第4回ESD特別分科会 議事録

1. 日時

平成27年6月16日(火曜日)10時00分~12時00分

2. 場所

文部科学省3F3会議室 (3階)

3. 出席者

(委員)
見上一幸(座長)、秋永名美、阿部宏史、岡本弥彦、清原洋一、後藤顕一、重政子、高橋香代、田村学、手島利夫、林原行雄 〔敬称略〕

(事務局)
山脇良雄日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、籾井圭子日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4. 議事

【見上座長】 
 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、まだお見えでない委員もおられますが、間もなくお着きになると思いますので、始めさせていただきたいと思います。本日は、御多忙の中、ありがとうございます。第4回のESD特別分科会となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の配付資料につきまして、事務局から確認をお願いしたします。

【野田国際統括官補佐】 
 配付資料としては二つございます。資料1が第3回特別分科会議事録、資料2がESDの更なる推進に向けて(ESD特別分科会報告書素案)でございます。そのほか参考資料としまして、計七点、参考資料1が、ESD特別分科会設置要綱、参考資料2が、特別分科会の委員名簿でございます。参考資料3が、ESDのさらなる推進に向けた取組(検討項目案)、参考資料4が、同検討項目案の現状と課題、参考資料5が、ESD特別分科会の今後のスケジュール、参考資料6が、現行学習指導要領での「持続可能な(社会の構築)」の言及箇所でございます。参考資料7が、平成26年度のユネスコスクールのアンケートポイントでございます。
 このほか、机上配付資料としまして、計四点、一つ目が、ESDの日本ユースコンファレンスのブロシュアー、そのほかに、国立教育政策研究所教育課程研究センターでおまとめいただきましたESDのパンフレット、このほか、学習指導要領高等学校編と高等学校編の指導資料、以上四点でございます。過不足等があれば、事務局までお申し付けください。
 以上です。

【見上座長】 
 不足資料は、ございませんでしょうか。
 それでは、議題1に入りたいと思います。第1回から第3回までの議論を踏まえまして、事務局において報告書素案を作成しておりますので、本素案について御議論を頂きたいと思います。
 では資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【籾井国際戦略企画官】 
 御説明させていただきます。
 資料2を御覧ください。こちらの資料は、前回お示しした論点ペーパーをベースに、頂いた御意見を踏まえて、報告書の形で肉付けをしたものでございます。まず、「はじめに」でございますけれども、これまでのDESDの提案、そして世界会議といった経緯、それから、持続可能な開発を実現する上での教育の重要性ということで、1ページの一番下の段落ですが、持続可能な開発の実現のためには、一人一人の意識とか行動の変容が必要であって、そういったものを実現するのが教育の役割であると。特に、持続可能な社会を構築する上で取り組むべき課題は非常に複雑で、いろいろなものがつながっているので、ESDが必要、ということを書いております。
 さらに、2ページ目におきましては、ESDで身に付ける資質と能力は、例えばOECDが提唱するキー・コンピテンシーなどとも一致するものであって、これからますますその重要性が高まっていくということを言った上で、これまでの我が国の実績を踏まえて、国内においても一層ESDの取組を推進し、さらに世界に向けても、これまでの経験、成功事例などを積極的に発信して、引き続きリーダーシップを発揮していくことが重要だということを述べさせていただいております。
 それから、2ページ目の2に移りまして、これまでのESDの成果でございます。こちらにつきましては、前回の論点ペーパーと同じ構成を維持しつつ、特に学校現場におけるESDの成果や特徴がより伝わりやすくなるように、学校での実践事例を示させていただいております。具体的には、2ページ目の一番下から始まる、学校現場における横断的・総合的な指導の実践の中で、下線が幾つか引いてありますけれども、学校で実際にESDに取り組んでおられる、主に校長先生や、学校でのアンケートの結果を踏まえて、こういう成果が見られることを幾つか列記しておりますが、例えば子供たちの学習に対する興味・関心が向上したとか、自己肯定感が育成された、そして、また先生の側から見ても、教科横断的な授業を実施することで、授業の充実・改善や教職員間の授業改善が深まったといった報告を引用させていただいております。
 この後、事例を三つ挙げてございますけれども、多摩第一小学校、それから5ページに参りまして、岡山市立京山中学校、そして6ページ目に参りまして、広島県の賀茂高等学校の事例は、それぞれこういった成果の実例として挙げさせていただいております。ここで具体的に追記している趣旨といたしましては、これからのESDの推進方策を議論していくに当たって、ESDがしっかり実践されるとこういった成果が上げられるのだということを、この報告書を読む人にも分かっていただきたいという趣旨で、入れさせていただいております。
 その他、成果に関しましては、ユネスコスクールが増えてきたことですとか、コンソーシアムが10拠点指定されていること、そして大学においてはUnivNetが形成されたこと、それから、地域においてもいろいろな主体による様々な取組がなされていることに言及しております。
 8ページに参りまして、ESDの取組の推進に関する課題つきましては、前回お示しした論点ペーパーで挙げてある課題と同じものを、報告書の形で記載しております。ユネスコスクールのアンケートの結果を踏まえまして、例えばユネスコスクールの活動の交流をしている学校が46%と半分に満たないとか、海外との交流を予定しているユネスコスクールが16%にとどまっているといった数字を追記しているのが、これまでとの違いでございます。
 この報告書のメインの部分が、11ページの4.「今後のESDの推進方策」以降でございます。こちらは、前回論点ペーパーの形でお示ししたときには、学校の部分について重複する分野が多く、繰り返しが多かったのですけれども、それをもう一度整理し直しまして、参考の3の今後の検討項目案で用いておりました、広める、深める、そして国際的に推進するための取組という、三つの柱を用いまして、改めて前回御議論いただいたような推進方策を整理し直しました。その際、もちろん地域においてはNGOや企業など様々な主体が活動していて、そういった方々の取組があって今までESDが推進されてきたわけですけれども、本報告書におきましては、学校を核として、まず学校で推進していくためにはどうしたらいいか、そして学校での取組を深めるために、例えば地域とか大学とか、地域にはNGOや企業なども含むわけですが、そういった方々との連携をいかに促していくかという観点から、推進方策をまとめております。
 その他の、NGOとか企業とかいろいろな方々が学校とは関係なくされている取組もたくさんあるとは思うのですけれども、それに関しましては、12ページの下の注に書いてございますが、現在、政府全体で作成をいたします国内実施計画を議論しておりますので、そちらの方で取り上げることを予定しております。
 12ページに参りまして、最初の、推進方策の1の、ESDを広めるための取組でございますけれども、これについては、丸1、学校現場での推進のための取組、それから丸2、大学での推進、それから丸3、若者の参画を促すための取組という、三つに分けて記載をいたしております。
 まず、広めるための前提ですけれども、これまでは、ユネスコスクールを中心に、ユネスコスクールを推進拠点として広めてきたと。けれども、(1)の下の2段落目の真ん中辺りに書いてあるのですが、中教審の方でも、例えば基礎的な知識・技能の習得に加えて、実生活や実社会の中でそういったものを活用しながら、自ら課題を発見し、その解決に向けて主体的・協働的に探究し、それを実践する力というのが、変化が激しい今の時代において、全ての人に求められるという前提で議論がなされていることもあり、ESDはこういう力の育成にも資するものであるという観点も踏まえて、ユネスコスクールに限らず全ての学校で、ESDを実践していただくための取組が必要だという前提に立って、推進方策を書かせていただいております。
 最初が、学校現場でのESDの推進に向けた具体的イメージの提示でございます。こちらは、実際、ESDが大事だと分かったとしても、それをどうやって学校現場で実践していったらいいか分からないというのが、広まらない原因の一つであるという御指摘を頂きましたので、そういったイメージを示す「ESD実践の手引き」を作成することが必要であるというのを、学校現場での実践の普及のための第一の方策として挙げております。作成に当たっての留意事項とか、中身の部分については、今後また具体的にこの報告書がまとまりましたら作業を進めていくことになると思いますけれども、その際、留意すべき事項として、13ページの一番上にあるような内容を盛り込むとか、それから、例えば発達段階にも留意する必要があるといったことを記載させていただいております。
 手引きを作成する際に、ESDを通じて育成する資質・能力についても、当然触れることになると思いますけれども、その際に参考になるものとして、例えば国研が例示しているような枠組みですとか、環境教育指導資料の中で触れられているような能力・態度も参考にしながら、どの程度個別の分野に言及する必要があるのかといったことについても検討する必要があることを書いております。
 14ページに移りまして、手引きを作成するのみでは不十分であると。手引きを作成しても、結局どこかに積まれて、読んでもらえないとか活用してもらえないということにならないために、活用の部分もセットで考える必要があるということで、教員の研修について触れています。14ページの下半分からです。これは、ユネスコスクールのアンケートなどを見ても、ESDの普及が進まないことの理由として、教職員の理解が不十分であることを挙げている学校が非常に多くなっておりますので、そういった観点からも、ESDに関する教員の指導力向上のための研修の充実が求められると考えております。その際、先ほどの部分で、これから作成しようとしている手引きを教材として用いたり、管理職にも研修に参加してもらうことが必要だといったことを書いております。
 さらに研修方法につきましては、教員研修センターに次世代型教育推進センターが設置されて、効果的な研修方法の調査研究などもしていく予定でございますので、そういったところとも連携をしながら、より効果的な研修方法を確立していく必要があることを記載しております。
 研修の実施に当たっては、ESDのための研修を新しく新規で設けることも考え方としてはあるかと思うのですけれども、関連の様々な研修、教員研修センターが実施しているものや、都道府県教育委員会が実施しているような関連の研修の中で取り組んでもらえるような働き掛けも、手引きが作成されましたら、行っていく必要があることを、記載しております。
 次に、15ページに参りまして、大学におけるESDの普及については、まず、これまで余り大学でESDを実施することが必要であることを積極的にアピールしてこなかったこともありまして、一方で、UnivNetの加盟大学や、ESDに関する教育研究センターを置いているような大学、それから岡山大学のようなユネスコチェアを中心として、実際にESDに取り組んでおられる大学が幾つかございますので、そういう、優良事例をまず共有することで、大学においてもESDを実践することが必要なのだということをアピールしていくことが必要であると考えております。
 また、教員養成が重要だという御意見もございましたので、そこについては、今後、UnivNetの大学や、今実際に取り組んでおられる大学を中心に、その在り方について議論していければと考えております。
 それから、丸3の、若者の参画の促進ですけれども、これについては、昨年の岡山でのユースフォーラムの前に国内のユースフォーラムを開催しましたが、そういったものを引き続き開催していくとともに、単発のイベントで終わらないように、何らかのネットワークの構築をしていければと考えております。プラス、国内にとどまるのではなくて、ユネスコの方でもESDの優先行動分野の一つとしてユースを掲げておりますので、そういった部分ともうまく連携をして、国際的な事業とのつながりも、うまく確保していければいいと思っております。
 それから、2本目の柱である、ESDを深めるための取組でございます。これについては、まずユネスコスクール間の交流の活性化を含めユネスコスクールの活動の底上げ、それから学校と大学の連携の強化、そして学校と地域の連携の強化という、この三つの視点から書かせていただいております。
 まず、ユネスコスクールでございますけれども、先ほどのESDを広めるところで申し上げましたように、前提としてユネスコスクールに限らず全ての学校においてESDを実践してもらいたいということがある一方で、ユネスコスクールは、今、国内で1,000校弱ございますが、ユネスコスクールはこれまで10年間、学校によって年数は違いますが、ESDに取り組んできた実績がございますので、そういうものも生かしながら、ユネスコスクールがESDの実践のモデルになるような形でユネスコスクールの活動の活性化を図っていくことが大切だというのが、(2)の、ESDを深めるための取組の前提となっております。
 16ページに移りまして、そのためには、まず一つは、ユネスコスクール間の交流の活性化が必要だと。これは単に顔を合わせるだけではなくて、実際に自分たちの取組について議論したり意見交換したりするような場を提供することが必要だと考えておりまして、まず一つは、現在ある公式ウェブサイトの見直し。これは、既にウェブサイトはあるのですけれども、なかなか活用実績が上がっていないこともございまして、例えば手引きを使ったESDの実践や、そのときに使用した教材などを共有できるような場の提供も考えていく必要があるのではないか。それから、ユネスコスクール全国大会は、これまで優良事例の発表で終わっていたものを、もう少しインタラクティブな活発な議論がされるような参加型の研修の場にすることが必要なのではないか。加えて、全国レベルだけではなくて地域レベルでの交流が促進されるように、地域レベルでのユネスコスクールの研修が必要だという御意見もありましたが、今、UnivNetの大学を中心に、任意ではございますけれども、幾つか地域での研修がされていますので、そういうものを、手引きも用いながら、もう少し体系的に実施することを検討していきたいと考えております。
 17ページに移りまして、これに加えて国内外のユネスコスクール間の交流の促進のために、コンソーシアム事業の成果を検証するとか、それからUnivNetの加盟大学との連携の強化に向けて、少し議論をする必要があることを挙げております。最後に、モデル校として、モデル校育成のためには、動機付けとして、財政的な支援の可能性も含めて検討する必要があるのではないかということを挙げております。
 2番目の、学校と大学との連携の強化でございますけれども、こちらにつきましては、御承知のとおり、ASPUnivNetというのが、ユネスコスクールの活動を支援するためのネットワークとして立ち上がっております。ただ、ここは、支援の形態はそれぞれまちまちでございまして、ユネスコスクールの側からは、もう少し学校現場に近いような支援もしてほしいという声もございますので、どういった形でUnivNetの大学が学校現場での実践の支援に取り組んでいけるかということを含めて、検討、議論を開始していくことができればということを挙げております。
 それから三つ目が、学校と企業、NGO、地域の関係者との連携強化でございます。ここは、関係者が非常に多くなっているので、何らかのコーディネーター的な役割を担う方々の発掘、育成が必要であるということを、18ページに挙げております。その中には、社会教育現場との連携も促進していく必要があることを述べております。
 19ページに参りまして、ただ、コーディネーターも地域のことだけ分かっていればいいわけではなくて、学校のニーズや、学校がどのように学習活動を行っているかということも知ってもらう必要があることでございましたので、例えば、現在、環境教育の分野で行われているような、教員と地域の関係者が一緒に参加できるような研修も、考えていく必要があるのではないかということでございます。
 最後、下線が引いてあるところでございますけれども、地域での取組の支援という観点からは、いろいろな情報や、支援に関する情報を共有できるような体制の整備が必要だということで、環境省を中心に検討が進められておりますが、こういったものが環境教育の分野に限定されないように、文科省としても、ほかの分野も含めて地域での多様な実践をつなぐネットワークの形成に貢献していくことが必要だというのが、「深める」の最後の記述でございます。
 それから、この報告書の最後になりますけれども、国際的にESDを推進するための取組、ここは、今後も日本が引き続き国際的なESDの推進のためのリーダーシップを発揮していくためには何が必要かということでございますが、一つは、ユネスコの場を通じて日本が拠出しているGAP信託基金を活用した事業を通じて、加盟国を対象としたESDの推進を行っていく。この場には、日本からも十分参加できるように、例えば日本のユネスコスクールや日本の教員の方々にも参加の機会が得られるように、ユネスコと調整をしていく。それから、ユネスコ/日本ESD賞を創設いたしましたので、こういったものも用いながら、世界的な優良事例の発信にも努めていきたいと思っております。
 最後ですけれども、ポスト2005年開発アジェンダの議論が現在なされておりまして、その中にESDが盛り込まれております。この目標達成に向けたインディケーターの策定の作業がこれから行われるところですので、ユネスコとも連携しつつ、この分野にも我が国として貢献していくことが必要であるというのが、国際の最後の記述でございます。
 長くなりましたが、以上でございます。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 これまで3回、皆さんから非常に活発な御意見を頂きまして、ありがとうございました。事務局の方でこれをきれいな形にまとめていただいていると思います。この資料を踏まえまして、委員の皆様から御意見を引き続き頂きたいと思います。今日は議題が絞られており、時間がございますので、どうぞ、どこからでも結構でございますので、御意見を頂戴できればと思います。
 ESDで大事なことの一つは、日本が言い出しているという点だろうと思います。教育というとフィンランドが注目されたり、あるいはOECDなどのことが外国から入ってきていますが、ESDに関しては、「もったいない」という言葉でも代表されるように、日本からオリジナル発信しているということは、誇りに思っていいと思うのですね。 どうぞ、何でも気付いた点を。はい、どうぞ。

【田村委員】 
 まず、「はじめに」のところですけれども、推進に向けてということで適切に記述いただいていると感じたのですが、わずかでいいので、押さえてはどうかと思ったことが二つあります。
 一つは、このESDにつながるという意味では、3.11の出来事というのは、どこかに触れておいた方がいいのではないかなというのが一点目です。私たちが失ったものもあるものの、多くの知見といいましょうか、教訓も多いのではないかというのが、一つです。
 二つ目が、終盤の方で、OECDのキー・コンピテンシーのことが示されているものの、現在の学習指導要領の改訂の議論がないようです。資質・能力の育成に向けて検討されていることも、ここで触れておくといいのではないかと、二つ、感じました。
 
【見上座長】 
 ありがとうございます。大変重要な点を御指摘いただきました。
 私自身が被災地にいたものですから、何となく、余り地震ということは言いにくいのですけれども、東北の方は、かなりESDイコール防災教育になってしまっております。御指摘の点は非常に大事な点だろうと思います。
 どうぞ。

【阿部委員】 
 15ページに、若者の参画の促進という項目がありまして、若い人たちにESDに参加してもらうことは非常に重要なポイントです。ここに書かれているユースフォーラムや、それから世界会議のときのユースコンファレンス、そういった成果を、具体的に継続する組織としてはどういうものがあるのでしょうか。例えば岡山ではESD推進協議会を作っているのですけれども、具体的にどのように若い人たちの参加を募っていくか、このようにやれば良いというのが見出せない。例えばユネスコスクールとかそういう形で組織化されたものがあれば、参加の促進はやりやすいのですが。

【籾井国際戦略企画官】 
 むしろ秋永さんの御意見をお伺いしたいところです。

【阿部委員】 
 15ページに、ユースフォーラムを開催する、それからユースフォーラムの参加者との交流、国際事業との連携と書かれていますけれども、具体的に進めようとするときに、どういう促進する主体や組織があって、やられているのかが、この文面から分からなかったので。

【秋永委員】 
 現状、昨年2月に集まった国内のユースコンファレンスのメンバーは、正式な組織として何か組織立っているわけではないと、私は理解しております。ただ、全国に広がるメンバー間で個別にコミュニケーションを取ったり、その後、地域間や組織を越えて、枠を越えて、個別にできることは話が進んでいるのではないかと思っています。また、学校によっては、そこで刺激を受けてユネスコスクールの獲得といいますか、認定を達成した学校もありますので、個々のアクションというのは確実に進んでいると思います。そのメンバーの中から特に積極的なメンバーが集まって、今年も、こちらにも多分あると思うのですが、今年のユースコンファレンスの企画・運営、アイデア出しの部分で、有志で集められていると理解しています。今年も多分、このネットワークをどのように保っていくかという議論がなされると思うのですが、例えば前回は、参加者の中から、このネットワークを保つ、若しくはESDを推進するためにどんなアクションを起こすかということを、発表したのですね。それに対して、発表で終わりにするのではなくて、そこに何かしらの、それを具現化するための、それは人的、資金的に、若しくはどこかとの連携を実際に生み出すといった、動かすためのサポートは必要なのではないかと考えています。つまり、アイデア出しだけで終わらないという形が求められていると思いました。

【阿部委員】 
 それから若者というときに大学生の役割は大きいと思うのですが、大学生と社会人の若い人たちとの連携は具体的にどのようにされているのでしょうか。大学でしたら、例えばユネスコクラブがあって、全国的に集まって何かしているのですが。ユースコンファレンスの中でそういう組織との連携は、何かされているのでしょうか。

【秋永委員】 
 特に目立ったものは、まだ余り出てきていないのではないかとは感じているのですけれども、それぞれが個々の持っている組織や活動を紹介し合うことはできていると思いますので、それがもっと体系立って見えるといいのではないかと思っています。

【見上座長】 
 今、ユースコンファレンスでのテーマは、いろいろな分野の実践者がみんなで知恵を持ち寄るという感じでしょうか。例えば環境教育を中心にですとか、防災教育ですとか、いろいろな視点がございますよね。そういう意味からのサステイナビリティーということで、実践が持ち上がっているのでしょうか。
【秋永委員】 
 今年のことは、すみませんが詳しく存じ上げておりませんので、昨年の経験になってしまうのですが、テーマごとに区切って分科会を設けた部分と、あとはステークホルダーごと、学校関係者やNPO、NGO、企業、例えば自治体というように、立場ごとに分かれて、実績や成功事例を持ち寄ったという形になっておりました。

【見上座長】 
 そうですか。分かりました。ありがとうございました。
 阿部委員、よろしいですか。
 ほかにございませんか。どうぞ。

【手島委員】 
 大変すばらしいまとめを作っていただいて、「ああ、そうかな」と思いながら、拝見していました。
 3ページの中ほどに、ESDが教科横断的な授業を実施することで、授業の充実・改善や、教職員間の授業改善が深まったとの報告がされているとあるのです。確かにそうだと思うのですが、ESDの成果というのは、いわゆる授業改善にとどまらない、もっと大きなものなのではないかと思うのです。ですから、できれば、これは市単位とか県単位で教育改革が成し遂げられてきたのだというような事例があれば、そういうものを入れていきたいと思っているのです。
 具体的に言えば、事例3の後の丸3でありますが、ESDの推進拠点であるユネスコスクールの充実の中で、福岡県大牟田市等では、市ぐるみで面的な広がりを持ってESDが進められている、とさらりと言っているのですけれども、実際には、もう少し、そういう辺りを書き込んでいただいたらいいかなと思ったのです。具体的には、各教科領域の指導を中心とした教育から、生活科、総合的な学習を中心とした、地域に根差した教科横断的な教育に向けて教育改革が進んでいるとか、そのような、日本の教育の在り方をこのようなESDの視点を生かすことによって大きく変えていきたいのだということが、とても重要なことだと思うのです。いわゆる、一つ、二つ、というか、一つ一つの授業がどう変わったかということもそうなのですけれども、その総体としての教育改革を進めるESDというのは、もっと強力に打ち出したいと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございました。ESDの先進地域というのは、地域の変容が見られるということですね。

【手島委員】 
 地域の変容と同時に、教育改革が進むのだということが大事だと思います。そのことは、逆に言うと、地域の変容に結び付くのだと。

【見上座長】 
 ありがとうございます。では、その辺りも反映させていただければいいですね。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【後藤委員】 
 国立教育政策研究所のプロジェクトの研究内容も、この中にたくさん織り込んでいただいて、感謝申し上げます。
 そして、本日は先生方のお手元に、私どもがその後作成いたしましたリーフレットを配付させていただいております。少しお時間を頂いて御覧いただき、御説明させていただければと思っておりますが、よろしいでしょうか。

【見上座長】 
 どうぞお願いいたします。

【後藤委員】 
 私どもといたしましては、より一層ESDの理解を深めることができたらという思いでリーフレットを作成させていただきました。開いていただきますと、ESDとは何か、ESDで取り上げられる内容は何かについて示してございます。取り上げる内容については文科省のホームページより御提供いただいております。
 右側のページではESDの視点というのは、これからの時代に生きる子供たちに必要な資質・能力を育成するということ、諮問でも具体的に触れられているということ、そして右側の下が、現行の学習指導要領にも生かされており、各教科、総合的な学習の時間、及び特別活動といった、学校教育全体で積極的に取り組むことが期待されていると、まとめさせていただいています。
 開いていただきますと、一番左に学校教育におけるESDの目指すべき目標、課題を見いだすための視点、身に付けたい力、指導を進める上での留意事項を整理し、提案させていただいております。なお、今日の資料、13ページに枠組みということで載せていただいておりますが、その後フォローアップ委員会を立ち上げ、持続可能な社会づくりの構成概念の意味するところを再検討して、学校現場に分かりやすい表現に変えることを目指し、課題を見いだすための視点とさせていただきました。
課題を見いだすための視点として、多様性・・いろいろある、相互性・・関わり合っている、有限性・・限りがある、公平性・・一人一人大切に、連携性・・力を合わせて、責任性・・役割や責任を持って、とさせていただいております。また、身に付けたい力として七点にまとめさせていただき、指導を進める上での留意事項として、教材のつながり、人のつながり、能力や態度のつながりについて、示させていただいております。 
さらに、右3ページは、今日もいらっしゃっていますけれども、多摩第一小学校の取組ですとか、それから中学校ですと広島大学附属福山中・高等学校の取組、そして高等学校では林野高校の取組をそれぞれ示させていただき、課題を見出すための視点でまとめさせていただいた例、それから身に付けたい力という視点でまとめさせていただいた例、それぞれのつながりの視点でまとめさせていただいた例を示させていただいております。
 最後のページに、考えられるQ&Aなども少し添えて、まとめさせていただきました。
 作成したリーフレットの視点で、再び、今日おまとめいただいた報告書を拝見させていただくと、本当にたくさんリーフレットの内容を盛り込んでいただいているなという思いになります。とともに、少し私なりに解釈した中で、2ページの、学校教育における取組、教育振興基本計画、学習指導要領における持続可能な社会の構築に向けた教育の位置付けの辺りに、学校教育全体で取り組むというメッセージ性がどのように伝わるように、本文の「盛り込まれており」の後ろに、「各教科、総合的な学習の時間及び特別活動といった学校教育全体で積極的に取り組む」、というような言葉を補っていただければよいのではないかと感じました。その後で、大事な要素である、つながりというところに向けていければ、非常に整合が取れるかなという気がした次第であります。
 さらに、中学校・高等学校では教科担任制が基本なので、先生方の意識として自分の担当教科の指導を大事にしていますので、担当教科の意識の中にESDの視点をしっかりと意識付けができるような、アピール、メッセージも、併せて大事なのではないかと考えたところであります。国研のリーフレットに関係した一点目です。
 もう一点別の要素の、お話をさせていただきます。ユースの視点からの意見でございます。名古屋の国際会議に出たときに、高校生女子3人男子1名が参加していました。ところが言語がうまく伝わらなくて、女子生徒が、泣き出したりしてしまいました。そのときに、最後、当日会議のコーディネーターの東京都市大学佐藤真久先生が、協議などをまとめていただく際に、言葉を越える、国を越える、世代を超え、メッセージ性を含め、伝える「すべ」として、図とか絵等、分かりやすい何か、(もしかしたら、逆に難しいかもしれませんが)、そういうものがあれば、一つのアピールにもつながり、理解も進むのではないかと提案されたのが、非常に印象に残っております。文科省でも、非常にかわいらしいロゴを作っていただいているのですが、何か説明が入るような、そして理解が進むような絵や図のようなものがあれば、またそれが一つのメッセージにつながり、理解の促進につながるのではないかと考えた次第であります。以上でございます。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 ただいまの御説明について、御質問でも結構です。どうぞ。

【手島委員】 
 国立教育政策研究所のこの中身というのは、大変私たちの現場に大きな影響を与えていただいて、指導計画を書き込んだりする中に、身に付けたい力ですとか、課題を見出すための視点とか、重要になってくるものです。ここのところに、私は前から気になっていたのですが、子供たちが問題を見付ける力、問題に気付く力というのを、もっと強調していただけたらいいなと思っておりました。言葉で言うと、批判的に考える力などにつながってくるのかもしれないのですが、問題解決的な学習というのは、ESDを進める上でどうしても必要なことだと思うのです。ですから、問題に気付く力とか、問題を共有する力というものが、とても大事なのではないかと思っております。それが一つ目です。
 それと、このパンフレットを開けてすぐの左側の「ESDで取り上げる内容とは?」という中に、いろいろな内容が入ってきていて、全部で八つの丸が付いているのですが、前にも指摘させていただいたのですが、人権あるいは民主主義の教育がこの中に入っていないのです。あるいは、命の教育であるとか、その視点が抜けているということは、日本のESDはこれでいいのですかと言われたときに、少し答えづらいわけです。ですから、これの図の検討をしていただく必要があるのかなとは思っております。
 以上です。

【見上座長】 
 今の御指摘だと、その他、関連する学習の中に、含まれていると言われるかもしれないけれども、独立させて明示した方がより効果的であろうというお話ですね。

【手島委員】 
 はい。ユネスコスクールの重要な視点の中にも、人権や民主主義の理解促進というのが入ってきているはずですので、そのことを踏まえても必要だと思っております。

【見上座長】 
 どうぞ、岡本委員。

【岡本委員】 
 先ほど後藤先生からリーフレットの紹介があったのですが、私は現在も国立教育政策研究所の客員研究員も務めさせていただいていまして、このリーフレット等の、それから先ほどのESDの枠組みの作成にも、ずっと関わらせていただいております。ですから、今、後藤先生に紹介していただいたことの補足と、それから手島先生がおっしゃっていただいたことに対して少しフォローをさせていただけたらと思っています。
 まず、課題を見出す力なども欲しいとおっしゃったのですけれども、それはもっともだと思います。ただ、このリーフレットにも書いてあるのですけれども、要するに、ESDの視点に立った学習指導の目標自体の中にも、「持続可能な社会づくりに関わる課題を見出し、それらを解決するために必要な能力や態度を身に付けると」いうことで、目標の中に「課題を見いだすこと」を位置付けてあるのです。ですから、ESDの視点に立った学習指導というのは、簡単に言うと協働的な問題解決学習であるとこの枠組みでは捉えていると、解釈しています。課題を見出して課題を解決していくという一連の流れの中で、具体的な能力・態度としてどんなものが必要なのかというので、この七つが挙がってきているということだと思います。ですから課題を見出す力もそれ自体は必要だと思うのですが、それは少し大きな力で、それを支えているのがこの七つの能力・態度にもなっているのかなという感じを持っています。

【手島委員】 
 ありがとうございます。ただ、現場で、実際に単元を構成するときに、どこに力点を置いていくかというときに、全体として課題解決的なというのをもう少し強調していただけると、ありがたいかなと感じました。

【岡本委員】 
 それから、もう一点、先ほどの高校生との関係で、もっと分かりやすいものがあったらいいのではということですけれども、このESDの枠組みは環境省さんの方でも結構取り上げていただいて、いろいろなリーフレットを作っておられます。それを拝見すると、国立教育政策研究所が出されているものよりは、もっと子供たちにも分かるようなイラストがあったり、表現があったり、それからアイコンなども作られたりしています。その辺りも、もう少し何か文科省と環境省の製作物などが共有できるような場があれば、今度の指導の手引などでも、両方のいいところを是非取り入れて作っていただくような方法ができればいいのではないかと思いました。
 以上です。

【見上座長】 
 ありがとうございます。今日は環境省の関係の方も御同席と思いますが、もし何かございましたら、どうぞ。

【環境省鈴木室長】 
 今の御指摘は、また文科省さんとも協力しながらやっていきたいと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ。

【高橋委員】 
 教員養成と研修と、そして大学におけるESDの普及というところの関連で、少し意見を述べさせていただきたいと思います。このESDの観点での学びというのは、学校現場だけではなく大学教育として取り組むべきことだし、大学教育改革の中で取り組まれているはずであると思うのです。このような話になったときに、UnivNetはあるけれども、大学の先生でそれに取り組んでいる人が少ないということ自体が、本当はおかしいと思うのですが、それが実態だと思います。そういう中で、新しい何かの活動をするという考え方よりも、例えば教員養成で言うと、免許状更新講習を開講している大学は、かなり多いと思いますので、その中でESDの授業の研修を展開していくことは、負担を増やすのではなくて自然な形で広げていくことになるのではないかと思っています。18ページの真ん中ぐらいですか、学校におけるESDの推進に当たってはうんぬんで、大学はどのように貢献できるかについても併せて検討することが必要であるというようなところで、例えば、今取り組んでいるような教員免許状更新講習を活用するとかいうことを具体的に書き込むことも、一つ考えられるのではないかと思います。
 それと、15ページですが、「大学におけるESDの普及というところで、大学での各専門分野での学びの前提として、分野横断的・統合的なアプローチの必要性を理解させるために」と書いておられます。大学はもちろん高等教育であり、専門分野での学びをするわけですけれども、各専門分野に限られた学びだけではなくて、学士力や社会人力ということも求められていますが、大学教育の学びの前提だと思います。要するに、単に学部別の専門教育の学びの前提ではなくて、大学教育の学びの前提、全ての学びの前提であろうかなと思うので、これは「各専門分野での」という言葉は入れない方がいいのかなと思いました。「教員養成教育の中にESDの視点を取り入れることは、ESDを広める上で効果が大きく」ということは、本当にそうなのですけれども、ESDの見方・視点は、教員としての資質・能力として求められることだと思います。岡山大学の全学教職課程のディプロマポリシーに「ESDの理念をもち」という文言を入れたのはそのためでした。ESDの見方・視点が、これからの全ての教育場面で求められているということを、書いていただければと思いました。
 
【見上座長】 
 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
 この点については、阿部委員の方から何かありますか。ASPUnivNetの関係からでも結構です。サステイナビリティーそのものは、大学教育にとっても非常に大事な点ではあると。

【阿部委員】 
 15ページと関連して、地球規模の課題というところが強調されているような気がし ました。丸2の最初のところで、「地球規模の課題解決に向けて大学の果たすべき役割は大きい」というのは、確かにそのとおりなのですが、それだけではなくて、ESDを実践している大学、特に地方へ行きますと、地域レベルの持続可能性の問題に学生の教育を重ね合わせていろいろと活動しているところがありますので、そこのところも入れておいていただいた方がいいのかなという気がします。地域的な広がりとして、まず地域実践的なもの、それから地球規模の課題があります。地球規模の課題を考える上では、丸2の最後のパラグラフにある、サステイナビリティ・サイエンスという考え方が不可欠になってくると思いますので、出てくる順番が、ASPUnivNet、それから教員養成の話があるのですけれども、サステイナビリティは、順番から言うと上の方がいいのではないか、流れから行くと、そういう気がしました。
 同じようなことで、10ページの課題のところも、ユネスコスクール、ASPUnivNetが挟まれる形になっており、その下にサステイナビリティ・サイエンスが出てきているのですが、そこも上の方が良いという気がします。

【見上座長】 
 そこのところは検討させていただくということで、最初の御指摘の、特に今、地域の過疎化が激しいので、消滅地域とか、本当に現実の問題になっています。そういう中でサステイナビリティーの教育、ESDはものすごく大事だと思います。小さくなること、イコール悪いことというイメージで、非常に地域が自信をなくしているのですね。必ずしもそうではなくて、学校も小規模化すると、もう少し違う質の高い教育もできるのですね。そういうことも、ひっくるめてESDだと思いますので、御指摘の点もとても大事だと思います。ありがとうございました。
 お願いします。

【田村委員】 
 この報告書素案の主たる目的というのは、4.以降の、今後の推進方策のところに集約されることになると思うのですが、それを今回は、広める、深める、国際的に推進すると、分かりやすく整理していただいていると感じているところです。
 そこで、最初に一つ、確認といいますか、質問ですけれども、「広める」というのは、たくさんの学校が取り組むとか、より多くの人が認識するという意味で理解しやすいのですが、この「深める(実践力を高める)」の具体的なイメージがどういったところにあるのかによって、この中に落とし込まれる、丸1、丸2、丸3等がはっきりしてくるのだと思うのです。ここをもう少し丁寧に御説明いただけると、ありがたいと思います。

【見上座長】 
 事務局の方、よろしいでしょうか。難しいでしょうか。

【籾井国際戦略企画官】 
 正に実践力を高めるということですけれども、今の(2)はユネスコスクール中心に書かれていますが、基本的にはユネスコスクールはESDの推進拠点ですので、全てのユネスコスクールにおいて既にESDは実践されており、少なくとも知らないというところはないわけです。ただ現状を見ると、ユネスコスクールの中でも取組状況に非常に差があるのが現状だと思うので、既にものすごく優れた取組をしているところはそのままでいいと思うのですが、そうではないところに、これから始めようとしているユネスコスクール以外の学校に対しても、モデル的な役割として引っ張っていけるように、活動をよりESDの本来の意味をしっかりと捉えた上での活動をやっていってほしいというところが、ユネスコスクールに関しては言えると思います。大学や地域との連携というのは、そういう学校での取組、学校単独だとなかなか本当の意味でのESDは実践しづらいところもありますので、そういう大学や地域のNGOや企業の力もうまく取り込みながら、モデルとなるような実践をやっていってほしいということを、ここに表現したつもりでございます。

【田村委員】 
 分かりました。

【見上座長】 
 よろしいですか。重委員、どうぞ。

【重委員】 
 今いろいろおっしゃっていただいた中にも、たくさんヒントがあるのだと思うのですが、この報告書をどういう形で施策に反映させるのかというか、私たち地域の者たちが見たときに、確かに教員研修や、私たち地域の者が学校教育に貢献していく力を付けていくという意味で、大事なのですけれども、どう使うかによって全然違ってくるのだと思うのです。
 学校にESDを広めることから、地域の変容や教育改革していくことが目的なのだとおっしゃっていらっしゃり、地域のことを書き込んではくださっているのですが、各省庁も連携ししている施策等もありますので、盛り込んだ形で表現して、現場の人たちに見えたほうが良い。企業の方たちもすごく悩んでいらっしゃいますね。ESDは大事だけれども、CSRの部署だけで、トップになかなか理解してもらえない。でも国がこういう施策を具体的に出したとなればトップの理解も早いということをおっしゃったりもするので、こういうものをどういう形で使えるか。例えば自治体の職員研修や企業のトップの人たちを集めて研修をするなり、促すための材料にも使えたらいいなと。学校の先生やユネスコスクール関係者だけに回っていったのでは効果が薄いと思うのです。それから、先ほどのユースのお話でもありますけれども、ユースの現場の皆さん方はすごくいろいろ頑張っているのですね。ローカルサービスチームという形で、青少年育成のところで、本当に社会のひずみになっている人たちを相手にして頑張っている人たちが、こういうところに上がってこないのですね。そういう現場のESDをやっている人たちが、自分たちがやっていることもESDなのだということに気付けるような手法も必要ではないかなと、これを拝見していて思いました。

【見上座長】 
 ユネスコスクールが入っているものですから、どうしても学校ということがいつも中心的になるのですけれども、地域とか企業とかいうことを考えると、学校外の広い領域を、ESDが開拓しなければいけないように思いますが、今、重委員がおっしゃったような、そういう使い方ということで考えてよろしいですか。

【籾井国際戦略企画官】 
 もちろん地域とか企業の方の取組が重要だというのは、もう非常によく認識をしてはおるのですけれども、ただ、これまでの反省として、いろいろなステークホルダーがいます、みんなでやっていくことが重要ですというのを強調し過ぎた余り、では実際どうしたらいいのかというのが、少しぼけてきてしまいました。そのため、今回御議論いただいている部分は、まずは学校現場で実際に広く取り組んでもらえるように、学校を念頭に置きつつ、具体的なイメージを定義しようというのが、今回作ろうとしている手引きの位置付けだと認識しております。一方で、学校がESDに取り組む際に、地域の方々や企業の方々、それからユースの方々に参加してもらいながら、いろいろな活動をしていく場面もたくさんあると思うのです。この手引きは、そういう人たちにこの形でやってくださいということではなくて、学校はこういう形でESDを実践するのですというのを分かっていただくことで、より連携がしやすくなるという位置付けのものになるのかなと考えます。そのため、学校だけが知っていればいいというものではなくて、先ほど御説明の中で、例えば地域の方々と一緒の研修の場などでも、この手引きを使って、学校はこういう形でいろいろな計画を立てていきますので、いろいろな地域での活動をされている方々は何がオファーできますかとか、どういう形でうまく学校と地域がつながっていけるでしょうかという、議論の取っ掛かりにはなりやすいのかなと思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 林原委員、どうぞ。

【林原委員】 
今の点ですが、報告書は手引きの作成につながるものですから、今おっしゃったようにまずは学校現場で実際に広く取り組んでもらえるための内容にすることは結構だと思います。ただ去年の「提言」で強調されたのが、若者と企業の参加ということですので、今回の報告書素案では、学校以外の企業とNGOの参加のところが全般的な印象としては、少し影が薄くなってしまったのではないかと感じました。手引きでは、今おっしゃったようなことでいいと思うのですが、今回の報告書は、去年の「提言」を受けてESDの更なる推進に向けての、一つの提言でありますので、企業の参加が後退したような印象を持たれないような書き振りの方がいいのではないかと思います。この報告書を企業の人が読んだときに、企業もESDの更なる推進に参加しなければいけないのだということを、もう少しアピールするような内容にした方がいいのではないかということです。最初に読んだときに、何となく企業やNGOの影が薄くなってしまったのではないかなと感じました。
 質問ですが、12ページの脚注に、企業や地域との連携等その他分野については、関係省庁連絡会議で議論されている、ESD国内実施計画の中で取り上げる予定と書いてあり、確か最初に配られたA4のペーパーにも、そのように記載されていたかと思います。関係省庁連絡会議はどのように進められる組織なのか、国内委員会は、その会議に議論についてはタッチしない、国内委員会の対象外なように映るのですが、この点はどうなっているかというのが質問です。
 もう一つの質問は、18ページにコーディネーターという言葉が出てくるのですが、これは具体的にどういったイメージの組織を想定しているのでしょうか、この点も教えていただければと思います。

【籾井国際戦略企画官】 
 関係省庁連絡会議でございますけれども、これは文科省を含め、関係省庁がメンバーになっておりますので、ここで議論するからといって文科省はノータッチということではありません。そういう意図で書いたものではなくて、今回はどうしても学校にかなり重点を置いた報告書になっておりますので、それ以外が重要ではないということではなくて、今回はターゲットを絞って議論するという観点から、学校に限定されているという意味で、書いてあるというものでございます。御指摘のように、企業の部分は、報告書を学校中心に書いていることもあり、余り言及はしていないのですが、少なくとももう少し企業の人の参加を前提とした書き振りになるように、見直しはしたいと思います。
 それから、コーディネーターでございますけれども、これは具体的な組織をイメージしているというよりは、学校と地域との連携といったときに、関係者がたくさんいるので、それを学校の先生がつなぐというのはなかなか難しいだろうということで、今実際、ESD‐Jさんなどもコーディネーターの研修をされていたり、それから、社会教育主事や公民館の職員といった学校教育の外の社会教育の関係者もいますので、そのような方たちとうまくつなぐというか、学校現場のことも分かってもらいながら、きちんとつなぐことができる人を育成していきましょうというものです。新しく何か組織を立ち上げて作るというよりは、今いらっしゃる方々に、学校のことも分かってもらうし、また、学校の方にも地域のニーズをうまく伝えるようなチャンネルが必要ですという趣旨で、書いたものでございます。

【見上座長】 
 御指摘の大事な点は、例えば企業の方でサポートするには、どうしたらいいのかといったときに、その部分が説明の中で分かるようにする。こうサポートすると非常に社会貢献になるというような表記をもう少し強調した方がいいだろうということですよね。

【林原委員】 
 学校中心になることは当然でありますし、特に今回は先生への手引きというものに結び付くわけですから、スペースが学校に関することに多く割くことも当たり前だと思うのですが、企業の人が読んだときに、これは関係省庁何とか会議でやっているから、そっちの方から何か来るのだなとか、この報告書は企業の参加については関心が薄いと捉えられないような書き振りがいいと思います。企業やNGOの人が報告書を読んだときに、やはり我々も頑張らなければいけないのだというように、アピールする書き方がいいのではないかなと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございます。そうですね。
 どうぞ。

【手島委員】 
 学校のところが重要なのかなとも思いますが、8ページの3.ESDの取組の推進に関する課題のところで、学校現場における一番の課題は何なのだろうというと、ESDが抽象的だとか、概念が難しいとかいうことよりも、まずESDという言葉が現場に伝わってきていないことが、一番の問題だろうと私は思います。私の実感では、教員の中でESDを聞いたことがあるのは2%ぐらいあればいいのかなと、そのぐらいしかないように思います。1%か2%ぐらいではないかなと思うのです。つまり、私どもは一生懸命ESDに取り組んで発信はしてきたつもりだけれども、伝える努力はしてきたけれども、十分ではなかったのが現実であろうと思います。まず、十分に伝わっていないことが、1番目に大事なことだろうと思います。
 もう一つは、抽象的であっても、それから概念が分かりにくいものであっても、本当に大事なものだと思えば、それに向かって人は理解しようと思ったり、取り組まなければという責任感や必要感を感じていくわけですが、その必要感を大勢の人が共有できなかったのかと思います。それは何なのかというと、今目の前に迫っている地球規模の課題、幾つもあると思うのですが、そういう課題に対する危機意識が共有できていないこと、それから、変化が激しい国際社会で生きていく日本人に求められている、今すぐやらなければいけない教育に対して、現実では大きく後れをとりつつあるのではないかと私は感じるのですが、実際はどうか分かりませんが、教育の現状に対する課題意識というのが、少し足りないのではないかと思うのです。従来の教育を持続可能な社会づくりという視点から見直したり、新たな方向付けをしていかなければならないという問題意識が、多くの人に共有されることが不可欠なのだろうと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございます。ESDの概念がといったときに、みんなが考えずに、すぐに非常に抽象的で分かりにくいと言ってしまうというのが、何となく、染み付いてしまっているような感じが、今、していますよね。少しそれが気になっています。ESDのサステイナビリティーというのは、概念ではなくて、理念的なものですよね。それはそれで抽象的なものとしてサステイナビリティーがあって、そして、今、手島委員がおっしゃったような危機意識、いろいろな持続の可能性を妨げるような要因がいっぱいあり、それをクリアーするというのが、一つの概念の中に入ってくるのでしょうか。御意見を伺って、そんな気もしました。

【手島委員】 
 教育をどういう方向に進めていかないと、この持続可能な社会をつくれなくなってしまうのではないかということについての、多くの人の、特に学校教育の経営者、校長たちが、そのことにもっと、どう変えていかなければいけないかということに対して危機意識を持っていないと、進まないのではないかなと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【田村委員】 
 先ほど、大きな4番目のところが、簡単に言うと、広める、深める、そして国際的に推進すると確認しました。特に、広める、深めるという話は、「広める」はどちらかというと面的な拡大をし、「深める」は質的に高めていくという御説明を頂いた中で、三つほど感じたことをお伝えしたいと思います。
 まず一点目が、先ほどの地域や企業といったところを、もう少し前面に出すかどうかという話になったときに、「広める」の面的に拡大するという話の中にも、地域や企業というワードが出た方がいいということになりますと、丸1、丸2、丸3が学校と大学と若者となってきていますから、その次に丸4ぐらいが来て、少し目立った形で地域や企業というのが入ってくれば、少し強調されるのかなと。そのようなことは、大きな(2)の「深める」のところの3個目には、学校、NGO、企業、地域というのが出ているわけですので、それが一つの解決策になるかなと感じました。
 大きな二つ目は、(1)のところが「広める」ということだとするなら、これまで何度か話題になっているかと思うのですが、現在の学習指導要領や各学校が行っている教育課程自体が、そもそもESDをかなり含み込んでいるという議論が、繰り返しあったように思います。そうだとしますと、この12ページの丸1のアンダーラインが引かれている手引きのところの後に、「その際、この手引き作成の目的が、単一モデルを押し付ける」と書いてあって、しかも隣の13ページに行きまして、黒丸が5個並んできているわけですが、この辺がどちらかというと、ESDをかなり意識した教育課程の編成を作ることの手立てが示されているように見えるわけです。したがって、そういう意味では、12ページの下から4行目の「また」以降の「日々学校において実施されている授業とESDの実践との関係について分かりやすく説明することが必要である」という、この辺のところをむしろもう少し前の方に示してしまって、そもそも、そうなっているのだと示してはどうでしょうか。加えて言うなら、13ページの五つの丸とまた別に、つまり現在の教育課程をESDの視点で可視化するフレームみたいなものを、この手引書の中に入れることができれば、何かみんながやっているのだと納得できるものとして、この手引書の役割が一つ果たせるのではないか。
 例えばどういうことかといいますと、新潟県の上越市では、カリキュラムの単元配列一覧表を1個のボタンを押すことによって、環境教育の視点を押すと緑が浮き出すとか、キャリア教育のボタンを押すとキャリア関連のところの色が付くとか、そのようなカリキュラムを製作している自治体があるのですね。ですので、例えばですけれども、ESDというボタンを押すと、今学校で行われている教育活動のいろいろなところの色が付くみたいなものが、用意できればいいのかなと。これが、二つ目のアイデアとして考えられるかということです。
 三つ目が、今後質的に高めるという話になったときに、16ページに、交流の活性化ということが書かれているわけですが、どうもここが弱いのではないかという正直な印象があります。各学校の実践の質を高める上で、この手引きを使って交流が活性化されれば、恐らく少しは実現するけれども、同時に多分それを実現するのは、それぞれの学校等のESDに十分な知見のあるリーダーとなる人材の育成ではないかと考えます。このことが14ページの「さらに」以降で、教職員の理解を深めようということが書いてあるわけですが、こちらは、どちらかというと広くみんなに知ってもらおうということだとするなら、16ページの辺りでは、より深くというか、より確かにというか、具体的に言うと、カリキュラムが創造できる力とか、カリキュラムを管理・運用できる力とか、あるいは地域と連携しコーディネートしながら実践する力とか、あるいは新しい授業作りに改革できるような能力のあるようなESD的な力のあるリーダーとなる教師といいましょうか、学校の中の人材の育成が、先ほどのところと恐らくリンクするけれども、少し階層として分けて書くことができればよいのではないでしょうか。恐らく理解を広げることと質の高い実践は手引きといったものをベースにしながら人的育成で図られる可能性が高いのではないかと思いましたので、そのようなことも入れたらいいのかなと考えます。
 以上です。

【見上座長】 
 手引きを活用した質の向上ということですが、今、それを盛り込むか盛り込まないかは別として、新しい情報提供をさせていただきます。実は、お名前を出して構わないとおっしゃったので出しますが、奈良教育大学の学長の長友先生からの情報です。奈良教育大学は日本で最初にユネスコスクールに入った教員養成大学です。そういうこともあって、非常にESDを大事にされています。それで、ESDの質を高めるためにESD学会なるものがあった方がいいのではないかとお考えです。みんなが研究成果を発表して、質のいいESDの授業とはどういうものかというようなことについて、お互いに意見交換できる場があるといいねというお話をされておりまして、今、それを具体的に考えておられるようなのです。ただ、せっかくそういうものを作られるのであれば、同じようなESDの小さな学会ができるより、オールジャパンで何かみんなで一緒にできるといいなと思います。そうすることによって、UnivNetに加盟している大学自身も質が高まるのではないかと。
 阿部委員も御存じのように、UnivNetへの入会申請するときには、原則として大学として入会するものですから、学長の理解がないと、要するに理事会でオーケーが出ないと通りません。ですから、参加するときは、トップまで「ESDって何?」という形で説明が通ります。「それは悪いことじゃないから、うちも入ったらいいんじゃないの?」という形で入るのですが、長年続けていると、学長も交代して「ESDって何?」という状況になってきています。各大学のESD担当者は一生懸命頑張っていらっしゃるのですけれども、UnivNetそのものがそういう状況です。そういったことも、例えば学会みたいな活動を通じて、大学も学校も、そして場合によったらそこに企業の方も入っていただいて、一緒に考える場ができるといいのではないかという気がして、それも国内委員会が言い出すとか文部科学省が言い出すというのではなく、自発的に、大学がそういうことを言ってくださったのは、とてもいいことかなと思っています。

【見上座長】 
 どうぞ、秋永委員。

【秋永委員】 
 15ページのことですけれども、先ほど田村委員からのお話で、地域や企業をむしろ丸4番に盛り込んでもいいのではないかということで、非常に賛成です。思ったのは、むしろ丸1が学校で、丸2が大学で、丸3に地域や企業が入ってきてもいいのではないかなと。もしそうなら、そういった地域や企業が今持っている科学技術や文化を、きちんと次世代に伝えていく教育が必要で、そこへの、そうした地域や企業の参画が必要だという、一つの段落が作れるのではないかと思います。
 その上で、丸4の若者というのが来ると思うのですが、現在、若者という言葉だけが入っているのですが、その若者はきっと学校教員かもしれないですし、大学生かもしれないですし、地域や企業かもしれない。結局、それまでの丸1、丸2、丸3の組織に属する人々の中で若手の人々ということに、横串のような形になってくるのではないかと思います。ですから、「若者」とだけ書くのではなくて、そうした学校、企業、地域、自治体の組織からというふうに、少し具体化してもいいのではないかと思います。そうした人々が、この参画する意義というのも少し言葉を入れられたらいいなと思いまして、それは例えば所属している組織が、持続可能な社会のためにどう貢献できるかということを、きちんと考える、人材育成の意義があるとか、そういったことが書けるかなと思っております。
 もう一点は、若者の段落で、情報共有・発信等と書いてあるのですけれども、昨年の世界会議の後に自発的に生まれたことですが、ニュースレターという形で世界会議の後も各国の代表の取組や、その後起こしたアクションについて、その場合はメールマガジンだったのですけれども、月に1回配信をするという取組を自発的に行っております。これは国内でも多分同様で、もしそうしたことを組織立って、例えばこういう冊子で定期的に届くとかメールマガジンが届くということがあれば、そういうコミュニケーションを取り続けることで、結果としてネットワークが構築できるのではないかと思っております。
 以上です。

【見上座長】 
 ありがとうございました。一歩踏み込んだ御意見を頂きました。是非、事務局の方で、表記を御検討いただければと思います。
 ほかにございますでしょうか。

【見上座長】 
 どうぞお願いいたします。

【清原委員】 
 これは学校が中心としてかなり書かれていますので、実際のところは、前回も会議でもお話ししたのですが、学校指導要領自体にそもそもESDの趣旨がきちんと含まれています。しかも、学習指導要領に基づいて学校がその地域や学校の実態、子供の発達の段階や特性を十分考慮して教育課程を編成することになっているのですが、学校の主体的なカリキュラム編成となっているところと、そうではないところの差が大きいのではという気がします。その改善のためには、カリキュラムマネジメントの視点が大切であり、校長だけが動けばいいという話ではなくて、校長がリーダーシップを発揮しますけれども、実際にそのアイデアを出すのは教員や、あるいは地域との連携の中でというようなことが、非常に重要だと思います。先ほど田村委員も発言されましたけれども、14ページの辺りに何か少しカリキュラムマネジメントの視点が整理されると、すっきりするのかなという気がしました。
 それから、細かいところですが、3ページの最初のパラグラフの最後のところで、確かに学校教育における取組で始まってはいるのですが、第1パラグラフの最後のかぎ括弧、「『地域の人材やNPOが教育活動に関わってくれるようになった』という学校の変革」ではなくて、その前のかぎ括弧は学校の変革ですけれども、「学校及び地域も含めた変革」とか、学校だけの変革ではないので、何か言葉を少し直されるともっと伝わりやすいかなと思います。
 それから、最後の20ページですが、最初のパラグラフで、「例えば」で始まって「ESD先進国との二か国間での連携」、別に二か国で連携しなくてもいいわけで、お互いに、何か国かでもやってもいいわけで、この「二か国での」は、かなり要らないのではないか。非常に細かいところですが、検討をお願いいたします。

【見上座長】 
 ありがとうございます。そうですね。
 ほかにはございますか。どうぞ。

【田村委員】 
 先ほど座長からお話があったとおり、ここに載るかどうかは全く別で、少し考えていることがありまして申し上げます。先ほどESDの資質・能力ということについて議論があったところかと思います。最後の4.の(3)のところには、国際的にいかに推進するかという話のときに、日本のESDの良さをオリジナルなものとして、いかに発信するかというところがあるのだと思います。その際に、発信するということは、日本から始めたことはもちろん大きな強みではあるものの、日本の国内で行われているこのESDの取組が、世界に先駆けてすぐれたものがあることを、我々が自覚し、そこを出すことこそが、この推進に資するのではないかなと思うところです。そうすると、我々が持っている、この日本で行われてきているESDの強みが何かということを自覚しなければいけなくて、私はそれが先ほどの資質・能力にあるのではないかなと考えます。そう考えたときに、その資質・能力が、いわゆるOECDが言っているキー・コンピテンシーだとか、世界の様々な議論の能力論と整合性が取れているものの、しかしながら、そこに日本的なオリジナルなものが見出せるかどうかということが、実は重要なポイントではないかと思っています。それは、例のOECD東北スクールの子供たちのプロジェクトの中で見えてきた、ふるさとや郷土を大切にする態度や資質が能力の発揮に寄与しているというデータも出ているわけです。載せるかどうかは別ですが、そういう資質・能力の検討等をしたり、今後推進したりするときに、私たちが進めてきた日本のESDの良さが、特に日本という風土や国土の文化の中で恐らく私たちが何か磨き上げているものがあるのではないかと考えます。そのようなことを自覚し、世界に発信されていけば、とてもすばらしいのではないかと考えております。

【見上座長】 
 そうですね。ありがとうございます。
 余談になりますが、私自身が環境教育をやっていてESDにシフトしたときに、すごく気付いたことがあるのです。それは、例えば、山形のおじいちゃん、おばあちゃんから聞いたのですが、これはいろいろなところでおもしろいから申し上げていて、もう何度も聞いたとおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんけれども、柿がなると、一番下のところは旅人のためにそのままとっておくのだと。真ん中は自分のところが採って、一番上はカラスにあげるのだということがあったり、実際に自分の祖母と一緒にきのこを採りに行っても、全部取っちゃだめだよ、必ず少し残しておきなさいとか、来年のためにということがあるのですね。「ESDって日本の文化じゃないか」と思ったのですね。もちろん新しいこともあるけれども、日本の文化に根差した部分もあり、こういったことも含めて教育の中に取り込んで、それが発信できたらすごいアピールになるのかなと、今伺って気がいたしました。
 ほかにございますでしょうか。
 一通り意見を頂戴しました。本日、進行説明を受けたときに、もしかすると、ここまでまとまったので、もう余り御意見が出ないかもしれないので、早めに終わるかもしれないという話もあったのですが、本当にたくさん御意見を頂きまして、ありがとうございました。これを、またまとめていただきたいと思います。次回の分科会で改めて出していただいて、次回の7月末に最終的なものにしたいと考えております。
 もし、今日、これを言うのを忘れたとか、お気付きの点がある場合は、7月10日金曜日までに事務局に御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。 議題の2、その他、特に何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、予定より早いのですが、議事につきましては終わらせていただきたいと思います。御協力ありがとうございました。

【野田国際統括官補佐】 
 事務局から一点連絡ですが、指導資料と指導要領につきましては、回収させていただきますので机上に置いておいていただければと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 次回は、7月24日金曜日10時からということで、10時から12時までの開催の予定でございます。今日はありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

国際統括官付