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平成20年8月2日大臣会見概要(鈴木大臣初会見)

平成20年8月2日(土曜日)
13時10分〜13時55分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 鈴木恒夫でございます。大臣を拝命して、先程臨時閣議を終えて辞令も頂いてまいりました。大した能力があるわけではありませんが、全力を尽くして文部科学行政に尽力をするつもりですので、皆さんの御鞭撻をどうぞよろしくお願いいたします。

記者)

 文部科学大臣に任命された所感と、福田首相から何らか教育行政に関して要望があったかどうかについてお願いいたします。

大臣)

 所感というお話ですが、私は大学を出てから皆さんと同じ記者の仕事をしていました。政治記者が中心ですが、復帰前の那覇の駐在とか、一時、オイルショックの後の経済記者とか、かなり、ユーティリティーに使われまして足かけ15年やっていました。御存じの通り、御縁がありまして河野洋平さんのスタッフになりましたが、辞めた時は正直に申し上げて選挙に出る気はあまりなかったのです。私は早稲田大学政治経済学部の新聞学科の出ですので、新聞記者になりたくてなったのが、新自由クラブをスクープした御縁で、少し若い感覚をスタッフでほしいからと言われて河野さんのスタッフになりました。しばらくして、神奈川1区の候補者が離党してしまったために、当時の田川誠一さんから、あなたと自分はほとんど経歴が同じだ、自分も朝日新聞から松村謙三さんの秘書になって選挙に出たので、君もやってやれなくはないだろう、党のためにやってくれ、とか言われまして出馬し、比較的遅いのですが46歳で初当選しました。初当選して何をやるかを考えて、まず政治改革は実験台としてやるとして、政策面では教育と環境をやろうと思い、文部政務次官、文部総括政務次官、文教委員長等をやってきました。そういう意味で、所感というお話ですから、能力は決してあるわけではありません、科学も弱いのですが、教育基本法の改正なども与党のチームで最初から最後まで、私ただ一人通してやってきましたから、文部科学については多少のこともあります。議員立法も、文化芸術振興基本法、文字活字文化法、あるいは環境教育推進法等をやってきまして、総理から、文部科学大臣という話でしたので、引退声明を申して後継者も決めていますけども、議員の間は力を抜くことは絶対しないと誓ってきましたから、改めて勇を鼓舞して、国の根幹である教育問題、科学技術の振興などに取り組もうと、ファイトを燃やしています。総理からは、昨日、文部科学大臣をというときに、大分県の事件が頭にあったのかわかりませんが、教育委員会の在り方を始め、教育行政を考えてくれませんかということと、大学の学力の低下を何とかしてほしいということの二点を特に言われました。これはしっかり噛みしめて取り組むつもりです。

記者)

 大分県の教員汚職事件で教員採用試験全体への不信が広がっています。昨日の記者会見でも大臣は教育委員会の在り方についても触れていらっしゃいましたが、この問題についてはどうお考えでしょうか。

大臣)

 昨日も記者会見で申し上げましたが、まったく言語道断どころの話ではありません。子どもたちからすれば、大人たちは本当に何をしてくれてるのだということです。この不信感のばらまきは、反教育的と言わざるを得ません。いくら弾劾されても仕方がないテーマだと思います。子どもにとって、昨日も申し上げましたが、良い先生に出会えるかどうかは、子どもに選択権はないですから、本当に一生を左右するのです。とりわけ、初等中等教育の段階ではそうです。私自身も子どもの頃は虚弱で、この子は本当にきちんと育つのだろうかと言われ、このように記者会見するとはとても信じがたい、人前に出ると泣いてしまうような弱い子でしたけれども、本当に熱心な山野井先生という、御主人が戦争負傷者で寝たきりに近い方だったのですが、本当にすばらしい先生で、今探しているのですが、まだ居場所がわからない。もう亡くなっているかもわからないのですが、小学校1年生の頃育てて頂きましたから、教師というものは本当に子どもにとって大事なものだと思います。ですから、教育委員会の在り方も含めて、文部科学省からも改めて8項目の指導事項への対応について大分県からの報告をなるべく早くと言っているわけですが、これも見た上で、適切な指導をしていきたいと思っています。そして、他の都道府県についても、教育委員会制度の在り方を始め、教員採用の在り方とか、これを機に、子どもに悪影響のないような改革を進めさせたいと思っています。

記者)

 授業時間を増やす新学習指導要領の移行措置が一部来年度から始まりますが、大臣御自身は、教員数は今に比べてどうあるべきとお考えでしょうか。また、いわゆるゆとり教育に対してはどう評価していらっしゃいますか。お願いします。

大臣)

 教員数については、配置計画その他、これから概算要求の中で処理していくわけです。新しい管理制度もスタートするわけですし、しかし一方で、御存じのように財源問題もあるわけで、しっかりと省内で詰めて、概算要求に臨みたいと思っています。ゆとり教育については、誤解のないようにお願いしますが、私はよく、文教部会等で議論をしたときに、皆さんもお聞きになったことがあるかわかりませんが、例えばオウム真理教の例をよく聞きます。松本智津夫被告はともかくとして、あの教祖を囲んでいた幹部の出身校を皆さん知っていますか。東大、京大、東工大、早稲田、慶応、阪大等、しかも医学部、工学部等。おそらくトップクラスの学力と言われる学校の卒業生が、いまだに後遺症に悩んでいるあのサリン事件をはじめとした事件を起こした。つまり私が申し上げたいのは、学力はつけなければいけない、まさに科学技術創造立国ですから、世界のトップをいく、ノーベル賞を輩出するくらいの学力をつけなければいけないけれども、学力偏重でいったら、必ずサリン事件のような例が起きるのだということです。ですから、教育基本法が60年ぶりにできて最終段階に入ったときに、私は安倍晋三さんに、これで総理どうですか、「人に優しく自分に強く」、これなら誰も異論がないでしょうと。どんな思想を持った人も、どんな政党も、人に優しく自分に強い、そういう子どもを作る、育てる、どう思われますかという質問をしたことがあります。答えは後で調べて頂ければわかりますが、私はこの言葉に尽きると思っていまして、本来目指す、私が言っていたゆとり教育というのは、そのことなのです。学力も上げなければいけない。しかし人間力も上げなければいけない。「人に優しく自分に強く」。ですから、若干学力の低下も心配されて、時間数も増やしたり、特に理数系中心に色々な学習指導要領の努力も始めようとしていますが、今度目指すは、そういう教育のあるべき姿だと思っています。

記者)

 教員定数の話にも関連しますが、教育振興基本計画には、教育投資の目標額が盛り込まれませんでしたが、今後の教育投資の方向性については、どうお考えでしょうか。

大臣)

 私はこの間まで自民党の文教制度調査会長代理をしていましたので、この教育振興基本計画の策定については、部会でも厳しく発言をしました。60年ぶりの教育基本法の改革をやって、裏付けとしてその目玉が教育振興基本計画だと。それに、欧米並みの数値目標さえ書けないなんてことは信じがたいだろうと言って、保利耕輔さんも教育基本法のチームでしたから激しかったのですが、何のための教育改革なのかわからないではないかと思っていました。本当にいまだに不満です。今こそ、米百俵の時ではないかと思っているのです。さりながら、もう閣議決定もされましたから、少しでも実を取るように、大臣の身命を賭してと言ったら相撲取りみたいですが、皆さんに御評価頂けるような努力をしますし、伊吹財務大臣も、文部科学大臣経験者ですから、わかって頂けると思います。期待をもって概算要求、予算折衝に臨みたいと思います。

記者)

 学習指導要領の中学校解説書の竹島に関する記述ですが、日韓関係に米国も巻き込んでの波紋を広げています。この問題については、どうとらえていらっしゃいますでしょうか。

大臣)

 領土の問題は非常に微妙で国際関係に響きますので、見解については外交マターですからあえて申し上げません。しかし今度の学習指導要領の解説の書きぶりは、非常によくこなれた書き方だと思っています。韓国は大使を召還されたりしましたが、子どもたちには、北方領土をはじめとして、日本の領土というものを、やはりこれまでの歴史に基づいて、適正に教えるべきであると思いますから、文章を書いていた私の昔の感覚からすれば、今度の解説の文章は適正なものだと思っています。願わくば、外交は大して対面的にやったわけではありませんが、やはり北東アジアの平和ということを考えれば、この領土問題で日韓、あるいは日米関係に悪影響が出るようなことは極力避けて、トータルで北東アジアの融和を、一議員、一大臣として貢献していきたいと思っています。

記者)

 私立大学のほぼ半数が定員割れしているという現状を、どうとらえていらっしゃいますでしょうか。また、国立大学の運営費交付金、私学助成のマイナス1パーセントが続く現状をどう考えていらっしゃるかも含めて、高等教育に対する考えをお聞かせください。

大臣)

 大学に進む子どもたちがどんどん増えている中で、しかし、少子化、人口減少時代ですから、私立大学の経営の難しさというものは、数年前から言われ続けてきたことです。経営的にはやはり経営者側が知恵を絞って、学ぼうとする子どもたちのためにチャーミングな学校作りをぜひして頂きたい。昔の一律の大学の在り方ではなしに、個性的な工夫をしてくだされば、私はそんなに悲観的ではありません。国立大学の運営費交付金についても、財政の厳しいときですから、増やすことはなかなか難しいかと思いますが、ただ先程冒頭に申し上げたように、優秀な頭脳を作っているという意味では、やはりメリハリをつけつつ、十分な財政的な裏付けを大学教育の場で実現しなければいけないと思っています。難しい作業ですが、これも全力を挙げて努力します。

記者)

 食育に関する大臣の見解をお願いします。

大臣)

 私は、教育基本法の議論の中でも、教育の原点は知徳体だと絶えず言ってきました。これは森喜朗元総理も盛んに言われることですが、体、つまり食育を含め体作り、これは心身ともの健全性という意味です。知徳体と言いますが、知徳で体はできないのです。体というのは食育を含めて、スポーツその他により、知徳を作るのです。私が具体的な例です。私はこんなに背が小さいですが、中学校の時にサッカーに出会いまして、将来はオリンピック選手になれるぞと言われるくらいの勘とスピードそして体を一人前にしてもらった。だから、知徳をかろうじてここまで、一人前程度ですが、して頂きましたから、特に食育については、食育基本法もできたことですし、栄養のバランスが良く、メタボにしない、かといって贅沢三昧ではない日本的な食の良さというものを、さらに推進して、重点的に取り組んでいくべきだというのが、私の立場です。私自身も農家の出ですから、好き嫌いはほとんどありません。変な話をしますが、私はこの30年くらい毎朝自分で、味噌汁を作ってきたのです。だから髪の毛が黒いのではないかなんて言われますけど。つまり、食というものについては自分で体験していて、私が少なくとも体力的に、あるいは精神的に、67歳とは見えないくらいに若いとすれば、食育のおかげだと思います。

記者)

 文部科学省は科学技術の予算の6割を持っていますが、科学技術振興について大臣のお考えをお願いいたします。

大臣)

 私は科学技術について、極めて弱いほうですが、これからの日本の国の在り方として、科学技術創造立国というのは、もっとも大事なテーマだと思います。やはり日本の科学技術の能力というものは、本当にすばらしいものがあるし、もっと発展させなければ、この国はもたないと思っています。だから、宇宙工学にしても、ロボットにしても、半導体にしても、あるいは低公害車にしても、日本の冠たる成果を、科学技術創造立国で作りたいと思っています。これも一生懸命、予算、裏付けをつけるように努力します。

記者)

 先程大臣も引退表明の話をされていましたが、今朝の新聞各紙でも引退表明大臣が異例の起用ということが書いてあります。これについて改めてお考えをお願いできますでしょうか。

大臣)

 私がこの任期で辞めると言っていますのは、色々な理由があるのですが、これで御推測頂けますけれども、自分が辞めた後どうでもいいなんていうことができないたちなものですから、まず第一点は、後継者を昨年の暮れにきちんと決めまして、活動を始めています。もう一つは、非常に難しいことで、誤解のないようにお聞き頂きたいのですが、民主党が世襲の禁止の法律を考えるというニュースが、どっかにありました。私は世襲が悪いとは言いませんが、地方議員等も含めて、世襲で今議員になっている方が、私の記憶に間違いがなければ、衆議院で3割を超えているはずです。医者とか、経営者とか、タレント等はあっても良いと思いますが、私自身は、先祖に村会議員がいたという話もありますが、世襲ではありません。ですから、そういう立場で言うのですが、やはり新しい血が政界に入る、国会は、市会や県会と違うと思います。少なくとも、これは私の意で辞めると言ったわけでして、他人に押しつけるつもりはありません。65歳という社会的な一般通念を超えたら、国家公務員の定年はまだ60歳ですから、もう選挙はやらないということは、妻とも約束がありましたし、これも個人的な理由にしてください、私の選挙区は、有権者が大体30万人いるのですが、皆さんに鈴木恒夫というものを知ってもらうことは至難の業なのです。大体共働きで家にいないし、一日どんなに握手して回っても、100人と会えません。皆さんイメージ、あるいは広報、新聞で情報を得て、投票会場に行くのです。そのとき、67歳か、もういいわって、たぶん思われると、私は思ったので、ここは後継者をきちんと決めていこうと考えました。そういう人を何でとおっしゃいますが、人間なんて皆、80、100歳で死んで行くのだから同じことです。私は、任期中は今まで以上に全力を尽くして議員活動を続けるつもりです。御評価を頂けるかどうかは、終わったときに聞かせてください。

記者)

 いわゆるメリハリの予算の関係で、政策の棚卸しということが、しきりに言われています。来週にも自民党の無駄遣い撲滅チームのヒアリングが予定されている中で、文部科学省内の、いわゆる政策の棚卸し、メリハリの実現については、どのような方針をお考えですか。

大臣)

 自民党の政務調査会が主導で作業を始められているようで、園田博之さんが座長です。党の作業、そしてどんな結論を引っ張り出してくるのかを見ながら、とにかく、無駄を排することは大事なことです。私も自分の政治活動では、大臣になって本当に困っています。有名な話ですが、私は運転手を雇う金がないものですからほとんど自分で車を運転していました。今度から、自分では運転してくれるなって言うのです。これは困ってしまいます。つまり申し上げたいのは、政治家としても、本当に無駄を排して、秘書も二番目の兄を事務所長にして、本当にこじんまりとやってきました。やってやれないことはない。むしろ金がない方が良いと言ってやってきました。ですからできるだけ、無駄遣いを撲滅させます。そうでなければ、国民の不信感はぬぐえません。それがあって、初めて行政が説得力を持つわけです。ですから、党の作業をよく、結果を伺いながら、対応していきます。

記者)

 教科書の内容について、発展的な内容を盛り込もうという議論が今、行われていますが、現状の教科書に関して、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 学習指導要領を良く読んで、教科書を材料にして上手に教えて頂きたい、教師のこの教え方にやはり期待したいです。幼稚園では遅すぎるとまでは言いませんが、やはり子どもは家庭教育、それから幼児教育の段階が、一番要だと個人的に思っています。中学生、高校生になってからでは遅いと思ったりしますので、とりわけ家庭教育の在り方というのは、非常に難しいテーマですが、今日の日本の社会に起きている、この病的な無動機犯罪をはじめとする現象は、やはりたどっていけば家庭、幼児教育の頃に起因するところが大きいように思っています。それからもう一点は、自然体験をはじめとする環境教育。つまり、命を手にとって見るチャンスが、やはり子どもの頃には絶対必要なのです。非行に走る少年の最初は動物虐待から始まるのは、皆さん御存じでしょうけども、命を手に取って見つめるチャンスを子どもの頃に多く与えてやりたいと思っています。先程も実は斉藤環境大臣と歩きながら、環境という教科を、算数、理科、社会等と一緒に置くことをそろそろ考えても良いのではないかと話をしました。環境というのは、エネルギーから、生物多様性から、水から、科学技術から、全部入りますから、あらゆるところと関係するのです。どういう教科にするかは、非常に難しいのですが、やはりこれだけ地球環境が危機的になってきて、犯罪に化学物質の影響まで言われるようになってきていることを考えると、やはり環境というものを子どもの頃に教えたいのです。これは私自身に対する研究課題だと思っています。

記者)

 アメリカの原子力潜水艦が放射能漏れを起こしたというニュースがありましたが、これについてお願いいたします。

大臣)

 先程報告を聞きましたが、我が国の寄港時のチェックは従来文部科学省がやっていまして、佐世保等三港にこの原子力潜水艦が寄港していたときに、全部検査をしてあって、今度の冷却水の中に含まれていたヨウ素については、この三つの港におけるチェックで、すべて検出はされていないというデータが残っているそうです。公表もしていますから、こと日本の港に関しては御心配はいらないと思います。

記者)

 昨日の時点でアメリカ側からその報告があったのに、地元の自治体にそれを伝えてなかったということですが、それについてお願いします。。

大臣)

 それはやはり外務省がもう少し配慮をすべきことだったのではないでしょうか。外務省も、アメリカからのデータを取り寄せている最中のように聞いていますし、十分対応ができないと思いますが、それは外務省もそういう指摘がありましたから、注意すると思います。役所というのは、完璧なデータをとらないと、流そうとしないものですから、どうしても遅れるのです。外務省は適切に対処してくれると思います。

記者)

 先程、子どもは家庭教育と幼児教育が大事だということをおっしゃいましたが、そうしますとやはり今、女性は家庭に入るべきとお考えなのでしょうか。

大臣)

 そんなことは全然考えていません。私の娘も子どもを産みまして、職場復帰すると言ってます。孫を育てている最中です。女性の能力の高まってきたことは貴重な日本の国力の大きな柱だと思っていますから、家庭にいるべきだなどとは言いません。しかし、例えば私の娘の場合は、育児休暇1年半だと聞いてますが、やはり、税制とか、あるいは企業への支援等で、できるだけ長くできないか。やはり、家庭で育てられて、特に女性が職場復帰できるシステムにするのか、あるいは勧奨制度みたいなものを社会全体でそうしてあげることが大事だと思います。極端に言うと、色々な広がりを持つわけです。私は自分の娘が7ヶ月前に子どもを産んだときに、本当に痛切に思ったのは、やはり、5つの安心作りの中に出てきますが、子どもを安心して産めないのですよ、今。もう産むところがないのだから。昨日も1件、私のところに陳情がありました。産婦人科を紹介してくださいと。うまくいきましたけど。だから、そういう子どもが産めない、職場復帰ができないといった日本の今の一種の劣化傾向の部分を、社会全体が直していく作業に、それぞれの役所が所管の分野で対応していかないと、この国がますますおかしくなると思います。だから昨日、日本の美風の蘇生と新生と言ったのです。先程申し上げたように、人に優しく自分に強くのような日本人独特の感性というものを蘇らせ、かと言って国際社会もどんどんボーダレスになっているので、新しい生きざまも探らなければいけませんから、それに伴って新しい秩序も必要だし、気風も必要なので新生と言ったのです。蘇生と新生。何とかそうしたいと思っています。

記者)

 学力向上で、今授業時間の確保が難しくなっているにもかからわず、学校週5日制というのが堅持されているわけですが、それについて大臣のお考えはいかがでしょうか。

大臣)

 学校週5日制というのは、第一次実験段階から長い時間かけて5日制に持ってきたわけです。ですからこれを、学力が落ちたからと言って転換するのは、私はあまり良いことではないと思います。週5日制の中で総合学習の時間を作ったり、色々やってきましたから、時間数を増やすことはもう決めたことですから良いのですが、できれば土曜日はそのまま有効に使う、週5日制は維持するほうが良いと思っています。

記者)

 環境の視点も含めて、原子力に対する考え方というのを教えて下さい。

大臣)

 これはヨーロッパも相当揺れているわけです。私はやはり、環境問題というものを考えれば、安全性に十分すぎる配慮をして、私、衆議院の災害対策特別委員会の委員長をやっていましたから、災害の報告は随時受けていますが、少なくとも原子力に関しては、マグニチュード7.5の地震も含めて、そう心配すべき状況は起きていません。ですから私は、地球環境問題という側面からも、十分安全性に配慮しながら、原子力は進めるべきと思っています。原油がこんなに高騰しているわけですから。

記者)

 先日、留学生30万人計画の骨子を策定されましたが、かなりハードルの高い目標だと思うのですが、どのように実現していこうとお考えですか。

大臣)

 日本の国に行ってみたい、日本の国で学んでみたいという外国人をどう増やすかに尽きるわけです。私は日本を知ってくれれば、うまくノーティスをばらまけば、ハードルは色々高いと思いますが、必ず実現しなければならないし、決して可能性は乏しいとは思いません。例えば、環境の話がありましたが、サスティナブル・ディベロップメントという言葉は環境用語で持続可能な開発という意味です。日本の自然というのは、宮崎駿さんがよく言いますが、自然の中で日本人は育って生きてきた、自然の中で育ってきたと。持続可能な開発という概念は、人間が持続できるように環境を整えていくという発想なのです。発想が逆なのです。日本は皆さん御存じのように、国土の7割が緑で、飲み水の心配はなくて、皆外国に比べたら親切で、治安も行き届いて女性が夜中の1時2時でも平気で一人歩きができる、最近は危なくなってきましたが。まだまだ世界の国から見れば、この国は十分チャーミングなはずです。ですからこれを広める。私は、これも努力します。可能性は決して低くないと思いますし、また日本の将来の国のありざまとして、今例えば、韓国にはわりあい日本通がいないのです。中国にはたくさんいます。これが今、日中のパイプをつなぐのに非常に効果的ですから、やはりボーダレスの時代に留学生を増やすというのは、本当に大事なテーマだと思います。
 色々また、教えて頂きます。ありがとうございました。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)