スポーツツーリズム需要拡大のための官民連携協議会(平成30年度)(第1回) 議事要旨

1.日時

平成30年9月28日(金曜日)13時30分~16時30分

2.場所

文部科学省5F3会議室

3.出席者

委員

原田座長、宮嶋委員、中島委員、陣内委員、中村委員、山下委員、堀委員、後藤委員、藤崎委員、竹田委員、松澤委員、安齋委員、森戸委員、竹山委員

4.議事要旨

● 「アウトドアスポーツツーリズム」の定義(事務局説明要旨)
・今回の協議会において、アウトドアスポーツツーリズムとは、日本各地に存在する海、山、川、湖等の自然環境下で、その地域ならではの景観、環境、文化に親しみながら体験が可能な身体活動を伴うアクティビティを楽しむツーリズムというふうに定義をしている。種別としては、するスポーツ。アクティビティの種目としては、サーフィン、サップ、トレッキング、スノースポーツ、トレイルラン、ラフティングですとかスポーツフィッシング、サイクリング、ウォーキング、ゴルフ等になる。ターゲットとしては、日本国内および外国人旅行者。
・スポーツ庁の拡大戦略の中で、国内問わず実施意向が高い、そして地方への誘客につながる日本特有の自然環境には、海外から高い関心が寄せられているということ。体力、年齢に関わらず、誰もが実施しやすいスポーツということで、アウトドアスポーツツーリズムを推進している。

● 「武道ツーリズム」の定義(事務局説明要旨)
・武道ツーリズムの定義については、武道や武術の見学、観戦実技体験、施設見学等、発祥の地である日本でしか体験できないスポーツと文化が融合した希少性の高いツーリズムと定義している。種別としては、する、それから見るスポーツ。行われる場所は、武道館、講道館などの聖地、各地の道場、それから見学・体験施設と考えている。ターゲットとしては外国人旅行者。武道、大相撲は各国で見るスポーツとしての意向が高い。また愛好家が多く、受入体制やコンテンツを整備することで、海外愛好者、日本文化関心層に対し、日本への関心、訪日意欲を喚起できると考える。
・武道ツーリズムの武道とは、その性質から漢字の武道とアルファベットのBUDOの2つに分けられる。漢字武道とは、心技体、修練・修行を伴うもの、競技性が高く技術による勝敗を伴う大会等があるもの。
・アルファベットBUDOについては、伝統に基づき、漢字武道よりも広範な領域におよぶ、文化的側面が強く、エンターテインメント性レクリエーション性を備えているものと考える。武道から波及した文化、伝統的要素を楽しむスポーツということで、武芸、流鏑馬、忍者、スポーツチャンバラなどが含まれる。
・上記漢字武道、アルファベットBUDOの両輪を推進することで双方への関心喚起を図り、間口の広い日本特有のツーリズムを創出することができるのではないか。

● 映像コンテンツ制作について(事務局説明要旨)
・本年度、スポーツツーリズムに関する動画の制作からデジタルプロモーションまで行う。その上で、デジタルマーケティングデータを集めて今後のプロモーションに活用していければと考えている。
・今回動画コンテンツ制作に関しましては、XPJP社に作成を依頼している。
・動画素材の選定ポイントは3つあり、まず最初に、ツーリズムの体制が整っているかということ。受入れ環境がないとツーリズムとしては成立しないということを踏まえ、まずスポーツの体験の受け入れ環境があるかを確認の上、撮影を進めている。2つ目としては、地域の活性化につながる産業モデルがあるか。地域に還元できるスポーツツーリズムを行っているものかどうか確認しながら選定を行っている。3つ目が、その競技のトップであるかどうか。人を引きつけるには本物というものが大事であるという認識の下、その道のトップといったものにこだわって作成を進めている。
・動画の最初に登場するのが、アウトドアスポーツ。アウトドアスポーツツーリズムの世界的な関心の高まりはナチュラルなライフスタイルではないのかと定義し、自然とともにアクティブに生きていく姿を撮影のポイントとしている。今回の動画のキーワードは、ナチュラルライフスタイル。ナチュラルライフスタイルというものを見せていくにあたり、日本各地で、どこでもこのスポーツが楽しめるという表現を行った。また、ドローンを使用した撮影方法で、自然の景色まで楽しむことができる動画の作成を進めている。
・武道ツーリズムのシーンについては、競技性だけではなく、武士道も併せて表現している。キーワードとしては、心技体。剣道、空手、柔道の動画の作成進めている。スケジュールについては、アウトドアの公開が11月上旬。武道に関しては11月の下旬を予定している。
・動画を作成した上で、どう配信して、プロモーションを行うかというのが重要。今回の動画配信先として、4カ国・地域を選定。こちらに関しては、昨年度の海外のマーケティングデータを基にして、中国、アメリカ、香港、台湾を4カ国・地域とする。中国に関しては、百度動画で動画を配信。アメリカ、香港、台湾に関しては、Google のTrueView のインストリーム広告で配信。また、日本でも動画を配信する。

● 自由討議
・事業の見える化を図ってほしい。今回作成する動画が、実際にどのような効果があったのかを明確にして、次年度以降のマイルストーンを作ってほしい。
・実際に武道ツーリズムに興味を持った外国人が日本に来るにあたり、具体的に体験できるようなスキームの構築はできているのか。
→コンテンツの集約が可能な何社かにアプローチを行っている。今後共有していく。
・武道ツーリズムという一つの括りにしても、内実は各々の競技が連動することが考えづらい。実際に武道に携わるものが、他の武道に興味を持つということも多くない。着地型商品に特化していくことが必要。
・スポーツに興味のない人に対して、興味を持ってもらうのは非常に労力を必要とする。その上で、ライト層を拡大していくことが、需要拡大の近道と考える。
・スポーツツーリズムの需要拡大に際しては、その競技の歴史的、文化的背景に関心がある層を取り込んでいく方法もあるのではないか。
・空手は、沖縄の文化に昇華している。資料館が完成したが、非常に内容も優れていた。文化的な背景も含め、とても分かりやすく、国内外の観光客が来訪しても満足頂けるレベルだった。漢字の武道ツーリズムについては、精神的な部分をもっとフューチャーして、その起源である日本で武道を体験する必要性があるような投げかけを行っても良いかと思う。また、聖地巡礼のような、そういった部分を作っていくことも必要では。
・武道を、日本人と外国人のコミュニケーションの深度を挙げるツールとして考えてもらえると、武道との親和性がない企業も取り組みやすい。
・武道ツーリズムについては、各地域が仕掛けをし始めている。海外の方で、武道が好きな方、実際に競技を行っている方、そういった方々が日本に来るきっかけとしている。日本人が思っている以上に、武道ツーリズムについては、海外の方々に訪日のチャンスがあると考える。
・インドにて剣道について講演をしたところ、60名の募集に200名が集まった。海外では、とても関心のあるコンテンツとなっている。

● 福島県いわき市と官民連携協議会の協働について
・いわき市の土地整備区画事業にイオンが参画し、2018 年6 月にイオンモールいわき小名浜をオープン。いわき市では、震災以降観光客が年間3 分の2 に減ってしまっている。震災前までの観光客数に戻すべく、観光プロモーションを行っている。いわき市との共同事業にてイオンモール内で、観光PR イベントを開催している。いわき市主催のトライアスロン大会には、イオンが協賛をしている。そういった中で、今後武道ツーリズムやアウトドアスポーツツーリズムをテーマに施策を一緒に行っていくのはどうだろうか。
・モデル事例を作りたいが、1 からスタートするのはハードルが高い。既にイオンが取り組んでいる地域があったのでスポーツツーリズムの要素を入れて提案していただいた。是非協議会と協働出来ればと考えている。

● 地域との連携について
・地域の魅力と各企業の取組がリンクしていかないとなかなかうまくいかない。地域間で競争を行うというよりも、それぞれの地域の魅力を生かしながら、発信していくことが大事である。
・地域資源の最大化ということで、自治体の協力を得るのは、プラットフォーム機能を整えるという意味でも価値がある。自治体に強い思いがあれば協力していけると思う。
・企業版ふるさと納税を利用して、観光開発や社会実験を行っている。スポーツツーリズムということになると、該当地域に最低でもキーコンテンツがなければ、なかなか実施がしにくい状況。逆に言うとその部分を明確化できれば、うまくいくのではないか。
・協議会として、何かに取り組むということであれば、どこかモデルになる地域を設定して、その上で検討を重ねていく方が、民間企業にとってやりやすいのではないか。もしくは、既存の活動を行っている地域に加えていく方法でも取り組みやすいのではないか。
・協議会の各企業と自治体が連携しているエリアに重なっている部分がある。そういったところではお互いのベクトルを合わせてみるのも良いと感じた。
・アウトドアスポーツツーリズムの拡大ということでは、子供にスポットを当てて、取組を進めていくのも良いかと思う。潜在的な需要ということで、未来に向けての投資を行うのも重要である。このことは、国内海外問わず実施することができるものである。

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スポーツ庁参事官(地域振興担当)

(スポーツ庁参事官(地域振興担当))