日本ユネスコ国内委員会第133回文化活動・第97回コミュニケーション・第97回普及活動合同小委員会 議事録

日本ユネスコ国内委員会
第133回文化活動・第97回コミュニケーション・第97回普及活動合同小委員会

1.日時
平成28年3月2日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所
文部科学省東館15階特別会議室

3.出席者
(委員)
岡田保良(文化活動小委員長代理)、西園寺裕夫(コミュニケーション小委員長)、二瓶和敏(普及活動委員長代理)
相賀昌宏、長有紀枝、島谷弘幸、丹波秀樹、平野英治、吉見俊哉、秋永名美、井出明子、稲葉カヨ、及川幸彦、林梓、安達仁美、有里泰徳、河内順子、今みどり、高尾初江、中西正人 〔敬称略〕
(事務局)
山脇日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、福田日本ユネスコ国内委員会事務次長(国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4.議事
【西園寺委員長】  それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきます。本日は御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
まずはじめに、事務局から定足数の確認をお願いいたします。
【野田国際統括官補佐】  本日御出席の委員が、文化活動小委員会の委員が7名、コミュニケーション委員会委員が7名、普及活動小委員会の委員が8名でございます。委員の過半数でございますが、文化が7名以上、コミュニケーションが6名以上、普及が8名以上でございますので、3委員会とも定足数を満たしております。以上です。
【西園寺委員長】  それでは、ただいまより第133回文化活動・第97回コミュニケーション・第97回普及活動合同小委員会を開催いたします。
本日の議題のうち、議題1は人事案件の審議となりますので、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づきまして、非公開とさせていただきます。非公開の部分を除いて、御発言は議事録としてそのままホームページ等に公開されますので、御承知おきください。
ここで、議事に先立ちまして、委員の配属について御報告を申し上げます。配付資料、参考1を御参照ください。
先月の国内委員会総会において、新たに文化活動小委員会に北川イッセイ委員、丹羽秀樹委員が配属されることになりました。
それでは、事務局から配付資料の御説明をお願いいたします。

(事務局から配付資料について説明)

【西園寺委員長】  ありがとうございます。
次に、議題1の「文化活動小委員会委員長及び普及活動小委員会委員長の選出等について」に入ります。
本議題は人事案件の審議となりますので、日本ユネスコ国内委員会の会議の公開手続第1項に基づきまして非公開とさせていただきますので、傍聴者の方は恐縮ですけれども一時御退席をお願いいたします。
(傍聴者退室)

<議題1.文化活動小委員会委員長及び普及活動小委員会委員長の選出等について>
(規定により非公開)

(傍聴者入室)
【西園寺委員長】  それでは、議題2、3につきましては、岡田委員長の方で進行をお願い申し上げます。
【岡田委員長】  よろしいでしょうか。
それでは、御指名ということですので、議事を始めさせていただきたいと思います。
まず、議題2「第38回ユネスコ総会の結果等について」、それから議題3「登録事業を含めたユネスコの文化活動の在り方について」に移りたいと思います。
それでは、まず昨年11月に開催されました第38回のユネスコ総会、それから本年2月のこの国内委員会総会、そしてまた各小委員会での議論の概要を事務局から御報告をお願いしたいと思います。
【福田国際戦略企画官】  失礼いたします。
資料6、それから資料7を御覧いただきたいと思います。資料6、「第38回ユネスコ総会の結果について(概要)」でございます。
先日の総会に御出席いただいた委員におかれましては、若干繰り返しになりますので、要点を御説明したいと考えております。昨年の11月5日から7日ということで、馳文部科学大臣が、文部科学大臣としては10年ぶりにユネスコ総会に参加したところでございます。この1枚目の4ぽつ「概要」にありますとおり、一般政策演説を行ったほか、下のボコバ事務局長との協議を行ったところでございます。いずれにおきましても、ユネスコ記憶遺産に関しまして、事業の改善というようなことを呼びかけた、そして、ボコバ事務局長に要請をしたというようなこと、それから上の一般政策演説におきましては、そのほかにもESDの推進、あるいは科学分野の推進、また遺産保護事業を通じた文化多様性の促進あるいはスポーツの推進などについて述べたということでございます。
次に、2枚目をお開きいただきたいと思います。このほか各国教育大臣との意見交換を行ったほか、ESDに関しましてはユネスコ/日本ESD賞、これは日本政府の支援によりユネスコに創設されたものでございますけれども、初めての授与式を行ったところでございます。
次に、その下の2ぽつでございます。日本ユネスコ国内委員会会長ステートメントでございます。これは各小委員会におきましても審議を行ったところがございますので御承知かと思いますけれども、もう一つの資料の資料7でこのステートメントを配付させていただいております。これを、安西会長が同じくユネスコ総会に出席をいたしまして、直接ボコバ事務局長に渡したというところでございます。この中身につきましては、ここに書かれておりますとおり、「知的リーダー」として新たな時代の国際社会の形成に貢献していくべき、そして持続可能な社会あるいは多様性を尊重する社会の実現への貢献を求めたというところでございます。
このほか、このユネスコ総会におきましては、3.のところにございますとおり、丸1で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、これについてはまた後ほど説明がございます。また、次のページをおめくりいただいて、これは科学分野の関係でございますが、ユネスコ世界ジオパークの正式事業化が決定された、こういったことが主な総会における決定事項ということでございます。以上でございます。
【岡田委員長】  では、次に行ってよろしいですね。
次、記憶遺産の現状と今後の改革について、御報告をお願いしたいと思います。
【福田国際戦略企画官】  失礼いたします。資料8、それから資料9を御覧いただきたいと思います。
先ほどの総会の報告でも説明いたしましたとおり、記憶遺産について馳文部科学大臣の方からも直接働きかけを行ったところでございます。その経緯といたしましては、この資料8にありますとおり、昨年10月の第12回ユネスコ記憶遺産国際諮問委員会の審議を経て、このユネスコ記憶遺産に新たに登録されるものが決定されたところでございます。この中で、我が国からの申請物件として「舞鶴への生還」、それから「東寺百合文書」、この2件が登録をされたところでございます。
他方で、もう一つの資料9の2のところにございますが、中国の関係機関によって申請された「南京事件」に関係する文書についても登録が発表されたということでございます。これに関しまして、2に記載されておりますとおり、この案件が記憶遺産として登録されたことは中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾であること、そして、この記憶遺産に関しましては、文書遺産の保護あるいはアクセスの確保などを目的として、その基準を満たした登録するという事業の本来の趣旨に鑑み、政治利用がされることがないよう、ユネスコ加盟国としてしかるべく本件事業の制度改革を求めていくということが外務報道官の談話として出されたところでございます。
これを受けまして、先ほどのユネスコ総会において馳文部科学大臣からも働きかけを行ったところでございますし、その後も引き続いて関係各方面との調整を日本政府として進めているというところでございます。
なお、先ほど申し遅れましたが、こういった状況について、先の国内委員会総会でも説明をさせていただき、また松浦前事務局長からも今の状況について御説明いただき、また委員との間でも意見交換がありました。しかるべき対応をしていくことが重要であるといった意見がございました。また、併せて安西会長の方から、この記憶遺産あるいはユネスコ世界ジオパークなど、ユネスコにおける様々な登録事業というものがあると御説明がございました。こういったものについて、それぞれ趣旨やルールなどが異なるところでございますけれども、こういった状況について、国内委員会としても全体の状況をよく把握しておく必要があるのではないかといった意見が国内委員会総会の場において出されたところでございます。以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
ただいま事務局の方でも触れられましたが、ユネスコにおける登録制度、世界遺産をはじめ最近注目されるところが多いわけですけれども、登録制度についての若干の説明を事務局からしていただきたいと思います。お願いします。
【福田国際戦略企画官】  引き続いて失礼いたします。
資料10、それから資料11、それぞれ1枚物の資料でございます。先ほど申し上げたような総会における議論というのを踏まえまして、私ども事務局の方で資料10、それから資料11を作成したところでございます。
資料10は、ユネスコにおける登録制度を一覧にしたものでございます。ここで左にありますのが先ほど申し上げた記憶遺産でございます。それから、左から三つ目にございますのがジオパーク、先般の総会で正式事業化が決定されたものでございます。このほか、ユネスコが事務局における事業として実施しているものにユネスコエコパーク、それからユネスコ・クリエイティブシティーズネットワークというものがございます。また、御承知のとおり、条約に基づいて実施されているものとして、右にあります世界遺産、それから無形文化遺産というものがございます。
それぞれの対象や、あるいは国内、あるいはその後の審査における状況についてはこの下に書かれているとおりでございますけれども、いずれにいたしましても、それぞれの事業、それぞれの趣旨や、あるいはこれまでの発展の経緯というものがそれぞれに異なるところがございます。したがって、それが必ずしも統一されていないということが即問題になるということではないと思っておりますけれども、ただ、この記憶遺産も含めユネスコにおける登録制度というものが非常に注目される状況というのが、特に近年においてもあるというようなところを考えますと、このような一覧にすることによって、相互にどのように状況になっているのかということを今後考えていく上の一つの参考にはなるのではないかと考えているところでございます。
その上で、資料11でございます。このような状況というのを踏まえましての、本日お願いをしたい意見交換としての、あくまで一つの視点の例ということでございます。したがって、これに限ったものではないと思っておりますけれども、まず一つ目のポイントといたしまして、これらの登録事業が今日我が国にとってどのような意義を有するものと考えられるかと、それを改めて再確認するということも有益ではないか、というものでございます。こういった記憶遺産であれエコパークであれ、関係する活動あるいは地域における様々な活動に焦点を当てる、プレイアップすることによって活性化というものが期待できるということ、そしてそれはすなわちビジビリティの向上や、あるいは国内外に対する広い普及啓発の効果があるといったことが考えられるのではないか、ということ、もちろん当然それが十分であるか、といった観点もあろうかと思っております。
二つ目でございますけれども、登録事業というものが非常に注目されるわけでございますが、御承知のとおりユネスコの活動というのは当然この登録事業だけではございません。他にもESDをはじめ様々な取組というのが行われているわけでございますけれども、もちろんそういったものの連携が図られるように様々な取組も行われております。例えば志賀高原はエコパークの指定を受けておりますが、その中でESDに関する活動と、できるだけ多くの教育機関が志賀高原を訪れて、そしてESDについて学ぶというような取組を進めていただいているところでございます。そういったその他のユネスコ活動との連携をどのように進めていくべきか、あるいは現状は十分であるか、連携を深めるにはもっとこのようなことをやっていくといいのではないか、といった御意見などを頂ければありがたいと思っております。
そして、最後の三つ目の白丸でございますけれども、今申し上げましたこういった最近の状況、あるいは国内外の関心の高まり、こういった取組は当然ほかにも国内においてが行われていると承知しております。この国内委員会として、今後こういったユネスコにおける登録事業というものに関して、何らか意見などを私ども日本政府、あるいはユネスコの事務局に対して考えられるかどうか、というような視点でございます。もちろん、このユネスコの取組というのは当然我が国だけではなく世界各国で取り組まれているものでございまして、国際機関における様々な議論を経て、今の多様な取組というのが行われているわけですので、必ずしも日本としての意見というものがそのまま取り入れられるというものではございませんけれども、今後日本政府としてそれぞれの登録制度に対応していくに当たって是非参考にさせていただければと思っている次第でございます。以上でございます。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
委員の皆様、御質問等あるかと思いますが、もう少しお待ちいただきまして、次の私からの御報告の後、まとめさせていただきたいと思います。
資料12を御覧いただけるでしょうか。たまたま私が副会長を務めております文化遺産国際協力コンソーシアムについて御報告させていただく時間を頂きました。事務局の方々、あるいはほかの委員の先生方に、お礼申し上げたいと思います。
時間もございませんので、早速コンソーシアムとはどういうものかという御説明を、画面あるいはお手元の資料を御覧いただきながら進めたいと思います。
皆様、このコンソーシアムという組織ないしは活動を御承知だったでしょうか、という辺りから入りたいと思います。この制度が始まりましてちょうど今年で10年が経過しようとしています。どういう経緯でできたかと申しますと、2000年頃から海外、代表的な例としてはアフガニスタンのバーミヤン、あるいはイラクにおける戦争下での文化財被害等ございまして、それは2003年でしたけれども、そういう海外の文化財事情を背景に当時の自民党懇談会が発足されるとともに、政権交代などがありまして、民主党でも同じような連盟ができたりしております。そして、特にこの間海外の文化財被害を何とかしないといけないということで活躍されたのは、亡くなられました平山郁夫先生でございました。文化財赤十字構想などという考えを広くお話されておりました。2006年に至りまして、超党派の法律制定の動きが起こってまいりました。そして、ようやく「海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律」という法律が2006年に成立いたしました。そして、直ちにそれを肉付けする基本方針が定められまして、私どもコンソーシアムが設立されたということでございます。
どういう事業を行っているかと申しますと、一つには海外の文化遺産の保護ということに関しましてはいろいろな機関、あるいは研究者の方々が関わっていらっしゃいました。それぞれ必ずしも横のつながりがないまま長年にわたって活躍されてきたわけですが、そういう機関や人とのネットワークを会員制度というようなものを介して進めていこう、それからそのコンソーシアムにおいてあらゆる海外の文化遺産に関する情報を収集し、あるいはそれに関わる行事、イベントなどの情報の発信ということも併せて行う。それから、これは大きな狙いだったわけですが、左下の調査研究ですね、海外において我が国に対してどういった支援を期待されているかというようなことを中心に、海外の事情を調査して、それを我が国が持っているいろいろなポテンシャル、援助のファンドとかそういうものにつなげていくというような調査をしていこうということがありました。それから、そうしたいろいろな活動をシンポジウムだとかあるいは出版物を通じて広報・普及するというような、一応私どもではこういう4本の柱を立てて活動をしているわけでございます。
それぞれの4本の柱一つ一つについて簡単に御説明申し上げますが、調査研究事業といたしましては、先ほど申しましたように、どういう国がどういう援助を必要としているのかということを調査する。それと、もう一つは、これは最近になってからですけれども、必ずしもそうした国際協力というのは日本だけがやっているわけではもちろんないわけで、ヨーロッパはじめ最近では中国・韓国でも同様な支援の動きがあり、そういうところではどういう形の援助をしているかということも最近の調査の課題となっています。
それから、研究会を定期的に、大体年2回ぐらいの割合でやっておりますけれども、特に最近では海外の文化遺産の危機というものが注目されておりますので、シリアやイラクのテーマを研究会で取り上げたり、あるいは我が国がどういった援助をしてきたかということも議論のテーマになったりしております。それから、この研究会というのは主に私どものコンソーシアムに登録されている方々を中心とした会員が主なメンバーであるわけですが、そのほかに広く一般の方々にもこうした文化遺産の国際協力を理解していただこうということで、少し大きな会場を利用させていただいてフォーラムあるいはシンポジウムというようなことをやっております。
幾つか例を挙げれば、昨年東南アジアのASEANの国々の方々からいろいろな御意見を伺う機会を設けたり、あるいは日本の多くの方が注目するシルクロードについての国際動向、あるいは先ほど事務局からもありましたような、世界遺産の登録制度が今どうなっているかというような、国際的な文化遺産保護に関する情報を広く国民に知っていただきたいということで、こういうイベントを続けております。そして、そうした事業をウェブサイトも積極的に利用しておりますし、印刷物もいろいろ刊行しております。本日委員の皆様のお手元には、正方形の小さなパンフレットをお届けしたかと思いますが、これがちょうど今画面で御報告申し上げているコンソーシアムそのものの御理解いただくためのパンフレットです。それから、最初にお配りいたしましたA4サイズの方は、これは私どもで収集したもので、決してコンソーシアムの事業ということではございませんで、外務省の信託基金の事業だとかそのほか日本のいろいろな機関が海外への文化遺産協力をされた、そういう主な事業をここで御紹介するというものでございます。
27年度を例にとりまして、どういう事業をしたかというご報告でございますが、多岐にわたる文化遺産協力ですので、進行の方法あるいは議題の取り上げ方として三つほどの会議体を設けております。一つは、これが主な議決機関というと言い過ぎかもしれませんが、運営委員会でございます。それから、総会というのも設けております。これは全ての会員に状況を提供するということで、別に最高決定機関とかそういうことではございませんが、設けております。それから、世界中を扱いますので、一応地域を、六つぐらいだったでしょうか、分けて、分科会を設けております。さらに加えて、コンソーシアムをどういうふうに進めていくかという企画の分科会もございます。さらに、個別の事業に関してはワーキング・グループを設けたりもしております。
それから、これは繰り返しになりますけれども、27年度情報共有あるいは情報発信という面では、シンポジウム、研究会、それからかなり頻繁にメールサービスをさせていただきました。それから、会員の方からアクセスしていただくサイトの運営、さらにサイトでの広報活動、出版物、そして今度はいろいろな人から情報を頂いたものを多くの方に情報発信するといったようなことも続けております。それから、調査という面に関しては、後ほど申し上げますが、国際協力の支援国側からの実態調査をしており、これはまだ継続中でございます。
大きなイベントといたしましては、昨年12月に、これは文化庁と交流基金から大きな支援、御協力を頂いて、3者共同で開催したもので、ちょっと共同開催という文言が抜け落ちておりますので失礼いたしましたが、ASEAN10か国と主に支援する側の国として日・中・韓3か国からそれぞれ代表の方に出席していただいて、多くの方々に現在の支援される側、する側の実情というものをお話しいただきました。
それから、研究会ですけれども、これは少し会員の中での会議ということで、少しこじんまりしたものですが、昨年11月には、実は国際的に活躍していらっしゃるムニール・ブシュナキさんに来ていただく予定がキャンセルされてしまったのですが、注目されている、特に西アジアを中心とした「危機の中の文化遺産」をテーマにいたしました。それから、明日になりますが、2回目の研究会として「文化遺産保護の国際動向」。これは例年今ぐらいの時期に世界遺産などをテーマにして継続している研究会です。明日は青柳長官にも御登壇いただくことになっております。
それから、先ほど申し上げましたメールを通じての情報発信、ニュースの配信というのは、こういう形で月に最低2回ぐらいは送信させていただいております。下の方に計25回とあります。お手元の資料にもそうあるかと思いますが、昨日事務局から連絡がありまして、これは22回の誤りだということでございました。それから、会員に限られた部分と広く一般に公開している部分と両方ありますけれども、サイトでの情報発信も一つの事業として続けております。それから、印刷物は先ほど申し上げたとおりです。
最後に、コンソーシアムの中心になっております国際協力に関する調査でございますけれども、昨年ぐらいまでは主に支援を必要としている国々の実情を大体年2か国ないし3か国ぐらいを対象に調査してまいりましたが、本年度、27年度は、先ほど申しましたように、日本だけではない、最近は中国・韓国からもいろいろな援助が文化財の面で海外に届けられているところで、そういう実情の調査をしております。27年度は韓国と中国、特に韓国についてはメンバーが渡航いたしまして事情を聴いております。来年度はと申しますと、見出しはそう多くは変わりません。ただ、現在企画を練り上げていただいているところですけれども、2006年にコンソーシアムが発足してちょうど10年になりますので、少し注目度を高めると申しましょうか、多少はインパクトの強いイベントとして10周年の記念のシンポジウムを現在企画中でございます。まもなく内容が公表されると思いますので、皆様方の御協力を切にお願いしたいところでございます。
用意いたしましたスライドは以上ですけれども、一言申し上げたいのは、実は先ほど2006年設立という言葉を画面でも使いましたけれども、御承知の方も多いかと思います。特にコンソーシアムを支えていただいておりますのは、文化庁及び外務省という中央官庁の方々ですけれども、まだ実際には機関としての形をとっているわけではございません。現在、上智大学の石澤先生を会長として、私、それから前田耕作先生、それから民博の関雄二先生、3人の副会長という体制は一応作って、400人ぐらいの会員で組織は動いているわけですけれども、まだ正式な機関ということではございません。後ほど、もしかしたら補足の説明があるかもしれませんが、今のところ文化庁の中に事業予算として設けられている、そういう資金で1年1年運営しているというのが実情でございます。
以上、簡単でございますが、コンソーシアムの御説明とさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。
引き続きですけれども、ただいまの私の説明も含めまして、事務局からこの間のいろいろな事業の動きないしは登録制度の御説明があったわけですけれども、委員の先生方から自由な御意見を伺いたいと思います。御質問でも御意見でも結構でございます。いかがでしょうか。
長さん、どうぞ。
【長委員】  長です。御説明どうもありがとうございました。
私がおります難民を助ける会もシリア、アフガニスタン、カンボジアなどで事業を行っておりますので、大変興味深く拝聴いたしまして、組織としても会員など検討したいと思います。ありがとうございます。
質問が2点ございまして、ユネスコにおける登録制度の比較の表についてなのですけれども、まず1点目が、いずれも可否が決定されるわけですが、否となったものが再び申請することが可能なのかどうか、一般的な簡単な質問でございます。
【岡田委員長】  それは幾つかの制度について全部ということですか。
【長委員】  それもばらばらなのか個別に違うのか、その辺りを事実関係として教えていただければと思います。
それから、記憶遺産につきまして、国内における選定プロセスに私も関わったことがあるのですが、この国内公募が、完全な公募なのか、それともやはり政府なりこちらなりがこういうものが記憶遺産に入るべきと思って何か働き掛けのようなことをされるのか。要は完全に公募というと、本当に脈絡なく思われた方、志のある方が応募してくるというような例が多いと思いまして、その辺りをどのように整理されているのか、されようとしているのか、一点お伺いできればと思いました。以上です。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
今、2点について御質問ですけれども、よろしいですか。お願いします。
【福田国際戦略企画官】  失礼いたします。
また、後ほど関係省庁の方でもし補足がありましたら、発言をお願いいたします。
それぞれ、まず登録がだめだというふうになった場合のペナルティないしというのがあるかという御趣旨でございますけれども、やはりそれぞれによってルールが異なるところがございます。中にはそういった場合には、完全な不登録となった場合にはその後一定の期間の間、その次の申請ができないというような運用をしているようなものもございます。したがいまして、そのような不登録というようにならないような、できるだけ調整というのをやっていくというのが一般的なものということもございます。ただ、そういったものが全くなく何度でもチャレンジできるというようなものもございます。ただ、当然基準というものが変わらなければ、それは何度出しても結果というのは同じことになってしまうということでございまして、一般的には改善というのを求めるというような形で議論が進められているというように承知しているところでございます。
2点目の記憶遺産でございますけれども、この点に関しましては、昨年選ばれた「上野三碑」、それから「杉原リスト」、これを選んだ際のプロセスから完全公募という形で始めております。したがって、ここで言う完全公募というのは、今長委員おっしゃったような国内委員会として事前のいろいろな調整ですとかあるいは働きかけだとか、そういったことはせずに、完全に公募した形で、そこから出てきたものの中からすぐれたものを2点選ぶという形になっているということでございます。実際16件の応募というのがございまして、それだけ国内の関係各方面からの関心というのも高まっているということでございまして、その中から質の高いものを選定していきたいという趣旨で現在やっているというところでございます。
【長委員】  ありがとうございました。
【岡田委員長】  よろしいですか。
【長委員】  はい。
【岡田委員長】  関係省庁の方から補足のコメントはございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、河内委員。
【河内委員】  四国の徳島ユネスコ協会から来ました河内です。
今、日本は御存じのように都会と地方は非常に格差が広がっております。学校のESDも進めておりますけれども、それよりも統廃合が問題になったり、それから町そのものも持続開発ができない、消滅するのではないかという危機を持っているところがあります。それで、世界遺産ですが、四国には世界遺産が全くないということで、今年四国88か所の遍路道を世界遺産に向けて、まず暫定リスト入りを目指してはいるのですが、このいただきました資料10の暫定リストに記載されるのもなかなか難しいと聞いております。提出すれば暫定リストにまずは記載されるものなのでしょうか、ということを教えていただきたいと思います。
私たち地域のユネスコ協会としましたら、やはり地域のコミュニティと一緒になって地方の自然とか伝統的な文化をどう維持していくかという視点で活動しているというところもあります。世界遺産とか暫定リスト入りになると、地域には今企業も来てくれないような状況なので、せめてもの観光で人に来ていただいて、活性化につながらないかと考えておりますので、まずは暫定リスト入り、暫定リストに記載されるものかどうかを教えていただければと思います。
【岡田委員長】  四国での4県が合同で進めていらっしゃる……。
【河内委員】  そうです。産官学民で進めております。
【岡田委員長】  遍路道が暫定リストに入らないかという御質問と承ればいいでしょうか。
【河内委員】  はい、提出すれば登録はされるものなのか、暫定リストに入るためにはほかに選定基準があるのか。
【岡田委員長】  私が承知している限りでは、ルールははっきりとしていないように思いますが。
お答えを頂けますでしょうか。
【小畑専門官】  文化庁の記念物課でございます。
暫定リスト、希望する自治体が四国のほかにも幾つか実際に活動されているというふうには伺っておりますが、現時点でも暫定リストに相当数の遺産が登録されている状況でございまして、自然遺産と併せて年に1件ですけれども、文化遺産につきましては大体年に1件しか世界遺産への推薦ができないという状態の中で、文化庁としては、今ある暫定リストを確実に登録していくということにまず取り組んでいくということで進めているところでございますので、その状況がある程度解消された後には、暫定リストの更新というものもやっていく必要があるのかなと思いますけれども、暫定リストの記載そのものは文化庁の方で選定を行いまして、記載をするということになりますので、状況を見極めつつ、その間に準備をされている自治体の準備状況なんかも見極めながら、暫定リストの更新をどのようにやっていくのかということについては判断をしていくことになるのかなと思っております。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
世界遺産を目指す、あるいは暫定リストを目指して地元では作業を続けていただいた方がいいだろうというように理解してよろしいですか。
【小畑専門官】  そうですね、今すぐどうこうというところにつきましては、申し上げましたとおり、既に幾つか暫定リスト入りして準備しているものもございますので、すぐにということにはならないかとは思いますけれども、準備を続けていただいて、順番が回ってくれば暫定リストの更新といったものについても検討していくことになるのだと思っております。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
河内委員、よろしゅうございますか。
【河内委員】  一応8月8日に暫定リストに提出すると、88か所ですから8月8日ということで進めているというふうには聞いておりますけれども。でも、提出してもその次どうなるのかがちょっと見えなかったものですから、お聞きしました。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
どうぞ、二瓶委員。
【二瓶委員】  二瓶と申します。ユネスコの記憶遺産の新規登録についてという談話がありますけれども、これについてちょっと質問してもよろしいでしょうか。
その中で、私も最近ちょっと記憶遺産の申請で、いろいろ各国含めて意外と政治問題化しかねないような内容のものが数件出てきているような気がするんですね。非常に各国が鋭い対立というか。ユネスコは本来からいうとそれをどういうふうに平和な形で持っていくかということですから、余り対立的になるようなことについては、かなり、これは日本だけではなくて各国がやっぱりきちんとその辺りを考えて、あるいは特にパリ本部がそういうことを考えて進めなくてはいけないのではないかという感想を持っております。
一つこの中で、政治利用されることがないようにということが非常に私も大事なことだと思うのですが、実際上、この問題はパリ本部でどういった受け止め方がされて、かつ、いわゆる南京事件についての文書が記録遺産に登録されたということについて、各国の反応と受け止め方もし分かっていればお話しいただければと思っております。よろしくお願いします。
【岡田委員長】  事務局、お願いできますか。
【福田国際戦略企画官】  後ほど外務省さんの方でもし補足がありましたら御発言いただければと思いますけれども、私の方で把握している範囲で御説明させていただければ、政治利用はないようにということで働きかけというのを行っているというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。
そのためには、まさしく二瓶委員おっしゃった、もともとユネスコというのは分断ではなく融合と。つまり、対話という形でそれぞれの国の状況というのを尊重しながらよりよい世界を目指していくというのが趣旨であるということでございます。その意味におきましては、記憶遺産の現在の制度におきまして、必ずしも対話というものを行えるようなものになっているのかどうかというようなところの問題意識というのをまず各国に伝えるということが重要であると思っております。したがって、いわゆる「南京事件」というようなお話もありましたけれども、その扱いうんぬんということはもちろん別途の問題といたしまして、いずれにしてもそういった対話というものを、透明性のある形で行えるような在り方というものの必要性ということを、まずは各国の方に理解をしていただくことが重要ではないかということでございます。
そういったことにつきまして、当然これはいろいろな国と意見交換というのが行われているところでございますけれども、一定の理解というものも進んではいる。ただ、それを踏まえてどのような形で今後制度が変わっていくかということにつきましては、現在においてもその調整が行われているというところでございます。
【岡田委員長】  二瓶委員、よろしいですか。
【二瓶委員】  結構です。ただ、この「南京事件」の問題については各国どんな受けとめた方をしたというように国内委員会としては感想を持っておられるのですか。日本としてはこれについて……。
【岡田委員長】  当事国以外がどういうふうに捉えたかということですね。
【二瓶委員】  そうです。日本がどう捉えたかについては報道もされていますし、この見解にも出ているのですが、各国がこういう問題についてどのように考え、かつ改善しようという方向に進んでいるのかどうか。今言われたように透明性を持つとか、きちんとした形で議論するとか、あと、人選の公平性とか、そういうことも日本政府も要求していますけれども、各国のそれについての考え方とか、それらはもし把握されているのであれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
【福田国際戦略企画官】  状況につきましては、これは外交的な案件でございますので、詳細については差し控えたいと思っております。
【山脇国際統括官】  少なくとも、馳大臣が総会に出席したときにボコバ事務局長とも会って、この記憶遺産の課題についてもお話ししているのですが、ボコバ事務局長は今の記憶遺産制度について、少なくとも透明性が欠如しているというか十分ではないという点についての問題意識は共有するということを言っていますので、この政治的な利用になっているのではないかという日本の問題意識に対して、事務局長としては、透明性の向上を含めた改善が必要で、その取組を進めているというようなお話でしたので、基本的にはその方向で共有できているのではないかなと。具体的にどういうような形で制度改善を進めていくのかについては、まだ進行中でありますので、今後また検討は必要というような状況かなと思っております。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
では、及川委員、手が挙がっていました。
【及川委員】  資料10について御説明ございましたように、ユネスコにおける登録制度はこういう様々な登録制度があって、日本各地もそれに認定されているわけです。この一つ一つの登録制度をまちづくりあるいは観光資源として活用するというのは十分意識されていることだと思うのですが、先ほど福田企画官の御説明にございましたように、志賀高原の例をお話になりましたけれども、このすばらしい日本の財産を是非教育資源として活用するような働きかけを国内委員会としても強力に推進していただきたいと思うわけです。
私は東北地方のユネスコ活動を代表するという立場ですけれども、こと東北地方に限っても御存じのように白神山地の世界自然遺産、それから平泉の世界文化遺産、あるいは鶴岡の創造都市、いわゆるクリエイティブシティーズ、あるいは只見のエコパーク、三陸も世界ジオパークを今目指していますけれども、そういう様々な取組がございます。こういうものを国内委員会が強く普及あるいは提唱しているESDの大事な資源として活用するということは、非常に地域の創造性を高める、あるいは誇りといいますか、地域に対する愛着をさらに醸成することになると思うんですね。
そういう意味で、実際、私も関わっていますけれども、只見の方ではエコパークとユネスコスクールを一緒に進めていますし、平泉も世界遺産学習という切り口でESDを進めています。白神の方もこれからESDという形でやっていくと言っています。そういうことがやはり日本全国で展開されると、この登録というものがより価値を増すのではないかなと思いますので、そういう視点で、是非それらの登録地域に、ユネスコスクールのみならずESDとして、あるいは、ほかの教育としても活用・推進するように御助言なり情報提供を頂ければ大変良いかなと思います。以上です。
【岡田委員長】  ありがとうございました。私も以前どこかで申し上げたことがありますが、世界遺産というものはESDの後ろのSDの一つのコアになるのではないかというようなことを申し上げたことがございますが、それを教育の方にも是非活用してほしいということだと思うのですが。
何か事務局の方からコメントはございますでしょうか。よろしいですか。
ほか、御質問等いかがでしょう。何でも結構でございます。よろしいでしょうか。
では、安達委員、どうぞ。
【安達(仁)委員】  お願いします。安達です。
先ほどの資料11の二つ目の視点のところで、登録事業とそのほかの活動との連携をということで、先ほど志賀高原の例も挙げていただいたのですが、その点でも、先ほど御説明いただいたコンソーシアムというのは、一つ可能性を持ったものになるのかなと思いました。
ちょっとこのコンソーシアムに関しての質問なのですが、頂いたパンフレットの裏側を見ると、会員についてのところで、会員が今396名、27団体ということで、そのうち4名が学生会員ということなのですが、学生とか青年がどういう形でここに関わっていけるのかということについて、また会員になる条件だったりとか、今活動している青年なんかにも文化財だったりとか地域の文化財の保護について関心を持っている若者もたくさんいると思うのですが、そういう若者に対しても関わっていけるものなのかどうなのかということを教えていただけたらと思います。
【岡田委員長】  では、私の方から簡単に。
実は、学生に、あるいは若い方にどんどん参画をしてもらうというのは、つい最近そういうような意見、動きが出てまいりまして、特に資格があるということはございませんが、必ず推薦していただく方を必要とすると。それから、学生会員というのを別にしている理由は、学生である現在は非常に文化遺産に興味があるけれども、卒業されると社会人になってどうなるか分からないということで一応区別しているのですが、余り意味があるとは私は思っていません。できるだけ若い方に、将来を担っていただく方に関心を持っていただく。特に資格条件があるわけではありませんので、これからはどんどんアクセスしていただいて会員になっていただきたいと思っています。
【安達(仁)委員】  個人レベルでも入ることはできるのですね。
【岡田委員長】  もちろんそうです。
【安達(仁)委員】  分かりました。
【岡田委員長】  どなたが、だからこれは我々の紹介の仕方もまだ十分ではないかもしれませんが、どなたかコンソーシアムに関わっている人をキャッチすれば、簡単に入会ができるという状況でございます。
【安達(仁)委員】  その方の推薦を得て入るという形ですね。分かりました。
【岡田委員長】  ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。幾つか御意見を頂きました。事務局の方では今後こうした議論を踏まえていただいて、幾つもいろいろな種類、いろいろなパターンのある登録制度について検討を深めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、文化小委員会の議題は以上で終了しましたので、この後の進行は西園寺委員長、コミュニケーション小委員会の方にお譲りしたいと思います。
お願いいたします。
【西園寺委員長】  それでは、議題4の若者や企業をはじめとする多様なステークホルダーの参加促進についてについて審議を行います。本議題は、コミュニケーション小委員会及び普及小委員会の両方に関わる議題でございますので、両小委員会の委員の先生方より積極的な御発言をお願いしたいと思います。
まず、最近のESDを通じた普及活動について、事務局から御報告をお願いいたします。
【野田国際統括官補佐】  申し上げます。
関連資料は13から21でございまして、どれか特定のもののみを使うわけではなく、それぞれにおいて少しずつ触れさせていただきますので、御用意だけお願い申し上げます。
まず、これに至ります背景につきまして簡単に御説明申し上げますけれども、先生の皆様方は御存じかと思いますが、国連ESDの10年、こちらが2014年をもって終了いたしまして、現在2015年よりユネスコのグローバル・アクション・プログラムという後継プログラムが世界的に開始・展開されているところでございます。五つの優先行動分野というものを設定しまして、それを進めているといったものが特徴かと思いますが、五つの行動分野につきましては、政策ですとかあとホール・インスティテューション・アプローチ、教育者と並んでユース、若者、あと地域コミュニティといったものが明示的に指定されているものでございます。
私ども、日本ユネスコ国内委員会、文部科学省といたしましては、そういった議論ですとか方針、世界的な展開を踏まえまして資料13にございますように、当国内委員会の中の教育小委員会の中にESD特別分科会というものを設置しまして、この間、集中審議をいただきまして、昨年の8月に提案し、こちらの報告書をまとめたところでございます。
この中で特徴的なものが、私ども日本としましては、これまではユネスコスクールを中心にESDを展開してきたといった背景もございますので、資料13の16ページを御覧になっていただければと思うのですが、ユネスコスクールだけがESDに取り組めばよいと誤って理解されている節もございまして、そうではなく、全ての学校におけるESDの実践を推進するといった観点から、丸1の方にアンダーラインを引いてございますが、ESDを各教科や総合的な学習の時間等において具体的にどのように実践すればよいのか、若しくは進め方のイメージを示すような実践の手引が必要であるといったような御提案、あるいはそういった学校教育のみならず、1枚めくっていただきまして19ページでございますが、地域におけるESDへの社会教育施設、ないしはNPOですとか企業の参画促進、そういったものもこちらの方で提案を頂いているところでございます。さらには、丸5としまして、明示的にはGAPのユースについてお話させていただいたものでございますが、若者の参画の促進ということで、学校、NPO、企業等、大学のユネスコクラブ等々に関するESDに関する取組、こちらについても促進していくといったことについて、こちらの提案を頂いたものでございます。これに基づきまして、私ども文部科学省としましては、平成28年度予算においてその実現を図るべく、今予算要求、国会で審議いただいているところでございます。
このほか、日本政府としましては、飛んでいただきまして資料16にございますが、国内の実施計画、こちらにつきまして、現在まさに策定、決定しようとしているところでございます。まずはこの中の5ページ目を御覧いただきたいと思うのですが、先ほど申し上げましたグローバル・アクション・プログラムの優先行動分野につきましては、こちら2の(1)、丸1から丸5まで明示させていただいておりますが、このグローバル・アクション・プログラムを踏まえまして、私ども日本政府の関連省庁がこちらの実施計画を今現在策定しているというところでございまして、(2)ステークホルダーのコミットメントというものを特に重視をしているといったものでございます。このGAPにつきましては、先ほど申し上げた優先行動分野の中に政策であるとか教育者といったものがございますので、当然政府であるとか地方自治体というものは関与します。このほか、ユースや地域コミュニティにおきましてはNPOさんですとか公益法人、企業、メディア等々、全てのステークホルダー、マルチステークホルダーによる行動、こちらの方が求められているといったことを踏まえまして、それぞれの行動分野ごとにまとめたものでございます。
この中で、ページの9を御覧になっていただけますでしょうか。こちら、政策支援の中の一文でございますけれども、多様なステークホルダーの連携を促進するといったことがこの国内実施計画で盛り込んでございまして、省庁間、部門間で協調し、市民社会、民間セクター等多様なステークホルダーの連携を図ることが不可欠といったことを踏まえまして、後ほど御説明申し上げますが、下の黒丸に、全国的なESD支援のためのネットワーク機能、こちらの体制を整備しようということとともに、その中心になりますESD活動支援センターというものを整備、実践、運用していくといったことがうたわれてございます。
このほか、先ほど申し上げた優先行動分野の中にございますが、ページの12に飛んでいただきまして、ユースに関しましてESDへの若者の参画といったものをこちらで特出しして記述してございます。この中には、後ほど西園寺委員の方から御説明いただけるかと思いますが、ユースフォーラム等々国内外の若者がESDの推進に参画する取組の支援、それを促進するためにフォーラム等を開催するとともに、それらをつなぐ国際的な事業との連携を推進するといったこともこちらで挙げてございます。このようにまもなく決定させていただくことになります国内実施計画、こちらを踏まえまして、ESDについては進めていきたいと考えているところでございます。
続きまして資料17でございますが、先ほど申し上げました全国的なネットワークについての概要でございます。これまで環境省、文部科学省ともに、こういう言い方がどうか分かりませんけれども、それぞれの発足の背景から環境を中心にESDを推進してこられたグループ、教育を中心に推進してきたグループ等々ございましたけれども、こちら、文部科学省と環境省が共同提案によりまして、全国的なそれらをつなぐようなネットワーク、こちらを創設したいということで共同提案させていただいたものでございます。
1枚めくっていただきますと、全国ネットワークのイメージとともに、真ん中ほどにESD活動支援センターというものを設置するということになってございまして、設置自体は2月にさせていただいたのですが、今後4月に本格的に稼働するということもございまして、現在準備を鋭意進めているというものでございます。いわゆるグランド・オープニング後は本格的に稼働できますので、その際には改めて周知申し上げたいと考えておるとともに、協力をお願いしたいと考えております。
続きまして、資料18を御覧くださいませ。先ほど申し上げた提案の中で、「ESD実践の手引(仮)」というものを申し上げましたけれども、こちらにつきましての進捗状況について簡単に触れさせていただきます。まずは、学校教育、とりわけ現場の教員の先生方に指導・助言をする立場でありますところの教育委員会の指導主事さん、若しくは学校の管理職を対象としました推進の手引を作成、このために鋭意努力しているところでございまして、本年度内の完成、並びに来年度のこちらを活用しての研修というものを現在考えているところでございます。平成28年度予算等々決定しました後には、周知並びに御協力方を改めてさせていただきいと考えているところでございます。
続いて、資料19でございますが、こういった国内の取組が全て国内でだけ行われているわけではなくて、こちらの国連で昨年の9月に策定されました「持続可能な開発のための2030アジェンダ」というものでございます。御存じかもしれませんが、いわゆるミレニアム開発目標の後継のアジェンダでございまして、明示的に持続可能な開発といったものが掲げられているところでございまして、私どもの進めてきた「国連ESDの10年」、並びに国内でのESDの取組、こちらは決して終わってしまったわけではなく、新しいアジェンダ、グローバル・アクション・プログラム等々に引き継がれて、若しくはメインストリームになっているというように理解することができるかと思います。その中で、これまで教育におきましては、EFAというまた別のアジェンダがあったわけでございますが、この2030アジェンダの中では、教育におきましても一本化して、ほかのアジェンダ等々と同じ枠組みの中でもって取り組まれていくといったものでございまして、その特出ししたものが教育2030行動枠組みでございます。ESDにつきましても、この中のゴール4というところにきちんとESDやGCEDを通じた質の高い教育を目指すということで掲げられているところでございまして、世界的にもESDがメインストリームであり続けるといったことが御理解いただけるのではないかと思います。
資料、戻っていただきまして、資料14並びに15を御覧いただけますでしょうか。こういったESDの取組につきまして世界的に発信するとともに、グループアクセスを共有して、さらには実践者の方々のいわゆるモチベーションを高めるといった観点から日本政府の支援によりまして、ユネスコ/日本ESD賞というものを設置、昨年11月のユネスコ総会の際に第1回目の表彰式を行ったところでございます。残念ながら日本からの推薦の取組につきましては、今回表彰はされなかったのですが、前回、第1回目につきましてはグアテマラとエルサルバドルの共同提案、インドネシアの取組、さらにはドイツの取組といったものが表彰されておりまして、世界的なESDの広がりといったものがかいま見られるのではないかと思っております。現在、このESD賞につきましては、国内の推薦案件を公募している最中でございますので、皆様方、委員の先生方並びに周辺の実践者の方々でESDに取り組まれている方々に周知、並びに望むらくはこちらの方に御申請いただきたいと考えているところでございます。詳しくは文部科学省国内委員会のホームページに実施要項等が掲載されておりますので、御覧いただければと思います。
資料19でございますが、ユネスコスクール全国大会、昨年の12月に開催されたものでございますが、この中で、当然ユネスコスクールでございますので学校教育がメインの大会ではございますが、ランチョンセッションとしまして協賛企業、協力いただいている企業の方々の社会貢献活動の紹介が行われたとともに、各企業が行っております概要説明を頂いたところでございます。こちらの運営に当たりましては、協賛の企業の多分なる御協力のもと行われておりまして、ESDがいわゆるマルチステークホルダーでもって運営されていると推薦されているといったことの例として御承知おきいただければと思います。
資料20でございますが、資料20につきましては、この後西園寺委員長から御説明いただくものと理解しておりますので、こちらは割愛させていただきまして、参考としまして資料21を御覧いただければと思います。こちら、GAPが正式に発足する前でございますが、今から2年前の3月31日に私どもの日本ユネスコ国内委員会からの提言として出されたものでございます。その中の5ページにございますが、今般のテーマであるところの若者及び企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進といったことをこの時期に既に提言いただいているところでございまして、これらに基づいて我々進めてきたところでございますが、今般の議論の参考になるかと思いまして、改めて添付させていただいたところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
【西園寺委員長】  ありがとうございます。
ESDの推進についていろいろな取組が進んでいるという状況は大変いいことだと思っております。
私の方から、ユースによるESDの取組について少し御報告、御説明をさせていただきたいと思います。
今、野田さんの方から御説明のあったESDのディケイドが終わりまして、2014年に名古屋、岡山で最終会合としての世界会議が開催され、そのときにDESDというプログラムといいますか旗印は一応おろしたわけですけれども、その次のステップとしてGAP(Global Action Programme)に移行していったわけでありますね。その中で、今御説明のあったように、ステークホルダーのコミットメントの促進の優先順位の中でも、やはりユースが積極的にESDに取り組んでほしいという願いを込めているわけであります。
今御説明のあった資料の21を御覧いただきたいと思います。
先だっての国内委員会の総会のときに私は少し言及させていただいたわけでありますけれども、一昨年の平成26年の3月18日の国内委員会の総会のときに、「多様化の時代におけるユネスコ活動の活性化についての提言」というものが出されました。実は、これを作るに当たっては、そのときいらっしゃった先生方もおいでだと思いますし、御存じの方もおいでだと思いますけれども、かなり長い期間をかけて各委員会で議論がなされまして、この提言がまとめられたわけですね。この中では、二つの大きな柱がございまして、一つが若者及び企業などのステークホルダー、特に若者と企業をいかにユネスコ活動に引き込んでくるかということ。もう一つは、学校教育や社会教育を通じたESDの一層の推進というこの2本立てで作られております。本日はその一つ目の柱の、若者及び企業の参加によるユネスコ活動の一層の促進、特に若者ですね、若者をいかにユネスコ活動あるいはESD活動に引き込んでくるかということで、1ページ目のところを御覧いただきたいと思うのですが、四つの項目を設けておりまして、1番目がポータルサイトなどを通して広くユネスコ活動についての包括的な情報発信を行うということ、2番目がユネスコ協会あるいはACCU、大学のユネスコクラブといった組織の更なる発展を目指すと同時に、自由に活動している意欲のある若者たちが交流したり、情報交換したり議論を行う場、いわゆるプラットフォームというものを設けていくということ、それから3番目としては、いろいろな形で国内でもフォーラムを開催するということ、それから4番目がユネスコ活動表彰制度というようなものを設けることであります。
もともとこのGAPにもありますとおり、ユネスコでは青年戦略の重要性が非常にうたわれておりますが、今申しましたように、ユネスコ協会とかACCUというような組織に必ずしも属していない若者たちでも、実はESDとかユネスコの目的と合致した活動をしている人たちが大変多いわけです。そういう人たちにまずはあなたたちのなさっている活動はESD、あるいはユネスコ活動と非常に関係があるし、同じ方向性の活動ですよという認識を持ってもらうということが非常に大事であるということであります。
8ページ目の今後取るべき方向の2ぽつのところを御覧いただきたいと思うのですが、若者の参加の促進ということで、これは決して組織的に活動している若者たちを否定するものではなくて、むしろそういう方たちの活動というものを促進していきたいわけですけれども、現実には会員の中の、若者のパーセンテージが確か、2.8%と書いてあったと思います。そのぐらいという状況の中で、しかし必ずしもそういうものに所属していなくても、自発的にいろいろ活動している人たちがいる。そういう方たちのプラットフォームづくりということ、それから同時に、そういう組織化された中で動いている方たちと、組織化されていない方たちとが連携することによって相乗効果が生まれ、組織化された中での若者の数が増えてくるのではないかということも考えられるということであります。それはユネスコクラブとかACCUだけでなく、大学のASPnetに所属する学生たちとの連携も、これから考えていかなければいけないということだと思います。
そういう提言を踏まえて、現状ですね、いわゆる今申しましたプラットフォームというものの構築に向けてどういう動きがあるかということについて、資料の参考の20を御覧いただきたいと思います。これは実は前回の総会のときにも御説明した資料でございますので、御出席された方には重複するような形になりますけれども、簡単に流れだけでも御説明させていただきたいと思います。
2014年の11月に名古屋でESDに関するユネスコ世界会議の本会議があって、その前に岡山でユース・コンファレンスが開催をされたわけです。それに向けて、その半年強前の2月に第1回目のESD日本ユース・コンファレンスというものを開催いたしました。その目的は、世界会議に向けた日本代表の選抜ということ、それから世界会議に向けてESDをより広く知っていただくための広報あるいは普及・促進という意味合いも含めまして、第1回目のこのユース・コンファレンスというものを、文部科学省の委託という形を取らせていただいて、私どもの財団で準備・運営を担当させていただきました。
このときの代表の1人が本日参加されている秋永さんでありますけれども、ある意味日本のユネスコ組織に属さず活動している若者たちが集まるきっかけになったと考えていいと思います。そして、世界会議を踏まえまして、2015年の10月に第2回目のESD日本ユース・コンファレンスを開催しました。この時は事前のディスカッションも含めて、1泊2日ということで、第1回目に比べて時間的にも長い形でコンファレンスを行いました。さらに、その3か月後にフォローアップ会合ということで、第1回目に参加した人たち、あるいはその知り合いの方たちも参加をされて、コンファレンスを行いました。
今後は、第3回目以降も、是非これは継続をしてやっていきたいと思っているわけでありますけれども、これまでの成果としましては、やはりそういうフォーラムが開催されたことによって、全国各地からESD活動をしている若者たちが集まって、そしてお互いに知り合う機会が出来、そこから協働プロジェクトがスタートしたり、またその中でリーダーシップを持ったキーパーソンみたいな方たちが出てきております。あるいは、オンラインのウェブサイト、FacebookとかLINEとか、そういうオンラインプラットフォームの形成ができつつあるということ、それから参加者同士がそれぞれの地方に戻って、直接連絡を取り合ったり同窓会的な集まりが行われたりしています。これをオフラインと言っていいかどうか分かりませんが、そのような直接的なつながりも強化されてきているということです。
それから、今後のビジョンとしましては、やはりそういう見える化、つながり化することによって、ESD仲間といいますか同士を見つけられる場になるということ、それからある意味意識の共有といいますか心のよりどころとなる共感の場ができるということ、それからその場を通していろいろな勉強、お互いにほかの方たちのやったプロジェクトを学び、そして生きたESDを学べる場になるということ、更に次のステップとしては、さっきも申しましたように、ACCUとか日ユ協とかESD-Jとか大学ユネスコクラブなどのESD推進団体との連携をすることによって、相乗効果を生んでいくということではないかと。さらには、産官学民の連携を推進して、できれば政策提言みたいなものをしていくことなどが、今後のビジョンとして考えられるのではないかと思います。
それに対して、国内委員会とか私たちにとってできることは何かと、必要なサポートは何かということを考えたときに、やはりまずは彼らの活動状況というものを常に把握をしておくこと。そして可能な物心両面のサポートをしていく、そしてユース・コンファレンスのようなイベントや学びの場を提供していく、そして産官学民あるいはほかのステークホルダー、あるいは世界のユースとの橋渡しをしていく。そういうようなことを、これはあくまでも自主性・自発性というものを尊重して、側面的なサポートを継続していくということが私たちにとって必要なサポートではないかと考えております。
以上がGAPのユースの活性化という方向性、そして2年前に総会で提言をされた、特にユースをどうやって活性化していくかという方向の中での、一連の動きであるというように御理解いただければありがたいと思っております。
以上、簡単に御説明をいたしましたけれども、ユースに限らず企業のユネスコ活動への参画というものも是非我々としては促していかなければいけないというように考えております。そういうことも含めて、また、先ほどの事務局から報告のあったESD全般の普及活動等に関しましても、皆様方の御意見を頂ければありがたいと思います。
【中西委員長】  先ほどの野田さんの御報告にもありました資料17ですが、ESDの推進ネットワークの創設ということで、これからESDの普及を考えていく上で非常に重要なお話だろうと思います。今のお話ですと、文部科学省、環境省で4月から全国的には稼働するということですよね。これが地方展開というか地域なのですが、資料17の方に書いてある内容では、全国8か所にある環境省の地方環境パートナーシップオフィスを活用して開設準備が整い次第設置予定ということですけれども、そこの地域の体制なりがどのような感じで進んでいるのか。特に、私が非常に気になりますのは、コーディネート機能がどこまでになっていくのか。特に教育委員会との協議・調整というかそのあたりをどうやっていくのかというのが非常に気になるのですが、いかがでしょうか。
【福田国際戦略企画官】  失礼いたします。事務局でございます。
まず、私どもの予算措置ということで言えば、これは環境省の方が予算措置をしていた、そしてそれに文部科学省が連携して一緒に行っていくというような立て付けになっております。そういったこともございまして、環境事務所というところが地方の中である程度役割を担うというように記載されているわけでございますけれども、当然今中西委員御指摘のとおり、その中で学校現場との連携というものをそれぞれの地域でしっかりやっていかなければならないと。他方で、環境事務所、そこにパートナーシップというものがございまして、NPOですとかそういったところが環境事務所と一緒に活動を進めていると。ただ、これはESDだけに限らずいろいろな環境関係の取組というのは、例えば生物多様性ですとか様々ございます。そういったところなども請け負っているというようなところもございまして、そういったところとESDに取り組む団体がかなり密接に既に取組を進めているような地域もあれば、余りそういった環境事務所ですとかパートナーシップ等、学校現場との間で連携がそれほど進んでいるわけでもないという地域も恐らくあるであろうと。したがって、それぞれの実情に応じた連携というものができていくように、うまくリードをしていかなければならないと考えております。今、その辺りの具体的な手当の在り方について、私ども文部科学省と、そして環境省、それから関係の団体などで調整をしているところでございます。
いずれにしても、このネットワークというものがきちんとした形でメッセージとして、いい形で学校現場に伝わっていくように、この4月が正式なオープンということでございますけれども、その時点でうまくそれが情報提供できるような形というのを考えていきたいと思っているところでございます。その上で、また具体の詳細について、学校現場の方にはこういうようないいところがある、あるいはこういうところで是非センターの取組に協力をお願いしたいというようなことをまた伝えていきたいと思っております。
【中西委員長】  環境省には予算措置はされたわけですか。
【福田国際戦略企画官】  現在、予算案ということで国会の方で御審議いただいているところでございますけれども、私どもといたしましては、予算を適切に執行していくということを前提に、4月から支障なく活動が動いていくように今準備をしているという状況でございます。
【中西委員長】  恐らく、学校現場なりからすると、環境省のこういうオフィスの存在さえ知らないですから。だから、そのあたりの周知を含めてやっぱりどう基盤を作っていくか、連携を作っていくかというのが非常に大事になると思うのですが。
【福田国際戦略企画官】  おっしゃるとおりでございます。また、当然先ほど地域ごとに様々な実情があると申し上げましたけれども、例えばこれは私どもの事業の方で行っているコンソーシアム事業ですとか、そういったむしろ学校現場の方が主体に、様々なコーディネート役というのを既に引き受けているような取組というのがございます。そういった取組というのも当然尊重しながら、いい形でそれがつながっていくようにしたいと思っておりますし、またちょうど4月という時期でございますけれども、学校現場では当然年度の計画というのが既に3月ですので決まっているわけでございます。そういったものに対して、何か新たなものを至急やらなければならないというわけではない。少しずつこのネットワークの中で一緒にやれることはやっていくというような形で進めていければと思っております。
【西園寺委員長】  中期戦略の中で、ユネスコは青年の重要性というのをうたっているわけです。そういう意味で、国内委員会の中にも安達さんが第1号の青年代表という形で入ってこられた。これは非常に意義のあることだと思っていますけれども、彼女の場合には第2回目のESDユース・コンファレンスにも出席をされたので、安達さんの方から何かコメントがございますか。
【安達(仁)委員】  先月の総会でも少し話させていただいたのですが、第2回のユース・コンファレンスの2日間のうち1日目と、あとはプラットフォーム会合の方に参加させていただきました。先ほど西園寺委員から御説明があったように、成果のところに書いてありますが、終わってからもFacebookやウェブサイトなどを通じて、オンラインでのプラットフォームというものがつながっているなということを感じています。週に1回か2回かくらいのペースかなと思いますが、FacebookのESDの情報局というグループページを作ってあるのですが、そこに各参加者からの情報提供が行われていたりとか、あとはお互いの活動に参加し合ったりというようなこともこのコンファレンスの後も続いているというところで、またこれからこのプラットフォームがどのように広がっていくのかというところ、そのときにやっぱり青年それぞれに活動がありますので、その活動の中でかなりいろいろな充実感がある活動をしていると思うんですね。なので、プラットフォームで出会うことの意味とか意義というものを感じないと、このプラットフォームもだんだんとなくなっていかないかなということも少し心配しているところなので、そういう意味でもやはり集まる場があるということが一つ大きいかなと思います。参加者の中にも第3回はないのですかというような感想もありましたので、是非また次に集まる機会というのを、場を作っていくというところが大事なところかなと思いますし、また会えば会った後はまた青年同士でつながってどんどん広がっていくということはできますので、まずはその場を作るというところができるといいかなと思っています。
【西園寺委員長】  こういう場を提供するということによってユースの皆さんの活気のあるディスカッション、それからその後のお互いの連携がスタートしたということは、我々が最初に考えていた以上のものがあったと思うんですよね。
秋永さんの場合には、第1回目で日本代表に選ばれて世界会議に参加され、それで実際5,000人の応募者から50人に絞られた海外の優秀な若者たちの中に入ったわけです。日本の中でもそうだけれども、海外でもすごく優秀な若者たちがユネスコ活動、ESD活動をしているということを実感として感じられたんじゃないですか。
【秋永委員】  そうですね。秋永と申します。日本のユース・コンファレンスで選んでいただいて、世界のその場に、集まりに参加したときに、5,000人から選ばれたということは、その場で出会えたのは50人だけですけれども、それほど多くのユースが世界で活動を持っているのだということに非常に感銘を受けました。かつ、世界の人口の3分の1程度がいわゆるユースという枠組みに入るということも非常に驚いた事実でありました。
そんな中で、今のお話の中で、私から少し共有があるんですけれども、第2回のコンファレンスは宿泊型であったということで、より効果が高かったというお話がありましたが、もう一つ功を奏したのは、ESDの説明の仕方が非常に魅力的だったと思っています。先ほど、組織等に属していない人にもいかにESDの魅力や意義を伝えるかということが重要だという話がありましたが、第2回はキャッチコピーとして「ESDとは、未来につなげる教育イノベーション」というふうに大きくポスターに書かれておりました。それによって教育のイノベーションである、革新であるというところ、そういった切り口からESDに新たに興味を持った人が本当に増えたのではないかと、それは成功であったと感じております。
また、先日の総会でも簡単にお話したのですが、新たな提案として、今後の第3回目以降の集まりにおいては、やはり宿泊であるとか、可能であれば3、4日、1週間程度のキャンプのような形をとって、ただ、参加者同士が共有をしたりつながりを生み出すだけではなくて、もっともっと業を起こすとか、アクションを具体的に事業計画ですとか組織の立ち上げにつなげられるような学びの場を作っていかねばならないと思っています。
具体的には、いつもそのコンファレンスでは最後グループを作ったり、アクションプランをこの資料にあるようにまとめると思うのですが、それを作って終わりではなくて、そこに対して何かメンタリングをしていく、メンターとしてはこういった委員の方々であるとか企業、地域の自治体、NPO、NGO、具体的に業を起こして組織を継続させている方々、もしくは教育委員会などなどの方々に、学生の作ったプラン、ユースの作ったプランを出してメンタリングをしていただいて、最終的にはちゃんとプレゼンテーションをし、評価をするというところ、アワードも実際ほかで動かれているので、きちんと賞を与えて、可能ならば資金であるとかその後の支援を付けるというような動きが重要ではないかなと思っております。
私も実際、最初の日本のユース・コンファレンスで10人ピッチをして1分間のプレゼンテーションをして選んでいただいたことで、自信を持って次のステップに進めましたし、そういった何かコンファレンスとは別にスタディーツアーですとかきちんとした評価をし、事業化の支援ができるような仕組みを次の発展にはできればと思っております。
【西園寺委員長】  そうですね。だから、次回以降のプログラムなどは、やはり若い方たちの意見を大いに取り入れて作るプログラム、自発的に作ったプログラムでやると、より効果が出てくるかもしれませんね。それは考えてみる必要があると思います。
どなたかほかに御意見ございますか。どうぞ。
【河内委員】  資料18を見させていただいたのですが、各現場の先生がどこまでESDを知っておられるのかなと常々疑問に思っておりましたけれども、この「ESD実践の手引(仮)」ができますと、教育委員会の指導主事とか学校管理職には配られるということですよね。それに対して、その中身が以下のとおりと書かれてはいるのですが、それをすることによるインセンティブとか縛りというのはないと。自主的にというようなところでの手引がつくられるということで理解してよろしいのでしょうか。
【福田国際戦略企画官】  よろしゅうございますか。
自主的にというお話でございますけれども、当然各学校でどのような教育課程を編成するか、これはそれぞれの学校、具体的には校長先生に委ねられているわけでございます。他方で、このESDと申しますのは、御承知のとおり言ってみれば既に教育課程、学習指導要領の考え方というのは多分に取り込まれていると。それをどのような形で位置づけていくかと、そういう観点というのも持っているわけでございます。そういう意味におきましては、今委員おっしゃったとおり、そういった意識をどれだけ学校現場が持って、例えば教育課程の編成でありますとか、あるいは地元、いろいろな地域との連携、あるいは親御さん、保護者との連携を進めておられるかというようなところでもあろうというように思っております。
したがって、この手引におきましては、それだけESDというのがそういう深みのある、そして各学校の教育活動を全体的により良いものにしていくものなのですよというメッセージを強く打ち出す。その上で、具体にどのような活動をやっていくかというのは、それは当然現場にゆだねられるべきものでございますので、そういう詳細なものを指し示すというよりは、その基本的な考え方、あるいはまずじゃあやってみようというノウハウを的確に伝えていくというようにしていきたいと思っております。
なお、実際に学校現場にどのように周知していくかということにつきましては、またそれは別途私どもの方で検討しているところでございまして、いずれにしろまたそれは各委員にも情報提供差し上げたいと思っております。
【河内委員】  ありがとうございました。
【及川委員】  今のお話のことに関連するのですが、先ほど御説明ございましたようにESDが終了しましてセカンドステージに入ったという中で、このような数々の施策を打ち出していただいて、大変心強く思っております。
その中で、国内委員会の教育小委員会のESD特別部会の報告書、あるいは今お話のあった「ESD実践の手引(仮)」ですね。これは、公教育に向けた強いメッセージだと思うんですけれども、そういうものであるとか、あと文科省が別途進めていらっしゃるESDコンソーシアムを形成する「グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業」。それから、先ほど話題になった環境省の「ESDの活動支援センター」のお話。そして、それをさらに大きく包むというかオーバーラップする「ESD国内実施計画」の策定が間もなくだというお話ですが、そういうセカンドステージに向けて、今のような施策が打ち出せていることに対して、二つお願いがあります。
一つは、やはりESDが終わって、この間1年以上たち、かなりインターバルが空いたせいで、地方レベル、教育現場レベルでは、今後のESDが一体どう進むのかと不安を抱いているように感じます。現在策定中で、情報がなかなか伝わってきていないということで余計そうだと思うのですが、そういうESD推進者、あるいはこれから取り組もうとしている思いを持った方々に、やはり分かりやすく的確に早く情報提供を進めていただいて、推進に向けた安心感といいますか、国も国内委員会も本気でESDをこれからも進めるんだというふうな、ある意味、メッセージを出していただきたいというのが一つあります。
もう一つは、今私が、個々の取組を再度繰り返したのは意味がありまして、これらが個々ばらばら進められているということになると、やはり現場レベルでは、こちらは環境省、こちらは文科省みたいな話が今までもございましたので、そういう意味で有効に作用しがたい部分が出てくる。場合によってはそれが互いにあつれきになる部分も想定されるということがございます。DESD、10年間の反省に基づいて今様々な施策が打ち出されているわけだと思いますので、是非その施策間の連携・調整を図っていただいて、やはり先ほどのコンソーシアム事業と活動支援センターの話ではないですけれども、協働できるところは協働するというメッセージを、きちんと環境省、文科省両方で出すべきであろうし、それから公教育についてだけのESDではなくて、社会教育、生涯教育も含めた、あるいはユースや企業も含めた、そういうマルチステークホルダーで進めるということでこの施策があり、さらに、その上でグローバル・アクション・プログラムの国内実施計画に基づいているということを是非伝えていただきたい。そういったセクター間のきちんとした連携・調整と、各レイヤーといいますか、地方現場レベル、県レベル、国レベル、国際レベルの階層間のきちんとしたつながりというのを整理していただいて、やはり全体像を推進者、学校でいえば先生方や校長先生、あるいは地域の様々なNPO、NGO、ユース、企業を含めてそういう方々に示していただくことで、かなり有機的な施策として生きてくるのかなと思いますので、是非その辺の連携・調整といいますか協働的な施策の提案をお願いできればなと思います。よろしくお願いいたします。
【福田国際戦略企画官】  まさしく委員のおっしゃるとおり、私どももしっかりと進めていきたいと思っております。また、その際には、ESDには円卓会議という役所、関係のステークホルダーの方々、皆さん参加するような組織もございます。そういった円卓会議の皆さんの御意見なども伺いながら進めていきたいと思っております。また、公教育だけでなく、全体を見通した取組が重要であるという御指摘も誠にそのとおりであると考えております。この点、先ほどの西園寺委員長、それから各委員のユース・コンファレンスに関する御意見、本日の御議論、それから先日の総会、また教育長委員会でも御議論がありまして、そういったことも踏まえて、今私どもでも来年度の支援に向けた検討を進めているところでございます。
できるだけ私どもといたしましても、先ほども御発言がございました場の提供、これをしっかりと措置していくとともに、また、例えばこれは先日の運営小委員会で古賀副会長がおっしゃっていたかと思いますけれども、企業に対して協力を求めるということであれば、より具体性を持ったメッセージ、こういったことをやりたいので支援をお願いしたいというのを明確に打ち出していくことが必要じゃないかというようなお話もございました。それはすなわち、ユネスコ活動というのはいいことなので御支援をというだけではなくて、具体にどういうようなことを目指して、どのようなアウトプットというものを考えているのかというようなことを打ち出していくことも重要であろうと。もちろん、これは特にユースの方々に関しましては自主性を重んじるということも大前提ではございますけれども、他方でどういったメッセージを打ち出していくことが効果的であるか、もちろんESDに関しましても、ではESDの中で具体的にどういうようなことを持続可能性として捉まえていくのかですとか、あるいは先ほど記憶遺産の話もございましたけれども、記憶遺産のことだけということではございませんが、特に寛容、トレランスですね、そういった今も世界で様々な状況がある中で、その寛容の在り方というのはグローバルにどのように考えていけばいいのだろうか、そういう日本あるいは日本のユースであるからこそ発信できるような在り方は何であろうかだとか、例えばそういうようなどういうメッセージを出すといいんだろうかというサジェスチョンというのでしょうか、というようなことも含めてできるだけユースの関係の方々に様々な形でサポートができるようにやっていきたいと思っております。
【西園寺委員長】  それと、例えば国内委員会の中ではかなりいろいろなアップデートの情報が得られるわけですけれども、及川委員がおっしゃったように、現場の人たちにもできるだけそういうESDの現状というものが分かるようなインフォメーションを適宜お伝えできるようなことがあると、恐らく不安感というものが大分和らぐのではないかというような気がいたしますね。
どうぞ。
【高尾委員】  高尾と申します。お世話になります。
先ほどのスタディーツアーの話をしておられたときに思ったのですが、私は、栃木県に住んでいます。世界遺産のある日光では、杉並木のCO2を調べているボランティア活動の高校生とか、負の遺産であると言われている足尾銅山に行って小中学校がボランティア活動で木を植えていると聞いています。このような活動の見学を、スタディーツアーとして企画できると良いと思いますので、御検討いただきたいと思います。
【西園寺委員長】  ほかに、何か御意見ございますか。
どうぞ。
【安達(仁)委員】  先ほどの及川委員のお話の中にもあったのですが、環境省と文科省との連携というところで、多分環境省の方が中心となって作っているESDの環境教育モデルプログラムガイドブックというものがあると思うのですが、それと今回作ろうとしている「ESD実践の手引(仮)」との違いというか中身はどのようになっていくのかなということで、もし何か方向性があったら教えていただきたいなと思いました。
【福田国際戦略企画官】  簡潔に申し上げます。
一言で申し上げれば、私どもは文部科学省の組織でございますので、それを教育政策として、あるいは各学校は当然法令に基づいて学校を運営しているわけでございます。どのようにESDを進めていくのか、そしてそれが教育内容、あるいは学習指導要領との関係ではどのような形で整理がされ得るか、そういったことについて簡潔にまとめる、これが私どもの作成する手引ということでございます。
環境省がお作りになったモデルプログラムに基づいた報告書、これも大変すばらしいものでございますし、私どもの方でもこれを近々周知するような協力をする方向で今調整をしております。こちらは、当然それぞれのいわば中身であるところの地球温暖化対策ですとか、あるいは生物多様性でありますとか、そういったような個々のものについてどのようにそれを学校の中に取り上げていくとよいのかという、まさしくグッドプラクティス、当然それはかなり深堀りされているものでございますけれども、そういったものをまとめているというものでございます。そういった意味では、極めてイメージが湧きやすい。これは学校関係者以外の方が読んでも非常に分かりやすいような形でまとまっているということでございまして、それぞれにそれぞれのよいところ、あるいは中心となるポイントというのがあるかと思いますので、進めていく上におきましては、是非どちらもお読みになって、それで進めていくというのが一番いいのかなと思っているところであります。
【安達(仁)委員】  是非その違い、ポイントの違いが分かるような形で提示されると、先生方も使いやすいかなと思いました。
【西園寺委員長】  あとはどなたか御意見ございますか。
それでは時間もそろそろでございますので、もしございませんようでしたら、本日の議論を踏まえて、ユースをはじめとする多様なステークホルダーによる取組が充実したものになるように、事務局において検討を進めるとともに、各委員におかれましてはESDをはじめとするユネスコ活動の推進について、引き続き御理解、御協力を頂ければありがたいと存じます。
そのほかに、特に報告、審議すべき案件はございますか。よろしいですか。
それでは、これで本日の会議は閉会にしたいと思います。御多忙中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。


―― 了 ――

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