平成24年度に行われた「大学院4年制博士課程」における研究・教育などの状況に関する自己点検・評価について

平成24年11月8日
薬学系人材養成の在り方に関する検討会

 

 薬学系人材養成の在り方に関する検討会の新制度の『大学院4年制博士課程』における研究・教育などの状況に関する自己点検・評価の提言』に基づき、平成24年度に大学院4年制博士課程が設置されたすべての大学において自己点検・評価が行われ、その内容が各大学のホームページで公表された。

 各大学の自己点検・評価の内容については、新制度の薬学部及び大学院における研究・教育等の状況に関するフォローアップワーキング・グループにより、以下のとおり報告があった。

 今後は、中間時期及び完成年度の翌年度である平成28年度自己点検・評価を実施する予定としており、各大学におかれては、報告の内容も踏まえ、引き続き、本来の設置目的に適合し、かつ博士課程に相応しい教育研究が実施されるよう不断の努力をされたい。

 

平成24年度に行われた『大学院4年制博士課程』における研究・教育などの状況に関する自己点検・評価について(報告) 

平成24年10月16日
新制度の薬学部及び大学院における研究・教育等の状況に関する
フォローアップワーキング・グループ

薬学系人材養成の在り方に関する検討会の「新制度の『大学院4年制博士課程』における研究・教育などの状況に関する自己点検・評価の提言」(以下、「提言」という。)に基づいて、各大学院が行った自己点検・評価について検討した結果を報告する。

 全体として、大学により若干の差があるものの、概ね4年制博士課程の設置に当たっては提言の趣旨が良く理解され、理念とミッションに反映されているが、実際の教育効果や実績については、今後時間をかけて評価する必要がある。

 その他個別の事項について主な課題点を挙げる。それぞれの大学院におかれては、これらを踏まえて薬学研究・教育の改善充実に努められたい。
 

○理念、ミッション及びアドミッションポリシー
 ・臨床研究を担う薬剤師等の養成を目的としながらも、創薬科学をも包含し重要視して、従来の大学院との差別化が意識されていない大学院がある。
○受験資格
 ・薬学以外の大学院修了者を受け入れる場合には、理念、ミッションを十分配慮し、大学院学生獲得のみが主眼にならぬようにすべきである。
 ・多くの大学院が学部卒業生を一定の条件の下に受け入れているが、受入れの条件設定等を厳密に行うべきである。
○入学者選抜の方法
 ・面接のみで選抜を行っている大学院も散見されるが、基礎学力の確認が望まれる。
○入学者数
 ・定員未充足の大学院については、今後の学生確保への創意工夫が必要である。
○カリキュラムポリシーとカリキュラムの内容
 ・全体として学位論文の作成がポイントであることから研究の遂行を重視していることが伺える。カリキュラムポリシーにはそれぞれ工夫がみられるが、実際に実施されているカリキュラムの内容を現時点で評価するのは時期尚早である。
 ・社会人に対する修学支援措置として講義科目を土曜日や平日夕方以降に設定する等を実施している大学院もある一方で、社会人であることを考慮したカリキュラムが組まれているか不明の大学院も見られる。
 ・ミッション等では、高度医療職業人としての薬剤師の養成を念頭においたものになっているが、カリキュラムポリシーでは医療人以外の養成も含めたものになっており、整合性が取れていない大学院がある。ミッションを意識したカリキュラムとすべきである。
 ・6年制薬学部以外の学部(理学、工学など)出身者については、「医療に携わる人材」としての意識付けの方策が不明であるケースが見られる。
 ・薬学部出身者であっても研究テーマについては、医療との関連性が明確でないものがあり、従来の大学院課程との差異が認められない大学院がある。
○医療提供施設との連携体制
 ・社会人学生の遂行するべきカリキュラムについて、日常業務そのものを臨床研修の単位と認めることは不可能であり、研修とするためにはそれなりの工夫が必要である。
 ・臨床研究に関する具体的な連携が記載されておらず、大学と臨床現場の研究における連携が明確でない大学院がある。
 ・研究は基礎系の研究室で行い、一方臨床体験は医療現場で行う等、両者の乖離が見られるケースが多い。
 ・教育研究を、医療現場に任せている大学院が複数認められた。大学としてどう関わるのか曖昧になっている大学院がみられる。
 ・研究者個人レベルでの連携体制は取れているが、医療機関と大学院の間での組織的連携体制の構築ができていない大学院もある。
 ・大学院における地域医療に関する研究教育体制の充実が喫緊の課題であるにもかかわらず、多くの大学院では病院以外の施設との連携が十分なされていない。
○学位審査体制・修了要件及びディプロマポリシー
 ・大学院が発足直後で研究テーマが決定していないこともあり、研究論文のレベル、審査水準まで踏み込んでいない場合が多い。安易に博士の学位を授与することのないよう各大学院とも留意する必要がある。
 ・専門薬剤師の養成などを目指す場合であっても、知識・技能の修得だけではなく、研究を遂行し、成果をまとめる能力が修了要件として必須である。
 ・領域を問わず研究成果が臨床薬学、医療薬学の進歩に貢献するものであることが最低条件として求められよう。
 ・ディプロマポリシーに理念、ミッションが明確に反映されていない大学院がみられる。 
 

【参考】

お問合せ先

高等教育局医学教育課薬学教育係

電話番号:03-5253-4111(内線3326)

-- 登録:平成27年02月 --