第489回運営・第94回普及活動小委員会議事録

1.日時

平成25年6月4日(火曜日)14時00分~16時30分

2.場所

文部科学省東館13階1・2会議室

3.出席者

(委員)
金澤一郎(運営小委員長代理)、広瀬晴子(普及活動小委員長)
青野正、青柳正規、井原正登、宇佐見恵子、榎田好一、岡崎天隆、金原祥子、西園寺裕夫、佐藤禎一、重政子、菅原展子、鈴木邦雄、二瓶和敏、堀川一晃、見上一幸、林原行雄 〔敬称略〕
(外部有識者)
大久保和孝 新日本有限責任監査法人CSR推進部長
中村優子 株式会社電通総務局社会貢献・環境推進部長
野口昇 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟理事長
(関係省庁)
長嶋外務省国際文化協力室長
(事務局)
加藤日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、岩本日本ユネスコ国内委員会上級事務次長(国際統括官付国際交渉分析官)、籾井日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事

【金澤運営小委員長代理】  
 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。第489回の運営小委員会と第94回の普及活動小委員会の合同でございます。今日は誠に暑い中を、皆様方、遠い所からもおいでいただきまして、誠にありがとうございます。
 実は田村会長が今日は所用があり御欠席のため、委員長代理ということで、私が指名されておりますので、議長を務めさせていただきます。
 なお、普及活動小委員会については、委員長がまだ決まっておられないので、今日のこの会で互選していただくことになっており、それは非公開ということでお願いいたします。
 それでは、会議を開くに当たりまして、事務局の定足数についてどうぞ御報告ください。

【本村補佐】 
 本日は、運営小委員会の御出席の委員が7名で、委員の過半数、7名以上となっておりますので、定足数を満たしてございます。
 また、普及活動小委員会の御出席の委員が10名で、過半数を満たしておりますので、定足数を満たしてございます。

【金澤運営小委員長代理】 
 はい。どうもありがとうございます。
 それでは、ただ今から、先ほど申しました合同小委員会を始めたいと思います。なお、2月13日に総会がございましたが、それ以後、事務局に人事異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いします。どうぞ。

【本村補佐】 
 まず4月15日付けで、籾井国際戦略企画官が着任してございます。

【籾井企画官】 
 よろしくお願いします。

【本村補佐】 
 続きまして、私でございますけれども、4月1日付けで、国際統括官補佐に着任してございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございます。
 それでは、先ほど申しましたように、普及活動小委員会の委員長の互選を行いたいと思いますが、それでは、普及活動小委員会の委員長代理は二瓶先生でございますので、どうぞ議事進行をお願いしたいと思います。

(人事案件のため非公開)

【金澤運営小委員長代理】 
 それでは、議事を進めたいと思いますが、本日は、いろいろな御意見を伺いたいということで、有識者の方においでいただいておりまして、これまでに引き続きまして、日本ユネスコ協会連盟の野口理事長に御出席いただいておりますほかに、企業と連携したユネスコ活動の視点から御意見を頂きたいということで、新日本有限責任監査法人の大久保CSR推進部長と、それから、株式会社電通の中村社会貢献・環境推進部長においでいただいております。
 大久保部長は、先ほど申しました法人の公認会計士としてCSR推進部長、それから、農林水産ビジネス推進支援センター長、再生可能エネルギー支援室副室長等をお務めになっておられます。経済同友会の社会的責任経営委員会副委員長をはじめといたしまして、中央省庁であるとか、あるいは地方自治体、あるいは大学の委員会の委員あるいはアドバイザーなどを多数お務めになっておられます。大久保部長から一言お願いします。

【大久保部長】 
 新日本監査法人の大久保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございます。
 続きまして、中村部長でありますが、株式会社電通で、国際局、それから、海外営業開発局を経て、1997年から国体、地方博覧会あるいはワールドカップ、省庁官庁系のプロジェクトの企画、実務に携わっておられまして、2008年からは現職の社会貢献・環境推進部長を務められているほか、日本ユネスコ協会連盟の理事としても、ユネスコ活動に御貢献いただいております。どうぞ、中村さん、一言お願いします。

【中村部長】 
 電通の社会貢献担当をしております中村と申します。今日はありがとうございます。よろしくお願いいたします。

【金澤運営小委員長代理】
 どうぞよろしくお願いいたします。今日は、先ほどの大久保さんと中村さんには、この後、企業のユネスコ活動への参加を促進するためにいろいろな御意見を伺いたい。そのための事例とか方策などについて御発表をお願いしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 また、先ほど申しました第131回の総会ですね、平成24年9月13日ですが、公開性が討議されまして、小委員会にもそれが準用されるということになっておりますので、この小委員会におきましても、原則インターネット等で開催案内を行い、一般、あるいは報道の方の傍聴者の登録を行ったところでございます。
 それでは、配付資料の説明をお願いいたしましょうか。どうぞ。

(事務局から配付資料について説明)

【金澤運営小委員長代理】 
 第1議題に入ります。前回の議事録であります。-1が議事録であります。もう見ていただいているとは思いますが、それでも、なお何かございましたら、どうぞ、会が終わる頃までにお話を頂きたいと思います。
 それでは、議題2に移ります。「我が国におけるユネスコ活動の諸課題について」ということであります。この議題に関しては、今後、1年をめどに国内委員会として骨太の方針をまとめるために、去年の12月頃から運営小委員会では集中的に議論を進めてまいりました。2月の総会で検討の状況を御報告いたしまして、3月の運営小委員会で、若者の参画などについて議論をいたしました。

 そこで、議論に入る前に、関係資料について事務局から御説明をしたいと思います。どうぞ。

【本村補佐】 
 それでは、御説明させていただきます。お手元の資料、-3と-4の資料を御覧いただきたいと思います。
 まず-3の資料でございますけれども、今、金澤委員長代理からお話がありましたとおり、昨年の12月から、運営小委員会におきまして、合計3回にわたり、我が国におけるユネスコ活動の活性化について御議論いただいたところであります。これまでの議論の内容を整理してまとめたものがこの-3の資料でございまして、検討事項といたしまして、1番、若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進、2番といたしまして、学校教育・社会教育等を通じたESDの一層の推進ということで、大きく二つの論点が出てまいりました。
 これまでの運営小委員会で各委員の先生方から出された御意見を-4の資料でまとめてございます。その中で、本日御議論いただきたいところでございますけれども、-3の1番にございます、若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進のところでございまして、その1)民間のユネスコ活動の活性化を活動内容、構成員等の面でどう図っていくのか? 3)ユネスコ活動に企業の活力(CSR活動等)をどう取り込んでいくか? につきまして、本日の運営小委員会と普及活動小委員会の合同小委員会で御議論いただきたいと考えております。
 2番につきましては、別途、教育小委員会で議論が行われているところでございます。

 -4の資料を御覧いただきますと、この1)について、これまで御意見が出てきておりますが、例えば全国各地にユネスコ協会があり、多くの参加会員が活動している。国内委員会として、これらユネスコ協会との有機的な連携を進めるべきでありますとか、各地のユネスコ協会の課題の一つは高齢化である、日本ユネスコ協会連盟では、二つのワーキンググループを立ち上げて検討しており、それぞれで会員の増加と若者の増加を検討している、特に、ユネスコ協会とユネスコスクールの連携強化を図り、将来的にユネスコ活動へ参加してもらうことを期待しているというような意見が出てございます。
 また、この後、大久保部長、中村部長に御発表いただきますけれども、本日のテーマである「ユネスコ活動に企業の活力をどう取り込んでいくか?」のところでございますけれども、これまで例えばCSR活動を通じて、自社のイメージ向上、社員のCSR活動への参加を通じたモラル向上等を企業としては期待していると。企業側のこのような考え方を踏まえて、企業にアプローチすることが肝要である。具体的には、各企業のCSR活動レポートを見るなどして、各社のCSR活動の方針を踏まえた上で、具体的なプログラムを提示することが重要ではないか。また、大きく利益を上げている企業や社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)との共同の資金提供も含めた連携を考えてはどうか。国による少額の支援がトリガーとなり、企業の関心を喚起することもある。また、ユネスコ活動を企業のCSR活動により取り組むことは大変効果がある。企業は余りお金をかけないで取り組むことのできるCSR活動には積極的に参加するのではないかなどの御意見が寄せられてございます。

 また、これは参考でございますけれども、-5でお配りしましたのは、前回の3月に開催されました運営小委員会におきまして、若者のユネスコ活動への関与ということで御議論を頂きました。その際に国際基督教大学ユネスコクラブの部長であります立原さんから発表いただいたんですけれども、会議の後で、追加的に提案ということでペーパーを頂いておりますので、参考で配付させていただいております。以上でございます。

【金澤運営小委員長代理】 
 ありがとうございました。ここで御質問いただいても何ですから、むしろお話を伺ってからまとめて御意見を頂戴したいと思いますので、今の説明を受けて、まずは大久保部長のお話を伺おうと思うんですが、今、話がございましたように、-3の資料の1の3)ですね。つまり、ユネスコ活動に企業の活力をどう取り込んでいくか?という話の具体的なこととして、先ほど御紹介いたしました新日本有限責任監査法人の大久保CSR推進部長に御発表をお願いしたいと思います。お手元の資料の-6を御覧いただきたいと思うんですが、この資料は非公開の資料なのだそうです。ただ、国内委員会のホームページには公開できる部分に限定して掲載をするのだそうでありますが、今日は全部お話しいただきますけれども、お手元にお配りしたものはお持ち帰りいただいて結構ですということをおっしゃっていただいておりますので、御注意いただきたいとは思います。お時間、質疑応答含めて大体25分ぐらいを予定しておりますが、その後、議論をしていただきたいと思います。
 では、大久保さん、どうぞお願いします。

【大久保部長】 
 今、御紹介いただきました新日本有限責任監査法人の大久保です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の自己紹介は、お手元のパワーポイントに書かせていただいています。特に力をいれているのは高等教育の在り方の検討です。そのほか教育問題では、最近では、長野県の教育改革なども担当させていただきました。元々の専門分野はCSRとなり、2年前には経済同友会の社会的責任経営副委員長も拝命し産業界としてのCSRの考え方についてもまとめさせていただきました。また、最近では、地域の活性化支援について全国20を超える地域で行っています。
 今日は、短い時間でCSRを語らなければならず、大変難しい状況ですが、あえて少し刺激的な指摘をしながら問題提起をさせていただくことで、有意義なディスカッションとなることを目的としたいと思います。
 今日お話をさせていただくポイントは2点です。まず、企業からお金をもらいたい、あるいは参画してもらいたいということになれば、当然企業は何を考えているかということを正確に把握していただく必要があると思います。そのため、最初に、企業がCSRとどう向き合ってきたのか、ということを御説明します。
 もう1点は、いろいろな人を参画させたいとなったときに何が必要なのかについてです。私自身、全国20市町村を超える地域活性化支援をやっていく中で感じたことを通して、ユネスコを盛り上げていくためにはどうしたらいいのかということを考えるきっかけとしたいと思います。

 まずは、企業のニーズにフォーカスして話をしたいと思います。CSRを通して、色々な企業とお付き合いをさせていただいてきました。実は、電通さんとも、グループ経営会社の社長連絡会の講師もさせていただいたりもしました。ただ、その中で感じたことを、はっきり申し上げまして、日本の企業のCSR活動が企業の価値に結び付いたケースはほとんど見たことがありません。単なる社会貢献の域を出ていないと思います。なおかつ、社内の浸透度は非常に低いです。他社をコンサルするのはできても、自分の会社で浸透させることは至難の業です。社員にとってみると、担当者がいくら頑張っていても、「社会貢献部」は、“何か好きでやっているんじゃないか”、“自分のやりたいことをやっているだけではないか”という見方をされがちです。6,000人も社員を抱えると、浸透は必ずしもうまくいかない。どうやったら社員を味方につけて、自分事化させていくことができるのかが重要な課題となっています。CSR活動を通して、いかに社員を扇動してくれるような仕組み作りができるかに、多くの企業は悩んでいます。そのことは最後にお話をさせていただきます。
 まず大事なことは、そもそも“CSRとは一体何なのか”ということです。CSRを一言で申し上げれば、「社会問題をビジネス化すること」です。このことの背景に幾つかポイントがあります。大事なことは、そもそも社会問題が何なのかということを共有できているかです。私は謙虚な人間ではあるのですが、時々、刺激的なことが雑誌の記事を通して出ます。「日本のCSRを叱る」などという見出しの記事もありました。実際に言っていることはそのとおりなのですが。どういうことかというと、例えば政府の補正予算が付いたときに、補正予算の項目もろくに知らないで、「我が社は社会のためにやっています」と、おっしゃる企業の担当者もいます。補正予算というのは、その時々の社会の様々な問題が全て凝縮されているものです。私が言いたいのは、補正予算の項目を取り上げてくださいということではなく、そもそも社会の問題が何かを共有した上で、自分たちの取組の立ち位置を説明していくことです。色々な企業で講演の機会を頂くたびに申し上げていることは、企業自身が、適切な形で社会の問題を認識し、それを共有していく場作りの大切さです。
 次に、ビジネス化という意味ですが、ここで大事なことは、企業は様々なノウハウを持っています。そのノウハウをいかに社会に還元していくのかを考えることが欧米のやってきたCSRとなります。単にお金を出せばいいということではありません。お金は政府や日本赤十字社でも出せます。しかし、いわゆるハードでは対応できないノウハウというのは、民間に蓄積されています。そのノウハウをいかに社会に還元し、政府が担っているハードを生かすのかという形で、民間が担ってきたソフトを組み合わせることで、解決困難な社会の課題を解決していくのかというのがCSRに期待されている役割であり、先進国におけるCSRの在り方となっています。
 ただ、実はここで一つ難しい問題があります。それは、社会の問題は常に変化するということです。ここの辺りを少し詳しくお話しさせていただきたいと思います。次のページを御覧ください。この資料にあえて5ページ目に入れたのは、ISOにおけるCSRの難解な定義よりも、経済同友会元代表幹事であった木川田さんが当時指摘した言葉こそがCSRの定義の本質を象徴しています。「企業に原点を置いて社会を見るという態度から、社会に原点を置いて企業の在り方を変えるという発想の180度の転換」。このことは企業に関わってらっしゃる方はお分かりだと思います。実は簡単なようで、最も難しい。いまだにできていない企業が多いからこそ、CSRが叫ばれているのだと思います。
 次のページです。CSRを一言で語ろうとしても簡単には説明できないと思います。その最大の理由は、「社会の価値観」に対する理解が必要だからです。企業活動をしている背景にある社会の価値観が一体どうなっているのか。そして、その社会の価値観の変化と企業が、どういう形で企業側のニーズと突き合わせていったらいいのかを考えることです。例えば高度経済成長期では、企業に対する社会のニーズそのものが、ボランティアとか社会貢献さえしてくれればいいということで済んできたと思います。なぜならば、多くの社会問題は政府が全て解決を図ることができたからです。                                                                                                                                                     
 その意味では、企業に対する社会からの期待も低く、企業は絵本を作る程度での社会貢献でも良かったのです。社会からの期待もそれ以上のものではなかったと思います。ところが様々な環境変化が起きて、社会全体の環境が厳しくなってきました。最近は政府自体の機能が縮小され、機能を果たせない状況になってきています。それゆえに、様々な形で、企業が社会の課題に関わってほしいという要請が高まり、CSRが進化してきたのがこの10年間です。
 欧州委員会の動きなども象徴しています。欧州統合によって、政府の機能が硬直化、弱体化していった中、社会の課題の多くに対して、市民団体がもはやもう政府に頼んでも何も解決しないと認識するようになった。そうであるならば、大きな企業に対して、あなたたち、ちょっとちゃんとやってよねということで始まった。欧州委員会が最初に取り上げたのは労働総務局で労働問題を取り上げてきました。今回のバングラデシュにおける建物の崩壊問題もそうです。バングラデシュ政府では、対応ができません。そうなるとNGOたちは、政府に要求するのではなく、関係した企業のブランドを徹底的にたたくことによって、企業の自律を促していく。こういう形で社会と企業の関わりが変わってきたのです。

 ところがここに来て、さらに、世界的な経済情勢が厳しくなってきました。企業も、「世の中のために」という高まいなことを言っている余裕もなくなってきました。そこで、最近の議論では、社会問題を解決しながら企業自身も一緒に成長していこうと。これが、ソーシャルイノベーションと言われているものです。社会には様々な問題があります。簡単に解決ができるのであれば、別に誰も悩まないはずです。それこそ政府が予算をつけさえすれば解決できました。しかし、最近は、予算があっても簡単に解決できない問題がたくさん出てきました。むしろ行政、社会、企業のノウハウが三位一体となって、初めて問題解決していこうという流れになってきた。社会的イノベーションが起き始めているのです。社会問題を解決することによって、問題が深刻であればあるほど解決した時には企業の価値も上がる。あるいはこれまでも想像もしなかったような、画期的な手法によって解決策ができることが、自分たちのビジネスにも付加価値としてはね返ってくる。発展途上国で1日2ドルしかないようなところで物を売っても、もうかるわけがありません。ところが、売り方をちょっと変えるだけで爆発的に売れていく。例えば、携帯電話を1台1,000円で売っても、それ自体ではもうかるはずがありません。ところが、携帯電話には射幸心があるということが分かった。私もアップルのiPodを当初、興味本位で買った。しかし、今やもうアップルファンになって、最新の機種が出たら、お金さえあれば、すぐに最新機種を買います。最初はみんな安いものを買います。ところが、携帯電話を手にして情報格差をなくし、所得が増えてくると、ついつい、最新の機種が欲しくなるのが人の常です。これを射幸心と表現しました。ここに目を付けたのが欧米の携帯電話会社です。1,000円の携帯電話を販売する際に最新のカタログをセットすることで、新しい機種への欲求を高めさせるのです。
 途上国の貧富の差の要因の一つが情報格差だと言われています。携帯電話を手にすることによって、都市部との情報格差が減ってくると正しい販売価格での販売を通して、所得が上がっていきます。さあ、お金を手にしたとき、どうするのでしょうか。残念ながら、日本のメーカーは買いません。欧米企業の機械を買ってしまいます。そうすることで、ある一国の市場を全体で見てみると、低価格機種の販売では赤字でも、市場全体ではトータルで収益がもうかるということです。よくよく考えたら日本人もそうではないかということです。最初は、高校生などに低価格戦略をしておきながら、最終的には高級機種を売っていく。こういう着眼点に基づく販売のイノベーションこそが、リバースイノベーションです。こういう新しい取組を模索することによって、企業自身のブランド価値も高めるのです。
 もう一個例を挙げると、先だってインドに行ってきました。インドの農村部に洗濯機があったんです。いろいろ話をしていたら、「いろいろな複雑な新しい機能は要らない」と。「私たちが欲しい機能は停電に対応できる機能だけなんです」と。停電が起きたときにも、自動的に戻る機能があると楽との指摘でした。インドからの帰国から1週間後に、東日本震災が起きました。我が国でも、停電という問題にぶち当たっていました。当時、日本のメーカーでそのような機能があるメーカーはなかったと聞いています。噂ベースですが、韓国メーカーから1社出したのではないかと言われています。
 このことは、日本の医療機器がアジアで売れない際の障害となっている理由と共通しています。アジアは電気の供給が安定しておらず、それを前提に作ることが求められているのです。きっかけこそは、アジアにおける社会貢献であったとしても、結果として、日本国内のビジネスにもつながっていく。こういうソーシャルイノベーションが、企業におけるCSRの位置付けに変化してきています。
 私がこのページで申し上げたかったのは、CSRを理解するためには歴史をひも解くことです。何が正しいかではありません。常に、いかなる社会のニーズがあり、それに対して企業はどう応えていくのかです。高度経済成長期においては、環境、公害の問題を解決することが求められました。その後、企業不祥事が増えてくると、コンプライアンスを強化するなど、時代ごとに社会からの期待が異なります。そして、今、企業に対するニーズは、社会革新、ソーシャルイノベーションこそビジネスチャンスにすることで、イノベーションを通して社会問題を解決するとともに、みんながWIN-WINになることで持続させることです。

 このページこそが全ての総括の意味となります。大事なポイントは左側です。ユネスコの会員を増やしていくためには、まず社会の価値観や期待を理解していくことです。そして、企業は大規模化してきており、その中でいくら「三方良し」の理念を語っても、もはやそれは100人程度の会社の時代の頃の話であって、何万人も抱える会社の中で、「三方良し」が大事と言われても、理解できる従業員と理解できない従業員との差が大きく出てくる。また、企業を取り巻く環境も大きく変化しており、同時に、国の財政も悪化しており、社会の問題自体が深刻化してきていることも事実です。
 そして、昨今では、特に、ソーシャルコミュニティの台頭と社会プレゼンスが上がってきたことです。ソーシャルをどう巻き込んでいくのか。特に3・11の震災以降、日本の社会の価値観も転換点を迎え、大きな社会変革が起きています。この中で、企業側は何のためにCSRをやるのかが問われ、右側の図になってきます。
 なお、今日の主題には合いませんが、CSRは、ある種の新しい規制へ企業がどう対応するかということを背景に生まれており、決して企業の自発的な行為から生まれたものではありません。NGOなどの社会からの新しい形での規制ゆえに、企業もやらざるを得ないから取り組み始めてきた。どうしても日本には、結果の部分だけがやってくるから誤解も多くなります。事実、欧米の企業は、過去に色々な問題を引き起こしてきました。特に植民地国家の企業は。そういう問題を抱える中で、NGOが問題を蜂起し、企業に対するプレッシャーをかけ始めました。ちなみに、世界最先端でブランドが高く、歴史が深い企業ほど、ユーチューブでも見れますが、ブランド以上の批判の方が多いのも事実です。それらの伝統的な企業がいかに問題を起こしてきたのかということについて、ユーチューブにも沢山出てきています。そういう中で、企業も取り組まざるを得ない状況になってきた。もちろん、ルール化という動きも出てきます。今回のバングラデシュによる建物倒壊により、企業に対する規制もできると思います。しかし、その一方で、もう一つ大事なことは、規制へ対応するだけでなく、NGOからのプレッシャーに対しても応えていかなければならないことです。ルールではありませんが、社会の期待に応えなければならない。これも企業の責務ですが、今日の主題ではありませんので割愛します。
 なお、欧米の企業は、発想を逆転させ、せっかく規制されるならば、むしろうまく使おうとなり、規制をビジネスチャンスへ変えていこうという動きがあることも事実です。すなわち、CSR活動を通して企業価値の向上につなげようということです。ユネスコ招致では、この点をうまく活用することです。

 この中で、三つのポイントがあります。
 一つ目は、社内の活性化手段として人材育成と位置付けることです。たとえば、弊社の理念は「三方良し」ですと言うものの現実は、部長に「売上、何%伸ばしたのか? あのお客に売ったのか」と、こんなことばかり毎日言われます。しかし、年に数日ぐらい業務の時間の中で社会貢献を経験すると、経営理念を実感し、「いい会社に勤めたな」という気持ちになる。社会貢献活動を通じて自分たちの会社の良さを改めて知る機会にするというものです。また、同時に、人材育成の機会と捉えることです。社内だけの内向き志向となり、常に同じような職場の人と、互いの上司の悪口を言って慰め合っている組織風土ではなく、何が社会で起きているのか、積極的に外と触れ合うことで視点を変えることです。日頃は目先のことしか見えていないことを改め、ちょっと先や周りを見ることで発想を変える機会とするのです。そして、自分たちのビジネスとの関わりを考えるきっかけとします。すなわち、ある種のリーダー育成に近くなると思います。言い換えれば、社会貢献活動に参加させることで、経営幹部を育てていく一つのプロセスにもなるということです。
 二つ目に、CSVというキーワードが出てきています。自社のソリューションを活用して、新しい価値を社会に提供していくことで、企業価値を高めようとするものです。左下がポイントとなります。簡単には解決できない社会の問題がたくさん出てきました。同時に、社会の価値観自体が複雑化、多様化してきました。こういう時代には、上意下達方式で、「あれやっとけ」「これやっとけ」「ここへ寄附するのだ」と言っても、若い人たちは全く無関心です。むしろ、多様な価値を吸収するための方策をどうしていくのかを考えることです。この辺りは、後半の方で申し上げます。
 それから、3つ目は、取り組んだ結果ではなく、取り組むプロセス自体を商品化していくということであります。言い換えれば悩みを解決するプロセスに関係者を巻き込んでいくことです。

 次のページになります。ここは企業の論理を少し御説明申し上げた方がいいと思います。縦軸は企業価値です。横軸は時系列です。基本的な企業の価値を支えてきているのは長年のビジネスの信頼から成り立ってきています。その信頼を更によく見せるために広告宣伝を打ちます。おしゃれなイメージを出すとか、清潔なイメージを出すということです。ところが、これでもなかなか価値が上がらなくなってきます。そうすると、次の手段で出てくるのは、草むしりなどの里山への活動やボランティアなどの社会貢献活動を通して企業価値を上げようとします。しかし、それでも企業価値が上がらなくなります。それだけでは差別化できなくなるのです。そこで、CSR活動が始まります。ところが、製品の差別化が図りにくくなり、市場が飽和状態になると、もうこれ以上何をやっても企業価値は上がらなくなります。ここで誕生してきたのが、マイケル・ポーターが言っているCSVという考え方であります。Creating Shared Valueということで、今一番、企業が関心を持っていることです。
 ところが、CSVは、これまでの考え方から発想を180度変えなければなりません。これまではどちらかというと、例えば、大手ビールメーカーを例にとると、アサヒビールやキリンビール、サントリー。どれも、大きな差がないのも事実です。もちろん、各社ともに、世の中への貢献の仕方が、それぞれ違いますが、僅かな違いでしかありません。開発担当者は自分が一番と思っていても消費者側はその差には気が付きにくいのも事実です。このことは、農産物でもそうです。「うちのリンゴはおいしい」と皆言うのですが、実際には、山梨も長野も青森も、どこのりんごも皆おいしいです。それだけでは、差別化にならないということです。作り手の思いが強すぎても、消費者には届かないということです。そこでマーケティング的な視点を取り入れることで社会のニーズを少しでも捉えていこうという動きが出てきます。結果として、多少は販売数を伸ばすことになります。しかし、それでも、商品の機能での差別化が図りにくい昨今では、差別化には限界があります。
 ここでCSVという概念が出てきて変わったことは、企業が、社会に対して新しい社会の価値を提示することです。その新しい社会の価値を実現するときに、自分たちの企業が持っているソリューションをいかに生かすのかを示すことで、その企業の将来に夢を与えていくことで、企業の価値を高めることです。これは、企業のCSRレポートを御覧になっていただくと分かります。正直、日本の企業のCSRレポートは、余り面白くないものが多いです。なぜならば、自社の活動の成果という自慢話しか書いていないからです。膨大な報告書ですが、多くが自分がやってきたことしか書いておらず、未来を感じ取ることができません。ところが、外資系の先端的な取組をしている企業、IBMやGEなど、は表現が上手です。まず、最初に書いてあるのは、「こんな社会にしたい」ということです。その社会を作るために、その企業として何ができるか示しています。僅か20ページ程度でも、しっかり示しています。ついつい読みたくなってしまいます。
 具体的にユネスコに当てはめてみると、日本ユネスコ国内委員会が、企業にアプローチしていくときに大事なことは、ユネスコ憲章であるコンセプトをベースにして共感を巻き込んでいくことだと思います。そして、企業とともに、新しい教育のスタイル、新しい社会の形を作っていきましょうよということで、CSVに落とし込みやすい方法で巻き込みます。その上で、各企業に対して、あなただったらこういう役割ができますということを示すことです。そして、それらを実現する手段としてユネスコという受け皿があるというアプローチをとることで、結果として普及活動につなげていくことになります。こういうような企業視点での話で持っていきませんと、単に、何か寄附してください、活動をやってくださいとコンテンツで売っても、なかなか人というのは来ないと思います。
 ここまでが企業の話です。従来型の寄附と分けるべきだと私が言ったのは、寄附というのはもうかっているときは出しますけど、もうからなくなったらカットされます。一時的に対応をしてくれても、すぐになくなります。むしろ、CSR活動に組み込むというのは継続的な活動にすることであり、そこをどうやっていくのかということを考えることが課題となります。

 後半の方に行きます。13ページです。ユネスコのやっている取組はすばらしいと思います。私自身も教育問題への取組、海外の諸問題への取組をしていますが、ユネスコの活動には共鳴します。しかし、社会への貢献はユネスコだけでなく、皆がいろいろなことをしています。例えば、被災地の震災復興でもそうですが、「とにかく刺身がおいしい」「すごく海がきれいだ」と言われても、お刺身は日本全国どこでおいしいです。景色も、日本はどこでもみなきれいです。それが、何でわざわざ5時間もかけて行かなきゃいけないのかにつながらないということです。要は、なぜ、そこなのか、何をしたいのか、がよく分からない限り、そことの関係値を作れません。ちまた、競合がたくさんある中で、4時間もかけて行くインセンティブをどこに作るのかということです。
 農林水産業の六次化も同じです。皆で、六次化といってジュースとジャムを作っていても、差別化できず、思うように売れません。結局、最後は価格競争になるだけです。もちろん、どれもおいしいのですが、結果として、消費者を巻き込むことはできないのです。そこで大事なことは、人々が何に関心を持つかということを捉えているのかです。今、観光産業がうまくいっていない自治体も多くあります。その理由は、過去を見せようと一生懸命だから人々の興味を引かないのだと思います。こんな遺跡があります、こんなおいしいものがあります。という程度であれば、人々は飽きており、あえて、そこを訪れようというインセンティブにはなりにくいんだと思います。

 私は、観光の基本はお伊勢参りにあると思っています。伊勢神宮はなぜ多くの人が、あの遠いところまで行くのかです。あるいは出雲大社もそうです。ヤマタノオロチだけでは、『古事記』好きでもない限り、1回行ったら終わりです。ところが、出雲大社にも何十万人と行きます。それはなぜなのか。出雲大社は縁結びという未来を感じるから人々が繰り返し行きます。あるいは伊勢神宮もそうです。共通していることは、そこには、何らかの未来を感じさせるものがあるからこそ多くの人々が魅力を感じ、繰り返し訪れるのだと思います。プロポーズでも同じです。プロポーズをするときに、俺、こんなに学歴があって、金持ちなんだけど、どう? という男性と、とにかく、おまえを幸せにするよと、どちらの方にひかれるかです。現実に結婚するときは別かもしれませんけど。
 今の日本の企業のCSRレポートを見ていただくとわかります。CSR報告書が膨大な量で、ものすごい取組をしていても、「うわっ、すげえ」と思うものの、それで終わりです。過去の情報しか出ていないからです。一方で、海外の先端的な企業のレポートは、僅か十数ページで、何か読みたくなるようなわくわく感を引き出します。違いの根底には、過去情報を披露するのか、未来を見せていくのかの違いがあります。
 すなわち、いろんな人たちを巻き込んでいくためにも、過去を見せることじゃなくて未来を見せていくアプローチをとっていくことが必要です。それから、コンテンツで呼び寄せても駄目だということです。一過性のイベントというのは必ず陳腐化します。高機能化した瞬間で、高機能競争になってくるとホテルの過当競争みたいになります。最新鋭の部屋で、最新鋭の機材を入れていこうということをやり始めていく。景気が上がっているうちは顧客を確保できますが、景気が下がった途端に疲弊して消耗戦になって、最後は枯渇していくだけです。

 今の時代は、プラットフォームをどう作って、関係者を巻き込んでいくのかです。次の14ページを見ていただきます。これからは、観光地ではなく、関係値作りだと思います。そして、関係者を巻き込むなかで、いかに、他人事を自分事化させていく魅力的なプラットフォームができるかです。例えば課長に、「ユネスコっていいのがあるよ」と言われても、「ああ、そうですか」、「日赤もいいことやっていますよね」、「ユニセフもいいことやっていますね」となります。そこで、なぜユネスコなんだということが出てきません。ここで大事なことはコンテンツでなく地域に根付くコンセプトを好きになってもらうことで、継続的なファンを作っていかなければなりません。
 地域の悩み自体を商品化するのと同様に、ユネスコの会員が集まらないという悩みそのもので関係者をひき付けていくことです。これからの成功の鍵はここです。例えば、北丹後鉄道という日本一の赤字鉄道会社があります。むしろこの問題解決の在り方自体を商品化するのです。赤字をどうやって解消しようかという悩み自体を商品化します。新しい形での団体旅行とします。このケースでは、東京から30人、大阪から30人、鉄道マニアを呼んできます。そして、彼らと、この問題をどうやったら解決できるかということを議論します。この鉄道マニアたちは、元々鉄道好きですから、関わりを持つことで、年に2回から3回は来るようになります。そして、彼らは毎回5人ずつぐらい仲間を連れて来るようになるかもしれません。それをフェイスブックで情報発信して売れれば、一挙に拡散効果をもたらします。こういうことで、悩み自体を商品化することによってファンを付けていくという関係値作りこそが、活性化の鍵を握っていると思います。
 また、これから何よりも大事なのはやっぱりコンテンツオリエンテッドからコンセプトオリエンテッドだということです。日本一のコンテンツの地域にするという町がありましたが、コンテンツは必ず陳腐化します。日本の観光作業の5大失敗政策というのをここに書いてあります。農業体験、漁業体験、風呂たき、山菜採り、そば打ち。申し訳ないですけど、こんなもののために4万円も払って4時間もかけて、わざわざ行きません。例えばブータンという国があります。どんなホテルがあるかなんて御存じの方の方が少ないと思います。でも、何か行きたくなりますよね。あそこには幸せがあるから行ってみたいと、こういう気持ちになるわけです。あるいはデンマークのサムソ島も、佐渡島のようにど田舎にありますけど、年間数十万人の観光客が行くと言われています。なぜ行くのか。再生可能エネルギーで町全体が自立したという夢があるからみんな行きたくなってくる。あるいはスローフードという言葉があります。パスタやソースを売るんじゃなくて、スローフードという概念にひき付けられて、気が付いてみると、イタリアのものを食べていた。正に人々がひかれてくるのはコンテンツではなく、コンセプトにひかれていくわけであります。
 気仙沼の例を挙げると、「海と生きる」とだけ言われてもあんまりぴんとこないんですね。それは幾つかの理由があります。東北地区の沿岸部は皆、被災で苦労されていらっしゃいます。でも、被災で苦労しているのは、東北地区沿岸部が皆そうなっているわけであって、何で気仙沼でなければならないのかが分からない。ところが、実際に話を聞いてものすごくひかれてきました。120年の間に2度の大津波を受けているにもかかわらず、震災前よりももっと前に海寄りにレストランを作った人が出てくる。俺たちは海と闘っていくんだと、という生き様を聞いてくると、どんな町なのかを見に行きたくなります。魚介類を食べたいということよりは、むしろその生き様、格好良さにひかれて行きたくなる。島根県海士町の海女さん文化も同じ。文化伝統が継承できるかが問題になっていると聞き、よそ者が30人ぐらい行ったんです。実は文化の継承で心配しているのは役所だけで、現場はそうではなかったんです。それはともかくとして、実は海女さんの生き方がものすごい格好いいということが分かった。生き様そのものを見ようと若い人たちが1回ではなく、2回も3回も行くようになってしまった。
 これから大事なのはコンテンツではない。コンセプトを共有化していく。そうすることによって、相手をいかにひき付けていくのかということが大事なんだと。

 そのときに大事なのは正にこのプラットフォーム型のアプローチ。例えば、ユネスコが社会にうまく浸透しない。それを自体を商品化した枠組みを作ることです。では、どうやったらユネスコが浸透していくのかということを、いろんな「ヨソモノ」たちを連れてきて議論をしていくことです。少なくとも、議論に参加したメンバーは、ユネスコのファンになることは間違いないです。なぜならば、自分事化できるからです。そして、問題解決という未来を感じるからこそ、みんなで来てくれるわけです。気が付いてみると、彼らはソーシャルリテラシーが高いと思いますから、フェイスブックなどを通して、瞬く間に広めていくことになると思います。結果として、問題解決を通して、ユネスコとの関係構築のプロセスそのものを透明化することにもなります。
 実例としては、三陸ダイバーズというのがあります。元々ダイバーと漁業関係者は仲が悪い。ところが、東日本震災において、がれき撤去をダイバーが手伝ったということがフェイスブックに載った瞬間に、世界中の話題となり、世界中のダイバーたちが手伝いに来たという話があります。今、求められてくるのはコンテンツではなく、コンセプトだということです。
 16ページ。私の友人が丸の内朝大学を作りました。朝の時間に、地域活性化を学ぼうよということで作った。今では、募集がすぐに埋まってしまいます。通勤時間を1時間早めるだけで、気持ち良く出勤でき、頭もクリアですっきりとなることから、朝の時間を活用しようというコンセプトで立ち上げたものです。ハードとして三菱地所が会議室を提供してくださりました。そのコンセプトを生かすためにどうするのか。結果として生まれてきたコンテンツが朝大学です。ところが、すぐこういうことを言うと、夜もやろうと言う人が出てきます。しかし、コンセプト自体が崩壊しますから、結果として朝の集客も減ることになりかねません。コンセプトとハードを前提にコンテンツを考えることが大事です。
 右側の図もそうです。地方の名もない遊園地に最新の絶叫マシーンを持ってきても、お客が来るには限界があります。ところが、ディズニーランドでは、単にクルクル回るだけのマシンに、大人が1時間以上並びます。何が違うのかです。これは一言で申し上げれば、コンセプトがあるかどうかだけの違いです。機能ではなく、コンセプトの違いが人々を魅了するのです。
 このことは、例えばある古民家の旅館を再生するときの話もあります。そこでは、何ができるのかと聞いたら、風呂たき、そば打ち、まき割り、と。申し訳ないですが、そんなことのために、わざわざそんな遠くまで行きません。しかし、実際行ってみると、旧庄屋家の趣が残っていたんです。そこで、庄屋というコンセプトを基に、古民家というハードを前提にコンテンツを考えました。議論の結果、料金体系そのものを、通常のように、土日祝日、大人・子共料金ではなく、庄屋料金にしようということになりました。例えば、3万円払えば、至れり尽くせりのサービスを受けられる庄屋料金とします。でも、同じ施設が3,000円でも泊まれるのですが、小作人料金として全部自分でやらないといけない。その結果、家族4人で行くと、母ちゃんだけが庄屋料金で、父ちゃん、子共は小作人料金で泊まるようになりました。もちろん、母ちゃんの横暴をけん制するためにも、1回だけ一揆(いっき)をしていいというルールを作ることで小作人も楽しめる。大きな話題となり、ファンを作った。後日談もありますが、夕方の風呂たきは、どこも父ちゃんがやっているんです。ここに新たなコミュニティが生まれて、リピーターが増えてきたということです。
 これは何かというと、コンセプトに感銘して、自分事化ができていくスキームを作っていることです。ですから、ユネスコの場合にも、広めるためにはコンテンツではなく、コンセプトをきちっと踏まえながら、与えられた環境=ハードを前提に、どういうアイデアがあるのかを考えるプラットフォームを作ることで、考えていくプロセスの中で若い人たちを巻き込んでいくことです。結果として、そこからの拡散効果によって、活動がどんどん広がっていきます。企業内部で広める場合も同じことです。

 次のページは、寄附の見える化に向けた各社の取組が始まっているという点です。どこに寄附をするかということを見える化させることによって自発的な活動を促すことです。
 このジャストギビングを使えば、寄附が見える化します。たとえば、支援団体は会社が共生しません。会社が推奨する12個の団体のうち、どこに寄附するかは、従業員に選んでもらうことで、従業員自身が自分事化するきっかけとします。例えば、ユネスコに寄附したいと手を挙げます。その代わりに、20キロ減量しますなど、個人の努力目標を作り、それにより人々をひき付け、結果として寄付につなげていこうとするものです。すなわち、色々な人に会うたびに、「実は私1キロ痩せたんですと。」言って周りを巻き込みます。頑張りましたねと共感をさせます。じゃあ、ちょっと寄付をしましょうという時に、金銭ではなく、、サイトにアクセスすることで、クレジットカードを利用して1,000円単位で寄附することができるようになると寄附のアクセサビリティも容易になります。そうやってお客を巻き込んでいきます。巻き込んでいくプロセスを可視化してランキングを出していくことで更に促します。CSRの社内の浸透の鍵は可視化です。
 もし、企業に寄附をお願いするのであれば、こういった可視化までセットで提案しないと、なかなか企業は応じてくれないと思います。ちなみに、海外の企業における社会貢献は企業がお金を出すのではなく、従業員が共感したものに対して従業員の給料からお金を出すのが普通の考え方です。イギリスでは、このJustGivingだけでも1年間のフローベースで300億円の寄附金を集めています。こういったものを日本でも少し作っていければと思います。
 長くなりましたけれども、以上でございます。

 大変恐縮でございますけれども、「持続的可能な成長への企業の挑戦」という冊子の間に私の執筆記事も挟み込ませていただいております。この執筆記事の中の資料の2-5に「ヨソモノ」、「ワカモノ」、「バカモノ」の視点を書かせていただいています。特に、御覧いただきたいのは、2-9の「プロジェクト型のダイアログを目指して」という記事です。要は、これからの時代、結果を示していくのではなく、プロダクトアウトでもなく、マーケットインでもなく、社会と一緒にプロジェクトを起こしていく仕掛け、仕組み作りが大事だということです。
 評論家みたいに、何か断片的にしか話をしないのではなく、むしろ一緒になってやっぱりきちっと議論していく場を作っていくことです。上部の委員会はそれを追認していただくことです。成功の鍵は、実際に現場でいかにハンズオンできるかどうかにかかっています。
 今日御提案申し上げたいのは、ユネスコを普及させていくための具体的なプロジェクトをもう少し現場レベルに落としていただいて、具体的に今のようなことを検討するようなプラットフォームを作っていく。それで、いろんな若い人たちを巻き込んでいくことによって、結果として活性化していくというのが一番具体的な方策かなと思っておりました。
 以上で御説明を終了させていただきたいと思います。
 本当に言い訳でございますけど、ふだん、もっとおしとやかな人間でございますけれども、今日は短い時間ということで、少し刺激的にお話しさせていただいた点だけお許しいただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございました。目からうろこというか、本気を出したらどういうことになるんだろうと思うぐらいでありますが、ありがとうございました。
 ただ、大分時間が過ぎておりますが、せめて一人、二人ぐらいお話、御意見、御質問いただきましょうか、もしもあれば。
 余りおしとやかとは思えませんけれども、大変いいお話を頂戴いたしました。ありがとうございました。
 それでは、みんな度胆を抜かれちゃったんですが、次に行きましょう。
 次は、企業の社会貢献活動の具体的な事例を今度は株式会社電通、中村部長にお願いしたいと思いますが、-7からでしょうか。どうぞお願いします。

【中村部長】 
 はい。よろしくお願いいたします。お席でということですので、こちらで座ったまま失礼いたします。
 それでは、資料の方をお願いいたします。お手元の資料なんですけれども、今日、電通の封筒の中に入れてきましたものを御説明させていただきます。まず弊社のこの電通の社会貢献活動。これを一式見ていただければと思います。
 今日、これは全てを説明しません。この中の二つを説明いたしますので、パラパラと見ていただければと思います。それから、この広告小学校、今日、プロジェクトの御説明をします。このキャラクター、コマ犬君の下敷きを、良かったらお子様かお孫様にと思いまして持ってきました。それから、広告小学校の書籍なんですけれども、これも是非お読みいただければというふうに思っております。最後に昨年、東北支援イベントのツールとして、弊社のアメリカのグループのデザイナーと、東京のデザイナーがコラボして作った折り紙のレターセットがあります。これも是非記念にお持ち帰りいただければと思います。

 それでは、資料の方をお願いいたします。
 電通の社会貢献活動。「いま、電通社員の手で行われていること」ということで御説明します。資料の方で、電通の社会貢献活動の基本方針、テーマとして書いておりますけれども、「コミュニケーションの力を社会のために」ということで、弊社の社会貢献部署は2003年に設立されて10年。今年、今年度でちょうど11年になりますけれども、設立当初より事業部門で活躍するプランナー、クリエイター、多くの社員の協力や参画を得て進めております。
 それでは、開いていただきまして、2ページの上の図を見てください。プロジェクトの構成といたしましては、二つの視点で整理しております。まず「社会課題に向き合う『人材』を育成する」、そして、右側の「国際的な社会課題に向き合う『日本発の活動』をサポートする」、この視点に立ちまして、下に青いところで囲っております様々な社会課題に向き合い、一番下にあるのが弊社の活動なんですけれども、こういうプロジェクトを進めております。プロジェクト全ては、弊社の6人の役員から構成されておりますCSR委員会の承認を経て進めております。本日はこの中から二つ、まず2番目のコマ犬君の広告小学校。それから、右から二つ目の世界寺子屋運動の事例を御紹介させていただきます。
 事例1、「南三陸の森 希望のポスト」プロジェクトです。
 4ページ目になります。実は、背景からなんですけれども、弊社は、2003年に社会貢献部署を設置しました。そのときにあえてユニセフではなくて、日本ユネスコ協会連盟さんと連携しましょう。やはり弊社は物を書いたり、いろいろコミュニケーションという会社ですので、教育、文化、科学、そういうコンセプトである日本ユネスコ協会連盟さんと協働させていただくのがいいということで、当初よりパートナーシップを組んでおります。そして、最近では、特にグループ47社を巻き込みまして、「書きそんじハガキ」の活動を中心に行っています。これがまず一つの背景ですね。
 次に、5ページ目、もう一つはやはり東日本大震災の支援活動があります。震災以前からお付き合いのあったNPO、NGO、各種団体様との関係性を生かして、中でも南三陸町様とは継続的な御縁ができておりました。これが御縁でありまして、次、6ページなんですけれども、二つの課題ということで整理しておりますけれども、左側に、日ユ協さんとはやはり10年継続した支援活動なので、何かここでドライブがかかるといいますか、進化した活動ができるといいなということがありました。それから、南三陸町さんとはやはり地域密着型の中長期支援活動という形ができないだろうかということで、いろいろと試行錯誤をしておりました。
 そして、ある日、日ユ協様との打合せにおいて、電通はたまたま御縁のできた韮の浜の森林組合の人たちと間伐材を活用して、「書きそんじハガキ」の回収ポストを作りたいと思いますが、どうでしょうというお話をさせていただきましたところ、是非、いいですねと。では、できれば、全国のユネスコスクールに寄贈しましょうよというような、夢のようなお話をさせていただき、電通の予算とマンパワーだけではとても限界もありますので、どうせだったら多くの企業や団体様の支援を作れるようなプラットフォームにしましょうということで、共同プロジェクトとして進めましょうというアイデアに行き着きました。
 そして、8ページをお願いいたします。このアイデアの基にあるのは、私たち電通があえて強みというふうに書かせていただいたのですけれども、「つなげる力」と「つたえる力」、それがあったと私たちは考えています。下を見ていただけると、つなげる力ということでいいますと、このように南三陸町のほか、このプロジェクトの背景には様々なステークホルダーの方、関係者の方の御協力、そして、思いがあります。こういう方々との御縁を私たちは大切にして、信頼関係を構築しながら一つの力にするプロデュース力というものが私たちの中にはあるのではないかというふうに自負しております。
 次なんですけれども、お開きいただいて10ページ、「つなげる力」ということで、一つはここに様々なステークホルダーの方々のコメントを頂いたんですけれども、その中の一つ、地元の小学校の先生のコメントを一例に御紹介したいと思います。この左の先生なんですけれども、プロモーション映像にも御協力いただきました。伊里前小学校の先生ですが、このプロジェクトによって、子供たちが世界に目を向けることにつながりました。また、自分たちの町は自然が豊かであるということを改めて誇りに思える機会ともなりましたというお声を頂いております。
 それから、この間伐材で一緒に作ろうといったときに、この下のフロンティアジャパンという、CSVということの実践を自らやろうとしていらっしゃる社長さんがいらっしゃるんですけれども、こういう方々の御縁もあって、こういうポストを作ることができたということです。
 それから、下に行きまして11ページ、「つたえる力」ということでは、やはり私たちは優秀なクリエイター、プランナーがおりますので、チャーミングな見える化ということができるのではないかと思っております。今日、たまたまこの一番、これは実は8,000円コースなんですけれども、高いか、安いかは分かりませんが。これは実はここに書いてありますように、一番左が10万円で、次が3万円で、今、お回ししているのが8,000円なんですけれども、これを企業の社会貢献活動費用から捻出していただいて、ユネスコスクールさんに寄贈したりとか、それから、たくさんネットワークを持っている保険会社さんたちには、これをたくさん置いていただいて、この活動を知っていただけたらなというふうに思っています。ということで、まずこのポストのデザイン、それから、広報用のポスター、今日は大きいのを持って来れなかったので、ここのビジュアルを見ていただきたいと思います。
 それから、12ページに行きまして、コミュニケーションの映像も作りました。これはこれからユーチューブでも見れるようになりますので、皆さん見ていただけたらと思います。そして、メディアリリース。こういうものは全てこの「書きそんじハガキ」キャンペーンにずっと携わってくれているクリエティブセクションのデザイナー、コピーライターが協力してくれました。ということで、私たち、そういう意味では、電通は早くからプロボノという企業の強みを生かした社会貢献活動を取り入れてやっていたのではないかなというふうに思っています。
 ということで、13ページ、先日は、統括官、どうもありがとうございました。第1号をこちらの日本ユネスコ国内委員会様に寄贈させていただきました。そして、次のページに行っていただいて、二つ目を南三陸町の役場に、そして、伊里前小学校を含む五つの小学校様に寄贈し、帰り、仙台ユ協様と御縁の深い河北新報様にも寄贈させていただきました。15ページ、16ページに関して言いますと、各種メディアに取り上げていただくことができました。
 ちなみに、ここで、南三陸町役場で一番左に写っているのが私の上司の局長で、東北の統括官の理事も写ってらして、右側が佐藤町長なんですけれども、あえてこういう私の上司を巻き込むことによって、現場の活動の理解、予算を取りやすくするといいますかね、まあ、そういうことも考えながら私たちは進めておるわけでございます。
 それでは、次、広告小学校プロジェクトの御説明をいたします。開いていただきまして、18ページ、プロジェクトのきっかけは、事業部門のある一人の社員の思いからスタートいたしました。これに関しましては、お手元のこのコマ犬君のパンフレットを御参照いただきたいというふうに思います。ここに協働先である学芸大附属小学校のことだとか、教材のことが書いてありますけれども、私たち、このプロジェクトなんですけれども、学芸大附属世田谷小学校の当時の国語の先生方と、今は、彼は学芸大、本の方に載っておりますけれども、教職大学院の教授をやっております大熊先生と約3年をかけてプログラム開発をいたしました。この授業プログラムは、主にはDVD教材と、先生に作成していただいた学習指導案から成ります。サポートツールとしては、この後ろにありますような大きなテレビフレームとカチンコ、こういうものを作って皆さんに提供して、授業をしていただいております。ということで、広告小学校は決して企業の出前授業ではありません。現場の先生たちが総合的な学習の時間や社会、道徳の授業で展開していただいております。
 そして、次ですね。19ページ。広告小学校の特徴を簡単に書きました。まずCM、コマーシャルには正解、不正解はありません。ですから、日頃勉強が不得意で手の挙がらないお子さんも手が挙がり、いつもの授業とガラリと雰囲気が変わります。プログラムは三つのユニットから構成されておりますけれども、特に第2ユニットの自分体験CMは、自己肯定感が高まるということで評価を頂いております。
 私たちは、現場で起こっていることと受益者の声を何よりも大切にしておりますので、ここで映像を見ていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。これは何年か前、NHKの『おはよう日本』で取材されたものです。ということで、編集ができないので、ここから。

(DVD上映)

【中村部長】 
 どうもありがとうございました。資料に戻っていただいて、これまでの実績なんですけれども、135校、1万3,500人の子供たちが体験してくれておりまして、最近では結構難しい年齢、中学校でも取り入れられるようになりました。
 そして、最後の22ページなんですけれども、こういう賞を頂きましたというふうに書いておりますけれども、この賞を取ったことの意味は、このプロジェクトに参画してくれている私たちの事業部門の社員のモチベーションにつながっているということで、決してこれは外に対してということではなくて、こういうこともその社会貢献に携わる社員にとって大事なモチベーションの一つになっていることで、御紹介をさせていただきました。
 ちなみに、いつもこういう校歌なども作っておりまして、もし御興味がありましたら、電通ホールで電通のグループの社員の子供たちを対象に行うプログラムを、8月6日の午後に行いますので、良かったらどうぞ見に来てください。
 御清聴ありがとうございました。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございました。つまらないことを聞きますが、最後のスライドで、御清聴の「清」の字というのは、普通私たちは「静」という字を書くんだけど、「清らかな」というのは何か意味があるんですか。

【中村部長】 
 いえ、特にありません。

【金澤運営小委員長代理】 
 そうですか。どうもありがとうございました。
 何か御質問があるようでございますが。

【広瀬普及活動小委員長】 
 私の細かいところがあるんですけれども、見せていただいたポストですね。13ページに「ユネスコ国内委員会さまへの寄贈」ということが書いてありますけど、これはこの委員会にこのポストを寄贈していただいたということですか。

【中村部長】 
 はい。

【広瀬普及活動小委員長】 
 どこにあるんでしょうか。

【堀尾協力官】 
 文部科学省2階の受付、エレベーターホールの少し先のところに待合の椅子があるんですけれども、そこに設置されています。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ああ、そうですか。ありがとうございます。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございました。

【広瀬普及活動小委員長】 
 中身はどうなるんですか。

【加藤統括官】 
 5月10日頃から置きまして、中身は5月末までに500枚以上集まりまして、まずその集まったものは先日、日ユ協様にお渡しして。

【広瀬普及活動小委員長】 
 中身は国内委員会には来ないで、日ユ協に行くということですか。

【加藤統括官】 
 日ユ協がやっている「書きそんじハガキ」運動の回収ボックスですので。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ああ、そういうことですか。

【加藤統括官】 
 ええ。日ユ協さんの方で、それを金額に換えて、それを寺子屋運動の財源として使われるという流れです。

【広瀬普及活動小委員長】 
 なるほど。そういうことだそうでございます。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございました。

【広瀬普及活動小委員長】 
 どうもありがとうございます。

【金澤運営小委員長代理】 
 ほかにどうぞ。御質問。大久保さんの話にも何か思い付かれたらどうぞ、御質問どうですか。御意見はこれから伺おうと思いますが、御質問だけ伺おうと思います。よろしいですか。
 はい。ありがとうございました。それでは、これからしばらく皆様方の御意見を伺おうと思います。その御意見というのは、-3の1の3)ですね。ユネスコ活動に企業の活力をどう取り込んでいくかという、そういう狙いに対して、今までの議論、それが、これは-4だったと思いますが、3ページですね。3ページから始まって、4ページを経て、5ページに至るところに今まで出た意見が書いてございます。これに加える形で皆様方からお考えあるいは御意見を頂戴できればと思いますので、どうぞ、今のお二人の話を聞かれて、触発されてでも結構です。何か御意見ございませんか。
 大久保さん、中村さん御自身でも結構です。どうぞ。御意見を頂ければ。どうぞ、大久保さん。

【大久保部長】 
 誤解があってはいけません。言い足りないこともありますが、私が申し上げたかったことは、この委員会が果たすべき役割というのは何なのかということです。すなわち、プラットフォームをどう作っていくのかということが第一であって、それを実際にハンズオンで実行していく人たちをどう集めてくるのかということを考えていくことで、あとは、任せていても、自然に回り始めていくのではないかということです。

【金澤運営小委員長代理】 
 ありがとうございました。どうぞ、御意見いただけませんか。どうぞ。

【広瀬普及活動小委員長】 
 いいですか。御意見が出ないので私の方から。すみません。今、大変刺激的なアイデアを頂いたんですけど、例えばこのプラットフォームを作って議論をしていけば、普及できるんじゃないかというお話がありましたけど、国内委員会というのはいろんな提言や何かをしますね。その後、実行するのはどこなんでしょうか。国内委員会は何をやるんでしょうか。そういうプラットフォーム作りをして、実際にアクションは取れるんでしょうか。
 それから、もう一つのお話、コンセプトを売るというお話なんかでも、これは、私はユネスコのミッションとかビジョンというのは非常に高まいなものですし、それから、ユネスコの知名度は古くからあるんですけれども、ユニセフとかいろいろなところが積極的に事業展開している中で、もう一度ここでユネスコとは何かということを世の中にアピールしていくことが必要なのではないかと感じるんですけれども、そのときに一般の方、子供たちに向け、それから、企業とか大学の方とか、相手によって多少変える必要はあるかと思いますけれども、その辺のところも国内委員会が積極的にアクションを取っていっているのか、行けるのか、その辺のところ。すみません。私、こんな基本的なところを質問させていただいて、小委員長を引き受けた後で、こんな基本的な質問を提示していて申し訳ないんですけれども、その辺のところをちょっと文部科学省さんにお答えいただければ有り難いと思います。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございます。非常に基本的なことなんですが、どうぞ。

【岩本分析官】 
 御案内のとおり、ユネスコ国内委員会は60人の各界の有識者から構成されているわけでございます。例えばユネスコ本部で持続可能な開発のための教育、こういったものが大事だということを申しますと、ユネスコ国内委員会では何をやったかというと、ユネスコ本部として今後推進していくためにはこういうことが必要ではないかということをユネスコ本部に提言をする。ユネスコ国内委員会の会長が総会に出席した場合などに報告書を手渡すとか、そういうことはやっております。
 また、一方で、国内で、その持続可能な開発のための教育というものをどういうふうに展開していく必要があるかといったことにつきましては、この国内委員会で御議論いただきまして、ユネスコスクールというのがあるではないかと。今、20校ぐらいしかないけれども、これをどうして活用しないんだというような御意見を頂きまして、今現在578校まで来たわけであります。そういった意味で、一つは、プラットフォームとして、この場で御議論いただいて、そういった形でアウトプットを出していただく。今度は実行の面でございます。
 今の広瀬委員長の御質問の中には、では、ユネスコ国内委員会として実際にどういうふうにインプリメントしていくかという点につきましては、ユネスコ国内委員会の事務局をこれは文部科学省が務めております。ユネスコ国内委員会の事務総長というのは、ここにおります文部科学省の国際統括官という役人でございます。そして、我々スタッフが実際には執行している面が大部分と言っておかしくないと思います。
 ただ、もちろんユネスコ国内委員会の委員の方々におかれては、それぞれの分野で、例えばユネスコスクールの重要性について、自分のところの企業で説得していただいて、その企業が積極的に活動しているということはございます。そこら辺が韓国ですとかフランスのように、ユネスコ国内委員会と政府が全く別個でやっているというケースとは少し違うのかなという感じがしております。
 とりあえずそういった回答で、すみません。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございます。どうぞ、加藤さん。

【加藤統括官】 
 ユネスコ国内委員会を設立している法律はユネスコ活動に関する法律、日本がユネスコに入ったときにできた法律ですけれども、そこでは国内委員会の役割というのは、その中の一つはユネスコ活動に関する企画立案、それから、連絡調整といったことで、ユネスコ活動の実行そのものは国内委員会には与えられていないというふうに思っています。実行するのは事務局である私たちであるとか、それから、国内のユネスコクラブ、ユネスコ協会といったようなところが、これまで中心になってやってきたわけですけれども、今回御議論いただいているのはもうそういった古いモデルでは行き詰まりが来ていると。ユネスコ協会連盟にしてみれば、会員が高齢化して、収入も減ってきているという現実があるわけです。このままだと全然サステイナブルじゃないわけです。一方、最近、若い人たちは、いろいろ活躍している若い人たちもいっぱいいるんだけれども、その人たちとユネスコが余りにもつながっていないということがあるということで、今回こういった御検討を頂いているわけです。
 それで、大久保部長の御発言の中にあったプラットフォームということなんですけれども、恐らく私の受け止め方では、大久保さんのおっしゃっていたプラットフォームというのは、この委員会そのものではなくて、むしろもっと別途に作って、例えばユネスコ活動に若い人をどう巻き込むのかというのは、もっと若い人とか集めて、ワークショップ風に議論して、それを正に見せながら、見せることでまた関心ある人をどんどん呼び集めていろんなアイデアを出してもらって、みんなでトライしていって、それで、何となく機運がワーッと盛り上がっていくと、そういうような形のことを恐らくおっしゃっていたんじゃないかと思うんですね。
 だから、そういう意味で、こちらの委員会というのは、大所高所から骨太の方針を出していただくと。ディテールなんかは、例えば若者の参画であれば、そういった形があり得るでしょうし、企業の参画にしても、またそういった参加型のプロセスと言うんですか、そういうのはまた考えられると思うんですね。したがって、ここの委員会で全て処方箋が必ずしも出るというんじゃなくて、大きな方向性を出して、その下でいろんな取組をやってみて、それで、またその状況をここでレビューしていただいて、どこが進んだか、どこがまだ弱いかといったようなことで、バランスよく全体を進めていくような形にしていきたいという思いで、実は去年の12月から御議論を始めていただいているわけです。

【金澤運営小委員長代理】 
 ありがとうございました。ほかにいかがですか。どうぞ、井原さん。

【井原委員】 
 せっかく大久保部長さんがおられるので、検討事項の例えば1の若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進というのは、これは私の考えでは、テーマだと思うんですが、これをコンセプト及びプラットフォームということで、思い付くままでも構いませんが、具体的に言っていただけると、イメージがもっと湧いて、この提案もちょっと案を作り直す可能性も出てくるんじゃないかと思いまして、ちょっとそこら辺の御意見を伺いたいんですが、難しいでしょうか。

【大久保部長】 
 ありがとうございます。先ほど申し上げた気仙沼の例が一つだと思います。単に、「海と生きる」と言われてもピンと来ないです。ここで言うコンセプトとは、相手を魅力的にひき付けていくキャッチフレーズであり、そして、具体的なものでなければいけないと思っています。例えば長野県でも「しあわせ信州」を作ったのですが、全く魅力的ではなく、誰もひき付けません。どこにでもあるようなコンセプトではなくて、例えば、長野県は、峠が日本一多い県であることから想定されるように未来が見えていく新しい県だと示すことです。大事なことは、コンセプトとは、会の趣旨に沿いながら、キャッチフレーズとして相手を本当に具体的に巻き込んでいく仕組み、あるいはそれはプロセスが要ると考えています。
 2点目は、大事なのはコンテンツで勝負しないことです。○○イベントがありますとか、○○取組をやりますから賛同してくださいとか、○○会合があるから来てくださいではないと思います。ユネスコが、ユネスコ憲章というコンセプトの下に目指すべき社会の像を明確にし、それをもう少し分かりやすく具体的に示すことによって、そこに共感を呼び、それらを共通の価値として実現するためにどうしたらいいのかを考えることです。場合によっては、これまでのやり方そのものを見直した方がいいという案が出てくるかもしれない。議論の一つの過程として、いいと思います。

 では、具体的にどうするのかに御関心があると思います。加藤さんがおっしゃられたように、この委員会の下にワーキンググループなるものを作って、もう少し実働できる部隊を作ることです。名誉職のようなグループや役所に言われたことだけをするような組織ではなく、本当に議論を戦わせるための10人ぐらいの作業部会を立てることです。
さらに、幾つか分けた議論がいいと思います。例えば企業を巻き込んでいきたいのであれば、企業のしかるべき実務者に来てもらうことです。コメントをお伺いして感じたのですが、いくらトップにアプローチをかけても、もちろんトップダウンが一番効果がありますが、一過性にすぎないことが多いです。もちろん、やれと言ったらやりますが、その程度です。もし、自分がやりたくないことだったら、社長のお付き合い程度しかなりません。社員が自発的にするためには、コンセプトを共感し、面白い取組としての話題を作ることです。そうすれば、勝手に広がっていきます。
 僕はできたら、CSRの担当者ではない人がいいと思います。現場の人の方がいいと思います。営業部ぐらいの人の方がいいです。そういう人たちだと、どうやって社員の間で有効展開していくのかについて、実践的な話ができると思います。そういうワーキンググループを作るといいと思います。
 それから、学校の世界でいくと、一番のキーパーソンは教員です。教員に熟議してもらって、どうやったら、子供の教育に反映できるかということを考えることです。先生たちに、ユネスコ自体を自分事化ができるように。そうすると、先生たちが子供たちに伝えていってくれる。
 そういうようなことでターゲットを明確にし、誰に何を伝えていくのかということに対して、それをどうやっていくのかという解決の枠組みを作り、そこに関係者を巻き込んでいって、うまく情報発信をすることで、プロセス自体を透明化します。そこに共感を呼び込むと、結果として瞬く間に広がっていきます。
 ちなみに、ここ最近では、トヨタ自動車がアクアの販売をした例があります。テレビCMを減らした代わりに、全国50の地域の活性化支援を行った。そうしたら、これまで車に興味のなかった若い人たちの共感を呼び込み、発売開始後1年間でプリウスを抜いて、トップの販売台数となりました。性能が良くなったという人もいますが、今の世の中で、格段の性能アップはそうはありません。しかし、ものすごい勢いでアクアが売れたのはなぜなのか。
 ユネスコもやらなければいけないのは、今まで関心のなかった層に対する需要の喚起をしていかなければいけないと思います。高齢者の方たちも限界があります。これまでのファンがいなくなるとどうしても会費が少なくなります。その一方で、「歴女」などが出てきたりして、新しい層が登場します。アクアを例に考えると、そういった新しい需要をどのように喚起していくのかということを考え、アプローチすることで新しい会員を増やせます。下手に広告宣伝を打っても、すぐに人は減り、また、派手に広告打っては減りという、疲弊していくのではなく、ジワーッと来て、しっかりと積み上げていく形で、結果として、ドーンと大きく話題を呼ぶというのが、このソーシャル世界の巻き込む方法の一つだと思います。
 ある市の副市長に言われたことがあります。私は、100万人呼びたいんだから、そんなちまちま言ってもしようがない。しかし、この発想は旧来型です。ソーシャル・コミュニティをどう活用し、巻き込んでいくのかが鍵です。じっくりと、きちっと作り上げていくことで、ある時、突然爆発し、大きな流れを生み出し、多くの関心を呼ぶことになります。
今回、世界遺産に認められた話もあり、とてもいいことですが、もう少し、ソーシャルに根付く、地道な活動があれば、もっと多くの関心を呼び込むと思います。基礎がなく、単に打ち上げ花火だと、一時的な報道で終わってしまいます。

【金澤運営小委員長代理】 
 ありがとうございました。ほかにいかがですか。もうお一方ぐらいと思います。どうぞ。宇佐見さん。

【宇佐見委員】 
 中村さんにお聞きしたいんですけれども、先ほど小学校の先生が授業を進めていく上で、子供たちにいろいろな指導をしてらっしゃいましたけれども、ここにDVDの教材があるというふうに、これは何分ぐらいのものなんですか。

【中村部長】 
 この広告小学校のパンフレットを見ていただきたいんですけれども、ここの左側に第1ユニットから第3ユニットまである時間が書いてあるんですね。この中でDVD教材が、先生がほとんどしゃべられなくても、コマ犬君というキャラクターがナビゲートしてくれているDVD教材があるんですね。これは全部流したら、もしかしたら2時間、1時間半ぐらいかもしれませんけれども、基本的にこの第1ユニットの入門CMをやらないと、第2ユニットの自分探検CMというパフォーマンスの効果が上がらないんですね。考える付箋の書き方とか基本的なグループワークのやり方など、いろんなものをまず第1ユニットで、最低でも4時間必要なんですよね。
 それから、第2ユニットも最低6時間。最後の公共CMは最低5時間。要するに、これが授業の組立てになっておりまして、大体、先生たちは本当に今、総合的な学習の時間の授業が削られている中、大変なんですけれども、結局その苦労した分だけと言うとあれなんですけれども、それぐらいにやらないと、効果というのはやはりなかなか出てこなくて、そういうことで言うと、DVD教材だけを流せば1時間半ぐらい見れますけれども、授業はこういうふうな感じで進めていくということです。
 先ほど言いましたように、学習指導案というのは、先生たちが作られていて、その指導案があれば、先生たち、誰でも授業ができるというものですので、その教材と指導案を私たちが無料で提供しているんですね。先ほど見ていただきましたけれども、今はもっと女の先生も自分たちで組み立てられる、この裏の、これはコクヨさんと開発した段ボール型のテレビフレームとカチンコ。これで補助教材として、うちの事務局がその都度やっていただける先生に配送してやっていただいております。

【宇佐見委員】 
 分かりました。じゃ、個人の先生の指導能力によるのではなくて、このDVDで十分カバーできると。

【中村部長】 
 はい。言うと悪いんですけど、本当に先生は個人差がありますよね。本当に一生懸命の先生もいらっしゃれば、まだまだ経験が足りないとかいろいろな先生もいらっしゃるんですけれども、子供たちは先生の話を聞いてなくても、DVD教材のコマ犬君が出てくると見入ってしまうという感じで、非常に先生たちも授業が進めやすいというふうな感じで評価を頂いております。

【金澤運営小委員長代理】 
 どうもありがとうございました。
 時間が少し迫っておりますので、次の話題に移りたいと思いますが、-3の1枚紙に戻っていただきまして、これからは1の若者、企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進の中の1ですね。1)民間のユネスコ活動の活性化を活動内容、構成員等の面でどう図っていくのかという問題に移りたいと思います。これからは広瀬委員長にバトンタッチをいたします。どうぞ。

【広瀬普及活動小委員長】 
 それでは、ここから私が議事進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 今、金澤委員長代理から言っていただいたように、この資料の94-3の1の1)民間のユネスコ活動の活性化を活動内容、構成員等の面でどう図っていくのか。この点について、今お二方から伺った意見も踏まえて、新しい方向性も含めて、議論していければと思います。
 議論に入る前に、これまでの運営小委員会の配付資料の中で、本検討事項に関係する配付資料としてお配りしてあるものを事務局から説明していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【本村補佐】 
 それでは、説明させていただきます。お手元の-8の検討事項1関連資料と-9のユネスコ協会の現況に関するアンケート結果について説明させていただきます。
 この資料は、データも含めまして、日本ユネスコ協会連盟さんの方から御提供いただいております。
 まず-8の1ページを御覧ください。まず2005年度の各種会員数について記載がございます。2012年度と比較しまして、その1ページの下の表でございますけれども、2005年の時点で1万7,450名の会員数に対して、若者、これは15歳以上35歳未満の若者が260名、1.4%でございました。2012年の時点で、総会員数はほぼ変わらずですけれども、若者がやや増加して、466名。2.8ポイントでございます。ただ、全体の内訳で見ますと、まだまだ若者が少ないというふうに言えるかと思います。
 その次のページでございますが、2ページの内訳を見ていただきますと、これは協会全体の会員規模別分布でございますが、2005年度の時点で175ユネスコ協会に聞いたところ、100名以下の地域のユネスコ協会が全体の67%でございました。これが2012年の時点で更に数が増えておりまして、全体の78%が100名以下で構成されているということでございます。
 続いて3ページを御覧いただけますでしょうか。予算規模でございますけれども、これは2004年度の時点でございますけれども、予算規模が100万円以下で活動されているユネスコ協会が全体の56%でございます。財政的にもかなり少ない予算で運営されているということでございます。
 4ページ以降は、別紙の-9のアンケート結果にもございますので、そちらで説明させていただきます。
 -9の資料を御覧ください。1ページでございますけれども、これは昨年12月に日本ユネスコ協会連盟から、各地域のユネスコ協会宛てにアンケートを実施した結果をまとめたものでございます。日本ユネスコ協会連盟の現状といたしまして、構成団体として283団体ございます。283のユネスコ協会がございまして、その組織形態についてはほとんどが任意団体ということでございまして、法人格を持っておられるのが9法人ということでございます。
 2ページでございますけれども、これは先ほどの表と同じで、会員数でございますが、100名以下が78%、昨年末の時点で78%でございます。3ページ目でございますけれども、会員の男女別年齢層でございますけれども、男性の分布で、やはり男性60歳以上が約60%を占めております。女性の会員につきましても、同じく60%以上ということになってございます。
 4ページでございますけれども、会員の職業といたしましては、主婦の方、無職の方、自営業、会社員の方が多くいらっしゃいます。各ユネスコ協会の活動に当たっての課題として挙げてもらったところ、やはり高齢化の問題、財政の問題が挙げられてございます。
 最後のアンケートの9ページを御覧ください。一番後ろのページでございますけれども、これも各協会に、活動についてアンケートを取りましたところ、一番活動内容として活発なものは、先ほど出てまいりました「書きそんじハガキ」のキャンペーンに参加している。地域の文化・自然遺産の学習や保存活動をしている。学校へ「書きそんじハガキ」の収集などの依頼をしている。あるいは、ブロック・ユネスコ活動研究会へ参加しているなど、かなりの団体、ユネスコ協会が盛んにやってらっしゃることでございますが、一方で、その棒グラフの中ほどでございますけれども、青年を巻き込んだ活動というところが、例えば青年がユネスコ協会主催の事業に参加しているかどうか、表彰・顕彰を行っているかどうかなどにつきましては、総体的に参加数が少ないと。あるいはホームページやブログを作成しているかということもほかの活動に比べたらやや少ないと言えるかと思います。
 事務局の方からは以上でございます。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。それでは、配付資料の運委489・普及委94-3の検討事項1の1)について御議論いただきたいと思います。民間のユネスコ活動の活性化。手を挙げて意見を頂ければと思います。では、井原委員、お願いいたします。

【井原委員】 
 文部科学省の方に御意見を聞きたいんですが、例えば先ほど大久保さんから言われましたけど、フェイスブックなんかを使うことは可能なんですか。例えばこういう、この一層の促進ということに関して、フェイスブック上でいろんな人に参加してもらって意見を集めるというのは、ユネスコ活動に興味のない――2に行っちゃいますけれど、それは活性化にもつながる内容なので、ちょっとお聞きしているんですけれど、具体的にやるとなると、やっぱり私は大久保さんの意見が正しいんじゃないかと思うんですけれど、それはプラットフォームと聞いて、例えば一つはワーキンググループという御提案がありましたが、外の意見をもっと取り入れるということになると、今、SNSを利用する方がもっと早いかもしれませんよね。そこら辺のことをちょっとお聞きしたいんですが。

【本村補佐】 
 今、井原委員からございましたフェイスブックにつきましては、先ほどの配付資料の-8の8ページを御覧いただければと思いますけれども、日本ユネスコ協会連盟、ユネスコ・アジア文化センター、ユネスコスクール、日本ユネスコ国内委員会、それぞれホームページを開設しておりまして、フェイスブックも同じく立ち上げてございます。まだまだアクセス、「いいね」の件数的には少ないかもしれませんけども、情報発信という意味ではフェイスブックを活用してございます。

【岩本分析官】 
 今お手元の資料で、補佐が説明したのは、これは実は12月の運営小委員会でお配りしたのをそのまま使用していますので、日本ユネスコ国内委員会のフェイスブックで、「いいね」と押していらっしゃる方が、今現在では250ぐらいになっております。日本ユネスコ協会連盟は、これはもう確か二千幾つかになっていますか。

【事務局】 
 まだ1,300です。

【岩本分析官】 
 ああ、1,300。今どういう形でフェイスブックを使っているかというと、例えば、こういう会議がございます、あるいは近々こういうイベントがございます、そういったことを載せるということはやっておりますけども、では、更にそれを突っ込んで、フェイスブックでこういうことについてみんなで討議しようよとか、そこまではまだできていないのが現状でございます。

【大久保部長】 
 すみません。フェイスブックでもユーチューブでもいいんですけども、大事なことは、手段だと私は思います。コンテンツを何を入れるかということで、会議をやりましたというのは、もう世の中では全く関心がないと思います。議事録を公開されても。そうではなく、個人的な取組だからこそ、例えば現場で起こっている、電通のビデオではありませんが、こんな取組しましたというのを3分1本勝負のやつをバンバン出し続けると、ユネスコって、こんなすてきなことやっているんじゃないのみたいな、そういうようないろんなメディアの出し方というのがあると思います。それが文章である場合もあれば、映像である場合も、写真である場合など、いろいろ方法がある。
 では、そのときに最も適した手段というのは何なのかというと、一番有効なのはフェイスブックだろうと思います。これだけの団体で1,300というのは、びっくりするくらい少ないと思います。もっと周知の仕方を考えれば、何十万のアクセスも十分に可能です。それだけの数の人が見るようになれば、今度はお金を集めていこうとなります。結果として会員を増やしていこうとなるのだと思います。この手の議論になると、どうしてもフェイスブックが魔法の箱のように議論されますが、そうではなく、何を訴えていくのかということをきちっと明確にして、そのときに手段として一番ベストなものを、ベターなものをチョイスしていくということではないかなと思いました。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございます。フェイスブックの使い方も今までと違う発想で使ったらどうかという御提案だったと思いますけれども、この点については、日本ユネスコ協会連盟、それから、ACCU、文部科学省で少し御検討いただければと思いますが、いかがでしょう。井原先生、何か。

【井原委員】 

 私自身も会社の方でフェイスブックで苦労しているので、今、大久保さんがおっしゃったことは非常によく理解しております。基本的にはやはりコンセプトとかどういうふうに巻き込んでいくかということが非常に大切じゃないかと思っています。まあ、残念ながら、今ちょっとフェイスブックは人手不足で、会社の方はうまくいっていませんが、非常に参考になったので、そちらはうまくいくと思うんですが、これは日本ユネスコ協会連盟さんも同じだと思うんですね。基本的にどういうふうに発信していくかとか、どうやって巻き込んでいくかということが非常に大切だと思うんです。確かに1,300というのは非常に少ないですので、そこは改善というか、工夫の余地があると思うので、今日、大久保さんの御意見というのは非常に貴重だったと私は思うんですね。

【広瀬普及活動小委員長】 
 そうですね。ありがとうございます。新しい形でのコンセプトを広めたり、それから、意見を収集する方向性を探っていくということで、まあ、文部科学省さんも、ほかの協会連盟も、財政と、それから人材の限られた中で、どれだけ有効にみんなを巻き込んでいけるかということの観点で、是非検討を続けていただければと思います。
 ほかに何か。はい。最初は林原委員でしょうか。ごめんなさい。お名前が見えなくて失礼しました。

【林原委員】 
 林原でございます。私は不勉強で、よく理解せず的外れのコメントになるかもしれませんが、今日のお話を聞いて感じたことを申し上げます。
ユネスコ活動の活性化というテーマについて、私は今日のお話から、いろいろ勉強させていただきました。一方、率直に申しまして、何をしたいのかという具体的な目標を、もう少しクリアに設定した方が活動がしやすいのではないかなということも、感じました。
 ユネスコというのは、名前はものすごく有名です。特に今、富士山が世界文化遺産に登録されそうだということもあり、ユネスコという言葉を知らない人はほとんどいないと思います。一方、先ほどお話が出ていましたとおり、ユニセフなどと比べて、例えば、寄附金募集等でのユネスコの知名度あるいは浸透度というのが今一つだというのが、率直な印象です。ユネスコの活動について、もっと一般に理解を深めるための方策を考えるということが私が思った具体的な課題の一つです。
 次に、私は長らく金融界におりますので、ついお金のことが気になるのですが、ユネスコはお金を集めることでは、多分ユニセフに比べて、大変遅れを取っているのではないかと思います。お金がもっとあれば、もっと実のある活動ができるのではないかと思います。ですから、お金をもっと集めるにはどうしたら良いかということも、具体的な目標テーマにしたら良いのではないかと思います。電通さんとか大久保さんという有識者のお知恵を借りて、具体的にお金を集めるのにどうしたらいいかということを検討したらどうでしょうか。例えばユネスコスクールは500校が目標だったのにもう達成したことはびっくりしておりますけれども、目標の設定の仕方がすごくクリアで、校数で目標を定めたために、目標がクリアで分かりやすく、非常に取り組みやすかったのではないかと思いました。
 恐らく名前とかお金、ユネスコスクールの数のほかにも、クリアな課題を設定できることはいろいろあろうかと思います。明確な目標を設定して、その上で具体的にどういうふうに進めるのかという手段を、電通さんとか大久保さんからお助言を得て考えると、より実効ある活動ができるのではないかと思います。寄附金の募集について、もう少し意見を述べさせてください。大久保さんの話にもございましたけれども、今、企業に行って、お金を寄附してくれと言っても、まず良い返事は頂けないと思った方がいい。私は監査役をしておりますので、なぜこんなことにお金を使うんだと、クレームをつける方なものですから、特にそのことを感じます。自動的にお金が集まる、あるいは企業の方から率先してお金を払いたいという、そういう仕組み作りを、こういうプロの方のお知恵を借りて構築したらよいと思います。
 東京大学が数年前に二百何十億円か300億円かお金を集めましたが、東京大学だからしようがないからと、みんなある程度お金を寄附したのですけど、2巡目をやろうとしたら、ほとんど集まらなくなったということを聞きました。ほかの主要大学も寄附を集めたことも影響したと思います。いわゆる奉加帳を回して寄附を集める方式というのは、もはや駄目だと思った方がいいと思います。ですから、どうしたらお金を集められるかといったことについて、具体的に知恵を出して進めるのが、活動をより有効にするのではないかと思います。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございます。今の御意見は具体的なイメージをつかむために何をしたいかをクリアにする必要があると。これはやはり、この後、執行委員会の報告もしていただきますけれども、ユネスコ本部で今どういう問題意識があって、それから文部科学省さんの方で、ユネスコに対してどういう問題意識があって、それを踏まえて、国内委員会としてどういうことをしたいかということをはっきりさせて、それをクリアに伝えていくという努力はやはり必要なんだと思うんですね。ユネスコ、名前は、知名度は高いけど、よく分かっていないという方が多いような気がしますし、私がユネスコの職員だったときも、「ユネスコで勤めています」と言うと、ちょっとたつと、「ああ、ユニセフですね」と言われる。それから、日本の方にお話しすると、「ああ、私は千葉のユネスコ協会の方、よく知ってますけど」とか、やはり機関としてのユネスコの本来のいいところ、コンセプトというのがやっぱり、イメージはいいんですけれども、はっきり伝わっていない。いないと言うと語弊があると、十分にもっと伝える必要があるのではないかと思っておりました。ですから、それが1点。
 それからもう一つは、何かやるときに目標を立ててやってはどうかというお話と、それから、財政的なお金集めも違う発想でやる必要があるんじゃないかというお話でしたけれども、この集金については、ユニセフなどは基金ですので、若干違うところがあるんだと思いますけれども、日本ユネスコ協会連盟としては、ほかの国と比べると圧倒的な集金能力がかつてあったように記憶しておりますけど、現在はどうなんでしょうか。
 それから、集金等について、文部科学省さんの方で何かコメントがあればいただきたいと思います。

【野口理事長】 
 ありがとうございます。御質問いただきましたので、とりあえず私からお答えをさせていただきます。その前に大久保さん、それから、電通の中村さん、すばらしいお話を頂きまして、ありがとうございました。また、電通さんにはこれまでもいろんな形で私たちの事業を御支援いただいておりまして、最新の御協力で、この「書きそんじハガキ」回収ポストを、皆さんに御紹介いただきました。改めて感謝申し上げたいと思います。
 私たちもいろんな形で企業からの協賛、あるいは個人からの募金等で協力いただいておりますけれども、今、委員長御指摘のように、かつては多数の維持会員というのがございました。これはユネスコ活動の理念に共鳴して、維持会員として毎年会費を出してくださる。残念ながら、この維持会員の会社が減ってきております。ですから、先ほど来お話がありましたように、ユネスコは大変高まいな理念で、すばらしいことをしているから、お金を出しましょうというのは非常に難しい状況です。その代わりに企業と協賛して、一緒にやりましょうという形では結構進展をしております。
 一つの例を挙げますと、電通さんにはたくさん御協力いただいておりますが、金額的に大きいのは三菱東京UFJグループさんでして、3・11の大震災が起こって以来、私たちはそれまで国内への支援事業というのはほとんど行ってなかったんですが、これは放っておけないというので、緊急の学校支援、それから、親を亡くした子供たちへの奨学金、親は亡くしていないけれども経済的に非常に困っている家庭への奨学金ということで行いました。
 それで、遺児、孤児の子供、これは全員カバーして、毎年、小学校1年生から高校卒業まで月額2万円という奨学金。これは財源は三菱銀行さんから出していただいています。それからあとは、経済的に困窮した家庭の子供さん、主に中学校3年生を対象に高校に進学ができるようにすることを目的としており、いろんな企業や個人の方から御支援を頂いております。これは災害ということを受けての新しい展開でございます。
 そのほか、先ほど来ありますように、途上国への教育支援、寺子屋事業については、いろんな団体さんからの御協力は頂いておりますが、一つの有効な手段が「書きそんじハガキ」の回収。実はこれは大変手間のかかることでして、年賀状が減ってくる状況でございますが、そういう中でも「書きそんじハガキ」だけはそんなに減らずに回収させていただいております。1枚のはがきが45円の切手に変わって、それを現金化して資金化する。そのユネスコ協会の会員の人、あるいは学校の子供たちに呼びかけて、これを回収しているんですが、これは単なる支援ではなくて、やはりそういう「書きそんじハガキ」を出すことによって、途上国に目を向ける。自分たちがいかに恵まれているかというのを再認識したり、国際協力の精神も同時に養われると、そういう狙いもあって、これを続けております。
 ということで、確かにユニセフと比べれば、圧倒的に私たちの資金獲得能力は低いんですが、でも、やっぱりそういう企業と一緒に行っていくということでは、まだまだ可能性は残っておると思われますし、今までもたくさんの御支援を頂いております。同じ三菱広報委員会、これは三菱グループ40社の御協力で、「アジア子ども絵日記展」を、2年に1回、24か国が参加する事業も展開しております。
 等々のことがあるんですが、今日のお話なども大いにまた参考にさせていただきながら、場合によってはまた大久保部長にも、私どもの集まりに御参加いただいて、こういったアドバイスをいろいろ頂ければと思っております。
 それから、今日、全国9ブロックのユネスコ協会の代表の方がこちらに御参加ですので、それぞれ地元でのいろんな取組、あるいは問題点等も御披露いただければと思っておりますが、とりあえずそんなところでよろしゅうございましょうか。また何か御質問があれば、重ねて御説明したいと思っております。
 高齢化の問題については、また後ほど必要ならばコメントさせていただきたいと思います。

【広瀬普及活動小委員長】 
 はい。ありがとうございました。

【野口理事長】 
 それから、青年の取組ですね。これも私たち、必ずしも十分ではないかもしれませんが、今いろんな青年の取組もさせていただいております。少しだけ申し上げますと、ユネスコスクールに対して、プレートを寄贈する。これは三菱銀行さんの御協力を得て、プレートをユネスコスクールの門に掲げていただく。これにはユネスコ協会の人が出ていって、寄贈することもあります。
 それから、ユネスコスクールへの補助金、これも申請をベースでやっております。それから、高校生に対する作文コンテストをして、選抜された高校生をユネスコ本部、あるいはドイツなどに派遣するということを毎年やっています。これは4年間続けてやっております。
 それから、青年の取組については、私どもの評議委員会の中に、各ブロックから青年代表を一人ずつ入れるということです。これからも何としても、青年により魅力的で、青年が進んで参加できるような、そういう道を今後とも大いに探っていきたいと思っております。
 すみません。少し長くなりました。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。文部科学省さんからは、また後でまとめて御説明していただくことにしまして、二瓶委員、それから、その後、重委員に。

【二瓶委員】 
 今日の大久保さんのお話、大変教訓と言うんですかね、感銘を受けたわけなんですけれども、確かに先ほどからお話ありますように、ユネスコというのは一体何なのかということと、ユネスコは何をするのかということがやっぱり漠然として、一般の方に浸透していないというところが、ユニセフと間違われる原因になっていると。これはかなり長い間言われていることで、なかなか克服できていないんですね。
 ユネスコというものにどういうイメージを持つかというと、私個人から言えば、やはり教科書でユネスコ憲章が書かれていて、それで、平和な国際社会あるいは平和というものを構築していくというのがユネスコなんだというのが出発点になっているわけですね。だから、我々はやっぱりユネスコというものがどういうものかというときに、やっぱりユネスコ憲章を基本に置きながら、それをいかに具体化していくかと。平和というのはいろんな考え方があって、富士山に登るのに、裏から登る場合もあるし、脇からも登る。いろんなルートがあるわけですね。したがって、一つのものじゃなくて、たくさんあるわけで、それを一つ一つ具体化して、それはユネスコ憲章に、言ってみれば、精神に合致していくんだと。
 その話と、先ほどのプラットフォームを作るということにも通じると思うんですけど、それらをどう有機的に関連させて、そのユネスコというのはこういうものだよということが社会的にもっともっと浸透していくようなところに必ず戻っていかないと、いろいろ技術的に考えても、それじゃ、どことどう違うんだというところは、やっぱりユネスコはユネスコ特有の活動というものがありますし、これがユネスコの特徴なんだというところをやっぱり明確にですね。ユニセフとはこういうところが違うんだというところもやっぱり出していかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思うんですね。
 そういう意味から言うと、コンセプトが大事であって、キャッチフレーズというものを考えなくちゃいけないとか、あと、もっともっとワーキンググループを作って、そのプラットフォームをどういうふうに作っていくのかということについて、やっぱりきちっとした議論をこれから重ねていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。
 それで、私は前回、運営小委員会でかなり議論をされて、いろんな意見が出されています。その意見というものをもっと進化させていけばいいんじゃないかなと思いますね。非常にいい意見がありまして、私は最後の西園寺委員の発言に非常に共鳴したところがありまして、是非これをもっともっと小委員会で吹っかけていってほしいというふうに思っております。感想ですけれども。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。二瓶委員がおっしゃったように、前回の議事録とか運営小委員会、普及活動小委員会、それから、今回の資料の-4ですか。いろいろいい御意見が出てきていますので、その中の御意見をどう進化させて、具体化していくかということを、また今日頂いたプレゼンテーションなんかも反映していければと思いますけれども。重委員、どうぞ。

【重委員】 
 今、広瀬委員長がまとめてくださいましたので、この意見に関して私も賛同で、そのことを一つ申し上げたかったことと、それから、このそれぞれのすみ分けをする前に、全体をふかんして、本当にこの運動がどのような使命を持ち、そのためにどのような役割、活動があれば良いのかのそもそも論に立ち返って考える必要があるのではないか。
 各県の協議会はこんな活動、日ユ協はこういう活動、国内委員会はこういう活動というふうにばらばらではなくて、総体的にまず考えるその上でそれぞれの役割が明確になり、使命を果たすための手段としての活動に効果が出てくるのではないか。
 野口さんがおっしゃってくださったように、若者たちにいろんなスタディツアーなどもなさってくださっているように伺っているんですけれども、なかなか、表に見えていない、
 例えば、各地区でお金を集めてくださっている。その識字教育に使うお金のモニタリングをその地域の若者たちがするというようなことにもっとシフトしていただく。
 情報や理屈で知っているだけでなく現場で直接体験をすることから学ぶ大事なチャンスを若者たちから奪わないということが大事だと思います。そこに出ていって、自らネットワークを作り、自然にユネスコへの意識改革が生まれるというような活動というのがすごく大事ではないか思いました。
 現場のメンバーの皆さん、すごく熱心なんですけど、その熱心な皆さんだけで活動しがちなので、非常にテリトリーが狭いように見受けます。それを変えていくための外からの働きかけと、お年寄りが多いとおっしゃるんですが、このお年寄りのポテンシャルを上手に活用するという施策が必要ではないでしょうか。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございます。今、半分、私が最初に言いました役割ですね。国内委員会、それから、文部科学省、日本ユネスコ協会連盟との役割を明確にして、どうアクティブに活動していくべきかと。先ほどから御提案がありました、例えばワーキンググループというのは、じゃ、どこへ作るのかと。そういうことも考えていく必要があるのではないかと思います。
 それと今の御提案は、若者を巻き込むために、モニタリングなんかに現地に行ってもらう。若者を入れたらどうかと。それから、お年寄りももっと活用しようという御意見だったと思いますけれども、野口さん、あれですか。では、お手短に。そろそろ時間が押してきましたので、あと、金原委員からお願いします。

【野口理事長】 
 いいですよ。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ああ、そうですか。じゃ、金原委員、お先に。

【金原委員】 
 金原と申します。名古屋から来ました。私は名古屋で実際、現場で動いているユネスコの会員としての現状を委員の皆様に御報告したいと思います。まず今、ユネスコについて何となく悲観的な御意見が多いんですけれども、なかなかそうでもないと思うんですよ。私どもは最近ホームページをまめに更新して、なるべく新しい情報を、自分たちの活動をPRするようにしているんですが、それを始めた途端、やっぱり今はネットの世の中なので、年齢問わずに、いろんな団体からもいろんな方からも本当に様々な問合せやら、協力したいという申し出なども来ております。だから、一つそれはそのユネスコというネームバリューもあるということですね。ユニセフももちろん知っているけれども、ユネスコだって知っているという方はいっぱいいるわけですね。そのユネスコ、あとESD、名古屋なんて、それで入れると、うちが出ちゃうんですね。
 それで、対応も大変なんですけれども、ある意味、会員もそれで入ってきたし、あと、コーディネーターとしての役割も必要とさせられているといいますか、例えば先日もロータリークラブの愛知県のトップの方から御連絡があって、今までJICAとかユニセフとかいろいろやってきたけれども、自分はユネスコにこれから取り組んでいきたいんだけれども、ユネスコについて話をしてもらうことはできるだろうかとか、ESDで、ユネスコスクールで災害教育をしているところはないかとか、そういった問合せが結構来ます。ですから、ホームページの活用ということでやったらいいんじゃないかなと思います。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。最後に非常に明るい意見を言っていただきまして、ただ、やはり名古屋も積極的にホームページを立ち上げたら、こういう反響が大きくあったということで、いい御意見を頂きました。ありがとうございます。
 文部科学省さんとユネスコ協会さん、何か御意見があれば、手短にお願いして、次に進めたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

【野口理事長】 
 すみません、ほんの少しだけ。御質問で、重委員がおっしゃったように、私たちは途上国にスタディツアーを頻繁に出しております。それはユネスコ協会で寺子屋事業に御支援くださっているメンバー、あるいは大学生とか高校生をそういう途上国の現場に行ってもらって、世界遺産とか、寺子屋の現場を見てもらう、こういうことを進めております。もっともっと増やしたいと思っております。それから、今年度から新しく始めようというのが、ESDパスポートという名前で、ユネスコスクールに参加している学校の子供たちにボランティア活動を奨励しながら、体験学習を通じて、ESDを肌で感じてもらおうと、こんなことを始めたいと思っております。
 一言だけ追加しますと、ユネスコって一体何かというのは、もう何十年来、執行委員会や総会で議論されていますが、一つは、リフレクションとアクションということがよく言われました。リフレクションというのは、ユネスコは単なる援助機関だけではなくて、世界の問題や平和について考えていくと、そういうリフレクションという機能が一つはあると。二瓶先生が先ほどおっしゃったような。
 もう一つは、それだけじゃ駄目なので、やっぱりアクションが伴わなきゃいけないという。ずっと長い間議論された中で、よくそんなことが言われました。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。あと何か、文部科学省さん、一言おありですか。

【岩本分析官】  

 せっかく金原先生のお話あったところで申し訳ないんですけれども、国内委員会の予算というのは、実はこれは一般会計で非常に毎年毎年削減を食っております。民間の団体に対する委託費のようなもの、これが今現在7,000万ほどでございます。そのほかにODA関係の補助金ということで、これが8,000万ほどございます。これがいわゆる国内で活動していただいている、例えば日ユ協さんの活動のほんの一部の一部の一部に行ったりですね。あるいはユネスコ・アジア文化センターの事業の一部に使われたり、あるいは岡山市で世界会議のステークホルダー会議を開くためのプレイベントに使われたり、そういうことをしております。
 また、一方で、我々としては、国が全部やるのがユネスコ活動では、もちろんございませんので、そういった面で、私どもなりに持っているユネスコ活動のイメージ、これに沿ったような形で日本ユネスコ協会連盟さん、また、ACCUさんとの連携を取りながらやっていっているというところでございますが、一方では、いわゆる外部資金として、日本政府の信託基金、これも今現在、トータルで文部科学省所管のが2億5,000万円ぐらいございますけれども、これも実はマルチのこういう任意拠出金というのは減らされているのが現状でございます。これをどう確保していくかということは、今度逆にユネスコにおける日本のビジビリティということにもつながっておりまして、そこら辺は今、悩んでいるところでございますけど、またいろいろと御指導賜れればと思います。

【広瀬普及活動小委員長】  

 はい。ありがとうございました。お金をかけないで知恵を絞れという文部科学省さんからの話だったと思います。それでは、時間になりましたので、貴重な御意見をいろいろありがとうございました。今日頂いた御意見は配付資料の運委489・普及委94-4、日本ユネスコ国内委員会の主な意見に反映していきたいと思います。既にいろんな意見がそこに出ていますけれども、また後日、事務局の方から追加の御意見をメールでお伺いいたしますので、本日言い尽くせなかったところは、そのときに是非御意見を頂ければ幸いでございます。
 あと、それを頂いた上で、文言の調整等は委員長の田村先生と、それから、私の方に一任いただいてよろしいでしょうか。その案はお回ししますので。

【井原委員】 
 一言だけよろしいですか。

【広瀬普及活動小委員長】 
 はい。井原委員から異議がおありだということで。

【井原委員】 

 すみません。私はこの1の(4)がどうしても違和感があるんですね。それで、その理由が、今日、大久保さんのこの木川田さんのこれで見てはっきり分かりました。これは順序が逆なんですね。地域振興が主語なんです。ユネスコ活動じゃなくて、地域振興にどうやって、まあ、ユネスコ協会が協力していくとかね。何で違和感があったかというのは、大久保さんのおかげで解決したのでありがとうございます。あえて変えていただきたいと。

【広瀬普及活動小委員長】 
 今の御提案に御異議がなければ、その順序を変えて、地域振興をしていく上で、ユネスコ活動をどうリンク、絡ませていくかということですね。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、この先のいろいろ御意見の取りまとめは一任いただくということで、御異議がないでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【広瀬普及活動小委員長】 
 じゃ、そうさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、次に移りまして、今後の議論の進め方と日程案につきまして、事務局の方から説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【本村補佐】 
 それでは、今後の進め方でございますけれども、本日御議論いただきました我が国のユネスコ活動の活性化の議論でございますけれども、これまで運営小委員会を2か月に1回のペースで開催してございます。今後、8月の運営小委員会で検討事項1の議論を更に深めていただきまして、同時に検討事項2のESDの一層の推進でございますけれども、こちらは教育小委員会の方で7月と8月に議論いただく予定でございます。その上で、皆様方の御意見を取りまとめいたしまして、9月に予定されてございます第133回の国内委員会の総会におきまして、運営小委員会からの検討状況の報告を頂いて、取りまとめの案の基礎を、その後の9月以降の運営小委員会を中心に議論を進めまして、これも予定では2か月に1回のペースで開催する予定でございます。その上で、3月に予定されております国内委員会の総会に向けて、取りまとめ案を起草いたしまして、その場で決定する方向で準備を進めたいと考えております。以上でございます。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。本件につきましては、来年の3月までということで、まだまだ時間がございますけれども、取りまとめに向けて、引き続き皆様方からの御意見等、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、それでは、議題の3に入らせていただきます。本年4月10日から26日にパリのユネスコ本部で、第191回ユネスコ執行委員会が開催されましたので、そのプロセスないし結果の概要を事務局から報告いただきたいと思います。それでは、お願いいたします。

【岩本分析官】 
 お手元の資料の-10、第191回ユネスコ執行委員会の結果についてという資料を御参照いただきたく存じます。
 ユネスコの執行委員会は、年に2回、58か国からなる執行委員国によって持たれる会議でございます。これに対して総会は195の全加盟国が2年に1回集まって、行っておるものでございます。今回は春の執行委員会というものに行ってきたわけでございますけれども、出席者は、木曽大使、加藤統括官ほかでございます。
 会議のポイントというところで、大づかみに三つ掲げております。一つは、パレスチナ加盟に伴う米国の資金拠出停止。これが一昨年の11月から続いているわけでございますけれども、それによるユネスコの財政難。すなわちアメリカは今まで22%の分担をしておったわけであります。それに対しては、官房の経費の削減であるとか、職員のポストの凍結あるいは緊急基金を加盟国に求めるなどして、効率化の努力が行われてきたけれども、もう長期的には対応できない状況になっていると。今後2年間の予算を、後ほども出てまいりますが、653ミリオンドル、6億5,300万ドルと見込んでおりますが、アメリカの拠出再開が全く行われない場合に備えた緊縮予算案、これが5億700万ドル。そういった予算案についても検討がされました。ただ、いわゆるプランBといいますか、そういった緊縮予算案については引き続き次回の執行委員会でも審議、報告されることになりました。
 それから、ユネスコでは、次期の中期戦略、これをC/4と呼んでおりますが、2014年から2021年の8年間についての中期戦略、それを37C/4と呼んでおります。そして、それの下に付く具体の事業・予算、これを4年間の37C/5と呼んでおりますが、それについて審議されました。この国内委員会から、かつてから強調しております、一つは持続可能な開発のための教育、それから、一昨年、ユネスコに対して提言いたしましたサステイナビリティ・サイエンス、これにつきましては、C/4及びC/5の案文に盛り込まれているところであります。
 ただし、サステイナビリティ・サイエンス、これは地球的規模の課題に対する自然科学、人文・社会科学を通じた統合的なアプローチということで提唱しておりますけれども、幾つかの国からそれの意味内容がまだよく分からない、あるいはユネスコの自然科学局、人文・社会科学局で具体的に何を行うのかという質問がございました。本年の9月、国連大学とユネスコの共催で、パリでシンポジウムを行いますので、それなども聞きながら次回執行委員会までに明確化することにしようということになりました。
 一方、国連全体としては、2015年までがミレニアム開発目標というのがございますけれども、2015年以降の開発アジェンダについて、ユネスコはどう関わるべきかという議論がされました。ユネスコは教育の枢要な重要性を強調していって、その開発アジェンダの議論に参画すべきであると。そのユネスコの動向について、次回の執行委員会で報告してほしいと。我が国からは、教育関係の開発アジェンダにESD、持続発展教育、さらにはEFA、そういったものが主導機関であるユネスコの努力によって位置付けられるよう、要望したところであります。
 時間の関係で、大分省略しますが、木曽大使からの代表演説がございました。それが2ページにございます。それから、2ページの下からは、ボコバ事務局長の演説、その改革であるとか、独立外部評価に対して対応している。また、財政難への対応ということで、官房経費の15%削減を目標に、既に14%達成してきたと。2か年ベースでは、つまり、今年の末までには18%削減できる見込みだと。ポストも213凍結したと。プロフェッショナルと秘書的なポストを入れて、ユネスコには1,900ぐらいポストがございますから、およそ10%ぐらいのポストは、退職した後も公募もしないで、凍結しているということでございます。また、中東諸国から7,500万ドルほど拠出された緊急基金、そういったもので財源不足をカバーしているけれども、もうこれ以上持たないというお話があったところであります。
 そういった非常に厳しい状況の中での今後の中期戦略、事業・予算の審議になったわけでありますけれども、その3)のところにいろいろ書いてございます。例えば上から三つ目の項目で、組織のスリム化というようなことで、コミュニケーション・情報局というのがありますけれども、そこからもうICTの関係は、教育、科学とかそういったところに移してはどうかとか、あと、記憶遺産事業は文化局へというような、事務局の提案があったわけですけれども、アメリカ等の強い反対により見送ることとされました。
 また、一つ飛びまして、ESDについては、重要性が共有され、いろいろな事業上のところにハイライトされておると。また、サステイナビリティ・サイエンスについては、冒頭申しましたようなことが議論されました。
 続きまして、特に次のページ、4ページ目のところですけれども、米国の拠出再開が行われない場合のキャッシュフローの不足に備えて、今後2年について、名目ゼロ成長、ZNGというのは、ゼロノミナルグロースの場合の6億5,300万ドルのほかに、キャッシュフローが不足した場合のプランBとして、5億700万ドルの緊縮予算案が事務局から参考として提案されたということがございます。
 そのほか、個々の事業について、幾つかまとめておりますが、4)では、ジオパークというものがまだ正式なプログラムにはなっておりませんが、今後、正式なプログラム化するような提案がなされたというようなことがございます。また、開発アジェンダについて、教育の重要性について議論がされたというようなことは5)にございます。
 後ほど御覧いただければと思いますが、9)のところでは、カテゴリーⅡセンターという名前がいきなり出てきますけれども、これは各国がそれぞれ作るものですけれども、ユネスコの執行委員会が認めて、ユネスコと深い連携を持ってやっていくセンターでございます。今回、八つ、新設が認められましたが、うち、中国が二つ、韓国が二つというように、アジアの諸国がかなり提案を新たにしています。日本につきましては、次のページに行きまして、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)という、国土交通省が中心になってやっているセンターの更新が認められたところであります。
 また、一方、ユネスコ事務局と国内委員会との協力についての「レビューのフォローアップに関するオープンエンドな三者ワーキンググループ」という長い名前のワーキンググループがありまして、ここではユネスコ本部と加盟国、国内委員会との関係はどう在るべきかということについて、ワーキンググループが行われまして、お手元の資料の10ページ以降に、今後の行動計画(案)等が取りまとめられているところであります。
 また元に戻りまして、6ページのところで、この機会に国際統括官がボコバ事務局長と会うことができました。統括官からは、教育問題の重要性に言及したところ、事務局長からも、今後の開発アジェンダの中で教育を位置付けるためには、加盟国の強力な支援も必要であるということが言われました。また、サステイナビリティ・サイエンスについての最近行われたワークショップの結果についての意見交換、それを踏まえたC/4、C/5への意見交換も行いました。また、今現在、日本ユネスコ国内委員会で議論している民間ユネスコ活動の活性化についても意見交換がなされ、ボコバ事務局長からは、それは大変重要な事項であり、民間からの参加を得た、目に見えるユネスコ活動の展開を期待するという旨の発言がありました。
 先ほど来申しておりますC/4、C/5につきましては、この秋の執行委員会、さらに総会が11月にございますが、そこで審議され、決定され、明年の1月から新しいC/4、C/5として実施に移されていくことになります。以上でございます。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告について、時間が余りないんですけれども、御質問、御意見ございましたら頂きたいと思いますが。
ないようでしたら、すみません。それでは、本年11月の第37回ユネスコ総会に向けて、国内委員会としても、文部科学大臣及び外務大臣からの諮問を受けて、対処方針の答申を作成していくことになりますので、各小委員会の議論を経て、8月の運営委員会で取りまとめて、9月の国内委員会の総会で決定していただく予定でございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 アメリカが、法律があって、パレスチナの問題のお金が払えないのはなかなか大変な問題ですけれども、日本ないし国内委員会で何かできるのかどうかというのは、これはなかなか難しい問題だと思います。それはもう時間がないので、今日は割愛させていただきますけれども。それでは、最後の議題、「その他」に入らせていただきます。
 初めに、事務局から今後の日本ユネスコ国内委員会関係行事等について、説明がありますので、お願いいたしたいと思います。

【本村補佐】 
 それでは、お手元の参考資料6・7・8を御覧いただきたいと思います。まず6を御覧いただきたいと思います。
 今後の日本ユネスコ国内委員会関係の行事につきまして、今後、6月16日から27日にかけて、カンボジアのプノンペンにおきまして、第37回世界遺産委員会が開催される予定でございます。この委員会におきまして、富士山の最終的な登録の可否について決定される予定です。また、6月18日から21日に、ユネスコ記憶遺産国際諮問委員会が開催されます。これは我が国から推薦しております「御堂関白記」、「慶長遣欧使節関係資料」ほかの登録の可否が決定される予定でございます。
 また、7月23日から24日にかけまして、パリにおきまして、来年11月の持続可能な開発のための教育、DESDの最終年会合の準備を議論します国際ステアリンググループ、これは佐藤副会長にメンバーになっていただいておりますけれども、この会議が開催される予定でございます。併せて7月25日にタスクフォースを開催いたします。
 また、8月に、日程はまだ未定でございますが、日韓教職員交流プログラムを行う予定でございます。
 さらに、9月19日、先ほども話に出ましたけれども、パリにおきまして、サステイナビリティ・サイエンスに関する国際会議を予定してございます。
また、9月23日から10月11日にかけまして、パリにおきまして、第192回ユネスコ執行委員会、これに続いて、11月5日から20日にかけまして、第37回ユネスコ総会が行われる予定でございます。
 日本ユネスコ国内委員会関係につきましては、先ほど申し上げましたとおり、本日以降、各小委員会におきまして、9月10日まで以下の小委員会が開催される予定でございます。
 参考資料7を御覧いただきたいと思います。こちらはEducation for Sustainable Development (ESD)の訳語の取扱いでございますけれども、これまで日本ユネスコ国内委員会といたしましては、教育小委員会の提言を受けまして、「持続発展教育」という訳語を使ってまいりましたけれども、他方で、政府内におきまして、環境省、外務省におきましては、「持続可能な開発のための教育」という文言を使用してございました。来年の世界会議に向けまして、日本政府としてやはり統一した訳語を使用するべきであろうということもございまして、今後、政府として作成する文書におきましては、訳語を「持続可能な開発のための教育」に統一することで、先日、5月9日の教育小委員会でお話を頂きまして、このように整理させていただいております。
 参考資料8でございますけれども、これは5月21日付けで報道発表しておりますが、ユネスコが実施する記憶遺産事業に関して、日本ユネスコ国内委員会ユネスコ記憶遺産選考委員会で、再来年、2015年のユネスコでの登録に向けまして、「東寺百合文書」を推薦することを決定しております。以上でございます。

【広瀬普及活動小委員長】 
 ありがとうございました。そのほかに特に報告ないし審議する案件はございますでしょうか。あとコメントも。
 ないようですので、それでは、これで閉会いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、長い間ありがとうございました。運営小委員会につきましては、次回第490回を8月28日水曜日の15時から17時で予定されておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、普及活動小委員会につきましては、長くなって恐縮なんですが、この後、引き続いて17時まで第95回を開催せよというお達しなので、そのまま御在室していただければ幸いです。
 なお、これから事務局が座席の調整等を行いますので、5分ほど適宜休憩を取っていただければと思います。普及活動小委員会の方、どうぞ、お帰りにならないでお残りください。すみません。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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