日本ユネスコ国内委員会運営小委員会(第490回)議事録

1.日時

平成25年8月28日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室 

3.出席者

(委員)
田村哲夫(委員長)、金澤一郎、河野俊行、西園寺裕夫、佐藤禎一、鈴木邦雄、広瀬晴子、見上一幸、林原行雄〔敬称略〕
(外部有識者)
野口昇 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟理事長
(関係省庁)
長嶋 外務省国際文化協力室長
(事務局)
加藤日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、岩本日本ユネスコ国内委員会上級事務次長(国際統括官付国際交渉分析官)、籾井日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

 4.議事

【田村委員長】  
 少し時間は早いんですけれども、全員御出席いただきましたので、始めさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
 今日は大変御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。ただ今から第490回運営小委員会を開催したいと思います。
 それでは、会議を開くに当たりまして、事務局から定足数の確認をお願いいたします。

【本村補佐】
 本日は、定員10名のうち9名いらっしゃっておりますので、定足数を満たしてございます。

【田村委員長】  
 ありがとうございます。それでは、ただ今から第490回運営小委員会を始めます。
 本日は、運営規則第21条に基づき、御意見を頂く有識者として、これまでに引き続き、日本ユネスコ協会連盟の野口理事長に御出席を頂いております。
 また、第131回総会、これは昨年9月13日でございますが、そこで改正されました会議の公開手続の第1条及び第5条に基づきまして、本日の本小委員会は公開で行っております。また、同手続の第4条及び第5条に基づきまして、御発言はそのまま議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、お含みを頂きたいと思います。
 本日のテーマ、議題は、我が国におけるユネスコ活動の諸課題と第37回ユネスコ総会への対応、こういうことに関しまして審議を予定いたしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。我が国におけるユネスコ活動の諸課題、これが最初です。それから、次に、第37回ユネスコ総会への対応ということでございます。
では、議事に入るに当たりまして、本日の配付資料について事務局から御説明をお願いいたします。
  (配付資料について事務局から説明)

【田村委員長】
 資料につきましては、よろしゅうございましょうか。
 それでは、議題1から始めさせていただきます。本年6月の第489回運営小委員会、それから、第94回の普及活動合同小委員会の議事録をお手元に配付させていただいております。こちらにつきましては、既に皆様にメールで御確認を頂いているわけですが、国内委員会のホームページで公開されております。よろしゅうございましょうか。
 それでは、次に、ただ今のが490-1ですけれども、次は490-2の方に入ります。議題2になります。日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告でございます。
 前回の国内委員会総会の開催日であります本年2月13日以降の国内委員会の活動について、各専門小委員会で関連する分野の報告が行われております。本日の資料2は、それら各小委員会での報告をまとめたものになっております。
 これにつきまして、本村補佐から御説明を頂く予定になっております。よろしくお願いいたします。

【本村補佐】  
 それでは、お手元の資料の運委490-2を御覧ください。我が国のユネスコ活動につきまして、本年2月から8月までの活動についてまとめたものでございます。これにつきましては、来月10日の国内委員会総会に向けて、現在編集中でございますので、若干構成等に変更がある予定ではございますけれども、現時点のもので説明させていただきます。
 ページをおめくりいただきまして、1ページを御覧ください。今回の報告で、冒頭トピックスという形で、主な活動につきまして掲載してございます。まず、富士山の世界文化遺産登録、また、ユネスコ記憶遺産の登録、ESDスローガンの決定につきまして、冒頭トピックスで掲げさせていただいております。
 続いて、3ページをおめくりください。国内委員会の活動報告でございますけれども、今現在、本運営小委員会等で御議論いただいております我が国におけるユネスコ活動の諸課題について、昨年12月27日以降、計3回、この運営小委員会で御議論いただいたところでございます。
 また、4ページで、教育小委員会におきましても、ESDの推進、ユネスコスクールの活性化等につきまして、5月、7月、8月に3回御議論を頂いているところでございます。
 続いて、5ページを御覧ください。来年の2014年11月に愛知県名古屋市、岡山市で開催されます「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」に向けての準備状況でございます。まず、DESDの最終年会合タスクフォースが、本年4月と7月に計2回開催されております。また、本年7月に、佐藤副会長に御出席いただきました国際ステアリンググループ会合が、ユネスコ本部にて開催されております。
 続いて、7ページでございますけれども、来年の世界会議に向けた世界会議のロゴマーク、また、8月8日にユネスコのウェブサイトで、この世界会議のウェブサイト、日本語、英語、フランス語、スペイン語の4か国語で開設されております。
 また、8ページですけれども、来年の11月に岡山市で開催されますユネスコスクール世界大会に参加する高校のチームが選考されましたので、こちらに記載しております。
 また、10ページでございますけれども、前回の運営小委員会の時点では583校だったかと思いますけれども、その後、ユネスコから新たに32校が正式にユネスコスクールとして承認されまして、現在615校まで増えております。
 続いて、11ページを御覧ください。ESDに関する教育分野の交流といたしまして、日米、日中、日韓の交流がございますけれども、日米に関しては、4月と6月にそれぞれ教員の交流を行っております。日中に関しましては、昨年一時期止まっておりましたけれども、これは田村会長に御尽力いただきまして、6月に、中国の方に日本の先生方に行っていただいております。また、日韓は、正に今現在、日本の教職員の方々50名が韓国に行かれているところでございます。
 続きまして、科学分野でございますが、13ページを御覧ください。サステイナビリティ・サイエンスに関して、科学の分野の小委員会で御議論も頂いてきたところですけれども、これに関しまして、4月にサステイナビリティ・サイエンスに関するアジア・太平洋地域ワークショップが、マレーシアのクアラルンプールで開催されております。また、ワーキンググループも国内委員会の中に設置されておりまして、3月と6月に開催されております。また、科学の分野では、IOC、海洋学でございますけれども、総会がございまして、その中で道田委員が副議長に選出されております。
 16ページのIHP関係では、ICHARMが、日本政府とユネスコの協定の更新を、7月に木曽大使、ボコバ局長との間で署名式を行っております。
 17ページですけれども、人間と生物圏(MAB)計画の分野におきまして、「綾ユネスコエコパーク」が新たに登録されましたけれども、2月に綾ユネスコエコパーク登録証授与式、記念シンポジウムを行っております。
 ページをめくっていただきまして、文化分野でございますが、23ページで、世界遺産条約関係で、今回の第37回世界遺産委員会の開催前にユースフォーラムが開催されまして、6月に、日本からは、九州大学の河野先生からの推薦を頂きました学生さんに1名出席いただいております。
 無形文化遺産に関しまして、24ページですが、関係省庁連絡会議において、日本の和紙について新たに提案書がユネスコ事務局に提出されております。また、8月3日に大阪府堺市におきまして、ユネスコ無形文化遺産保護条約の10周年記念行事が開催されております。
 その下の方ですけれども、ユネスコ記憶遺産といたしまして、5月の選考委員会において、「東寺百合文書」を、国内委員会からユネスコに推薦することを決定しております。
 26ページでございますけれども、国内委員会の事務局の職員の交流といたしまして、タイと韓国の国内委員会との交流を行っております。
 さらに、27ページですけれども、民間のユネスコ活動といたしまして、日本ユネスコ協会連盟のこの半年間の活動を掲載しております。
 また、34ページですけれども、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)の活動を、こちらの方にまとめてございます。
 最後に、40ページ以降でございますけれども、日本ユネスコ国内委員会に関する参考資料といたしまして、国際会議等の一覧、また、43ページ、ユネスコ関係者の来日の一覧、44ページに国内委員会会議の一覧を付けてございます。また、人事関係等、この半年間の動きを取りまとめております。駆け足で恐縮ですが、以上でございます。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局報告について、御質問ございませんでしょうか。
 これは事務局の方で御用意いただいたんですが、国立教育政策研究所の方でも、ESDの大変いいレポートをまとめてくれましたので、御参考にお手元に差し上げてございます。中身がとてもいいです、これ。私も通読しましたけれど、非常に頑張って作っていますね。是非お目通していただければ有り難いと思います。
 特に御質問なければ、よろしいでしょうか。ESDは、来年世界会議を日本でやるものですから、だんだん緊張感が高まってきているんですけれども、こちらの方も、こういうのをきちんと出して用意をしているということです。よろしいでしょうか。
 それでは、本報告書の案は、来月10日の第133回総会、来月、これはオリンピックが決まった後ですね。どっちに行くか分かりませんけれども、その直後に第133回総会が開かれますので、それまでに、より見やすく、かつ充実したものにしたいと考えております。そのためのレイアウト調整及び記載事項等の修正については、私の方に御一任していただいてよろしいでしょうか。もう時間的に間に合いませんので、そういう形でまとめさせていただきたいと思っておりますが、よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございます。それでは、そういう方向でまとめたいと思います。
 御質問、よろしゅうございますか。
 世界遺産のことは、いろいろと新聞などでも出ていますけれども、文化庁だけじゃなくてなんていう話がどうなるのか気になるところですけど、まだ報告の中には出てきません。今、この担当のところはやっている最中でしょう。
 それでは、議題3の方に移らせていただきます。各専門小委員会からの報告でございます。各専門小委員会から御報告いただきまして、その後、質疑応答の時間を取らせていただきたいと思います。
 まず、運営小委員会におきましては、3月26日に第488回を開催し、そして、6月4日には第489回を普及活動小委員会と合同で開催させていただき、主に我が国におけるユネスコ活動の活性化について議論いたしました。また、我が国におけるユネスコ活動の活性化に関する検討事項のうち、学校教育、社会教育等を通じたESDの一層の推進につきましては、教育小委員会において、5月9日、7月18日、8月19日の3回会議を開催いたしまして、集中的に御審議を頂きました。
 これらの審議結果につきましては、この後の議題4で、取りまとめの骨子案について御議論を頂きたいと思っております。そのときに、教育小委員会からの御報告を、本日、安西委員長先生が御欠席でございますので、見上委員長代理先生から頂く予定でございます。
 そのほかの専門小委員会につきましては、それぞれの御議論の結果を、各委員長から御報告いただきたいというふうに予定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、順番に参りますが、科学分野の議論について、まずお願いを申し上げたいと思います。今回は、自然科学小委員会と人文・社会科学小委員会を合同で開催しております。両委員会を代表しまして、自然科学小委員会の鈴木委員長先生から御報告をお願いしたいと思います。

【鈴木委員】  
 それでは、私の方から御報告申し上げます。
 7月30日に合同で開催いたしましたが、人文・社会科学小委員会においては、出席者が定員数に満たなかったので、懇談会という形で開催になりました。
 それから、人文・社会科学小委員会の委員長の青柳先生が文化庁長官に就任されたことに伴って、国内委員を辞任されました。本来ならば、冒頭で次期の小委員長の互選を行うところですが、今申したように、懇談会ということですので、委員長の互選は次回開催の時に行うこととしております。
 それでは、科学関係事業の活動報告についてでございますが、事務局から報告を頂いた後に、IOC分科会の主査から、6月と7月で行われました分科会の議論、あるいは、先ほども御報告がありましたIOC総会の出張概要について、詳しく報告を頂きました。総会においては、IOCの次期の中期戦略案及び事業・予算案等について審議が行われました。
 それから、役員会のメンバーの選挙については、先ほども報告があったように、道田先生が副議長ということで選出され、それに伴って、日本は引き続き2015年までIOCの執行理事国となることになりました。
 それから、事務局からの報告では、ユネスコの支援プログラムであるジオパーク、これに関して、ユネスコの正式プログラムになるということで、いろいろな形で議論が行われているということであります。
 次に、ユネスコエコパークに関してでございますが、分科会の主査であります私の方から分科会の結果報告をいたしまして、その後、事務局からMAB計画の国際調整理事会に関する出張の概要の報告を頂きました。ユネスコのエコパークの質の強化という面に関して議論が出されており、現在の基準を満たしていないユネスコエコパークに関しまして、あるいは、ほとんど活動していないところに関しましては、2015年末までに基準を満たす、そういう変更をしていただきたいと、変更の動きがない場合には、リストから外すという方針が決定されました。ちなみに、ユネスコエコパーク、世界では621地域で、国の数は117か国と大分増えております。
 そのほかでは、今年の2月にユネスコから担当部長のシャーフさんを招いて、綾ユネスコエコパークの登録証授与式及び記念のシンポジウムを開催しました。その後、綾町を訪問いただきました。それから、新制度以前に登録されているユネスコエコパーク、日本には4か所ございますが、それに対する今後の方針等の進捗状況、あるいは新規の候補地に関する意見交換、あるいはアジア・太平洋地域でのユネスコエコパークのネットワーク促進に関する取組、そして、新たにパンフレットを作りましたので、その報告等が行われました。
 次に、サステイナビリティ・サイエンスに関してですが、これは日本のユネスコ国内委員会から提案しているものでございます。このフォローアップに関して、2点説明がありました。
 1点は、今年の4月に日本政府の信託基金の支援の下で、クアラルンプールで開催されました「サステイナビリティ・サイエンス地域ネットワーク」、これはユネスコジャカルタ事務所の主催で、日本ユネスコ国内委員会が、あるいは文部科学省が協力という形で参画しております。110名の参加を頂きまして、ユネスコの事務局からは、カロンジ自然科学担当事務局長補、及び、ラソ人文・社会科学担当事務局長補他に出席いただきました。具体的には、クアラルンプール宣言を採択しました。開催に先立って、日本ユネスコ国内委員会のサステイナビリティ・サイエンスのワーキンググループで、同ワークショップへのインプットのいろいろな議論を重ねたということでございます。
 さらに、2点目としては、今年の9月に、パリ本部でサステイナビリティ・サイエンスに関する国際シンポジウムが開催されます。ユネスコと国連大学等の主催で開催するということであります。これに関しては、ユネスコの各国代表部からの参加を得て、サステイナビリティ・サイエンスとは何かということに関する議論、あるいは、自然科学と人文・社会科学の統合的アプローチというものが、これからの持続可能な社会構築において重要であること、こういうところの認識を強化しようということ、さらには、ユネスコの次期の中期戦略及び事業計画へどういうふうにインプットさせるかということへの深い理解を促進していただくということを意図しております。
 それから、これらのことを踏まえて意見交換を行いました。そこで出た議論といたしましては、日本から提案されているこのサステイナビリティ・サイエンスに関して、各国に理解を深めていただくということと、言葉の定義をもう少し明確にして、具体的な活動につなげていくように、いろいろな形で対応していただきたい。特に、9月の国際シンポジウムに向けて議論を進めていただきたいということでございました。
 それから、ポスト2015年の枠組み作りの議論の中で、やはり具体的なインディケーターというものがサステイナビリティ・サイエンスにおいても必要ではないかという意見が出されて、これに対する分かりやすい形でのインディケーター作りという部分等も含めて、いろいろ議論をいたしました。
 それから、これからこの会議でも議論になります第37回ユネスコ総会への対応に関しましては、文科大臣の諮問への答申について、特に科学分野に関して議論を行いました。そこで出た議論としては、学術会議のフューチャー・アースに関する検討会でも、自然科学、人文・社会科学の融合、あるいはアプローチがトランスディシプリナリーに変わってきているという議論が行われておりますが、そことサステイナビリティ・サイエンスというものの議論、いろいろな形で理解を深める形で進めていただくということ。それから、東大でこれに関する機構があり、各国の大学等機関でもそういう議論を行っているということで、そういう機関等との連携をして、アピールを進めていく必要があるということが出されました。また、科学分野という表現がされていますが、自然科学及び人文・社会科学分野という形、具体的にそういう分かりやすい形で変更できないかという議論が出ました。
 それから、最初に申しましたように、人文・社会科学小委員会は懇談会の開催という形で開催しましたが、その後、持ち回りで開催しまして、最後に申しました、科学分野という表現を自然科学、人文・社会科学分野というふうに修正する答申案をメール審議で承認を頂きました。以上です。

【田村委員長】
 ありがとうございます。
 御質問は、全体が終わってからにさせていただきたいと思いますので、続きまして、文化分野とコミュニケーション分野につきましても、同様に合同で開催をしていただいていますので、両委員会を代表しまして、文化活動小委員会の河野委員長から御報告をお願いしたいと思います。

【河野委員】  
 それでは、御報告申し上げたいと思います。
 まず、合同小委員会でございましたけれども、コミュニケーション小委員会におきましては、出席者が定足数に足りませんでしたので、懇談会という形で開催いたしました。
 ユネスコの主な文化活動に関する報告がございまして、事務局、関係省庁から以下の報告がなされました。
 まず世界遺産関係でございますけれども、6月にプノンペンに開催されました世界遺産委員会で、我が国より推薦しておりました富士山が世界遺産一覧表に記載されることが決定いたしました。御案内のとおり、三保松原も含む形でございました。結果といたしまして、世界遺産として新たに19件、文化遺産4件、自然遺産5件が登録されることになりました。それから、拡張申請が3件でございました。それから、シリアにあります6件の世界遺産全てが危機遺産リストに登録されました。
 それから、先ほども御案内いただいていましたけれども、世界遺産国際ユースフォーラムというのが、世界遺産委員会に先立ちまして開催されました。カンボジアを含めて世界から20名ほどの若者が参加いたしまして、国際ユースフォーラムの成果はオープニング式典において発表されております。二十歳という年齢制限がございましたので、参加者をこれからきちんと確保していくのが、今後開催されるユースフォーラムでも、もし同じ年齢制限になると、少ししんどいかなというふうに個人的には考えました。
 それから、無形文化遺産に関しましては、3月に開催されました無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議におきまして、ユネスコ無形文化遺産保護条約の代表一覧表に向けまして、「和紙:日本の手漉(すき)和紙技術」を提案することが決定されまして、4月に提案書をユネスコ事務局に提出しております。
 それから、8月に、アジア・太平洋無形文化遺産研究センター、これは堺にございます、いわゆるカテゴリー2センターと言っているものでございますけれども、文化庁、堺市が主催者となって開催される、条約の採択10周年記念シンポジウムについて開催の案内がなされました。
 それから、文化多様性条約でございますが、2005年の第33回ユネスコ総会におきまして採択されました本条約を我が国が早く締結することにつきまして、国内委員会では2010年に外務大臣と文部科学大臣に出しました建議がございますけれども、その後の検討状況につきまして外務省から御報告がございました。課題となっております2点でございますが、文化多様性の保護のためにいろいろな措置をとることができるという、割に制約のかからない形の書きぶりになっているという条文上の問題点と、それから、第2点といたしまして、多数の条約を批准するということがございますけれども、その中におきまして、他の条約に対する優先度と、それと、この条約の圧倒的なメリットに関する回答をしなければならないというところがネックになっているという御報告でありました。
 それから、ユネスコの記憶遺産に関しましては、第191回ユネスコ執行委員会におきまして、この記憶遺産プログラム強化のための行動計画案、それから、法規範設定の必要性が議論されました。行動計画案は採択されるとともに、第37回総会におきまして、勧告を設定する形で審議されることになりました。
 それから、第11回ユネスコ記憶遺産国際諮問委員会におきまして、行動計画の中から八つの優先活動に取り組むことが合意されました。また、先ほども御案内がありましたけれども、我が国から推薦しておりました2件につきまして、記憶遺産に登録されたこと、それから、来年3月に向けて推薦する物件といたしまして、ユネスコの記憶遺産選考委員会におきまして、「東寺百合文書」が決定したことが報告されました。
 次に、クリエイティブシティーズネットワークでございますけれども、アメリカの拠出金停止に伴います財政事情が悪化しておりますことから、昨年12月以降、新規の申請受付が中止されておりますけれども、中国から資金提供がございまして、審査が再開するという見込みであることが報告されました。この報告が正式に終わりました後、質疑応答に入りましたけれども、そこで出されました主な意見は、以下のとおりでございます。
 まず、シリア情勢に関しましては、ユネスコが文化遺産保護の呼びかけを行う場合には、日本がそのイニシアチブを取る一国になることが重要である、積極的なイニシアチブを日本から期待するという声がございました。それから、バーミヤンの遺跡破壊が行われましたときに、日本がイニシアチブを取りましてユネスコが勧告を出しましたので、そのときの文書等が参考になるのではないかという意見もございました。
 それから、世界遺産ユースフォーラムというのは、大変良い試みであると。本年秋のユネスコ総会や来年のESDの世界会議の前にもユースカンファレンスは行われるので、若者たちの意見を積極的に取り組む姿勢が必要であるという御意見がございました。
 それから、文化の同一性に関しましてでございますが、基本的にユネスコの文化政策は、文化の同一性というものを大切にし、国のアイデンティティは、その文化の同一性から来ているという基本姿勢があること、それから、2000年前後からそれが文化の多様性を尊重するという形に発展したこと、そういう経緯がある中で、文化多様性条約に我が国が加入しないというのは、やはり理念としては問題であって、実務的な問題はあるが、やはり文化多様性の流れという大きな方向の下で、条約の加盟を推進してほしいという声がございました。
 それから、記憶遺産の行動目標の中に入っておりますデジタルアーカイブ、それから、教育やトレーニングプログラムの取組は、ヨーロッパでは大変進んでいるけれども、日本は遅れているので、是非日本でも前向きに取り組んでほしいという声がございました。
 次に、この秋の第37回ユネスコ総会における対応に関しましてでございますが、次期中期戦略(37C/4)、それから、事業・予算(37C/5)等の対応方針に関します文部科学大臣の諮問への答申につきまして、文化分野、コミュニケーション・情報分野に関して議論を行いました。主な意見といたしましては、次の五つがございました。
 まず、記憶遺産につきましては、世界遺産、無形文化遺産とともに、ユネスコの三つの遺産事業というトータル的な文化の保護という観点が必要ではないかということでございます。
 それから、二つ目が、ICT技術の急速な発展、経済的利益と利便性の優先の中で、商業ベースにおける急速な拡大が見られる。その中で、文化とコミュニケーション・情報セクターの分野横断的な取組が円滑に行われていない。したがって、ICTのポジティブな影響を最大限に活用するという一方で、文化の多様性の確保や格差の拡大を防ぐというネガティブな影響についての対応がどんどん遅れているという印象がある。そこをもう少し目配りすべきではないかという御意見でございました。
 また、文化多様性の確保のために、デジタルアーカイブスをはじめとする様々なドキュメントの記憶としての保存をはじめ、国際的なコミュニケーション基盤として、記憶や文化、歴史を伝えるという基盤を整えることが必要であるという御意見がございました。
 それから、信託基金の拠出、専門家の派遣につきましては、我が国の文化遺産の保護を核とする国益に資するような、戦略的な発想に基づく運用が重要であるという指摘がございました。
 それから、10周年を迎えました無形文化遺産保護条約につきましては、条約の目的、とりわけコミュニティを中心にした無形文化遺産の保護の精神を十分に尊重して反映する取組の充実を期待するというお声がございました。私の方からの報告は、とりあえず以上でございます。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 非常に多岐にわたる御報告を頂戴しました。御質問はあると思いますけれども、後ほど一括してさせていただきたいと思っております。
 続いて、コミュニケーション分野につきましては、コミュニケーション小委員会の西園寺委員長が御出席でございますので、補足がございましたらお願いしたいと思います。

【西園寺委員】  
 今、河野委員長がおっしゃったとおりで、特に補足することはございませんが、コミュニケーション小委員会については、出席者が定足数に満たなかったために、懇談会形式ということになりまして、後日、ユネスコ総会への答申案につきましては、メールで持ち回りの審議を頂きまして、賛成多数で委員会の了承を頂いております。

【田村委員長】  
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、普及活動小委員会での議論につきまして、広瀬委員長から御報告をお願いしたいと思います。

【広瀬委員】  
 普及小委員会活動報告をいたします。
 普及小委員会は、6月4日に、第489回運営小委員会と合同で、第94回普及活動小委員会を開催しまして、ユネスコ活動の活性化について議論いたしました。議論の内容につきましては、補足ですけれども、田村委員長からの御報告の補足といいますか、やはり普及活動小委員会の方でも、若者や企業等の幅広い層をユネスコ活動に巻き込んでいくことが重要だということを再確認いたしまして、そのためのプラットフォーム構築の必要性が改めて確認されました。
 その後、また同日、第95回普及活動小委員会を、合同の小委員会の後に引き続き行いまして、第37回ユネスコ総会への対応について意見交換をいたしまして、後日、メールで具体的な答申案について審議いたしました。結論的には、答申案については合意しておりますが、答申案への意見で若干出ましたのは、やはりこれまでのユネスコ活動のイメージから脱皮して、新しいアプローチが必要ではないか、いろいろな地域の課題等を巻き込むとか、いろんな新しい切り口が必要ではないかという意見が出ました。
 一方で、地道に知ってもらう、これは今までのやり方の継続だと思いますけれども、そういうことも必要であるというような意見が出まして、それから、特に年少時からユネスコ精神の芽を植え付けて育てるような地道な活動が必要ではないかという意見が出ましたけれども、答申案につきましては合意しております。以上でございます。

【田村委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、各委員長先生からの御報告につきまして、御質問、御意見、補足等があればお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 どうぞ、佐藤委員。次に、広瀬委員ですね。

【佐藤委員】
 自然科学の委員会と、それから、今の普及委員会と関係するんですけれど、この前以来、事務局で整理をしていただいて、世界遺産とか無形遺産というような、条約によらないいろんなプログラム、記憶遺産とか、ネットワークとか、ジオパーク、エコパーク、そういうものの全体像が大分分かって、大変感謝をしておりますけれど、そういう活動は比較的それぞれの地域が関心を持っているので、切り口として、ユネスコ活動を普及するということとの結び付きが強いように思いますので、それを考えていくといいと思うんですが、ただ、どこまで踏み込んでやるかというのは、非常に難しい課題があると思います。
 例えば、ジオパークですけれど、ジオパークは、ユネスコの事業そのものではなくて、正式な名前はよく分かりませんが、世界ジオパークネットワークといった、委員会みたいな世界の委員会があって、その事業をユネスコが支援しているという格好になっておりますけれど、実は日本ジオパーク委員会があって、世界のジオパークだけでなくて、日本のジオパークという指定をかなりしていて、各地域は、それに割と熱心に関与をしていらっしゃるんですね。我々は余りそのことは知らないんですけれど。でも、それはジオパーク委員会がなさっていることだから、国内委員会として、余計な口出しというか、しなくてもいいという気もしますけれど、ただ、地元の人たちは、これはやっぱりユネスコの活動の一環だと思っているところもあるので、そのお付き合いの仕方といいますか、どこまで我々がフォローしていくかということを考えた方がいいなという提案で、こうしようということではないんですけれど、問題点がそこに一つあるというような気がするので。

【田村委員長】
 それは本当に大事なことだと思いますね。今お聞きしていたんですけど、例えば、デジタルアーカイブなんかでも、民間で日本はすごく進んでいるんですよね。技術的には世界一ですから。だから、この間も聞いたんですけど、凸版が印刷博物館でやっている活動は、実はローマのバチカンに、昔の羊皮紙というのは貴重だから、何回も何回も書き残しているんですって。一回書いたものを消して、また書いてという。それを3世代から4世代ぐらい昔のものを読むというのを、凸版がその技術を持っているんだそうです。それで、それをずっと開発して、ローマの教会と提携して、協力しているんですよね。だから、これは日本がやっているんだけど、イタリアのものになっているわけですよね。だから、アーカイブが進んでいるというのは、要するに、そういう技術をうまく利用して進んでいるという実感がありますよね。
 日本で何かそういうのがあるのかというと、なかなか民間、すごく技術が進歩しているのを活用するところまでいってないんですよね。今、佐藤委員が御指摘になったことは、全くそれと同じような気がしますね。ユネスコがもう少しお手伝いする部分を明示してあげると、民間がやれるんじゃないかという実感があるんですけどね。
 あそこを見に行くとすごいですよね。デジタルアーカイブの内容は。この間聞いたら、もう40種類近くあるらしいですね。例えば、システィーナ礼拝堂の天井の絵とか、全部もうデジタルで残しているらしいですね。だから、そういう活動を国内委員会でテーマとして取り上げられると、またユネスコ協会の活動が豊かになると思いますけどね。

【堀尾協力官】 
 すみません。今のジオパークについてなんですけれども、先ほど鈴木小委員長からも御報告いただきましたが、ジオパークについて、ユネスコの正式プログラム化になるかどうかという議論が、今、ユネスコの執行委員会の方で行われています。春の執行委員会でほとんどの加盟国が賛成の意を示して、現在、ユネスコ事務局の方が、具体的にどういうふうにするかというのを、今度の秋の執行委員会で提案をして、それで、賛成が得られれば総会にかけてという形になっております。
 そうしますと、今、国内委員会の方が選考には関わっていないんですけれども、その辺りが、やはり国内委員会がどう関わるのかというのが、ほかの国からも質問がかなり出ておりまして、そこをユネスコ事務局の方が、ほかのユネスコのプログラムとの関係性とか手続について、少し整理をして、秋の執行委員会に出してきますので、それを受けて、国内での体制も少し検討していくということで、日本ジオパーク委員会、産総研の方で事務局をしていただいているんですが、そこの担当者とは少し話を始めております。
 持続可能な社会の構築というのを、ジオの切り口からしていくということですので、ユネスコエコパークと理念的に重なる部分もありますし、実際に白山ユネスコエコパークでは地域が重なっていたりしますので、プログラムとしてどう違うのかとか、どこが重なっていて、どこが連携が取れるのかというところも含めて、地域の人たちにも分かりやすいような形で、かつお互いに相乗効果を出していけるような形でできないかということを、少し担当者レベルでは話をさせていただいていますので、もう少し具体的になりましたら、自然科学小委員会の方で委員の先生方に御議論いただいて、こちらの運営小委員会にも報告させていただきたいと思います。

【田村委員長】  
 ありがとうございました。では、よろしくお願いいたします。
 それでは、広瀬委員、どうぞ。

【広瀬委員】
 河野委員からの文化小委員会の報告で少しお伺いしたいんですけれども、富士山が文化遺産になったというお話でしたけれども、鎌倉は駄目だったわけですね。私が鎌倉に住んでいるから言うわけじゃないんですが、鎌倉市民はそんなに盛り上がってはいなかったんですが、落ちたとなると、どうしてなんだろうというのがみんな分からないわけなんですね。やはり失敗例に学ぶということも非常に大切なことだと思いますので、駄目だった、イコモスのところでもうはねられたというのは、どういうことだったのか、今後の国内委員会として、ユネスコに案件を持っていくときに、どういうふうに持っていったらいいのか。
 それから、もう一方で、日本の考え方みたいなものを分かってもらうような説明の仕方も、やはりなかなか難しいんだろうと思いますね。武家のことなんていうのを持っていきましたけど、西洋でしたら、ローマ遺跡だってピラミッドも残っているような人たちに、木の文化で、武家の屋敷なんかも、鎌倉幕府なんかも、残っていないようなものを説明して分かってもらうというのは難しいんだろうと思います。だけど、そこでやはり木と紙の文化と、それから、石の文化との違いというのを、そういうところで、どういうふうに日本のものを売っていくのかということも、やはり反省材料として今後に役立てる必要があるのではないかなと思いましたので、その辺も御検討いただけると有り難いと思います。
 それから、2点目は、佐藤委員のおっしゃったことと、それから、田村委員長がおっしゃったことなんですけれども、和紙は、私、モロッコで経験したんですけれども、やはりアラブの社会も古文書が一杯ありまして、その修復に、モロッコの新しい国立図書館は、ドイツの機械を寄附してもらったんですね。ところが、使っているのは日本の和紙なんです。日本の和紙で、日本の糊(のり)でやるのが一番長持ちする。それで高いんですと言われたので、じゃ、私も一肌脱ごうということで、日本の紙を守る財団というのを見つけまして、そこから寄附してもらったんですが、すごく喜ばれて、今までのものは偽物だったと。偽物ではなかったんですけど、いいものを持っていって。それで修復したものが、ユネスコの記憶遺産に登録されているんですね。
 ですから、そういうところで、見えない形で日本の企業や財団が働いている。それもユネスコに関係している分野なので、やはりそういうものに対して、少し今までの分野をはみ出しても応援をしていくというようなことができると、やはりユネスコの知名度もというか、民間も助かるし、理解してもらえるのではないかと思いましたので、御紹介いたします。

【田村委員長】
 ありがとうございました。いいお話。
 河野先生、いかがでしょうか。

【河野委員】  
 始めの鎌倉のお話は、私はイコモスの理事でもございますので、ややお答えしにくい立場にはございますけれども。鎌倉の例で申しますと、武家の発想で町作りをするというふうにコンセプトは出していて、だけど、実際に登録遺産になっているのは、寺だとか、つまり、山をバックに、それから、海を前にした、こういう守りの町作りというところのエビデンスがきちんと残されて整備されているのかというところに、かなり厳しい専門家の目が入った。少なくともイコモスの意見書を見る限りですね。ですから、いわゆる古都であり、文化遺産でありながら、しかし、人気のある住宅地であるというところのしんどさと、それから、町の持っていた由来を町作りにきちんと反映できなかったのかなという、振り返ってみれば、歴代の行政がそこのところを、今から言ってもしょうがないのかもしれませんけれども、そういうところが。
 ただ、チャンスはございますので、もう少しじっくりと、つまり、何をどう整備すれば、今度はコンセプトを修正することによって前に出せるのかという、工夫の余地はあると思いますので、一専門家としてまたお手伝いできればというふうに思っております。

【広瀬委員】  
 そうですね。よろしくお願いいたします。

【河野委員】  
 それから、和紙の件に関しましては、無形遺産の推薦書を出しているんですけれども、和紙がそういう世界の文化遺産の保存に貢献しているという観点は書いていなかったような気がするんですね。

【広瀬委員】  
 知られていないんだと思うんです。

【河野委員】  
 そこがもう少し出てくると、条約に載せる意味というのがもう少し強まったかなという個人的な印象が、今聞いていてありました。

【広瀬委員】  
 是非ね。

【河野委員】 
 それから、デジタルアーカイブにつきましては、吉見先生が文化活動の小委員会のメンバーでいらっしゃいますので、恐らく何らかの協力の可能性というのは前向きに御検討いただけるのではないかと考えております。

【田村委員長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

【広瀬委員】 
 はい。ありがとうございます。

【田村委員長】
 ほかにはございますか。
 では、特になければ、貴重な御意見ありがとうございました。次に進めさせていただきます。
 次は、議題4でございます。我が国におけるユネスコ活動の諸課題ということで、本議題につきましては、年度内に国内委員会として、骨太の方針を取りまとめるため、昨年12月から運営小委員会で集中的に議論を進めました。そして、2月の総会で検討の状況を報告しております。その後は、運営小委員会で、若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進ということで、具体的には、教育小委員会で、学校教育、社会教育等を通じたESDの一層の推進ということで御審議を頂いております。本日は、それらの御議論の結果を踏まえまして、取りまとめの骨子案というものを作ってありますが、これに御議論を頂きたいと思っております。
 そこで、その議論に入る前に、関係資料について、まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【籾井企画官】
 今、田村委員長から御紹介のありましたとおり、昨年から、ユネスコ活動の活性化についてということで、運営小委員会、それから、教育小委員会で、それぞれ御審議を頂いております。資料490-3「我が国におけるユネスコ活動の活性化について」というのが、それぞれの大きな柱についての論点を整理したものでございます。
 運営小委員会におきましては、このうちの1の、若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の推進という点について御審議いただいております。幾つか論点がございますけれども、主に若者であるとか、企業であるとか、そういうより広い層に積極的にユネスコ活動に参加していただくためにはどうしたら良いのかということを中心に御議論いただいております。
 資料490-6が、これまでに委員の方々からお出しいただいた意見をまとめたものでございまして、これをベースにしながら、事務局案として審議報告の骨子案としてまとめたものが、運委490-4の骨子案でございます。
 まず、若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の推進ということで、最初に総論といたしまして、若者であろうと、企業であろうと、より広い層にユネスコ活動に関心を持ってもらうにはどうしたらよいかということを幾つかまとめさせていただいております。
 1点目は、これまで、各地のユネスコ運動の基盤となってきたユネスコ協会の会員が高齢化しているということもありまして、これまでの枠組みに捕らわれることなく、企業ですとか若者、その他より広い層にユネスコ活動に関心を持って、積極的に参加してもらうためには、新たなプラットフォームの構築が必要なのではないかということを書かせていただいております。具体的に申しますと、前回、6月の運営小委員会のときには、例えば、国内委員会とは別に、企業の、ハイレベルというよりは、むしろ実働レベルでの何らかの会議を設けたりですとか、例えば、フェイスブックのようなSNSの活用というのが考えられるのではないかという御意見がございました。こうした御意見も踏まえながら、このプラットフォームのより具体的な形態については、今後更に検討していくべきというのが1点目でございます。
 2点目ですが、ユネスコというと世界遺産のイメージが強いという御指摘を受けておりますが、それをむしろ利用して、世界遺産をきっかけとして、より広い、ほかのユネスコ活動にも関心を持ってもらえるような仕組みを検討すべきではないか。また、その際、ほかの、世界遺産以外のユネスコ活動についても、分かりやすいイメージを持ってもらえるような工夫をすべきではないかというのが2点目でございます。
 それから、3点目でございますけれども、ユネスコ活動について伝えたいメッセージを明確にした上で、ホームページですとかSNSにそういうメッセージを発信していくべきではないかということです。この際、メッセージというのは、過去こんなことをやりましたということよりは、むしろ未来に向かって、個人がユネスコ活動に関わることが未来にどうつながっていくのかというものを示すものであることが必要であるということです。
 4点目は、もう当然のことではございますけれども、メディア等を通じてビジビリティの向上を図るべきと。
 5点目は、先ほど佐藤委員からも御指摘がございましたけれども、ユネスコ活動には、世界遺産、記憶遺産、エコパーク等、地域振興に資するようなプログラムも数多くございます。こうした切り口からユネスコプログラムの知名度を高めて、例えば、地元企業ですとか、地域の関係者から関心を持ってもらうような努力をすべきというのが5点目でございます。
 それから、ユネスコ活動は非常に多岐にわたりますので、教育委員会だけではなく、知事部局も巻き込んだ形での積極的な推進というのが必要だというのが6点目でございます。
 大きな塊の2番目は、若者のユネスコ活動への参加ということで、特化してまとめております。
 1点目は、今の若者、震災のときに明らかになったけれども、なるべく積極的にボランティア活動に参加したいという意欲を持っている若者が多いにもかかわらず、残念ながら、ユネスコ活動の認知度というのがあまり高くない。それを高めるためには、ボーイスカウト、ガールスカウト、それから、ローターアクト、これはロータリークラブの青年部というような位置付けのようですけれども、こういった若者が既に参加しているような団体とも連携しながら、ユネスコ活動を広めていってはどうか。
 それから、運営小委員会におきましても、大学のユネスコクラブの方からヒアリングをしておりますけれども、そういうユネスコクラブとの連携ですとか、あるいは、ユネスコクラブと、それから、ユネスコ活動とは直接の関係はないいろんなボランティア活動なんかを行っている若者の団体との連携というのも必要なのではないか。
 3点目は、いろんなユネスコ活動をしていると思いますけれども、その中の優れたものについて、文部科学省ですとかユネスコ国内委員会が表彰するですとか、何らかの形で顕彰する仕組みを設けることが必要なのではないか。
 それから、4番目は、若者がユネスコ活動に参加しようと思ったときに、きっかけになるような活動というのがまだ限られている。なので、例えば、途上国でのスタディツアーのような形で、今も一部ではされていますけれども、そういうものを若者がより積極的に参加できるように、機会を積極的に提供していくべきなのではないか。
 5点目は、先ほど河野委員長から御報告の中にございましたけれども、世界遺産委員会のときのユースフォーラムに参加した学生からの報告によりますと、同じような世代の若者が一定期間一か所に集まって、一つのテーマについて集中的に議論する場を設けるというのは、非常に有意義であって、そういう形でユネスコの活動に若者から関心を持ってもらうというのは非常にいい有意義なことであるので、そういった世界遺産委員会のユースフォーラムに限らず、ユネスコの会議の関係でいろんなユースフォーラムがございますけれども、そういったものに若者が参加しやすいような環境を整備するとともに、必ずしも国際でなくても、国内においても類似のフォーラムというようなものを考えていってもいいのではないかというのが5点目でございます。
 それから、大きな柱の3番目が、企業のユネスコ活動への参加ということでございます。
 ユネスコ本部におきましても、企業との連携というのは近年重視されておりまして、ユネスコ活動を社会全体に浸透させるという観点からも、より積極的な企業からの参加が必要だと。この際、企業の参加といった場合に、必ずしもお金をくださいという意味だけではなくて、企業自身、あるいは、その社員がユネスコ活動に参加するような形態というのもあるんだというのを明確にすべきだということ。
 それから、企業がユネスコ活動に参加するに当たっては、やはり企業にとってメリットになるということも必要なんだと。そのメリットを明確にした上で、そういうメリットがあるということが企業間で広まっていくような何らかの仕組みが必要なのではないか。
 3点目は、関連になりますけれども、企業がそうやって参加したり、寄附したくなるような仕組みを作っていく必要がある。そのためには、例えば、少額の公的資金が呼び水になるということもあるので、国としての補助の在り方を検討すべきだというのが3点目でございます。以上でございます。

【田村委員長】
 ありがとうございました。
 かなり綿密な議論が進められましたので、御報告もかなり広い範囲にわたっての報告になりましたが。あと、教育小委員会の議論もかなりきめ細かくされておりますので、見上委員長先生から御報告をお願いしたいと思います。

【見上委員】  
 それでは、教育小委員会におきまして、我が国のユネスコ活動の活性化に関する議論を行いました。その結果について御報告したいと思います。

【田村委員長】  
 490-5でございます。

【見上委員】  
 はい。490-5の資料を御覧いただければと思います。御案内のように、安西小委員長は御欠席ですので、代わって御報告させていただきます。
 教育小委員会では、5月以来教育小委員会を3回開催いたしまして、我が国におけるユネスコ活動の活性化について議論してまいりました。5月9日に行いました会議では、ユネスコスクールについて議論し、7月に行われた会議においては、学校教育におけるESD、それから、8月の会議では、社会教育、企業活動及びESDの理論的裏付けとについて議論いたしまして、この資料の5にございますような形、骨子案としてまとめてございます。
 まず最初の論点でありますユネスコスクールについてでございますが、1点目では、ユネスコスクールは現在615校、更にこの数が増えているかと思いますが、そこまで増えました。実際には数県、まだユネスコスクールの加盟のない県がございますので、ここは何とかしなければいけない点ですが、いずれにしても、数の上では目標500をはるかに超えたということで、今後は質の確保ということが大事だろうということの議論でございました。
 2点目といたしましては、国内外のユネスコスクール間の交流を促進するということです。これはユネスコスクールの本来の趣旨がネットワークでございますので、交流を活発にすることが大事である。ユネスコスクールウェブサイトの交流機能とか活動内容の発信の充実を図るべきである。また、交流に当たっては、共通のテーマ、お米とか、気候変動とか、共通のテーマを明確に設けることで、交流の内容がより質が高まるのではないか、そういうような意見でございました。
 論点の二つ目といたしましては、ESDに関することやユネスコスクール以外の学校でのESDの推進についてということでございます。ユネスコスクールというのは、理念的なところでESDの活動と非常に重なるものですから、大きな活動の基本としてESDを取り上げているわけですが、ユネスコスクールに入らなければESDができないのではないかという考えもございまして、とにかくESDそのものを推進するということも一つは大事だろう、併せてユネスコスクール以外の学校でのESDの推進についても大事だろうということでございます。
 1点目といたしましては、一般の人にESDをもう少し分かりやすく伝えられるようなツールを考案できないか、そういったことをやるべきだろうということ。
 2点目としては、ESDが学校教育の内容にどのように寄与しているか明確にして、教育委員会によく理解を得ることが大事だろうということです。ESDを通じて、子供たちの質がどのように変容し高まっているかということを教育委員会に理解してもらうためには、優良事例、こういったものを共有する必要があるだろう、これが2点目でございます。
 3点目は、ESDというのはグローバル人材育成のためにも、大変核的な存在、コアになるような存在として非常に大事だろうということでございます。
 4点目が、地域の持続的な発展に向けて、いろんな地域の活動はございますが、例えば、地域の国連大学RCEをはじめとして、ここにありますような多様なステークホルダーが一体となって取り組めるものにすべきだろう、これが4点目。
 5点目といたしましては、ユネスコスクール以外の学校でもESDを取組やすい形でサポートする必要があるのではないか。必ずユネスコスクールに入らなければそれができないということでもないだろうということでございます。
 6点目、教育委員会や大学が中心となって、ユネスコスクール以外の学校へのESDの実践、普及、それから、国内外のユネスコスクール内の交流を促進するような仕組みを作る。ユネスコスクールでは盛んにやろうとしているところですが、それ以外の学校でもそういったことが大事ではないかということでございます。
 それから、ページが変わりまして、7点目ですが、ユネスコスクールは、世界的に注目を集めている日本独特の公民館や地域の資料センター等、こういった社会教育施設との連携を図るべきではないかという意見でございます。
 それから、最後の8点目が、ESD活動に積極的に取り組む企業を顕彰する仕組みを検討して、更に企業の参加を促してはどうかということでございます。
 それから、論点の三つ目でございますが、ESDの理論的な裏付けが必要だということで、3項目ほど、ここにありますような形で意見がまとまりました。
 1点目は、ESDの教育効果について、評価指標を明確にすべきだろう。そして、子供たちをはじめとして、教育を受ける側の資質・能力の向上に貢献しているかどうかということを理論的に明らかにするような調査研究を進めるべきだということでございます。
 2点目は、ESDは、我が国の教育に必須の概念である。ESDの概念を理論的に強固なものにして、ESDが政策面でより的確に位置付けられるように検討すべきではないかというものでございます。
 3点目は、既に実施されているESD関連の研究を活用して、ESDの概念を整理すべきであるということでございます。実際には、大学等では科研費等でESDをテーマにした研究もございますので、多種多様の内容ではありますけれども、そういうものの中からこういったところを拾い出すことはできないかといったような議論をいたしました。
 最後に、「ESDに関するユネスコ世界会議」がございますが、これに向けて、我が国の進めてきたESDについて効果的に発信すべきである。会議の成果は、ポストEFAの議論にもつなげるべきであろう。
 こういったものが議論をまとめたものでございます。今後も更に検討を深めてまいりたいと思います。
 以上、教育小委員会から報告させていただきました。

【田村委員長】  
 見上先生、ありがとうございました。
 これに関連しまして、事務局の方から参考資料の説明がございますので、本村さん、よろしくお願いいたします。

【本村補佐】  
 お手元の参考5の資料を御覧いただけますでしょうか。

【田村委員長】 
 参考5です。

【本村補佐】  
 参考の5でございます。
 各都道府県・政令指定都市の教育振興基本計画のESD記載状況というペーパーでございますけれども、こちらは国レベル、文部科学省が策定しました教育振興基本計画の中ではESDが明確に記載されてございますけれども、各都道府県・政令指定都市が定める教育振興基本計画の中で、果たしてESDがどの程度記載されているのかということを調べましたのが、このペーパーでございます。
 結果といたしまして、47都道府県のうち13都道府県が、持続可能な社会の構築、あるいは、ESDについて記載がございました。その中でも、明示的にESDについて記載がございましたのは、6県でございます。例えば、22の静岡県の「ESDの概念を取り入れた環境教育・環境学習に取組み」でございますとか、次のページの23の愛知県、「ESDに関する取組を推進します。」というような表現で記載がございました。
 また、政令指定都市に関しましては、24のうち四つの市で、「ESD」若しくは「持続可能な社会」等の記載があったところでございます。以上でございます。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 それでは、配付資料の490-4と5につきまして主に御報告があったわけですけれども、御議論をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 先ほど見上先生からのお話もあったんですけれども、今、次の学習指導要領の改定の準備に入っているんですね。そろそろスタートという。10年ぐらいかかるんですけど。それは、いわゆる国際的な大きな教育の流れの変化みたいなものを受け止めてやろうというお考えのようで、国際的な流れの変化というのは、要するに、学問的な体系に基づいて教科書を作って、それを覚えるという、そういう教育ではなくて、何のために勉強するんだという、目標とか目的を明確に子供たちに意識させて、やる気を起こさせて勉強させようという、こういう作戦なんですね。それが今の学習指導要領の骨と言えば骨なんですが、ESDはすごくそれに役に立つんですね。見上先生の御説明があったように、これは非常にいいチャンスなんで、それを意識すれば一生懸命子供たちは勉強するだろうという。
 要するに、学習意欲というのは改定学校教育法に書いてあるんですけど、その学習意欲も、何か目標がはっきりしないと意欲が出てこないからという、そういうような考えがありまして、タイミングとして、非常に大事なタイミングだろうと私どもは思っておりますけどね。来年の世界大会というのは、そういうふうに生きてくれるといいと思っているんですが。
 何か御意見ございませんでしょうか。どうぞ、西園寺先生。

【西園寺委員】 
 ユネスコ活動の活性化については、何回かの議論を重ね、かなり具体的なことも含めて、いい意見が出てきたと思うんですね。この資料490-3「我が国におけるユネスコ活動の活性化について」も、大変よくまとまっているとは思います。ただ、果たして、ここでまとめたものをどういうふうにこれから実際に実行していくかという、その辺のところが私にはまだ分からないわけです。
 というのは、国内委員会としての意見ですが、国内委員会というのは実行部隊を持っているわけではございませんから、果たしてこういうものを具体的に進めていく方策というのはどういうふうに考えたらいいのでしょうか。

【田村委員長】  
 いかがでしょうか。その辺も含めて、御意見を頂ければと思うんですが。
 どうぞ、林原先生。

【林原委員】 
 議論の中で出てきた課題の中で、実行部隊としてのプラットフォームをどう構築するのかということを詰めることが重要だと思います。
 少し見当外れの議論でしたら申し訳ないのですが、ユネスコには二つ問題があると思っていまして、一つは、知名度はものすごくあるのに、再三お話に出ていたとおり、世界遺産以外には何をやっているのかよく分からないということです。なぜ世界遺産がこれだけ注目を浴びるかというと、やっぱりマスコミがよく取り上げるためだと思います。マスコミが報道するかどうかによって、影響が全然違うと思います。ESDについては、マスコミが報道することが非常に少ないんじゃないかと思います。ですから、プラットフォームの構築についても、マスコミで取り上げてもらえるように、世の中にアピールする実行部隊としてのプラットフォーム、形態はSNSでも何でもいいんですが、何か知恵を絞って、お話を伺った元気のいい監査法人の方とか、電通の方とか、プロの方の意見を聞いて構築することが大事だと思います。あまり理念、理屈で考えるよりも、実際にどうするかということに力点を置いて、実際に経験のある人の知恵を借りて進めることが大事だと思います。
 もう一つは、これも見当違いの議論かもしれませんけど、目に見える具体的な成果を上げることをもう少し明確な目標にして活動を推進すると、もっと盛り上がると思います。文科省のお役人の前で言うと笑われるかもしれませんが、例えば大学入試のときの語学の点数に少し加点される制度の導入なんかはいかがでしょう。今、若者が海外へ出ないということがかなり深刻な問題であって、何とかしなければいけないと思うのですが、その対処策の一つのきっかけがESDになると結構だと思います。だから、企業がユネスコ活動になかなか協力しないというのも、企業からすれば、具体的なメリットがないと、取り組みにくいということもあると思います。今は、本業以外のことに余り力を入れるなという雰囲気もあります。要するに、会社にためにならないことをやる余裕がないということもあるかもしれませんけれども。ですから、企業価値の向上に具体的に反映される、ユネスコの精神に少し反するかもしれませんが、お金もうけに結び付くということを、もう少しスマートにやれると自然に企業がユネスコ活動に参加しやすくなると思います。そういう仕組みを考えると、もっともっとユネスコ活動が活性化し、企業活動の中で活用される余地が広まるのではないかなと思います。

【田村委員長】 
 非常に大事な御指摘を頂きましたが。
 企業はなかなか動かないことは事実ですけれども、CSRがこれだけ普及してくると、お金は直接もうからないけれども、やる必要があるなというような経営者の方は増えているんじゃないかという感じもしますので、粘り強くやっていくということかなと思うんですけどね。
 今の西園寺先生の話ですが、国立教育政策研究所のこのレポートはとってもいいんですよね。これの125ページを見ていただくと、すごく具体的に書いてあるんですよ。ESDを使って、学習指導要領上の教える内容をどうやったらいいかというのが、とてもよくできているんですね。これ、現場で非常に参考になるんですね、こういうのは。こういうのが出た以上は、これを受けて、これは文部科学省の機関が作ったんですから、中でも議論はこれを中心にしてやってほしいということを初中局に申し入れるということなんでしょうかね。これはとても僕はいいなと思って、推奨なんですけどね。久しぶりにいいのをやってくれたという感じですよね。これは非常に役に立つと思いますね。ちゃんと生かすつもりでやれば。かなり細かく、きちっとやっているんですよね。これは武器になりますよね。それをどうやるかは、事務局も含めた国内委員会での役割ということなんじゃないでしょうかね。
 ほかには、いかがでございましょうか。どうぞ、岩本先生。

【岩本分析官】 
 事務局から、先ほどの西園寺先生の御質問に関しまして、これをどう具現化していくかということなのであります。もちろん、ものによっていろいろでございます。例えば、フェイスブックを整備していくとか、あるいは、ユネスコスクールのホームページに、例えばマッチングサイトみたいな、交流をしやすくする機能を加えていくと、そういうようなことは既にやり始めているところもございます。
 ESDの関係で言いますと、一つ、ユネスコスクールという、推進拠点という点が整備されてきたので、ある意味、それを都道府県内と申しますか、ある一定レベルの行政単位の中で、ユネスコスクール、ユネスコ協会、企業、大学、こういったものが、ここにも書いてございますが、コンソーシアムみたいなものを結んで、そことユネスコスクールになっていない学校であるとか、あるいは博物館、公民館、そういったところがネットワークできるような仕組みができないだろうかと。例えば、そういったところに、もしお金があれば、ESDコーディネーターみたいなものを置いて、その人が地方自治体とかと一緒になってESDを推進していく、そんなことができないものかというようなことを、今もう8月の末でございますから、だんだん予算要求とか、そういうこともございますので、そんなことを検討しているのが一つであります。
 それから、もう一つ、先ほどESD、今まで我々、こういう言い方をしては大変語弊がございますけれども、ある意味、国内委員会としては、ESDの活動というのは非常にすばらしいことだ。これは現に事実でございます。それで推進してきたわけでありますが、先ほど田村会長御指摘のように、もう一遍、子供の培うべき能力とESDで培われる能力、これがどういう関係にあるのか、あるいは、それをどう評価するのか、また、指導するにはどうしていったらいいのか。この辺、総合的な学習の時間というのはもう導入されて10年ぐらいになって、聞くところによりますと、総合的な学習の時間で積極的な子供の教科の学力も、ある程度正の相関関係にあるというようなことが言われています。そういったときに、ESDという、持続的な社会の担い手を育てるという目標がまたできたわけですから、そこら辺をもう少し具体化して詰めていく。これはもう来年すぐということにはならないかもしれませんけれども、そういったある意味での方向というのはできてきているのかなという感じはいたしておるところでございます。
 雑駁(ざっぱく)でございますが、以上です。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 これからの話でしょうけれども、ESDコーディネーターが本当に作れるといいまでよね。民間がやった方が数は増えると思うんですけれども、きっかけは公的資金でやってくれると、動き出すんですよね。

【西園寺委員】 
 よろしいですか。以前の議論のときにも申し上げたんですけど、いわゆるユネスコスクールでESDに一生懸命取り組んできた先生方、リタイアされた方がかなりいらっしゃると思うんですよね。そういう方たちの経験を生かして、例えば、これからユネスコスクールとしてスタートするところとか、まだスタートしていないところも含めて、ESDの実践経験を持つ先生方が行ってお手伝いしていただくのはどうでしょう。そのような方たちをESDコーディネーターとして、半分ボランティアの形で活用していくということを考えてみたらよいのではないかと思います。

【田村委員長】  
 それは不可能じゃないでしょうね。できますよね。

【西園寺委員】 
 ええ。結局、それは、リタイアされれば、そういうあれがなくなるわけですから、むしろ彼らにとってみても非常に生きがいのあるあれになるんじゃないかなというふうには思うんですけどね。

【田村委員長】 
 例えば、日米の協議交流に行った人というのは、基本的にESDがテーマで行っていますから。行って帰ってきた人が、現場にもう100人以上いるんですよね。それはもう定年の人もいるでしょうから、つながりをその辺から探せば、幾らでも出てきますよね。

【西園寺委員】 
 そうですね。

【田村委員長】 
 日中・日韓の交流の先生方もそうですよね。どうぞ、野口先生。

【野口理事長】 
 実は、この間カザフスタンで、世界のユネスコ連盟の会議と、それから、ユネスコとカザフ政府の主催で非常に大きな会議がありました。国連が今年から始めた10年計画、ラプロシュメント・オブ・カルチャー、それの発会式に招待されて出てきたんですが。その間で少し議論した中で、私どももESDについては発言したり、重要性を強調して、新しい私たちのESDパスポートの取組などの御説明をしてきたんですけれども、インドの代表と雑談をしていた中で、何かやっぱり世界共通の教材があるといいなということを議論したんですね。ずっと前なんですが、ユネスコはソースブックという、自然科学系で物理、生物、化学とかの教育に関し、共通のソースブックを作って、加盟国に配付したことがあります。もうずっと何十年も前の話なんですが。例えば、ESDをこうやって世界で推進し、例えば国際交流をして、比較検討をしたり、中身を深め合っていくような場合に、何か共通のベースがもっとはっきりとあると、もっともっとやりやすいのではないかなと。
 ESD自身が非常に広い概念ですので、そういうのを作るのは難しいかもしれませんが、小学校段階では、例えばこういったものを主に教えていって、それを国際的にどこまでみんながやったか検討するとか、小中高辺り、何かそういったものが可能ならば、これはもう私たちとしても大変役立つし、いいかなというふうに少し思いましたので、これが本当に実現可能かどうか知りませんけれども、そういうことを。
 それから、私たち民間のユネスコ協会連盟では、国内委員会の補助金も頂きまして、ボランティア活動を通じてESDの活動を促進していこうというので、ESDボランティアパスポートというものを今作りまして、各学校と地方のユネスコ協会等でこれを活用いただいて、具体的なアクションを通じて、この重要性を理解してもらい、それからまた、それがある程度活動がたまると、顕彰をして、この学生はこれだけのボランティア活動をしたと。それが将来の進学とかなんかに多少でも役立つといいなというようなことも考えております。以上、御参考までに申しました。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 どうぞ、本村さん。

【本村補佐】 
 今の野口理事長からの御発言で、教材に関しまして、文部科学省の、ユネスコに文部科学省から拠出しております信託基金を通じまして、ESDに関する信託金でございますけれども、これを活用して、ユネスコ本部の方で、重点項目としまして、気候変動、生物多様性、防災、この三つの分野については教材を作成しているところでございます。

【田村委員長】  
 ありがとうございます。では、広瀬委員。

【広瀬委員】 
 今、林原委員がおっしゃった、マスコミの取り上げ方、世界遺産はやはり絵になるわけですよね。映像として。ですから、いろいろマスコミでも取り上げてくれた。ESDも、一つは、今のグローバル化、国際化、それから、若者が、高齢化に向けて、もう未来が悲観的になっている、そういうときに、将来につなげての発展的な意味で、うまくここの、田村委員が推奨されている、126ページに出ているようなことを、うまく今の時流に合った、フローチャートでも何でも絵にして、マスコミで売ってもらう、キャンペーンをしてもらう。特に来年ESDの世界会議があるわけですし、いい機会なので、そういうことももっと働きかけていいと思いますし、それから、もう一つ、いろいろ、いろんなところで努力をされているし、可能性があるので、文部科学省のポリシーとしても、もっと強く打ち出していただくと。そういうことをやって、民間やなんかが巻き込まれて動き出せば、大きなうねりになるのではないかと思いますので。
 やはりユネスコというのは、私も本部にいたときから悩んでいたことですけれども、名前は知られているけれども、何をやっているかは、分野が広すぎて分かりにくい。もう文句のつけようのないいいことをやっているんだけど、あまり迫力がないみたいなところがあって、やはり人を動かすのには、「うん、そうだ」と言われるような、理屈だけでない、何か大きなインパクトのあるプレゼンテーションと、それから、ポリシーで引っ張るというようなことをどんどんなさったらいいのではないかと思うので。私は国内委員会の実行部隊は文部科学省だと思っていたんですが、違うんでしょうか。

【田村委員長】 
 どうぞ、岩本さん。

【岩本分析官】 
 おっしゃるとおりでございまして、日本ユネスコ国内委員会のある意味執行機関であるのが文部科学省の我々だと思っておりますけれども。やはり役人的に、「はい、資料配付しました。これで載るでしょう」というのでは、最近は駄目なんですね。現実に、この会議も一応公開ということになっておりますけれども、残念ながら、ジャーナリストの方がどれだけいらっしゃるのか、私は分からないんですけれども。
 ですから、まず一つは、最近の成功事例といたしましては、内閣府が政府広報番組ということで、徳光さんと木佐さんの司会をする番組がある。木佐さんというのは、ESDのオフィシャルサポーターになっていただいている。それで、ここにいらっしゃる見上委員、それから、手島校長先生に出演していただきまして。ごめんなさい、お手元の490-2の資料の9ページにあります。9ページに、政府インターネットテレビというようなことで、これはインターネットで常時見られるように、資料490-2の9ページでございますが、こういったことをしたところであります。
 また、これは中でいろいろ話しているのは、例えば、文部科学省に記者クラブというのがございますけれども、あるタイミングのときに、ESDについて、もう世界会議まであと1年半を切っているわけでございますから、何かそういった記者の皆様方とお話しできるような場も少し考えていかなくてはいけないんじゃないか。そういった積極的な広報みたいなのを、これから真剣に考えないと――これからでは遅いんですけれども、真剣に考えていこうと思っております。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。統括官、どうぞ。

【加藤統括官】 
 すいません、一番最初に西園寺委員からあった、その実行をどうしていくのかと。多分、体制とか、そういう意味でおっしゃったのではないかと思うんですけれども、ESDの方については、我々から、文科省の中でいろいろ関係部局に働きかければ、相当やるのかなと思います。
 一方、若者、企業の参画促進ということでは、林原委員のお話もありましたけれども、実はこれから作るプラットフォームというのが、実行部隊としての役割が非常に重要かと思います。そういった意味で、もうそういうことを本当にやりたくてしょうがない人をうまく集めてきて、作って、それをやっている様子を世の中に見えるようにして、それを見た人がまた寄ってくるというようないいサイクルにできたらいいかなと思います。
 あと、マスコミへの露出度が、世界遺産以外、確かに低いわけなんですけれども、従来はいろいろプレス発表も、単に資料投げ込みだけだったんですけれども、最近はできるだけ記者に直接話すようにしたり、発表資料にも画像を入れて工夫したりしていまして、その成果かどうか、一つとしては、先般の「御堂関白記」などが記憶遺産に決まったときには、従来に比べれば、写真入りの記事が出たりというようなこと、まだ少しですけれども。それから、今、岩本さんからも話がありましたけれども、やっぱり定常的に文科省の記者クラブの人たちといろいろ双方向の意見交換なり何なりやっていく、そういう中でユネスコそのものにも関心を持っていってもらうようにしたいと思っております。

【田村委員長】
 ありがとうございました。それでは、佐藤委員。

【佐藤委員】  
 先ほどから出ている御意見に全く賛成ですし、このまとめも、よくまとまっていると思いますが。ESDですから、まず教育の世界をきちんとまとめるというか、固めていくというのは当たり前なんですけれど、そういう意味で、これはこれでいいんですけれども、次はやっぱりアウトリーチというか、少し外の世界とのつながりをうまく考えていったら。
 例えば、観光の世界では、今までのありきたりの観光ということから、エコツーリズムとか、グリーンツーリズムとか、あるいはルーラルツーリズムとか、そういう概念が世界的にもかなり出てきているので、それはもうESDと重なるわけですよね。そういうところへつながっていくというようなことを考えないと、広瀬委員のおっしゃるように、実行部隊は文科省でしょうけれども、それだけでは少し足りないので、このまとめの中でも、教育委員会だけでなくて、知事も巻き込もうぜと書いてあって、そういう発想で、外の世界にうまくつながる概念も見つけて、ぶつけていくというようなことを考えると、より広がっていくかなと。それは将来の話です。

【田村委員長】  
 ありがとうございました。

【岩本分析官】  
 おっしゃるとおりでございまして、ESDの世界でも、奈良市を中心に、世界遺産教育というようなことが行われております。これも世界遺産絡みなんですけれども、自分たちの町に誇りを持つということ、これを、例えば日本のESD-Jなどは非常に関心を示しまして、じゃあ、それと観光を結びつけたらどうだろうかというような議論を、地球市民会議とか、そういった場でしております。
 ですから、その意味では、もちろん、教育の中身を深めるということと同時に、いろんな関連の方々と話し合って広めていくという方法も、確かにおっしゃるとおり、進めていきたいと思います。

【田村委員長】  
 ありがとうございます。それでは、河野先生、どうぞ。

【河野委員】
 今、佐藤委員、それから、岩本分析官のおっしゃったことに関係するんですけど、先ほど田村先生が御指摘になった、このパンフレットの例えば128ページに、構成概念でなんですけれども、多様性、相互性、有限性、公平性、連携性、責任性とあるんですが、これ、最近のヘリテージの捉え方ってこうなんですね。ヘリテージはもう少しソーシャルなものであると。いわゆる物とその物のオーセンティシティというのから、日本が奈良文書を20年前に採択しまして、それで多様性が出てきて、それはもっと今ソーシャルなものとして、社会との関連で捉えようという動きが、今、ヘリテージスタディズの前面に出てきています。岩本さんのおっしゃったのは、正にそこら辺を先取りしていて。
 ですから、世界遺産が人気なのであれば、世界遺産とこれと比べて、ESDがあって、世界遺産を更に素材にして、こういう取組ができるというのは、私は組めると思うんですね。そうすると、県の教育委員会レベルの方々が、ものすごく文化遺産の保護に対して詳しいし、熱心ですので、そこと組めば、割に広い広がりのできる、しかも、具体的なものが出てくるのではないかなという気が少しいたしました。

【田村委員長】 
 今、大変、大変貴重な御意見を頂戴しました。

【林原委員】 
 すみません、もう一ついいですか。
 まずやることは、ESDに関するユネスコ世界会議が、あと1年後に日本で開かれるわけですね。これは絶好のチャンスだと思います。リードタイムが1年あれば、いろいろなことができるわけで、ESDに関するユネスコ世界会議をもっともっとアピールする、いろいろな方策を考えたらどうでしょう。
 例えば、NHKの7時半から放映されている「クローズアップ現代」とかで取り上げてもらったらいかがでしょうか。佐藤さんの前で言うのも僭越(せんえつ)なんですが、東京国立博物館の特別展の入場者数というのは、NHKの日曜美術館で取り上げられた後、すごく増えますよね。だから、教育テレビであってもすごく効果があるんですね。
 ともかくESDに関するユネスコ世界会議が1年後に開かれるわけですから、ボランティアの人を活用するとか、何らかの方法でESDをもっともっとアピールする、絶好のチャンスとなるのではないかと思います。

【田村委員長】 
 ありがとうございます。
 それでは、理論的なこと、あるいは、実行に関わる具体的なお話等、大変貴重な御意見を頂戴いたしましたので、是非これは、そういった御意見をできるだけ反映させていただいて、来月の第133回総会へ提出させていただこうというふうに考えておりますが、文言等の調整は、委員長である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。もう来月ですので、10日ということですから。
 では、御了解いただいたということで、よろしいですか。
 (「異議なし」の声あり)

【田村委員長】 
 次に進めさせていただいてよろしいでしょうか。また何かあったら、後でもかまいませんので、おっしゃっていただければと思います。
 それでは、今後の議論の進め方と日程の案について事務局から説明をお願いいたします。

【本村補佐】
 今後の議論の進め方と日程案につきまして御説明させていただきます。
 今後、10月から11月にかけまして、主に、この検討事項の2、ESDの一層の推進の部分につきまして、更に教育小委員会においてもう一回議論を行った上で、提言案を作成したいと考えております。それを受けて、年内に運営小委員会におきまして、この取りまとめた提言案をメールで御審議させていただきまして、来年の1月に全ての国内委員会の委員の方々に提言案をメールでお送りし、御審議を頂くということを考えております。その上で、2月の運営小委員会で、国内委員会の提言案として取りまとめた上で、3月の国内委員会総会で最終的な提言を取りまとめる方向で事務局としては考えております。
 以上でございます。

【田村委員長】 
 ありがとうございます。
 というような次第でまとめていきますので、本件につきましては、来年の3月の取りまとめに向けて、引き続き、よろしく御指導、御意見を賜ればということでお願い申し上げたいと思います。
 それでは、議題5に入らせていただきます。第37回ユネスコ総会への対応でございます。
 本年11月にパリのユネスコ本部で開催される第37回ユネスコ総会、これについて、本年5月29日付けで、ユネスコ活動に関する法律第6条第1項に基づき、下村文部科学大臣からユネスコ国内委員会の方に、我が国が第37回ユネスコ総会において、2014年~21年中期戦略案及び2014年~17年の事業・予算案に関してとるべき態度についての諮問がありました。また、岸田外務大臣からは、第37回ユネスコ総会における政府代表についてと、第37回ユネスコ総会における基本的方針について諮問がございました。
 これを受けまして、これまで各専門小委員会において、ユネスコの次期中期戦略案と事業・予算案について御審議をいただきました。本日の本小委員会では、それらの審議結果を反映した答申案について御審議を頂き、総会に向けて取りまとめたいと思っております。したがいまして、この案につきまして、審議に先立ち、事務局から御説明をお願いいたします。これも本村さんからですね。

【本村補佐】
 それでは、お手元の参考6をまず御覧いただければと思います。
 第191回ユネスコ執行委員会の結果についてでございますけれども、4月に開催されました前回の執行委員会において、この本日御議論いただきますユネスコの次期中期戦略、37C/4と呼んでおりますけれども、案と、また37C/5、事業・予算案につきまして審議がなされております。その内容をまとめたものでございますけれども、8ページを御覧いただければと思いますが、まずユネスコの中期戦略案の概要でございます。
 こちらは、従来6年だったものを、今回の37C/4から8か年、2014年~2021年までの案という形でまとめておりまして、まずユネスコ憲章に基づいて、ミッションステートメントが定められております。その中で、包括的な目標として、平和と持続可能な開発という二つの目標が定められております。その下で、戦略目標が1から9まで定められておりまして、1から3が教育分野でございます。戦略目標4と5が自然科学、6が人文・社会科学でございます。また、7と8が文化、9がコミュニケーションという形で分かれておりまして、さらに、その隣の9ページでございますが、こちらがユネスコの事業・予算案でございます。
 こちらは、従来2年だったものが、今度の37C/5から4か年の案になってございます。主要事業として、教育、自然科学、人文・社会科学、文化、コミュニケーション、五つに分かれておりまして、それぞれ、先ほど申し上げた中期戦略の中に掲げられている戦略目標1から9に基づきまして、各分野において、MLAと書いておりますけれども、こちらがMain Line of Action、主要活動ラインと呼んでおりますけれども、これに従って、それぞれ戦略目標に対応する形で、ユネスコの方で定められております。こちらに基づいて、執行委員会で議論がなされたところでございます。さらに、今後、次回第192回の執行委員会、11月のユネスコ総会で、この内容が議論される予定でございます。
 それを踏まえまして、先ほど田村委員長からお話がありました、参考7でございますけれども、文部科学大臣、下村大臣から田村会長に対して諮問という形で、また、裏面でございますけれども、岸田外務大臣から、この第37回ユネスコ総会に関する諮問が出されております。
 今後、今申し上げた第37回ユネスコ総会が11月4日から開催されますけれども、参考8に、このユネスコ総会の日程案を記してございますので、参考8を御覧いただけますでしょうか。1枚紙でございます。カラフルなものですけれども。
 11月4日から20日まで開催予定でございまして、それに先立ちまして、ユースフォーラムが10月29日から31日まで開催予定です。ユースフォーラムに関しましては、日本代表として、1名既に選考を行っておりまして、こちらは西園寺委員にも御協力いただきまして、審査委員を御推薦いただき、先日審査を行っております。1名の代表と2名のオブザーバーをこのユースフォーラムに派遣する予定でございます。
 また、これに合わせて、ユネスコと五井平和財団の共催の形で、文化イベントを開催する予定でございます。
 それの後にユネスコ総会が始まるわけですけれども、国内委員会といたしましては、まず田村会長に冒頭の11月4日の国内委員会会議及びリーダーズフォーラム、一般政策演説等に御出席いただくことを考えております。
 また、佐藤副会長には、11月7日から始まります教育の委員会でございますけれども、こちらに出席いただく予定でございます。
 また、科学の分野は12日~14日でございますけれども、こちらは金澤副会長に出席いただく予定で考えてございます。
 この中で、これは御参考までですけれども、11月12日に理事・事務局長選挙がございますけれども、こちらは、元々は次回の第192回の執行委員会の中で、58か国の投票によりまして、1名の指名者を選出する予定でございます。執行委員会で選ばれた事務局長候補を、総会で投票を行いまして、過半数の支持があれば選出されるという、その選挙が12日にございます。
 以上が大体のユネスコ総会の日程でございますけれども、その総会に向けての答申案でございますが、資料490-7と8を御覧ください。
 まず7の方が、国内委員会会長、田村会長から下村文部科学大臣に対する答申案でございます。
 まず1としまして、第37回ユネスコ総会における基本的な方針を記してございます。簡単に申し上げますと、今のユネスコの財政状況、非常に厳しい状況でございますので、これを踏まえて、ユネスコの構造的な問題に対して、ユネスコが言う比較優位を有する分野を絞り込んだ上で、更に、その分野での活動に特化することで具体的な成果を上げ、その存在意義の向上を図るべきであるという形でまとめております。
 2番、2ページ目でございますけれども、こちらが、先ほど申し上げた中期戦略案及び事業・予算案に関する方針でございます。
 1ポツのところに総論を記してございます。総論としては、先ほど申し上げた包括的な目標については、従来5項目あったものが、平和と持続可能な開発、二つに絞り込まれていることは評価できるとして、さらに、我が国としましては、「持続可能な開発のための教育」と、前回の第36回のユネスコ総会の機会に我が国が提案した「サステイナビリティ・サイエンス」について、特に重点的に推進すべきであるということでまとめております。
 2ポツ以降が各分野でございますけれども、教育分野としまして、19で、EFAの推進、ポストEFAについて、より一層EFAとESDの連携を強化していくことが重要である。2番目としまして、ESDにつきましては、来年11月に我が国で開催される世界会議での議論、成果を十分に踏まえて、2014年以降の国際社会におけるESDの取組に反映させるとともに、ユネスコ事務局内での予算・人員の両面において体制の強化を図るべきであるということでまとめております。
 3ポツ目、自然科学及び人文・社会科学でございますけれども、特に2)のサステイナビリティ・サイエンスにつきまして、持続可能な地球社会の構築に向けて、ユネスコの既存のプログラム及び成果を活用し、「サステイナビリティ・サイエンス」という統合的なアプローチを取り入れることで、ユネスコの科学分野が果たすべき役割・機能が一層推進されることを期待するとともに、我が国としても、この「サステイナビリティ・サイエンス」を推進していく必要があるという形でまとめてございます。
 4ポツ目、文化分野でございますけれども、各世界遺産条約事業、無形文化遺産、文化多様性、クリエイティブ・シティーズ・ネットワークにつきまして、我が国としても積極的に協力していくべきであるという形を記載してございます。
 5ポツ目が、コミュニケーション・情報分野でございますけれども、こちらは、特に2)のユネスコ記憶遺産事業でございますが、ユネスコによる、記憶や文化、歴史を伝えていくための国際的なコミュニケーション基盤の整備に対する努力を期待するとともに、我が国としても協力していくべきであるという内容にまとめてございます。
 6ポツ、最後の普及分野でございますけれども、これまで御審議、御議論いただいたものをまとめておりますけれども、加盟国政府・国内委員会とともに各国のユネスコクラブ・協会、NGO、学校・教育機関、メディア、民間企業等とパートナーシップを構築し、連携・協力を一層推進することが重要であるということと、若者・企業のユネスコ活動への参加といたしまして、最後の6ページでございますけれども、国際・地域・国レベルで、若者や企業のユネスコ活動への参加促進、ユネスコ活動への理解と認知度を高めるための役割をユネスコに対して求めたいということでまとめております。
 以上が、ユネスコ総会答申、こちらは文部科学大臣に対する答申でございます。
 続いて、8番の資料、もう時間がありませんので、簡潔に申し上げますと、こちらは外務大臣に対する答申でございまして、ユネスコ総会における政府代表について、文部科学大臣の出席ほか、ここに(1)から(4)に掲げている方々の出席を適当であると考えるということでございます。
 裏面の2ページ目でございますけれども、第37回ユネスコ総会における基本的な方針として、一般事項として、2番目の、ユネスコの今後8年の方向性を決める上で、この37C/4、C/5は極めて重要なものである。現行の中期戦略で実施された事業の進捗状況を点検し、37C/4で重点的に取り組むべき課題が明確にされるべきである。
 2番目に、行財政につきましても、我が国を含む加盟国の財政状況が極めて厳しい中、現在、国連等、国際機関に対する行財政改革の必要性が認識されていることを踏まえて、ユネスコに対しても、事務局による事業の精選化・重点化、機構定員・管理運営の合理化・改善への取組が継続されるよう対応するということとしております。2番目は、文部科学大臣に対する基本的方針と同じ内容を記載してございます。
 以上でございます。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 それでは、ただ今の説明を踏まえまして、御質問、御意見がございましたら、お願いをしたいと思いますが。
 どうぞ、河野先生。

【河野委員】 
 7の答申案の4ページの4ポツの文化分野でございますけれども、この文章に、若干、修文案を事務局に送っておりましたけれども、反映されておりませんので、後で事務局の方と調整させていただきたいと思います。4ページの4ポツでございます。
 それから、もう一つ、よろしゅうございますか。

【田村委員長】
 どうぞ。

【河野委員】
 これは直接この答申案等ということではないのでありますが、参考でお示しいただきました4月の執行委員会の結果に関するところの、5ページの7)と9)について質問と、一つ御紹介というか、述べさせていただきたいことがありますので。
 7の博物館に関する法規範文書というのは、これは条約のことを想定しているのか、あるいは、もっと柔らかいデクラレーションとか何かのことなのでしょうか、というのが一つ質問でございます。
 それから、もう一つ、9番のカテゴリー2センターでございますが、日本につくばの水のセンターと堺の無形のセンターがございますが、無形のセンターに関しまして、7月24日から26日にかけまして、ブルガリアのソゾポルというところで、無形のカテゴリー2センターを全部集めた会議がありまして、そのレポートがホームページに上がっております。それを見ると、この予算が厳しいという文脈の中で、ユネスコとカテゴリー2センターを、ユネスコの統合の下にカテゴリーセンターが動くというニュアンスの文章があるんですね。さらに、同じところに上がっております、後でリンクを事務局の方にお送りいたしますけれども、アグリーメントの中身を変えるということまで示唆したパワポが上がっているんですね。
 そうすると、要するに、何を申し上げたいのかというと、予算が厳しいと。そうすると、ユネスコの仕事をC2にアウトソースして、C2の今の在り方を変えてしまうようなところがほの見える文章になっているんです。ですから、今度の総会の予算案の議論のときに、何かそういうようなことがあれば、情報収集を是非していただきたいという。今のC2の在り方がかなり変わってくる可能性がありますので、お願いしたいということであります。
 以上でございます。

【田村委員長】 
 よろしゅうございますか、今の点は。

【堀尾協力官】 
 今の7の法規範文書なんですけれども、明確には何という形ではなくて、先進国がもう既に既存のものがいろいろとあるので、特に今財政事情も厳しいし、新たなものを作ると、またそれによって会議を開いたりということで財政負担も増えるので、既存のものでいいじゃないかと言っていたんですけれども、途上国の方が、いや、それでは駄目だからというので、かなり押し切られたというようなところもあって、条約にするのか、勧告にするのか、宣言にするのかというところは、もう少し議論をしていくという状況です。

【河野委員】 
 分かりました。

【田村委員長】 
 よろしいですか。

【河野委員】 
 結構でございます。ありがとうございました。

【田村委員長】 
 あとは、また一つ、河野先生、直接事務局と話し合いをしていただいて。専門的なことですから、そこでしっかり議論していただくのが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、大体この案を大筋承認していただくということで、細かい文言訂正がある場合には、本小委員会の委員長であります私に一任していただきたいということですが、よろしいでしょうか。もう来月が総会ですので、報告がありますので。まだ来年3月まで、時間的にはいろんな議論ができるわけですので。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、来月10日の国内委員会総会において議題に上げまして、御審議を頂くということにさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、議題5に入ります。第133回日本ユネスコ国内委員会の議事日程ですね。まず事務局から、本村さん、御説明をお願いします。

【本村補佐】 
 それでは、議事日程案の490-9の資料、この1枚紙を御覧ください。
 9月10日火曜日の14時~16時、霞が関ビル35階の東海大学校友会館の阿蘇・朝日の間で開催を予定しております。
 議題(案)といたしましては、主に2ポツとして、日本ユネスコ国内委員会の活動に関する報告について、3ポツが、本日御議論いただきました我が国におけるユネスコ活動の諸課題について、資料も、本日の議論を踏まえた上で作成したいと思っております。4ポツが、今御審議いただきました第37回のユネスコ総会への対応について、最後に、国内委員会の構成についてを予定しております。
 以上でございます。

【田村委員長】
 ありがとうございます。
 それでは、議題5の議事日程についての御説明がございましたので、御意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがですか。これはもう今やったことをもう一回総会でやるということですので、特に御意見ないと思います。ありがとうございました。
 では、続いて、先に進めさせていただきます。議題7になりますか、その他でございます。
 初めに、事務局から、今後の日本ユネスコ国内委員会関係行事について説明がございました。それでは、本村さんから御説明をお願いします。参考9ですね。

【本村補佐】 
 参考9の今後の日本ユネスコ国内委員会の関係行事について、1枚紙を御覧ください。
 まず、ユネスコ関係の会議でございますけれども、今現在、本日まで行われております韓国政府日本教職員招へいプログラムがございます。
 9月5日から6日にかけて、パリにおきまして、第8回政府間生命倫理委員会(IGBC)の会合がございます。
 9月7日から9日、韓国におきまして、ASPnet、ユネスコスクールの60周年の記念国際フォーラムがございます。
 また、9月19日、パリにおきまして、サステイナビリティ・サイエンスに関する国際会議がございます。
 続いて、9月24日から10月11日にかけまして、パリのユネスコ本部におきまして、第192回ユネスコ執行委員会がございます。
 また、11月5日から20日にかけて、第37回ユネスコ総会がユネスコ本部で予定されております。
 続いて、日本ユネスコ国内委員会関係の会議でございますけれども、本日の運営小委員会後の予定でございますが、9月4日に、第26回MAB計画分科会がございます。
 9月10日に、第133回の日本ユネスコ国内委員会の総会がございまして、10月8日に、第2回ユネスコ記憶遺産推薦書の作成ワーキンググループがございます。
 また、1月に、まだ日にちまでは決まっておりませんけれども、第8回のユネスコ記憶遺産選考委員会を予定しております。
 また、1月か2月、いずれかにおきまして、第4回サステイナビリティ・サイエンスのワーキンググループがございます。
 最後に、3月に第134回日本ユネスコ国内委員会の総会を予定してございます。
 以上でございます。

【田村委員長】 
 ありがとうございました。
 そのほか、特に報告、審議すべき案件はございますでしょうか。
 特になければ、本日はこれで閉会をさせていただきます。御多忙のところ、御出席誠にありがとうございました。
 なお、次回の会議は、9月10日火曜日午後2時から、隣の霞が関ビル35階の東海大学校友会館で第133回総会が予定されておりますので、御出席の方、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

 ―― 了 ――

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