措置等の必要な支援を行うとともに,高校生等奨学給付金については,新たに家計急変世帯への支援の実施及び一部給付の早期化を可能としたところであり,積極的に活用いただきたい。こうした高校生等に対する修学支援について,各制度の内容や問い合わせ先を改めて生徒・保護者等に周知するなど,生徒・保護者等の相談に対して丁寧な対応を行う。
 各自治体において実施している奨学金を必要とする高校生等に対しては,可能な限り速やかに弾力的な対応を行う。
 年度途中において所得が減少する世帯の増加が見込まれることから,これらの制度については申請のあった者から随時審査を行うなど,可能な限り早期に支給や減免等を行っていただきたい。
 更に,卒業年次の高校生等については,次年度の進路決定にあたり,経済的理由により修学を断念することがないように,高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金及び授業料等減免),日本学生支援機構の貸与型奨学金(無利子・有利子)等,大学等への進学に際して利用できる経済的支援施策についても周知を行う。
 なお,スクールバス代,空調費,寮費など対価性の強い納付金の使途となる費用が臨時休業に伴って縮減される場合には,実際の費用の発生状況を踏まえつつ,例えば,月毎,四半期・学期毎の事前納付の場合には,学校再開後の徴収金額の中で調整することや,年間費用の事前納付の場合には,学校再開後の適切な時期に不用額を返還することなどが考えられる

(3)学校再開後における児童生徒等の心身の状況の把握,心のケア等

 学校再開後においては,学級担任や養護教諭等を中心としたきめ細かな健康観察やストレスチェック等により,児童生徒等の状況を的確に把握し,健康相談等の実施やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等による心理面・福祉面からの支援など,管理職のリーダーシップのもと,関係教職員がチームとして組織的に対応する。

(4)感染者等に対する偏見や差別への対応

 感染者,濃厚接触者とその家族,この感染症の対策や治療にあたる医療従事者や社会機能の維持に当たる方とその家族等に対する偏見や差別につながるような行為は,断じて許されないものであり,新型コロナウイルス感染症に関する適切な知識を基に,発達段階に応じた指導を行うことなどを通じ,このような偏見や差別が生じないようにする

(5)学校安全の確保

①熱中症事故の防止について
 児童生徒の学習の遅れを補うため,夏季休業期間を短縮したり,夏季休業期間中に登校日を設けたりする自治体や学校も考えられることから,その際の児童生徒等の健康確保に向けた取組に一層留意する必要がある。このため,適切な水分補給や処置を行うことができる環境の整備や,空調設備等の整備状況や気象状況等にも留意した休業日等の取扱いについて万全を期す。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,学校教育活動においては,児童生徒等及び教職員は,基本的には常時マスクを着用することが望ましいと考えられるところ,気候の状況等により,熱中症などの健康被害が発生する可能性が高いと判断した場合は,換気や児童生徒等の間に十分な距離を保つなどの配慮をした上で,マスクを外すよう対応する。なお,体育の授業及び運動部活動におけるマスク着用の必要はないが,感染リスクを避けるためには,児童生徒の間隔を十分に確保するなどの取扱いをする。

②学校再開後における登下校時の安全確保について
 学校再開後の児童生徒の登下校時の安全確保については,各学校において,児童生徒に対して交通安全や防犯の観点も踏まえた安全指導を行うことや,地域と連携した見守り活動の実施等に取り組むことが重要である。
 特に,感染症対策のため分散登校が実施される場合には,児童生徒が通学路を一人で登下校するといったことも想定されるので,安全確保については特段の注意をする必要がある。
 また,登下校時の安全確保については,教育委員会・学校と警察や自治体の交通安全担当部署,PTAや保護者,地域のボランティア等との連携が重要であり,スクールガード・リーダーなどの見守りの専門家も活用することが考えられる。その際,特に通学に不慣れな小学校第1学年の通学中の安全確保については十分に注意する。

(6)学校再開後における放課後児童クラブ等における学校の教室等の活用等

 学校再開後においても,放課後児童クラブ等においては,密集性を回避し感染を防止する観点等から,一定のスペースを確保することが必要であることから,教育委員会と福祉部局が積極的に連携を図り,教室,図書館,体育館,校庭等が利用可能である場合には積極的に学校施設の活用を推進する。

(7)学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル等

 このガイドラインに示すもののほか,新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営の詳細については,学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルその他の方法により別途示す