ユネスコ活動に関する法律

最終改正:平成一六年六月二日法律第七六号

前文

 日本国民は、国際連合教育科学文化機関が世界平和の確立と人類の福祉の増進に貢献しつつあることの意義を高く評価し、この機関に加盟することによつて得た日本の国際的地位にかんがみ、政府及び国民の活動によりその事業に積極的に協力することを決意し、教育、科学及び文化を通じて、国際連合憲章、国際連合教育科学文化機関憲章及び世界人権宣言の精神の実現を図るため、ここにこの法律を制定する。

第一章 ユネスコ活動

(ユネスコ活動の目標)

第一条 わが国におけるユネスコ活動は、国際連合教育科学文化機関憲章(昭和二十六年条約第四号。以下「ユネスコ憲章」という。)の定めるところに従い、国際連合の精神に則つて、教育、科学及び文化を通じ、わが国民の間に広く国際的理解を深めるとともに、わが国民と世界諸国民との間に理解と協力の関係を進め、もつて世界の平和と人類の福祉に貢献することを目標とする。

(定義)

第二条 この法律において「ユネスコ活動」とは、国際連合教育科学文化機関(以下「ユネスコ」という。)の目的を実現するために行う活動をいう。

(国外諸機関との協力)

第三条 わが国におけるユネスコ活動は、ユネスコ、国際連合及びその専門機関、ユネスコ活動に関係のある国際団体並びに諸国の政府、ユネスコ国内委員会及びユネスコ活動に関係のある団体等と協力しつつ展開されなければならない。

(国及び地方公共団体の活動)

第四条 国又は地方公共団体は、第一条の目標を達成するため、自らユネスコ活動を行うとともに、必要があると認めるときは、民間のユネスコ活動に対し助言を与え、及びこれに協力するものとする。
 2 国又は地方公共団体は、民間のユネスコ活動振興上必要があると認める場合には、その助成のため、政令で定めるところにより、その事業に対し援助を与えることができる。
 3 国又は地方公共団体の機関が前二項の事項を実施するに当つては、第五条の日本ユネスコ国内委員会と緊密に連絡して行わなければならない。

第二章 日本ユネスコ国内委員会

(設置)

第五条 ユネスコ憲章第七条の規定の趣旨に従い、我が国におけるユネスコ活動に関する助言、企画、連絡及び調査のための機関として、文部科学省に、日本ユネスコ国内委員会(以下「国内委員会」という。)を置く。

(所掌事務の範囲及び権限)

第六条 国内委員会は、関係各大臣の諮問に応じて次に掲げる事項を調査審議し、及びこれらに関し必要と認める事項を関係各大臣に建議する。
  ユネスコ総会における政府代表及びユネスコに対する常駐の政府代表の選考に関する事項
  ユネスコ総会に対する議案の提出その他ユネスコ総会における議事に関する事項
  ユネスコ総会以外のユネスコに関係のある国際会議への参加に関する事項
  ユネスコに関係のある条約その他の国際約束の締結に関する事項
  国の行うユネスコ活動の実施計画に関する事項
  ユネスコの目的及びユネスコ活動に関する国民の理解の増進に関する事項
  民間のユネスコ活動に対して行うべき助言、協力及び援助に関する事項
  ユネスコ活動に関する法令の立案及び予算の編成についての基本方針に関する事項その他ユネスコ活動に関し必要な事項
 2 前項の規定による国内委員会に対する関係各大臣の諮問及び国内委員会の関係各大臣に対する建議は、関係各大臣が文部科学大臣以外の者であるときは、文部科学大臣を通じて行うものとする。
 3 国内委員会は、わが国におけるユネスコ活動の基本方針を策定するものとする。
 4 国内委員会は、ユネスコ活動に関し、国内のユネスコ活動に関係のある機関及び団体等並びに第三条の機関及び団体等と必要な連絡を保ち、及び情報の交換を行う。
 5 国内委員会は、ユネスコ活動に関する調査並びに資料の収集及び作成を行う。
 6 国内委員会は、集会の開催、出版物の頒布その他ユネスコの目的及びユネスコ活動に関する普及のために必要な事項を行うことができる。
 7 国内委員会は、ユネスコ活動に関し、地方公共団体、民間団体又は個人に対して必要な助言を与え、及びこれに協力することができる。

(外務大臣との関係)

第七条 国内委員会は、その対外事務を処理するに当り、その事務が国の対外施策に関連する場合には、外務大臣と緊密に連絡して行うものとする。
 2 外務大臣は、国内委員会の対外事務の処理について、国内委員会に対し必要な便宜を与え、これに協力するものとする。

(構成)

第八条 国内委員会は、六十人以内の委員で組織する。

(委員の任命)

第九条 委員は、次の各号に掲げる者につき、当該各号に掲げる員数以内を文部科学大臣が任命する。この場合において、文部科学大臣は、第一号から第四号まで及び第七号に掲げる者については、第十三条の選考小委員会の選考を経て国内委員会から推薦されたものにつき、内閣の承認を経て、任命するものとする。
  教育活動、科学活動及び文化活動の各領域を代表する者 十八人
  教育、科学及び文化の普及に関する諸領域を代表する者 十二人
  地域的なユネスコ活動の領域を代表する者 十二人
  学識経験者 七人
  衆議院議員のうちから衆議院の指名した者 四人
  参議院議員のうちから参議院の指名した者 三人
  政府の職員 四人

 2 委員の選考の基準について必要な事項は、政令で定める。

(委員の任期等)

第十条 委員(衆議院議員、参議院議員及び政府職員たる委員を除く。以下本条第二項及び第十一条第一項において同じ。)の任期は、三年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。
 2 委員は、再任されることができる。
 3 委員は、特別職とする。

(委員の解任)

第十一条 文部科学大臣は、委員が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その意に反してこれを解任することができる。
  破産手続開始の決定を受けた場合
  禁錮以上の刑に処せられた場合
  心身の故障のため職務の執行ができず、又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない行為があると文部科学大臣が認めた場合
 2 前項第三号の場合における解任については、文部科学大臣は、あらかじめ内閣の承認を経なければならない。

(会長及び副会長)

第十二条 国内委員会に会長一人及び副会長二人を置く。
 2 会長及び副会長は、委員の互選に基づき、文部科学大臣が任命する。
 3 会長は、会務を総理し、国内委員会を代表する。
 4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名したいずれかの一人が、その職務を代理し、又はその職務を行う。

(小委員会)

第十三条 国内委員会に、委員で組織する小委員会として運営小委員会、選考小委員会及び専門小委員会を置く。
 2 運営小委員会は、会務の運営に関する事項を審議する。
 3 選考小委員会は、国内委員会が文部科学大臣に対して委員の候補者として推薦すべき者の選考に関する事項を調査審議する。
 4 専門小委員会は、各専門の事項ごとに置き、それぞれ専門の事項を調査審議する。
 5 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、専門小委員会に、委員以外の者を調査委員として置くことができる。
 6 前四項に定めるもののほか、小委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

(委員等の手当及び旅費)

第十四条 委員及び調査委員は、別に定める手当及び旅費を受ける。

(会議)

第十五条 国内委員会の会議は、年二回会長が招集する。但し、会長は、必要があると認めるときは、臨時にこれを招集することができる。
第十六条 会議は、委員の過半数が出席しなければ、議事を開き、議決をすることができない。
 2 議事は、出席した委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
 3 前項の場合においては、会長は、委員として議決に加わることができない。

(議決権の委任)

第十七条 国内委員会は、第十九条の運営規則で定めるところにより、運営小委員会の議決又は運営小委員会と他の小委員会の合同の議決をもつて国内委員会の議決とすることができる。

(国内委員会の事務処理)

第十八条 国内委員会の事務は、文部科学省の内部部局として置かれる官房若しくは局又は文部科学省に置かれる国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第二十条第一項に規定する職のうち政令で定めるもの(次項において「担当部局等」という。)において処理する。
 2 担当部局等の長(担当部局等が国家行政組織法第二十条第一項に規定する職である場合にあつては、当該職を占める者。次項において「担当局長等」という。)は、会長の一般的監督の下に、前項の事務を処理するものとする。
 3 担当局長等は、第一項の事務を処理する場合において、ユネスコ活動の遂行のため国際慣行上必要があるときは、日本ユネスコ国内委員会事務総長という名称を用いることができる。

(運営規則)

第十九条 会長は、国内委員会の議決を経て、国内委員会の会議及び小委員会の運営に関し、必要な運営規則を定めることができる。

附則抄

(施行期日)

 1 この法律施行の期日は、公布の日から三箇月をこえない期間内において、政令で定める。

附則 (昭和二七年七月三一日法律第二七〇号) 抄

 1 この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。

附則 (昭和四九年六月一〇日法律第八二号) 抄

(施行期日)

 1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則 (昭和五八年一二月二日法律第七八号)

 1 この法律(第一条を除く。)は、昭和五十九年七月一日から施行する。

 2 この法律の施行の日の前日において法律の規定により置かれている機関等で、この法律の施行の日以後は国家行政組織法又はこの法律による改正後の関係法律の規定に基づく政令(以下「関係政令」という。)の規定により置かれることとなるものに関し必要となる経過措置その他この法律の施行に伴う関係政令の制定又は改廃に関し必要となる経過措置は、政令で定めることができる。

附則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
  附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日

(職員の身分引継ぎ)

第三条 この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びにこれらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。

(別に定める経過措置)

第三十条 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。

附則 (平成一一年一二月八日法律第一五一号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。

(経過措置)

第三条 民法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百四十九号)附則第三条第三項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者及びその保佐人に関するこの法律による改正規定の適用については、次に掲げる改正規定を除き、なお従前の例による。
  第四条の規定による非訟事件手続法第百三十八条の改正規定
  第七条中公証人法第十四条及び第十六条の改正規定
  第十四条の規定による帝都高速度交通営団法第十四条ノ六の改正規定
  第十七条の規定による私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第三十一条の改正規定
  第二十条中国家公務員法第五条第三項の改正規定
  第二十八条の規定による競馬法第二十三条の十三、日本中央競馬会法第十三条、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第五条第四項、科学技術会議設置法第七条第四項、宇宙開発委員会設置法第七条第四項、都市計画法第七十八条第四項、北方領土問題対策協会法第十一条、地価公示法第十五条第四項、航空事故調査委員会設置法第六条第四項及び国土利用計画法第三十九条第五項の改正規定
  第三十一条中建設業法第二十五条の四の改正規定
  第三十二条の規定による人権擁護委員法第七条第一項の改正規定
  第三十三条の規定による犯罪者予防更生法第八条第一項の改正規定
  第三十五条中労働組合法第十九条の四第一項及び第十九条の七第一項の改正規定
 十一 第四十四条中公職選挙法第五条の二第四項の改正規定
 十二 第五十条中建築基準法第八十条の二の改正規定
 十三 第五十四条中地方税法第四百二十六条の改正規定
 十四 第五十五条中商品取引所法第百四十一条第一項の改正規定
 十五 第五十六条中地方公務員法第九条第三項及び第八項の改正規定
 十六 第六十七条中土地収用法第五十四条の改正規定
 十七 第七十条の規定によるユネスコ活動に関する法律第十一条第一項、公安審査委員会設置法第七条及び社会保険審査官及び社会保険審査会法第二十四条の改正規定
 十八 第七十八条の規定による警察法第七条第四項及び第三十九条第二項の改正規定
 十九 第八十条の規定による労働保険審査官及び労働保険審査会法第三十条、公害等調整委員会設置法第九条及び公害健康被害の補償等に関する法律第百十六条の改正規定
 二十 第八十一条の規定による地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第二項の改正規定
 二十一 第八十四条の規定による農林漁業団体職員共済組合法第七十五条第一項の改正規定
 二十二 第九十七条中公害紛争処理法第十六条第二項の改正規定
 二十三 第百四条の規定による国会等の移転に関する法律第十五条第六項及び地方分権推進法第十三条第四項の改正規定
 二十四 第百八条の規定による日本銀行法第二十五条第一項の改正規定
 二十五 第百十条の規定による金融再生委員会設置法第九条第一号の改正規定

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

附則(平成一六年六月二日法律第七六号)抄

(施行期日)

第一条 この法律は、破産法(平成十六年法律第七十五号。次条第八項並びに附則第三条第八項、第五条第八項、第十六項及び第二十一項、第八条第三項並びに第十三条において「新破産法」という。)の施行の日から施行する。

(政令への委任)

第十四条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

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