運動部活動の地域移行に関する検討会議(第1回) 議事録

1.日時

令和3年10月7日(木曜日)10時00分~12時00分

2.議題

  1. (1)座長の選出及び座長代理の指名について
  2. (2)運動部活動の地域移行に関する検討会議運営規則について
  3. (3)検討事項及び検討スケジュールについて
  4. (4)運動部活動改革の目的・目標について

3.議事録

議題(1)座長の選出及び座長代理の指名について
事務局の推薦に基づき、検討会議として以下の者が座長に選任された。
友添 秀則 公益財団法人日本学校体育研究連合会 会長
また、会長の指名により以下の者が座長代理に選任された。
内田 匡輔 東海大学体育学部体育学科 教授

議題(2)運動部活動の地域移行に関する検討会議運営規則について
原案の通り、運動部活動の地域移行に関する検討会議運営規則が決定された。

【友添座長】
それでは、改めまして、座長に就任いたしました友添でございます。何とぞよろしくお願いします。
今後、少子化の一層の進展が予想されております今、子供たちのスポーツ環境が損なわれたり、あるいは運動機会が減ることがないように、持続可能な運動部活動の体制づくりが早急に求められていると思っております。この機会をチャンスと捉えて議論を重ねていければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
座長代理の内田委員から、よろしければ一言御挨拶をお願いいたします。

【内田座長代理】
このたび座長代理を務めることになりました東海大学の内田と申します。よろしくお願いいたします。
私自身は、専門でアダプテッドスポーツ、障害のある子供たちのスポーツの充実をずっと願って、行ってまいりました。ぜひこの場でも、障害のある子供たちの体育・スポーツが漏れることがないように、皆さんの考えの中に、何かしらそういった観点が入りながらお話ができるようにと思っております。どうぞお力添えをいただきながら話を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。

【友添座長】
ありがとうございました。
それでは、運動部活動の地域移行に関する検討会議の開催に当たりまして、室伏スポーツ庁長官より一言御挨拶をいただきます。

【室伏スポーツ庁長官】
皆様、おはようございます。スポーツ庁長官の室伏広治です。本日は、検討会議の初回となりますので、一言御挨拶申し上げさせていただきます。
まず今回、検討会議の開催に当たって、皆様におかれましては、大変御多忙の中、委員に御就任いただくとともに、本日第1回検討会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
現在、これからのスポーツ政策の目指すべき方向性や主な施策を示す第3期スポーツ基本計画について、年度内の策定に向けてスポーツ審議会にて御審議いただいているところでございます。
本日午後に開催されますスポーツ審議会の部会でも御議論いただく予定ですが、運動部活動改革は、第3期スポーツ基本計画の策定に向けた主要な論点の一つであると考えております。運動部活動は、これまで我が国のスポーツ振興を大きく支えてきましたが、少子化が急速に進展する中、従前と同じやり方、運営体制では維持することが困難であり、学校や地域によっては存続の危機にあるところでございます。
また、部活動指導に携わる多くの教師が競技経験を有しておらず、長時間勤務の要因となっているなど、生徒においても、また、教師にとっても望ましい環境ではない状況になっておりまして、抜本的な改革に取り組んでいく必要があると考えております。
昨年9月には、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革を取りまとめまして、改革の第一歩として、休日の部活動の地域移行を、令和5年度から段階的に実施することになっております。この部活動改革は、学校の働き方改革への対応とともに、子供たちにとって、よりふさわしいスポーツ環境の実現を目指すものであります。
運動部活動の地域移行を着実に実施するとともに、地域におけるスポーツ環境を整備し、子供たちがスポーツに親しめる社会を構築することを目指し、検討課題について御議論いただきまして、運動部活動の受皿の整備方策等について取りまとめていただきたいと考えております。
委員の皆様方におかれましては、高い御見識と様々な御経験を踏まえた御意見等を頂戴できればと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【友添座長】
長官、ありがとうございました。
改めて、委員の皆様の御協力の下、円滑に議論を進めていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
次の議事に移らせていただきますが、できるだけ多くの委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。議題3、検討事項及び検討スケジュールについてと、議題4、運動部活動改革の目的・目標については、事務局より資料の説明をまとめて行っていただき、その後、二つの議題につきまして、各委員の皆様から御意見を頂戴できればと思っております。
それでは、まず事務局より、議題3及び4の御説明をお願いいたします。

【事務局】
まず、議題3でございますが、資料の2を御覧ください。
検討事項(案)ということで、今後、本検討会議におきまして検討いただく事項につきまして、大きく10個のものを提示させていただきました。
1から順番に、簡単に御説明させていただきますと、まず一つ目は、運動部活動改革の目的・目標でございます。先ほど長官からの挨拶にもありましたが、まさに学校の働き方改革への対応とともに、中学生をはじめとする青少年にとってふさわしいスポーツ環境を実現することが、まさに大事であると考えております。中学生にとってふさわしいスポーツ環境というものはどういうものが考えられるのか、また、中学生にとってだけではなくて、地域スポーツ全体の振興の観点から、どのような効果が期待できるかということでございます。
2番目の地域移行する前の運動部活動の在り方でございますが、当然地域移行に関しては、一定の期間が必要であると考えておりまして、地域移行するまでの間、やはり現在の部活動には、当然様々な課題がございますし、また、着実な地域移行に向けて、運動部活動を改善していく必要があると考えております。
また、学校の働き方改革に対応するとともに、適切な指導体制を整えるために、運動部活動の指導や引率の体制をどのようにしていくべきか。特に、指導を望まない教師が部活動に従事する必要のない体制をどのように整備していくのかでございます。
地域への移行の在り方でございますが、地域や学校によって様々状況が異なります。そのような中で、どの地域においても着実に運動部活動を進めるために、どのような方策、様々な工夫などが考えられるのか。
また、移行した際に地域スポーツ活動の、例えば、参加者、内容、種目、そういったものはどうあるべきなのか。また、地域移行の達成時期につきまして、いつを目標とすることが適当なのかでございます。
4番目、運動部活動の地域での受皿でございますが、まさに地域に移行する際の最大の整備しなければいけないこととして、受皿を整備しないといけない。そのような中で、やはり都市部や地方部では、当然状況が異なります。また、生徒のニーズも多様となってきておりますので、どのような組織、団体が受皿として考えられるのか。また、それらの組織、団体を整備拡充して、安定的、継続的に運営できるようするためにはどうすべきなのか。
また引き続き、やはり市町村の地域スポーツ担当や組織、団体、また、学校等が緊密に連携していくためには、どういう方策が考えられるか。
また、財政支援の在り方としてはどういうものが考えられるのかでございます。
2ページ目に参りまして、5番目は指導者でございます。地域において指導をいただく人材を確保することは大切な課題であると考えておりますので、どのような人材が考えられるのか。そして、それらをどうやって確保、育成していくのか。また、それらの人材についてどうやって質の保障をしていくのかといったことにつきまして、議論をしていただきたいと思っております。
6番、施設でございますが、地域スポーツを実施する場として、どういう施設を確保していくのか。また、それらの施設を円滑に使用するために、どういう調整、連携の在り方があるのかといったことにつきまして、議論をいただきたいと思います。
7番目の大会でございます。地域スポーツに移行後、地域スポーツの様々な団体に所属している子供たちが、成果発表の場であり、実力を競い合う場として、どういう大会の在り方がふさわしいのか。また、運営スタッフをどのように確保していくか。また、既存の全国大会などにつきまして、どのような在り方がふさわしいかといったことにつきまして議論をしていただきたいと思います。
8番目、会費でございます。地域移行後の組織、団体におきまして、適正な額の会費を保障するためにどのような方策が考えられるか。また、経済的に困窮する家庭の生徒への支援としてどのような方策が考えられるかでございます。
続きまして、9番、保険でございますが、地域スポーツ活動に安心して参加できるように、保険内容や保険料等について、どのようなものがふさわしいのかでございます。
10番、最後でございますが、関連諸制度の見直しということで、運動部活動の地域移行に向けて現在部活動について、学習指導要領の総則に規定があるわけですが、そのような総則や入試等々における位置づけにおきまして、どのように見直しをしていくのかでございます。
これらが検討事項案でございます。
続きまして、検討スケジュールでございます。資料の3をご覧ください。第1回を本日開催させていただいておりますが、以降一、二か月に1回のペースで会議を開催して、先ほど御説明いたしました検討事項について、順次検討を進めていただき、来年の7月をめどに御提言を取りまとめていただきたいと思っております。ただ、先ほど申し上げました検討事項でも多岐にわたりますので、議論が終了しない場合には第1次提言として取りまとめていただき、その後、引き続き会議を開催して、残りの検討事項について検討していただき、令和4年度中に最終提言を御提出していただければと思っております。
以上が、議題3につきましての説明になります。
引き続いて、議題の4につきまして御説明をさせていただきます。資料の4を御覧ください。
運動部活動改革の目的・目標についてです。先ほど御説明をいたしましたが、まさにこの改革の目的・目標は大きく二つあると考えておりまして、中学校等の生徒の運動・スポーツ環境の改善でございます。働き方改革に対応するとともに、中学校などの生徒をはじめとする青少年にとってふさわしいスポーツ環境を実現することが目的であると考えております。単に今ある運動部と、実施主体を学校から地域のスポーツ団体に移行するだけではなくて、彼らにとってふさわしいスポーツ環境の実現につなげていく必要があると考えております。
下のグラフにつきましては、スポーツ庁で実施しております全国体力・運動能力、運動習慣等調査におきまして調査した結果でございますが、運動部や地域のスポーツクラブに所属してない生徒に対して、どういう条件があれば参加したいと思うかという質問を行ったところ、多くの子供たちが、例えば好きな、興味のある種目を行うことができれば参加したいなどと答えており、今、運動部やスポーツクラブに所属していない子供たちであっても、状況が整えば参加したいと思っている生徒が多い状況が分かります。
続いて、2ページに参りますが、上記のような状況であるとか、また、別紙で参考資料を後ろにつけておりますが、スポーツ基本法やこれまで出された各種提言などにおきましては、まさに中学生の時期につきましては、中学生の時期だけスポーツに親しむということではなくて、当然高校、また、さらには大人になった後も含め、その後の生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するための基礎を培う時期とされております。そういったことを踏まえまして、まさに運動部に所属してない生徒も含めて、技能の程度であるとか、例えば年齢、また、障害の有無などにかかわらず、全ての生徒にとってふさわしいスポーツ環境はどのようなものを目指すのかということでございます。
続きまして、二つ目は、地域スポーツの振興でございます。部活動の地域移行につきましては、中学校等の生徒にとってふさわしいスポーツ環境の構築だけではなくて、まさに地域にいるほかの世代にとっても、地域スポーツ環境の改善につなげていくことが必要であると考えております。現状、地域のスポーツ環境としては、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、また民間のスポーツクラブ等々、様々なものがございますが、中学校等の生徒は、やはり所属している人数がそれほど多くないということが現状でございます。
一方で、地域移行を進めることで、中学校等の生徒の参加を促進することで、例えば多様な種目が提供されることによって、より幅広いニーズに応えられる、また、生涯を通じた運動習慣づくりが促進されるなどの効果が期待されるところでございます。
また、地域スポーツの環境につきましては、3ページ目でございますが、やはり気軽にスポーツをできる場などの整備が不十分である、また、関係団体・関係者の連携や人材の活用が不十分であるという課題も指摘されておるところでございます。
上記のような状況を踏まえまして、中学校等の生徒が参画したくなるようなスポーツ環境の実現、また、地域住民全体にとってよりよいスポーツ環境の整備の両立という観点から、どのような地域スポーツ環境を目指すのか。また、地域移行することによって地域スポーツ振興の観点から期待できる効果として、これら以外にどのような点が挙げられるのかについて御議論をいただければと思います。
私からは、以上でございます。

【友添座長】
ありがとうございました。非常に多岐にわたる検討事項、そして、具体的な内容を含めて部活の問題、中学生の学校の問題と地域スポーツの新しい体制づくりということも含めて検討していかなければいけないことだと思っております。
ただいまの事務局からの御説明等も踏まえまして、御意見等を頂戴できればと思っております。なお、時間のほうも限りがありますので、大変恐縮ではありますけれども、各委員3分程度で御発言をいただきますようにお願いいたします。
御発言の御準備がよろしいようでしたら、順に挙手をいただければ幸いであります。ウェブ会議により参加されている委員の皆様におかれましては、挙手ボタンを押していただきますようにお願いいたします。
いかがでしょうか。一括して御意見を賜れればと思います。齊藤委員、お願いいたします。

【齊藤委員】
全日本中学校長会の齊藤でございます。よろしくお願いします。
まず、事務局等におかれましては、このように会議等を開くに当たって、部活動が抱えている課題等を非常に整理していただきまして、本当にありがとうございました。
その中で、中学校という現場を預かる者の代表といたしまして、まず、資料2に書かれている10の項目については、これはもちろん、この中で検討しなければいけないというところです。
それに加えまして2点、まず、保護者の視点というところで、学校で今、行われている部活動、あるいは地域で行われている様々なスポーツ活動につきましては、活動を担っている、いわゆる主体ですね、学校やあるいは団体の指導者等がいますけれども、ここで子供たちはもちろんですが、保護者との信頼関係が非常に重要になっているというところがございます。ですので、今、部活動が地域移行になるということは保護者にも伝えられておりまして、保護者が、部活動がどうなってしまうんだろう、子供たちのスポーツに関わる環境がどうなってしまうんだろうという心配があります。学校のほうとしては、伝えられる範囲での情報は伝えておりますけれども、まだその情報も不十分で、保護者の不安が払拭できていないところがございます。
それともう一つは、部活動が担ってきている、いわゆる教育的な面、これは部活動に限定するわけではございませんが、いわゆる望ましい人間関係ですね、こういったものを部活動の中でも構築してきたということが、実際にあるかと思います。そのようなことについて、今後どう取り組んでいくかというところ、さらには、具体的に言いますと、恐らくは地域移行に関わってくると、指導者の確保というところも課題になっておりますけれども、この指導者を確保する場合に、当然ボランティアというわけにはいかないと思います。報酬等が必要になってくる場合に、財源の問題等々、この検討事項の項目、あるいは今、説明をいただいた資料3、資料4の内容を踏まえて考えていきますと、今後のスケジュールが非常に厳しい中ですけれども、この改革を進めないと、子供がスポーツをやる環境も整わないと思いますので、ぜひ皆様と御協力をさせていただきながら取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。

【友添座長】
ありがとうございました。末冨委員、お願いいたします。

【末冨委員】
日本大学の末冨でございます。私は、こちらの会議にいらっしゃいます多くの皆様とは、少し立場が異なる委員だと思っております。私自身は、大学で教員養成をしておりますことと、中央教育審議会教育課程部会の委員、それから、内閣府の子供の貧困対策の委員と、経済産業省の教育イノベーション小委員会の委員も務めておりまして、スポーツや運動といったものとは違う観点からの意見を述べていくことになろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
特に、私自身が気にしておりますのは働き方改革、それから、中学校少人数学級との関連におきまして、いつまでを部活の地域移行の目標の達成時期とするかということについて、先に見通しを申し上げておきたいと思います。
資料2の1ページになりますけれども、いつを目標とすることが適当かといったときに、中学校の少人数学級を、学年進行で、今の小学校2年生が中学校1年生になるときに、35人学級に移行するという見通しを立てますと、令和7年度の夏にある概算要求の時点で、ある程度中学校の部活の改革等に成功していることが必要とされます。かつ教員が余った時間でティーチング、あるいは評価能力を上げていくことができる、あるいは休日に自ら望んで、放課後もそうですけれども、積極的に部活動に参加したいという教員も当然出てくるでしょうけれども、そのこと自身が、教員の過度の働き方の負担になっていないかということについて、ある程度の成果を示す必要がございます。当然のことながら、政府や国会の納得といったもの、それから国民がこのような改革を進めて、中学校の教員が過度に働き過ぎることなく、35人学級に移行して、質の高い教育を進めることができるといったような納得を導くために必要ではないかと思っております。あくまで、私自身の専門家としての目安ではございますが、令和7年度の夏の概算要求に間に合うために、ある程度の成果を示せることが、ベストのシナリオではないかと考えております。
それから、併せまして、運動部活動の地域移行につきましては、私自身も保護者でございますので、やはりどうなるのかという不安もございます。ただ、地域、あるいは指導の専門家の皆様が、子供たちの部活動に関わってくださることというのは、豊かなスポーツ文化を考える上でも、それから、子供たちがスポーツに親しみ、特に生涯親しむための素地をつくるためにもとても大事なものではないかと思うのですが、その際に整理が必要になるのが、学習指導要領総則との関係です。現在、学習指導要領の総則には、運動部を含む部活動は、学校教育の一環として、教育課程外ではありますが位置づけを持っていますが、そのことと地域移行とはどのように整合するのか、あるいは次のステージに移行するのかという議論が不可欠になります。
併せまして、その際の費用負担の問題ですけれども、内閣府の子供の貧困対策の有識者会議の委員としても言わせていただくならば、現行の就学援助制度ですら、部活動については十分機能しておりません。先ほどデータの紹介で、運動部に参加していない中学生も、楽しみたいという意識を持っていることが紹介されましたけれども、その阻害要因は、例えばバレーボール部のシューズが買えないという問題であったり、遠征のお金が出ないということで、泣く泣く諦めている子供たちがいる状況なんですね。そのことと、地域移行とをどのように両立させ、かつ現行の就学援助のスキームで補助できるのか、それとも、もっと違う枠組みで費用負担の問題を考えるのかということについても、こちらの場にいらっしゃる御専門の皆様と一緒に考えていくことができればと思います。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございました。主要な論点をお示しいただけたかと思います。
それでは、渡邊委員、お願いいます。

【渡邊委員】
私は今、総合型地域スポーツクラブという形で、ここに参加をさせていただいておりますが、やっぱり目的・目標のところが、学校の働き方改革というものが1番にありますが、やっぱり子供のため、子供第一というところを、もっと表に出していかないと、先ほどの齊藤委員の意見もありますが、保護者の理解というのがとても大事かなと思っています。教員の多忙化解消だけではなくて、生徒の多様なニーズ対応をするためにということを、丁寧に保護者に説明をし、理解をしてもらうことが大事ではないかなということが一つ。
それから、令和5年度からの段階的移行というその表現が、この段階的をどう捉えるかで、今すぐ取り組んでいかなければならないと思うんですけれども、様子を見るというところも実はあって、積極的な取組をされてないところがあると聞いています。ぜひこの辺、スケジュールを出すべきかなと思います。
私は、新潟県のNPO法人希楽々(きらら)という、一クラブの現場の部分にも関わっております。平成30年度のガイドラインの策定にも関わらせていただいて、そこで融合型という言葉に、とても取組をしていこうと思い、そこから融合型部活動の取組をして、今年4年目になります。実は、今年度から一部の種目を、休日の部活動を融合型に移行して、動いております。
この文章の中で、地域スポーツという一つの言葉でされているんですが、実は私は、これは地域の活動と地域部活動という二つの考え方をしたほうがいいのではないかなと思います。地域の活動は、従来スポーツ少年団や体育協会、総合型クラブ、民間のスポーツクラブが、それぞれ各団体が責任を持って、自主財源で活動していると思うんですね。ただ、地域部活動は、この部活動改革を受けて、学校と行政が関与する地域の活動というふうに私は捉えて、この融合型部活動の取組をしております。
地域の部活動との違いというところで、多様なニーズ、種目や志向に合わせて対応ができること、そして、併せて部活動の代わりということで、指導体制をしっかり研修を受け、ある程度ライセンス制度も設けて、責任を持った指導ができる体制をつくること、そして、併せて部活動と同じなので、受益者負担のみではできないところを、財政的支援も必要ではないかなということで、こんなことを、私の中では二つに分けて考えております。ぜひ現場の声もいろいろ聞きながら、いい形になればいいかなと思います。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございます。総合型地域スポーツクラブの声を聞きながら進めていくことも非常に大事かと思っています。
それでは、秋山委員、よろしくお願いします。

【秋山委員】
茨城県保健体育課の秋山です。
教育委員会の立場から少しだけお話しさせていただきますと、やはり今まで学校で担っていた分、学校生活と部活動の指導者が、お互い連携を取っているので、例えば部活動のやり過ぎだとかについては、担任の先生と連絡を取ったり、家庭で抱えている悩みを共有したりとか、いろいろといい面もありました。これが学校から離れたときに、ほかの国ではそれが当たり前なんでしょうが、その辺が、学校がどこまで立ち入れるのか、学校がどこまでも子供のために追いかけていくと、今まで以上に学校が大変になってしまうようなところも見えてくるのかなと思います。
また、これまでの部活動で言われてきた勝利至上主義だとか、子供の疲弊とか、バーンアウトみたいなものが、より一層進まないようにするためには、受け取るところで多様なニーズに応えられるような、場合よっては指導者が複数いるようなこととかが必要になってくるのかなと思います。
あと、先ほど来各委員からありましたように、経済的な支援も受益者負担、また、経済的に厳しい子供たちが、スポーツに親しめるような方策もあると、非常にありがたいと思っております。
茨城県では、地域移行しているのが、つくば市を中心に幾つかあるんですが、そこではコーディネートする、実際には総合型のクラブですが、そこが指導者の確保を、筑波大学生を中心に確保できているので、うまくいっていることや、市からの、最初の3年間ぐらいは支援を得られているところで、コーディネートする総合型のクラブがうまく運営できています。ただ、これがなかなかほかの地域に広がらないのは、指導者が確保できないことや、コーディネートをする学校というか、地域に指導者を派遣する、その団体が、なかなか動けないようなところがあります。茨城県としては、もう少し広がるように、各市町村に今現在、働きかけているところでございます。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございました。各論については、今、御指摘いただいた点についても、これから深めていくということで、今日は、どちらかというと総論的な、いわゆる検討内容、検討項目、あるいは改革の目的・目標について御議論いただくということになっております。
いかがでしょうか。御意見いただければと思います。石塚委員、お願いします。

【石塚委員】
ありがとうございます。スポーツデータバンクの石塚でございます。よろしくお願いいたします。
私の立場は民間ということもございますが、10年ほど前から、部活動の、教員の負担軽減ということで、様々な取組をしてきた経緯がございます。平成30年度にガイドラインが策定されましたけれども、そこにも友添座長とともに委員として参画をさせていただいております。民間としては、先ほど皆様からもお話がありましたけれども、様々なコーディネート、プロデュース業、そういったことを全般的にやっている立場でございます。その中にも指導者の課題ですとか制度設計、仕組みの構築というものが、様々な課題にはなってございますが、民間としてそういった支援をして、教育委員会さんに寄り添って、様々ここ10年ほどで実績をつくってきたところでございます。
室伏長官からも冒頭ございましたが、スポーツ基本計画の計画部会に参画させていただいておりまして、昨年10月から経済産業省様のほうでも、地域におけるスポーツクラブ研究会が立ち上がっておりまして、それにも委員として関わらせていただいておりますので、この部活動の課題に対しては、横断的に関わらせていただいている立場という側面もございます。
今回、前提として資料に10個の項目をまとめていただいておると思うんですけれども、少し私として、期待が高まっているところでいくと、大きな2ポツでございますが、ここにも「着実な地域移行に向けて」という文言が入っていたり、3ポツにも「着実に」という言葉が入っております。地域移行を前提とする中で、様々な課題解決をしていくという方針が大きく示されていることが、非常に期待感があるところだと感じてございます。
前提として、学習指導要領上の部活動の位置づけというところも、少し課題感があるのではないかなというところで、ほかの委員の皆様からも御指摘がありましたけれども、そういった部分では、今後の部活動の在り方というものが、この検討会を経て、皆様にも分かりやすく伝わるような、そういったところが一つの方針、課題にもなってくるのではないかなと考えてございます。
また、専門的指導が難しい、もしくは望まない教員の皆様の支援ということも、大前提として課題が多くあると思いますが、そこの体制整備というものも、今回の地域移行の大きな課題になってくると、改めて認識しているところでございます。
総論にはなりますが、この10個の項目のうち、私は、三つ大きな着目すべき点があるのかなと考えておりまして、一つ目は4ポツの受皿の部分。こちらは多種多様な受皿というものはあるかと思うんですけれども、やはり地域における民間企業だけではなく、プロスポーツチームや地域のスポーツクラブをはじめ、総合型地域スポーツクラブやスポーツコミッション、様々な立ち位置があるかと思うんですけれども、こういった受皿を、地域のニーズや状況に合わせた形で制度設計していく必要があると思いますけれども、これを経て、少し順番は前後しますが、8ポツにある会費の部分が、切っても切り離せないところかなと考えております。
こちらも、まず資料の中に、適正な額の会費を保障するためということで、しっかりと記載されていることから、今までの部活動の在り方を大きく変えていこうという文言が、ここからも感じられるところでございますが、やはりこういった会費、財源のところは、非常にポイントかなと考えております。
4番のところに戻りますけれども、地域のスポーツクラブと連携する、もしくは様々な団体と連携するというところに限っても、新たな財源というところで、保障制度だけではなく新たな財源の確保というところで、全体的な構築をしていくところも、一つの大切なポイントなのかなと感じるところでございます。
最後に、順番は前後しますが、6ポツ、施設というところがございますが、地域移行をしていく中でも、施設をどのように受皿とか、あるいは団体が活用できるか、もしくは管理、整備していけるかというところも大きな課題だと思っております。
やはり部活動改革に関して、地域移行に関しては、ソフトの部分かと思いますが、このような施設のハードの部分とセットにして考えていくところも、基本的な考え方としては重要かなと感じたところでございます。
以上でございます。

【友添座長】
ありがとうございました。いかがでしょうか。会場のほう、御意見ございますか。池田委員、どうぞ。

【池田委員】
大学スポーツ協会の池田でございます。
意見というよりは質問なんですが、資料を見る限り検討会議はどこのレベルまでを目指しているのか。というのは、具体的に申し上げますと、休日の移行という言葉と、改革移行という言葉があって、要は、全面的に中学校の部活動を学校教育から切り離すというところをイメージしているのか、それとも、働き方改革という観点で、休日だけを切り離して、いわゆるハイブリッドで運営していくという形を目指していくのか。その辺のイメージは今、どんな感じなんでしょうかね。

【友添座長】
事務局のほうからお願いします。

【事務局】
これまで政府等の方針として出ているものにつきましても、休日、平日分けずに部活動を地域移行するという形で示されております。
また令和2年9月に出された「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」につきましては、改革の第一歩として、休日を移行するということですので、当然平日を移行しないということではなくて、将来的には、平日についても地域に移行させていくということは、当然想定しているところでございます。

【友添座長】
よろしいでしょうか。

【池田委員】
ありがとうございました。

【友添座長】
まずは聖域を決めずに議論をしていくということでいいでしょうか。

【事務局】
そうですね、まさにおっしゃるとおりでございます。

【友添座長】
ありがとうございました。土日のみならず、ウイークデーについても視野に入れていくということかと思います。
大川委員、お願いします。

【大川委員】
岐阜県庁の大川でございます。
地域移行ということで、私ども、生涯のスポーツ、いわゆる地域の受皿になるスポーツについてを知事部局の私ども地域スポーツ課のほうで所管をしておりまして、教育委員会のほうでもまた部活動、学校体育のお仕事を所管しているというところで、受皿の観点から見ますと、現状を申し上げますと、私ども、今年から主に総合型地域スポーツクラブに対しまして、部活動の連携をする事業に対しましても補助をさせていただいて、連携を促進していこうという取組をしているところでございます。現在6クラブを採択しておりまして進めております。そのほか御指摘のありましたスポーツ少年団でありますとか、地域のスポーツ協会であるとか、そういったところが、今後受皿として期待されると思っているところで、そういったことも検討しているところでございます。
今、事業の端緒に就いたばかりではありますけれども、出てきている現場の声を報告させていただきますと、一つには、やはりどちらもそうだと思いますけれども、指導者の不足が深刻であると。特に会費ですとか謝金ですとか、そういったところがネックとなって、なかなか今、補助金で賄っている、そういったところが切れたときにどうしていくのかという不安の声が出ているところがありまして。
突き詰めて考えていくと、やっぱり受益者負担と、それからセーフティーラインといいますか、経済的に困窮されている方への支援、援助というものが、将来的には必要になってくるだろうと考えているところでございます。
もう一つは、これがやっぱり学校の部活動を地域に移行するのか、それとも、中学生がスポーツ活動をする、その環境を地域が提供するのかというところの迷いというものがございまして、そこについても、こうした議論を基に指針をお示しいただいて、そこに進んでいければということを考えております。
いずれにしましても、いろんな受皿が圧倒的に足りない状況でありますので、様々なところを考えていきたいと思います。
先ほど、渡邊委員さんでしょうか、地域スポーツという大くくりではなくて、地域の活動と地域の部活動というのを分けて考えるという御示唆をいただいて、非常に勉強になるかなということを思いますので、そういったことも含めて検討していただきたいと考えております。
以上でございます。

【友添座長】
ありがとうございました。いかがでしょうか。はい、どうぞ。石川委員、よろしくお願いします。

【石川委員】
新潟県長岡市で、行政の立場でこの問題に、ここまでいろんな取組をしてまいったんですけれども、特に、昨年の通知が出て以来、まず、この情報が正確に様々な方々へ伝わることを重視して、スポーツ競技団体はじめPTA等々と情報共有をここまでやってきた中で、一番現場として、この会で明確にしていっていただくことが、よりこの議論を深めていったり、多くの人の理解を得られるなと思った視点が、やはり現場の声ですと、7番の大会の在り方。様々な方々が理解を示していただきながら、この改革を進めていかなければいけないとおっしゃっておるんですが、どのように協力していけばいいかの道筋を、現場では、やはりゴールの姿がある程度明確にならないと、方策の話合いが進まないという御意見がたくさんあります。
私の地元では、部活動ガイドラインができた平成30年に、実は、この問題とは別に、もっとやりたい、もう少しさせたいという保護者だったり、教えたいという教員のニーズに応えるために、部活動とは違う形で、競技団体と教員が一緒になって、そういった手挙げ方式で集まって、その種目をやれるような環境づくりを進めてきたところだったんですけれども、その中で、今回の部活動改革というのが、昨年出された。何とかこの動きを、この今回の検討会議につなげることができないかということで、平成30年以来、競技団体をはじめスポーツ少年団等々と実はずっと議論してきたんですが、どうしてもこの地域の部活動は、やはり部活動という言葉がついている以上、学校の意向がどうなのかというところを、やはりはっきりさせてほしいということで、今ちょっと議論を行っています。
ここの部活動は、土日だと、原則全員参加になるのかという考えなのか、あるいは部活動という名前がついているので、学校が、何をここに求めているのかという視点を出していただくことで、受皿のほうは様々な準備ができる。ちょっと受け身の体制での話になっているんですけど、もともとの部活動からの移行なので、教育現場の考え、意向を聞きたい。それによって議論を深めていきたいというのが、現場のあちこちから聞こえてくる声ですので、最終的にはどのチームが全中大会に出られるのか。今の学校対抗の形式のままいくのか、あるいは中学生を対象とした、地域をもう少し緩やかにした枠組みでできるのかによって、地域の受皿のつくり方も大きく変わってくるということなので、大会の参加資格とか、そういった部分を明確にしていくことで、地方での議論は進んでいくんじゃないかなと考えております。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございます。地域クラブの大会参加を認めるかどうかというテーマもありますし、あるいは働き方改革の中では、特に全中、あるいはインターハイを含めて今、予選の際の先生方の引率等の駆り出され方というのが、なかなか問題があるというふうに思っています。御指摘ありがとうございます。
ほかにどうでしょうか。はい、松村委員、どうぞ。

【松村委員】
初めまして、私、一般社団法人日本フィットネス産業協会の松村と申します。名前のとおり、民間のフィットネス事業者の業界団体でございます。
このコロナ禍で、既にいろんなところからお話も耳に入っていらっしゃる方も多いと思うんですけれども、フィットネスクラブは、大きなダメージのインパクトを本当に受けました。今、大体、昨年のコロナが起こって、緊急事態宣言で2か月間クローズをして、その間に大幅にお客様がいなくなって、今に至っても、やはりまだまだ一般のフィットネスクラブの会員の方々というのは、コロナ禍前と比べて85%ぐらい。
85%ぐらい戻っているのではないかという話ですけれども、なかなか、ここの事業構造自体が課題ではあるんですけれども、大体大きなジムがあって、スタジオがあって、プールがあって、場合によってはサウナがあってというような、俗に言う総合型のフィットネスクラブの事業構造というのは、利益率は10%ぐらいというところで、85%まで回復しても、まだまだというようなところで、なかなか厳しい状況があって、フィットネスクラブ事業者も、今まで蓄積してきたノウハウを使って、新たな事業展開に各社着手を既に始めているところで、まさにこの部活動の地域への移行というところで、全国のフィットネスクラブがありますで、ここでは我々としては、今までの知識、経験を生かせるということで、貢献性は非常にあるかなということと、一方では、新しい事業創造というところでも、非常に期待をさせていただいているところでございます。
先ほど石塚委員がお話しされたことと、ほぼ、私も民間事業者の立場ですので、大体同じでございます。石塚委員の話とも重複するところも出てくるかと思うんですけれども、私も石塚委員と同じく、経済産業省のサービス政策課が進めている、部活動の今回の切り離しというところと、授業というビジネスとどういうふうにつなげていけるのかという議論の中にも入らせていただいております。
一方で、去年文部科学省様のほうで、多分、去年で終わったと思うんですけれども、部活動指導者の養成事業があって、これは文部科学省の委託事業で、三幸学園という専門学校がそれを受けて、要は、部活動をするには、例えば、リタイアされた方で、弓道をやっていたとか、卓球をやっていましたとか、体操をやっていたと。自分は教えられるし、教えたい。だけど、やはり教員の経験もないので、これは教育の中での部活動なので、最低限教育の一環としての指導をするに当たって必要な知識を、eラーニングで身につけようというような事業で、成果も報告されています。これは非常にいい成果かなと、私は思っております。
一方で、先ほどの経済産業省のほうでは、例えば、先ほど末冨委員さんでしたか、財源の話とかになっていましたけれども、一方で、経済産業省主導のほうでは、例えば、スポーツベッティングですとか、あとはプロ野球のペナントレースですとかJリーグ、そういうところでの収益をどういうふうに回していくか、そういう議論もされていて、これらのプロジェクトが有機的に機能する、シナジーを発揮することで、極めて大きな成果につながっていくのだなということをイメージしています。なので、この中でわくわくしながら議論に参加させていただきつつも、やはり一方では、そういう各所で成果を求め始めている、もしくは成果が出ているようなものを、何かの形でうまくシナジーを取っていくような機能がどこかで、新しい動きが出てくればいいのではないかなという期待感もちょっとございます。
以上でございます。

【友添座長】
ありがとうございました。今までにない、要はPPP、いわゆるパブリック・プライベート・パートナーシップ、こういう関係もつくっていく必要が実は来ていて、今までとは抜本的に変えていかなければいけないところが幾つか出てくるだろうとも思っているところであります。
吉田委員、お願いできますでしょうか。

【吉田委員】
ありがとうございます。笹川スポーツ財団の吉田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
スポーツ分野のシンクタンクを標榜しておりまして、全国的な社会調査であるとか、自治体との実践研究において、いろいろな事例研究をしておりますので、そういったところから、皆様と共有できることがあればと思っております。
今日は、先ほど友添座長のほうから、各論は後刻進めていくという話もありましたし、今までの皆さんの課題感をお伺いしていると、それぞれの10個プラス1ですかね、今日、保護者の話もありましたけれども、そういった課題感というのは、皆さんの共通的な認識だというのも感じていますし、私も、皆さんの高い知見には及ばないんですけれども、同じように課題を持っているところです。
保護者の関わり方は非常に重要な課題と思っていますし、一つだけ事例といいますか、ある自治体で部活動の地域移行の話を進めておりますけれども、ガイドラインに基づいて休日をつくったところ、やっぱり部活動をやってほしいということで、保護者が主体となって部活動を継続しましたが、協力する保護者とそうでない保護者の間でパワーバランスが出てきてしまったというような話もあり、すごく深い問題があるんだろうなとの認識をもっています。
そういった各論については、今後の議論で、皆様と建設的な意見交換をさせていただきたいと思っております。総論の部分で言いますと、資料2に、ふさわしいスポーツ環境という言葉がありますけれども、ここは非常に重要なワードだなと捉えております。運動部活動の地域移行によって、どんな社会を描くのか、あるいはどういう社会を目指すから、部活動の地域移行が必要なんだという目線合わせがないと、恐らく全国的に同じような目線で地域移行が進むかというと、なかなか難しいと思いますので、総論の目的・目標のところで、ふさわしいスポーツ環境とはどういうことかについても、ある程度の共通認識が図られ、それを公表できるようなことが必要かとは感じました。
それともう1点、令和5年度からの地域移行を考えるとなると、令和4年度中には、各自治体においては、同様の議論が進められないといけないというスケジュール感があるかと思いますので、提言は7月に出すものの、本検討会でどういった議論があるのかということは、議事録の公開とともに、そのほかの方法も使って自治体に対して、議論のポイントを公表できると、各自治体における移行議論もスムーズに図られるんじゃないかなとは感じたところであります。

【友添座長】
ありがとうございました。末富委員、お願いします。

【末冨委員】
先ほど申し上げ忘れた点を、1点だけ追加させていただきたいんですけれども、議論を進めるに際しまして、そちらの会場にも、今日は経済産業省の御担当者がいらっしゃっていると思いますが、文部科学省内の、例えば、先ほど申し上げました学習指導要領ですとか、教員の働き方に関わります部局、そして、地域移行というよりは、障害者に関わるとなりますと、総合教育政策局ですとか特別支援教育課など、より多くの部局も議論に加わっていただきながら、検討を進めていったほうがよいのではないかと思っております。
霞が関も、それぞれの省庁で多くの所掌領域を抱えていらっしゃるのは存じ上げておりますけれども、部活動、運動部の地域移行というのは、足並みをそろえて関係部署が進めていくほうが、正しいメッセージ、よいメッセージが伝わっていくものになるだろうと考えております。ぜひ縦割りを越えまして、関わる部局、省庁がより前向きなビジョンとか対応を繰り広げられるようなアプローチもしていただきたいなと思っております。
具体的に申し上げますと、例えばですが、質問があったときに御回答いただくということでも結構なんですが、それだけではもったいないなと思っておりますので、経済産業省の議論の進み具合、あるいは文部科学省の教育課程課だと思いますが、例えば、過去の議論の把握なども含めましてそれぞれの領域での議論の蓄積、あるいは今後の展望といったものを、各御担当からお教えいただき、こちらでの提言に生かしていくようなことができればいいのではないかと思っております。教育課程課に対しては、現行学習指導要領におきまして、部活動は総則に位置づくわけなんですが、私自身は、研究者として、特に教員の働き方や定数に係る研究者として、それはどうなのかということを私的に申し上げたこともございます。
以上です。ありがとうございます。

【友添座長】
御指摘ありがとうございます。確かに、議論の中では今、御指摘いただいたような配慮が必要だろうし、むしろそのほうが正確な議論ができるかと思います。これについては、事務局のほうと、また御相談させていただきながら考えてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
ほかに御意見、齊藤委員、どうぞお願いします。

【齊藤委員】
改めまして、全日中の齊藤でございます。
最初に意見を申し上げましたけれども、その後、皆様からお話を伺っていて、私は、学校の校長という立場で話をさせていただいているのですが、部活動というものについて、学校としては、生徒が主体的に、つまり、自分がやりたいものについて参加をするということで捉えられておると思います。一方で、子供たちの中には、やりたいスポーツがあるのだけれども、入学した学校にその部活動がないといった場合にどうしたらいいのだろうというときに、地域の団体等に所属をしたり、あるいはほかのスポーツに携わってみたりというところがあります。ですので、先ほど指摘もありましたように、目的にあるふさわしいスポーツ環境というのが、どういう捉え方をすればいいのかというところで大きく変わってくるのかなと思います。部活動は、あくまでも学校でやっているものと捉えてしまいますと、非常にこれが限定的になってくると思います。先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれども、子供ファーストということで考えていって、子供が取り組みたいものについて取り組める環境を整えるということであれば、かなり教育という立場、教育という分野を超えて、様々な方々のお考えを伺った上で、これが実現に運べればいいと考えております。
ですので、私も、非常に視野が狭かったのですけれども、皆さんから様々なお話を伺っていく中で、これは相当スケールの大きな話になっていくなというところで、わくわくしながら、今、皆様のお話を伺っていました。引き続き、私のほうでも、現場の校長として意見を述べさせていただきますけれども、それをまた、組織に持ち帰りまして、この改革の進め方について、協力できればと思いました。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございます。スポーツ環境の概念の内実を、検討していくということかと思います。
佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】
PTA連合会、佐藤博之と申します。
私の所属は山形市でございますけれども、山形市の中では、教育懇談会というものがございまして、その中で、望ましいスポーツ環境を目指してということで、部活動についての話合いを、何度かもう既に持っております。保護者の実際の生の声というものを、ちょっと集めてまいったんですけれども、やはり一番保護者として心配をしているのは、地域間格差といいますか、狭い山形市内の中にあっても、郡部と中心部での格差というものが、もう既に出ているのではないかというようなことであります。
それから、経済的な問題で、スポ少に入れない、それから部活動ができないという、チャンスを逃してしまっている子供たちもいるのではないかというようなことが話をされました。また、週末は、ほぼ送迎で、親がいろんな施設に子供の送り迎えで時間を費やされてしまう。それができないがゆえに、その部活動に入れないという家庭もあるということを聞いております。
様々な御意見の中で、最終的にまとめますと、子供たちが本当にやりたいスポーツができる環境をつくっていただきたいというのが、最終的な望みであります。子供たちが一生懸命やっている姿を見るのは、親としては本当にありがたいことでありますし、心の底から応援をして、バックアップをしたいと思っているわけであります。その子供たちのチャンスを、ぜひ潰さないようにお願いをしたいというのが、我々の意見でございます。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございました。山本委員、お願いします。

【山本委員】
日本バスケットボール協会の育成を担当しております山本と申します。お世話になります。
我々は、NF競技団体として、バスケットボールとして育成環境はどうあるべきかというところで取り組んでやってきております。そういった点で、今回の会議の目的・目標、中学生のスポーツ環境の改善、地域スポーツの振興という大きな2点について、全く賛同するものでありまして、ぜひ積極的に御意見を伺っていきたいなと思っております。
部活動が担ってきた役割というのは、非常にNFとしても大きなものでありまして、さきのオリンピックで女子代表が銀メダルという、チームスポーツとしてメダルを取るというのはなかなかできないんですけれども、これができた彼女たちが育ってきたバックボーンというのは部活動でした。でも、これはごく一部の一面的な部分であって、部活動の全てを言っているものではない。何かといいますと、言いたいことは、登録数として男女で、多いときで25万人おりました。今ちょっと減ってきまして、今年の数字でいいますと、男女合わせて21万人。チーム数でいいますと1万2,500チーム、この中にクラブとBユースプロクラブのユースチームが入っておりますが、これは非常に少ない数ですので、部活動が九十数%と捉えております。非常に多くの子供さん、生徒さんがやっていただいている、これは未登録のチームも含まれていますので、もっと大きな数が、実際バスケットボールをやっていただいております。
この数をしっかりと、オリンピックにつながる選手だけを配置する、その目標ではなくて、ぜひ補欠をなくしたいということで取り組んでいることもあります。これは大会の在り方とつながってくる部分。私が育成として申し上げたいことは、もう既に意見として出ておりますけれども、ニーズというものであります。そのニーズというのは何か。私も各カテゴリー、U12カテゴリー、15カテゴリー、18カテゴリー等で、全部会議をやっておりますけれども、ニーズとは何かいうことを言ったときに、指導者が求める、勝ちたいというような競技志向的な考え方と、その対極にあるレクリエーション的な志向という、大きく分けて二極、これが子供さんにもあるんじゃないかということ、それをちょっと提案しましたところ、そのとおりだという意見ばかりでした。U12でも、U15でも、そして、私、育成方針というものをつくっておるところですが、二極のところに、間に中間層というのを入れまして、3層考えました。ハイパフォーマンス層、いわゆるオリンピックを目指すような強化層、ここだけじゃなくて、対極のレクリエーション層、楽しみたい層というのがある。その間にある中間層というものも当然存在するぞというところと、それの生徒さんと教員の方々、指導者の方々の掛け合わせをしないと、不幸な部分が生まれるぞというところがあって、これはコーチングのほうにも出てくるわけですけれども、イロハのイですね。
コーチングの哲学で、指導者は何のためにいるか、先生は何のためにいるか。生徒の幸せを願う、そのためにサポートする立場であるということを考えたときに、先生が勝ちたい、生徒はそこまでやりたくない、これはギャップが生まれています。生徒は勝ちたい、先生はそれほどやりたくない、これもギャップが生まれて、不満が生まれます。先生頑張りたい、生徒も頑張りたい、これはぴったりくるんですね。生徒もほぼほぼ、先生もそれに合わせた指導で伸び伸びとやらせるとか、そういうところがぴたっと合うような活動形態はどうあるべきかということを、我々バスケットボールとしても取り組んでおります。
この会議では、部活動という点で、その辺をしっかり見直して、どうあるべきか、あるべき姿を考えていく会議だということで、非常に期待をしております。ぜひよろしくお願いいたします。

【友添座長】
ありがとうございました。いかがでしょうか。石井委員、お願いします。

【石井委員】
日本陸上競技連盟から参りました石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま日本バスケットボール協会の山本委員からお話がありまして、ちょっと関連をしたところもお話しさせていただければと思いましたので、続けて挙手をさせていただきました。
全体的に、検討事項についてはそのとおりだなと思うところが多いんですが、私ども陸上競技の場合、地域に移行していく流れは避けられないというか、それはやむを得ないんだろうと、皆さん割と認識されているんですが、大会の形がどうなるのかというのを懸念されている方が非常に多いです。どうしても中体連の大会として開催されている大会が中学校の場合は多いので、学校の関わり方、あるいは学校の教員の関わり方がどんどんどんどん下がっていくと、大会は一体誰が運営するのか。それから、全日本中学校選手権もそうなんですが、中体連の大会は、中体連登録をしていないと出場できない仕組みになっていますので、そこの仕組みがどういうふうになっていくべきなのかということの懸念というか、議論しなければいけないところがありまして、その辺り、大会の在り方というものも検討事項の中に入っておりますけれども、ここはかなり陸上競技でいうと、現場の先生方は非常に気にしておられるところです。
それから、受皿を整えていこうということだと思うんですが、既に地域で、会社組織で、かなりプロ的にクラブをつくって、かなり多くの会員を抱えて経営されている方もいらっしゃいますし、それから、総合型の地域クラブであるとか、行政主導のボランティアベースのクラブもありますし、それすらなかなか人材がいなくて、整えられないという地域も、現状でも、かなり地域によって差がございます。
この地域に移していくということが進むと、都市圏では逆に受皿ができるけれども、過疎化が進んでいる、学校もどんどん小さくなっていっているところでは、それを地域でやろうとすると、学校の負担が地域に移るだけになってしまって、結局誰かが無理をしなきゃいけないというふうになるんじゃないのかという懸念の声を、我々のほうに結構寄せられることもありまして、その辺りをどう解決していくのか。それは人材、資金、いろんな面があると思いますので、その辺りは先生方の御意見をいろいろ参考にさせいただきながら、ここで議論をさせていただければと思います。
それから、中学生のニーズということでいいますと、私ども陸上競技の場合、中学生の登録競技者が、年間で大体20万人前後、1学年当たり6万5,000から7万人というのが通常の数字なんですが、高校生の登録者が、年間で10万から11万ぐらい、人数的に1学年で3万5,000人程度となります。中学から高校に行くときに、ほぼ半分に減るんですが、実態を見てみると、7割ぐらいが陸上競技から離れてしまって、そこに新しい子供たちが2割ぐらい入って、表向きの数字としては、中学校から高校で半分になるということです。
7割が中学校から離れるときに陸上競技はやめてしまうんですけれども、その理由を、きちんと調査したわけではないんですが、今までのいろんな話を聞いていくと、どうも、部活動でありながら、高度化とか、専門化とかをしていくにつれて、居心地が悪いというか、ついていけなくなるというか、なかなかここではやれないなと思って、離れていってしまう子供たちがかなり多くいるということも分かってきていますので、今回のこの議論の中で、中学生にとってふさわしいスポーツ環境であるとか、子供たちの目線でという話も今までありましたけれども、そういった議論が、ここできちんとなされて、頂いた資料の中でも、部活動に入ってない子供たちも、環境が整えばやりたいという人たちも多いと書いてありましたけれども、子供たちにとってスポーツの環境を整えられるような機会になればというふうに期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【友添座長】
ありがとうございました。日本の競技力にとって、部活は非常に重要な役割を果たしてきたわけですけれども、体操競技だとか水泳では、もうそういう時代は終わっている。次のステージに、やはり移っていく時期にあるのかなというふうにも思っているところです。
影山委員、お願いします。

【影山委員】
皆さん、おはようございます。公益財団法人日本サッカー協会で、育成ダイレクターを務めております影山と申します。
ただいまバスケットボールの山本委員、それから、陸上競技の石井委員と続きましたので、一競技団体としての発言をさせていただきます。
サッカー競技は、合い言葉としては、垣根を取り払っていこうという言葉、それから、プレーヤーズファースト、今、スポーツ協会さんではプレーヤーセンタードという言い方をされていますけれども、我々、かなり早い時期からプレーヤーズファーストという言葉を使ってきました。何がプレーヤーズファーストかといいますと、サッカーをプレーしたい子供が、それぞれのレベルでプレーを楽しむことができる、そして、そこにはライセンスや教育を受けた指導者がしっかりといる、この二つに関して強調してきております。
指導者ライセンスは、現在プロのチームを指導できる、Jリーグなどですけれども、そのレベルを指導することができるS級ライセンスから、下は、日常の子供たちを教えることができるD級ライセンスまで、全体で今、8万5,000人ほどの指導者が登録されています。
それから、選手の登録数は、昨日調べたんですけれども82万人近くです。そして、我々は3種と呼んでいるんですけれども、中学校年代、U15では20万人、そのうちの13万人近くが、実は部活動でプレーをしています。
我々、ゲーム環境を整えるのに、垣根を取り払うということで、以前は、例えば全国中学校サッカー大会、それからクラブチームがサッカーは多いです。そして、クラブはクラブだけでトーナメントや大会を開いていたんですけれども、その垣根を取り払おうじゃないかということで、クラブも、中体連の部活動のチームも、一緒に競技をしていこう、そして、リーグ戦をしていこうということで、サッカーの競技を発展させてきたという自負がございます。
そんな中、現在の競技者、人口がどんどんどんどん減ってしまう中で、一つの学校だけではチームがつくれない、そんなときには、もう2校、3校、少なくなってしまった部活動も合同チームでリーグ戦に参加してもいいですよということを促しながら、サッカーをプレーしたい子供たちが、プレーする場がなくならないようにという努力をしてきております。
今回のこの改革、地域移行は、我々地域で、U18においては全国リーグというものがあります。西と東に分かれていまして、下にいきますと各9地域のリーグ、そして、各都道府県のリーグ、1部、2部、3部、東京都ですと4部、5部ぐらいまであるんですけれども、そんなゲーム環境を創出してきた立場から、やはり全ての子供が、それぞれのレベルでサッカーを楽しむことができる、これは置き換えると、スポーツをそれぞれのレベルで楽しむことができる環境というのは、非常に大事だと思っています。
友添座長が冒頭におっしゃられたように、この機会をチャンスと捉える。チャンスとは何なのかということを考えたとき、スポーツが発展する、スポーツを楽しむことが日常的にできる。スポーツ文化が何なのか、これは様々な議論がありますけれども、スポーツ文化を醸成していくことができて、さらに、それがシナジー効果によって競技力が向上していく、そんなチャンスとしての議論になっていくといいなと思っております。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございました。競技団体、NFの皆さんから御意見をいただきました。非常に大事な視点も含まれていると思います。
いかがでしょうか。遠藤委員、お願いします。

【遠藤委員】
スポーツ少年団の遠藤です。今日はよろしくお願いします。
先ほどのお話の中でも、どなたかあったんですけれども、いわゆるふさわしいスポーツ環境という言葉がありましたが、総論的に考えていくときに、結局スポーツをどういうふうに捉えるかという捉え方が、今後、持っていくのが大事なのかなあと考えていたところでした。
スポーツ少年団は、スポーツを通じて、地域で青少年の健全育成を図るという理念で活動しています。現実的には単一種目で、しかも勝利至上主義に入っているような少年団も結構見受けられて、なかなか理念どおりいかないのが実態ですけれども、基本的にはスポーツでの競技力向上とか、いわゆる主として勝つこと、試合が目的ではない活動だということで捉えています。
そういう考え方で、スポーツ少年団も今後、今の少年団活動をどのようにして改革していくかということを考えている最中なんですが、この中学校の部活動の外部移管、地域移行を考えるときに、我々の活動の中でもどのように捉えたらいいのかと考えているところなんですけれども、結局、中学校の部活動、中学校において子供たちがするスポーツ活動とは何かという、その辺が皆さんと共通認識を持たないと困るのかなと。
例えば私の住んでいる地区の中体連の大会なんかでは、当然学校単位の争いになっていますし、地区の優勝旗を何本確保したかということが、校長先生とか学校の先生方の話題にも結構上る状況があって、そうすると、いわゆる中学校の運動部活動が、どうしても勝ちたいとか勝利、競技力向上のほうに行かざるを得ない。これは文化部も同じ思いがあるのかもしれませんが、吹奏楽部なんかも、かなりきついところはきつい状況ですので、いわゆる中学校の中の部活動とは何かということを、教育的側面もあるんですけれども、そこら辺のことをみんなで考えていかないと、この問題はなかなか難しいのかなと。
そうすると、例えば地域でのスポーツというふうに、先ほど齊藤先生がおっしゃったのかな。地域での中学生のスポーツ活動と考えれば、サッカーの方がおっしゃったように、学校単位でないと大会に出られないという考え方ではなくて、年代年代で出てもいいですよと、学校で出てもいいし、地域で出てもいいしという考え方になれば、もう少し関わりも変わってくるのかなと考えているところでした。
なかなか総論なので難しいかもしれませんけれども、スポーツをどう捉えるかというのは大事なのかなと考えているところです。
以上です。

【友添座長】
ありがとうございます。重要な論点かと思います。
現実には、アーバンスポーツだとかユニバーサルスポーツ、中学生の愛好者が非常に多いですけれども、先の東京オリンピックでも中学生選手がスケボーで金メダルを取る時代が来ています。こういったものも、実はどうするのかというのを、先ほどちょっとお話しいただいたように、聖域なく検討もしていかなければいけないなと。これは多分、石塚委員や松村委員のところでは当たり前の議論をされているんだろうと思います。その辺も、またおいおいお話ししていただければと思っております。
まだ御発言いただいていない委員、金沢委員、よろしくお願いします。

【金沢委員】
日本スポーツ協会の金沢と申します。
御存じかと思いますが、日本スポーツ協会は、日本陸上競技連盟をはじめ60を超える中央競技団体そして、47の都道府県体育・スポーツ協会を加盟団体に持ち、その都道府県体育・スポーツ協会には市区町村スポーツ協会が加盟してございます。そういったネットワークを通じて、運動部活動の地域移行に協力して、取り組んでいかなければならないとは思っています。
本日は、行政の方、そして現場の方々、学校の関係者の生の声を聞きながら、日本スポーツ協会として何ができるのか、ネットワークを使って、どういったことができるかといったことをお聞かせいただき、今後取り組んでいきたいと思っております。
この運動部活動の地域移行、資料2にございますように、やはり大きな取組で、非常に課題が多いと感じております。この中でも、特に日本スポーツ協会として取り組んでいかなければならないと思っていますのは、運動部活動での地域の受皿としてのスポーツ少年団、それから総合型クラブの環境整備といったところでございます。ただ、当然のことながら、この少年団と総合型クラブだけでは、十分に対応できる数はありません。そのため、先ほど委員の先生からも御発言がありましたように、民間のフィットネス業界を含め、今まで連携していなかった団体とも、しっかりと手を組んで連携していかないと、これは広がっていかないだろうと、対応できないだろうと思っています。
また、我々はどうしても公益法人ということで、もうけないという観点で取り組んでいるのですが、民間のフィットネス業界等の安定した経営をするためのビジネスとしての観点も参考になるのではと思っております。ただ、経済格差でスポーツに参加できない子供が出てくると思いますので、その課題をクリアしていくために、やはりスポーツ界、それからフィットネス業界等の産業界も含めて、今までつながっていなかったところとしっかり連携をつくっていくにはどうしたらいいのか、連携の在り方もアドバイスいただければと思っています。
もう1点は指導者です。指導者につきましては、前回の東京オリンピック後から、私ども日本スポーツ協会で養成してきております。現在、19万人を超える指導者を認定しておりますが、この地域移行に対しては、まだまだ足りません。そこに対してどうやってJSPOの公認スポーツ指導者を、地域の移行に向けて増やしていくのかが課題となります。我々としても、日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者資格だけが地域に移行した運動部活動を指導する条件とは思っておりません。部活動を指導できる、ある程度の条件というものを示していただいて、それを超えている資格であれば、公認スポーツ指導者資格だけではなくて、その他の民間の資格でも指導できるという対応はできないのかなと思っております。ただし、まだまだ指導者の暴力問題とか、いろいろハラスメントということもございますので、指導者資格を乱造するのも非常に危険であると思っております。こういった問題をどうすべきなのかといったことも、今後、皆さんの御意見をお聞きしながら、日本スポーツ協会として何ができるのか、協力できるのか考えていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

【友添座長】
ありがとうございました。西委員、よろしくお願いします。

【西委員】
失礼します。奈良県生駒市の西でございます。よろしくお願いします。
私の場合、住民さんに一番近い市町村ということで、皆さんのような大きな話にはならないですが、御了承をいただきまして、お話しさせていただきたいと思います。
生駒市のほうは、県からの委託事業で、令和3年度から地域部活動移行のモデル事業を受けさせていただいております。その中で、学校現場の先生の声を聞くことが最近多くなりまして、その競技の経験はないけれども、子供たちのことを考えて一生懸命勉強しながら部活動の指導されている先生、それから、もともと経験があって技術力も高い、そして人間的にも優れた先生が、またこれも子供たちのことを一番に考えて、一生懸命指導されている先生がおられます。また、それとは別に、部活動の指導を望まない先生方もおられると思います。一生懸命子供たちのことを考えて、本当にやりたい、生徒指導を含めて頑張ってやっておられる先生たちを、地域のほうで、どういうふうな形で一緒にさせていただくのか。
学校の先生自体、どちらかというと、地域の組織でやってこられていない先生もおられますので、地域のほうへ入っていただくということは、組織の一員として迎え入れることになります。学校の先生を一番生かしつつ、先生の思いを最大限重要視させていただいて、地域のほうで子供たちのことを一番に考えて何かできないかなと。
また、中学校の部活動で少ない競技もあるかと思います。中体連さんのほうに加わっていない競技もあると思いますので、こういう流れになれば、その競技団体にとってはチャンスになるのかと。部活動がないということで、競技者数が増えていない競技団体もあると思いますので、その辺を地域とともに、学校とともにいろいろと考えさせてもらって、スポーツ全体がうまくまわればいいなと思います。
まとまりのない話で申し訳ありませんが、よろしくお願いしたいと思います。

【友添座長】
ありがとうございました。教員の兼職、兼業の問題も、この中でも議論していかなければいけない重要な問題かと思っております。
市川委員、よろしくお願いします。

【市川委員】
日本中体連の副会長をしております、神奈川県小田原市で勤めております市川と申します。よろしくお願いいたします。
今まで委員の皆様の御意見を伺う中で、議案として示されております検討事項について、どれも本当にそのとおりだなと伺ってまいりました。
日本中体連としましても、皆様から御指摘のとおり、大会の在り方でありますとか、その辺のところは検討を始めたところでして、そこのリズムはちょっとゆっくりなんですね。それと、この検討会のリズムも速いもので、その辺の兼ね合いをどうしていこうかなと、私の中での課題の一つではありますけれども、大きな流れとしましては、やはり学校のため、子供のため、また職員のためというふうに考えますと、この検討事項については、深めていただく中で周知をして、進んでいっていただければありがたいと思っております。
それぞれ個々のやりようについては、アイデアを出しながら、子供たちが不利益を被らないような方策を、皆様方と考えていきたいと思う次第でございます。
以上でございます。ありがとうございます。

【友添座長】
ありがとうございました。いかがでしょうか、言い残したことが、まだあるようでしたら。
それでは、座長代理の内田委員、お願いします。

【内田座長代理】
ありがとうございました。皆さんのお話をお伺いしながら、非常に勉強になることが多いなと思うことがありました。
改めまして、一番最初に申し上げたんですけれども、私は障害のある子供たちのこと、アダプテッドスポーツというところで研究をしながら、私自身も、一番最初は聾学校の教員から始まっておりまして、中学校の教員を含めて10年以上現場におりました。中体連の大会に出ようと必死に指導していた経験もある人間でございます。
ただ、一番最初に申し上げたとおり、こちら冒頭書いてあります、中学生をはじめとする青少年、ここに障害のある子供たちが皆さんの中に頭に浮かんでいたのかどうか、これまでの活動の中にそういった子供たちが入っていたのかどうか、ぜひもう一度お考えいただきたいなと思うところが強くございます。
その中には、今年、障害者差別解消法が改正されました。民間事業者も義務に、この後なってまいります。3年かけての移行期間がございますが、その中には、障害のある子供がいなくても考えなければいけない、そういった子供たちが来た、入ってきた、希望した、一緒にやりたいというときには、できる環境をつくらなければいけない。そういった場所で、部活動もこれからはあるべきなんですね。
東海大学、私が在籍しているところですけれども、コロナ禍で様々苦労があるところではございますが、ありがたいことに、この影響があって、実はボッチャが必修になったんですね。できる活動を、できる内容で何とかやっていこうといったときに、ボッチャは可能じゃないかと。触れ合う時間も少ないし、距離も取れるし、学生にとってもスポーツの体験としていいじゃないかと。大学生必修で今、ボッチャを経験してございます。
ぜひ子供たちができるスポーツを、できる環境を整えるということを考えたときに、障害のある子供たちが漏れることがないように、ぜひお願いしたい。障害のある方々のスポーツの実施率、成人の方に関しては週に1回が、このコロナ禍にあっても上がったことは、皆さん御存じだと思いますが、障害のある方々は下がったんです。残念ながら、このコロナの影響を受けて、障害のある方々がスポーツをできる機会は減ってしまいました。子供たちにおいては、一般の学級で一緒に行うタイプの授業が半分以上実施されておりません。それがデータとして出ております。スポーツ庁のほうでも調査が行われている内容です。
ぜひそういった子供たちの実施率の背景にある、一緒に遊べる環境づくり、この冒頭にあります、ふさわしいスポーツ環境とはどのようなものかというのを、皆さんの中に、こういった子が来たら、こういった動きはできるんじゃないかな、そういうものも一緒にお考えいただく。
お話の中にニーズのお話がありました。子供たちが勝ちたいと思っている者ももちろんいます。楽しみたいと思ってる子もいるんですね。特別支援学校に私は関わり合いが深いわけですけれども、地域に在住していない子供たちが非常に多いという自治体もあります。学校に通うのにスクールバスで通うわけです。ですから、土日に地域で遊ぶ友達がいない。先ほど山形市の佐藤委員のほうからも、遠隔地から通うことが難しいというお話がありました。特別支援学校の子供たちは、そういった状況が多々ある中で、スポーツ活動をどうにかしてできないかなと。残念ながらできない環境が多々あります。
特に、放課後デイサービスさんを活用したスポーツ特化型の事業も最近は進んできておりまして、スポーツ特化型のところで行った活動が、運動部活動でできるかなといって学校に行くと断られてしまったりとか、一緒にやらせてもらえなかったりとか、そういったお話を多々聞くことがございます。ぜひ、今日は末冨委員のほうからお話がありましたが、縦割りを乗り越えるような形での子供たちが参加できる環境、そこには様々なニーズがあるということ、そこにいなくても、その子たちのことを考えられる、そういったスポーツ環境の場所を、ぜひ皆さんとお考えいただきながらつくっていければいいなと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【友添座長】
ありがとうございました。障害者の子供たちの視点、これも非常に大事な点であります。これについても、また検討課題としていきたいと思います。
私のほう、最後になりましたけれども、まとめということはできないんですけれども、資料4を少し御覧ください。
事務局に御用意いただいた資料4でありますけれども、2ページのところの表を見ていただければと思います。これは、部活にも属していないし、地域のスポーツクラブにも属していない女子の生徒さんが、例えば、好きな、興味のある種目で、自分のペースでできて、友達と楽しめて、練習日数、時間がちょうどよかったら、5割から6割は部活をやりたいと言っています。この声をどう我々は受け止めるのか。子供のスポーツ権が保障されてないのではないかというところが、端的にここに出てきているのではないかと私自身は考えているところでございます。
もう1点、最後になりますけれども、授業研究などでよく学校現場にお邪魔する中で、午後登校してくる子たちがいるんですね。部活に登校してくるんです。話を聞くと授業はつまらないし面白くない、って言います。でも、部活には来ると。部活に来て、スポーツをやっているのかというと、そうではなくて、部室に行って、みんなでくちゃくちゃしゃべっている。ちょっと飽きたらバレーボールをやって、笑顔になって、また部室にもどってしゃべって、また帰っていく。部活が、実は学校での居場所になってるお子さんがいるという現実もある。こういう子たちにとって、部活の意味とか、意義は、もちろんこれはマイノリティーですから、そういうところは配慮しなくていいという考えもあるかもしれませんが、むしろ教育という側面を考えたとき、こういうお子さんたちに、地域移行に際しては、言わばちゃんと手当てをしていくことも、一方では考えていかなければいけないだろうと考えているところです。
座長の不手際で、なかなか議論をまとめたり、あるいは進行をうまくすることは難しいところがありましたが、最後に、何か言い忘れたことはありませんでしょうか。よろしいでしょうか。末冨委員、お願いします。

【末冨委員】
会議の運営というか、この後の進行等について、2点付け加えさせていただきたいんですけれども、生徒のニーズですとか、あるいは教職員の実態に沿ったというお話がございましたが、関連するデータですとか、あるいは必要でしたら、調査研究等もなさる必要があるかなと思っております。
スポーツ庁で運動部活動に関する実態調査というものも実施されているようですので、そうした調査の過去の分析ですとか、あるいはほかにも、スポーツ庁でこれまでになさっている委託調査等がございましたら、そのエビデンスを、先に出しておいていただきたいと思います。
文部科学省の会議でも言えることなんですが、関連する委託調査なんかが、省内、庁内に埋もれている場合が結構ありまして、それが言わないと出てこないということは、組織のナレッジの活用という意味では、大変もったいないことでございますし、EBPMの流れにも逆行すると考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
併せまして、やや先走った話になるんですが、提言の前に、今までのお話を聞いていますと、教職員ですとか保護者、何より生徒自身の納得に結びつく方針というものをいかに出し、メッセージを打ち出すかということが、この検討会議の大切な役割になろうかと存じますけれども、そのためにも、例えば、中間報告の際にパブリックコメントを募集する、それも少し早めに時間をかけてというような手続もあるほうがいいのかなと思います。省庁のパブコメというのは、期限が短くて、最終提言の直前にやるアリバイづくりであるという受け止めをされる場合もございますが、私自身は決してそうではないと思っております。むしろ広く国民の、特にステークホルダーの皆様方の関心も高い事項になろうかと思いますので、特に、ふだんなかなか声が届きにくい現場の教職員、あるいは生徒の保護者の御意見も伺いながら、少しこの検討会議の皆様と、前向きにもんでいくことができればとも思いました。あくまで私の私見ですけれども、少しお考えいただけるといいかなと思います。
ともあれ、今日のお話を伺いまして、私自身も教職員のウエルビーイングや生徒のウエルビーイング、何よりも生涯を通じてスポーツに親しむことができる日本社会、どのような環境の子供や若者であっても、そうなっていく道筋が少し見えてきたように思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【友添座長】
ありがとうございました。今いただいた点につきましては、事務局のほうと詰めながら、どういうような形で、どのタイミングでということも含めて、少し検討させていただこうと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
金沢委員、どうぞ。

【金沢委員】
日本スポーツ協会では、学校運動部活動の指導者の実態調査を行っております。指導者という狭い観点ではありますが、日本スポーツ協会のホームページに公開しておりますので、何かの参考になるかもしれませんので、御覧いただければと思います。
2014年に第1回の調査を行い、今年2回目を行いまして、その取りまとめをホームページに公開しておりますので、御興味のある方は御覧いただければと思います。

【友添座長】
金沢委員、座長判断なのですが、委員提供資料ということで、次回配付していただくことは可能でしょうか。よろしくお願いします。
室長、よろしいでしょうか。委員提供資料ということで、配付していただければと思います。
ありがとうございました。よろしいでしょうか。何か言い残したことはございますでしょうか。山本委員、どうぞ。

【山本委員】
すみません、一言申し上げます。
先日、女子の代表がアジアカップで優勝いたしました。これは若手、26歳以下の布陣で行って、中国やオーストラリアが、オリンピックメンバーを主として組んできたところに、接戦の末、勝った。ヘッドコーチも代わったんですね。トム・ホーバスさんというテレビにもよく出ていた熱血指導という、あの在り方から、次が恩塚ヘッドコーチですが、非常にわくわく感を大切にということをテーマにして、非常に活気あふれる選手たちの思い。これは何を言いたいかといいますと、友添先生もおっしゃいました、子供のスポーツ権、遠藤委員もおっしゃった、スポーツをどう捉えるかというところは、スポーツは子供のものだということを、それが、今まで大人のものになっているということが、それが勝利至上につながってるんじゃないかとか、我々も育成の中でかなり議論してきました。
それをトップレベルのチームが、これを打ち破って、今までのスポーツ概念を打ち破って、わくわく感を大事にしようと、選手が第一だという中で、スタッフは、指導者はどうあるべきかということを、とにかく体現しよう。だから、ロールモデルになりたいということを記者会見で言いながらやりました。これは、トップスポーツだけではなくて、全てのレベルの、全ての対象の人たちに対してやるべきかなと思います。これは根底にあるスポーツ観、遠藤委員がおっしゃった、スポーツをどう捉えるかというところは非常に大事なところで、安易に勝利至上主義をなくすから、大会の在り方はこうだということにならない。やはり勝利を目指すことは大切。ただ、やり方がおかしなものであったらいけない。けがをしてでもやるとか、特定の人だけ使いまくるとか、そういう方法論としてはよくない。でも、スポーツというのはやっぱり競争であって、その楽しさというものもある。それは下手な子でも一生懸命勝利を目指す楽しさというのは持っているわけであります。そういった議論というのは大切であり、そういったことを、ぜひ根底にしながらやっていければなと思いますので、ちょっと付け加えさせていただきました。

【友添座長】
ありがとうございます。皆さんの御協力で、活発な意見交換、あるいは議論ができたと思います。
予定しました議題等、今日はこれで終わりたいと思います。
次回以降、長丁場になりますけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
また、次回の開催日程等につきましては、事務局より後日、改めて調整させていただいた上で御連絡をいたします。その節にはどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。
事務局のほうはよろしいでしょうか。

【事務局】
はい、結構でございます。
第2回の会議日程については、友添座長からございましたとおり、また後日、調整の上、御連絡をさせていただきます。

【友添座長】
ありがとうございました。
散会のほどお願いいたします。

―― 了 ――
 

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