ユネスコ記憶遺産(Memory of the World: MoW)事業のユネスコにおける選定基準

文化的価値を測定する絶対的基準は存在し得ないため、審査は比較に基づく相対的なものとなる。よって、登録簿に含むかどうかの判断は、案件毎に選定基準及びMOWガイドラインが規定する一般方針に照合する形で進めるが、これまでに認可、不認可となった他の推薦案件との関係も考慮する。

(1)真正性

記憶遺産の本質や出所(複写、模写、偽造品でないか)の確認。

(2)世界的な重要性、唯一性、代替不可性

ユニーク(特有)で代替不可なものであり、その損失や悪化が人類の遺産にとって損害となるもの。長期間にわたり、又は、世界の特定の文化圏において多大な影響を及ぼしたもの。歴史上、プラス(正)又はマイナス(負)の影響力を持つものでなければならない。尚、世界的な重要性とは相対的概念であるため、以下の基準を1つ以上満たす必要がある。

●年代:各記憶遺産はそれぞれの時代を背景に創作されるものであり、絶対的な年代自体は重要性に関係しないが、特に、世界の危機的時期、文化・社会的に重要な時期などを喚起させるもの。また、新発見や特定の分野において草分けの存在であること。

●場所:記憶遺産が作成された場所は、重要性を決める主要な要素である。作成された場所自体が、記録により示される出来事や現象に対し重要な影響を及ぼす場合がある。

●人々:その作成に伴う社会的・文化的側面が、人間の行動、社会・産業・政治的発展に関する重要な部分を投影すること。重要な時代の潮流、変革、進展、退行などを捉え、主要人物や団体の影響力を反映するもの。

●題材・テーマ:自然科学、人文・社会科学、政治、イデオロギー、スポーツ及び芸術の分野において、歴史上又は知的な発展を示す題材であること。

●形式・様式:美的、様式、言語的な面において顕著な価値を有するもの。表現方法、習慣や媒体に関して典型的又は見本であるもの。すでに消失した又は消失しつつある被写体・様式のもの。

(3)その他

希少性、完全性、又、保存のための管理計画の有無により、その記憶遺産の重要性が決められる。国際諮問委員会は、必要に応じて、上記基準を適用する際の運営指針を作成する。

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国際統括官付