日本ユネスコ国内委員会運営小委員会(第492回)議事録

1.日時

平成26年2月19日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省5F2会議室 

3.出席者

(委員)
安西祐一郎(委員長)、安達仁美、河野俊行、西園寺裕夫、鈴木邦雄、早川信夫、広瀬晴子、林原行雄〔敬称略〕
(外部有識者)
野口昇 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟理事長
(事務局)
岩本日本ユネスコ国内委員会上級事務次長(国際統括官付国際交渉分析官)、籾井日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【安西委員長】  それでは運営小委員会を始めさせていただきます。本日は御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 昨年12月1日付けで、日本ユネスコ国内委員会の会長を拝命いたしました安西でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 会長は、ユネスコ活動に関する法律第6条により本小委員会の委員長となり、その会務を処理することとされていますので、委員長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、会議に先立ちまして定足数の確認をお願いしたいと思います。事務局、お願いします。
【本村補佐】  本日は、御出席の委員が8名でございますので、委員の過半数となっておりますので、定足数を満たしてございます。
【安西委員長】  それでは、ただ今から運営小委員会を開催させていただきます。
 運営規則第21条に基づきまして、御意見を頂く有識者として、これまでも御出席いただいておりますけれども、日本ユネスコ協会連盟の野口理事長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
【野口理事長】  どうぞよろしくお願いいたします。
【安西委員長】  また、一昨年の9月13日に開催されました第131回総会、そこで改正されました会議の公開手続の第1条第5項に基づきまして、本日の小委員会は公開で行っております。同手続の第4条及び第5条に基づき、御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されるということでありますので、御承知おきいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 議事に先立ち、前回の会議以降、委員の異動がございましたので、事務局からお願いします。
【本村補佐】  それでは、お手元の資料の参考1、真ん中より下の方にございますけれども、こちらに名簿がございます。今回新しく委員に御就任された方々、御紹介させていただきます。
 安達仁美委員でございます。
【安達委員】  安達と申します。よろしくお願いします。
【本村補佐】  早川信夫委員でございます。
【早川委員】  早川です。よろしくお願いいたします。
【本村補佐】  なお、齋木昭隆委員及び山中伸一委員は、本日所用のため欠席でございます。また、人文・社会科学小委員会の委員長に2月10日付けで就任された吉見委員も、本日御欠席でございます。以上でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。
 この運営小委員会は、日本ユネスコ国内委員会全体の運営に関する議論をさせていただいております。新しい委員の皆様のお力も、もちろんお借りいたしまして、ユネスコ活動の推進を一層進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の審議案件及び配付資料ということですけれども、我が国におけるユネスコ活動の活性化、それから第134回国内委員会総会の議事日程(案)について、主にそれらの審議を予定いたしております。配付資料の確認はよろしいでしょうか。
【本村補佐】  はい。本日は省略させていただきますので、もし、お手元にそろっていない資料がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
【安西委員長】  議事に入り次第、資料、不足しておられるようでしたらおっしゃっていただければと思います。恐らく、資料確認をしていると時間がもったいないので省いているのだと思います。
 それでは議題の1、前回の議事録についてということでございますが、昨年8月の運営小委員会の議事録、お手元に配付させていただいております。こちらにつきましては、既に皆様にメール等で御確認いただいておりまして、既に国内委員会のホームページで公開されているということでありますが、公開されてから承認するのか少し補足していただけますか。
【籾井企画官】  御確認いただきましたので、掲載しましたという御報告ということでございます。
【安西委員長】  そうですね、はじめから申し訳ありませんが、承認すべき議題と、それから報告は分けていただいた方が分かりやすいのではないかと思いますが、これは報告になるのですか。
【籾井企画官】  報告でございます。
【安西委員長】  そうですか。
【籾井企画官】  事前に皆様から御意見を頂いて、反映したものを配付しております。
【安西委員長】  皆様に既に御確認いただいたということで、報告ということにさせていただきます。
 続きまして議題の2でございますけれども、前回の国内委員会総会が開催された9月10日以降の国内委員会の活動について、各専門小委員会で関連する分野の報告が行われております。配付資料、492-2を御覧いただきますと、それらの各小委員会での報告を含めて、国内委員会の活動をまとめたものになっております。この報告書(案)でありますけれども、来月18日に第134回の総会が開催されることになっておりまして、そこに向けて、もう少し見やすく、充実したものにしたいと思っておりますし、ここで議論するというよりは、お気付きの点があれば、後日でも結構でございますので、事務局にお寄せいただきまして、できましたら、それのまとめは私の方に一任という形にさせていただければと思います。
 特に何か御意見、御質問があればここで頂ければと思いますけれども、いかがでしょうか。少し大事なものですので、今申し上げたような形にさせていただければと思っておりますが、御覧いただいて、こういうふうにした方がいいのではないか等々、あれば頂ければと思いますが。
 それでは、よろしければ今申し上げたようにさせていただいて、後日というと何日ぐらいか分かりませんけれども、1週間ぐらいとか、そういうことで事務局サイドはよろしいですか。
【本村補佐】  はい。総会が3月18日ですので、目安としては2週間程度で頂ければ幸いでございます。
【安西委員長】  それでしたら、2月末日までにお寄せいただければ、それをできる限り反映した形で、こちらでまとめさせていただければと思います。岩本さん、よろしいですか。
【岩本分析官】  はい。2月末までで結構でございます。
【早川委員】  初めてなので1点確認しておきたいのですが、これは、どこへ向けて出されるものなんでしょうか。要するに、外部に対して報告書として示すものなのか、内々の整理のためなのか。
【本村補佐】  まず、半年に1回、国内委員会の総会がございますので、総会を区切りとしまして、その半年間の活動を委員の先生方に共有していただくということが第一でございます。また、公開資料となっておりますので、対外的にも日本ユネスコ国内委員会がこういう活動をしているということを発信する目的で作成してございます。
【籾井企画官】  元々は委員の皆様に御報告という事務的なものとして作成していましたが、より、国内委員会を中心とするユネスコ活動について、対外的にも発信していく、積極的に発信していくべきだということで、今までは文字だけでしたが、写真を入れてアピールしやすくということで、少し体裁を変えて、内容も、より一般の方にも分かるようにということで変えてきてはいます。では、実際に今、どういう場面で配っているかというと、まだこれを、例えば冊子にしてどこかで配付したというような実績はございません。ただ、そういうものとして活用していくという前提で作成をし、今後、活用していきたいという思いがございますので、そういう観点から御意見を頂ければということでございます。
【早川委員】  年次報告書の半期分みたいなイメージですか。
【岩本分析官】  年次報告書というのは義務付けられているわけではありませんが、我々としては総会ごとに、ある程度中仕切りとしてまとめて、今、籾井企画官が言ったように、もう少し我々の活動をビジブルに、一般の方にも知っていただきたいというのがありまして、その意味では、まだまだ専門的な用語が砕けて書かれていないとか、私自身もフラストレーションはありますが、少しでもいいものにしていきたいという、今、ワーキング・プログレスの段階でございます。
【早川委員】  分かりました。ありがとうございます。
【安西委員長】  どうぞ。
【広瀬委員】  ウェブサイトには出ていますか。
【本村補佐】  はい、公開しております。
【広瀬委員】  そういう意味では公開されているということですね。
【籾井企画官】  はい。
【広瀬委員】  分かりました。
【安西委員長】  日本におけるユネスコ活動、日本ユネスコ国内委員会の活動が、やはりもっと周知されるべきだという課題は大分浮上してきておりますので、今、早川委員が暗黙のうちに恐らくおっしゃったように、やはりもっとこういうものが活用されるように計らっていくべきではないかというふうには思います。
 それでは、議題2につきましては、今申し上げましたように2月末までに御意見をお寄せいただくということにさせていただきます。
 議題3に移りまして、第37回ユネスコ総会の報告ということでございます。昨年の11月5日から20日にかけまして、パリのユネスコ本部でユネスコ総会が開催されました。その報告につきましては、全体の概要は、既に国内委員全員にメールでお配りしているということであります。また、各小委員会においても御報告いただいているそうでありますけれども、ここでは事務局に、ごく簡単に説明をお願いして、御意見等々については、次の議題4で、御報告を兼ねてお願いしたいと思います。
 事務局から簡単に説明をお願いします。資料492-3ですね。
【本村補佐】  492-3の資料に基づいて説明させていただきます。第37回のユネスコ総会、これは2年に1回開催されるものでございますけれども、11月5日から20日にかけまして、パリのユネスコ本部で開催されました。我が国からは上野文部科学大臣政務官が政府代表として出席をしております。各国からは3,000名以上の出席がございまして、国内委員会の方からは田村会長、佐藤副会長、金澤副会長が出席されてございます。
 次のページをおめくりいただきますと、今回の総会の大きな議題として次期中期戦略案、また、次期事業・予算案の審議がありましたが、2014年から2021年までの中期戦略及び2014年から2017年までの事業・予算が審議され、採択されました。このうち、中期戦略の科学分野は、具体的な内容につきまして次回以降の執行委員会で修正案を審議するとされてございます。
 また、3番の持続可能な開発のための教育(ESD)でございますけれども、こちらにつきましても次期中期戦略案、また、事業・予算案の中に明確に位置付けられました。また、「国連ESDの10年」の後継プログラムとして「グローバル・アクション・プログラム」というものが採択されました。これは今年の第69回国連総会に提出することとなってございます。また、総会期間中に、このESDの世界会議に関する閣僚級の朝食会を、ユネスコと我が国政府で共催をいたしております。あわせて、今年の世界会議のPRを目的に、大村愛知県知事、大森岡山市長が出席されて、各種PRイベントを行ったところでございます。
 3ページの6番、サステイナビリティ・サイエンスにつきましては、こちらも次期事業・予算の中で明確に位置付けられるとともに、我が国をはじめとする各国から、サステイナビリティ・サイエンスの重要性について発言がございました。あわせて、総会期間中にユネスコ事務局、ドイツ、インドネシア、チュニジア等とサステイナビリティ・サイエンスの今後の取組について意見交換、これは金澤副会長に御出席いただきまして、意見交換等を行っております。
 最後のページですけれども、今回の総会では、ボコバ事務局長が4年の任期を終えましたので、選挙がございまして、次期事務局長として再任されたところでございます。
 また、3ページ目ですけれども、第8回のユネスコ・ユースフォーラムが総会に先立ちまして開催されました。こちらにつきましては、西園寺先生の五井平和財団に多大な御協力を頂きまして、フォーラム期間中に文化交流のイベントを行っていただいたところでございます。
 主な総会の報告は以上でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。
 何か御質問ありますか。よろしければ次に、今日は盛りだくさんなので、後でも結構ですので、よろしいですか。
 それでは議題4に移らせていただきまして、専門小委員会からの御報告ということでありますけれども、まず、我が国におけるユネスコ活動の活性化の検討事項の中で、学校教育、社会教育等を通じたESDの一層の推進という件につきまして、11月21日に教育小委員会が開催されまして、提言案の審議が行われました。それは議題6で審議をさせていただきます。私自身、教育小委員会の委員長でおりましたが、会長に就任するに当たって、教育小委員会の委員長は辞任させていただいておりまして、後任の教育小委員会の委員長については、これから開催される教育小委員会で互選ということになっておりますので、その件も御報告申し上げておきたいと思います。また、普及活動小委員会は開催されておりません。それから自然科学小委員会と人文・社会科学小委員会は合同で開催されておりまして、人文・社会科学小委員会の吉見委員長、きょう、御欠席ですので、自然科学小委員会の鈴木委員長から、まず御報告をお願いしたいと思います。
【鈴木委員】  それでは私の方から、二つの小委員会を合同で開催しておりますので、2月10日月曜日に、自然科学小委員会と人文・社会科学小委員会を、単独又は合同で開催しました。議題は三つありまして、人文・社会科学小委員会の委員長の選任、二つ目がサステイナビリティ・サイエンス、三つ目が自然科学小委員会に設置された分科会の構成についてであります。
 1番目の案件に関しましては、前任の青柳委員が文化庁長官に就任したことに伴って、新たな人文・社会科学小委員会の委員を、互選をしまして、先ほどからお話のありました吉見俊哉委員が新しい委員長に選出されました。
 2番目のサステイナビリティ・サイエンスにつきましては、黒田玲子委員から、国連事務総長科学諮問委員会(SAB)の報告を受けて、いろいろな形で議論をいたしました。各国、かなり前向きな意見を頂いたと聞いております。また、国内の関連動向としまして、文部科学省の研究開発局からFuture Earthについて御報告を頂きました。今後ともサステイナビリティ・サイエンスの推進の方策について、国内の関連する事業等で議論、ヒアリングを行っていくことになりました。
 3番目は、政府間海洋学委員会(IOC)と国際水文学計画(IHP)、この分科会に配属される国内委員及び、本年3月末で任期満了になります各分科会の調査委員について、構成員を諮りまして、確定をいたしました。以上です。
【安西委員長】  ありがとうございました。
 何か御質問ありますでしょうか。後でも結構ですので、それでは次に、文化分野とコミュニケーション分野についても同様に合同で開催されておりまして、両委員会を代表して、文化活動小委員会の河野委員長に御報告をお願いしたいと思います。
【河野委員】  それでは御報告申し上げます。
 一昨日、2月17日、第125回文化活動、第96回コミュニケーション合同小委員会が開催されました。主に「ユネスコ東アジア子ども芸術祭」、ユネスコ記憶遺産等について議論を行いました。
 「ユネスコ東アジア子ども芸術祭」につきましては、本年夏開催の中国に派遣する団体。それから2年後に、日本開催をホストする都市の募集につきまして、3月以降進めていくということが、了承されました。
 委員の先生方からは、募集に当たりまして、過去の芸術祭を開催したことによるメリット、その都市についてどういうメリットがあったのかとか、あるいは芸術祭に参加することで、どういうふうな効果が期待できるのかという情報も併せて発信していくことが、応募を促すことにつながっていくであろうという御指摘がございました。
 ユネスコ記憶遺産に関しましては、1か国2件という申請制限がございます。これは昨今、結構人気が出てまいりましたが、本年3月末に申請締め切りがございますが、日本から3件以上の申請がある可能性も出てまいりまして、そのことに備えまして、2件に絞り込む方針や基準について検討を行いました。今回の議論を踏まえまして、更に引き続き議論を重ねていくことになっております。
 そのほかに、クリエイティブ・シティズ・ネットワークというユネスコのプロジェクトがございますが、申請要件となっております国内委員会のエンドースメント・レターというのがございまして、それが申請自治体から依頼が来ておりますために、現在メールで審議中でございます。おとといの委員会は時間が足りなくなりましたものですから、この案件だけメール審議とさせていただいております。
 それから、文化庁から無形文化遺産保護条約の審査件数に新たな制限が設けられたという旨の報告がございました。これまでは1年に1か国1件という申請だったのでございますが、最長で2年に1件というふうに、更に厳しくなったという報告がございました。これにつきまして、また対応を考えていくことになろうかと思います。以上でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。何か御質問ありますでしょうか。
【野口理事長】  今、御報告ありましたユネスコ主催の「東アジア子ども芸術祭」ですが、継続して実施されるという旨の御報告を頂いて、大変うれしく思っております。
 御承知の先生方も多いと思いますが、松浦前事務局長が発案者でございまして、2001年でしたか、第1回を北京でやりまして、第2回が日本の福岡市で開催をされたんです。そのときは北朝鮮の子供たちにも来てもらって、いろいろ困難な点がありましたが、子供たちも来てくれて、無事実施できたということがございます。
 東アジア、非常に厳しい状況がありますけれども、そういう中で、やはりこういう子供たちが集って、芸術活動を通じて融和を深めていくというのは大変意義があると思いますので、継続されることは大変結構なことだなと思いました。
【安西委員長】  ありがとうございました。
 それではコミュニケーション分野につきまして、コミュニケーション小委員会の西園寺委員長に御報告をお願いできればと思います。
【西園寺委員】  今、河野委員長のおっしゃったとおりで、合同委員会でございましたので、その部分も含めて御報告いただきましたので、付け加えることはございません。
【安西委員長】  よろしいですか。
【西園寺委員】  はい。
【安西委員長】  それでは文化分野、コミュニケーション分野はほかによろしいでしょうか。それでは御報告いただいたことといたします。
 全体として、小委員会からの報告について、ほかに何かありますでしょうか。よろしいですか。それぞれ小委員会が、相当盛りだくさんにやっていただいておりまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
 それでは議題の5に移りまして、「ESDに関するユネスコ世界会議」に向けた準備についてということであります。
 まず、事務局から御報告をお願いして、それから御意見を頂くようにします。
【本村補佐】  それでは「ESDに関するユネスコ世界会議」につきまして、本年11月に愛知県名古屋市と岡山市で開催します。
【安西委員長】  492-4ですね、資料は。
【本村補佐】  失礼いたしました。資料の492-4を御覧いただければと思います。
 既にこれまで、世界会議につきましては準備状況を説明してきたところでございますけれども、今回、初めての委員もいらっしゃいますので、改めて現状を簡単に説明させていただければと思います。
 そもそもこの世界会議というのは、2002年に、当時の小泉総理がヨハネスブルグ・サミットで提唱されて、「国連持続可能な開発のための教育の10年」ということで、国連で決議をされまして、2005年から2014年までの10年間をESDの10年ということで、国際的にユネスコを主導機関として進めてきたわけでございます。この最終年に当たる本年2014年に、提唱国である日本でこの世界会議を開催するということが決まっております。会議の日程につきましては、おめくりいただきまして、3ページの横表が分かりやすいと思いますので、こちらを御覧いただければと思います。
 会議の構成、内容につきましては、まず、11月4日から8日にかけて、岡山市でステークホルダー会合と呼んでおりますけれども、こちらに記載されておりますユネスコスクール世界大会、ユース・コンファレンス、持続可能な開発のための教育に関する拠点、RCEと呼んでおりますけれども、こちらの会議、この3本立てで行われるものがステークホルダー会合でございます。
 これに続きまして、11月10日から12日にかけて、閣僚級会合及び全体の取りまとめ会合が、愛知県名古屋市で開催される予定でございます。
 1枚おめくりいただきまして、4ページ目に、愛知県で行われる閣僚級会合全体の取りまとめ会合の構成が記載されておりますけれども、主に全体会合、閣僚級会合、ワークショップとともに、サイドイベント、展示発表等が行われる予定でございます。サイドイベント、展示につきましては、国際的に公募がなされまして、選ばれたものが発表になるということになっております。
 続きまして、5ページでございますけれども、この世界会議の成果といたしまして、先ほど、ユネスコ総会のところでも言及いたしましたけれども、ESDのグローバル・アクション・プログラムというものが、先のユネスコ総会で採択されておりますけれども、こちらのプログラム、新しく2015年以降の国際的な取組をまとめたプログラムがこの愛知県の会議におきまして発表されるとともに、併せて、宣言文を採択する予定でございます。この世界会議をきっかけに、このアクション・プログラムを日本及び国際的にいかに進めていくかという議論もなされる予定でございます。
 また、6ページでございますけれども、この世界会議に併せて、日本としてのこの10年の取組、成果をまとめたものを、ジャパンレポートとして優良事例も含めて取りまとめいたしまして、これを英訳したものを世界会議に先駆けて国際的に発信していこうということで、今、準備を進めているところでございます。
 あわせまして、7ページでございますが、まだまだ国内的な広報が足りないという御指摘も各方面から頂いておりますので、日本政府といたしましても、本日お配りしております「ESD QUEST」、ブルーの冊子でございますが、ESDとは何かというのを解説した本ですとか、ピンバッジ、こちらも皆様にお配りしておりますけれども、そういったものを作成しております。また、政府としても、文部科学省だけでなく環境省と協力をして、キャラクターを作って広報活動を行っておりますし、また、来月にはESDの愛称の公募を行って、広く国民の皆さんにESDについて分かりやすく国内の発信を行っていくための愛称の公募を行う予定でございます。
 それ以降、省略させていただきますけれども、国内委員会でフェイスブックを作ったりして、国内的な広報にも取り組んでいるところでございます。事務局からは以上でございます。
【安西委員長】  それでは、何か御質問、御意見あれば頂ければと思いますがいかがでしょうか。
【西園寺委員】  ちょっと関連してよろしいですか。
【安西委員長】  どうぞ。
【西園寺委員】  11月7日に開催されますユース・コンファレンスの方は、ユネスコと文科省、それから岡山市と一緒に、五井平和財団でも共催させていただき、今準備を進めているところでございます。こちらは海外のユース50人ぐらいを選抜して出席していただく予定です。
 実は、それに先駆けまして、日本国内のユースを50人程集めて、プレ・コンファレンスという形で2月16日に開催いたしました。これには、日本で様々な活動をされている優秀な若者に参加していただきました。学生や小・中・高・大学の先生方、また企業のCSR担当者、あるいはNGO関係者など18歳から35歳までの方が集まり、非常に活発な議論が行われました。最後に本会議に出席する代表2人が選抜をされました。この中で国際統括官付ユネスコ振興推進係長の江幡さんからもESDの概要について皆さんにお話をしていただきました。参加された方々は必ずしもESDという意識を持ってやっている人たちだけではないのですが、実際にはESDの精神そのものの活動をしている若者たちが、日本国内で非常に増えてきていることを実感しました。これは非常に望ましい状況ですし、そういうものが意識をしてつながっていくということが必要だと思います。いかに若者たちの力をESD活動に引き込んでいくかと、そのプラットフォーム作りが必要であるということが提言の中にもあるわけですが、これをきっかけにプラットフォームモデルができるといいなと思っております。
【安西委員長】  ありがとうございました。五井平和財団に西園寺理事長の下で、特にユースについては大変御尽力いただいておりますので、ここで改めて感謝を申し上げたいと思います。
 ほかに。若い人がユネスコ活動に参加してほしいというのは全くそのとおりであります。安達委員は何か是非。
【安達委員】  次の議題のところにもあるかと思うのですけれども、本当に、これから若者の、青年のということで、私も今回こういう立場で入らせていただいて、いろいろと知らないこともたくさんあったりしますので、つなげるためのパイプとして自分もやっていきたいなということもあります。今回のカンファレンスもそうですし、あと、日本ユネスコ協会連盟の方に所属している青年たちも活発にいろいろなことをやっていますので、そういうつながるような場ができてくるといいなということは考えていますので、よろしくお願いします。
【安西委員長】  よろしくお願いします。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。では、早川委員。
【早川委員】  7ページの2番目にある愛称の公募というのとは、とても大事なことではないかなと思っています。つまり、ESDというのは分かっている人の世界では大変よく理解されているけれども、分からない人の世界では全く分からないという、そういう状況だと思います。それを、愛称を公募することによって全く知らないという人に関心を持ってもらう一つの契機にしていけないかなと思います。そのためにも、公募の仕方を相当工夫しないと、そこのところがうまく展開できないかなという気がしています。
【安西委員長】  どうぞ。
【籾井企画官】  実は、愛称公募のアイデアは、早川委員と委員になられる前にお話ししている中で出てきたアイデアでもございまして、その後、いろいろなところからもそういうことは必要ではないかということで、今回実現に向けて動き出したものでございます。おっしゃるとおり、公募をすることの意図としては、ESDに今まで関心がなかった人にも、積極的に自分たちがつながりがあるものだと理解する機会を提供していきたいということがございまして、そういう意味で、公募をしますということの告知をどこまで訴求対象を広げられるかというのが一つ課題かなと思っております。
 今の段階で、まだ全て調整中の段階ではありますけれども、一つは関係省庁との連携ということで、文科省の関係だけではなく、世耕副長官の下に関係省庁連絡会議というのがございまして、9省庁がメンバーになっております。こういう省庁にも協力してもらいながら告知ができるようにしたいというのが一つ。
 あともう一つは、あくまでも案の段階ではありますが、オフィシャルサポーターをこのプロセスに何らかの形で絡めると、誰になるかはともかくとして、著名人であるオフィシャルサポーターを、例えば審査員に加えたり、表彰の場に来てもらったりという形で、ESDそのものに今全く関心はないけれども、そういう機会があるのであれば、自分もちょっと「ESD QUEST」を読んで、何か応募してみようかなという人にも参加してもらえるような仕組みができないかということを検討しております。
 また、委員の皆様におかれても、告知の機会などございましたら、また公募要領できましたら、共有させていただきたいと思いますので、是非、御協力をお願いできればと思っております。
【安西委員長】  ありがとうございます。
【広瀬委員】  ありがとうございます。ESDは非常に大切なアジェンダですし、それから、日本が提案して国連のESD10年になったというようなこともあり、イニシアチブを日本がとっているという意味で、世界的にも誇れるトピックスだと思いますが、やはり、若者をもっと巻き込んでプラットフォームを作ったり、それから、ユネスコスクールが随分増えているので、そういうところで、広報をしておられるのだと思いますけれども、一般的にはやはり余り知られていないのではないか。国際会議、ほかのCOPとか、TICADなど、新聞やテレビでいろいろ広報されているのに比べるとどうも地味なような気がしますが。私もまだこの委員は新しいし、ユネスコスクールの活動は余り詳しく知らないので、そういうところではもう皆さん知っていてうねりができているのかもしれませんけれども、これをもうちょっと広げて、もっともっと国民、一般に知ってもらうためにどういう努力をすればいいのか、もっと知ってもらう努力、マスコミも巻き込んで是非やれたらいいのではないかと思います。その辺の知恵を文科省さんもすごく真面目にやっておられるのだけれども、ちょっと地味かなという気がしております。勝手な杞憂(きゆう)かもしれませんけれども、ちょっと問題提起をさせていただきたいと思います。
【安西委員長】  ESDにつきましては、私も教育小委員会のメンバーになりましたときに、こういう活動でしたら先ほど安達委員もおっしゃいましたけど、若い人たち、いろいろな人たちがいろいろなところでやっているわけでして、既にいろいろなところでやられていることとどういうふうに切り分けるのかということが全くなかなかはっきりしなかったので、教育小委員会では相当長いこと議論をいたしまして、それで、ユネスコスクールとESDについて1ページの何といいましたでしょうか。
【岩本分析官】  ガイドライン。
【安西委員長】  そうでした、ガイドライン。ガイドラインに1ページ、それをきちんと、一応文章まで考えて作りまして、それは全国に配布されております。なかなかESDの概念というのは理解しにくいというのは現状でもそうだと思いますので、もっともっと工夫をして伝えていかなければいけないと思います。いろいろなところでいろいろな人が苦労しているのですけれども。
【広瀬委員】  そうだと思いますね。やはり、残念な感じ。
【安西委員長】  ほかにはよろしいですか。林原委員は国内委員会の副会長に御就任いただいておりますので、是非、いろいろ御発言いただければと思います。
【林原委員】  広瀬さんの御意見に賛成です。ESDはいま一つ浸透していないと思います。ESD世界大会のバッジを頂き昨日からつけているのですけど、多くの方からこれは何だと聞かれます。こういうバッジを折角作ったのであれば、大いに活用したらいいと思います。東京オリンピックの招致のときにもバッジ作りましたが、結構多くの皆さんが付けていて非常に有効だったと思います。
 ESDの活動について世の理解を深めるためには、マスコミの力が大きいと思います。せっかく早川さんおられるので、NHKさんに是非頑張っていただきたいと思います。この前のこの会議で申し上げましたけれども、私は国立博物館の評議委員を仰せつかっておりますが、NHKの日曜日の「日曜美術館」で報道されると来館者の数が全く違います。NHKさんにESDの番組を是非組んでいただくと大変効果的だと思います。
【西園寺委員】  特に11月に向けて、キャンペーンみたいな形でやっていただけると本当に盛り上がると思うのですよね。
【広瀬委員】  そうですね。是非、盛り上げないともったいない。
【安西委員長】  是非よろしくお考えいただければと思います。
【早川委員】  力の及ぶ範囲で。
【林原委員】  それから、もう一つ。閣僚級の方の会議出席と出ていますけれども、当然、文部科学大臣と外務大臣は御出席いただけるのですか。
【岩本分析官】  はい。
【林原委員】  できれば内閣総理大臣にも御出席いただきたいですね。
【岩本分析官】  ユネスコはユネスコで、例えば、国連事務総長の出席はできないかというのを検討しております。私どもの方も、できましたら内閣総理大臣の御出席を仰げないか。その意味では、内閣官房と非常に密接な関係を持っているわけであります。また、関係大臣の出席については、もちろん教育という意味では文部科学大臣が中心ですけれども、当然、環境大臣、あるいは場合によっては外務省の関係の方々というようなことも、いろいろなマルチステークホルダーで考えているところであります。
【安西委員長】  今、林原委員が言われた二つのことは非常に大事だと思いますので、ほかの御意見もそうなのですけど、是非、事務局で検討いただきたいと思いました。政府には、ESDの会議体がありますね。違う、世耕さんが。
【岩本分析官】  内閣官房が事務局になって関係省庁連絡会議というのを作って、そこがまず国連で採択されたDESDについて国内行動計画というのを作っておりますので、やはり、政府全体の取組という観点から取り組んでいかなくてはいけないというのはあります。
【籾井企画官】  それから、ピンバッジの活用のお話がありましたけれども、皆様方のネットワークで配布していただけるということであれば、数を御用意させていただきますので、事務局まで御連絡いただければと思います。
【安西委員長】  それでは、よろしければ、議題の6に移らせていただきます。我が国におけるユネスコ活動の活性化についてということでありますが、もう一昨年になりますけど、一昨年の12月から運営小委員会と、それから教育小委員会で集中的に議論を進めていただいております。今日は、来月総会が行われますので、そこでの審議徹底に向けて、これは提言案ということになっておりまして、総会でもって提言として決定される予定でありますけれども、具体的にどういう実施方策でやっていけばいいのか等々、是非、御議論をここでお願いできればと思います。ほかの議題も大事ですけれども、この議題につきまして、ある程度時間を取りたいと思いますので、大体10時45分ぐらいまで、まずは事務局に説明していただきますけれども、10時45分ぐらいまで時間取れるかと。
【籾井企画官】  11時ですね。
【安西委員長】  11時50分ぐらいまで取れますか。
【籾井企画官】  はい。
【安西委員長】  それでは、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【籾井企画官】  資料、492-5、我が国におけるユネスコ活動の活性化についての提言(案)を御覧いただきたいと思います。既に、本日の議論でも何度か課題として挙がっておりますけれども、ユネスコ活動をよりビジブルに、そして魅力的なものにして、より広い層に積極的に参加をしていただくにはどうしたらいいかということで、議論を進めてきたところでございます。特により広く若者、企業を取り込んでいくにはどうしたらいいかということを、この運営小委員会を中心に議論を進めてきております。
 それから、今年世界会議があるということで、広いユネスコ活動の中でも、特にESDについて、今後どうやって推進していくのかということを、こちらは教育小委員会を中心に議論をしていただいたところでございます。昨年9月の総会におきまして、この提言の柱立てについて御了承を頂いた上でこの提言案は作成されております。
 第2部のESDの関係につきましては、教育小委員会を開催いたしまして、こちらで教育小委員会としての御了承は得ております。それから、第1部につきましては、皆さんにメールで意見照会をさせていただいておりまして、本日お配りしているものは、皆様方からの意見を反映したものを配付させていただいております。内容につきましては、3ページと10ページにそれぞれ第1部と第2部の大きな要旨というのがございます。
 まず、第1部につきまして、資料の3ページを御覧ください。今回の提言の中で、具体的にこれから実施していくべきこととして、この囲いにある4点が挙げられております。1点目は、先ほど、いろいろなESD活動のつながりが重要であるという御意見を頂きましたけれども、今、実際にユネスコ活動を推進している団体というのは非常に数多くあります。そういうところの情報発信というのをばらばらとそれぞれがやるだけではなくて、どこかで窓口として一元化できるような、ポータルサイトのような仕組みを作っていくことが必要ではないかというのが1点目でございます。
 それから、2点目は、先ほど西園寺委員から御紹介を頂きましたユースフォーラムとの関係も出てきますけれども、国内委員会というのは割とかっちりとした議論の場であると。それとは別に、より積極的に意欲のある人が議論にどんどん参加をしていけるようなプラットフォームというのを作っていくということが必要ではないかというのが2点目でございます。イメージとしては、主にオンラインのものを想定しております。
 それから、3点目が、若者が参加する場の提供ということで、今もユネスコがいろいろなユースフォーラムというのを開催しておりますけれども、こういったものに若者がより参加しやすくなるように情報発信をするなどの支援をしていくことが必要というのが三つ目でございます。
 それから、4点目は、ユネスコ活動に参加することのモチベーション付けとして、例えば、この国内委員会だったり、あるいは文科省だったりが、何らかの顕彰制度というのを設けるべきではないかということでございます。
 続きまして、第2部でございますけれども、10ページを御覧ください。大きく四つの提言をしております。1点目は、ユネスコスクールを中心にこれまでESDの推進を図ってきたところですが、ユネスコスクールにつきましては、引き続き質的な向上に努めるとともに、それから、かなり数は増えてきており、今、全部で国内675校ございますけれども、やはり地域による偏在がある。まだユネスコスクールが一つもない県というのが今4県ございますので、この解消も含めて、地域的な偏在をなくすようにするというのが1点目でございます。
 それから、2点目が、これまでユネスコスクールというのはESDの推進拠点であると言ってきましたが、では、ESDというのはユネスコスクールだけがやっていればいいのかというとそうではなくて、いろいろな方々、学校に限らず、NGOだったりとか、いろいろな関係者がいる中で、そういうユネスコスクール以外の場でもESDが推進されていくような施策を講じることが必要というのが2点目でございます。
 それから、三つ目が、ESDが個人の資質、能力の向上にどのように貢献するのかということを理論的、実証的に明らかにするような調査研究を進めるということでございます。
 最後が、ユネスコ世界会議に向けて、これまでの成果や取組を取りまとめた上で発信していく。これも日本単独でやるのではなくて、ユネスコや加盟国と国際的な連携もしながら取り組むと、この四つを挙げさせていただいております。
 最後に、頂いた御意見で今回反映したものを簡単に御紹介させていただきますが、まず、資料の1ページ目、サブタイトルとして、「我が国におけるユネスコ活動の活性化についての提言」だけでは何を述べているのかイメージが湧かないということで、「グローバル化時代における我が国のユネスコ活動」ということで追加させていただいております。ここは事務局案でございますので、ほかにいろいろな御提案を是非頂きたいというふうに考えております。
 それから、7ページ目に行きまして、先ほどの若者等が参加するプラットフォームのところで、どういうものをイメージしているのかが分かりにくいということでございましたので、例えば、SNSを活用してということで少し具体的な例を挙げさせていただいております。
 それから、8ページ目、企業の参加促進のところでございますけれども、企業の参加の中で単にCSR活動で取り上げてもらうというよりは、むしろ、企業にとってもユネスコ活動を行っていくことがメリットがあるということをより明確にしていくことがあるという御意見を頂きましたので、3の企業の参加促進の最初の段落の最後の3行、「近年、長期的な企業活動においてCSRの役割の重要性が高まりつつあることに鑑み、企業がCSRを強化していく上で、ユネスコ活動がより必要であることを示すようにしていくことが必要である」という文を加えさせていただいております。
 それから、14ページでございます。ここはESDの推進に当たりまして、ユネスコスクール以外の関係者を巻き込むために、コンソーシアムを形成していくことが重要であるという提言をさせていただいているところですけれども、こちらにつきましては、既に、日ユ協さんですとか、ユネスコ協会・クラブが地域で形成してきたネットワークというのがありますので、そういうものも活用していくべきではないかという御意見がございましたので、2段落目の最後の文を加えさせていただいております。
 それから、15ページの真ん中、今後取るべき方策でございますけれども、真ん中辺り、「さらに、これらの研究成果が、ESDに関する教材等の作成に活用されることが期待される」という1文を追記しております。こちらにつきましては、ESD関連の研究成果というのがありますけれども、そういったものを生かした教材開発がされることで、よりESDの発展に寄与するのではないかという御意見を頂きましたので、追記させていただいております。
 以上でございます。
【安西委員長】  よろしいですか。ありがとうございました。それでは、御質問、御意見を頂ければと思います。一応、この案をベースにして総会に提言案として提出して承認してもらうということなのですけれども、ここで御意見を頂ければ、できる限り反映して修文していただく時間はあると思いますので、運営小委員会の意見は重視していただくべきだと思うので、是非、忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思います。恐らくこの文面がベースにこれからなっていくはずなので、何かあれば是非頂きたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、多少時間を取りますので、御覧いただいて御意見を頂ければと思います。頂いた御意見をこの提言案にできる限り反映させていただいた上で、国内委員会の委員全員に修文した案をメールで配布して、それで意見をもらった上で、最後に提言案として総会に出すということですので、そういうやり方でやらせていただきます。どうぞ。
【林原委員】  確かに、サブタイトルは考え直した方がいいと思います。今の案だと上の本タイトルとほぼ同じことを言っているように思えます。かといって、どういう文案がいいか名案があるわけではないんですけれども、例えば、本文に記載されている、若者や企業にもっと浸透させようといった趣旨がサブタイトルの中に込められているといいと思います。
【籾井企画官】  いえいえ。
【早川委員】  1点よろしいでしょうか。
【安西委員長】  今の副題については、なかなか、どういう文案があるのかなと事務局でも大分苦労しているようなので、何かいい案がありましたらと思います。
【岩本分析官】  今のこのタイトルの「我が国におけるユネスコ活動の活性化についての提言」というのは余りに一般的なものですから、だから、サブタイトルというのを付けるのがいいのか、もうちょっとキャッチーなタイトルを一つ掲げればいいのかということも含めて、いろいろ提案を頂きたいと思います。
【安西委員長】  是非、お知恵を頂きたいという状況だということです。
【早川委員】  では、そちらの議論を先にどうぞ。
【安西委員長】  これは副会長とも御相談すべきことだと思いますが、ユネスコ活動というのは、特に若い人たちも含めて、今、なかなか日本で昔のようには取り上げられていない、そのことが3ページの要旨の中の、多くの人たちが参加して、再び、これからのグローバル化時代と言うのでしょうか、これからの時代にユネスコ活動が大きくなっていくということを、それを推進したいというのが、私が見て非常に大事だし、大きなことだと思っております。そういうことを反映された具体的な何か題が載るといいかと思いますが、こちらでもどうしたものかと、そういう状況があります。
【西園寺委員】  この提言は、結局、総会で決定をしてから、どういうところに告知されどのように活用されるのか、この先をどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
【岩本分析官】  私どもとしては、国内委員会からこういう提言を頂きました、ついてはこれに鑑み、ユネスコ活動の一層の推進を図りたいということで、都道府県教育委員会、あるいは知事部局も含めてでございますがそういったところ、それから関係のNGO、こういったところに普及してまいりたいと思います。といいますのは、この中で例えばコンソーシアムみたいなことを提言しておりますけれども、それ自体は、実は先取りして政府の予算原案の中にもそういった考え方を入れておりますので、それを実質化するという意味でも、ちょっと後追いになりますけれども、これをやっていくということが必要かなと。その意味では、名宛て人は、文科省であると同時に関係の教育委員会、それからユネスコ活動を推進していただきたい方々ということになります。
【西園寺委員】  既に関わっている方たちを含めて、ステークホルダーといいますか、そういう方たちの活動をより活性化するために何をすべきかということと、それから、ユネスコ自体の認知度を高めること。すなわち一般の人たちにいかにユネスコというものの目的や活動を正しく理解していただくことが大切です。これは前の議論の中でもそういうことが出てきたわけですので、提言のどこかに入っていれば結構ですけど。
【岩本分析官】  5ページの下の方に。これが、先生方の御意見を、5ページの今後取るべき方向の1番のところで、正に今おっしゃったユネスコ活動の魅力や国民生活との結び付き等をより分かりやすく伝える工夫がされなければならないと、どのような関連があるのか、また、ユネスコ活動に関わることが、未来の形成にどうつながるのかをイメージしやすくなるような情報の発信を行うべきであるということを言っています。
【西園寺委員】  もちろん、ユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という非常にすばらしい文章があるわけですが、それは余りにも抽象的過ぎでなかなかぴんとこない。そこをもう少し分かりやすく一般の人たちに伝える工夫が必要でしょう。
 私がいつも説明に使っているのは、例えば、国連が政治力、経済力、ときには軍事力も含めたハードパワーで平和を目指す組織だとするならば、ユネスコというのは科学、教育、文化、コミュニケーションというソフトパワーで平和を目指していく組織であるという説明をすると、比較的理解してもらいやすいです。それは、非常に大ざっぱな説明ではあると思いますが、何かもう少し分かりやすい説明を国内委員会として打ち出す必要性はあるのではないかなという気がいたしました。
【安西委員長】  どうぞ。
【広瀬委員】  私も全く同意見で申し訳ないのですけれども、いろいろよく考えて、いろいろなことを配慮して書いておられますが、具体的にどういうことを提案しているのかよく分からないし、もう少しすっきり短くまとめられないのかなと。提言として出すからには、いろいろこういうことが必要だということが書いてありますけれども、では、どういうふうにすればいいのか、もう少し具体的に書き込めないと、提言をもらってもそれはそうだなで終わってしまうのではないかという気がしてもったいないと思います。
【安西委員長】  私は口を差し挟むべきではないかもしれないのですけど、提言という題になっているので、一般向けに分かりやすく提言するというふうに見えるのですけれども、私の理解は、むしろ、国内委員会がやるべきこと、これからやるべきことを指定されているというふうに受け取っておりまして、ほかの、例えば、今、第2期の教育振興基本計画が走っておりますけれども、その分厚い中に、何をやるべきとたくさん書いてあるのです。それはある意味で提言であり、ある意味でたがをはめられているということです。やはり、国内委員会がこれからやっていくべきことというのが、もう一度改めて今度の総会のときに、こういうことをやっていくべきだということを我々同士で決めましょうと、こういうふうに、だから、提言という題がいいのかどうか分かりませんけれども、指針というのか何というか。
 それで、私ばかり申し上げるとあれですけど、今、西園寺委員の言われたこと、あるいは広瀬委員の言われたことは全くごもっともで、むしろ、どういう言い方をすれば一般に受け入れられていくのかということを、それを固めていくことをこれからやらなければならないのです。
 一方で、ESDがユネスコスクールにかぶってきているというか、ユネスコスクールは存在しているのですけど、そこをESDの拠点にしようということで活動が行われてきていて、一方でユネスコスクールというのは、ユネスコ憲章をきちんと理解して、その運動を本質的にはやっていくべきところなわけです。それがESDのいわゆる環境とかそういう問題と、どちらを重点的に言っていけばいいのかとか、それは実は現場では結構悩んでいることなのです。それを特に運営小委員会がどういう言い方をしていけばいいのだということをむしろ決めていく必要があるのではないかと。少し私の個人的な感想で恐縮ですけれども、野口理事長がいらっしゃいますけど、ユネスコ協会連盟ともしっかり連携をとってやりなさいというのがこの提言の中に相当書かれておりまして、今まで、大学にもユネスコクラブがあり、あるいはACCUもあり、いろいろなところが比較的離れた形になっていたのではないかというのがこの提言のバックグラウンドにありまして、それを結集して、それでメッセージを出していきましょうということだと思うのです。その出すべきメッセージが、ここが主体になってこれから判断していくことでないかと。
【西園寺委員】  確かに、国内委員会自体が実行部隊ではないから、実行部隊がやりやすいように、方向性というか指針をはっきり打ち出して、そこをサポートしていくという形ですか。
【安西委員長】  私がいろいろな方に伺っても、二度と戦争を起こさないと、私はそこが本当に原点だと思いますけれども、一方では、人によっては、戦争というのは日本の子供たちにとって、私は遠くはないとは思うけれども、でも、それを言うよりは環境問題を言った方が受け入れられるというふうに言われる方も多々おられまして、我々としてどういうメッセージを出していったらいいのかというのは、例えば、ユネスコ協会とも相談をしながら、早急に考えていくべきことではないかというふうに、ここまでにしますけれども、捉えております。
【広瀬委員】  すみません。とすると、提言は総会に出して、国内委員会としてどこに出す提言になるのでしょうか。
【安西委員長】  これは、だから、公開されるわけです。
【岩本分析官】  私どもとしては、日本ユネスコ国内委員会として外に向かって正に提言するということで考えております。ただ、今、安西先生おっしゃったように、これからの日本ユネスコ国内委員会の活動の一つの指針という御理解も十分、それは必要というか、正にそれこそ委員の方々で御審議をお願いしたいところでございます。
【安西委員長】  どうぞ。
【河野委員】  これを拝見しておりまして、私なりの受けとめ方は、ユネスコというのは国際機関と、それと草の根レベル、グラスルーツのところをどういうふうにつなげていくかというところだと思うのですが、ここの書き方は、いかに国の横の広がりを広げるかというところにかなり興味があるような書きぶりになっていまして、国際機関と自分たちがどうつながっているのかというところがちょっと弱いかなと。同時に、例えば、世界遺産とか、プロジェクトごとで認知されているけれども、ユネスコ活動全体とはいま一つつながっていないという。むしろ、私は、個々のプロジェクトでいっぱいつながっていくことによって横の広がりが出てくるのではないかという気がいたします。つまり、例えば、SNSのことが書いてあるのですが、SNSで横のつながりというのは、横につながるために何かコアが要ると思うのです。そのコアをもう少したくさんつくって、ユネスコ活動でSNSしましょうというのは多分盛り上がらない、というか何をしていいか分からない。そうすると、SNSの核をいっぱい作って、それが結果的には広がっていくというイメージでないと、分かりにくさというところは解消しないのではないかという気がいたしまして、そこのところがもう少し出てこないかなという気が個人的にはします。例えば、文化のコアだったら何が使えるとか、教育だったら何が使えるとか。そこがはっきりすることによって、例えばユニセフとのデマケがはっきりしてくるということが出てくるのかなと。もう少し具体的に、例えばアクションプランで、これだったら全国の若者なりが乗ってくるようなものをむしろ考え出すというか、そっちから入るという観点は一つあってもいいかなという気がいたします。
【岩本分析官】  正におっしゃるとおりなのです。一つは、国際機関であるユネスコの特色というものが、従来から人の心の中に平和のとりでを築かなければならないという言い方をしてきた中で、今、戦後生まれの人間が大多数になって、戦争というものがおじいさんからしか聞いたことがないと、もちろん、世界中には戦争の状態はあるわけですが。そういった若者たちをどうインボルブしていくかといったときのアピールの仕方、それをここに書くかどうかという問題があります。例えば、国際機関として、教育、文化、通信、科学という精神的な価値を扱う唯一の機関である。しかも、それを通じて平和の実現ということを目指すという、それが一つ。
 あともう一つ、今、河野先生がおっしゃったのは、非常に難問を突き付けられておりまして、例えば、SNSとかというのは、一つのツールなわけでございます。ユネスコとユネスコ活動とそのツール、それを結ぶためにはやはり何かテーマといいますか。ユネスコスクールとか、ESDというのは、そういったユネスコのプログラムから生まれている、そういうものがある。例えば、世界遺産なんかもそうかもしれません。それが、全部1対1対応でそういったテーマに沿ってやっていくというのがなかなか書きにくいところがあります。何か分からないけど、一生懸命、町中で平和を訴えて頑張っている青年たちの活動をユネスコの活動にリンクさせようという気持ちもあるのです。そこが、ちょっと悩ましいです。
【早川委員】  初めての参加なのでちょっと質問させていただきたいのですけれども。ユネスコ活動が不活発化している理由として、活動を活性化してきた人たちが高齢化しているという認識が書かれているのですけれども、それは、活動を支えてきた人が高齢化するとなぜ不活発になるのかはこれまでどう議論されてきて、問題の所在が明らかになっているのでしょうか。そこが一つ伝わると、物の考えようがあるかなという気がするのですけれども。若者をターゲットというのは大変分かるのですけれども、若者も、確かに、今、非常にNGO活動などは活発化していますので、そうした人たちが、ユネスコ活動に関心がなくそういう独自の活動をしているのがどういうことなのかを見ることによって初めて見えてくるのかなという気がするのですけど、皆さんはどうお考えなのでしょうか。
【岩本分析官】  当初から、この議題を議論するときに、ユネスコ協会の現状ということで、一方では高齢化の問題というものを資料として掲げました。それから、一方では、会員数の規模というものがかなり、だんだん小さくなっているという、だんだんというのは正確じゃないです、会員数の分布は少なくなっているところが多くなっているという形です。だから、おっしゃるとおり、高齢化したからこうだとか、そこのリンク付けはしていません。ただ、一般的な話として高齢化し、なかなかアクティブではなくなっているということにはなっています。それに対しては、これは野口先生からでしたか、高齢化自体が本当にたがになっているのかという議論はあるわけで、今現在、これだけの青年、男女が働いている社会において、本当にユネスコ協会にディボートできる世代というのは実は60以上ではないかと、それで何が悪いというのはあるわけです。そこのところは、精緻な分析はしていません。ただ一方で、我々の気持ちとしては、青年の中でユネスコに対する認知度というのが余り高くない。だから、そういう人たちを何とかインボルブしたいというのはあるわけです。
【籾井企画官】  高齢化しているということで、新しい方々の参加というところをどう担保していくかという観点から、若者とか今まで余り手を伸ばしてこなかったような層に、ユネスコ活動というものを理解してもらって、認知してもらうかということが課題という論理で議論してきています。
【安西委員長】  どうぞ。
【安達委員】  青年のということで、日本ユネスコ協会連盟でも、やはり高齢化というものが問題というか、いろいろな形の団体があるのですけれども、青年がいるところといないところというのは大きく分かれていて、いないところが増えてきている。そこで、どのように地元にいる若者たちをユネスコ活動に引き込んでいくのかというのは今課題となっているところで、どんなふうに日本ユネスコ協会連盟に所属している青年をまとめていこうかということも、こちらの方でも議論しているところではあります。
【早川委員】  いや、どうして、若者が参加しないのですかという理由なのですけど。
【西園寺委員】  ユネスコ協会とか、ACCUとか、そういう組織体としての高齢化や人数減少の状況と、ユネスコ活動自体に参加している人が減ってきているということですが、私はこの間のユース・コンファレンスのときに感じましたのは、必ずしもESDという意識をしていなくても、非常にESDと同じ方向性の活動をやっている若者がすごくたくさんいるということです。彼らにあなた方の活動はユネスコのESD活動に非常に関係していますよと言うことによって、ESDという一つの柱にみんな共通の意識が集まりネットワークが広がっていくということになる。一つの団体で活動しているよりも、関係性を持ってどこかで補完的に協力し合うとか、そういう効果というのが出てくるわけです。そういう意味では、必ずしも意識していない、必ずしも組織には入っていないけれども、非常にユネスコの方向性に合った、あるいはESDの方向性に合った活動をしている特に若者たちにESDという意識を吹き込むことによって、それが一つのネットワーク作りになる。しかも、最近若者の間ではネットワークの形態がピラミッド的な組織よりSNSなどを通したクモの巣的なネットワークが増えてきている。それにうまく結び付けることによって、ESDというものの活性化というか、ユネスコ活動を意識した活動というふうになってくるのではないかなという気がいたします。
【安西委員長】  ありがとうございます。なぜ若者はユネスコ活動に参加しないのかというのは、安達さんばかりに振って申し訳ありませんが、どう思われますか。
【安達委員】  なぜ参加しないのかというところで、参加というのは、何を持って参加というのかが難しいところですけれども。ユネスコ協会、どこかに所属するとか、クラブに所属にするということを参加とするのであれば、ユネスコというものが何か分からないとか、分かりにくさというところはあるのかなというふうに思いますけれども、でも、ESDとか、ユネスコの理念に関連するようなことを大事にしながら活動している若者というのはたくさんいますので、そこにユネスコというものの理念とかいうところをきちんと位置付けていくということをしていければ、きっと大きくつながりというか、ネットワークは広がっていくのかなというのは思います。
【野口理事長】  今ほどの議論で幾つか申し上げてみますが、一つは、今、安達さんも言いましたように、いろいろな形でユネスコ活動に参加する学生とか、青年はいるのです。それが組織化されていない、組織化がなかなかできないというところがあるのですが、私たちでも、例えば、子供キャンプでありますとか、ユースセミナー、それから海外への研修、今度はユネスコスクールへの補助金、これは東京三菱UFJ銀行さんの御支援を頂いてやっております。それから、高校生の作文コンテストをして、パリ本部やドイツに派遣するとか、十分ではないかもしれませんが、様々な活動はやらせていただいています。そういう人たちが1回限りで終わってしまっているという、私たちの反省材料がありまして、そういう人たちをどうやって組織化できるかということが私たちにとって一つ大きな課題です。
 それから、幾つか申し上げて恐縮ですが、先ほどのサブタイトルの話で、グローバル化時代のユネスコ活動ということについては、先ほど、河野先生がおっしゃいましたように、もし、こういうサブタイトルを付けるなら、やはり、ユネスコという本部の方との関連性とか何か欲しいなという感じがいたしました。今、ユネスコの中期計画で二つの大きなテーマが掲げられているように思います。教育、科学、文化、コミュニケーション、いろいろな事業を通じて、それをまたがるオーバーアーチングのトピックとして、平和と持続可能な開発への貢献という二つのテーマが掲げられている。やはり、平和というものがもう一度脚光を浴びてきているかなという感じが私はしております。
 私たちもユネスコをどうやって分かりやすく普及宣伝できるかというところは、非常に悩ましいところで、なかなかシングルイシューではないのです。やはり、様々な活動を通じてユネスコの理念を実現するというのが憲章の理念でもあって、ユニセフのように、かわいそうな子供を救いましょうというのは非常にシンプルで分かりやすい。このシングルイシューに絞り込むというのが非常に難しくて、いつも悩んでいるところです。
 国連の憲章によれば、ユネスコは15個ある専門機関の一つなのですが、他と比較しますと、例えば、WHOは保健衛生に特化する、FAOは食糧、農業問題に特化する。ところが、ユネスコは専門機関といいながら、教育、科学、文化、コミュニケーション、ものすごく広いのです。文化という名の下にほとんどあらゆる活動が入ってくるというようなことで、なかなかユネスコというのが、かなり一言では説明しにくい。先ほど、ソフトパワーということをおっしゃって、これも意味があるかもしれませんが、そんな具合にいつも悩みを抱えております。
 具体的な話としまして、私たちは、各地のユネスコ協会とユネスコスクールとの連携を強めていきたいと思っていまして、その一つのツールに、「ユネスコ協会ESDパスポート」というものを作りまして、今パイロット的にやっています。これを子供たちに活用していただきながら、地元のユネスコ協会と学校との連携、こういうものを進めていければと思っております。幾つかの点を一緒に申し上げて恐縮でございます。
【安西委員長】  ありがとうございました。どうぞ。
【林原委員】  この報告書をまとめるのに混乱させて申し訳ないですが、二点だけ申しあげたいと思います。一つは、今、議論が出ているテーマ、あるいは要するに何をやりたいということが必ずしも明確でないように思います。私は、ユネスコの認知度が低いというのはむしろ逆で、今ほどユネスコが注目されている時代というのは今までに余りなかったのではないかと思います。例えば、記憶資産なんて余り知らなかったのに、記憶資産に手を挙げたいというところが幾つも出てくるとか、ましてや世界遺産がこれだけ注目されたことがなかったのではないでしょうか。去年は世界遺産、記憶遺産、無形遺産に日本から併せて4件も認定され、大きく報道されました。ユネスコは良く知られているのですが、ユネスコが世界遺産や記憶資産についてだけ注目され、あとの活動があまり知られていないことが問題のように思います。そこでもう少しテーマを分かりやすく書いて、この提言を理解しやすくして、世界遺産以外についてもユネスコはいろいろなことを目指していることを広く訴えたらいいのではないかと思うのが一つです。
 もう一つは手段です。手段はいろいろ書かれており、私もほとんど同感ですが、先ほど来御意見が出ていますとおり、例えば、実際の活動する推進部隊はACCUや、ユネスコ協会であり、ユネスコスクールをもっと活用しようとしております。それから若者や企業にももっと参加してもらうということも謳われております。基本方針とともに、このような具体的なアクションを取るという決意表明をこの報告書で行えば、大変効果的だと思います。
 ユネスコスクールについてですが、今対象は高校生までですよね。こういう活動は大学生の方がしやすいと思います。高校生より大学生の方がサークル等でいろいろ対外活動がしやすいように思います。ユネスコスクールに大学生を入れてもいいと思いますがいかがでしょうか。
 私は実業界におりますので、その立場から申し上げますと、冒頭に御説明あったとおり、企業にユネスコ活動に参加してくれといっても、かつてのように即わかりましたとは中々言って頂けない環境にあります、企業にとってプラスになることがないと、企業はまず参加しない時代になったと思います。逆に企業にプラスになりことがあれば多くの企業が参加してくると思います。若者よりはるかに企業の参加の方が遅れているというのが私の実感です。何とか知恵を働かせていろいろ考えていきたいとは思います。
 例えば、ロゴマークがございます。このロゴマークはいいマークだと思うので、ユネスコ活動に貢献した企業にこのロゴマークの使用を認めるというような仕組みをつくり、企業が文化企業として受け止められロゴマークを使いために、ユネスコ活動に積極的に参加するようになるというような仕掛けができると良いと思います。ISOという国際規格がありますが、企業がISOのマークを、アニュアルレポートに入れることによって企業価値が高まる、企業の対外アピール力が高まるというように思われています。せっかくいいロゴマークがありますので、企業をユネスコ活動に誘引する手立てに使えるといいと思います。
 最後に、かなり先の話で今回の提言に入れていただく必要は全くありませんが、企業の統合報告書を促進しようという運動がおこっています。企業からの情報発信が、有価証券報告書、CSR報告書、環境報告書、技術報告書とかいろいろあって、投資家から全部読み切れないという不満があり、それらを統合しようという動きが今進められていています。その統合報告書の中に企業の文化活動も重要な企業価値の中の一つの柱にしようという動きがあります。そういうところに、ユネスコという活動を埋め込むことができれば、効果が上がると思います。かなり先の話になるかもしれませんが。
【安西委員長】  ありがとうございました。企業を顕彰するというのは考えられるかもしれないと思います。企業がユネスコ関連の活動をどうしているのかということについて、ポジティブに評価していくようなことは、今までは余り考えられてはいないですよね。
【岩本分析官】  御議論の中で企業の顕彰というお話もありましたが、この提言の中には盛り込んでいるところであります。それは重要なテーマだと思います。
【鈴木委員】  この提言というのは、出して何年かは有効に使っていく必要があると思うのですが、例えば、10ページの4番辺りで、今度のESDの話が出ているのですが、今年の11月以降になるとこういう発信をすることで終わっているような形になり、少し古いイメージになってくると思うのです。こういう発信することで終わっているような形。
【安西委員長】  そうですね。
【鈴木委員】  その表現、その後の米印と一緒にして、うまく来年でも使えるような提言の要約にした方がいいのかなという気がします。
【安西委員長】  今のはおっしゃるとおりだと思います。どうぞ。
【早川委員】  しつこくて申し訳ないのですけど、先ほど来の議論を聞いてやっと問題の所在を理解したのですけれども、だとすると、課題と書かれているものが、恐らく、高齢化して不活性化しているという認識ではなくて、むしろ、よく読むと書かれているようには見えるのですけれども、若い人がいろいろなところで活動は繰り広げているものの、それがユネスコ活動として、意識されずに活動が広げられているというところに問題があるのだとすれば、それが課題だということが端的に分かるような読まれ方をした方が多分理解されるのではないだろうか。そのためにすることは、若者たちが取り組んでいる活動そのものが、正にユネスコ活動とつながっているのだよということを若者にいかに認知してもらうかなんだよということが、この報告書を読んで見えることが、一つ課題意識として、みんなが共有できることなのかなというふうに、今お話を聞きながら整理したところであります。
【安西委員長】  どうぞ。
【河野委員】  すみません。私、あと5分で退室させていただきますので、今の早川委員の御質問と野口理事長の御発言との関係なのですが、日本ユネスコ協会連盟のメンバーを増やすということとは必ずしもリンクはないわけですよね。
【岩本分析官】  その点については7ページにかなりはっきり出ておりまして、7ページの2段落目の若者の参加の促進の第1パラグラフで、「必ずしもユネスコ協会・クラブや大学のユネスコクラブといった組織に加盟しなくてもユネスコ活動に若者等が参加できる機会を拡大していくことが必要である」という書き方をさせていただいております。
【河野委員】  ここの点は多分大事だと思います。
【安西委員長】  参加しなくても、私は、ユネスコ協会とか、大学もユネスコクラブが全国で盛り上がっているかどうかは知りませんけど、ちょっと、逆にこう書かれると、加盟しなくてもいいのだと読まれてしまって。
【岩本分析官】  そこはかなりドラスティックなことを原案に書いたつもりだったので。
【安西委員長】  私は、ユネスコ協会の活動は非常に大事なのではないかなというふうに思いますけど、それと逆の感じに受け取られるかと、今、見て。
【西園寺委員】  ちょっと書き方を変える必要があるとは思うのですよ。そういう組織に加盟して活動する、それはそれで増やしていけばいいのです。ただ、今の若者たちの活動の形態としまして、必ずしもそうではないパターンも多い。だから、両面やらなければいけないということだと思いますけど。
【安西委員長】  両方ですね。
【岩本分析官】  確かに、ここは書き過ぎなのは、ユネスコクラブに入らなくてもいいと取られてしまうと、それはいけないですね。
【安西委員長】  少しそういうふうに読まれる。
【岩本分析官】  今、先生がおっしゃったように、これだけネットワーク型社会とか、マルチステークホルダーと言われる時代に、どこかの組織に属していなければユネスコ活動をしたということにならないとすれば、それは正にユネスコの理念に反することかなという気はします。
【西園寺委員】  恐らく、書き方を少し工夫されればいいのではないですか。
【広瀬委員】  正に、ユネスコクラブとか、ユネスコ協会に参加しなくてもユネスコ活動をする人を増やして、その中から入ってくる人が増えればいいということではないですか。
【西園寺委員】  分母が増えればそれは加盟する人たちも増えてくると思いますよ。
【広瀬委員】  そういうことですよね。だから、そういう意味で広げていくというふうに、少しポジティブに取られるように書き方を工夫していただければいいのではないかと思いますけど。
【安西委員長】  これは、事務局と少し見方が違うかもしれないのですけれども、なかなか国内委員会、あるいは事務局のパワーが、本当に全国の若者を一斉に相手にしてどの程度できるのかということは少し懸念しておりまして、今までの国内委員会も本当に頑張ってこられています、随分発展してきているのですけれども、今、ここで議論されていたことはこれからだと思います。来年で戦後70年になるわけですけれども、戦後のユネスコの理念というのは、世界が本当に劇的に変化をした後のユネスコというのはどうすべきかということについて、余り国内委員会、あるいはこの小委員会でも取り上げられてきたとは思えないのです。それについて、これから我々の世代に、何とかそこを乗り越えて、というか、新しい時代の世界がある意味グローバル化というか、多極化というか、今いろいろなことが起こっていますけど、戦後間もなくの頃の日本がこれから国際社会に参加していくのだと、その希望を持ってユネスコに参加していった時代と今の時代というのは全く違うと思います。
 これからの時代のユネスコ活動についてどういう指針でやっていくのかということは、今、ここの特に運営小委員会が考えていくべきことで、これは、むしろ我々の宿題、前から受け継いで残された宿題なのではないかなというふうに見ておりまして。長くなって恐縮ですけれども、それには、私は、ユネスコ協会とか、あるいはASPUnivNetという、ユネスコスクールを支援している団体がありますけど、それから、もちろん、自然科学小委員会、人文・社会科学小委員会、あるいはコミュニケーション小委員会はいろいろ御検討されているかとも思いますが、例えば、若者をどうやって、自然科学とか、人文・社会科学系の活動に巻き込んでいくというか、一緒にやっていくのかということの議論というのは恐らくこれからではないかと思います。そういうことを結集して、何かの方向性を付けていくには、私は、ユネスコ協会というのは、一つの重要なカウンターパートというか、パートナーだと思うので、そういう意味で、それをある意味飛び越えてというか、日本全国の若者がどういう活動、とにかくユネスコに対してと言われると、戦略としては、なかなかこれは大変だなというふうに思います。少し長くなって恐縮ですけど、今、私が見ております国内委員会の状況というのは、そういうふうに見えるということです。
 提言も一般向けの提言ではありますが、国内委員会自体が今までの戦後の流れのユネスコの活動を背負って、それで発展してきたように思いますけれども、これからの時代のユネスコ活動はどうあるべきかということについての議論を、むしろ今から入れていかなければいけないということではないかと思います。
【西園寺委員】  最初のポイントでちょっとコメントさせていただきたいと思いますが、確かに、戦後のユネスコ活動、あるいはユネスコの目的というものと今の時代というのは少し違ってきていると思うのです。私は、キーワードになるのはやはり多様性という、いわゆるダイバーシティと持続可能性、サステイナビリティではないかと。つまり多様な世の中で、いかに持続可能であるかということです。サステイナビリティというのは、日本がDESDで提言しましたし、それから、サステイナビリティ・サイエンスも提言している立場でもあります。私は、これからのユネスコの大きな方向性というのは、平和という表現ももちろん必要であると同時に、いかに持続可能な社会を作っていくのかと、それに向けていろいろなソフトパワーを結集していこうということではないかと思います。それは日本がそういう二つの大事なプロジェクトを提言したことも含めて、意味があるのではないか、そういう気がいたします。
【安西委員長】  もしそういう、私もダイバーシティというのは、戦後、東西冷戦当時と今との大きな違いである、今もこれからも本当に大きな特徴の一つだと思いますけれども、ですから、例えば、副題とかに多様性と入れるべきかどうかということは、ここは考えなければいけないですね。
【西園寺委員】  ですから、例えば、表題にしても、グローバル社会というよりも、むしろ多様化した時代においていかに持続可能な社会を作っていくか、それに向けたユネスコ活動であるという方が、私はわかりやすいというような気がいたしました。
【安西委員長】  ありがとうございました。いろいろ御意見を頂いてまいりまして、この提言案については多少時間がないということもありまして、今の御意見を踏まえて、こちらで検討させていただいて、申し訳ありませんが、一任ということにさせていただければと思いますがよろしいでしょうか。なかなか悩ましいところがあると思いますが。林原さんとは御相談させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 何度も申し上げますけど、これから何をしていくのかということは、実は今までほとんど議論されていないというのが私の認識です。それを早急に議論もしていかなければいけないし、今度の総会で、こういう方向で議論していくというか、やっていくよということを中身の、少し官僚的文章というとあれだけど、私も申し訳ないのですが、官制文章の面はあるような気はします。それは別といたしまして、この中に書いてある大事なことについてピックアップしてもやっていこうということの宣言だというふうに見ていただくのがいいのではないかと思います。
 いろいろこちらでも申し上げてしまいましたけれども、この件はよろしいでしょうか。それでは、ここまでにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議題の7で、これは、国内委員会の議事日程について、事務局から説明していただければと思います。
【本村補佐】  それでは、お手元の運492-6の資料をごらんいただければと思います。
【安西委員長】  先ほどお願いしておいたのですが、これはユネスコスクールの関係者に配布する資料として作られたもので、全国の教育委員会等に配られたものをこちらで勝手に配ってしまい申し訳ありません。先ほど言われたユネスコスクールとESDというのは一体何者かというのを、この見開きの、この1枚にまとめるだけで相当の長期にわたる議論の結果できたものです。それで、ユネスコスクールの活動にしても、あるいはESDの活動にしても、短く端的に言うのはなかなか難しくて、これは、私というより、あるいは小委員会、あるいは事務局も非常に努力をしてくださいまして、その結果ですので、一応、先ほど事務局に言ってお配りするように、御参考までということであります。これは、本当に事務局が頑張ったものでありますので。では、日程の方をお願いします。
【本村補佐】  それでは、改めまして、資料運492-6を御覧ください。3月18日に開催されます第134回ユネスコ国内委員会の議事日程(案)でございます。議題案のところを御覧いただきますと、基本的には、本日御審議いただきました運営小委員会の議題と同じものでございますけれども、違う点を申し上げますと、まず5番でございますが、木曽前ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の帰朝挨拶を簡単に頂く予定でございます。また、7、8、9でございますけれども、7として、ユネスコ記憶遺産について、本日、もう退席されましたけれども、河野文化活動小委員会の委員長とも相談させていただいた上で、最終的に安西会長とも御相談させていただいた上で、ここは非公開になる可能性もございます。
 8番、9番は人事関係でございまして、日本ユネスコ国内委員会の広報大使が、今、さかなクンと平野啓子さんの2名が広報大使になっておりますけれども、このお二人の任期が切れますので、広報大使について御審議いただく予定です。また、9番、国内委員会の構成についても、この8、9については非公開でやらせていただく予定でございます。こちらの非公開の部分につきましては、外務省及び文化庁の職員にも出席をしてもらい、その意見を聞くこととしたいと考えております。
 日程案につきましては、以上でございます。
【安西委員長】  何か、こういう議題を入れなさいとか、そういうことはおありになりますでしょうか。
【西園寺委員】  よろしいですか。入れなさいということではないのですけど、4番目の世界会議に向けた準備の中で、もし可能ならば、5分間でもいただければ、プリ・コンファレンスで選ばれたユース・コンファレンスの代表者にちょっと一言でもそこに向けた話をしてもらえると、というふうに。時間の許す限りでもちろん結構でございます。
【安西委員長】  それは入れられるのではないですか。
【岩本分析官】  少し相談させていただきます。
【西園寺委員】  かなりボリュームがあるので、無理でしたら別の機会で結構です。
【岩本分析官】  事務総長がお二人に事前にお会いして、総会のときに発表をするとか。
【西園寺委員】  それでも結構です。それはお任せいたします。
【安西委員長】  私も申し上げておきたいのですが、これから本当に若者と一緒にこのユネスコ活動をやっていこうというのだったら、総会でそういうユースの代表の方などに少しでも出てきていただくと、一つのメッセージになるのではないかなと思いますが。
【岩本分析官】  おっしゃるとおりです。
【安西委員長】  相当タイトだというのは知っているのですけど。
【岩本分析官】  そこは、事務的な理由で切る話ではございませんので、そういった若者の声、現実に安達委員にもお入りいただいているわけですけれども、なるべく、それこそ多様な方々の意見を聞くという意味では、委員長の御提案もごもっともだと思いますので、その方向で検討させていただきます。
【安西委員長】  御検討いただければと思います。
【岩本分析官】  はい、かしこまりました。
【安西委員長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは
ありがとうございました。それでは、議題8、その他ですけれども、事務局、何かあればお願いします。
【本村補佐】  それでは最後、今後の日本ユネスコ国内委員会関係行事について、参考7の方におまとめしております。主要なポイントだけ、簡単に説明させていただきます。
 冒頭のESDに関するユネスコ世界会議は先ほど申し上げたとおり、11月に予定されております。
 また、ユネスコ関係会議といたしまして、本年2月27日から2月28日にパリのユネスコ本部におきまして、教育の上級専門家会議が開催される予定です。こちらには、佐藤前副会長が委員になられておりますので、出席いただく予定です。また、4月2日から15日にかけまして、第194回のユネスコ執行委員会が予定されております。
 裏面、国内委員会関係ですけれども、3月18日に第134回の国内委員会総会が予定されております。主なものは以上でございます。
【安西委員長】  何か御質問ありますか。よろしいですか。ほかに何か報告等々、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、ほかに特になければ、ここまででございますけれども、先ほどから申し上げた、林原委員が副会長に御就任いただいているので、一言、是非。
【林原委員】  副会長の御指名を頂き、正に青天のへきれきというのはこういうことではないかと思っております。私ごときがこの重責を仰せつかっていいのかどうか、本当に自信はないのですけど、御指名いただきましたので、精一杯委員長のサポートをしていきたいと思います。特に、先ほども申し上げましたとおり、企業の方のプレゼンスが、日本ユネスコ国内委員会の構成の中でどちらかというと少ないかなという気がしますので、企業におけるユネスコ活動の活性化のために、少しでも役に立てればと思います。よろしくお願いいたします。
【安西委員長】  どうぞ、よろしくお願いいたします。
 それでは、これで閉会とさせていただきます。お忙しいところ、貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

国際統括官付