スポーツ振興投票の収益による助成の基本方針

平成13年11月  5日 文部科学大臣決定
平成15年10月  1日 一部改正
平成20年  2月21日 一部改正
平成20年11月20日 一部改正
平成22年  3月25日 一部改正
平成24年  9月25日 一部改正
平成26年  5月  8日 一部改正
平成29年  9月29日 一部改正
令和  4年10月13日 一部改正
 

スポーツ振興くじは,誰もが身近にスポーツに親しむことができる健康で明るい生涯スポーツ社会を築くとともに,世界で活躍できる選手を育てることを目指して,スポーツ振興投票の実施等に関する法律(平成10年法律第63号。以下「法」という。)により,創設されたものである。
平成23年に制定されたスポーツ基本法(平成23年法律第78号)に基づき,文部科学省は平成24年にスポーツ基本計画(平成24年3月30日)を策定し,スポーツを通じてすべての人々が幸福で豊かな生活を営むことができる社会を創出できるよう,スポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図ることとしたところである。
その後,平成27年10月にはスポーツ庁が発足し,令和2年12月にはスポーツ振興助成の対象の拡大等を行う法改正が公布・施行され,さらに,令和4年3月には令和4年から8年度までの5年間のスポーツ政策の重要な指針となる新たなスポーツ基本計画を策定したところである。
 これらを踏まえ,独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)がスポーツ振興くじの収益(以下「くじ収益」という。)により,スポーツ団体や地方公共団体に対して具体的な助成を行うに当たっては,このようなスポーツ振興くじの創設の趣旨やスポーツ基本法の理念,さらには近年のスポーツ界を取り巻く社会情勢等を十分に踏まえ,次のような基本的視点に沿って,広く国民の期待に応える適正な助成を行う必要がある。
なお,この基本方針は,スポーツ基本計画の進捗状況等を踏まえ,必要に応じて見直しをするものとする。

Ⅰ 国民の期待に応えるための助成配分の方針

基本的視点

(1)東京オリンピック・パラリンピック競技大会のスポーツ・レガシーの発展に向けて,特に重点的に取り組むべき施策や,「新たな3つの視点」である,①スポーツを「つくる/はぐくむ」,②「あつまり」,スポーツを「ともに」行い,「つながり」を感じる,③スポーツに「誰もがアクセス」できる,を支える具体的な施策を示した第3期スポーツ基本計画の内容に十分配慮すること。

(2)スポーツ振興くじの購入者(以下「購入者」という。)を含む一般国民が助成の成果をできるだけ身近に感じられるよう配慮すること。

助成事業項目ごとの方針

(1)スポーツ施設の整備に係る助成(法第21条第1項第1号から3号及び9号関係)
  (a)地域におけるスポーツ振興を目的とする事業を行うための拠点として設置する施設(設備を含む。以下同じ。)については,
     ① グラウンドの芝生化
   ② 屋外夜間照明施設の整備
     ③ 老朽化した施設の改修・改造
     ④ バリアフリー化等を含めた高機能化のための改修・改造
を重点的かつ優先的に助成する。
     また,学校施設については,学校開放により地域のスポーツ活動の拠点となっている場合には,グラウンドの芝生化や体育館等へのシャワー設備等の整備に対して助成する。その他,運動部活動の地域移行と地域スポーツ環境の一体的な整備に向けた取組に対しては,配慮すること。

  (b)競技力向上等を目的とする国際的又は全国的な規模の事業を行うための拠点として設置する施設については,地方公共団体の財政負担の状況や事業の優先度を考慮し,国民体育大会冬季大会の対象施設及びスポーツ振興投票の対象となる試合を実施する施設の整備を重点的かつ優先的に助成する。

(2)スポーツ行事その他の諸活動への助成(法第21条第1項第4号から8号関係)
  (a)ライフステージに応じた幅広いスポーツへの参画を促す面では,総合型地域スポーツクラブの質的向上をはじめ,日常的にスポーツに親しむ機会の拡大など地域でのスポーツ活動の裾野を拡げることに重点を置いて,例えば次のような事業に対して助成を行う。
     ○ 総合型地域スポーツクラブの自立的な運営を含む質的な充実や地域課題の解決に向けた取組に対して,地方公共団体やスポーツ団体が行う支援事業
   ○ 年齢,性別,障害の有無等を問わず,地方公共団体やスポーツ団体が行う大会の開催,スポーツ指導者の養成及び資質の向上,調査研究,普及啓発,スポーツを通じた健康増進等の事業
     ○ 国民体育大会冬季大会の競技会開催に対して都道府県が行う支援等の事業
     ○ 運動部活動の地域移行と地域スポーツ環境の一体的な整備に向けて地方公共団体やスポーツ団体が行う事業
  (b)競技力向上の面では,次代を担う若手有望選手の発掘・育成やスポーツ指導者等の養成・研修等に重点を置いて,例えば次のような事業に対して助成を行う。
     ○ 将来性の豊かなアスリートを発掘・育成していくための育成システム事業
     ○ スポーツ指導者等の海外研修事業
     ○ 競技力向上の方策についての調査研究,普及啓発等の事業
  (c)その他国際交流・貢献の推進やスポーツ界の透明性,公平・公正性の向上の面では,例えば次のような事業に対して助成を行う。
     ○ スポーツに関する国際会議等の事業
     ○ ドーピング防止活動の推進のための事業
     ○ 各スポーツ団体のガバナンス強化やスポーツ紛争の迅速・円滑な解決のための事業

(3)我が国で開催される国際的な規模のスポーツ競技会への助成(法第21条第2項関係)
対象とすべき競技会は,その規模,位置づけ等を考慮し,①オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会,②アジア競技大会,アジアパラ競技大会,③ワールドユニバーシティゲームズといった国際的な総合大会,及び④これらに相当する規模をもつ国際大会として文部科学大臣が認めたものとする。

助成対象団体ごとの取扱い

(1) 各助成対象団体の取扱いは次のとおりとする。
  (a)地方公共団体
     地方公共団体については,事業の内容だけでなく,スポーツ振興くじへの住民の関心やPRへの寄与の度合い,スポーツを通じた地域活性化等を総合的に勘案しつつ,地方公共団体が申請した事業に助成を行うものとする。
   なお,法人格のない地域レベルのスポーツ団体であって助成金の適正な運用ができる体制を有する等の要件を満たす者については,市町村等の地方公共団体がそれらを支援する事業も助成の対象とすることができる。
  (b)スポーツ団体
     助成の対象とするスポーツ団体(地方公共団体の出資・拠出に係るものを含む。)は,原則として,
     ① スポーツの各競技・種目を統括する団体
   ② 日本スポーツ協会,日本オリンピック委員会,日本レクリエーション協会,日本パラスポーツ協会及びそれらの加盟団体(都道府県体育・スポーツ協会,障害者スポーツ団体等)並びに日本アンチ・ドーピング機構,日本スポーツフェアネス推進機構及び日本スポーツ仲裁機構
   ③ スポーツ振興を主たる目的とする非営利法人
とし,それ以外の団体であって助成金の適正な運用ができる体制を有する等の要件を満たすものについては,①又は②の団体への助成を通じて支援することができる。

(2)地方公共団体への助成(上記(a))の額及び地方公共団体の出資・拠出に係るスポーツ団体への助成(上記(b)の一部)の額の合計は,年間の助成可能額の半分に相当する金額となるようにする(法第21条第5項)。

Ⅱ効率的で適正な助成業務のための方針

基本的視点

(1) スポーツ振興のための国の事業,スポーツ振興基金等の助成事業及びその他の助成団体が行っているスポーツ関連の助成事業との調和を図りつつ,事業の重複等を避け,収益の最も効果的な活用を図ること。
(2) 配分の硬直化を避け,ニーズの変化に即応した適切な助成に努めること。
(3) 公正かつ公平な助成を行うため,第三者による審査委員会をセンター内に設置し,その意見を聴くなどの仕組みを整えるとともに,透明性の確保に努めること。
(4) 継続的・安定的な助成を実施できるよう,助成可能額の一部を,後年度事業のために確保すること。ただし,確保するに当たっては,その目的や金額等を明確にした上で,審査委員会の意見を聴くこと。

効果的で適正な助成業務のための手続き

(1)助成業務を公正かつ公平に行うため,センターに第三者から構成する審査委員会を置く。
(2)センターは,助成金の交付に関する要綱等を作成し,地方公共団体及びスポーツ団体からの申請を受付け,審査委員会での審議を経て,助成団体,助成対象事業及び助成金の額を決定する。
(3)センターは,近年の不正受給の問題の発生を踏まえ,交付された助成金が制度の目的に則り適正に活用されるよう,執行管理を的確に行うとともに,助成によって得られた事業成果の報告等の公表を行う。
(4)センターは,助成金の効果を把握するため,助成事業の実態等について確認を行うとともに,助成団体のニーズの把握に努めることにより,効果的な助成を行う。
 

その他の配慮事項

(1)くじの広報宣伝に資するよう,助成を受けた事業がくじ収益からのものであり,くじ収益がスポーツ推進の財源としてスポーツを支えていることが,関係者や購入者を含む一般国民に容易に分かるよう工夫を行う。
(2)各事業への助成については,次の点に留意しつつ,それぞれの事業の内容や助成対象等に応じてセンターが助成割合を弾力的に定めるものとする。
  (a)助成対象となる団体の自主性・自立性が損なわれることのないよう,原則として事業費の全額助成は行わないこと。
  (b)我が国で開催される国際的な規模のスポーツ競技会への助成については,スポーツ振興基金との役割分担や他のくじ助成事業への影響等を考慮しつつ,適切な基準を定めること。

Ⅲ その他のセンター業務に関連する方針

  スポーツ振興基金事業の充実

(1)スポーツ振興への安定的・継続的な財源確保を図るため,スポーツ振興基金事業は重要な役割を担っている。
このため,くじ収益から同基金への組み入れについては,助成事業全体のバランスに配慮しつつ,スポーツ振興くじの売上げ状況等を踏まえて,実施する。
さらに,同基金の事業である特に優秀なスポーツ選手・指導者への個人助成事業については,当分の間,くじ収益の一部を活用することにより,同事業の一層の充実を図ることとする。
(2)なお,スポーツ振興投票の実施等に関する法律施行規則(平成10年文部省令第39号。)第11条の4の規定に基づき,センターがくじ収益をセンター事業に充てようとするとき又はスポーツ振興基金に組み入れるようとするときは,あらかじめ審査委員会の意見を聴くものとする。

その他

スポーツ団体が行うスポーツの振興を目的とする事業に要する資金融通のための金融機関に対する資金の貸付けは,当面は実施しないこととする。

お問合せ先

スポーツ庁政策課

(スポーツ庁政策課)