ユネスコ70周年日本ユネスコ国内委員会会長ステートメント枠組み(案)

平成27年7月14日
国際統括官付

ユネスコ70周年 日本ユネスコ国内委員会会長ステートメント枠組み(案)

1.ユネスコ今までの役割とこれからの方向性

・ユネスコ憲章:「人の心に平和のとりでを築く」=すべてのユネスコ事業の目的。

・70年前とはユネスコの置かれている状況が大きく異なることへの認識。
→70年前のユネスコの役割=教育、科学、文化の普及促進。70年間で普及促進は大幅に進み、新たな課題が顕在化。(例:文化振興→文化多様性、物質的豊かさを求めた科学の発展→持続可能な社会の構築に貢献する科学)
→グローバリゼーションが引き起こす新たな問題への対応。
→70年前と比べると行動の主体が政府や国家だけではなく、NGO・NPOや国境を越えてインターネットでつながっている様々な人々のネットワーク等も主体となりうるようになっている。

・我が国におけるユネスコ活動は、我が国がユネスコに加盟する前から国民の間から沸き起こったもの。
=ユネスコ憲章:「政府の政治的及び経済的取極のみに基づく平和は、…永続する誠実な支持を確保できる平和ではない」=非政府による取組が重要
→70年前は平和を追及するユネスコ憲章に対する国民の共感によって民間ユネスコ活動が発祥。現在は、持続可能な社会の構築に対するユネスコの役割を期待してユネスコスクール加盟校が飛躍的に増加。
=ユネスコ活動の再活性化

・31/C4(2002-2007):ユネスコの5つの機能
 a laboratory of ideas
 a standard-setter
 a clearing house
 a capacity-builder in Member States
 a catalyst for international cooperation
→現在どうなっているか、モニタリングが必要。
→特にa laboratory of ideasとしての役割の衰退。

・ユネスコの「アイディアの実験室(a laboratory of ideas)」的な仕事の強化。司令塔として教育、文化、科学をけん引することを期待。
→生涯教育(lifelong learning)を定義し広めたように、世界に影響を与えるレポートの作成。(例:文化的権利、サステイナビリティ・サイエンスの定義、)

・教育、科学、文化は、国だけではなく、一人一人の人間のネットワークが推進しているものであり、ユネスコは様々な主体による取組を支える役割を担っている。

・ユネスコ活動推進のための青少年(ユース)の役割への期待。

・多様性の尊重と持続可能な社会の構築→平和へとつながる。

・発展途上国への配慮(明日の食事もままならない国への対応)

2.サステイナビリティと多様性を推奨するための取組

※盛り込むべき項目

(1)教育への人間主義的アプローチ
・equity、inclusionへの対応、教育=共有していくものとしてのcommon goods(Rethinking Education)
→包括的な富(Inclusive wealth):経済発展だけでなく、いろいろな指標をもって判断。統合的な幸福、富を考える。

(2)持続可能な開発のための教育(ESD)とグローバル・シチズンシップ教育(グローバル・シチズンシップ / ethic(倫理、価値観))
・多くの地球規模の課題はグローバル化によってもたらされたもの。グローバル・シチズンシップとしての倫理・価値観の醸成は不可欠

(3)サステイナビリティを確保するための統合的アプローチ(サステイナビリティ・サイエンス)
・地球規模の課題に取り組むために必要なのは個別の分科学としての科学ではなく、多様な人間の価値観を考慮しながら、人類全体に奉仕するべきものであると同時に、生態系を損なうことなく、地球、社会、人といった異なる時空間スケールでの持続可能性及びwell-beingの追究を目指した統合的な科学の取組が必要。

(4)多様な文化の相互理解、文化的権利の具現化
・文化の多様性によって人間の能力及び価値を育成する豊かで多様な世界を作り上げることが、地域社会、人々及び諸国のための持続可能な発展を推進するとともに、地域的、国内的及び国際的な平和及び安全に貢献。
・文化財の保護・保全と活用(世界遺産、無形文化遺産)が文化の多様性を促進
・文化的権利(cultural right)=自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利。創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利(世界人権宣言27条)
→文化的権利の具現化に向けてユネスコが国際社会でイニシアティブをとることを期待。

お問合せ先

国際統括官付