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日本ユネスコ国内委員会

日本ユネスコ委員会第496回運営小委員会議事録

1.日時

平成27年6月30日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F3特別会議室(文部科学省3階)

3.出席者

〔委員〕安西祐一郎(委員長)、安達仁美、西園寺裕夫、羽入佐和子、早川信夫、広瀬晴子、見上一幸、山中伸一、吉見俊哉、林原行雄〔敬称略〕
〔事務局〕山脇日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、籾井日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【安西委員長】
 おはようございます。お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。運営小委員会を始めさせていただきます。
 会議を開くに当たりまして、まず事務局に、定足数の確認をお願いします。

【野田補佐】
 本日は、運営小委員会の御出席の委員が9名でございまして、委員の過半数7名以上となってございますので、定足数を満たしております。
 以上です。

【安西委員長】
 ありがとうございました。ただいまから、第496回の運営小委員会を開催させていただきます。
 本日の小委員会につきましては、会議の公開手続に基づきまして、公開で行っております。御発言はそのまま議事録に掲載されて、ホームページ等で公開されますので、よろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、前回会議以降、委員の異動がありましたので、その点、事務局からまず報告をお願いします。

【野田補佐】
 参考資料の1を御覧ください。6月1日付けでもって運営小委員会に、自然科学小委員会の委員長、植松光夫先生が新たに加わりました。本日は御欠席でございます。
 以上でございます。

【安西委員長】
 ありがとうございました。
 本日はユネスコ70周年に向けた取組について、それから、第38回ユネスコ総会への対応について、そして第137回国内委員会総会の議事日程案について、その3つの審議を予定しております。よろしくお願いいたします。
 本日の配付資料については、お手元に配付されているかと思いますけれども、不足等ありましたら、いつでも事務局にお知らせいただければと思います。
 それではまず、報告事項から始めさせていただきます。報告事項、前回の国内委員会総会の開催日、平成27年3月13日以降の国内委員会の活動につきましては、配付資料2にまとめさせていただいております。この報告書案は、7月14日に開催予定の第137回の総会に向けまして、更に見やすく、また充実したものにしたいと考えております。お気付きの点等ありましたら、7月8日の水曜日までに事務局宛てにお知らせいただければと思います。事務局の方でまとめて、7月14日の総会に提出させていただくということにできればと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、議題1に入らせていただきます。前回の国内委員会総会で議論していただきましたユネスコ70周年に向けた取組につきまして、日本ユネスコ国内委員会会長の70周年ステートメントとして発表する方向で検討を進めております。事務局から、ステートメントの骨子案及び案文を作成いただいております。ユネスコ70周年に向けた取組について、議題1でございますけれども、この案文を基に議論していただければと思います。
 まず、事務局から説明をお願いします。

【籾井企画官】
 御説明いたします。資料3、70周年ステートメント枠組み案、それから資料4のステートメント案を御覧ください。
 今回の70周年ステートメントでございますけれども、先ほど委員長から御紹介ありましたように、前回、3月に開催されました日本ユネスコ国内委員会の総会におきまして、ユネスコ設立70周年のこの機会に、改めてユネスコの役割などについて考え直して、ステートメントの形として発信してはどうかという御意見をいただきました。前回の総会での御意見、それから、4月に開催されました自然科学小委員会、それから人文・社会科学小委員会の合同委員会でも少し御議論いただきましたので、そういった点も踏まえながら、今回事務局で案を作成したものでございます。
 最初に、今後のスケジュールでございますけれども、本日御議論いただきまして、7月14日に開催されます日本ユネスコ国内委員会の総会で御議論いただいた後、その御議論も踏まえて全体、文言など調整をしながら確定をして、11月にパリで開催されますユネスコ総会の場で発表をしたいと考えております。
 それでは、資料3を御覧ください。全体の構成でございますが、まず1ページ目に1とありますけれども、ユネスコの今までの役割とこれからの方向性ということで、ユネスコ憲章というのがユネスコの在り方の大前提になりますので、そういった憲章の具体的な文言にも触れながら、ユネスコがこれまで果たしてきた役割、そして70年の間ユネスコを取り巻くいろいろな環境の変化がある中で、今後どうしていく必要があるのかということを書かせていただいております。中身は後ほど本文の方を見ながら御説明をさせていただきたいと思います。その総論の役割について書いた後に、2として、サステナビリティと多様性を推奨するための取組として、教育、科学、文化、あとコミュニケーションの分野でそれぞれ具体的に、ユネスコに何を期待するかというのを記述させていただいております。
 資料4を御覧ください。この資料3の枠組みを踏まえまして文章化したのが、資料4でございます。まず、1の、ユネスコの今までの役割とこれからの方向性でございます。ユネスコの役割を語る上で、ユネスコ憲章の「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という一文は、やはり再確認をしておく必要があるだろうということで、冒頭に書かせていただいております。この「人の心に平和のとりでを築く」という理念の下に、今までは、教育、科学、文化それぞれの分野で、協力と交流ということを中心に、国際平和にユネスコとしては活動をしてきたと。それと併せまして、ユネスコの特色として、民間のユネスコ活動、日本国内においてもユネスコ加盟以前から民間ユネスコ運動が発足していたわけですけれども、そういう民間での取組というのもユネスコの特色であるということを、まず冒頭で確認しております。
 その上で、ユネスコの創立から70年たつ中で、いろいろな環境が変わってきて、新たな問題が起こってきていると。その具体的な課題として、1ページの最後、ユネスコの役割変化の中で述べておりますけれども、例えば、これまでは単に教育、科学、文化を普及促進するというところに重点が置かれていたのが、教育を単に広めればいいだけではなく、質の向上が必要であるとか、科学も単に発展すればいいということではなく、持続可能な社会の構築に貢献することが必要である、それから文化についても多様性の尊重が必要であるというような、70年前には余り想定されていなかったような新しい課題が顕在化しているということを、1ページ目で指摘しております。
 2ページ目に参りまして、一方で、ユネスコ設立当初の課題、貧困とか飢餓といったような課題が全て解消されているわけではなく、特に途上国でのそれらの課題については、ユネスコとしても引き続き取り組んでいく必要があるということを確認しております。その上で、ではユネスコの特色としてどういう形でその役割を果たしていくかということでございますけれども、教育、科学、文化の推進という、いわゆるソフトパワーを使いながら国際社会で役割を果たしていくことが必要だというのが、2ページ目の最初の丸に書かれております。このソフトパワーという言葉に関しましては、ユネスコ本部が自ら使っている言葉ではありますけれども、その文言が適切かどうかというところも含めて、本日御議論をいただければと思っております。
 その上で、これからのユネスコに、具体的にどういった役割が求められるかということでございますけれども、15年ほど前のユネスコの中期戦略の中で、ユネスコ自身が、5つ、役割というのを列挙しておりまして、それが2ページ目の一番下の段落に書いてございますけれども、アイデアの実験室、a laboratory of ideas、それから規範の制定、クリアリングハウス、加盟国の能力開発、国際協力の触媒という5つの機能を自ら果たしていくべきということを整理しております。
 では、現状がどうなっているかといいますと、ユネスコの財政事情もありますが、クリアリングハウス的な事業がどうしても多くなっておりまして、アイデアの実験室という部分の役割が若干最近弱くなっていっているのではないかという指摘をした上で、3ページに参りまして、今後は教育、科学、文化に関する取組の指針を示しながら、21世紀のパラダイムシフトを促すシンクタンクとして、加盟国や国際社会を導いていくことがユネスコに求められているということで、総論の部分を締めております。
 2に入りまして、具体的にどういった事業をやっていくかということでございますけれども、3つの分野、2の最初の段落にかぎ括弧付きで挙げておりますが、「平和の構築」「公平で持続可能な開発」、それから「多様性の尊重と維持」という、この3つの分野に重点的に取り組んでいくべきであると。具体的に、教育分野でいいますと、先ほどのシンクタンク的な役割とも関連するのですが、ユネスコで、本日も参考資料の5でお配りしておりますけれども、教育を再考するという、英語で「Rethinking Education」というレポートを出しております。これはユネスコが主催したハイレベルの専門家会合において、今後の教育の在り方について議論したものでございます。その中で、教育は公共財であるというような議論はこれまでもされてきたところですけれども、教育を考えるに当たっては、知識へのアクセスの部分も併せて考えないといけない。そういう意味では、教育は共有財であると位置付けておりまして、そういう共有財としての教育というのを実現するために、ユネスコがシンクタンク的な役割を果たしてこれを具現化していく必要があるというのが、この参考5のレポートの一番メインのメッセージになっておりまして、教育事業全般がそういったことも念頭に置きつつ進められていく必要があるというのが2段落目でございます。
 3段落目は、これまでも日本として力を入れてきたところですけれども、ESDの重要性、それから更にグローバル化、地球市民としての倫理、価値観を醸成するグローバルシチズンシップ教育というものの重要性も確認をしております。
 科学の分野におきましては、持続可能性を確保するために、いろいろな地球規模の課題に取り組んでいくに当たっては、いろいろな分野が連携しながら進めていく、統合的なアプローチの必要性を確認しております。これは日本ユネスコ国内委員会がサステナビリティ・サイエンスという言葉を用いて提言しているところですけれども、その中身を書いたものでございます。
 更に文化の分野では、文化的多様性の実現というのをメインに挙げておりまして、特に世界人権宣言ですとか人権規約の中で述べられている文化的権利というものを具現化していくにはどうしたらいいかというところで、ユネスコにシンクタンク的な役割を期待しています。
 4ページに参りまして、文化財の保護・保全と活用につきましては、世界遺産や無形遺産、これらについては引き続き進めていただきたいと。最後、コミュニケーションにつきましては、我が国は余りコミュニケーション事業をこれまで積極的に、必ずしも参加してきていないですけれども、やはり平和構築のための有効な手段としてのコミュニケーションというのはあるので、コミュニケーション事業にも引き続き取り組んでいきたいと。最後に、前文の確認になりますけれども、ユネスコに対する期待、それから民間ユネスコ活動の重要性ということを述べた上で、日本としても、国民一人一人が平和に対する強い思いを抱いており、平和な国際社会の構築に向けて、ユネスコと協力しながら貢献していきたいということで締めております。
 最後に、このタイトル、今は仮で「忘れられた約束」ということで置いておりますけれども、これは、意図としては70年前から語り継がれているというか、言われているユネスコの役割を再確認した上で、70年のいろいろな変化を踏まえつつ、今後のユネスコの在り方について考えていく必要があるということで置いているんですが、必ずしも未来に向けた部分がこれでは表現し切れていないという気もいたしますので、ここについても御議論をいただければと思います。
 最後に、このオーディエンスですけれども、一応、今作成している意図としましては、ユネスコ設立70周年ですので、まずはユネスコに対して、この機会に改めて期待を述べるとともに、最近国内でもユネスコ活動って何なのかということが十分に伝わっていない部分もございますので、日本国内に向けて、こういう形で日本としてはユネスコの役割を期待していますという形で発信していければと考えています。
 以上です。

【安西委員長】 
 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明、資料の3と4がベースでありますけれども、御議論、御意見、御質問等、お願いできればと思います。大体11時までとれると思いますので、よろしくお願いします。どなたでも結構でございます。
 広瀬委員、お願いします。

【広瀬委員】 
 ありがとうございます。最初の始まりのところで、環境の変化ということなんですけれども、戦争は人の心の中で生まれるものであるからということから始まると、何となく抽象的な始まりなんですけれども、このときの背景として、やはりユネスコ設立の議論は第2次大戦の終結前に始まっていて、こういう悲惨な戦争を繰り返さない、それで最初はUNECOの予定だったんですね。原爆が落ちたのを見てSを加えたというような、とにかくこういう悲惨なことは繰り返さない、そのために、人の心の中で生まれる「戦う」という気持ちをなくすために、教育や文化、そういう、ある意味、ソフトパワーとおっしゃったけれども、そういうところで平和を広めていこうという、そこの切実な背景というのはちょっとやはり触れておかれると、そこが現在とは非常に違っていて、今は地域での紛争や何かはありますけれども、世界大戦のようなことは70年間起こっていない状況なので、そこでまたユネスコの役割というのはこれからどういうふうに見ていくのかというところが大きいのではないかと思うので、私は、その背景は少し触れておいた方がいいのではないかと思ったのですが、そういうコメントでございます。

【安西委員長】 
 ありがとうございます。
 山中次官、お願いします。

【山中事務次官】 
 これは、書いてあることは大変いいんですけれども、広瀬さんが言われたように、何か具体的な例というか、そういうものを書かないと、心にとまらないというか、さらさらときれいなことは言っているので、流れてはいくんですけれども、一体何を言いたいのかという、そこのところをやるためには何か具体的なものを入れた方がいいのではないのかと。ここではサステナビリティ、多様性なんですけれども、それにしても、サステナビリティにしても、地球環境の委員会、ICCPとか、いろいろなところで同じことは言っているものですから、そういう問題というものを指摘するときに、ユネスコとしてここの点を強調してほしい、だから次世代の教育だったら教育とか、そこのユネスコならでは視点というか、そういうものを言わないと、いろいろなところがやっているという感じがするので、ユネスコらしさを、日本としてはこういう部分で、多様性にしてもサステナビリティにしても出してほしいということをもうちょっと強く書いて、できればそこに、そんなに文章が長くなると駄目ですけれども、具体性を持たせるということがあった方がいいのではないかと思います。

【安西委員長】 
 ありがとうございます。
 それぞれ御意見をいただければと思います。今の山中次官、それから広瀬委員、それぞれごもっともだというふうに思います。
 早川委員、お願いします。

【早川委員】 
 今の意見に関連してなんですけれども、我が国がどう取り組んできたかということと世界との関わりという部分を、もう少し具体的に示した方がいいのかなと感じました。憲法の下、平和を希求する国民として日本は戦後こういった貢献をしてきたんだ、日本の国内での取組、そして海外に向けてこれまで取り組んできた取組、貢献といったことを、具体的に触れることによって、この先、そうしたこれまでの取組がどう展開していくべきなのかということに具体的につなげられるのではないか。そう表現することによって、より明確に世界に対するメッセージが伝わるのかなと、そんな印象を持って、この文章を読ませていただきました。
 全体のコンセプトというか考え方は、私は基本的にはいいと思うんですけれども、より日本の平和への貢献という役割について、世界に明確に発信する必要があるのではないだろうかという気がしました。

【安西委員長】 
 ありがとうございます。このスタンスが、日本としての貢献というより、ユネスコは今後こうあるべきだというのが抽象的な形で書いてある面はあるのかとは思います。
 これからの予定としては、7月の総会に意見をいただき、それから更に議論を続けて、11月のユネスコ総会に提出させていただくと、こういうスケジュールですので、まだある程度時間はございます。是非忌たんのない御意見をいただければと思います。
 林原委員、お願いします。

【林原委員】 
 70周年に当たってこういうステートメントを出すことは大変いいことだと思います。
 今拝見したばかりなので、思い付いたことだけを申し上げますと、冒頭にユネスコ憲章を持ってくることは、非常にいいことだと思います。ユネスコ憲章がなぜよく取り上げられるかというと、前文に「心の中に生まれたものであるから、心の中にとりでを作らなければいけない」という有名な言葉があり、ユネスコ憲章が非常に世界のいろいろなところで取り上げられるのではないかと思うのです。
 その意味からしますと、せっかくこういうステートメントを出すわけですから、このステートメントでも、冒頭の前文を読めばこのステートメントが言わんとしていることが伝わり、ステートメントがより世界にアピールするのではないかなと思います。ステートメントを全部読まない人もいるかしれないので、そういう人にもアピールできると思います。今いろいろ御意見が出た持続可能性とか、日本の貢献等、焦点を絞って前文に記載したらよいように思います。それが一つです。
 それから、忘れられた約束というのは、これはそのとおりかもしれませんが、ちょっと後ろ向きに過ぎませんかね。ユネスコが忘れていたと捉えられることは避けた方が良いように思います。かといっていい言葉が今すぐ思い付くわけではありませんが、皆さんの中にいい言葉を思いついて頂ければ良いと思います。
 先ほどありましたソフトパワーという言葉は、誰だったかナイさんが書いた本から来ているわけですね。ユネスコ本部が使われているなら、それでも構わないのでしょうけれども、彼が書いた本の言葉を使っていいかどうか、私は判断できませんけれども、御検討いただいても良いように思います。

【安西委員長】
 恐らくジョセフ・ナイだと思います。

【林原委員】 
 ジョセフ・ナイが書いた『ソフト・パワー』という本から来ているわけですよね。

【安西委員長】 
 はい、彼が最初に提言しました。

【林原委員】 
 それからあともう一つ、シンクタンク的機能という言葉ですが、立派なシンクタンクもあると思いますが、私は、シンクタンクよりもっとユネスコの方が高まいで、崇高な組織ではないかなと思っております。ユネスコ活動がシンクタンクというのは何となくひっかかります。
 今思い付いたところだけ申し上げました。

【安西委員長】 
 ありがとうございます。

【吉見委員】 
 70年間で何が変わったのかと考えてみますと、一番はっきり大きく変化したことの一つに、歴史の主体が変わったことがあるように思います。つまり、70年前を考えますと、国連もそうですけれども、どうしても政府あるいは国家が社会の変化を主導していくのが基本であったと思いますけれども、しかし70年たってみると、国民国家はもちろん力を持ってはいますけれども、同時に市民といいますか、具体的な人々のつながり、NGOやNPO、それから国境を越えてインターネットでつながっているような人々のネットワークが、時には国家を超えるほどの力を持ってきていることが、とても大きな変化だと思います。
 ということは、ユネスコができたときと、それから今で、やはり主体の変化といいますか、世界の歴史を、あるいは人類の歴史を大きく動かしていく主体の在り方というのが、コミュニケーションのシステムの変化等と重なって根本的に変化してきているという認識を、どこか最初に埋め込んでいただくことはできないでしょうか。そうすると、この70年の変化が何だったか、よりクリアに出てくるのではないかという気がいたします。
 仮にそういうことを考えますと、ソフトパワー、ハードパワーと今問題になったところにしても、「ソフトパワー」というだけでは、やはりちょっと問題の認識、視野が狭くなり過ぎてしまうということがあるように思います。安全保障や、それから経済開発など、これはやはり今もって国家主導といいますか、国が、政府がやらざるを得ない分野だと思いますけれども、しかし、教育、科学、文化の推進というのは、もちろん国も関与するのですけれども、むしろ人間、社会中心といいますか、世界の人々からの草の根的な動きといいますか、一人一人の人間のネットワークが時代を引っ張っていくのが現代です。そういうものをユネスコは媒介するといいますか、支える役割を担っている。国と国をつなぐのが国連だとするならば、ユネスコは人と人をつなぐという役割を持っているのですね。ちょっと単純な二分法になってしまいますけれども、国対人みたいな、そういう形で問題を整理していく方が、少し何か訴えられるかなという気がいたしました。
 先ほどのシンクタンクの話にしても、人間はというか、人類は、そうやって多少つながりを持ってきているんですけれども、それでも40億、50億の人が一つにつながるというのはそんな簡単ではないので、やはりそういう人々のつながりを導いていくリーダーとしてユネスコは重要な役割を担っているのだと思います。ですから、いわゆるシンクタンクというよりも、もうちょっと幅広い人類のための知的リーダーみたいな、そういう形の書き方もあるのかなという気がいたしました。そのくらいでございます。

【安西委員長】 
 ありがとうございます。それぞれ大変的を射た御意見で、ユネスコが国内向けにも、特に若い人たちにもう少し浸透してもらえるといいと思います。それにはやはり、本当にこれからの時代の人たちがユネスコをどう思ってくれるかということは大事で、そういうことを全部含んだ一種の戦略といいましょうか、そういう意味でのステートメントではあると思いますので、今いただいた御意見はそれぞれ、本当にそのとおりだと思います。

【安達委員】 
 お願いします。私の方で気が付いたというか、どうかなと思ったことなんですけれども、昨年の3月になされた活性化のための提言の文書があったではないですか。あれとの関連性というのはなくてもいいのかなということを若干、その日本らしさというところをアピールするときに、あのときの提言の中に若者とか、あとユースとかユネスコスクールとか、そういうキーワードがあったと思うんですけれども。
 今回のこのステートメントの中に若者とかというような言葉が入っていないところが気になった点と、あとは、先ほど広瀬委員がおっしゃっていたように、第2次世界大戦がやはりユネスコに関わるきっかけになったというところを考えると、今年は戦後70周年というところもありますので、そういうところとの関連は描かなくてもいいのかなというところが気になったところと、あとは、2年後、2017年は民間ユネスコ運動の発足70周年という時期が来ますので、そこで、ではまた何を出すのかということも関連しながらの今回の70周年のステートメントになるのかなということを思いました。
 以上です。

【安西委員長】 
 いろいろ御意見をいただいておりまして、第2次大戦当時からの、やはりユネスコのいろいろな歴史、それから蓄積、それからもちろんソフトパワーとかシンクタンクとか、そういう言葉遣いもそうですし、忘れられた約束というのはどう考えるかというのもそうですし、この論調というのは多様性と持続可能性ということだと思いますけれども、多様性というのは、一人一人の関係も非常に多様でありながら、それを一体どういうふうに持続させていくのかというのが大事な時代になっているということは、そのとおりだというふうに思います。
 また、山中次官が言われたように、具体的な例といいましょうか、それを入れていくべきだとは思いますので、先ほど籾井企画官が言われたユネスコの仮訳で、参考5の「Rethinking Education」の日本語版が後ろに付いていますけれども、これも結構具体例が入っていて、長いですから少し違うかとは思いますけれども、分かりやすくなっているとは思います。
 それから、若い世代に向けてのメッセージというのは、確かにおっしゃるとおり、それぞれみんなおっしゃるとおりで、ただ、イメージは皆さんとシェアできているように思いますので、是非いい形に書き換えられればと思います。

【西園寺委員】 
 これは、最後に出す段階では英語に直して出すということですよね。

【安西委員長】 
 はい。

【西園寺委員】 
 ですから言葉遣いも、日本語の場合と、またそれを英語に置き換えたときのニュアンスの違いというのが出てきますね。

【安西委員長】 
 それは両バージョン作成すると思います。国内でも流通させると思いますので。

【羽入委員】 
 よろしいでしょうか。

【安西委員長】 
 お願いします。

【羽入委員】 
 皆様の御意見を伺っていて、思い付きですけれども、具体的であるということが訴えるためには重要だというのは、とても賛同いたします。
 それで、構造ですけれども、全体を読んでくださる方は少ないのではないかというお話もございましたが、やはり前文があるといいかなと思いました。こういう意図で今回日本の委員会がステートメントを出すんだと、その意図はどういうことであるということを確実に、短い形で書く。それは次世代に向けての発信というか、意思表示でもあるというようなことを書いて、たとえユネスコという言葉は知られなくても、ここに何か非常に高まいな精神が表されていると感じられる前文があるといいと思います。
 それともう一つですが、当然のことながら、教育、文化、科学がユネスコの大きな要素だとは思いますが、今その教育の在り方も、それから科学の在り方も、そしてそれと同時に文化の在り方も、相互作用を持ちながら大きく変わっているように思います。後ろの方にパラダイムシフトと書いてくださっていますけれども、そういった3つの要素が、それぞれではもう語れない状況になっているというようなことも今の時期の特色かと思っております。
 以上です。

【安西委員長】 
 おっしゃるとおり、前文といいましょうか、やはり何か付けていただいた方がいいと思います。林原委員も最初のワンパラグラフで分からないというのをおっしゃっておられて、そのとおりだと思います。
 私も、本務の方はサイエンスに近いものですから科学にも関係しており、教育にも関係しておりまして、文化全般、今、羽入委員が言われたように、本当に大きな時代の曲がり角で、吉見委員が言われたような、大きな世界の流れの中で起こっていることだと思いますので、そういったことを、ここにおられる委員の皆様の関心もおありだと思うので、この件についてはもう少し密に連絡を取っていけるといいと思います。

【籾井企画官】
 メールでまた、総会までの間に、委員長とも御相談しながら何度か共有をさせていただければと思います。

【安西委員長】 
 そういうチャンネルを作っておいていただけると、有り難いと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。

【羽入委員】 
 もう一つだけよろしいでしょうか。先ほど吉見先生がおっしゃっていたことにちょっと触発されたんですけれども、知的リーダーになってほしいということをおっしゃっていました。そのときの知というのが、もしかしたらキーワードになるかと思いました。それをどういう英語を使うかということも。それからもう一つ気になった言葉として、人の心の中に生まれるというときの「心」をどう訳すかというのも、少し工夫をすると魅力的になるかなというふうに。

【安西委員長】 
 その辺は、哲学者でいらっしゃる羽入委員に伺わなければいけないことなのですが。。

【羽入委員】 
 いえ。ただ難しいなと思って聞いていました。

【安西委員長】 
 なかなか英語にするときに、確かに翻訳の不可能性みたいな、そういう可能性はあると思います。

【西園寺委員】 
 今の発言に関連してなんですけれども、この3ページ目のところに、こうした教育は人類の知識、知恵、倫理観を総合的に高めるものでなければならないと。その知という部分についてはかなりフォーカスされていると思うんですけれども、やはりこれから本当に平和というものを目指す上において、一人一人の倫理観みたいなものをどうやって醸成していくかというのが、もう一歩ユネスコがそこまで踏み込んでいくべきではないかなというふうな気がするんですね。それは教育だけではなくて科学の面においてもそうですし、文化の多様性というのも非常に関係してくる要素だと思いますので、この文章を入れていただいたのは、私は非常によかったのではないかなというふうには思っています。

【安西委員長】 
 私も倫理という言葉が入っているのは非常にいいことだと思っておりました。
 ほかにはいかがでしょう。

【林原委員】 
 長さはこのくらいでいいのではないかと思います。あまり長くしても、かえってアピール性が欠けるのではないかと思いますので、このぐらいの長さでいいと思います。それでも少々長いので、繰り返しになりますけれども、前文と終わりに、このステートメントのキーワードとなる言葉を含め、簡潔に内容を伝える文章がほしいように思います。これは恐らく、安西ドクトリンみたいな格好でリファーされることになると思うので、私は先ほど委員長がおっしゃっていました持続可能性、サステナビリティ、多様性というような70年前にはなかった新しいキーワードを含めて前文を作り、強くアピールするステートメントするのがいいのではないかなと思います。
 西園寺さんからありましたとおり、英文についても、どなたが作るのか知りませんけれども、日本文と必ずしも全部全く同じにする必要はないと思いますけれども、非常にアピールする英文にしていただけると非常にいいのではないかなと思うんですが。

【安西委員長】 
 多少の時間はありますので、英語についても練りながらやっていただいて、いろいろアピールできるようにしていただければと思います。よろしいでしょうか。
 教育も科学も文化も、大きな時代の流れの中で、いろいろな意味で今までの制度等々が揺らいできているとは思います。科学も国家観、いわゆる経済的なイノベーションと科学の関係とか、そういう問題はやはり非常に似ておりまして、サイエンスというのは、研究者の知的営みである一方で、教育もそうだと思いますけれども、そういうことが浮上してきている時代に、このユネスコへの提言が国内、国外へ向けたアピールとなればと思います。一応論調は多様性と持続可能性ということになっておりますけれども、まだ時間はございますので、特にこの運営小委員会の委員の先生方におかれましては是非率直な御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 大変貴重で、特に誠実な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。何とかいいアピールにまとめていければと思います。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、ありがとうございました。一応7月14日の総会に出して議論をしていただくようにいたしますので、そこへ出す資料の文面については、こちらへお任せいただいてよろしいでしょうか。今の御意見も踏まえて、本日出た資料を多少修正させていただく可能性はあるかと思います。では、それはお認めいただいたことにさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、次に参ります。議題の2でございますけれども、第38回ユネスコ総会への対応について。今年の11月にパリのユネスコ本部で開催される予定の総会についてでございます。
 今年の6月18日付けで、ユネスコ活動に関する法律第6条第1項に基づきまして、下村文部科学大臣から日本ユネスコ国内委員会会長に対しまして、我が国の第38回ユネスコ総会における2016年から2017年事業・予算案に関する審議に関する方針についてという諮問がございました。また、岸田外務大臣から、第38回ユネスコ総会における政府代表について、それから、第38回ユネスコ総会における基本方針についてという諮問がございました。
 これらを受けまして、ユネスコ70周年国内委員会会長ステートメントを踏まえ、本日出させていただいた資料等を踏まえまして、答申案を事務局で作成させていただいております。御審議いただいて、総会に向けて取りまとめをさせていただければと思います。
 まず、事務局から説明をお願いします。

【野田補佐】 
 関連します資料につきまして、御説明申し上げます。
 まず、第38回ユネスコ総会におけます主要な議題となります次期事業予算から御説明申し上げます。参考資料の6を御覧ください。
 2014年から2021年までのユネスコにおけます中期戦略、これと整合させて前回第37回総会で認められました4年間(2014年から2017年まで)の事業予算を踏まえまして調整した形が、今般お示ししましたユネスコ事業・予算(38C/5)の内容となってございます。
 資料のとおり、各プログラムセクター、教育、自然科学、人文・社会科学、文化、コミュニケーション、それぞれの主要事項で構成されておりまして、例えば持続可能な開発のための教育、いわゆるESDは、このうち教育の中のMLAの2、main line of actionの2の学習者の創造性及びグローバルシチズンとしての責任の強化の柱の中に明確に位置付けられております。同様に自然科学、人文・社会科学等々、重要事項におきましては、この柱の中でもって全て包含されているということでございます。
 続きまして、先ほど委員長から御紹介のありました諮問でございますが、文部科学大臣並びに外務大臣からの諮問が、参考資料の7として配付させていただいております。それぞれ、文部科学大臣からの諮問としましては、第38回ユネスコ総会におけますユネスコの2016-2017年の事業・予算に関する審議に関する方針について、さらに1枚めくっていただきまして外務大臣からの諮問につきましては、ユネスコ総会におけます政府代表について並びに基本方針についてでございます。これらの諮問を受けまして、事務局で素案を作成させていただきましたのが、答申案としてお示ししております資料の5、及び資料の6でございます。
 こちらにつきましては、諮問を踏まえまして、それぞれの分野における重要事項について、網羅的に記述させていただいております。教育におきましてはEFA並びにESD、そのほか自然科学、人文・社会科学につきましてはサステナビリティ・サイエンス等々、記述させていただいているところでございます。
 続きまして、参考資料の8及び9を御覧ください。参考資料の8が、第38回ユネスコ総会の日程案でございます。参考資料の9が、第38回ユネスコ総会におけます主な議題等の案でございます。
 簡単に御紹介申し上げます。総会の日程でございますけれども、11月3日に開会がございまして、その翌日から各国政府代表におけます一般政策演説のほか、同じ週に教育委員会、行財政委員会等が行われる予定になってございます。翌週からは自然科学、人文・社会科学、文化、コミュニケーション、それぞれの委員会が予定されているところでございます。このほか、例年ですと、開会前日に国内委員会会議ございますが、現時点ではまだ明示的に、予定が来ておりません。日程案の方には未定として11月2日に国内委員会会議を載せさせていただいております。
 参考資料の9でございますけれども、先ほど申し上げた主な議題の中で、まずは予算案の審議、ポスト2015開発アジェンダ準備に関する議論、国際地質科学と国際地質学ジオパークプログラムに関する規則、さらに更には文書遺産の保護及びアクセスに関する決議案、こちらが第38回の主な議題案でございます。

【籾井企画官】 
 中身について補足をさせていただきます。今回御議論いただく諮問答申、若干形式的な部分もございますけれども、せっかくの機会ですので、今回の総会で、割と日本としても関心が高くて議論が必要なことについて、今の動きを御紹介の上、そこも含めて御意見をいただければと思っております。
 今の参考の9、議題等というのを御覧いただければと思います。まだ総会のドキュメントなど出ていませんので、実際の議論がどうなるかはちょっと分からないですけれども、状況報告も含めて御説明をさせていただきます。
 まず教育分野でございますけれども、この2つ目のポスト2015開発アジェンダ準備に関する議論ということで、メインは教育、ユネスコが関わる部分の一番大きな部分は教育になりますが、これにつきましては、5月19日から22日まで世界教育フォーラムという、かなり大規模な会議が韓国の仁川で行われまして、160か国以上から、110人の閣僚級を含む1500人が集まったと。これまでダカール枠組みという枠組みの下に、EFA、万人のための教育の計画がずっと進められてきておりまして、それが今年で終わりになりますので、その後継の枠組みをどうしていこうかという議論がこれまでずっとされてきておりまして、教育分野に関しては、その世界教育フォーラムというのが最終的な取りまとめに近い場となったわけです。
 成果文書として仁川宣言というものが採択されておりまして、それで全体、これから2030年に向けて、万人のための教育ですとかアクセス公平性、生涯学習といったような概念を達成していくためにどういうことをやっていきましょうという議論がなされております。前回のダカール枠組みのときとの大きな違いとして、ダカール枠組みのときは割と基礎教育をまず全部広めていきましょうということでしたけれども、そのときの反省も半ば踏まえつつ、今度の新たな枠組みにおきましては、初中教育ももちろんですけれども、高等教育ですとか、それから職業教育といったようなものに対するアクセスもきちんと担保していきましょうと。かつ、単に量的な拡大だけではなく、中身の部分も重要だということで、ESDですとかGCED、グローバル・シチズンシップ・エデュケーションといったような、質の高い教育の提供が必要だということが入れ込まれたという意味において、これまでのダカール枠組みとは大きな差が出ていると言えると思います。
 ある程度、今後その達成に向けてどういうことをやっていくかという大枠は決まったのですけれども、今度のユネスコ総会におきまして、ESDの部分も含めて、具体的な行動枠組み、フレームワーク・フォー・アクションというのが、総会本体ではなくて、総会の際に開催されるハイレベル会合という場で了承されるということになります。仁川でその最終的な採択がされなかった理由といたしましては、9月にニューヨークの国連本部におきまして、SDGs、教育だけではなくて、科学とかあらゆる分野が入った開発目標全体が採択されますので、それを踏まえて、若干、必要があれば見直すという余地を残すために総会で議論がされるという予定でございます。
 全体としては、例えばGDPの比率を、支出目標をどの程度にするかといったような議論がまだ残っているわけですけれども、この国内委員会としての一番大きなポイントとしては、ESDが、もっと大きな開発アジェンダというパッケージの中にきちんと入れ込まれてきたと。この機会を捉えて、今まで割とESDは、どうしても日本ですとかドイツですとか、反対はされないですけれども、積極的に推進してきたのは割と限定的な国だったという状況もありますので、そのメインストリームにきちんと乗せていくためには、やはりこの機会をきちんと捉えて議論をしていただければと考えております。
 その行動枠組みができますと、当然モニタリングのプロセスが出てきますので、ではESDがどれだけ行われているかということをどういう指標でモニタリングしていくかという議論が、その後もう少し具体的な話として待っておりまして、そこにも日本としてインプットをきちんとしていけるように準備をしていきたいと思っております。
 それから、ESDに関して、国内での取組については、後ほど見上先生から御報告があると思いますけれども、この国内委員会で、今、ESD特別分科会というのを設けて議論をしているところでございます。そういった御議論の結果も積極的に、こういったユネスコ総会の場で発信していければと考えております。
 それから、科学の分野でございますけれども、ジオパークという事業がございまして、これは地質、希少な地質の保全とか国際的な認定を図るためのプログラムで、これまでもずっとありましたが、やはり非常に熱心な幾つかの加盟国があって、それをユネスコの正式な事業にしていこうという動きがございまして、それが今度の総会で議論される、最終的に了承される予定となっております。正式なユネスコの事業になりますと、今度国内委員会としてそこにどう関与していくのかという御議論を、自然科学の小委員会になると思いますけれども、今後御議論いただくことになるかと思います。
 それから、今回特段個別の議題にはなっておりませんけれども、サステナビリティ・サイエンスについて、日本ユネスコ国内委員会からユネスコとしてきちんと取り組んでいくべきという提言を出してから、何も具体的な動きがないままに進んできましたが、これにつきましてはいろいろな分野で、それぞれ、特に研究者同士の交流というのは相当進んでいると。ユネスコの役割として、それをどういう形で実際の政策に反映していくかということを少し検証してもらう必要があるということで、それに向けて幾つかシンポジウムを開催することを今ユネスコと調整しております。単に一過性のイベントで終わるのではなくて、その準備過程から分野横断的な取組や連携を促進するために、シンポジウムの企画に向けてステアリングコミッティー的なものを設置しまして、そこには、まずユネスコ内部の縦割りから解消するために、自然科学局、人文・社会科学局、それから自然科学局の中にエコパークとかいろいろな担当、関連するような事業の人たちがいますが、そういった人と、あとESDの担当者にも入ってもらいながら、関係団体とか加盟国も幾つか入った上で議論をしていって、3回シンポジウムを行い、実際にサステナビリティ・サイエンスの考え方を政策に入れていくにはどうしたらいいかというようなポリシーメッセージを発出することを予定しております。
 それから、文化、コミュニケーションの分野では、電子的遺産を含む文書遺産の保護及びアクセス関する決議案というのが予定されておりまして、こちらにつきましては国内記憶遺産事業を、これまでも取り組んできておりますけれども、そういう記憶遺産を含む文書遺産、いろいろな歴史的な記録とか、そういう割と古い記録をきちんと保護して、そしてあらゆる人がアクセスできるようにしていきましょうという枠組みを作っていくというのが、この決議案、勧告を作っていくという話なんですが、その中で少し、この委員会として関連がある部分として、その中で記憶遺産事業の枠組みを積極的に活用していきましょうという話がございます。関わってこられた先生方は御存じだと思うんですけれども、記憶遺産事業の枠組みが必ずしもきちんと確立されていない中で、それを勧告という、リーガル、法的なものに格上げをされてしまうというような形に今なりかけておりまして、そこは記憶遺産事業の枠組みをきちんとしたものにしていく必要があるというのは、総会の場で言っていく必要があるだろうと考えております。
 以上です。

【安西委員長】 
 ありがとうございました。
 それでは、ユネスコ総会で審議されるべき議題等々、いろいろ御説明をいただきまして、諮問の内容等々も御説明いただきましたけれども、事務局からの説明について御質問、御意見あれば、いただければと思います。答申案については、御意見をいただいて、修正すべきところは修正させていただいて、今度の総会に答申案として諮らせていただくということにしたいと思います。
 吉見委員、お願いします。

【吉見委員】 
 一点、教えていただきたいのですけれども、最後におっしゃいました電子的遺産を含む文書遺産の保護及びアクセス関する決議案に関連することですが、ユネスコの記憶遺産事業に関して、詳細な文言は覚えていませんが、記憶遺産を選んでいくときのガイドラインの一つとして、オリジナルな紙資料、つまりマテリアルにもともとの紙等において保存されていること、しかもそれは唯一性ということで、紙で唯一そのものがあるということを比較的重視するガイドラインがあったと記憶していますけれども、これと、それからこちらに出ている電子的遺産を含む文書遺産、つまりそれはデジタルといいますか、電子的な形態でも、それが希少性という意味で非常に重要であるとなれば、それも同等に非常に重視して、それを保存していくということを評価すると、この文言は受け取れるように思えますけれども、そこの整合性といいますか、その辺の関連をどう判断するのかということについては、何か事務局で検討はされておりますでしょうか。

【籾井企画官】 
 記憶遺産事業に関しましては、実態として紙に記録されたものが多くはなっていますけれども、事業の枠組みとしては、例えば映像ですとか、いろいろな形態のものを認めていると。ただし唯一性はないといけないということ。

【吉見委員】 
 ただ、電子の場合、つまりデジタルの場合には、電子的な媒体における唯一性というのはどういう概念であるかということ自体が問題になってくると思うのですけれども。

【籾井企画官】 
 そこは、記憶遺産として登録されるものに関しては恐らく唯一性を求められるけれども、ただし記憶遺産事業も、きちんといろいろな人に対するアクセスを提供してくださいということは言っておりまして、そういった意味でのデジタル化というのはむしろ奨励している。したがって、登録されるものは唯一のものかもしれないですけれども、例えばウエブ上にアップして、いろいろな人がアクセスできるとか、そういうことは。

【吉見委員】 
 それはそうでしょうが、デジタルの場合には、ボーン・デジタル、要するにデジタルしかなくて、この遺産といいますか、この文書は極めて重要であるということが、例えば東日本大震災の記録など、現実にはあり得ると思うのですね。そのときに、要するにデジタル形式なのだけど非常に重要な記憶遺産になり得るような資料をどう評価するか、そういうものの扱いをちょっと詰めていかないといけないのではないか。こういう決議案が採択されていく中で、電子資料の扱いはどうするんだという話は、いずれ私は出てくるのではないかという気がします。それは、紙資料をデジタル化するという話とは違って、そもそもデジタルで、しかし非常に貴重ということが十分あり得ると思います。

【安西委員長】 
 あり得ると思います。

【籾井企画官】 
 そこはちょっと、すみません、きちんとまだ検討できていませんが、もう一度精査したいと思います。

【安西委員長】 
 一応決議案としては紙ベースというか、そういうことでいくということでしょうか。

【籾井企画官】 
 デジタルも含めて全部ドキュメントと勧告上は呼んでいる。

【安西委員長】 
 そうですか。それは資料としてありますか。

【籾井企画官】 
 本日は資料をお配りしていないので。すみません。

【安西委員長】 
 デジタルだけというのもありという案になっているのですか。

【籾井企画官】 
 ドキュメントとは、アナログ若しくはデジタルの情報を含むオブジェクトという。

【安西委員長】 
 ということは、デジタルだけしかなくても、それはあり得るということでしょうか。

【籾井企画官】 
 はい。

【広瀬委員】 
 あり得ますよね。

【吉見委員】 
 具体的には、例えば東日本大震災における様々な記録、あるいは亡くなられた方たちのいろいろな記憶遺産というのが実際にありますね。災害や戦争の記録というものは、とりわけ昨今であればデジタルしかそもそも存在しないということが十分あり得るのですけれども、そういう貴重な記憶遺産の扱いで、我が国にとって、これはとても重要だということが実際にはあり得ると思います。それらを、これからどう位置付けていくのかという話と、若干これは関連するように思いました。

【山中事務次官】 
 あと、これは予算というか、どこまで金が確保できるかなんですが、アメリカが、ここにあるように資金拠出を停止しておりますので、ユネスコ全体としては非常に予算が少ないというか厳しい状況にあるという中で、例えば今の世界遺産についても、各国の審査の数を減らしております。
 文化の面で言えば、世界遺産だって、1つの国から出せる、推薦できる数が制約された。それはなぜかというと、そこに割ける資金が非常に足りないので、推薦できる数もどんどん減っている、制限されていますよね。ですから、いろいろ広げるというのもいいんですけれども、ではどうするのかと、お金は日本がコントリビューションをして、例えば、文化的な遺産というのは非常に重要だから、ここについて何かお金を出しますかとかいうのであればいいけれども、やれ、やれと言っても、現実にはどんどん、予算が厳しい中で、実際には審査できないから制限しているというのが、今現在ある世界遺産についても無形文化遺産についてもそういう状況の中で進んでいますので、また新たに記憶遺産というものについてどうするかというのは、それはそれでよく考えなければならない。今やっていることももっとしっかりと、地域バランスの問題とかいろいろありますので、そういうものを考えながらやってほしいということがあります。

【籾井企画官】 
 記憶遺産事業についても、1つの国から出せるのは2件までということで、既に制約が書かれております。今回の勧告は、記憶遺産事業を活用しつつ、いろいろな記録がされている文書というのを各国がきちんと保全する体制を整備していきましょうという中身になっています。

【山中事務次官】 
 あと、例えば今回の世界遺産の中でも産業遺産というのが政治問題化しており、ユネスコの中でそういう形でも議論されているということもあるので、文化遺産もきちんと、ユネスコとして保護していくということはいいけれども、そういう政治問題化することをユネスコという枠組みを使ってやるのかとか、そこでアピールするためにこういう仕組みを使うという面がちょっと出てきているので、その辺はよく考える必要がある。それから、全体のユネスコ予算の中でのこういう事業をどういうふうに見ていくのかという視点も必要ではないかと思います。

【安西委員長】 
 おっしゃるとおりだと思います。  西園寺委員、お願いします。

【西園寺委員】 
 今の次官のおっしゃったことは非常に大事なポイントだと思います。やはり世界遺産というものが政治利用されてしまうというのは、非常にゆゆしきことだと思うんですよね。日本も若干関わっている部分があるんですけれども、これからそういうことがまた出てくる可能性が現実にありますので、どんどんそういうことがエスカレートしてしまうと、本来の目的からずれていってしまうし、ネガティブな方向に利用されてしまうというのが非常に心配だなという気がします。それを日本として発言すべきなのかどうなのかというのは考えなければいけないと思いますけれども、少なくともそういう方向にならないような努力を各国がすべきではないかなという気はいたします。

【安西委員長】 
 山中次官の言われたのは予算の非常に厳しい中でというのは全くそのとおりで、その一方で世界遺産が、地域活性化とも関連して、地方創生と関連しているように思いますけれども、先ほどのデジタルのことについては、一応デジタルもいいという案になっているということだけ、事務局の方で確認していただければと思います。
 
【籾井企画官】 
 保全すべきドキュメントとしては含まれております。それがユネスコの記憶遺産として登録されるかどうかという点に関しては、対象とはなり得るけれども、その唯一性の部分をどこまで説明できるかという、2段階の構成になると思います。

【安西委員長】 
 それでは、ほかに、答申案等々について、また最近のユネスコの活動についていかがでしょうか。

【林原委員】 
 今の点と絡む意見というよりも質問ですが、世界遺産等について、現状についての疑問というものを、ユネスコ総会への対応の答申案に入れることは構わないのでしょうか。世界遺産等について、その政治利用、商業利用というインセンティブが色濃く出過ぎているような気がします。本来のユネスコの考え方とは必ず合致しない、逸脱しているところがあり、今日本でも特にヒートアップしているように思います。
 この問題提起をするということは大変意味のあるテーマだと思うんですが、そういうことをここの答申案の中に入れていいのかどうか私には分かりませんが、もしできるならば入れた方がいいのではないかなと思います。

【安西委員長】 
 今の点はいかがでしょうか。
 
【籾井企画官】 
 今回の答申については、割と総論的な方針をいただいた上で、実際の個別の議題についてはまた別途、事務的な対処方針というのは作成をすることになるので、ここに入れるのは多少抵抗があるかなという気はいたしますが、御懸念の点は文化庁にも伝えます。適切な場があれば、また発信の仕方は検討したいと思います。

【安西委員長】 
 今の件は検討させていただきますけれども、今度の答申案にダイレクトに入れるのはなかなか難しいかもしれないと思います。どこまでが商業利用で、どこまでがという、総論で書くということが可能なのかどうかと、少しいろいろ検討しないといけないかもしれないと思います。

【西園寺委員】 
 むしろ会長のステートメントで触れるという手もあるかもしれないです。その中で。

【安西委員長】 
 多少時間がありますので、答申案の方は7月14日に、申し訳ありませんが、出させていただくので、ステートメントの方で検討するということにさせていただければと思います。

【広瀬委員】 
 ちょっと今、次官が触れられた予算難の件ですけれども、今アメリカが、イスラエル、パレスチナの関係で払っていないということで、特に厳しくなっているんだと思うんですけれども、先進国一般にお金がないですよね。ですから国連システム全体、どこも予算難で、これは簡単には、日本だって任意拠出金でも減っているのではないかと思うんですね。そういう状況の中で、吉見先生がおっしゃったように、ユネスコは人々も相手にしていて、NGO参加を最初に入れた国際機関なんですけれども、ユニセフのようにファンドレイジングはできないと。これは今後、どこが議論するのか分かりませんけれども、国内委員会、非常に大きな問題だと思いますね。どうすべきなのか。

【吉見委員】 
 ユニセフはファンドレイジングができるのですね。

【広瀬委員】 
 ユニセフはファンディングエージェンシーですから、日本なんか、すごくお金を集めているんですよね。で、寄附しているんですけれども、ユネスコは分担金で成り立っているので、そこは非常に厳しい。
 ユネスコ全体の予算って、日本の地方大学ぐらいしかないです。

【山中事務次官】 
 そうですね。

【広瀬委員】 
 それで国内外の、各国いろいろ高まいなことをもっとやれといって要求しているわけですから、やはりなかなか現実は厳しいんだと思います。

【吉見委員】 
 大変素朴な質問で恐縮なのですけれども、ユネスコにファンドレイジングできる仕組みがないとうのはちょっと驚きです。できるような仕組みをユネスコの中に構築できないのはどうしてですか。非常に素朴な質問で、申し訳ないのですけれども。

【安西委員長】 
 ファンドレイジングできないのでしょうか? 

【籾井企画官】 
 仕組みとしてできないわけではないんですが、ユニセフは割とフィールドで、プロジェクトベースでいろいろな活動をしているのに対して、先ほどの話ではないですけれども、ユネスコは割と、それこそシンクタンク的な、本部で研究者を集めたレポートを作成してという活動が中心になっていますので、なかなかファンドレイジングをしようと思っても、ダイレクトなインパクトが見えにくいというところで、営業が難しいということかと思います。

【広瀬委員】 
 システムとしてもできないのではないですか、日本では。

【籾井企画官】 
 システムとしては、個別に企業と契約を結んで。

【広瀬委員】 
 企業とはね。だけど個人で、どこかに募金箱を置いてというのはできないと聞いたんですけれども、違いますか。

【籾井企画官】
 日本は日ユ協(日本ユネスコ協会連盟)が寄附を募って、日ユ協経由で寄附をするという形に今はなっていると思います。

【安西委員長】 
 本部で直接募金はできないでしょうか。

【西園寺委員】
でも、ユニセフでもユニセフ協会が募金を集めているのではないですか。

【山中事務次官】 
 それぞれの国で寄附制度を設けて。

【西園寺委員】 
 それぞれの国。だから本部がというよりも、それぞれの国の協会を作って。

【広瀬委員】 
 もちろん各国が、ですけど。

【籾井企画官】 
 そうですね、確かに。ユニセフもそうだと思います。

【広瀬委員】 
 だからそれが直接、ユニセフは行っていますよね、ファンディングエージェンシーで。だけど、私一度やろうとしたんです、日本国内で。そうしたら、できないと言われたので、諦めた経緯があったので。

【安西委員長】 
 ユネスコ全体というのは、ユネスコ協会等も一緒になって募金ということもいろいろ考えられると思いますが、特に林原委員とはいろいろお話もしたのですけれども、ユネスコの目的が、本当に寄附を集められるような、そういうインセンティブを人々に与えられるかどうかというところで、なかなかこれが本格的にはという状況ではないでしょうか。

【広瀬委員】 
 できるんだったら、何かね。

【吉見委員】 
 記憶遺産や世界遺産のこのヒートアップの状況がいいとは言えませんけれども、しかしこれだけ関心を集めていて、それを商業利用、政治利用されるということは非常によろしくないことなのですが、しかし逆に言えば、人々の関心がこれだけ集まっているということですから、もうちょっと公共的に、何らかのユネスコのファンドレイジングにつながるような仕組みはあり得てしかるべきだと、私は思いますけれども。

【安西委員長】 
 山中次官もおられますけれども、「トビタテ!留学」もあれほど集められて、感心しました。

【吉見委員】 
 お金、やはり必要ですからね。やはりお金を集める仕組みと伴って公共的な文化事業をやっていかないと、なかなか難しいですよね。

【山中事務次官】 
 ユネスコ自体としてマララさんでしたか、女性の教育とか、何かやるということはできないか。ユニセフも非常に、命が失われていくということを訴え掛けますけれども、ああいうメッセージ、女性の教育というのも訴え掛けるものはどうなんですかね。あるいは、ユニセフとかユネスコとかの役割分担というか、その辺でやりにくいのか。

【広瀬委員】 
 何かうまくできれば。

【山中事務次官】 
 分担金に頼っていると、もう非常に先細りですから。

【吉見委員】 
 そうだと思いますね。人々の命が失われることもあってはならないことですけれども、いろいろ重要な遺産というか、文化的な遺産や重要な記憶が失われることもあってはならないことなので、それをちゃんと訴えていくことによって何かお金を集めるような仕組みというのが、本当は必要なのではないかと思います。

【安西委員長】 
 みんなでやろうというのであれば、それは意義あるかもしれないなと思いますけれども、何人が本気で営業できるかどうかだと思います。「トビタテ!留学」も、下村大臣、山中次官も営業をやられたわけで、本当に体制を作れるかどうかで、やりたいと言っているだけでは、なかなかそれは集まらないのではないでしょうか。

【広瀬委員】 
 そうですね。

【安西委員長】 
 例えばこの運営小委員会のメンバーが本当に時間を使って、経済界とか地域に回っていただけるかということになります。それをやろうというのであれば、もちろん私も一緒にやりますけれども、結局そういう現実の問題だと思います。「トビタテ!留学」は、本当にそれで相当額を、ビデオで踊りまでやられて、集められたのだと思います。

【西園寺委員】 
 企業からですか、個人も含めてですか。

【安西委員長】 
 「トビタテ!留学」では、きちんとそういうプロが入って、すべてきちんとやられましたから、それでできているので、それをやる気があるかどうかということに尽きると思いますので、それは御検討いただいて、やろうということであれば、それは考えられます。ただ相当大変なことではあると思います。
 ユネスコ本部の予算がないという問題と、それから国内の活動等々においても、もっとお金があるといいと心から思いますので、むしろ後者の方であれば我々でできる可能性がありますので、検討させていただければと思います。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。もしよろしければ、答申案につきましては、今度の国内委員会の総会に諮らせていただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。先ほど林原委員からの御意見等ありましたけれども。

【林原委員】 
 私はそれを入れるのが難しいのであれば別の機会でも結構だと思います。さっきおっしゃったように宣言の中でもいいと思います。

【安西委員長】 
 世界遺産、記憶遺産の問題については、いろいろなこともありますので、今後も検討、ここでも続けさせていただければと思います。
 それでは、答申案につきましては、総会に諮らせていただきます。御承認いただいたことといたします。どうもありがとうございました。
 それでは、議題の3に移らせていただきますが、第137回の日本ユネスコ国内委員会の議事日程案について、まず事務局から説明をお願いします。

【野田補佐】 
 資料は7になります。第137回日本ユネスコ国内委員会の議事日程案でございますが、日時は7月14日火曜日、14時から16時まで。場所は霞山会館、霞山の間、コモンゲートの西館37階でございます。
 議題案としましては、ユネスコ70周年に向けた取組について、第38回ユネスコ総会への対応について、国内委員会の構成について、その他でございます。
 配付資料としましては、本日御議論いただきました資料を中心に、前回議事録、活動報告、さらに更には70周年のステートメント案、答申の案でございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【安西委員長】 
 ありがとうございました。
 それでは、御意見、御質問等あれば、お願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、議事日程については御承認いただいたことといたします。
 議題の4に移りまして、専門小委員会における審議につきまして、御報告をお願いできればと思います。
 まず、現在、教育小委員会の下にESD特別分科会が設置されております。ESDの推進について議論をしていただいておりますけれども、ESD特別分科会の見上座長、見上委員に、審議の経過について御報告いただきまして、御意見をいただければと思います。
 それでは、見上先生、よろしくお願いします。

【見上委員】 
 それでは、お手元の資料の8を御覧いただきたいと存じます。これは、今審議中の報告書の素案でございます。
 国連ESDの10年の実績、それから、昨年11月に開催されましたESDに関するユネスコ世界会議の成果、これのフォローアップのために、平成27年2月、今年2月に教育小委員会の下にESD特別分科会というのを設置いたしました。今後のESD推進方策について、これまで4回の会合を開きまして、議論いただきました。
 ESDというのは、サステナビリティ、これを目指すわけで、非常に大事な、先ほど会長ステートメントでも御議論がありましたように大事なポイントでございますが、教育上のスキルあるいは手法といたしましても非常に重要な点を含んでおります。例えばアクティブラーニング、今非常に教育の場で言われておりますが、これを実践するものとしても大変効果的であります。ですから全ての学校でESDの実践を目指すということが、一つ大事ではないか。それから、ユネスコスクールを、ESDの実践効果を高める取組を先導的に行うモデル校と、これまでもそうしてきたわけですが、そういうふうに位置付けて進めるというような点が案として指摘されました。そして、ユネスコスクールへのアンケートを行いましたが、教職員のESDに関する理解がまだ不十分であるというような結果も出ておりますので、ESDの実践の手引のようなものを作る必要があるのではないかというようなことが言われております。
 また、ユネスコスクール活動の質の向上を図ることが重要であるということで、ユネスコスクールのうち特にすぐれた実践を行う学校をモデル校として位置付けて支援を行う、これも今まで行ってきたことでありますが、更に強めるというようなことです。それから、ユネスコスクール全国大会を参加型の研修の場にしてはどうかと。今もやっておりますが、それを更に深めるということでございます。あるいは、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク、これは17大学ありますが、必ずしもこの機能が十分果たせていないのではないか、ESDの教育の質向上に向けても、更に大学の役割を強化する必要がありますし、あるいは民間の力も借りたコンソーシアム、地域の大学、学校を中心としたコンソーシアムというものを、よりタイトなものにする必要があるのではないかというようなことで議論が進んでおります。
 それから、ESDというのは日本からのオリジナル発信の事項でもございますので、国際的なESDの推進に向けて、日本が引き続きリーダーシップを発揮していくというような観点が非常に大事であると。ですから日本がユネスコに拠出しているGAP信託基金ですとか、ユネスコ/日本ESD賞を通じて、海外におけるESDの実践の向上につなげるというようなことが大事であろうと。また、ほかのESD先進国との連携を強化していくということも大事であろうというようなことが議論されております。
 今後ですが、7月末に開催する第5回の会合を経まして、一応報告書として取りまとめる予定でございます。本日、会長70周年ステートメントのところで御議論いただきましたが、ユネスコという観点から、もう一度このESDというものを見直すということも大事かなというふうに感じながら伺っておりました。ありがとうございました。
 以上でございます。

【安西委員長】 
 どうもありがとうございました。御意見、御質問等ありますでしょうか。
 大変綿密に議論していただいているかと思います。感謝を申し上げたいと思います。
 一つだけ、今ちょうど文科省の教育改革にも携わっておりまして、総合的学習の時間をどうするかとか、そういう問題はあるわけでありますけれども、ESDの取組と各教科の授業といいますか、そこの関係をどうやって付けていくかということについて、何かコメントがおありになれば。どうしても総合的学習の時間は総合的学習の時間で、特に高等学校等々だと、一方で受験勉強は受験勉強というふうになりがちな気がするのですけれども、その点についてどう思われているか、お願いできますか。

【見上委員】 
 ありがとうございます。御指摘の点が、今教育現場では非常に問題で、教師の力量にかなり負うところが大きいと思われます。この頃は、教科も総合的学習の時間としっかりつなげてできる非常に優秀な教師も出てきていますが、大多数はそういうことではなくて、ユネスコスクールに入ったとか、ESDをやっていますとか、表面的になっているところが多いので、先生方の研修をしっかりと、質の高いESDの授業というのはどういうことかというようなことを学ぶ機会が大切だと思います。そのためにも大学がもうちょっとしっかりする必要があるのではないかというような議論が出ておりました。

【安西委員長】 
 そこがずっと気になっておりまして、大学もやはり、理系でも扱う例題というのが、簡単な例題でずっとやってきているのです。ただ、世界的には総合的学習の時間で扱っているような問題を、何でもいいのですけれども、食べるものでも、あるいは材料でも、あるいは発電の仕組みでも何でも、ではそれを物理では、科学として見るとどうかというような例題に変えていかないと、やはり本当の生きた知識が身に付いていかないという方向に流れると思いますので、今までの伝統的な、いわゆる教科科目、それと、広いESDのようなものが少しまだ離れている気がします。
 
【羽入委員】 
 実は見上先生にお願いをしまして、これを少し早めてまとめてくださいと、無理に申し上げたんですけれども、教育課程企画特別部会というので指導要領の骨格作りをやっていますので。

【安西委員長】 
 羽入先生は今、中教審の学習指導要領の議論を仕切っておられるので。

【羽入委員】 
 いえ。そのときに、今回の指導要領は比較的、これまでと少し違った形にしようということになっているので、最終的にどうなるかは、まだペンディング状態ですけれども、科目間の連携と、それから縦の、発達過程のつながりという、両方のつながりを付けようということがございます。そのときに、総合的学習の時間をどういうふうに扱うかというのか鍵になるだろうということと、それからもう一つ、アクティブラーニングとは何か、それを有効に使うにはどうしたらいいかということの一つの事例として、ESDが有効なのではないかというふうに考えておりまして。もちろんアクティブラーニング全てESDでということではないんですけれども、そこに少し触れられるようにしたらどうかというようなことで話はしております。

【早川委員】 
 大変よくおまとめになっておられると思うんですけれども、幾つか出されている事例をどう読んでいいのかというのは、なかなか難しいところがあるように思います。すぐれた実践例だからという紹介がなされるんですけれども、ESDの広がらなさということを考えたときに、難しいことではなく、ちょっとした工夫でできるんだということがメッセージとして伝わるというか、特別な学校の特別な取組だからこれができているということではなく、当たり前の学校で、当たり前に取り組めば、こんなことができるんだということがメッセージとして伝わることが、これから普及していくという意味ではとても大事な点なのではないのかなと感じます。そういった意味で、例えば子供たちの興味関心が向上したであるとか、自己肯定感が高まったとかいうことは書かれているんですけれども、それが全体の時間割の中で、ほかの授業を妙に圧迫しているとかいうイメージではなくて、ちょっとした工夫の中で、こうしたことを取り組めばお互いに、相互作用というんですか、ほかの教科についても学習意欲が高まったりして、いい効果が出ているんだということが、その実践例を通して見えてくるというような仕立てにしていただけると、少し普及するということにつながっていくのかなと感じたので、その点だけ意見を言わせていただきました。

【見上委員】 
 ありがとうございます。大事な点だと思います。
 今アクティブラーニングについていえば、例えば1クラス40人で、先生が1人でやる場合に、生徒それぞれの疑問が、いろいろ違ってきます。それぞれの子供たちに合う対応をしてあげないと、本当の意味でのアクティブラーニングが生きてこないように思います。そのときに、慣れた教師は生徒の疑問をグループ分けし、子供たちの発問、質問をうまくリードしながら、例えば今、委員長がおっしゃったように、サイエンスの、例えばサステナビリティ・サイエンスのところにつなげる場合もあるし、あるいはヒストリーの方につながったり、いろいろなケースが生まれると思うんですね。
 子ども達のいろいろな疑問をうまくリードできる先生、これがクオリティーの高い先生というふうなイメージを持っておりまして、教師が困ったときは子供と一緒になって相談できるような、そんな受皿としての大学も大事になってくるのかなというようなことを感じております。

【安西委員長】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、よろしければ次に行かせていただきますけれども、ESD特別分科会は、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 それでは、自然科学・人文社会科学合同小委員会、4月8日に開催されております。委員会の議論につきまして、人文・社会科学小委員会の吉見委員長、吉見先生から御報告をお願いしたいと思います。

【吉見委員】 
 自然科学・人文社会科学合同小委員会について、御報告を申し上げます。今、安西委員長がお話になりましたように、4月8日に第126回自然科学小委員会、それから第115回人文・社会科学小委員会が、合同で開催されました。
 会議では、2つの議題について議論を行いました。1つ目の議題においては、主にサステナビリティ・サイエンスの推進について、今後の推進方策等について意見交換を行いました。主な意見として、一つには、ESDや世界防災会議、SDGs、フューチャー・アース等の世界的動向をうまく活用して発展させていくべきであること、またもう一つには、理論だけではなく、実質的な事業等につないでいくべきこと等の意見がございました。
 次に、ユネスコにおける科学事業の在り方についての議題において、主に、科学と政策を結ぶためにユネスコが行うべき方策等について意見交換を行いました。主な意見として、自然科学と人文・社会科学の比重、とりわけ人文・社会科学の貢献をもっと増やすべきではないかという御意見がございました。それから、コミュニケーションの重要性、既存の大きな枠組み、フューチャー・アースやSDGs等、その中で日本の強みを生かしていくことについては、そうすることが我が国のプレゼンスを示すことになるのではないか等の意見がございました。こういった意見が出たということを御報告申し上げます。
 最後に、世界ジオパークのユネスコ正式事業化に関する検討状況について事務局から説明を行い、閉会となりました。
 報告については、以上でございます。

【安西委員長】 
 どうもありがとうございました。
 何か御質問、御意見等々ありますでしょうか。

【早川委員】 
 一つだけいいですか。今の御報告の中で、人文・社会科学をこれから重視するということについてしっかりと含んでいただけたことが、昨今、人社系が余り必要ではないと世の中に捉えられたメッセージが、誤って伝えられているところがありますので、そこは大切な分野であるということを改めて強調するというのはとても大事なことではないのかなと、改めて感じました。一言だけ言わせていただきました。

【安西委員長】 
 その点も含めて何か。最近の動向というのでしょうか、人文・社会科学が重要でないと言っているというわけではないというふうに理解しておりますけれども。
 ほかにはいかがでしょうか。

【広瀬委員】 
 すみません、興味で聞くんですけれども、ジオパークというのは、日本はいろいろ、多分ジオパークになる可能性のあるサイトがいっぱいあるのだろうと思うんですけれども、日本では幾つぐらい、もうジオパークというのはあるんですか。

【籾井企画官】 
 今、日本ジオパークというのと、更に世界ジオパークという2段構成になっていて、日本ジオパークは29地域で、世界ジオパークが7地域、洞爺湖有珠山、糸魚川、山陰海岸、島原半島、室戸、隠岐、阿蘇が、今、世界ジオパークとして認定されているということでございます。

【広瀬委員】 
 余りまだ聞かないので。なるほど。ありがとうございます。

【西園寺委員】 
 サステナビリティ・サイエンスというのは非常に大切なものだと思います。特に日本がユネスコの中に積極的にこれを取り入れるべきだという提言をしたということもありますし、ただ、実際にこれをどうやってユネスコの中でインプリメントするかというところが非常に重要だと思います。先が余りはっきり見えていないんですけれども、今後の取り組み予定に書かれているのは、まずは取っ掛かりとしてシンポジウムという話ですが。

【籾井企画官】 
 すみません、具体的なスケジュールはまだ確定はしていないんですが、今のところ、今年度中に1回はシンポジウムをやりたいと思っております。ただ、初回は恐らく小規模な、専門家プラス加盟国の一部という構成になると思うんですけれども、再来年、その翌年は、テーマ別になるのか地域ごとになるのか分からないですけれども、分科会的に何か所かで開催をして、3年目に、最終的に加盟国全体にも招待状を出した、フルの規模のシンポジウムを開催したいと。今年度中の初回のシンポジウムの開催に向けて、ステアリングコミッティーの議論はもうこの夏に開始をしようということで、今ユネスコと、メンバーも含め調整をしているところです。

【西園寺委員】 
 そのイニシアチブをとるのはユネスコ本部だということですね。

【籾井企画官】 
 ユネスコです。日本からユネスコに拠出をしている信託基金を用いて、ユネスコ本部が実施する事業という位置付けになります。

【安西委員長】 
 それでは、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 用意いたしました議題、報告事項等、以上でございますけれども、何か特に皆様の方からありますでしょうか。事務局はよろしいでしょうか。
 それでは、ほかになければ、これで終わらせていただきたいと思いますけれども、先ほどのステートメントにつきましては、再々ですけれども、是非忌たんのない御意見を、なるべく早くいただければ幸いでございます。西園寺委員には以前から御相談をしております。ほかの委員の皆様にも是非御意見をいただければと思います。
 それからもう一つは、先ほどの募金の件は、本当にやるのであれば、いたしますので、是非お考えください。かなりしっかりした体制でやらなければと思いますし、実際にはやはり職員の方々が動いていただかないとできないので、そこまでパワーがちゃんとあるかということもありますので、そういうことも踏まえて。始めたらやはりやらなければいけないので、ただお金がなかなかないことは事実ですので、もし募金をやろうということであれば、是非御検討いただければと思います。

【西園寺委員】 
 その募金を受け入れる主体がどこなのかという問題はありますね。

【安西委員長】 
 それもあると思います。

【西園寺委員】 
 そこが例えば公益を持っているところだったら、免税ということにもなりますし。

【安西委員長】 
 全部そういうことも考えてやらないといけないと思いますので、御検討いただければと思います。

【林原委員】 
 状況は、一昔前よりちょっと改善してきているような気がいたします。問題は、やはり企業がこれに出資をしたいというインセンティブを持つような仕組み作りができるかどうかだと思います。
 物理的な仕組みもそうですし、その趣旨ということが大事ではないかと思います。受皿は日ユ協会とかACCUになるのではないでしょうか。

【西園寺委員】 
 結局そういうことになると思います。

【林原委員】 
 寄附金控除を受けられる組織となると結局そうなるのではないかと思います。

【広瀬委員】 
 国内委員会は、だめ。

【林原委員】 
 国内委員会というのは、よく知りませんけれども難しいのではないでしょうか。国内委員会に寄附しても、税金の優遇を得られないのではないでしょうか。

【安西委員長】 
 いろいろそういう出しやすい仕組み作りとか、いろいろ考えなければいけないことは多々ありますけれども、やはり本当にやるのであれば、やるということですので、お考えいただければと思います。決してネガティブに申し上げたわけではありませんので、御理解ください。
 それでは、よろしければ、次回は総会ということになりますので、7月14日の14時から、霞山会館で総会が予定されておりますので、よろしくお願いいたします。
 どうも御多忙の中、大変貴重な、また誠実な御意見を賜りまして、ありがとうございました。これにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

――了――

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-- 登録:平成27年08月 --