第3回ESD特別分科会 議事録

1. 日時

平成27年5月18日(月曜日)10時00分~12時00分

2. 場所

文部科学省国際課応接室(12階)

3. 出席者

(委員)
見上一幸(座長)、秋永名美、阿部宏史、岡本弥彦、清原洋一、後藤顕一、重政子、田村学、手島利夫、羽入佐和子、林原行雄、〔敬称略〕

(事務局)
山脇良雄日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、
籾井圭子日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4. 議事

【見上座長】  
 本日は御多忙のところ、御出席いただきましてありがとうございます。
 大分、東京を含めて全国的に暑くなりました。クールビズのシーズンも始まったようですので、私も途中で上着を脱がせていただくかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の配付資料につきまして、事務局から資料確認をお願いしたいと思います。

【野田国際統括官補佐】 
 御確認申し上げます。
 座席表を1枚めくっていただきますと、本日の議事次第がございます。
 配付資料としまして、資料1、第2回特別分科会議事録、資料2、ESDの推進に当たっての課題の整理及び推進方策についての論点ペーパー(案)、資料3、ESD特別分科会スケジュール(案)、そのほかに参考資料としまして、参考資料1、ESD特別分科会設置要綱、参考資料2、同委員名簿、参考資料3、ESDの更なる推進に向けた取組(検討項目案)、参考資料4、ESDの更なる推進に向けた取組(検討項目案)現状と課題、参考資料5、平成27年度予算主要事項からの抜粋、参考資料6、現行学習指導要領での「持続可能な(社会の構築)」の言及箇所、参考資料7、平成26年度ユネスコスクール(ASPNet)アンケートポイントでございます。
 このほかに、机上配付資料としましてオレンジ色と肌色の高等学校編の学習指導要領並びに指導資料が乗ってございます。
 資料は以上でございます。

【見上座長】 
 はい、ありがとうございました。
 欠けている資料、ございませんでしょうか。
 それでは、早速、議題の1に入りたいと思います。
 これまで、前回、前々回と議論をしていただきましたが、これを踏まえまして、ESDの推進に当たっての課題の整理及び推進方策について御議論いただきたいと思います。また、本日を含めまして、これまでの議論は次回の会議で報告書案としてまとめまして御議論いただきたいと思いますので、是非、活発な御議論をお願いします。
 では、資料2につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【籾井国際戦略企画官】 
 御説明いたします。
 資料2でございますけれども、前回お示ししました論点ペーパーに前回の御議論を踏まえて追記した部分、それから次回以降、具体的な報告書の案という形でおまとめいただきたいと思っているんですけれども、そうした報告書素案のベースとなるように、少し柱立てを整理した上でお示しをさせていただいております。
 1ページ目、これまでのESDの成果を追記してございます。2.以降、課題についての議論をしていただくわけなので、その前提としてESDの成果を追記しております。ここで挙げているものにつきましては、これまでジャパンレポート等、昨年末に10年間の成果として取りまとめたものを挙げております。
 それから、2ページ以降がESDの取組の推進に関する課題ということで、まず最初に学校現場での取組の推進に関する課題につきましては、全体を少しコンパクトにはしましたが、基本的なベースは前回お示ししたものと変わっておりません。ただし、教員研修について、もう少し行うことが必要という御意見がございましたので、その部分だけ、課題については追記をしております。
 それから、(2)がユネスコスクールでの取組の推進に関する課題でございますけれども、こちらにつきましては御議論というよりはユネスコスクールのアンケートの結果をまとめました。本日、参考資料7としましてポイントだけ御紹介しておりますけれども、そうしたアンケート結果の中で示された課題というのを幾つか追記しております。内容といたしましては、ユネスコスクールの活動の活性化のためには、もう少しユネスコスクールの具体的な取組に関する情報の充実が必要だということですとか、あと、技術的、語学的な部分も含めて活動の支援が必要だというようなことが挙げられております。参考資料7につきましては、適宜、御参照いただければと思います。
 それから、(3)の大学におけるESD推進の課題を挙げております。ここは大きく分けて二つございまして、まず一つは、大学自身において、各専門分野の学びの前提として統合的・分野横断的なアプローチの必要性を理解してもらう必要があるんじゃないかということ。それから、学校への支援、学校と大学との連携が構築されていないとか、ユネスコスクールアンケートの中で出てきたものとして、より学習プログラム作りに関連するような大学からの支援を求める声が上げられているということがございます。それから、前回の御議論で御指摘いただきましたESDを取り入れた教員養成を行っている大学がまだ限定的であるということを追記させていただいております。
 (4)は地域におけるESD推進の課題、(5)が国際的なESDの推進に係る課題でございますけれども、こちらについては前回お示ししたものと同じでございます。
 3.といたしまして、ESDの推進方策の検討の方向性というのを幾つか示しておりまして、それを受けて4.の方で具体的な方策の検討ということで、より具体的にこういう方策を実施していくことが必要なんだということを示させていただいておりますので、3.の説明は割愛をさせていただきまして、4.に移りたいと思います。
 5ページでございます。まず最初に学校現場の取組についてということで、前回御議論いただきました実践の手引きを作成するということを挙げております。その際、前回、作っただけではだめなんだという御意見があったということを踏まえまして、より実際に活用してもらうような形で実践の手引きの作成を検討していく必要があると。そのためには、単に取組の事例を示すだけでは、学校もどうしても優良なモデルとして見てしまって、自分たちが実際にそれを活用してどうやっていったらいいのかということが分からなくなるので、学習活動の例を示すに当たっては、例えば準備プロセスも示すとか、それから作っただけで終わりにならないように、実際に例えば教員や地域のコーディネーターの研修で活用するといったような、その手引きを使用する場面というのも併せて検討することが必要ということを明示しております。
 6ページに移りまして、更にそれに加えまして、実際にその手引きができた後に教員同士が生の体験というのを共有する場を併せて提供する必要があるんじゃないかと。ユネスコスクールに関して、今、既にウェブサイトがございまして、一応、ユネスコスクールの各種取組というのを共有できるようになっておりますけれども、これについては、またユネスコスクールのところでも課題に挙がっておりますが、まだまだ十分にウェブサイトが活用されているとは言えない状況にございまして、そうしたウェブサイトの見直しも含めて、こういう場を検討することが必要なんじゃないかと。
 それから、指導方法、学習評価、指導体制につきましては、前回の御議論で中教審の議論、アクティブラーニングですとかカリキュラムマネジメントの議論が正に今、行われているところなので、余り詳細に入り過ぎない方がいいんじゃないかという御指摘がございました。ただ、手引きを作るに当たって、全く触れないというのも、やっぱり先ほどのプロセスの話と絡めると不十分だと思われますので、何らかの形で触れつつも、中教審での議論を踏まえて、必要に応じて更に充実をしていくということでいかがかと思っております。
 それから、(2)に移りまして学校と大学の連携強化方策の検討ということなんですけれども、ここに関しましては、今、ASPUnivNetというESD、ユネスコスクールを支援する大学ネットワークがございますので、そういったネットワークの加盟大学を中心として、より学校での実践に関して大学が支援をしていけるような議論というのを、ASPUnivNetの自主性にも留意しながら開始してもらうことが必要なんじゃないかと。
 それから、今、行っているコンソーシアム事業は、正にユネスコスクールと、それから大学ですとか教育委員会ですとか地域での連携を推進するための事業でございますので、こうした取組で実際に大学がどういう支援を行っているかということも検証しながら、方策を具体的に検討していく必要があるだろうということでございます。
 (3)に移りまして、学校と地域との連携方策の検討につきましても、やはりコンソーシアム事業で少し検証してみる必要があるということと、前回の多摩市、岡山市の発表の中でも、自治体、教育委員会といったところがある程度の役割を果たしているということがうかがわれましたので、自治体、教育委員会の役割、そのようなコンソーシアムの中でどういう役割を果たしているのかということについて、特に見ていく必要があるんじゃないかということでございます。
 それから、今、申し上げました多摩市や岡山市の事例では、学校と地域をつなぐコーディネーター、多摩市の場合には指導主事がその役割を果たしているということでしたし、岡山市の場合は専従のコーディネーターを置いているというお話だったかと思いますけれども、こういったコーディネーターの発掘、育成が必要ではないかと。その際、やっぱり学校と地域をつなぐ以上は、学校現場のことについても十分分かっていただく必要があるという御指摘もございましたので、どういったスキル、知識が必要かということも併せて明確にしていく必要があるだろうということでございます。
 既に地域には社会教育主事とか公民館職員といったようなコーディネーター的な役割を果たしている方々もいらっしゃいますので、そういった方々との連携も必要だろうと。それから、逆に地域の既に活動されているコーディネーターからしてみると、学校側からどんなニーズがあるのかというのを知りたいという声もございますので、そこら辺をうまくつなぐような方策を考えていく必要があるんじゃないかということでございます。
 (4)に移りまして、ユネスコスクールの活動支援でございますけれども、ユネスコスクールについては、数が一定数増えてきまして、そこについても、引き続き拠点として拡充をしていくと同時に、より活性化、実質的な活動を担保していくためにはどうするかということを議論していく必要があるだろうと。既にユネスコスクールガイドラインというものが平成24年にできておりまして、そういったものも踏まえながら質の確保をしていくために、例えば公式ウェブサイトのより効果的な活用とか、あるいは全国大会をよりインタラクティブなものにしていくとか、それからユネスコスクール同士の日常的な交流を促進していくために全国協議会のようなものを設立できないかといったようなことを検討していってはどうかということを挙げさせていただいています。また、ユネスコスクールの活動支援という観点から、コンソーシアム事業を拡充するとともに、何らかのユネスコスクールの活動に関する財政的な支援の枠組みというのを考えていかないといけないんじゃないかということでございます。
 それから、(5)が大学によるESDの実践を促進するための方策でございますけれども、これまで余り大学自身がESDを実践するということを文科省としてもうたってこなかったということもございまして、一方で一部の大学では既にいろんな取組がされていますので、まずはそういったものを積極的に発信していくことが必要と。また、いろんな場面、学校への支援ですとか、それから教員研修、そして教員養成といったような場面でもASP UnivNetの加盟大学を中心にいろんな御議論をいただく必要があるんじゃないかということでございます。
 それから、地域での取組に関しては、先ほど学校と地域との連携という観点からの方策を挙げさせていただきましたけれども、連携部分だけでなくて、地域に根差した取組というのが今もいろいろなされておりますけれども、そういったものをより効果的につなげられるような情報共有の在り方というのを考えないといけないんじゃないかと。その中で、今、環境省の方で全国的な支援体制の構築というのを検討しておりますけれども、環境教育の分野に関わらず、多様なESDの実践をつなぐネットワークとして、文科省としても環境省と連携しながら、こういったものに関わっていく必要があるんじゃないかというのが二点目でございます。
 それから、地域での取組を持続可能なものとしていくためには、やっぱり若者の参画というのは不可欠と考えられますので、こういった若者をどうやって巻き込んでいくのかということも考えていかなければならないということでございます。
 それから、教員研修の在り方でございますけれども、教員というのはESDの効果的な実践には不可欠だというのは、もうこれまで2回の議論の中で強調されたところかと思います。研修が必要で、その際にこれから作っていこうとしている実践の手引きのようなものを用いて指導力向上のための研修を行うことが必要だろうと。それから、ちょうど次世代型教育推進センターが立ち上がったところでございますけれども、こういうところとも連携しながら、より効果的な研修方法を確立することが必要と。研修の場といたしましては、新しい研修の場を設けるというより、既に教員研修センターとか都道府県教育委員会が実施しているような、例えば総合的な学習の時間ですとか環境教育に関する研修のように、ESDと親和性の高いようなものに少しESDを取り入れてもらうような形で働きかけができないか考えております。
 それから、最後、国際でございますが、国際に関しては、ユネスコの信託基金ですとか、ユネスコ/日本ESD賞というものを創設いたしましたので、そういったものも通じて、引き続き日本が国際的なリーダーシップを発揮していくとともに、例えばドイツみたいなESD先進国との二国間での連携・協調というのも考えていくことが必要なんじゃないか。それから、今、ポスト2015年開発アジェンダの議論がされておりますけれども、今のところ、この中でESDが盛り込まれる見込みでございます。その今後のフォローアップとして、国際的なインディケーターの策定に貢献することが必要なんじゃないかということを挙げさせていただいております。
 以上でございます。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 それでは、ESDの推進方策、今回は全般ということで御議論をお願いいたします。今、籾井さんの方から御説明いただいたことにつきまして、御質問等ございましたらお願いします。
 はい、どうぞ。

【田村委員】 
 全体に関することで少し確認をお願いします。
 今回の論点ペーパーの取りまとめというのは、参考資料3の検討項目案がベースになって出てきていると理解してよろしいかと思うんですが、基本的な構造が、「広める、深める、国際的に」とあって、しかも、それぞれの項目は学校教育、ユネスコスクール、社会教育、地域という流れになっていると理解しています。ということは、基本的にESDの推進に向けた取組の大きな枠組みとしては、学校教育というものをまずはコアに考えながら、そこから地域、あるいは企業といったことへの波及効果を意識していると理解してよろしいのかということをお聞かせいただきたいと思います。

【見上座長】 
 いかがでしょうか。

【籾井国際戦略企画官】 
 御指摘のとおりなんですが、両方の側面があると思っておりまして、例えば具体的な推進方策、実践の手引きとかを作って実際に配付するとなると、学校というのが一番、文科省としては関わりが深い部分という意味で、学校教育がより具体的にはなっているんですけれども、一方で、例えば地域とか大学に関しては、学校と関わりなく地域で取り組んでいるような例もあると思いますので、そこの部分については、引き続き、例えば情報共有の改善とか、そういう形でのアプローチになっていくかと思います。ただ、実践の手引きに関しては、やはり学校が中心ということになると思います。

【見上座長】
 はい、手島委員。

【手島委員】 
 すみません、学校の現場から。ESDを全国で推進していかなきゃいけない。ある部分だけがやっていて、それで成果が出るかというと難しいというふうに考えます。そうすると、全国に学校教育のネットワークがあるわけですから、それをいかに活用していくのかということが大変重要なことだと考えます。ですから、学校教育を一つの核として、いろいろな地域の人材、あるいは企業のお力だとか、そういうものをうまく組み込んでいけるようなESDの作り込みをしていくことが大事かと考えます。
 以上です。

【籾井国際戦略企画官】 
 そこはおっしゃるとおりですけれども、一方で、地域でこれまでずっと取り組んでこられた方々の取組というのもありますので、そこはうまくつながるような形で考えていければというのが、私のコメントの趣旨でございます。

【見上座長】 
 地域は地域、学校は学校ではなくて。

【籾井国際戦略企画官】 
 ではなくてですね。

【見上座長】 
 学校を支える地域として一体ということですね。
 はい。

【羽入委員】 
 今の御議論と重なる部分が多いかと思いますけれども、先ほど田村先生がおっしゃったように、やはり学校が中心になって、学校教育が恐らく地域と連携をするというのが今後、基本的な特色というか、方向性になっていくのではないかと考えると、やはり学校が中心で、そして大学、地域が関連する組織と考えるのがいいのではないかと思います。同時に、最後の方に書いてありますが、どうしてもESDは国際性というのが特色でもあると思いますので、国内の話ではなくて、国際的に連携するとか、あるいは情報発信をするとか、そういう作りになっているという点で、私はこれで結構かと思います。
 一つだけ。この場ではESDが重要だということは共通認識になっていますが、何ゆえに重要なのかということを前文のようなところで書くことが必要ではないかと思いました。例えば、全く思いつきですけれども、2ページの最初のところに書いてくださっていますけれども、持続可能な社会の構築というのは、大前提だと思いますが、それを教育の場に移すことにどのような意味や意義があるかということを共通認識として少し表現しておいて、そして、そのためにこの推進が必要だという流れがあるとよいのではないかと思って伺っていました。

【見上座長】 
 ありがとうございます。大変大事な点を御指摘いただいたと思います。
 まず、国際性ということも御指摘いただきましたけれども、ちょうど今、皆様、御案内のとおり、小学校英語が本格的に始まり、なお、小学校から大学までの英語教育の重要さ、それから英語コミュニケーション能力というのが非常に注目されているときですので、ユネスコスクールというのは、今、委員おっしゃいましたように非常にいいシステムなので、これを大いに活用しながら、学校にとっては本当によい実践の場だと思うんですね。そのような方向が一つあろうかと思います。また、前段のところのなぜESDがという問題、学校で必要かということも、大事なところであろうかと思います。
 どうぞ御意見いただければと。はい、どうぞ、重委員。

【重委員】 
 ちょっと戻るようで申し訳ないんですが、学校を支える地域があるという、この意識は、地域の皆さんは学校を支えるという意識改革がなされてきていると思うんですが、学校の先生方は、学校に来た子供たちは自分たちが何とかしなきゃという、その責任感でぎゅうぎゅうになっていらっしゃるとよく伺うんですけれども、この教員研修の中にそういう意識改革のような、地域が学校を支えていく、どなたかが地域の中に浮かんでいる船が学校なんだということをよくおっしゃって、地域がいろんなことに加味していくことによって学校が豊かになるというお話がありましたけれども、具体的なお話で恐縮ですけど、教員研修の先生方がESDのことを学んでいかれるときに、私も学校に出前なんかで伺うと、これをどうやって授業に生かすか、まずそこにストレートに行きたいというお気持ちがお強いんですね。ですけれども、ESDを本当に理解していただくためには、地域と連携をして子供たちを育てていくんだという意識改革のところを何か専門性のある皆様方で先生方に意識を持っていただくということが大事ではないかなと、ついちょっと思いました。それが先生がおっしゃるように、ESDがなぜ学校に必要なのかというところとつながって、幾重にも書かないと、なかなか学校にESDを入れるためにどうしたらいいという、そこに特化してしまうというのはとても強く感じます。

【見上座長】 
 はい、ありがとうございました。
 手島委員。

【手島委員】 
 今のお話は、全くそのとおりだと思います。つまり、地域の未来を作るのは学校なんだと。その地域のいろいろな教育力をうまくまとめて学校の在り方をより活性化していくということは大変重要なことだろうと思うんです。ただ、そのことを、特に学校の中の先生方一人一人というよりも、むしろ、校長先生たちがどうそれを意識できるかというところが大事だと思います。そういう意味でも、ESDに関する校長研修というのがやはり重要な部分なんだろうなと感じております。

【見上座長】 
 どうぞ、秋永委員。

【秋永委員】 
 地域での取組について、もちろん、学校での取組も重要だと思うんですが、一方で私がすごく感じるのは、地域とは果たして誰がそこにいるんだろう、学校以外に誰がいるんだろうというのをいつも思いまして、住民のことを話しているのか、NGOさんたちのことなのか、いろいろあると思うんですが、私は是非、企業の関わりというのも重視していきたいと思っています。今、東京に本社があるとしても、営業所であったり、工場であったり、全国にその地域に根差している企業というのは多くあり、そういった経済活動がその地域の子供たちや家族の生活を支えていたり、その企業が持つ科学技術であったり、文化というものがその地域を形作っているというのがあると思うので、手引きであったり、教員研修をする際に、必ず地域に根差した企業の人が教育に関われる、彼らが持っているテクノロジーであったり、文化を学校教育にブリッジする仕組みというのを是非作っていきたいと思っております。なので、必ずしも教育者や先生は学校の先生だけである必要はなくて、例えばその企業の技術者だったり、工場だったり、営業の人が来たっていいんじゃないかなと思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 地域、企業、学校というところが一つのラインとして、地域によっては非常に地元の企業を大事にされて、子供たちが非常にその企業に関心を持って、高校、大学を卒業してからそこに就職するとかっていうのを聞くことがございます。そういう意味でも、企業というのは一つの大きな役割、ステークホルダーなんだと思います。
 はい、どうぞ、阿部委員。

【阿部委員】 
 今回の課題の整理の中で、大学のことを大分書いていただいて、大学の人間として、非常に責任を重く感じています。先ほど来の議論の中で、学校教育の中での重要性は非常によく分かります。それから、小、中、高まででしたら学習指導要領という形で、ある程度、制度的に取り組むことが可能であるということですね。ところが、大学の学問は基本的に自由が保障されているということで、それが逆効果で、大学の中にESDが広まらない。それから、大学トップの先生方も、ここにおられる見上先生を別にすれば、ESD自体に対する知識もありませんし、認識も薄いということで、大学教育に対するESDの重要性といいますか、サステイナビリティも含めて、もう少し中央の方からプッシュしていただいた方がいいのかなという気がいたします。それから、地方へ行きますと、大学が教員養成、学校教育、地域連携、国際連携を含めて、全てのことで地域の窓口になっているところがあります。そういう意味で、地方の中でのESDの中核的な存在としての大学の役割は、中央以上に大きいのではないかという気がします。そういうことも御理解いただければと思います。

【見上座長】 
 では、清原委員。

【清原委員】 
 学校、地域、あるいは大学、企業、その他とも連携するといった場合に、なかなか学校側で連携先とかがちゃんと捉えられているかというと、活性化しているところは確かに捉えているんですが、まとめの方にもコーディネーターが示されていますけれども、つなぐ人材を育てていかないと、両者をある程度理解した人たちを育てていくような環境を整えていかないと、なかなか進まないんじゃないか。つまり、学校で何か一生懸命、非常に効果的な取組をやった、それが人事異動でどこかに行くとなんてことがよくありますので、つなぐ人材が育つ環境を整えていくというのが一つ、重要かなというのを感じています。
 あと、もう一つ、阿部先生から大学のお話が出ましたけれども、大学の場合ですと、当然、地域という部分と、あとは専門性を高めて国際的な視点でどうするかという研究をされている、あるいは活動されている先生方もたくさんおられますので、そうした人たちともつなぐという意味で、当然、地域とつなぐということも大事ですが、もう一方で高校レベルになると、本当に専門家の方と学術的な面も含めたベースをしっかり育てる、そういったことを発展させていくということも重要じゃないかなと感じております。

【見上座長】 
 ありがとうございます。特に高校生辺りと企業、専門家辺りがつながると、小学校からずっとつながるということもあるかもしれません。
 岡本委員、お願いします。

【岡本委員】 
 私も大学の人間なものですから、先ほど阿部委員がおっしゃっていただいたことや、今、清原委員も最後に大学のことをおっしゃっていただいたので、ちょっとそれに関連したことを申し上げます。大学におけるESD推進の課題の中に教員養成というのが挙がってきているんですが、大学での専門的な部分のお話は先ほどお二人の先生もおっしゃっていただきましたので、教員養成という方にもうちょっとESDを色濃く入れることができないかなと思います。小中高等学校の方では、先ほどお話あったように学習指導要領がありますから、全国共通である程度、進めていくことができるわけですけど、大学の場合はそういうことがなかなか難しいです。ただし、教員養成課程の場合は、ある程度、カリキュラムが決まってきていますから、そこの中にESD的なものをどう入れていくかが課題になると思います。ただし、これは簡単なことでは行かないと思うんですけれども。
御承知かと思うんですが、教員養成課程というのは大きく三つのカテゴリーでカリキュラムが出来上がっています。各教科専門の、理科とか社会とか数学とかですね、そういう教科に関する科目と、それから教員としての専門性を高める教職としての科目があります。それからもう一つ、教員として一般教養をつけといてほしいという教員免許法施行規則66条の6で、そこに憲法だとか情報リテラシーとか、そういったようなものの科目も用意されています。そういったようなところにESDを取り入れ、やはり大学のときに最低限、ESDに関する見方、考え方を身につけた上で教員になるという、それが大学の教育の方にも影響があるでしょうし、そのように教員養成を受けた人は、今度は小・中・高等学校等の教員になれば、小・中学校、高等学校等のESDの推進にもつながるんじゃないかと思います。これは具体的にどうだというのはなかなかまだ難しいですけれども、是非教員養成課程のカリキュラムの中にESDを入れていくことの重要性というものをどこか論点の中にでも入れておいていただけたら有り難いかなと思います。
 以上です。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 手島委員。

【手島委員】 
 今、ユネスコスクールの、あるいは学校の取組の話と、そこから大学の話にちょっと進んできているんですが、そして、コーディネーターの話も出ていましたけれども、ユネスコスクールで言えば、先ほどの校長研修などについては、ただ、いわゆる知識的に何かを教え込むような研修会ではなく、できれば具体的に取り組めるような参加型の研修会を行うことが大事かなと思っています。それから、そういう場にはユネスコスクールでESDを実践してきたような、推進してきたような校長ですとか、あるいは国際的な見識を持つ有識者の方に参加していただいて、日本が世界に誇れるような研修にしていくということがすごく大事だろうと思うんです。それと、先ほどコーディネーターの話がありましたけれども、じゃあ、実際に学校教育をコーディネートしたり、いろんな指導、助言する人というので指導主事という立場の方々がいらっしゃるんで、指導主事の方々への研修会をどう持つのかということがやはり重要なことだと思うんです。これもESDというのはどういうものですかという理屈の面ばっかりじゃなくて、やはり実践を通じてESDに取り組んできた学校の事例ですとか、あるいは有識者の助言ですとか、そういうものを中心にして実践できるような内容にしていくことが大事だろうと。そうすると、学校教育をコーディネートしていける、組織的にコーディネートしていける指導主事の方々が活躍するということがもっともっと大事にできるようになってくるんじゃないかと思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 今、おっしゃった、例えば地域で非常にESDが盛んなところですと、教育委員会の指導主事の方も非常に熱心な方がおられますけど、先生がおっしゃる意味は、もっと一般的に広げる必要があるという意味ですか。

【手島委員】 
 そういう意味です。言葉が足りませんでした。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 どうぞ。

【後藤委員】 
 岡本委員、それから手島委員の御発言を受けて意見を述べます。地域を大事にする、学校の特色を大事にするという、それぞれ独自のものを大事にするという視点も大切ではあります。一方、大学における教員養成課程、各都道府県の指導主事の背景を見ますと、教科の専門性というのを背景にされている状況がございます。これを考慮するならば、学校教育においては、やはり教科が重要な位置付けになっているのは言うまでもございません。参考資料7の1ページ目を拝見させていただいても、ユネスコスクールにおいても、先生方にとっては、ESDに対する概念等の理解がなかなか難しいといった現状がございます。理念だけでは、理解がなかなか進まない、先生方の背景にある、学校教育の柱であり、具体である教科から具体を用いて理解を進めることが重要で、地域等身近な具体的な取組とともに、教科での具体的な取組を加え、両面で取り組んでいくことが、先生方にもひいては子供たちの深い理解につながっていくのではないかなと捉えました。
さらに、参考資料6について、御意見を申し上げます。大変よく、おまとめていただいているところですが、「持続可能な・・」というキーワードを抽出するという方法については、ある種の限界があるかとも感じております。前回、北村委員から「持続可能なというのが一つ、ラベルのように入っているだけのではないか」といった意味での御指摘がありました。私なりにもう一度、学習指導要領を眺めてみましたところ、確かにそういう面は、否めないと感じました。同時に、実は「持続可能な・・」という言葉自体が直接的に入っていなくても、かなりESDに係る内容が、もう既に教科等に入り込んでいることに気付かされます。例えば技術家庭では、教科そのものがESDの理念で進められています。「持続可能な・・」という言葉はほとんど出てこないのですが、内容とESDの理念との間に親和性が高く、しかし、それは、教科内容に埋め込まれているような形で記載がされていると感じました。そこで次に行わなければならない作業としては、「持続可能な・・」いう言葉の抽出を行うことだけではなく、もう一度、学習指導要領の教科等の内容をESDの視点で見直してみて、ESDが目指すような内容を抽出して、ESDの目指すものとの関係を整理していくことが必要であると考えました。教科等ではESD的なものが多く含まれていることに気づくのではないかと思います。もし、分かりにくいようでしたら、これがESDなのだという補助的な言葉も補いながら示していくような工夫をすれば、実践する方々への理解が進み、様々な教科等や領域の中にも多くのESD的な要素が入っていることが理解でき、授業自体も変わってくることが期待できます。そして地域とつながりを意識したような時間、総合的な学習の時間など、統合するような時間においても取り組んでいけるような意識が芽生えていけば、教科においても、それ以外の学校生活全体でも双方プラスになるのではないかなと思いました。
 さらに、指導主事の方を対象研修が必要なのではないかといったお話、本日、関係者席にいらっしゃる濱野先生などもかなり一生懸命、取り組まれています。他機関とも連携しながら、指導主事の方の指導というのを進めているのですが、やっぱり指導主事の先生方においても、ESDということに対して理解は進みつつあるものの、さらに一層理解を進める必要があると感じているところでございます。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 はい、田村委員。

【田村委員】 
 今日の論点ペーパーでいうと4ぽつのところをどうするかというのが議論の一番の中心になるんだと思います。その際に、4ぽつの中に(1)から(8)まで出ているわけです。つまり、今後の方策として8個項目が立っているという話になるわけですけれども、これは読んでみますと、かなり重なりがあるように見えてきます。どうしてこういう構成になるかというと、前半の項目の学校教育、ユネスコスクール、地域、国際というものに合わせて4ぽつが立ってくるので、項目が増えていくのではないかと感じます。もう一度、関係のあるものを関連付けて整理し直すというような構成を考えることができないのか。簡単に言いますと、4ぽつが少ない柱立てであればあるほど、ESD推進の方策を誰もがコンパクトに理解しやすいのではないかと感じています。
 その上で、(1)等について感じたことを申し上げますと、(1)に出てくる手引きについては必要なのではないかと感じたところですが、是非書き込む必要があるかと思ったことが三つありまして、一つ目はESDにチャレンジするということは教育課程の編成の問題になりますから、学習活動の例示等のみならず、教育課程の編成、カリキュラムの編成ということの言及が必要になるということです。二つ目が、学習活動については、正に問題の解決、発見に向けて、主体的、協働的に学ぶ、いわゆるアクティブラーニングの実現に資するものであるということの言及が――アクティブラーニングと書くかどうかは別ですが、あるといいのかなというのが二つ目です。三つ目が、留意点として、ESDというものが新たに学校教育に入るということがどうしても学校現場的に負荷を感じる部分になるので、現行の学習指導要領、教育課程の基準と極めて重なりが大きくて、今の学習指導要領を丁寧に行うことこそが、実はそこに向かうものであるというような新たに何かが付加されるという感覚でないものになることが非常に重要ではないかと感じました。
 加えて、もう一点、(3)のところを申し上げますと、ここでコーディネーターとか人材育成の話が出てきて、先ほどもつなぐ人材という話題が出てきましたけれども、恐らく我々が今、養成することが求められる人材には2種類あって、一つは学校教育というものに軸足を置きながらESDを推進し、地域等との一体感を生んでいく人材が必要だということだと思います。それは行政にいたり、学校にいたりする可能性があります。もう一つは、むしろ、地域にいらっしゃる方たちが地域のESDを推進していく、あるいはこれが企業等でもあるかもしれません。それぞれの人材によって求められる資質や能力といったものが違う可能性があるので、ここのところを明確に自覚し、そういった人材の育成に向けて何らかの時間や場所や資料の提供をするということを考えていく必要があるのではないかと感じました。
 以上です。

【見上座長】 
 ありがとうございました。事務局の方としては、いろいろ出てきた意見を、とにかく最大漏らさず網羅していただいているんだと思いますけど、この後の段階でもうちょっと整理した、系統性を持ったものになるんだろうと思います。
 羽入委員、お願いします。

【羽入委員】 
 皆様のお話を伺っていて、少し気がついたことを二点申し上げたいと思います。
 一つは5ページの4.のところの学校現場での取組についてということですが、ここに学校現場で組織として取り組むということが重要であるということを書き込むことが有益ではないかと思います。その理由は二つあって、一つは教育課程の話が出ましたが、組織として取り組むということは教育課程の中にそれが入ってくる可能性を示唆するということと、もう一つは先ほどから指導主事や校長先生のお話が出てきましたが、組織として取り組むということになればおのずとその方々のコミットが必要になってくるので、構造的にそういった観点が必要だということをここに書き込むというのはよいのではないかと思いました。
 それからもう一点ですが、6ページの(2)の大学との連携ということです。このとき、ESDと大学とのことでは三つ、大学に機能を期待するということがあり得るのではないか。一つは、サステイナブル・サイエンスのような専門性ということがあって、関連する人々、専門家が関わるということ、それからもう一つ、先ほど阿部先生もおっしゃっていたかと思いますけれども、大学はやはり地域の拠点になっているということがありますので、地域との関わりを持つ機能を生かして、このESDに関与していってほしいということと、もう一つは国際性。国際拠点になっている大学は非常に多いと思いますので、そういった専門性と地域性と国際性の三つの機能を大学に期待するというようなことを書いてよいのではないかと思いました。
 以上です。

【見上座長】 
 5ページの下のところですね。学校を組織としてという点、あるいは今の大学の役割として三つの点、御指摘いただきました。ありがとうございます。
 どうぞ。

【林原委員】 
 皆さんのお話を伺いまして、もっともな御指摘が多いと思っておりますが、何らかの具体的な推進方策を作るのが当委員会のこれからの課題だと思います。私は前にも申し上げたかと思いますけれども、ESDについて、国内委員会の場で、例えば今日みたいな会議で、いろいろお話を伺い、配付された書類を読ませていただいて、初めてESDというのがよく分かってきたというのが率直な印象です。こういう会議で皆さんのお話を聞くと、なるほど、ESDというのはこういうものなのかと、毎回、会議に出るたびに知識が深まっていくのを実感しており、恐らく現場の先生方にもそういう方が多いのではないかなと思います。その意味で何らかの格好で提言を出すのでしたら、どなたかがおっしゃっていましたけれども、そもそも何でESDなのかという一番肝心のところを、パンチ力のある表現で入れた方が、現場の先生等ESDを実行する人たちにより分かりやすいのではないかなと思います。つまり、エデュケーションについて、サステイナビリティが必要であって、かつ、デベロップメントが求められている事が、非常に大事なことであることを具体的かつ簡潔かつパンチ力のある表現で語ることがまず必要だと思います。
 それから、この文書の中に織り込むというよりも、具体的にこれから推進する上でのModus Operadiの一つとしてお聞きいただきたいと思いますが、現場で実際にESDをつかさどる方の努力次第によって、かなり効果が違ってくるということが、皆さんの議論の中で出ていたと思います。私も、共通に行き渡る組織を持って、システマチックに進めないと、個々の大学なり、個々の先生方の努力に、成果はかなり依存してしまうという面が危惧されると思います。したがって組織的なフレームワークを作り、ESDの活動がおのずと推進される仕組みを構築することが必要のように思います。中学校や高等学校については、ユネスコスクールという組織を活用すればよろしいと思います。大学についてはASP UnivNetを活用したいですが、まだ17校でありちょっと少ないと思います。企業が参加するのは大いに進めたいですが、何か共通のネットワークというものがないと、多くの企業に参加してもらうのは、なかなか難しいのでないかなと感じます。全くの思いつきですが、今後の方策の一つとして考えられるのは、例えば商工会議所の活用です。商工会議所というのは全国にあります。それから、これもいいかどうかは御異論があるかもしれませんが、ロータリークラブの活用というのもあります。ロータリークラブというのは熱心に社会活動をしており、中心となる組織もありますから、そこを活用することも考えられます。いずれにせよ、何らかのネットワークを使った推進を行えば、各地域のアンバランスをかなり平準化できるのではないかなと思います。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 先ほど羽入委員も御指摘されましたけれども、おっしゃったようにパンチ力を効かせて、学校でどうしてESDが大事なのか?と、なるべく簡潔に分かりやすくアピールすることがまず大事だと思っております。また、企業の方の観点から、商工会議所やロータリークラブのお話もされましたけど、大体、ESDに強く関わっているのは教員養成系の大学ですが、商工会議所等とのコンタクトがない学部でもあるんですね。ただ、大学改革の中で大分、様相が変わってきましたので、是非、そういったところにもESDというテーマで大学が役割を果たすということがとても大事かなと思いました。

【林原委員】 
 すみません、それからもう一つ、大学については、サークルをもっと活用するというのはいかがでしょうか。大学の場合、サークルでユネスコ活動する方が取り組みやすいのではないかなと思います。大学はたこつぼ的で、ESDをあまねく浸透させるためには、サークル活動の活用は効果が上がるのではないかなと思います。

【見上座長】 
 なるほどね。
 今、サークル活動のお話出ましたけど、ユネスコクラブというので、阿部委員、岡山の方ではいかがですか。

【阿部委員】 
 実は、私どもの大学ではユネスコクラブが途中で立ち消えになりまして、今、私が直接絡んでいるのは環境関係の活動をしている学生のサークルです。そこのところで地域のESD活動に参加させたり、それから私の所属学部が環境学関係ですから、学生に実際的な活動として紹介したりとか、そういうことでやっていますね。見上先生がおっしゃるように、ユネスコクラブという形で何かうまく組織化できれば、全国的なネットワークとして活動できるのではないかなと思います。

【見上座長】 
 今、玉川大学の小林先生が一生懸命、全国のネットを強くしようと努力されていますけど、私のおります宮城教育大学はまだ弱くて、まだ正式なユネスコクラブには至っていません。
 はい、どうぞ。

【手島委員】 
 そういうクラブとか、そういう活動というのは大変重要なことだと思いますし、それがネットワークできるということは、また広がりがある、こう思います。ただ、私たちが忘れてはいけないのは、やっぱりホールスクールアプローチということだと思うんです。全体としてどういう構想を持って大学がESDに取り組んでいるかということの中の一つのサークルであり、そのネットワークでありというふうなつながりが欲しいと思うんです。ですから、大学は大学としてどういう方向性を持っていくんだという学校としての大きな教育課程というような編成をしていくというような中に位置付けていくことをもっと重視していくべきだと私は思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 どうぞ、岡本委員。

【岡本委員】 
 今のお話で、大学での取組の中にサークル活動をとおっしゃっておられましたが、それも一つの可能性あると思うんですけれども、もっと広く多くの学生というのであれば、いわゆるボランティア活動ですね、それからインターンシップですね、そういったような制度を活用するのも一つの手じゃないかなと思っています。特に教員養成系の場合だと、今、ボランティア活動というのはだんだん義務付けをされてきていますので、学校ボランティアということで、例えばESDを先進的にやっている学校にボランティアに行くことで学生のESDに関する資質も上がるでしょうし、それからインターンシップでESD関係のことを熱心にやっている企業とか官公庁とか、そういったようなところに入っていくなんていうのも可能性としてはあるんじゃないかなと思います。先ほどおっしゃったように、大学全体でのカリキュラムというのはなかなか難しい面があるんですけれども、サークルまで取り込むというのはなかなか難しいので、ボランティアとかインターンシップ制度だと、割と入れやすいんじゃないかなと思いました。
 以上です。

【見上座長】 
 そうですね。
 では、重委員。

【重委員】 
 8ページの(6)の地域での取組を促進するための方策というところで、環境省が、環境教育・学習というふうにずっと書いてくださって、これ、とても大事なことだと思うんですけれども、私ども、地域の現場でいろいろな環境学習やら、それから自然体験活動を子供たちと一緒にするときには、省がいろいろまたがっているんですね。森林インストラクターは林野庁の関係だったり、それから河川の活動は国土交通省の河川整備公団だったりという、そういういろいろな省庁が連携をしているので、ここは環境省だけではなくて、むしろ各省庁の皆さんの取組も視野に入れるというふうに考えた方が現場では取り組みやすいんじゃないかと。

【見上座長】 
 確かにそうですね。環境教育というのもESDの大きな中の一つの柱ではあります。環境省さんが熱心にやっておられるので、非常にチームを組みやすいと思われます。

【籾井国際戦略企画官】
 環境省の中でも具体的な議論が始まっているので、そことも連携しながらということも挙げているので、当然、その中では他省庁との連携というのも入ってくると思います。

【重委員】 
 他省庁との連携も視野に入っていれば、もちろん、オッケーだと思うんですけれど。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 田村委員、どうぞ。

【田村委員】 
 最初に、学校といったことが核になるという確認をさせていただいたんですが、僕の感覚で、次に非常に大きな波及効果というか、広がり深めるポイントとなるのは、若者というか、ヤングジェネレーションをどうこのESDの主人公にするかということではないかなと思っています。というのは、ミレニアルズと言われる20代以降の世代は、我々がESDという以前にESD的価値観を持っている世代として育ってきています。私たちが様々に方策を考えることも重要なのですが、彼らが前面に出て様々なことを動かせる状況を作ってしまえば、実は極めてESDが目指すような価値観が広がったり、能力が発揮される可能性が高いのではないかなと思っているところがあります。とすると、(6)のところの最後に若者のというのが出てきているんですが、積極的に若い世代の学生ですとか、高校生でもいいですし、彼らが活躍できるフィールドを用意する、あるいはそれは場や時間ではなくてウェブ上なのかもしれませんけれども、そういったものを積極的に提供するといいましょうか、むしろ、そこに我々が頼っていくぐらいな考え方をした方がいいのではないかなと考えます。

【見上座長】 
 これからの時代、世界をどうするかというのを考えたときに、ESDというのは非常に中心的なテーマですので、そういう意味では、若者が自然とそういうことを頑張ってくれるだろうということもありますよね。

【田村委員】 
 活躍できるような時間や場やプラットフォームが用意されれば、おのずと動いていくと考えます。ですから、そこを積極的に用意してはどうかということです。

【見上座長】 
 ありがとうございます。
 今、秋永委員のお名前出ましたけど、どうですか。

【秋永委員】 
 いえいえ、ありがとうございます。
 きちんとした意見を申し上げるには、ちょっとまだじっくり考えたいなというところがあるんですけれども、一つ思ったのは、ユネスコスクールを中心として、学校との連携だったり、学校に対する評価や表彰制度は多分、すごく進んでいるんですけれども、もうちょっと個人の高校生以下のユースジェネレーションが応募できたり、日頃の取組や学びの活動を発表したりするような学会なのか、それは何かのコンテストなのか分からないんですけれども、そういうものがあってもいいのかなと思いました。結構、いろんな中高生と今、教育で関わりがある中で、部活動であったり、自然科学部であったり、いろいろあるんですけれども、を通して、例えば地域の教育に取り組もうとしている高校生も増えてきています。つい学校というかさがユネスコスクールに入っていないから、そういった取組を発表できない場がもしかしたらあるんじゃないかなと思うので、もっと個人が、例えば三人以上のチームであれば、その活動をもっと表に表現できる場を作っていけたらいいのかなと、ちょっとごめんなさい、ジャスト・ワン・アイデアなんですけれども。

【見上座長】 
 ありがとうございました。とにかく、そういったチャンス、場の提供というのが大事ではないかと思われます。
 はい、どうぞ。

【清原委員】 
 実際、国際調査などで、環境に対してそういう持続可能な社会という視点で日本の子供たちの意識がどうかというと、肯定的に答える割合が高いんですよね。問題は、いろんな質問項目を見た場合に、自分が積極的に関わるという意識がちょっと弱い感じがするんです。持続可能な社会に対する意識はあるのだから、それをいかに考え、行動するように、そういう場をいかに作っていくことが効果的かなということを強く感じております。
 それと、もう一つ、学校教育といった場合に、5ページのところにいきなりESDで始まっているんですけれども、指導要領について持続可能な社会という視点でいろいろ整理いただいたんですが、例えば今日の資料であれば、高等学校の総則、これは小学校、中学校も似たような書きぶりで始まっています。総則、15ページですね。第1款、教育課程編成の一般方針、1のところがそもそもなんですけれども、各学校においては、教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い、生徒の人間として調和の取れた育成を目指し、地域や学校の実態、課程や学科の特色、生徒の心身の発達の段階及び特性等を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとし、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとするというふうに、それ以降も続きますけれども、結局、この辺りのところというのはESDの根本的な考え方とも実は非常に共通しているはずなんです。ですから、学校現場の取組でというときに、そもそも学校が指導要領の趣旨、そういった視点で教育を行えば、必然的になるはずなんです。むしろ、それをもっと後押ししましょう、あるいはもっと進めましょうといったメッセージをうまく伝えると、学校の先生方も、今、どちらかというと多忙感といいますか、TALIS調査で多国と比較すると、日本の中学校の先生が一番、就労時間が長いという結果も出ていますので、また別なことをやるんだという意識では、多分、到底広まらないと思うんです。今でもやっている、でも、それをもっとやりましょうというようなメッセージをうまく伝えていただくと効果的かなという気はいたします。
 あと、さらになんですが、総則21ページのところ、これも典型的なところだけ示します。第5款の教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項ということで、3のところで指導計画の作成に当たって配慮すべき事項として、各学校においては、次の事項に配慮しながら、学校の創意工夫を生かし、全体として、調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。(1)が各教科・科目等について相互の関連を図り、発展的、系統的な指導ができるようにするというように示されていますので、先ほども校長等のカリキュラムマネジメントのお話も出てまいりましたけれども、実際、学校としてどういうことをやるのか、あるいは教科としても、いろいろとESDの要素が入っていますので、それをいかにつなぎ、発展させていくか。それをもっと後押しする、そういう意味でメッセージを出せたらいいんじゃないかなということを感じました。

【見上座長】 
 ありがとうございます。ESDを導入することで、より従来の考え方に従っても、より質の高い教育ができます、ということでしょうか。
 これにつきまして、皆様から何かございますか。はい、田村委員。

【田村委員】 
 4ぽつの(8)のところについてです。参考資料3でいうと一番下の国際的に浸透・充実させる取組というところになると思うんですが、ESDのことに関しては、やはり日本が先んずる形で提案し、実践をしてきたと思いますので、様々な連携をすることはもちろんなんですけれども、むしろ、日本国内でのここまでの取組ですとか、あるいは日本国内での実績を積極的に海外に発信していくということを行うことが大事なのではないかなと考えました。その際に、まず、元祖というか、一番最初にそういった提言をしたということであるとか、既に日本の各学校等では豊かな実践が行われ、地域でも取組がなされているんだということですとか、あるいはそういったものは日本の教育課程上に位置付けられている、しかもそのための具体的な学習活動のノウハウもあるんだということをうまくまとめて海外に積極的に発信をする。それはなぜかといえば、現在、PISA調査の結果などでも、日本の学力等については国際的にも評価され始めてきている状況ではないかと思っています。そういった日本のカリキュラムが国際的にも質の高いものであるということをアウトプットしていくチャンスがこのESDではないかなと思います。海外のいろんな国々が日本で行っていることを学べるように発信をするということが、実は国際的な浸透・充実につながっていくとともに、日本のよさも伝えられるものになるのではないかなと考えます。

【見上座長】 
 ありがとうございました。大事な御指摘だと思います。日本オリジナルという意味でも、本当に日本の若者が世界に誇っていいんだろうと思います。

【羽入委員】 
 ちょっとだけ関連して。

【見上座長】 
 はい、羽入委員、お願いします。

【羽入委員】 
 としますと、一番最初の成果のところにそのことは書いた方がいいと思いました。まず、意義があって、それからこれまで国際的にも誇るべき取組だということを書くということが重要なような気がいたします。

【見上座長】 
 そうですね。ありがとうございます。では、そのような形でまとめをよろしくお願いします。
 そのほか、御意見ございますでしょうか。
 先ほどから大学の役割というのが教員養成にも関わって出てまいりましたけど、阿部先生、いかがでしょう、ASP UnivNetというの、17大学、でしょうかね、何かその辺で落ち着いている感じがするんですけれども、その勢いみたいなものは、今、事務局として何かお感じになっているところはございますか。

【阿部委員】 
 一応、今、17大学ほどが参加し、ほかにも関心を持っている大学がオブザーバーという形で参加しております。それらが正式の加盟校になって活動するという形になってくると思います。ただ、それぞれの地域の教育委員会との連携、地域の中でもユネスコスクールに対する関心の高さによって大分違ってくると思います。その辺の地域と大学との連携ですね、そういったバランスが問題として残っているのかなという気がいたします。
 それから、それぞれの大学の中で、ユネスコスクールの支援やESDに関わっている教員の数が限られており、特定の先生方に負担がかかるという傾向も見られます。それで、大学の中でやはり理解が少ないと長続きしないということもございますので、その辺を大学全体として、恐らくユネスコスクールの支援ですとか教員養成だけではなくて、ほかの分野も含め、先ほど手島先生が言われたような大学でもホールスクールの考え方で全学的に推進していくという体制がないと、継続は難しいという気がいたします。

【見上座長】 
 以前はESDを研究、教育されている大学の集まり、HESDというものがございまして、宮城教育大学も入れていただいたんですけど、今、その活動というのはどんな感じでしょう。

【阿部委員】
 HESDフォーラムと名付けており、実はおとといワーキングレベルの集まりがありました。私の見るところ、大学のESDには、3の流れがあり、一つは教育学部を中心にした教員養成系の中でESDをいかに導入していくのかという流れです。もう一つは、この中にも書かれておるサステイナビリティ・サイエンス的な考え方で、これはどちらかといいますと、大学院レベル、あるいは研究色が強いところがあって、大学教育の中にESDを浸透させるという意味では、少しギャップがあるのかなという感じです。地方の大学ですと、それほど高いレベルの専門教育はしていなくても、地域と連携した環境活動とか、社会的な実践活動の中でESDをやっていきたいという思いがあり、そういった視点から言うと、サステイナビリティ・サイエンスは少しレベル的にギャップがある。実は、文科省の方で2006年度頃に、GPプログラムを環境教育・ESDというテーマで募集したことがあり、そのときに応募した大学が当時はまだESDが何のことか十分に分からないという状況で、これから大学教育の中でのESDを考えようということで、HESDフォーラムという組織を立ち上げました。ただし、その後の財政的な支援が続かなかったこともあって、今のところ、10大学ぐらいが残っていろいろと議論をしています。HESDフォーラムでは、学部とか教養教育とか、そちらの方のレベルの議論が中心になります。先ほど申し上げた教員養成、サステイナビリティ・サイエンス、それから学部、教養教育を中心にしたHESDの三つがうまく融合すれば、大学全体としてのESDの取組がまとまっていくのかなという気がしております。そういった大学の中での取組の現状と課題的なところをこの中でもう少し書いていただけるといいのかなという気がいたします。

【見上座長】 
 大学の中でその三つを横につなぐというのは難しいですかね。

【阿部委員】 
 そうですね、大学の状況によって、どこに力を入れているのかは、ばらばらになっているところがあり難しいですね。

【見上座長】 
 ありがとうございます。教員養成の方でも、もうちょっとネットワーク力を更に強くして、例えば免許状更新講習ですとか公開講座というようなところでもっと力強くやれると、先生方への浸透というのも、勢いがつくのかなと思っておりますが、なかなかそこのところがまだ物足りない状況ではあります。
 ほかに何かお気付きの点、ございますでしょうか。はい、どうぞ、手島委員。

【手島委員】 
 国際的なESD、これでいうと4ぽつの(8)に関連してくるんだと思うんですが、日本がESDの概念図としてこういうのに出している図があるんですけれども、これを国際的に出していったときに、どうも名古屋の世界会議のときにも、何でここに日本は人権とか民主主義を入れてないんだというような疑問を口にする方がいらっしゃったんですよ。だから、これをもう一回見直して、ESDってこういうものだよ、こういう良さがあるんですよって最初に伝えるところの概念として、もう少し活用できるような分かりやすい形にまとめ直していけるといいかなというような気はしております。

【見上座長】 
 なるほどね。今、実際にはどうでしょう、学校現場では人権とかを中心としたESDというのは結構やっているのですか。

【手島委員】 
 例えば命の教育であるとか、健康の問題であるとか、そういうことからいえばかなり大きな部分がありますし、学校教育の中で人権に取り組んでない学校というのは考えられませんので、それを大事な視点として教科領域をつなげていくということはできるんじゃないかと思います。ですから、そういう取組をしている学校も多いと思いますので、そのことはやはりこの図の中にうまく位置付くようになるといいなというふうな思いを持って眺めておりました。総合的な学習の時間の学習指導要領で示されている事例の中にも人権とか、そういう言葉がきっと入っていたと思うんですけど、そういう視点が実際に示されているんで、それをうまくみんなに伝えながら、また世界的な発信に生かしながらしていくことが大事かなと思いました。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 前々回、一番最初のときにユネスコスクールについては簡単な御議論をいただいた後、いわゆるユネスコスクールだけでなくて、いわゆる一般校でESDを進めるということで、より深く御議論いただいていると思います。それで、今日、もう一度、ユネスコスクールの今後ということで、ちょっとまた御意見を頂ければと思いますが、その点はいかがでしょうか。今、非常に数も増えておりますし、ある意味、ESDのリーダーとしての役割というのは非常になされていると思います。その一方で、メンバーにはなったけれども、何かもう一つ、忘れてしまっているような学校もあるようにお見受けするんですね。

【手島委員】 
 ユネスコスクールの中の一人として。
 大分増えてきて、実践に取り組んでいる学校は確かに多くありますし、関心も高まってきたことは感じております。ただ、今、お話のあったように、ある程度、登録に向けて、言われたからやったというような学校がないわけではないと思います。そのような学校の方々の間に「世界大会が終わって、ESDはもう終わったんだ。やらなくていいんだ。」という誤解が広まることが心配です。ESD推進のためのグローバル・アクション・プログラムが始まり、全国の学校教育においても、ESDは学習指導要領を踏まえて推進されていきますということをしっかり伝えて、各地域でのESD推進拠点として,一層実践を通じた活躍をしていくという役割を自覚していただくことが重要だと考えます。 そして、それと同時にユネスコスクールについても、今までの全国大会だけじゃなくて、これからは地方ごとのネットワークをもっと重視していき、そのまとまりの上に全国協議会というような在り方もできてくるんじゃないかと思います。ですから、形だけ全国協議会を作りましたということではなくて、各地域ごとで地域に根差したESDが進む、それをネットワーク化していくというような形が作れるといいかなと思っております。

【見上座長】 
 何箇所かにはコンソーシアムもできて活動が始まりましたけど、非常に活発な県とそれほどでもないところとありますので、今、おっしゃられた地域というのは県をまたいでということですかね。

【手島委員】 
 そうですね。

【見上座長】 
 数県の地域がまとまって何かお互いに高める活動をするといいのだろうと。

【手島委員】 
 はい。ですから、毎年のように全国大会を開いていただき支援していただいておりますが、今後は更に、地方大会を支援するようなシステムを作っていただくと、なおいいかなと。それと全国との関連ができていくということが大事かなと思いました。

【見上座長】 
 今現在、国の方からユネスコのパートナーシップ事業の経費を頂戴して、UnivNetを中心にいろいろな研修会を開いたり、地域がある程度、県をまたいで活発だと思うんですけども、そういったものをより全国を網羅するような形でできるといいということでしょうね。

【手島委員】 
 はい、そうですね。

【見上座長】 
 阿部委員、その辺り、いかがでしょうか。

【阿部委員】 
 少し気になるのは、大学が中心になり過ぎると少し問題があって、やはりそれぞれの学校相互のネットワークや自主的な取組を支えるという形にならないと、ネットワーク自体を大学が引っ張っていくという形になると、本末転倒になるという気がいたします。
 先週、私どもの岡山ESD推進協議会、これはRCE岡山の推進組織ですが、その集まりがあって、そのときに県内高等学校のユネスコスクールが集まって、連絡ネットワークを作るという説明があり、具体的に規約も出来上がっておりました。以前から、UnivNetの活動は、小学校とか中学校の義務教育が中心であったのですが、高等学校のユネスコスクールがネットワーク組織を立ち上げたということで、今、申し上げたような自主的な取組という意味では非常に意味があるという気がしました。そういう形で、できるだけ自発的、自律的に組織化されたものを支援していくという形が本来の姿としていいのかなと思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございました。今、御説明のとおりで、UnivNetを立ち上げるときに皆さんで話したのは、とにかく黒子に徹しようということです。小中高の教育の質を高めるために大学は何ができるかということですから、大学があまり前に出てしまうと、今度は逆に学校が大学に引きずられる形になってしまうと良くないということです。
 はい、田村委員、どうぞ。

【田村委員】 
 先ほどのユネスコスクール加盟校とそうではない一般校との温度差なり、あるいは一般校の質をどう上げるかというふうな話のときに、実践をしているそれぞれの学校の先生方が自らがこれはESDだと自覚しているかどうかということは恐らく2番目の問題で、ESDの趣旨にかなう教育活動をやっているかどうかがまず最優先されることになるんだと思います。と考えると、現在の教育課程で言うと、先ほど清原委員が言ったとおり、学習指導要領自体がかなりそういった傾向があるということ、そして手島委員がお話しされたように、その中でも総合的な学習の時間というものが非常にそこに資する教育課程上の時間であることは確かではないかと思います。と考えますと、ESDというワードを多くの学校が何かペーパー上に書くかどうかということよりも、現在の教育課程でいえば、総合的な学習の時間といったものがより一層、充実するということが実現されていけば、恐らく期待する方向に向かっていく可能性は高いのではないかというようなことがユネスコスクールに加盟している、いないに関わらず、恐らく一番分かりやすい推進の方向性になっていく可能性がある。総合的な学習の時間というのは小学校3年生から始まる教育課程上の時間ですから、低学年、あるいは幼児教育も視野に入れるとするならば、幼稚園教育要領というものもかなりESDに資するような理念でできていると僕は思いますし、低学年の教育課程上でもし言うならば、正に生活科といった時間がそこに非常に関係が深いのではないかと思いますので、今、申し上げた生活科、総合的な学習の時間、あるいは幼稚園であれば幼稚園教育要領といったものの趣旨を踏まえた実践の充実が先ほどお話あった一般の学校、全国の多くの学校がESD的な実践の充実に結び付くものになるのではないかと考えます。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 はい、手島委員。

【手島委員】 
 すごく賛成です。私はESDに取り組むというつもりでユネスコスクールとして一生懸命取組をしていたら、気が付いたら、これは総合的な学習だったというふうな思いを今、抱いているわけです。ですから、総合的な学習を本来あるべき姿、学習指導要領に書き込まれているような形できちんとできていくことが日本のESDを推進するのに大変役に立つことだなと思っています。その際なんですけれども、今回、アクティブラーニングということで、むしろ、学び方、あるいはそこで育てる資質・能力というものに対して、かなり注目が集まってきていると思うんです。それは大変重要なことで、是非今後、小学校だけでなく、中学校、高等学校にもどんどんそういうことが広がっていくことが望ましいなと思っております。
 それと同時に、教科横断的な学びというか、学際的な学びというのがESDの特徴だとも思います。ですから、総合的な学習の時間における教科横断的な学びの在り方をどう進めていくのかということは、総合的な学習の時間をもっと充実させてESDの推進につながるものにするためにも大事なことかなと思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 非常に私も感じているのは、ESDというのは、いわゆるオープンエンドの問題、課題に対して、自ら取り組んで、答えが必ずしも一つでなくても、いろんな答えを出せる。それを自分の意見とほかの人の意見と結論をもう一度議論するとか、非常にいいテーマであると思いますね。ですから、そういう形で、今、御指摘のように総合的学習の時間の中で質の高い授業が行われると、教育効果も高いんだろうと思います。

【手島委員】 
 今、何でそういうことを言ったかというと、ある教科、領域の中で取組をしていれば、それがESDなんですよっていう言い方って、結構されがちなんです。ですから、理科をこういうふうに指導を進めれば、それはESDですっていうふうに簡単に言っていただいては、ちょっといけないんじゃないか。それがほかの教科での学びとこうつながっているんですというようなつながりの中で語られるんであれば、それはESDですっていうことは十分あり得ると思っております。そのようなことをちょっと懸念しております。

【見上座長】 
 大分いろいろな観点から御議論いただいてまいりましたけれども、ほかにございませんでしょうか。
 はい、どうぞ。

【清原委員】 
 実際、ESDのいろんな幅広い意識を持って取り組む、そういう子供たちが大人になってということで筋道を考えた場合、いろんな負担があると思うんです。あと、ここにグローバル化というのがありますが、グローバル化というときにいろんな領域を統合しながらやりながらESDという視点で貢献する、そういう人たちもいるでしょうし、あとはもっと学術的なベースですね、それをきちんとした上で、その上でもっと高い視点で、つまり、先ほどいろいろ大学での取組の中で教員養成の部分だと、サステイナビリティ・サイエンスですか、そういったところに行くと、かなり高度な大学院レベルじゃないとなかなか扱えない。じゃあ、そこに達する人たちは、当然、いろんな幅広い視点を持つということはまず大前提なんですが、その上で、まず専門性を高めた上で更に広げようという貢献をする人たちもいるでしょうし、いろんな視点があるのかなと。ですから、だんだんその辺りは学校段階を進むに従って、そういうバラエティーを含みながら、子供たちを育てていく、育っていく、そういう状況が一番いいのかなということを感じています。
 あともう一点なんですが、研修のことで書き振りがちょっと気になったんですが、8ページの下の方ですね、ESD実践の手引きを用いてうんぬんとありますが、最初のぽつのところですが、研修は管理職を含め、全ての教員が受講することが望まれると、受講というのはどうも受け身のイメージが強いんで、むしろ、そうではなくて、全ての教員が理解し、関われるような状況を作ることが大事なんで、研修といったとき、ただ受けりゃあいいんだと、受け身の研修では全然効果はありませんので、むしろ、受講とかいう言葉よりも違った、もっと積極的な言葉にしていただくといいかなと感じました。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 一応、本日までの議論を踏まえて新たに取りまとめていただくということになろうかと思います。ほかにもございますか。
どうぞ、秋永委員。

【秋永委員】 
 先ほど田村委員からのお話にあったユネスコスクールの加盟の有無や教員の自覚の有無に関わらず、ESDの理念にかなった活動ができているかが最優先というところ、すごく賛成でございます。教員研修や、若しくは学校カリキュラムの中で是非議論していきたいなと思うのは、SDの部分ですね。サステイナやデベロップメントの部分をそれぞれの教育者や学校、若しくはステークホルダーがどう定義しているか、子供がどう自分たちの言葉でそれを理解し、発信できるようになるかというところもすごく重要だと思っています。ユネスコやこれまでの国の議論の中で、ある程度、サステイナやデベロップメントの定義は固まってきているとは思うんですけれども、それを必ずしも多分押し付ける必要はなく、その学校や地域、若しくは教科の中でどう持続可能な発展というのを定義できるかというのもすごく大事だと思いますので、ある程度、手引きで現在の仮設を与えることは大事だと思うんですが、教員研修であったり、ユネスコスクールの評価の中で、その定義も重要視していきたいと思っております。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 若者たちにサステイナビリティに関して、考えてもらい、議論してもらうということは大事なことです。今日の御議論にもありましたように、そういう中から若者が自身の考えでESDの方向を見てくれるんではないかという期待も持てるかと思います。
 いかがでしょう、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。たくさんの御意見いただきました。事務局の方で本日御議論いただいた内容を踏まえまして報告書の素案を作っていただくことになっております。次回の分科会でまた御論議いただきたいと思います。
 もし今日言い忘れた、あるいはこんなことを考えたということがございましたら、6月5日金曜日までに事務局の方に御連絡いただければと思います。
 それでは、続きまして議題の2でございますが、その他としてございますか。

【野田国際統括官補佐】 
 事務局から御説明申し上げます。
 資料3をご覧ください。今後の日程でございますけれども、ESD特別分科会のスケジュール(案)でございます。
 本日、5月18日に論点整理並びに推進方策について、ただ今御議論いただきましたけれども、それを踏まえまして、6月16日、第4回の特別分科会で報告書の素案についてかけさせていただきたいと考えております。それを踏まえまして、7月24日の第5回の分科会におきまして報告書案について最終調整をさせていただいた後、7月の末に報告書を決定させていただきたいと考えております。引き続きまして、8月には実践の手引き、これはまだ仮称でございますけれども、作成を開始しまして、およそ一年後、実践の手引きを完成させたいと考えております。引き続き御協力をお願い申し上げます。
 以上です。

【見上座長】 
 ありがとうございました。
 次回以降のスケジュールについて御確認いただきました。何かこれについて、御質問ございますでしょうか。
 では、よろしくお願いいたします。
 次回ですが、事務局から事前に御連絡してございますが、時間の変更がございます。6月16日火曜日の予定でございますが、10時から12時ということに変更されているそうです。午前10時から12時まで。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局の方、いかがでしょう。これで閉会にしてよろしいでしょうか。

【籾井国際戦略企画官】 
 すみません、7月24日につきましては予備日ということで御案内をさせていただいていたんですけれども、実際に議論をさせていただきまして、やはりもう一回は必要だろうということで、24日の10時から12時に開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

【見上座長】 
 7月24日も併せて10時から12時までということでございます。
 それでは、これで閉会したいと思います。本日は御多忙のところ、御出席ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

国際統括官付