日本ユネスコ国内委員会会長ステートメントを踏まえた今後の取組の在り方について(論点例)

ステートメントにおいては、今後のユネスコの目指すべき方向性として、「国際社会における『知的リーダー』としての役割」に加え、「持続可能な社会の実現への貢献」及び「多様性を尊重する社会への貢献」を打ち出したところ。

また、昨年11月の第38回ユネスコ総会において、馳文部科学大臣は、一般政策演説の中で、ユネスコが実施する事業が、「人の心の中に平和のとりでを築く」とのユネスコの基本精神に基づき、ボコバ事務局長が強調する「分断ではなく融合を」もたらすため、加盟国間の相互理解と連帯を一層強化するためのものでなければならない旨を強調したところ。

上記の目指すべき方向性に沿って、ユネスコを加盟国間の相互理解と連帯を促進するため、我が国として、どのように取り組んでいくべきか。

<関連する取組の例>

持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)の推進

・ESDについては、2014年のユネスコ世界会議の開催、昨年の第1回ユネスコ/日本ESD賞の授与など、我が国の主導により、国内外において取組が広がっている。
・他方で、ESDのあり方については、地球規模の課題について、より具体的な教育内容を示すべきではないか、批判力や思考力が育まれる等の効果はESDに限られないのではないか、等の指摘もある。

サステナビリティ・サイエンスの推進

・サステナビリティ・サイエンスは、地球規模課題の解決に向けて、細分化した学問領域ごとに取り組むのではなく、自然科学と人文・社会科学の多様な学問分野の知を統合して取り組むことを促すアプローチ。我が国の提案により、第37回ユネスコ総会において、ユネスコの次期中期戦略(37C/4)及び事業・予算(37C/5)に、サステナビリティ・サイエンスの概念が盛り込まれたところ。
・サステナビリティ・サイエンスの具体的な推進方策について検討し、各国に普及していくため、我が国の信託基金を活用し、サステナビリティ・サイエンスの推進方策に関する国際シンポジウムを開催予定。

グローバルシチズンシップ教育(GCED:Global Citizenship Education)の推進

・グローバルシチズンシップとは、広汎なコミュニティ及び共通の人類に属する感覚を指し、地域、国家、グローバルの各層における、政治的、経済的、社会的及び文化的な相互依存と相互連関を強調するものであり、GCEDはこのような感覚を育む教育とされている。
・2012年9月に国連事務総長が開始したGlobal Education First Initiative (GEFI)において三つの優先分野の一つに挙げられ、ユネスコ事務局でも取組を強化。


自然科学・人文・社会科学小委員会(1月21日)及び運営小委員会(1月28日)における主な意見


・ESDは大学にも広げていくことが重要である。サステナビリティ・サイエンスは、大学がESDに取り組む上で、よいアプローチになるのではないか。
・GCEDは、国際的に懸念されている不寛容の拡大防止に役立つ取組であり、ESDを推進する我が国としても、連  携のあり方について検討すべき。
・GCEDについては、教育にかかわる国際場裡の動向や、国内の教育政策との整合性、ESDに懸命に取り組んでいる学校現場への影響等も踏まえ、慎重に対応すべきである。ESDには、GCEDが提唱する考え方も含まれているのではないか。
・身近な多様性の問題として、女子教育をはじめとするジェンダーを積極的に取り上げるべきである。
・世界津波の日を含め、津波に関する各国の意識を高める取組を推進すべきである。



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