日時:平成30年5月11日(金曜日)16時30分~18時00分
場所:文部科学省 15F特別会議室
林芳正(文部科学大臣)【座長】
鈴木寛(文部科学大臣補佐官)【座長代理】
新妻秀規(文部科学大臣政務官)
【構成員】
北野宏明(ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
城山英明(東京大学大学院法学政治学研究科教授/東京大学政策ビジョン研究センター副センター長)
杉山将(理化学研究所革新知能統合研究センターセンター長/東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻教授)
新居日南恵(株式会社manma代表/慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 修士課程)
原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)
水野正明(名古屋大学総長補佐/医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター副センター長)
(敬称略。五十音順)
出席者からの主な意見は以下の通り。
<AIと社会的意思決定>
○AIに関する社会的意思決定を行うに当たっては、テクノロジーアセスメント(技術の社会的影響評価)の考え方が重要。具体的には、技術が社会に与える影響(ELSI:倫理的法的社会的課題~便益を含む)を広く洗い出して分析すること。このような議論に当たっては、リスクと便益のバランスを考えることが非常に重要となってくる。
○テクノロジーアセスメントに研究者・技術者が関与するに当たって、社会的リテラシーを身に付けていることが重要となってくる。Society5.0に向けて、人文社会科学系の学生がサイエンスの素養を身に付けることの重要性はもちろんだが、理系の学生や研究者・技術者も、人文社会科学系の素養が必要となるということ。
○逆に、AIが社会的意思決定に大きい影響を及ぼすのではないか、という議論がある。AIに社会的意思決定を委任するようなことは、人間の尊厳の基礎となる部分を危ぶめる行為であるという意見もあるが、我々の社会は既に他者へ多くの意思決定を委ねて成立しているため、AIへの委任が他者への委任と何が違うのかということはまだまだ議論の余地がある。
○社会的意思決定において、何を人間が行い、何をAIに任せるのかという役割分担が重要。板挟みや相反する利益の調整など、人間でないとうまくできないことがある一方で、AIが淡々と処理した方がうまくいく場合もあるかもしれない。AIが得意な分野はAIに任せることで、人間が人間にしかできないことに集中できる。
○AIに意思決定を委ねるに当たって問題となるのが、「責任」の問題。AIが人間と同じかたちで責任をとることは難しいが、AIに関わる責任を処理するための様々な制度的枠組みが議論されている。
<若者のリアルな現状>
○今の若者は、不景気感を感じながらずっと生きてきている世代。そのため、漠然とした未来への不安感を持ち、安定志向が高まってきている。この不安を取り除いてあげることが重要。
○SNSなどによるある程度継続的な人間関係ネットワークの巨大化は、若者に大きな影響を与えている。嫌な印象を相手に与えないための過剰な気遣いや、仲間内での拘束力や監視の広がり、体験していないことに既視感を持つことで行動範囲が狭まるなど、いわば「現代版の村社会」のような状況。
○今の若者の節約志向は、不況だから我慢しているというわけではない。彼らは商品をフラットに見ていて、安くてある程度品質の良いものを好んで買っている。
○高いものを買って自慢する昔の若者と違い、今はいいものを安く買うことで、目利きの能力や人脈を自慢するようになってきている。これは世界的な傾向であるため、消費を高めるのが非常に難しい。また、昔ほどお金をかけなくてもある程度の品質のものが手に入るので、ハングリーさやチャレンジ精神を持つことが難しくなっている。
○一部の若者は「地元」に対する愛着が強い。郷土愛というよりも、SNSによってできた新たな地縁を大切にしている。
大臣官房政策課