科学技術に関する統計の国際的標準化に関する勧告

科学技術に関する統計の国際的標準化に関する勧告(仮訳)

1978年11月27日 第20回ユネスコ総会採択

 国際連合教育科学文化機関の総会は、1978年10月24日から11月28日までパリにおいてその第20回会期として会合し、
 この機関が国際連合教育科学文化機関憲章第4条4の規定に基づき、その権限の範囲内にある諸問題を国際的に規制するための文書を作成し、かつ、採択することができることを考慮し、
 同憲章第8条が、特に、各加盟国は、総会が決定する時期に及び様式で、自国の教育、科学及び文化の機関及び活動に関する法令、規則及び統計についての報告書をこの機関に提出しなければならないと規定していることを考慮し、
 科学技術に関する統計の収集及び通報について責任を負う国内当局が、当該統計の国際的な比較可能性を改善するため、主義、分類及び表現について一定の基準に従うことが極めて望ましいことを確信し、
 加盟国の科学技術開発への努力が、世界の平和及び安全の強化に寄与することを認識し、
 この分野における協力は、また、経済的及び社会的進歩を促進させることを確信し、
 科学技術に関する統計の国際的標準化に関する提案をこの会期の議事日程の第34議題として審議し、
 その第19回会期において、この問題を、同憲章第4条4にいう加盟国に対する勧告の形による国際的な規制の主題とすべきことを決定して、
 1978年11月27日にこの勧告を採択する。
 総会は、加盟国が、この勧告に規定する基準及び原則を自国の領域内において実施するため、必要とされる立法措置その他の措置を自国の憲法上の慣行に従ってとることにより、科学技術に関する統計の国際的標準化に関する次の諸規定を適用することを勧告する。
 総会は、加盟国が科学技術に関する統計の収集及び通報について責任を負う当局及び機関にこの勧告を周知せしめることを勧告する。
 総会は、加盟国が、この勧告についてとつた措置に関する報告書を、総会が定める時期に及び様式で、総会に提出することを勧告する。

I 範囲及び定義

範囲
1 この勧告は、各加盟国において、一定の科学技術(S&T)活動、特に、研究及び実験開発(R&D)に関し、標準化された情報を提供することを目的とした統計に関するものである。これらの統計は、当該活動を実施し又は当該活動に資金を提供しているすべての国内機関を対象とする。

定義
2 この勧告の対象となる統計を作成するに当たり、次の定義を用いるべきである。
2.1 科学技術活動(STA)科学技術のあらゆる分野における科学技術の知識の創出、向上、普及及び応用と密接に関係する組織的な活動。これらは、下記の(a)から(c)に定義されているR&D、科学技術教育訓練(STET)及び科学技術サービス(STS)活動を含む。
(a)研究及び実験開発 人間、文化及び社会の知識を含む知識の蓄積を増進し、新しい応用を考え出すためのこの知識の利用を増大するために行われる組織的及び創造的作業。ほとんどの分野において、いくつかの範疇に分けられる。
(aa)科学研究活動 科学知識の蓄積を増進し、それを実際に応用することを目的とする組織的、かつ、創造的活動。
    自然科学、技術、医学及び農学における科学研究活動 自然現象の相互関係及び本質を突き止め、自然の法則の知識を創出し、法則、作用及び実体の知識の実際的応用に寄与することを目的とするあらゆる組織的及び創造的活動
  人文・社会科学における科学技術活動 人間、文化及び社会の知識を増進し向上させることを目的とするあらゆる組織的及び創造的活動。社会及び人間の問題の解決のためにそれらの知識を利用することを含む。
  科学のほとんどの分野において、研究は、基礎研究と応用研究とに分類される。
  (i)基礎研究 特定の実用目的を持たず、主として現象の根拠及び観察可能な事実の新しい知識を得るために行われる実験上又は理論上の作業
  (ii)応用研究 新しい知識を得るために行われる独創的な研究。ただし、この研究は、主として特定の実用目的を指向する。
(bb)実験開発 新しい材料、生産物及び装置を生産すること、新しい工程、体系及びサービスを設けること並びに既に生産され又は設けられたものを実質的に改善することを目指す研究及び実際の経験から得られた既存の知識による組織的な作業
(b)一般に第3段階におけるS&T教育・訓練(STET)大学以外での専門的な高等教育・訓練、大学の学位の取得につながる高等教育訓練、大学以後の訓練並びに科学者及び技師のための系統的な生涯訓練からなるすべての活動。これらの活動は、一般にISCEDの第5、第6及び第7段階に相当する。
(c)科学技術サービス(STS)研究及び実験開発に関連し、科学技術知識の創出、普及及び応用に寄与する活動
  (i)図書館、公文書館、情報・資料センター、情報照会部局、科学会議センター、データバンク及び情報処理部局が提供するS&Tサービス
  (ii)科学技術博物館、動植物園その他の科学技術上の(人類学、考古学、地質学等の)コレクションが提供するS&Tサービス
  (iii)科学技術に関する図書及び定期刊行物(学校及び大学の課程で用いる教科書を除く。)の翻訳及び編集に関する組織的な作業
  (iv)地誌学的、地質学的及び水文学的調査、天文、気象及び地震の日常的な観測、土壌及び植物、魚及び野生生物資源の調査、土壌、大気及び水の日常的な検査、放射能の日常的検査及び監視
  (v)石油鉱物資源の所在地発見及び測定を目的とする探鉱及びその関連活動
  (vi)日常的な統計、例えば、人口調査、生産、分配及び消費に関する統計、市場調査、社会及び文化の統計等の編集を目的とする人間的、社会的、経済的及び文化的現象に関する情報の収集
  (vii)試験、標準化、度量衡及び品質管理、すなわち、認められた方法による材料、生産物、装置及び工程の分析、検査及び試験に関する規則的な通常の作業並びに措置の基準の設定及び維持
  (viii)科学、技術及び管理の情報の利用を助けることを目的とする顧客、機関の他の部局又は個人的利用者に対する助言に関する規則的な通常の作業。この活動は、また、国が農民及び産業のために組織する普及及び助言サービスを含み、企画又は工事事務所の通常の活動は含まない。
  (ix)特許及び免許に関する活動、すなわち、特許及び免許に関し公的機関が実施する科学的、法律的及び行政的性格の組織的な作業
2.2 科学技術者 原側として1つの機関又は部局において、直接に科学技術活動に参加し、その労務提供に対して報酬を得ている者の総数。これには4(a)に定義する科学者及び技師、技術専門家(SET)並びに補助員を含む。
(a)常勤の科学技術者(FT) ほぼ全労働時間を科学技術活動に充てている者
(b)非常勤の科学技術者(PT) 労働時間を科学技術活動とその他の活動とに分けて充てている者
(c)換算常勤者数(FTE) 一定期間を常勤した者1人を表わす測定単位。この単位は、非常勤者数を常勤者数に換算する場合に用いる。人員に関するデータは、通常、特に科学者及び技師並びに技術専門家の場合、換算常勤者数で計算する。
2.3 統計対象年 統計データが関係する連続した12か月の期間。この期間が2の暦年にまたがる場合には、この期間の始期を含む暦年を統計対象年とする。
2.4 年間支出 科学技術活動の実施のため、統計対象年の間に実際に支出される資金
(a)年間内部支出 一定の実施の単位、機関又は部門の内部で科学技術活動の実施のために1統計対象年の間に実際に行われた総支出
(b)年間外部支出 一定の実施の単位、機関又は部門の外部で科学技術活動の実施のために1統計対象年の間に実際に行われた総支出で国の経済領域外で行われた支出を含む。
(c)科学技術活動に関する国内総支出 国の領域内に設置された機関及び設備並びに物理的には国外にある設備、即ち、国外において借用し又は所有する土地又は実験施設並びに国内の機関によって使用される船舶、車輌、航空機及び衛星において1統計対象年の間に科学技術活動のために行われた総支出。当該国内に設置された国際機関が実施する科学技術活動に支出される額は、この総支出から除く。
2.5 科学技術活動を実施する機関 恒久的及び組織的に科学技術活動に従事するあらゆる機関。ここにいう「機関」は、施設、企業、機関、組織、研究所、学協会、団体、部局、省庁、センター、研究室等の法律的、財政的、経済的、社会的又は政治的地位を有する極めて広い範囲の存在を含む。
2.6 実施部門 財源、当該機関が責任を有する当局又は実施される科学技術活動の範疇にかかわらず、主要な機能又は提供されるサービスの点である程度の同質性を示す科学技術活動を実施する相当数の機関(2.5 に定義)からなる国内経済の部門。これらの基準により生産部門、高等教育部門及び一般サービス部門の3つの主要実施部門に区分することができる。
2.7 活動分野 研究開発その他の科学技術活動が実施される経済活動の部門及び科学技術の分野
2.8 活動の範疇 2.1(a)、2.1(b)及び2.1(c)に規定するR&D、S&T教育訓練(STET)、STSのような科学技術活動を含む特定の形の努力。

II データの分類

3 科学技術活動に投入する人的及び財政的資源は、次のとおり分類すべきである。
(a)該当活動の範疇及び亜範疇による分類
 (i)研究及び実験開発
 (ii)一般に第3段階におけるS&T教育訓練(STET)
 (iii)科学技術サービス(2.1(c)(i)から(ix)までに規定するもの。)
(b)実施部門による分類
 (i)生産部門は、次のものを含む。
   国内に所在し、販売のための財及びサービスを生産し及び分配する自国及び外国の産業的及び商業的企業並びに所有の形態(公的及び私的)を問わず、契約により又は契約によらず、直接にこれらの企業に奉仕する機関。生産と密接な関係を持つこれらの企業及び機関のS&T活動は、「生産に統合されたS&T活動」と称する。
   政府機関、非政府機関及び非営利機関であつて、その科学技術活動の大部分又はすべてが間接的にISICの2桁又は3桁分類項目の1つ又はいくつかにまたがる活動の範疇又は分類に奉仕するもの。生産と単に間接的な関係しかもたないこれらの機関の科学技術活動は、「生産に統合されていないS&T活動」と称する。中央集権的経済の国では、国内経済の種々の部門に責任を負う省庁に附属するR&D機関はこの範疇の機関に分類される。
 (ii)高等教育部門は、次のものを含む。
   入学の最低条件として第2段階における教育の終了又は同等の水準の知識の取得の証拠を必要とする第3段階の教育施設並びにこれらの施設に奉仕し、これらの施設によって直接管理され又はこれらの施設と提携している研究所、実験所、病院その他のS&T機関
 (iii)一般サービス部門は、次のものを含む。
   中央、州(連邦制の場合)、県、郡、市、町又は村の当局に属する機関、部局及び施設であって、全体として共同社会に奉仕し、並びに公秩序の管理、維持及び規制、公衆衛生、文化、社会事業、経済成長、福祉及び技術の進歩の促進等の広い範囲のサービスを提供するもの
   共同社会全体に奉仕する国立科学研究技術審議会、科学アカデミー、専門的科学機関その他の機関
   そのS&T活動(R&Dを含む。)が農業、工業、運輸通信、建築、公共事業又は公共の電気、ガス及び水道事業の一般的利益のために実施される機関、すなわち、ISICの1桁分類に規定される活動分野の一般的利益のためにS&T活動を実施する機関
(c)高等教育部門及び一般サービス部門に属する機関が、S&T活動、特にR&Dを実施する科学技術の分野による分類
 (i)自然科学は、次のものを含む。天文学、細菌学、生化学、生物・植物学、化学、コンピューター科学、昆虫学、地質学、地球物理学、数学、気象学、鉱物学、自然地理学、物理学、動物学その他の同類の課目。
 (ii)工学及び技術は、次のものを含む。化学工学、土木工学、電気工学及び機械工学等の本来の工学並びにこれらの細分された専門分野。森林生産物。測地学、工業化学等の応用科学。建築学。食糧生産の科学技術。専門技術又は学際的分野、例えば、システム分析、冶金学、鉱山工学、織物技術その他の同類の課目。
 (iii)医科学は次のものを含む。解剖学、歯科学、医学、看護学、産科学、視力測定法、整骨療法、薬学、物理療法、公衆衛生その他の同類の課目。
 (iv)農学は、次のものを含む。農業経済学、畜産学、水産学、林学、園芸学、獣医学その他の同類の課目。
 (v)人文社会科学は次のものを含む。
   グループI 社会科学は次のものを含む。
   人類学(社会及び文化)及び民族学、人口統計学、経済学、教育訓練、地理学(人文、経済及び社会)、法学、言語学(所定の教科書に基づく言語学習を除く。これは、「古代及び現代の言語及び文学」の下にグループIIに分類されるべきである。)、経営、政治学、心理学、社会学、組織及び方法、各種の社会科学並びにこのグループの課目に関連する学際的、方法論的及び歴史的なS&T活動。自然人類学、自然地理学及び心理生理学は、通常、自然科学に分類される。
   グループII 人文科学は、次のものを含む。
   芸術(芸術史及び芸術評論。芸術的「研究」はいかなる種類のものも除く。)、言語学(古代及び現代の言語及び文学)、哲学(科学技術史を含む。)先史学及び歴史学、並びに考古学、貨幣学、古文書学等の歴史学を補助する学問、宗教学、その他人文科学に関連する分野及び課目及びこのグループの課目に関連する学際的、方法論的、歴史的その他のS&T活動。
(d)「すべての経済活動の国際標準産業分類」(ISIC)に従い、生産部門に属する機関のための経済活動の部門による分類。次の主要な部門の中からISICの1及び選ばれた2の項目での特定の産業のグループが含まれるべきである。
 (i)農業、林業、狩猟及び漁業(ISIC 1)
 (ii)抽出業(ISIC 2)
 (iii)製造業(ISIC 3)
 (iv)建設業(ISIC 5)
 (v)運輸、倉庫及び通信業(ISIC 7)
 (vi)その他(ISIC 4、6、8及び9の一部)
4 S&T機関の職員も、また、次のとおり分類すべきである。
(a)従事する職務及び資格による分類
  (aa)科学者及び技師は、科学又は技術訓練を受けS&T活動の専門的業務に従事する者、S&T活動の実施を指揮する行政官その他の高級職員という資格で働いている者を含む。
  そのような職員は、次のいずれかに該当する場合には、この範疇に分類すべきである。
  (i)学位取得に至る第3段階の教育を終了した者、又は
  (ii)学位取得には至らないが国内的に専門的職業に就くための資格が認められている第3段階の非大学教育を受けた者、又は
  (iii)前記の2つの形態の訓練の一に相当すると国内的に認められた訓練を受け、又は専門的経験を有する者(例えば、専門的協会の会員又は専門的資格若しくは免許の取得者)
 (bb)技術専門家は、その能力においてS&T活動に参加している者で次の基準に従って知識又は技術の部門を問わず職業的又は技術的訓練を受けた者で構成される。
  (i)第2段階教育の第2課程を終了していること。これらの学習の後には、多くの場合、1年又は2年の終了証を伴う又は伴わない専門的な技術学習が行われる。
  (ii)第2段階教育の第1課程の終了後、3年又は4年の職業教育又は技術教育(終了証を伴うものか否かを問わない。)を終了していること。
  (iii)上記(i)又は(ii)に定義する教育水準に相当すると国内的に認められている実修(又は必要な職業的経験)を受けていること。
 (cc)補助員は、その業務がS&T活動の実施に直接関与している者、例えば、事務、秘書及び行政職員、各種の職業に従事する熟練、半熟練及び未熟練労働者並びにその他すべての補助員を含む。
(b)aa及びbbの範疇に属する者を分類するためのISCED(国際教育標準分類)に従つて決定される教育の段階及び学習の領域による分類
  (i)教育の段階による分類
  (aa)大学形態の第3段階の学位(ISCED 6-7)を有する者
  (bb)非大学形態の第3段階の終了証(ISCED 5)を有する者
  (cc)第2段階第2課程における終了証(ISCED 3)を有する者
  (dd)その地の資格(ISCED 1、2、9)
 (ii)学習の領域による分類
   科学技術の領域は、ISCEDにおける学習の領域と次のように相互に関連をもつべきである。
      

科学技術の領域

ISCEDにおける主要な研究領域

自然科学

42 自然科学プログラム
46 数学及びコンピューター科学プログラム

工学及び技術

52 手工業、技能及び工業プログラム
   (いずれにも分類できないもの)
54 工学プログラム
58 建築及び都市計画プログラム
70 運輸及び通信プログラム

医科学

50 医学及び保健プログラム

農学

62 農林水産プログラム

人文社会学

14 教員養成及び教育学プログラム
18 美術及び応用芸術プログラム
22 人文科学プログラム
26 宗教及び神学プログラム
30 社会科学及び行動科学プログラム
34 商業及び実業管理プログラム
38 法律及び法理論プログラム
38 法律及び法理論プログラム
66 家政学(家庭科)プログラム
84 マスコミュニケーション及びドキュメンテーションプログラム

その他の領域

01 一般プログラム
08 識字プログラム
78 サービス業プログラム
89 その他のプログラム

  
(c)ISCO(ILO-1968)に従った職業による分類
(d)(aa)の範疇に属する者の(FT及びPTにおける)数による分類
(e)(aa)及び(bb)の範疇に属する者の国籍による分類(単に自国民と他国民とを区別するのみ。)
(f)(aa)、(bb)及び(cc)の範疇に属する者の性別による分類
(g)(aa)及び(bb)の範疇に属する者の年齢による分類であって次の年齢群に区別する。(aa)の範疇については、29歳以下、30歳~39歳、40歳~49歳、50歳~59歳、60歳以上。(bb)の範疇については、29歳以下、30歳~39歳、40歳~49歳、50歳~59歳、60歳以上。
5 国内のS&Tの人的資源の各形態、すなわち、科学者及び技師並びに技術専門家は、次の2つの基準に従って評価すべきである。1の基準のみを用いる場合には、(b)の基準が望ましい。
(a)SETの総数は、経済活動(生産、科学技術活動、職業、無報酬雇用等)、年齢、性別、国籍その他の属性にかかわりなく(aa)及び(bb)の範疇に属する者に必要な資格を有する者の総数より成る。
(b)経済活動を行うSETの数は、一定の時期に経済のある部門に従事し又は積極的に職を求めている者で、(aa)及び(bb)の範疇に属する者に必要な資格を有する者の数より成る。
6 S&T活動に関する内部経費は、次のとおり分類すべきである。
(a)経費の支出による分類
 (i)経常的内部経費は、資金の出所にかかわらず、実施単位.機関及び部門のS&T活動の実施のため統計対象年間に行われるすべての支出より成る。この支出には、人件費、軽微の備品費、消耗品費その他の経常的経費が含まれる。すなわち、
   人件費は、現金払い又は現物支給による賃金及び給料並びにすべての関連人件費(賞与、有給休暇、年金基金及び強制社会保障制度への拠金、所得税などの「特別給与」を含む。)より成る。(aa)の範疇に属する者の経費は、可能な限り他の範疇に属する者の経費と区別して表示すべきである。
   その他の経常的経費は、事務所及び研究所用品の購入、資材の購入、新聞雑誌の定期購読、書籍の購入、建物の借用及び維持、コンピューター・サービス、旅行及び郵便に係る経費のような他のすべての経常的内部経費より成る。
 (ii)資本的内部経費は、統計対象年においてS&T活動の実施のために支出された主要な設備その他の資本的経費に関するすべての経費を含む。減価償却のための準備金は、現実のものであれ、計算上のものであれ、支出に関する国際統計から除外すべきである。それにもかかわらず、その情報を提供しうる国が望む場合には、これを含めることができる。この経費には、次のようなものが含まれる。
   主要な設備に関する経費は、主要な設備、機器及び備品の購入費を含む。完全な図書館、大量の図書、定期刊行物、標本等の購入費に関する支出は、特に新設の機関に設備を投入する場合は、この項目に含めるべきである。但し、それ以外の場合であっても、この形態の購入費は、資本的経費に含まれるべきである。
   その他の資本的経費は、土地(建物又は試験のためのもの)及び動物(単価又は購入量により、このカテゴリーの経費に含めるのが適当な場合)の購入費並びに新築の建物又は建物及び附帯設備の大規模な改築、増築及び修理、土地改良作業その他の経費を含む。
(b)財源による分類
 (i)政府資金 この範疇は、中央(連邦)国家又は地方当局により通常予算又は特別予算若しくは予算外財源から支出される資金を含むべきである。また、国が設置し、すべての財政的負担を行う公的仲介機関から受領する資金もこの範疇に含めるべきである。
 (ii)生産企業資金及び特別資金 この範疇は、生産部門において生産施設又は企業として分類される機関がS&T活動に割り当てる資金及び中央集権的経済国における「技術及び経済発展基金」並びにその他の同様の基金から受領する資金の総額を含むべきである。
 (iii)外国資金 この範疇は、国内のS&T活動のために外国から受領する資金を含むべきであり、国際機関、外国の政府又は機関から受領する資金も含まれる。
 (iv)その他の資金 この範疇は、前記のいずれの項目にも分類することのできない資金、例えば、高等教育部門の施設の「自己資金」、寄付金及び贈与を含むべきである。
(c)R&D経費のための範疇による分類
 (i)基礎研究
 (ii)応用研究
 (iii)実験開発
7 R&D及びSTSにおける国内活動は、公的資金及び可能な場合は他のすべての財源から賄われる資金調達(事前の)又は支出(事後の)を基礎として、次に掲げる主要な経済社会的な目的又は目標によって分類すべきである。
 (i)地球、海洋及び大気の調査及び評価
 (ii)宇宙空間の非軍事的利用
 (iii)農業、林業及び漁業の開発
 (iv)工業開発の促進
 (v)エネルギーの生産、保存及び配分
 (vi)運輸及び通信の開発
 (vii)教育サービスの開発
 (viii)保健サービスの開発
 (ix)社会開発及び社会・経済サービス
 (x)環境保全
 (xi)知識の一般的進歩
 (xii)その他の目的
 (xiii)防衛
8 基礎統計単位 可能ならば、S&T活動の実施を測定するために選ばれる基礎統計単位は、事業所形態単位、例えば、事業所、研究所、政府の各部局及び研究所又は大学の学部とすべきである。

III 統計資料の表示

9 この勧告にいう統計は、この勧告の定める定義及び分類に従つて表示されるべきである。

詳細度
10 加盟国の統計の制度の発達段階が同一でないことから、資料は、加盟国において収集可能な方法により詳細度又は複雑度を2つの段階で表示するものとする。
(a)第1詳細度  国際的比較を明確にするうえで不可欠であってでき得れば全加盟国によって収集されるべき量的に限定された基礎的情報
(b)第2詳細度  全加盟国が提供できるものではないが、全体として自国の統計制度の改善及び拡大を望む国にとつての指針となりうる、より完全な統計資料

定期性
11 基礎的な国際的統計は2年毎に改訂されるべきである。加盟国は、それが可能の場合自国のR&D努力の変化を把握し得るように、いくつかの資料を毎年改訂することが望ましい。SETの総数及び経済活動を行うSETの数は、10年間に2回作成されるべきである。

S&T統計の拡大の段階
12 国際的なS&T統計の作成は、連続する2つの段階で発展させるべきである。第1段階から第2段階への移行は、国内的及び国際的な経験の進捗状況に基づき、徐々に達成されるべきである。第1段階は、総会がこの勧告を採択した時から少なくとも5年以上の期間とする。第2段階は、実験的な性質のものとみなされるべきである。
(a)第1段階 この段階の期間内すなわちこの勧告の採択直後からの数年間は、国際的な統計は、すべての実施部門におけるR&D活動並びにSETの保有及び経済的に活動を行っているSETのみを網羅するものとする。もし、最後の2つのうち片方のみを収集するのであれば、後者が望ましい。
(b)第2段階 第2段階に移行する前に、加盟国は、十分に多くの加盟国が、国際的な経験及びそれぞれの国における実績から考えて、統計活動をこの段階に含まれるSTS及び、一般的な第3段階における科学技術教育・訓練(STET)に拡大しうるかを、ユネスコ事務局を通して確かめることが適当である。
  この段階の期間内では、国際的統計は、R&D活動を実施している機関で行われたSTS及びSTETまで拡大されるべきであり、各国の能力に応じて統合された形でまたはSTET別及びSTSの形態別に表示されるべきである。まず、生産部門の統合された単位を除くすべての実施部門のSTS及びSTETの評価が行われるべきである。次いで、STS及びSTETに関する国際的統計は、生産部門の統合された単位及び、R&Dは行っていないが、制度化され、組織された方法によりSTS及びSTETを提供するすべての実施部門の機関に徐々に拡大されるべきである。それらの統計は、STET別及びSTSの形態別に表示されるべきである。
13 科学技術統計により供給される情報は、次の定期性及び詳細度により表示されるべきである。

第1段階

定期性
(2年ごと以外)

詳細度

表示


10年間に2回
10年間に2回


1
2

(a)保有し及び経済的に活動しているSET
 1 性別、国籍別及び職業別SET数
 2 資格の分野別S&E数



毎年

毎年




毎年





毎年
毎年



1
2
1
2
2
2

1
2
2
2
2

1
2
2

(b)R&D活動
  (i)R&D職員
   1 範疇別(S&E、T、補助者)職員
   2 資格の分野別S&E
 3 実施部門別職員
   4 資格の分野別並びに実施部門別及び活動分野別S&E(FT及びPT)
   5 範疇別及び国籍別SET
   6 性別及び年齢別SET
  (ii)R&Dに関する部内経費
   1 実施部門別総経費
   2 実施部門別総経費及び経常経費
   3 詳細な実施部門別の経常経費及び資本経費
   4 R&Dの形態別、実施部門別及び活動分野別経常経費
   5 実施部門別のS&E職員に関する経常経費
  (iii)部内のR&D経費の調達
   1 資金源別総経費
   2 資金源別及び実施部門別総経費及び経常経費
   3 資金源別、実施部門及び活動分野別総経費




2
2

(c)R&Dに関する他の分類
  (i)主要な社会・経済的目標
  1 公的資金を財源とする、主要な社会・経済的目標別の資金(見積りの)又は経費(支出済の)
   2 すべての財源からの、主要な社会・経済的目標別の資金(見積りの)又は経費(支出済の)

 


第2段階

定期性
(2年ごと以外)

詳細度

表示




1
1
2
2
2
2

1
2
2
2
2

1
2
2

(a)R&D機関のSTS(生産部門の統合されたR&D単位を除く)
  (i)STS職員
   1 範疇別職員(S&E、T、補助員)
   2 実施部門別職員
   3 実施部門別及び活動分野別職員
   4 STSの形態別職員
   5 資格の分野別並びに実施部門別及び活動分野別S&E(FT及びPT)
   6 性別、年齢別、国籍別SET
  (ii)STSに関する部内経費
   1 実施部門別総経費
   2 実施部門別経常経費及び資本経費
   3 実施部門別及びSTSの形態別総経費及び経常経費
   4 STSの形態別、実施部門別及び活動分野別経常経費
   5 詳細な実施部門別経常経費及び資本経費
  (iii)STSに関する部内経費の調達
   1 財源別総経費
   2 財源別及び実施部門別総経費及び経常経費
   3 財源別、実施部門別及び活動分野別総経費







2

(b) STSに関する他の分類
  (i) 主な社会・経済的目標
    1 公的資金を財源とする、主要な社会・経済的目標別の資金(見積り)又は経費(支出済)
    2 すべての財源からの、主要な社会・経済的目標別の資金(見積り)又は経費(支出済)


IV 科学技術統計の長期的発展

14 科学技術統計の漸進的発展によって、到達すべき目標を設定するために、加盟国は、既に行いつつあるこの分野の統計の現在の問題についてより理解を深め、その解決を助けるようないくつかの統計作業を促進すべきである。加盟国の努力は、次の事項に集中されるべきである。これらは何ら優先順位を設定するものではない。
(a)科学技術統計と経済・社会統計との間の及び特に物的生産体系を含む国内会計制度との調整の開発
(b)R&Dに充てられる財源の資金調達及び経費支出(見積り及び支出後の分析)における、国内の主な社会・経済的目標別の分類の開発
(c)S&T活動、特にR&Dの「産物」又は「成果」の指標
(d)技術移転過程の統計的及び会計的側面の指標
(e)S&T活動、特にR&Dに関する経費支出についての適当なデフレーターとして役立つ特別の価格指数と交換率の準備
(f)R&DのためのS&Tの備品及び設備の計測と分類
(g)S&T活動のための経費に関する財政制度の効果の研究
(h)業務及び職業的地位によるS&T職員の分類

 以上は、国際連合教育科学文化機関の総会が、パリで開催されて1978年11月28日に閉会を宣言されたその第20回会期において、正当に採択した勧告の真正な本文である。

 以上の証拠として、我々は、署名した。

 総会議長
 ナポレオン・ルブラン
 事務局長
 アマドゥ=マハタール・ムボウ

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国際統括官付