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日本ユネスコ国内委員会

歴史的都市景観に関する勧告

    序文
  国際連合教育科学文化機関(以下「ユネスコ」という。)の総会は、
  歴史的都市地区は、最も豊かで多様性に富んだ形で我々の共通の文化遺産を表現したものであり、世代ごとに形成され、空間及び時間を通じて人類の努力や願望についての重要な証言を構成していることを考慮し、
  また、都市遺産が、人類にとって社会的、文化的及び経済的な資産であり、これまで相次いだ文化及び現存する文化によって創造されてきた価値の歴史的な積み重なり並びに伝統及び経験の蓄積であって、多様性の中でそのようなものとして認められているものによって定義されるものであることを考慮し、
  さらに、人類史上例を見ない規模で都市化が進み、これが、地方の、国の、地域の及び国際的なレベルで活用されるべき社会上及び経済上の変化並びに成長を全世界で引き起こしていることを考慮し、
  人が生活する都市の動的な性格を認識し、
  しかしながら、急速に、かつ、しばしば無統制に行われる開発が、都市地域及びその背景を変貌させており、全世界において地域社会の価値への深刻な影響を伴って都市遺産の細分化及び悪化を引き起こし得ることに留意し、
  したがって、自然遺産及び文化遺産の保護を支援するために、歴史的都市地区の保全、管理及び計画に係る戦略を現代建築、インフラ開発その他の地域社会の開発プロセス及び都市計画に統合することを重視する必要があり、そのため、景観に依拠した取組方法が都市の同一性の維持に寄与することを考慮し、
  また、持続可能な開発の原則は、現存する資源の保全、都市遺産の積極的な保護及び持続可能な管理が開発の必須条件であるとしていることを考慮し、
  歴史的地区の保全に関する一連の規範的文書(条約、勧告及び宣言を含む。)(注1)が存在し、それらは全て引き続き価値を有していることを想起し、
  しかしながら、人口移動、世界的市場の自由化及び分散化に加え、大衆観光、遺産の商業的利用及び気候変動の下で、条件が変化し、都市は、歴史的地区に関するユネスコの直近の勧告である千九百七十六年の勧告(歴史的地区の保全及び現代的役割に関する勧告)の採択の時には存在していなかった開発の圧力及び課題を受けていることに留意し、
  さらに、文化及び遺産の概念並びにそれらの管理に関する取組方法は、国内的な施策と国際的な会議(注2)が相まった行動を通じて進化してきており、こうした施策や会議は世界中で政策及び実行を導く上で有益であったことに留意し、
  現行の国際文書に定められている基準及び原則を補完し、及び拡大することを希望し、
  総会の第三十六回会期の議事日程の議題八の一として掲載された、都市遺産の保全の取組方法としての歴史的都市景観に関する諸提案を受け、
  総会の第三十五回会期において、この問題が加盟国への勧告を通じて対処されるべきことを決定し、
  1 この勧告を二千十一年十一月十日に採択する。
  2 加盟国に対し、自らの管轄権の下にある領域において、この勧告に定める原則及び規範を適用することを目的として、適当な立法制度上の枠組み及び措置をとることを勧告する。
  3 また、加盟国に対し、この勧告について、地方公共団体、国家機関及び地域機関並びに歴史的都市地区及び更に広範な地理的背景の保全、保存及び管理に関係する機関、組織及び団体の注意を喚起することを勧告する。
    序
1 我々の時代は、歴史上最大の人の移動に直面している。現在、世界の人口の半数以上が都市地域において生活している。都市地域は、成長の原動力として、並びに技術革新及び創造性の中心として、その重要性を増しつつある。都市地域は、雇用の機会及び教育を提供するとともに、発展に対する人々のニーズ及び願望に対応している。
2 しかしながら、急速な、かつ、規制されていない都市化は、しばしば社会的及び空間的な崩壊をもたらすとともに、都市環境及びその周辺の農村地域の質の急激な悪化をもたらす。このことは、特に、建築物の過度の密集、標準化され単調な建築物、公共空間及び施設の喪失、不十分なインフラ、弱体化をもたらす貧困、社会的孤立並びに気候に関係する災害の危険性の増加に起因し得るものである。
3 都市遺産は、その有形及び無形の構成要素と相まって、都市地域における生活の快適さを増進する主要な資源を構成するとともに、変化する地球環境における経済開発及び社会的一体性を促進する。人類の未来は、効果的な計画及び資源の管理にかかっていることから、都市遺産の保全は、都市の成長と生活の質との間の持続可能な均衡を達成するための戦略となっている。
4 過去半世紀の間において、都市遺産の保全は、世界的に見て公共政策の重要な分野となった。これは、共通の価値を保全し、歴史的遺産を活用する必要性に対応するものである。もっとも、建造物を重視することから都市の価値の保全における社会的、文化的及び経済的な作用の重要性をより広く認識することへの転換は、このような構想を具体化するために現行の政策を適応させるとともに新たな手段を創造する原動力と相まって行われるべきである。
5 この勧告は、人類の環境の質を保全し、かつ、強化することを目的とした公共及び民間部門の活動を支援するために、全般的な持続可能な開発というより広範な目標の中で、都市遺産の保全のための戦略をよりよく統合し、及び位置付ける必要性に応えるものである。これは、歴史的地区の物理的形状の相互関係、空間的構成及び接続、これらの地区の自然の特徴及び背景並びに社会的、文化的及び経済的な価値を考慮することによって、より広範な都市の文脈において歴史的地区を特定し、保全し、及び管理するための景観に依拠した取組方法を提唱するものである。
6 このような取組方法は、都市の開発過程における様々な利害関係者、すなわち、地方の、国の、地域の及び国際的なレベルで関与する公共及び民間部門の関係者による政策、統治及び管理に関する要請に応えるものである。
7 この勧告は、遺産の保全に関する従前の四つのユネスコの勧告を踏まえており、これらの勧告が保全の歴史及び慣行に関して示している概念及び原則の重要性及び妥当性を認めるものである。さらに、保全に関する既存の条約及び宣言は、文化及び自然遺産の多くの特性に焦点を当てるとともに、この勧告のための基礎を構成している。
     【1】 定義
8 歴史的都市景観とは、より広範な都市の状況やその地理的背景を含有するために、「歴史的中心」又は「群」の概念を越えて拡大し、文化的な及び自然的な価値及び特性の歴史的な積み重なりの結果としての都市地域であると理解される。
9 このより広範な文脈には、特に、遺跡の地勢、地形学上、水文学上及び自然の特徴、歴史的及び現代的な建築環境、地上及び地下のインフラ、空地及び庭園、土地利用の形態及び空間的構成、知覚及び視覚的関係並びに都市構造を構成するその他のあらゆる要素が含まれる。さらに、この文脈には、社会的及び文化的慣行及び価値、経済的な作用並びに多様性及び同一性に関する遺産の無形的側面が含まれる。
10 この定義は、全般的な持続可能な開発の枠組みの中で、歴史的都市景観を特定し、評価し、保全し、及び管理するための、包括的で統合された取組方法の基本を提供するものである。
11 歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、都市空間の動的な性質を認識し、社会的かつ機能的な多様性を促進しつつも、人間環境の質を保全すること及び都市空間の生産的かつ持続可能な活用を強化することを目的とする。この取組方法は、都市遺産の保全という目的を社会経済開発という目的に統合するものである。この取組方法は、都市と自然環境との間並びに現在及び未来の世代のニーズと過去の遺産との間の均衡のとれた持続可能な関係の上に成り立っている。
12 歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、文化の多様性及び創造性を人間、社会及び経済開発にとって主要な資産としてとらえ、物理的及び社会的変容を管理するための手段を提供し、さらに、現代における関与が歴史的背景において調和的な方法で遺産に統合され、かつ、地域的背景を考慮に入れることを確保するための手段を提供する。
13 歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、国内及び国際社会の価値を尊重しつつ、地域社会の伝統及び認識から着想を得ている。
     【2】 歴史的都市景観の課題及び機会
14 既存のユネスコの諸勧告は、現代社会において歴史的地区が果たしている重要な役割を認識している。また、これらの勧告は、歴史的都市地区の保全にとって障害となる多数の特定の脅威を認識し、それらの課題に対処する一般原則、政策及び指針を提供する。
15 歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、政策策定者や管理者が新たな課題及び機会に対し、より効果的に対処することを可能にしつつ、都市遺産保全の理論及び慣行が、ここ数十年間で著しく発展したという事実を反映している。歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、地域社会が、自らの歴史、集団的な記憶及び環境に関連した特性及び価値を保持しつつ、発展し、かつ、適応するための努力を支える。
16 過去数十年の間に、世界の都市人口の急増、開発及び経済情勢の進展の規模の大きさ及び速さによって、都市地域及びその歴史的地区は、世界の多くの地域において、経済成長の中心かつ原動力となり、文化的及び社会的生活において新たな役割を果たすようになった。その結果、これらの地域及び地区は、次のような一連の新たな圧力の下に置かれることとなった。
都市化及びグローバリゼーション
17 都市の成長は、多くの歴史的都市地区の本質を変化させた。これが地球的規模で進展すれば、地域社会によって都市地域及びその背景に付与された価値並びに住民及び利用者の認識及び現実に重大な影響を及ぼす。都市化は、都市地域の生活の質及び伝統的に有している特性を向上させ得る経済的、社会的及び文化的な機会を提供する一方で、都市の密度及び成長が管理不能な形で変化すれば、空間の意義、都市構造の一体性及び地域社会の同一性を弱体化させる可能性がある。歴史的都市地区の中には、その機能性、伝統的役割及び人口を失いつつあるものもある。歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、そのような影響の管理及び軽減に寄与し得る。
開発
18 多くの経済的な作用は、都市の貧困を軽減するための並びに社会的及び人的開発を促進するための方法及び手段を提供する。情報技術及び持続可能な計画、設計及び建設上の実行といった技術革新がより広範に利用可能となれば、都市地域が改善され、もって生活の質が高まる。歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法を通じて適切に管理される場合には、サービス業及び観光産業といった新たな機能は、経済的及び社会的な多様性並びに住居機能を確保しつつ、地域社会の福祉並びに歴史的都市地区及びそれらの文化遺産の保全に貢献する経済的に重要な施策となる。これらの機会を利用することができなければ、都市の持続可能性及び生活の快適性が損なわれることとなる。このことは、不適切かつ不適当な方法でこれらの機会を利用することが、遺産の破壊及び将来世代に向けた取り返しの付かない損失を招くのと同様である。
環境
19 人間の居住は、気候及び環境の変動(災害によってもたらされるものを含む。)に絶えず適応してきた。しかしながら、現在の変化の激しさ及び速度は、我々の複雑な都市環境を脅かしている。特に、水やエネルギー消費のような環境に対する関心から、持続可能性及び都市生活の質の強化を目的とする、自然環境に敏感な政策及び実行に基づいた都市生活のための取組方法及び新たなモデルが求められる。ただし、これらの施策の多くは、自然遺産及び文化遺産を持続的開発のための資源として統合すべきである。
20 歴史的都市地区への変化は、突然の災害や武力紛争によっても生ずる。こうした変化自体は長続きするものではないかもしれないが、その影響は永続的なものとなり得る。歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、かかる影響の管理及び軽減に寄与することができる。
     【3】 政策
21 現代の都市保全政策は、既存の国際的な勧告及び宣言に反映されているように、歴史的都市地区を保全するための基礎を成している。しかしながら、現在及び未来の挑戦は、新たな世代の公共政策の定義及び実施を必要とする。これらの政策は、都市環境における文化的及び自然的価値の歴史的な積み重なり及び均衡を特定し、かつ、保護するものである。
22 都市遺産の保全は、一般的な政策の策定及び慣行並びに都市に関するより広範な背景に関する政策の策定及び慣行に統合されるべきである。政策は、短期及び長期にわたり保全及び持続可能性を両立させるための仕組みを提供しなければならない。歴史的都市構造に現代における関与を調和的に統合させることに特に重点が置かれるべきである。とりわけ、様々な利害関係者が負う責務は次のとおりである。
  (a) 加盟国は、都市遺産保全戦略を、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法に従って、国家開発の政策及び課題に組み込むべきである。この枠組みの中で、地方公共団体は、景観及び遺産の価値並びにそれらに付随する特徴を含む地区の価値を考慮し、都市開発計画を準備するべきである。
  (b) 公共及び民間部門の利害関係者は、特に、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法の効果的な適用を確保するための連携を通じて協力するべきである。
  (c) 持続可能な開発の過程を担当する国際機関は、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法を、同機関の戦略、計画及び運用に組み入れるべきである。
  (d) 各国の及び国際的な非政府組織は、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法を適用するための手段及び最良の実例の調整及び普及に参画すべきである。
23 政府のあらゆるレベル(地方、地域又は国若しくは連邦のいずれかを問わない。)は、自らの責務を認識し、都市遺産保全政策の定義、作成、実施及び評価に貢献しなくてはならない。これらの政策は、全ての利害関係者が参加する取組方法に基づくべきであり、かつ、組織上及び分野別の両方の観点から調整されるべきである。
     【4】 手段
24 歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法は、地方の文脈に適応した、伝統的かつ革新的な一定の手段を適用することを意味する。様々な利害関係者を巻き込む進展の一環として発展させることが必要とされるこれらの手段の中には、次のものが含まれる。
  (a) 市民参加による手段は、様々な利害関係者を横断的に関与させ、これらの利害関係者が都市地域における主要な価値を特定し、自らの多様性を反映した物の見方を構築し、目標を設定し、自らの遺産を保全し持続可能な開発を促進するための活動に同意することを可能とするものである。これらの手段は、都市の統治の力学の不可欠な部分を構成するものであり、歴史、伝統、価値、ニーズ及び要望について地域社会から学ぶこと並びに対立する利害を抱える集団の間の仲裁及び交渉を促進することにより、文化間の対話を促進すべきである。
  (b) 知識及び計画といった手段は、都市遺産の特性の一体性及び真正性の保護を支援すべきである。それらはまた、文化的意義及び多様性を認識することを可能とするとともに、生活の質を改善し都市空間に高い価値を与えるために変化をモニターし、かつ、管理することを促進すべきである。これらの手段には、文化的及び自然的特徴の文書化及び図示が含まれる。遺産、社会及び環境への影響の評価は、持続可能な開発の文脈において意思決定過程を支援し促進するために行われるべきである。
  (c) 規制制度は、地域の事情を反映しなければならず、かつ、社会的、環境的及び文化的価値を含む都市遺跡の有形及び無形の構成要素の保全及び管理を目的とした、法律上及び規則上の措置を含むことができる。伝統的及び慣習的制度は、必要に応じて認められ、及び強化されるべきである。
  (d) 財政的な手段は、能力を強化し、かつ、伝統に根ざし収入を生み出す革新的な開発を支援することを目指すべきである。公的資金及び国際的な組織から来る資金に加え、財政的な手段は、地方レベルの民間投資を優遇するために効果的に使用されるべきである。地方企業を支援するマイクロ・クレジット及びその他の柔軟性のある資金調達並びに様々な提携モデルは、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法が財政的に持続可能であるための決定的要因でもある。
     【5】 能力の開発、研究並びに情報及び通信
25 歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法及びその実施への理解を促進するため、能力の開発には主要な利害関係者、すなわち、地域社会、意思決定者並びに専門家及び管理者を参加させるべきである。地方の戦略及び目的、行動の枠組み及び資金の調達方法を定め、及びこれを精緻なものとするため、この勧告を地域の文脈に適応させて実施することを目的とする効果的な能力の開発は、これらの主な利害関係者の積極的な協力にかかっている。
26 価値を特定し、地域社会に対する意義を理解し、及び包括的な方法でこうした価値や意義を訪問者に提示するため、研究は、都市での居住の複雑な積み重なりを対象とすべきである。学術的機関、大学及び他の研究所は、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法の側面について科学的に研究すること並びに地方の、国の、地域の及び国際的なレベルで協力することが奨励される。都市地域の状態と進化を記録し、変更のための提案の評価を促進し、保護及び管理に関する技術及び手順を改善することが不可欠である。
27 都市地域の複雑な積み重なり及びそれらの構成要素を記録し、理解し、及び紹介するため、情報通信技術の利用を奨励することが適当である。データの収集及び分析は、都市地域を知る上で不可欠な一部を成す。社会のあらゆる部門と意思疎通を図る上で、若年層及び少数派に働きかけを行い彼らの参加を促進することが特に重要である。
     【6】 国際協力
28 加盟国並びに国際的な政府間機関及び非政府機関は、知識の共有及び能力の開発の協力網を強化するため、世界各地の最良の実例及び教訓を普及させることによって、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法の実施に対する国民の理解及び参加を促進すべきである。
29 加盟国は、地方公共団体の間で行われる多数国間にわたる協力を促進すべきである。
30 加盟国の国際開発協力機関、非政府機関及び財団は、歴史的都市景観に焦点を当てた取組方法を考慮した方法論を開発し、かかる方法論を都市地域に関する支援プログラム及び事業と調和させることが奨励される。
  注1 特に、千九百七十二年の世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、二千五年の文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約、千九百六十二年の風光の美及び特性の保護に関する勧告、千九百六十八年の公的又は私的の工事によって危険にさらされる文化財の保護に関する勧告、千九百七十二年の文化遺産及び自然遺産の国内的保護に関する勧告、千九百七十六年の歴史的地区の保全及び現代的役割に関する勧告、千九百六十四年の記念建造物及び遺跡の保全と修復のための記念物及び遺跡に関する国際会議(以下「イコモス」という。)の国際憲章(ヴェニス憲章)、千九百八十二年の歴史的庭園の保護に関するイコモスの憲章(フィレンツェ憲章)、千九百八十七年の歴史的な市街地及び地区の保存に関するイコモスの憲章(ワシントン憲章)、二千五年の遺産構造、空間及び区域の背景の保存に関するイコモスの西安宣言並びに歴史的都市景観の保護に係る二千五年の世界遺産及び現代建築に関するウィーン覚書。
  注2 特に、千九百八十二年にメキシコシティで開催された文化政策に関する世界大会、千九百九十四年の真正性に関する奈良会議、千九百九十五年の文化と開発に関する世界委員会、千九百九十六年にイスタンブールで開催され、アジェンダ二十一を採択した国際連合の第二回人間居住会議、千九百九十八年にストックホルムで開催された開発のための文化政策に関するユネスコの政府間会議、文化及び自然遺産への投資に係る千九百九十八年の持続可能な開発における文化に関する世界銀行及びユネスコの合同会議、二千五年にウィーンで開催された世界遺産及び現代建築に関する国際会議、二千五年に西安で開催された記念物の設置及び遺跡に関するイコモスの総会並びに二千八年の場所の精神に関するイコモスの総会。

      添付
     用語の定義
歴史的地区又は都市(千九百七十六年の勧告より)
    「歴史的な建築上(土地固有のものを含む。)の地区」とは、建造物、構造物及び開放空間の群(考古学的及び古生物学的遺跡を含む。)であって、都市環境又は田園都市環境の中で人間の居住地を形成し、考古学的、建築的、先史的、歴史的、美的又は社会文化的見地から一体性及び価値が認められるものをいう。これらの「地区」は、性質は大きく異なるものの、特に、先史遺跡、歴史的都市、旧市街地、村落及び小部落並びに均質な記念工作物の群であって原則として改変されることなく注意深く保存されるものに区別することが可能である。
歴史的都市地区(記念物及び遺跡に関する国際会議(以下「イコモス」という。)のワシントン憲章より)
    歴史的都市地区には、大小を問わず、自然的及び人工的な環境と共に、都市、市街地及び歴史的な中心地又は街区が含まれる。これらの地区は、史料としての役割にとどまらず、伝統的な都市文化の価値を体現する。
都市遺産(市街地への積極的な統合を通じた歴史的都市地区の持続可能な開発に関する欧州連合の研究報告第十六号(二千四年)より)
    都市遺産には、主に次の3つの種類が含まれる。
    (1) 特別な文化的価値を有する記念碑的遺産
    (2) 遺産の要素として特別ではないが、比較的豊富に存在し、整合性のあるもの
    (3) 新たな都市の要素とされるもの(例えば、建設された都市の枠組み、開放空間(通り、公共空間)、都市のインフラ(物質的なネットワーク及び設備)など)
都市の保全
    都市の保全は、単一の建造物の保全に限定されない。都市の保全において、建築は、全体的な都市の背景の一つの要素であって、複雑かつ多角的な規律を生み出すものとしてとらえられる。この定義により、都市の保全は、都市計画の中心に位置付けられる。
造られた環境
    造られた環境とは、人の活動を支えるために設計された、(自然のものではなく)人工的な資源及びインフラであって、建造物、道路、公園その他の設備をいう。
景観に焦点を当てた取組方法(国際自然保護基金(IUCN)、世界自然保護基金(WWF)による定義)
    景観に焦点を当てた取組方法とは、景観レベルの保全を決定することを可能とする枠組みをいう。景観に焦点を当てた取組方法は、個別具体的な関与(例えば、新たな道路の建設、植林など)の妥当性に関する決定をし、及び景観全体を通じた活動の計画、交渉及び実施を促進することに役立つ。
歴史的都市景観
    (勧告パラ九の定義を参照。)
背景(イコモスの西安宣言より)
    遺産である構造物、遺跡又は地区の背景とは、近接し、又は拡張された環境であって、その意義及び顕著な性質の一部を成し、又はそれに寄与するものをいう。
文化的意義(イコモスのオーストラリア・ブラ憲章より)
    文化的意義とは、審美的、歴史的、科学的若しくは社会的又は過去、現在若しくは将来の世代のための精神的な価値をいう。文化的意義は、場所そのもの、その構造、背景、使用、連携、意義、記録、関係する場所及び関係する物体において体現される。場所は、異なる個人又は集団のための幅広い価値を有する。

お問合せ先

国際統括官付

-- 登録:平成26年10月 --