設立背景

日本の大学スポーツは、明治時代近代スポーツが日本に入り込む時期、大学を中心にして花開き、大衆にも浸透していくなど、オリンピックへの選手輩出や、プロスポーツに先駆けた発展と、古くから日本スポーツには欠かせない存在である。オリンピアンの約3分の2を大学生または大学卒業者が占めるなど、我が国のスポーツの発展や競技力の向上において、大学の運動部活動やそこに所属する学生アスリートの果たしてきた役割は大きい。

しかし大学スポーツは、大学内で課外活動として位置づけられ、学生(やOB)を中心とする自主的・自律的な運営が行われ発展してきた経緯から、大学内でも個々の部の活動として自治の努力を重ねている現状が多く、大学の関与が限定的で学内でも競技横断的に全学的にスポーツ分野の取組を一体的に行う部局を置いていない大学が多いのが現状である。

運動部活動に所属する一部の学生においては、運動部活動に偏重するあまり、学生アスリートの学業環境の整備が十分になされていない。また運動部活動とスポーツ医科学等の教育・研究の連携が不十分で、学生の安全の確保、事故防止及び発生時の対応も個々の部で対応している等、体制の課題における指摘もある。

また同様に、大学における大会の開催や競技規則の運用等の役割を担う学生競技連盟(いわゆる学連)も、競技ごと、さらには地域ごとに組織が存在するほか、法人格を取得していない組織も存在するなど、組織体制や他の競技団体等との連携が不十分な場合が多い。
高体連(全国高等学校体育連盟)や中体連(日本中学校体育連盟)のような、学校及び競技横断的な統括組織が大学スポーツのみ存在していない状況が続いていた。

一方、大学スポーツ先進国のアメリカでは、NCAA(全米大学体育協会:National Collegiate Athletic Association)という大学横断的かつ競技横断的統括組織が1910年より存在し、大学スポーツ全体の発展を支えている。 当初は多発してしいた障害や死亡事故の対策や、学業との両立の体制確保など、規則や体制の策定、その後大会の開催など事業・マーケティング的にも発展を遂げ、大学スポーツの振興へ自己投資できる環境へと成長をした。

以上のとおり、日本の大学の運動部活動は、様々な課題を抱えて活動を続けているが、このような状況が続いた場合、将来、活動が停滞、さらには衰退していくことが予想され、大学の運動部活動が持つ様々な資源や公益的な役割を発展させていくためには、抜本的な改革の時を迎えている。

詳細は 大学スポーツの振興に関する検討会議 最終とりまとめ

 米国・日本・英国における大学スポーツの現状比較

出典:大学スポーツの振興に関する検討会議 最終とりまとめ
27ページ 米国・日本・英国における大学スポーツの現状比較

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