動的映像の保護及び保存に関する勧告

動的映像の保護及び保存に関する勧告(仮訳)

1980年10月27日 第21回ユネスコ総会採択

 国際連合教育科学文化機関の総会は、1980年9月23日から10月28日までベオグラードにおいてその第21回会期として会合し、
 動的映像が諸民族の文化的独自性の1表現であり、かつ、その教育的、文化的、芸術的、学術的及び歴史的価値のゆえに、1国の文化的遺産の不可分の一部を構成することを考慮し、
 動的映像が特に現代社会特有の表現の新しい形式を構成し、それによって現代文化の重要な、かつ絶えず増大を続ける部分が明らかにされることを考慮し、
 動的映像がまた、事件の展開を記録する1つの基本的な手段を提供すること、及びそれ自体が諸民族の歴史、生活様式及び文化並びに世界の発展に対する新しい次元での重要でしばしば特異な証拠を構成することを考慮し、
 動的映像が世界のすべての民族の間における伝達と相互理解の手段としてますます重要な役割を持つようになっていることに留意し、
 さらに、知識及び文化を全世界に広めることによって、動的映像が各人の教育及び繁栄に広く寄与することに留意し、
 しかしながら、動的映像は、その物質的な具体物という性質、及びその固定の諸方法の故に極めて傷つきやすく、特殊な技術的条件のもとで保管されるべきであることを考慮し、
 さらに、動的映像の遺産の多くの構成要素が劣化、事故又は不当な処分により消失し、そのことが当該遺産のとりかえしのつかない衰微をもたらすことに留意し、
 動的映像をその直面する危険から救う専門的諸機関の努力の成果を認め、
 他の形態の文化財が現在及び将来の世代の繁栄の源泉として保護し保存されているのと同様に、各国が、後世のために、文化的遺産のこの特に脆弱な部分の保護及び保存を確保する適切な補足的措置をとることが必要であることを考慮し、
 同時に、人間の尊厳に内在する人権及び基本的自由の本質的な要素とみなされる意見、表現及び情報の自由、平和及び国際理解の強化の必要性並びに動的映像の著作権者その他すべての権利者の正当な地位に十分配慮しつつ、動的映像の保護及び保存を確保する適切な手段がとられるべきであることを考慮し、
 また、各国の、国際法のもとで負う義務を考慮しつつ動的映像の保護及び保存のために適切な措置をとる権利を認め、
 世界の諸民族によって創作される動的映像はまた人類全体の遺産の一部を構成し、したがつて、これらかけがえのない人間活動の記録を保護し保存するため、そして特に限られた財源の諸国のためにより緊密な国際協力が促進されるべきであることを考慮し、
 さらに、国際協力の増大により、輸入された動的映像がほとんどの国の文化的生活において重要な役割を持つことを考慮し、
 特定の諸国、特にかつて植民地であつた諸国の歴史及び文化の重要な局面が、それらの国にとつて常時接近可能というわけではない動的映像の形で記録されていることを考慮し、
 総会がすでに可動文化遺産の保護に関する国際文書、特に、武力紛争の際の文化財の保護のための条約(1954年)、文化財の不法な輸出、輸入及び所有権譲渡の禁止及び防止の手段に関する勧告(1964年)、文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止及び防止の手段に関する条約(1970年)、文化財の国際交換に関する勧告(1976年)、及び可動文化財の保護のための勧告(1978年)を採択していることに留意し、
 これらの条約及び勧告に定められた規範及び原則の適用を補足し、拡大することを希望し、
 万国著作権条約、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約並びに実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約の諸条項を考慮し、
 動的映像の保護及び保存に関する提案を審議し、
 第20回会期において、この問題を加盟国に対する勧告の主題とすべきことを決定して、
 1980年10月27日にこの勧告を採択する。
 総会は、加盟国が、この勧告に定める原則及び基準を自国の領域内において実施するため、自国の憲法上の制度又は慣行に従い、必要とされる立法措置その他の措置をとることにより次の諸規定を適用することを勧告する。
 総会は、加盟国が、この勧告につき、適当な当局及び諸機関の注意を喚起することを勧告する。
 総会は、加盟国が、この勧告を履行するためにとつた措置について、総会が定める期日までに及び様式で、総会に報告することを勧告する。

I 定義。

1 この勧告の適用上、
(a)動的映像」とは、支持物に記録された映像の連続(記録の方法或いは最初のまたはそれに続く固定に使用されるフィルム、テープ又はレコードのような支持物の性質のいかんを問わない。)であって、音声を伴い又は伴わず、映写されたときに動的印象を与え、かつ、公衆への伝達若しくは頒布の意図をもち、又は記録を目的として製作されるものを意味し、特に、次の範疇に属するものを含むと解釈する。
 (i)映画の製作物(長編映画、短編映画、通俗科学映画、ニュース映画及び記録映画、動画及び教育映画等)、
 (ii)放送事業者により又は放送事業者のために製作されるテレビの製作物、
 (iii)上記(i)及び(ii)に掲げるもの以外のビデオグラフの製作物(ビデオグラムに収録されるもの)。
(b)「プリント前資料」(pre-print material)とは、動的映像の物的支持物で、映画フィルムの場合にあってはネガ、インター・ネガ又はインター・ポジから、又ビデオグラムの場合にあってはマスターから成るものを意味すると解釈する。そのようなプリント前資料は複製物の調達のために作成されるものである。
(c)「映写用複製物」(projection copy)とは、実際に見るための、又は映像の伝達を目的とする動的映像の物的支持物を意味すると解釈する。
2 この勧告の適用上、「内国製作物」(national production)とは、その製作者又は少なくとも共同製作者の1が主たる事務所又は常居所を当該国の領域内に有する動的映像を意味すると解釈する。

II 一般原則

3 内国製作物であるすべての動的映像は、加盟国により自国の「動的映像の遺産」の不可分の一部とみなされるべきである。本来は外国の製作物である動的映像もまた、当該国の文化的又は歴史的見地から特に国家的重要性を有する場合には、その国の文化的遺産の一部を形成することができる。この遺産を全体として将来の世代に残すことが技術的又は財政的理由から不可能であるときは、可能な限り多くの部分が保護され、保存されるべきである。この目的のために積極的な政策を策定し、適用するために、関係あるすべての公的及び私的団体が歩調を合せて行動することを確保するよう、必要な措置が講じられるべきである。
4 動的映像の遺産を時間及び環境のもたらす破壊の危険から守るため、適当な物質的保護が与えられることを確保する適切な手段がとられるべきである。劣悪な保管条件は、物的支持物が絶えず晒されている劣化の過程を速め、さらには完全な破壊にまで至らせることがあるため、動的映像は公認の映画・テレビ記録保存所に保存され、最高の記録保存基準に従って処理されるべきである。さらに動的映像の適切な保護及び保存のため、高品質で耐久性のある支持媒体の開発を特に目途とする研究が行われるべきである。
5 内国製作物が、1点たりとも喪失、不当な処分又は劣化の犠牲となることのないよう、防止のための措置がとられるべきである。したがつて、動的映像のプリント前資料又は記録保存用の良質な複製物が公的又は私的な非営利的記録保存施設に組織的に入手され、保護され及び保存されるような方策が各国において設定されるべきである。
6 公的及び私的な非営利的施設によって入手され、保護され及び保存された動的映像によって表現された著作物及び情報源への接近の機会は、支障ない限り認められるべきである。それらの利用は、万国著作権条約、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約、並びに国内法令の規定に従い、その製作及び開発に関与した者の正当な権利又は利益を害してはならない。
7 真に効果的な保護・保存計画が成功裡に実施されることを確保するために、動的映像の製作、頒布、保護及び保存に関与するすべての者の協力が得られるべきである。したがつて、1国の遺産としての動的映像の重要性及び現代社会の生活の証言としてそれらを保護し保存する当然の必要性の一般的認識を関係の諸専門家集団に浸透させることを特に目的として、広報活動が組織されるべきである。

Ⅲ 勧告される措置

8 前に掲げる原則に従い、かつ、加盟国の通常の憲法上の手続きにのっとり、加盟国は、次の指針に従って動的映像の遺産を効果的に保護し保存するために、公認の記録保存所に対する要員、設備及び資金の面での適切な資源の供給を含め、すべての必要な処置をとるよう勧奨される。

法的及び行政的措置
9 諸国の文化的遺産の部分を形成する動的映像の組織的な保存を確保するために、加盟国は、公認の記録保存所がその国の内国製作物の一部又は全部を、保護及び保存のために入手できるようにするため措置するよう勧奨される。そのような措置には、例えば、動的映像の寄託のための権利者との任意の取り決め、購入若しくは寄贈による動的映像の取得、又は適切な立法若しくは行政手段による強制的寄託制度の設立を含むことができる。そのような制度は、公有の動的映像に関する既存の記録保存制度を補足しこれと共存するべきである。とられる措置は、人権の保護、著作権並びに実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する国内法及び国際文書の動的映像に関する規定と調和すべきであり、これらの文書のうちの一部のものに規定されている開発途上国のための特別な条件につき配慮すべきである。強制的寄託制度が採用される場合には、次のとおり規定すべきである。
(a)内国製作物である動的映像は、その支持媒体の物理的特徴又はその創作の目的にかかわらず、最高の記録保存上の品質を持つ少なくとも1本の完全な複製物が、できればプリント前資料の形で寄託されるべきである。
(b)資料は、外国製作者とのいかなる共同製作の取り決めにかかわらず、当該国の領域内に主たる事務所又は常居所を有する製作者(国内法に定める。)によって寄託されるべきである。
(c)寄託された資料は、公認の映画又はテレビ記録保存所に保存されるべきである。かかる保存所が存在しない場合は、そのような施設を国家的な又は地域的な水準で設置するためあらゆる努力が払われるべきである。公認の記録保存所が設置されるまでの間、資料は適切な設備を有する施設に暫定的に保管されるべきである。
(d)寄託は、国内規定で定める最大期限内でできる限り速かに行われるべきである。
(e)寄託者はさらに複製を作ることが必要となつた場合には、寄託した資料への接近を一定の規制の下で許されるべきである。ただし、そのような接近が寄託された資料の損傷又は劣化を生ぜしめないことを条件とする。
(f)公認の記録保存所は、著作権及び実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する国際条約並びに国内法の関係規定に従って、次のことを行うことが可能とされるべきである。
 (i)動的映像の遺産を保護し及び保存するために、又できれば、技術的品質を高めるために、あらゆる必要な措置をとること。動的映像の複製を伴う場合には、当該映像に係るすべての権利が十分に配慮されなければならない。
 (ii)使用がその著作物の通常の利用と抵触せず、又寄託された資料の劣化又は損傷をきたさないことを条件に、教授、学問又は研究の目的で、限られた数の観衆がその構内で映写用複製物を観覧することを許可すること。(但し営利を目的としないことを条件とする)。
(g)寄託された資料及びそれらから作成される複製物は、他の目的のために使用したり又はその内容を改変したりすべきではない。
(h)公認の記録保存所は、提供するサービス経費の適正な負担を利用者に求めることができるものとすべきである。
10 内国製作物であるすべての動的映像の保護及び保存が最高の目標とみなされるべきである。しかしながら、技術の発展により将来それがどこにおいても可能になるまでの間は、公に放送されたすべての動的映像を記録し又は寄託されたすべての資料を長期的に保護し及び保存することが、経費や場所という技術的な理由から不可能な場合には、各加盟国は、特別の記録的性格を有する「一時的記録物」を含め、どの映像が後世のために記録され又は寄託されるべきかを決定するための原則を設定するよう勧奨される。教育的、文化的、芸術的、学術的及び歴史的に価値があり、1国の文化的遺産の一部を形成するような動的映像は、優先的に保持されるべきである。この目的のために導入される制度は、有識者の可能な限り幅広い意見の一致に基づき、又記録保存専門家集団が設定する評価基準を特に参照して選別を行うべきことをあらかじめ考慮に入れるべきである。さらに、十分な時が経過し、必要な見通しがたつようになるまでは、資料の除去を防止するよう適当な配慮がなされるべきである。このようにして除去された資料は寄託者に返却されるべきである。
11 外国製作者及び外国で製作された動的映像の一般への頒布に責任を有する者は、この勧告の精神に従い、かつ国境を越えての動的映像の自由な移動を害することなく、記録保存上最高の品質を有する動的映像の複製物1本を、当該動的映像に存するすべての権利の処理を行ったうえ、動的映像が一般に頒布される国の公認の記録保存所に、自発的に寄託するよう奨励されるべきである。特に、一般に頒布された国の1又は2以上の言語により吹き替えられ又は字幕を付された動的映像であって、当該国の動的映像の遺産の不可分の一部とみなされるもの、又は教授若しくは研究の文化的必要性のために重要な価値をもつものの頒布に責任を有する者は、国際協力の精神にのっとり、それらの映像に関する資料を寄託するよう勧誘されるべきである。公認の記録保存所は、そのような寄託制度を創設すること、及びさらに、それらに存するすべての権利の処理を行うことを条件として、当該国で一般に頒布されたものでなくとも特別な世界的価値を有する動的映像の複製物を入手することに努力すべきである。そのような資料の管理及びそれに対する接近は、前記第9項(e)、(f)、(g)及び(h)の規定によるべきものとする。
12 加盟国は、第11項に提案された諸措置の効果に関する追跡調査を行うよう勧奨される。もし、適当な試行期間の後に、1国の文化又は歴史の見地からみて特別の国家的重要性を持つ翻案された動的映像の十分な保護及び保存が、自発的寄託という提案された形式によって確保されないときは、当該国は、国内法の規定に従って、特別の国家的重要性をもつかかる動的映像のすべての正当な権利者の権利に留意しつつ、翻案された動的映像の複製物の消失、特に破壊による消失を防止するような措置を明示するものとする。
13 加盟国はさらに、――著作権並びに実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する国際条約を十分に考慮しつつ――公認の記録保存所に対し、著作物の通常の利用に抵触しないことを条件として、寄託された資料を研究及び承認された教授目的に利用することを許可する可能性を調査するよう勧奨される。

技術的措置
14 加盟国は、動的映像の保護及び保存の分野で権限を有する国際的諸機関が勧告する動的映像の保管及び取り扱いに関する記録保存上の基準に十分な注意を払うよう勧奨される。
15 さらに、加盟国は、動的映像の遺産の保護及び保存の任に当たる施設が、次の措置をとることを確保するため必要な手配を行うよう勧奨される。
(a)すべての範疇の動的映像の全国的フィルム記録誌及び目録並びに自己の保有物の解説を、できれば目録作成方式の標準化を探究しつつ作成し、利用に供すること。これらの文書資料も共にその国の動的映像の遺産の一部とすること。
(b)施設の記録、個人的文書その他の動的映像の原産国、製作、頒布及び上映を記述した資料を、関係者の同意を得て収集し、保存し及び研究の用に供すること。
(c)すでに一般に使用されてはいないが保存されている資料の複製及び映写のために必要と思われるものも含め、装置を良好な条件のもとに維持し、又はそれが可能でないときは、当該動的映像の複製及び映写を行うことができる他の物的支持物への転写を確保すること。
(d)動的映像の保管、保護、保存、修復及び複製に適用される基準の厳格な適用を確保すること。
(e)長期的で効果的な保管と使用に資する条件を確保しつつ、保護され保存されるべき動的映像の技術約な質を可能な限り改善すること。この処置が資料の複製を伴うときは、当該映像に存するすべての権利に対して十分な配慮がなされるべきである。
16 加盟国は、動的映像を保有する私的団体及び個人に対し、適切な技術的条件のもとでそれら映像の保護及び保存を確保するため必要な処置をとることを奨励するよう勧奨される。これらの団体及び個人は、寄託制度の導入前に作成された動的映像の、できればプリント前資料を、またそれができないときは複製物を、公認の記録保存所に委託するよう奨励されるべきである。

補足的措置
17 加盟国は、動的映像の保護及び保存について権限のある当局及びその他の団体に対して、次の事項のための広報活動を行うことを奨励するよう勧奨される。
(a)動的映像の製作及び頒布に関与するすべての者の間に、教育的、文化的、芸術的、学術的及び歴史的観点から見たそれら映像の永続的価値の評価並びにそれらの保護及び保存における協力の当然の必要性に関する認識を促進すること。
(b)動的映像の教育的、文化的、芸術的、学術的及び歴史的重要性、並びにそれらの保護及び保存のために必要な手段に対し、広く公衆の注意を喚起すること。
18 動的映像の保護及び保存に関連する諸分野の研究を調整するため、また適正な費用での長期保存を特に目途とした研究を奨励するために、国家的水準で措置がとられるべきである。動的映像を保護し及び保存するための方法と技術に関する情報は、関連する研究の成果を含め、すべての関係者に普及されるべきである。
19 最新の方法及び技術を含む動的映像の保護及び修復の研修計画が組織されるべきである。

Ⅳ 国際協力

20 加盟国は、諸国民の文化的遺産の一部を形成する動的映像の保護及び保存を促進するため、連携して努力するよう勧奨される。そのような協力は、権限ある国際的な政府機関及び非政府機関によって鼓舞されるべきであり、次の措置を含むべきである。
(a)適切な施設又は十分な財源を有しない諸国の動的映像の遺産を保護し保存するため、地域的又は国家的水準で必要な下部組織を確立することを目的とした国際的な計画へ参加すること。
(b)動的映像の保護及び保存のための方法及び技術、特に最近の研究の成果に関する情報を交換すること。
(c)特に開発途上国の国民を対象とする関連分野の国内的又は国際的研修課程を組織すること。
(d)動的映像の記録保存所の保有物を特に対象とした目録作成方法の標準化のために共同作業を行うこと。
(e)権利者及び関係記録保存所の同意を得、かつ貸出によって資料の劣化又は損傷を生ぜしめないことを条件として、著作権並びに実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する国際条約及び国内法の関連規定に従い、教授、学問又は研究の目的に限って、他の公認の記録保存所への動的映像の複製物の貸出しを許可すること。
21 特に開発途上国に対し、それらの国の動的映像の遺産の適切な保護及び保存を確保し又は促進するために、技術協力が提供されるべきである。
22 加盟国は、いかなる国も自国の歴史又は文化に関係する動的映像であって、当該国がプリント前資料又は映写用複製物を保有していないものに接近する機会を得ることができるようにするために、協力するよう勧奨される。この目的のために各加盟国は、次のことを勧奨される。
(a)公認の記録保存所に寄託されている動的映像であって他の国の歴史又は文化に関係するものについては、当該国の公認の記録保存所がそのプリント前資料又は映写用複製物のいずれかを取得するについて便宜をはかること。
(b)そのような動的映像を保有する自国内の民間の団体又は施設に対して、そのプリント前資料又は映写用複製物のいずれかを自発的に当該国の公認の記録保存所に寄託することを奨励すること。
 必要な場合、前項(a)及び(b)に従って供給される資料は、それを要請する団体による経費の弁済とひきかえに提供されるべきである。しかしながら、これに伴う経費を勘案して、加盟国が公的財産として保有しており、かつ開発途上国の歴史及び文化に関係のある動的映像のプリント前資料又は映写用複製物は、特別に有利な条件でそれらの国の公認の記録保存所に提供されるべきである。この項に従って供給される資料は、いずれもそれらに存する著作権並びに実演家、レコード製作者及び放送事業者の権利の処理を行うことを条件として提供されるべきである。
23 1国の文化的又は歴史的遺産の一部を形成する動的映像が、事情が何であれ、特に植民又は外国による占領の結果として失われてしまつているときは、加盟国は、そのような映像に対する要請に関し、総会が第20回会期において採択した決議5/10、1/1IIIの精神のもとに協力するよう勧奨される。

 以上は、国際連合教育科学文化機関の総会が、ベオグラードで開催されて1980年10月28日に閉会を宣言されたその第21回会期において、正当に採択した勧告の真正な本文である。

 以上の証拠として、我々は、署名した。

 総会議長
 イヴォ・マルガン
 事務局長
 アマドゥ=マハタール・ムボウ

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国際統括官付