ナショナルトレーニングセンターの在り方に関する検討会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成30年8月1日(水曜日)

2.場所

文部科学省16階第3会議室

3.議題

  1. (1)NTC競技別強化拠点の機能強化について
  2. (2)その他

4.出席者

委員

委員10名(石毛委員、大日方委員、勝田委員、菊池委員、櫻井委員、杉田座長代理、友添座長、松永委員、皆川委員、山脇委員)

スポーツ庁

齋藤スポーツ総括官、籾井競技スポーツ課長、山本トレーニング拠点整備推進専門官

オブザーバー

(福井委員代理出席)
公益財団法人日本オリンピック委員会強化部強化第二部長 中森康弘氏

5.議事要旨

※発言は、内容を変更しない範囲で校正し、読み易くしています。
略語表記:「HPC」=ハイパフォーマンスセンター
         「JISS」=国立スポーツ科学センター
         「JOC」=公益財団法人日本オリンピック委員会
         「JPC」=公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員
         「JSC」=独立行政法人日本スポーツ振興センター
         「NF」=中央競技団体
         「NTC」=ナショナルトレーニングセンター


○ 議事「NTC競技別強化拠点の機能強化について」について、スポーツ庁、JSC及びJOCから説明の後、委員から以下のとおりコメントがあった。

(友添座長)
まず、NTC競技別強化拠点に共通する課題としましては、ハードとソフトの両面があるということは確認済みでございます。ハード面に関しては、既存の施設を活用する仕組みでありますけれども、これはどうしても、自治体等の施設設置者、あるいは近隣にある関係施設の理解や協力がなければ成立しないということです。この点をどのように構築していくのかということに関しては、拠点エリアマネージャーの設置をしてはいかがかという御議論をこの検討会議でもいただいております。
他方で、ソフト面に関しましては、NF、JOC、JPC、JSCの努力によって改善を図っていくということは十分に可能であるということ、この点もこの検討会議の中でも議論をしてきたところであります。
また、資料の3ページにあります、喫緊における機能強化の方向性にも、具体的に、今、スポーツ庁から御説明がありましたような課題が設定をされております。1つ目として、ソフト・ヒューマン機能の強化をセットで考えていくこと、2つ目に、地域の資源を相互補完する環境を総合的に構築していくこと、3つ目に、北区西が丘地区に所在する中核拠点との連携を図っていくこと、これは平成28年度にまとめられた状況報告にも指摘をされていることでございますけれども、これを実際にできるところから実行に移すということで、スポーツ庁から御説明がありました資料の4ページ目に具体的な方策がまとめられている次第であります。
これらは、この検討会議の中で御議論いただいたこと、あるいは、NTCの構想が示された平成16年当時に既に想定されていた機能でもあるということでもあります。そのことを関係者がもう一度認識して、委員の皆様方とともに確認をしながら進めていくことが肝要かというふうに思っております。

(山脇委員)
全体としては、ここでまとめていただいたように、NTCは中核拠点と各競技別強化拠点の基本的な体制というのは肯定的に捉えたいと思います。ただ、パラリンピック競技につきましては、NTCが利用できるようになってから非常に日が浅いということで、NTC競技別強化拠点についても、意義や効果等をきちんと把握しないまま来てしまったというようなところがありますので、このあたりは、これから強化の現場とかNFの意向とかをさらに聞いて、この体制の中で、オリンピック競技で10年かかってやってきたことをどれだけ早くキャッチアップできるのかという方向で、是非、これからもお願いすると同時に、我々の方も、JPC、それからNFも含めてそのような方向で進めていきたいと思います。
ここにまとめていただきました共通する主な課題もそのとおりですし、今後の機能強化につきましても、現体制をどのように効果的に、効率的に使うかという方向という点で、ここに書いてございます、その方向性と、それからここに書いてある4つの点については、この方向でさらに進めていきたいと言っていいのではないかと思います。
一番大きな問題は、特にパラリンピック競技は、やはり人材が非常に少ないので、人材の育成とか、人材の供給というか、こういうところをどうやってしていくかということです。今回、機能強化のイメージ案と、それからJSCの方でHPCのネットワークの構築という非常に良い、分かりやすい方向性というか、これから進む方向を見せていただいたのですが、是非この中に、ネットワークというと、NTC競技別強化拠点があって、NFがあって、HPCがあって、地域の医・科学のセンターだとか大学がある、民間があるということで、それぞれのネットワークになっているのですが、人材のネットワークというか、その人材をうまく交流させるというか、人材を循環させるということをやらないと、なかなかうまくいかないのではないかと思います。
それぞれが自分のところでネットワークができても、自分のところが完結すればいいというふうになってしまうので、人材の循環、流動性、交流というものをやることによって、このネットワークのシステムがもっとよく機能するし、さらに、人材がそれぞれのNTC競技別強化拠点でやって、HPC、NF、JPC、JOCと交流する、さらに民間からも講師等を招聘して循環していくことによって、人材の育成とか雇用の機会の拡大というものがなされるのではないかと思いますので、是非この中に、人材を循環していく、それが人材の育成と雇用機会の拡大や、ネットワークがうまく機能することに結びつくと思いますので、人材の交流を積極的に進める方向を考えていけば良いかと思います。
人材を流動的に循環させるのに一番大事なのは、団体のトップのリーダーシップが積極的に自分の人材を外に出す、又は受け入れるというところが必要ではないかと思います。大学もNFもそうだろうと思いますけれども、人材を循環させることになれていないというか、少し閉鎖的な面があると思いますので、トップがリーダーシップをもって積極的に行うことが必要ではないかと思います。その際に、何かシステムとして作るのか、タスクフォースのようなものを作るのか、いろいろ方法はあると思いますけれども、このようなことについてこれまで語られたことがあまりなかったので、積極的に進めてもいいのではないかと思います。

(友添座長)
例えば、無期雇用の有期転換の職種に専門職指定を入れるとか、この手のタイプの仕事をしている人、あるいは大学の教育職員免許法の中に障害者スポーツ論を指定科目に入れると講座ができる、人が育ってくると思います。この手の仕事に関わる人は、実は発掘が不可能で育成するしかないですから、育成のシステムをどのように作っていくかということを少し考えていかなければいけないという御提案と聞き取りました。

(皆川委員)
資料の5ページ目の図でコンソーシアムを形成とありますが、まさにこれをやっていかなければいけないと思います。一方で、40拠点のほとんどが公共施設なので、コンソーシアムの中に宿泊施設、地元企業というところは、結果として民間との連携を図るときに、行政の方と民間の方が相まるというのは結構難しいケースが多いと思っています。
理想としては、コンソーシアムの中に皆さんが参画していただいて情報を共有化して一本化しながらシステムを導入していくというのはすごく大事なことだと思っています。
先ほど、NFと地域のどちらがこのプロジェクトに対してきちっとコミットしていくのかといった話もあったかと思いますが、NFも縦割りなところがありまして、NFの中でも、競技の運営(統括)を行う団体なのか、競技力の強化を行う団体なのかの2つで考えたときに、ほとんどの方は競技力強化を行う団体という考えの方が多いです。
資料に出てくるコンソーシアムの説明を聞いていると、拠点エリアマネージャーが最も大事だと思っていて、強化と運営という両方の観点だったり、コンソーシアムをやったときに、拠点エリアマネージャーがそれぞれの方たちを求心していくという状況があると思います。
この拠点エリアマネージャーにそれなりの立場を与えないと、民間の方も窓口を開けてくれないということと、行政の方も、スポーツ庁から説明があれば、多少、風通しはよくなるのかもしれないですが、全体として風通しをよくするためには、やはり拠点エリアマネージャーにかなりの立場を与えないとなかなか難しいと思います。

(友添座長)
拠点エリアマネージャーは地域の人とは限らずともよくて、むしろ地域といい関係を持っている人、既にできている関係を持っている人、地域の実情をよく知っている人が望ましいということでしょうか。また、40拠点に各1人を置くということでよろしいですか。全部の拠点にまずは置くことを想定していくという議論を重ねていくということでよろしいでしょうか。

(皆川委員)
例えば、ウインタースポーツで考えると。地方ブロックの範囲にしてしまうと、他の競技も入ってきますので、その中にセクションができてくると思います。NFが拠点エリアマネージャーを育成して、NTC競技別強化拠点に入っていく形がすごく大事なような気がします。

(友添座長)
地域に根差すということを考えると、地方ブロックだと限界が少しあって、地域の実情をよく知っているという意味で言えば、各拠点に置くイメージでいくということでしょうか。

(松永委員)
第1回会議のときに、地域でもう少し認知度をアップするための仕掛けが必要だという発言と、JOC・JPCのエンブレム等のさらなる活用についても提案させていただきました。エンブレム等の使用については、条件はあるとは思いますが、NTC競技別強化拠点に指定された全ての施設は、こういったエンブレム等を掲示するなど新たな基準として整備すべきではないかと思います。
エンブレム等の掲示に向けての基準の整備には、サポートが必要なのではないかと思います。特に、2020年東京大会の後、2022年北京冬季大会に向けて、日本全体で機運を高めていくことを考えると、喫緊の課題ではないかと思っております。
また、資料4ページの4(4)に掲げていただいている視点から、NTC競技別強化拠点施設だけではなく、所在する都道府県、市町村の主要な場所にも地域住民が認知するための掲載がなされるような仕組みが必要です。
さらに、各自治体のマスタープランに、NTC競技別強化拠点施設やその競技を応援するための方策を検討していただき、盛り込んでいただくという働き掛けも必要ではないかと思います。
スポーツ関係者のみならず、オリンピック・パラリンピックのエンブレムというのは非常にブランド価値が高いものですから、それが一般の地域住民の目に触れることは決してマイナス要素にはならないと思います。むしろプロモーション戦略としては最高のロゴマークだと思いますので、その活用法の基準についての整備や緩和を至急にお願いしたいと思います。
NTC競技別強化拠点施設が所在する自治体においても、計画策定は5年に1回のタイミングが多いので、遅れるとさらに何年か先になってしまいます。あらゆる方向から発信し、関心を持っていただくための仕掛けが必要ではないかと思います。
それから、拠点エリアマネージャーについてですが、NTC競技別強化拠点施設の指定期間が長くなると、その地域で競技をしている子供たちは、高校生、大学生、社会人になっていきます。ある拠点施設に行ったときに、そこで育った子供が高校生となり、施設や活動を案内してくださいました。その事例を踏まえると、拠点エリアマネージャーという存在は、指定期間が長期になることで、その地域の中から育ってくるという側面をもあると思います。地域性や競技者の問題はあるとは思いますが、そのあたりも含めてマネジメント人材の発展・育成について検討をしていく必要があると思います。

(山脇委員)
エンブレムは、ノンプロフィットであれば問題ないのですが、施設にネーミングライツが付いたり、民間の施設で何かJPCのスポンサーシップ以外ということになると、様々なマーケティングの問題がありますので、その点は個別に対応すればいいと思いますが、認知度の向上とか、地域住民にもっと理解をしてもらうとか、盛り上げるという意味では全面的に協力をできると考えております。

(櫻井委員)
資料4ページの(1)のマネジメントを行うスタッフというのは、前段に関係施設との連携も含めてということですので、(1)の方は医・科学・栄養・情報という形での書き方、下は近隣との関係で、人材・組織・施設・民間ということで拠点エリアマネージャーという言葉が使われて、内容的には、両方併せた拠点エリアマネージャーを1名置いて、両方担わせるという趣旨というふうに理解していいかという、その確認が1つ。
もう一つは、コンソーシアムの形成は40拠点が一挙に展開というのが難しい、やれる人材もなかなかいないということもあるかと思います。そうしますと、一挙にやって成果が上がらないというよりも、段階実施とか、モデル的なことをやっていくという手法のやり方もあるのかと感じました。
⇒ 事務局から、資料での表現が入り交じってしまったが、マネジメントスタッフと拠点エリアマネージャーは同じ役割を担う人材である旨を回答。
また、提示している機能強化方策の事業展開については、本来拠点として果たすべき機能が果たせていない状況を改善しようとするものであり、モデルではなく全ての拠点が少しずつでも実施していき、2020年東京大会、2022年北京冬季大会に向けて機能強化の底上げをしていきたいという趣旨である旨を回答。

(杉田座長代理)
資料5ページにある絵を当初はイメージして、JOCとしても拠点ネットワーク事業を新たに立ち上げてサポートするという形でスタートしておりました。これまでは、JISSとNTC競技別強化拠点はNFを介してしか連携がとれていなかったのですが、今はHPCとNTC競技別強化拠点が直接やり取りができるようになり距離がかなり近くなりました。このことはかなり大きなメリットだと感じます。
NTC競技別強化拠点の指定の要件には、食事の提供とか宿泊も、自前の宿泊施設がなければ、連携の宿泊施設と提携をするなりして、そのあたりをしっかりと拠点としての設えを整備するという内容だったと思っていますが、現状では食事も30%で、宿泊も連携施設を合わせても55%です。さらに、リカバリー室ということでは、お風呂を温浴と冷浴とリカバリーができるようなものがどれぐらいあるのかなというのもちょっと心配になります。
NTC競技別強化拠点の基盤整備として、拠点エリアマネージャーにはこういったところもきっちりと役割を果たしていただかないと、トレーニング施設だけあっても、逆に言うと、なかなか稼働率が上がらないのは仕方がないのかと感じました。
それから、HPCネットワークの構築についてですが、HPCと地域の医・科学センターや大学等が密に連携するのはいいのですが、その先に、そのままNTC競技別強化拠点等となっていますけれども、その間には当然NFが入ると思いますが、NFにも医・科学委員会のような組織体があって、そことうまく連携しながらやるというイメージでよろしいんでしょうか。

(石毛委員)
NTC競技別強化拠点に対してNFがもう少ししっかり関与していただくという前提です。実際に地域の医・科学センターや大学等を利用するのはNFであり選手ですので、直接HPCとNTC競技別強化拠点だけでやり取りするということはあり得ないです。

(杉田座長代理)
私は高地トレーニング拠点の岐阜県飛騨御嶽で少し深く関わりを持っていますが、今、岐阜県と高山市と下呂市の3つの自治体で飛騨御嶽高地トレーニングエリアの利活用促進のための協議会というものを作っていて、さらに拠点の活用推進委員会があって、その下に医・科学サポートプロジェクトを作っています。高地トレーニングに来た選手たちをどのように医・科学サポートすれば良いのかを私の他に岐阜経済大学、中京大学、びわこ成蹊大学、立命館大学の先生方とJISSの高地トレーニングの専門の先生にも入っていただいて検討しながら、それぞれの大学の先生の学生の協力を得て医・科学サポートを数年前から実施しています。
医・科学サポートのスタッフは、岐阜県体育協会の中に研究員を1人雇用して常駐しております。岐阜県スポーツ科学センターにも山に常駐してサポートしているスタッフもいるということであります。
さらには、リハビリテーションの学校からインターンシップという形で夏に来てもらって、医・科学サポートの研鑽を積む機会を得た人が、今年4月から正式に岐阜県体育協会のスタッフとして雇用されて、また高地トレーニングの支援をしているという良い流れもできています。
地域の振興という点で言うと、例えば、青山学院大学の陸上部が合宿に来ると、近隣の子供たちを集めてランニング教室をするということもやったりしています。
それから、知の集積基地とよく言われますけれども、高地トレーニングの国際シンポジウムを2年に一度、飛騨御嶽高地トレーニングエリアで開催をしていますが、世界の高地トレーニングの権威が参加された後、いろいろなところで「岐阜の御嶽はすばらしい」とスピーチしていただいていることで、今、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアの関係者から連携協定を結ぼう、2020年のときには使わせてくれ、などといった話が来ている状況で、外国からもすごく高い評価を得ています。
まさにこの機能強化のイメージに当てはめると、これに近いことができているのかなということで紹介させていただきます。

(大日方委員)
飛騨御嶽高地トレーニングエリアとNFはどのような関わり合いになっているでしょうか。高地トレーニングという1つの機能があって、あらゆるNFが利用する、活用の方法は、ある種、NFに任されているということでしょうか。

(杉田座長代理)
今までは、陸上競技の長距離、マラソンが多かったですが、球技だとか、体育館系の種目も利活用の促進に努めるべきだという提言を受けて、今、レスリングとか、パラサイクリングとか、いろいろなNFが活用してくれるようになってきています。

(菊池委員)
理想とされるこれからの運営というのは、やはりこれが一番いい形なのかというのは、お話を聞いていて自分でもすごく感じました。このようになっていくには、喫緊の課題ではあるんですけれども、やっぱり中長期的な問題になってしまうとも感じていて、人材の育成といっても1~2年でできることではなくて、例えば、スピードスケートは、競技自体が結構繊細な種目でもあるので、新しく入ってきてもらったトレーナーさんが、選手の体を練習前と練習後を確認して、体の状態が分かるまでに何年もシーズンを重ねて、自分自身も平昌までの4年間でケアを受けながら感じたりもしていたので、人材育成といっても簡単にできることではないということを感じています。
医・科学スタッフも同様に、例えば、スピードスケートでは、チームパシュートの先頭交代の戦略とか研究も直近の4年で完成したものではなくて、もっと前のトリノから正式種目にはなったあたりから何年もかけて、ようやく形として結果が出たのが2015年であって、それはすごく時間がかかることではあるので、育成をスタートしていくというのはとても大事だと思うんですけれども、近々で、次の北京冬季オリンピックにすぐに生かされるかと言われると、なかなか難しいことであると正直感じます。

(友添座長)
喫緊の課題ということで言えば、現場サイドから見ると、実はそんなに容易いものではない部分と、すぐに整備してもらいたい部分とが両方あって、その区分けをしていくということも大事だという御提案を伺いました。

(大日方委員)
おそらくこのような形が理想の形でもあり、それを目指して皆さんがやってこられた。資料の3ページで書かれているような方向性というのは、特にここで取り立てて新たに出しているものではないということも踏まえると、ポジティブな意見が多い中で議論を活性化させるために申し上げると、逆に、なぜこれがうまくいかなかったのかというところについて議論をしない限り、引き続き続けていっても、そのスピードが速まることはないと思います。
この方向性については合意・理解が既にされていて、現場にはまだ落ちていないということであれば、その方向性を引き続き伝えていくということで、我々、ここに集まっている、この検討会議がそれを出すことは容易だと思うのですが、逆に、現場にはうまくいかない課題が必ずあるはずです。
我々はそこを解決していかないと、なかなかこのスピード感というのは速まらないのではないかと思います。この案が追認されて何か変わればいいんですけれども、多分、現場はちょっと違うのではないかと思っています。
もう一つは、地域振興という言葉がこの中でも大切にされていて、それについては、地域ということの資源を生かす、あるいは地域にあることのメリットというものを出していくということは私も賛成なんですが、一方で、NTC競技別強化拠点なので、あくまでも、その目的に第一のプライオリティーの確認として競技力の向上というところを忘れた議論をしてはいけない。
つまり、地域振興ありきでやってしまうと、アスリートの競技力ではなく、地域振興に目的がシフトされてしまってもいけないので、競技力の向上が1つプライオリティーとしてあり、長期の競技力の向上という意味合いの広い意味で、支える人材の育成であるとか地域の協力といったもの、資源をどう生かしていくのか、さらに、次世代の選手を発掘するであるとか、競技そのものの普及も含めた地域、そこをベースにしていくというところでの地域振興というような順番で考えていくのは、皆さんも頭の中では整理がついていることなんですが、今一度の確認です。
⇒ 事務局から、今回の提案は、NTC競技別強化拠点の機能強化が本来あるべき姿にできていないことに関して、改めてそれを認識した上で取り組んでいきたいという趣旨であること、また、課題の原因の所在については、NFからヒアリングを行っていきながら整理をしていく前提となっている旨を説明。

(友添座長)
プライオリティーで言うと、地域振興のために拠点を作るわけではなくて、あくまでも各NFの国際競技力向上を目指してやっている。その目指すことの中で地域の振興が図られれば、さらにこれが上へ上げられるだろうということでやっているということ。
もう一つは、課題が幾つか出てきたわけですけれども、なぜこのような課題が生まれてきて、なぜ克服できずに来たかというと、資料の4ページ(1)の3つ目のポツにあります「なお、スポーツ庁は、拠点施設の指定期間の更新に当たっては、拠点施設ごとに実績評価を行い、実効性の検証を行う」ということで、現実にここまで、単年度とは言わないけれども、何年かごとに実績評価が行われてこなかった部分があった。それも影響したのではないかと感じてきたところでもあるということです。
NTC競技別強化拠点ごとの実績評価というのは、NFがどのくらい活用をしたのか、あるいはランニングコストがかかっていますから、公金が使われている観点で言うと、実績評価をきっちりやっていきませんかということで、むしろ評価をフィードバックすることによって、さらに課題を克服して、いい形に持っていこうということだと思っています。

(杉田座長代理)
評価に当たっては、資料の1ページ(1)の3つ目のところに、いわゆるトップ・トップの選手の強化活動として主体に行われている拠点と、年代別の、少しカテゴリーの若い人たちが中心になってやっている場所と2つありますので、評価をするときに、競技成績という観点で見たときに、どう評価するのかというのは慎重に行わないといけないと思います。
そうは言っても、この運営の状況を見ますと、ちょっと厳しい言い方ですけれども、強化拠点の体になっていないところも多いので、そこは、評価をした上で、しっかりてこ入れする必要があると感じます。

(勝田委員)
全体的な位置付けや方向性はよく理解しています。資料の4ページにある「喫緊の」というのが大事で、本当は2020年東京大会を越えてどうあるべきかという議論も必要なのですが、直面しているNTC競技別強化拠点の課題に関して、どのように機能の強化をポジティブに捉えて上げていくかということがここに示されているのだろうと思っています。それを反映したのが、5ページのポンチ絵であるという理解ですが、5ページにある言葉は以前使われていた言葉が多いかという気がします。
例えば、石毛委員が説明した参考資料1には「スポーツ医科学」と書いてありますが、「医」と「科学」の間に「・」がありません。これは意図的なことで、「医」と「科学」が一体になったパッケージを新しく私たちは提案をしたいということです。
どちらかというと、これまでは自然科学系の測定もサポートも多かったですけれども、人文社会学的な分野は入ってこなかった。しかし、鈴木プランやスポーツ基本計画に向かって話をしているときに、あるいはHPCと名称変更した際に、パラリンピック競技の目線からトレーニング施設はどのようにあるべきかというような議論もあって、人文社会学的な分野をJISSの研究の中に入れました。
例えば、アメリカでは、Americans with Disabilities Act(米国障害者法)の中で、駐車場の問題などもありますが、そういったことについても我々は検討しないといけないし、そのような目線でもNTCはどのようにあるべきか、あるいはハイパフォーマンス研究はどのようにあるべきか、といった思いが「医科学」の分野に入っていますし、その意味では、方向性にあまり違和感はありません。
ただ、喫緊の課題ですから、これからできるだけ今の資源を、あるいは地域の資源を最大化したり有効化したりするということを考えると、5ページに使われる言葉は、「体力測定」で本当にいいのか、パフォーマンスとか、もう少しいろいろなニュアンスがあってもいいだろうし、HPCと連携していくときに「情報通信ネットワーク」という言葉が皆さんにどのように理解されているのかがちょっと気になっておりました。
喫緊の機能強化の必要性を浮かび上がらせるために課題が出てきていて、具体的な方策の中に鈴木プランが必要だということになれば、これはコーチングとか、マネジメントとか、NFのトップの長期的なシナリオ、4年、8年を見据えたシナリオの中に、このNTC競技別強化拠点がどのように位置付けられて、NFの活動とどのようにリンクするのかというのは、ここでしっかりと把握できるだろうと思っています。
それから、地域の資源をしっかりと有効活用したり、つなげていくという意味では、エリアマネージャーという人材が必要だろうということも、ここでは読み取れます。HPCとの連携ということになりますと、ここはトータルな医科学サポート、人文社会学、自然科学といった分野と連携した総合科学の「サポート」という言葉も本当にいいのかどうか。
スポーツ基本法には「活用」という言葉がよく出ます。旧スポーツ振興法では「支援」とか、そういった言葉が多く出てきましたが、全面改定されたスポーツ基本法では「推進」とか「活用」という言葉が使われています。
研究も「活用」ということがすごく重要で、基礎研究で得られた知見をどのように応用科学に活用していくのか、あるいは「サポート」だけではなくて、「サービス」という言葉がここでは必要かと思っています。

(友添座長)
従来はコーチング科学の領域で扱ってきた内容が、実際には、政策科学の問題で、スポーツ政策科学研究の、いわば応用科学です。人社系の知見も併せて融合・連携しないと、このようなアイデアは出てこないということは、国際水準ではよく分かってきていますので、私たちメンバーで検討会議をやっているということだと思っています。
勝田委員の御指摘は全くそのとおりで、今日頂いた御指摘は反映させていくということで、今の国際競技力の向上施策を見たときに、このポンチ絵の用語そのものが本当にこれでいいのかどうか、それから、この構造の問題が本当にいいかどうか、これは是非、委員の皆様方から事務局に御意見を大いに頂いて、この絵をバージョンアップさせたいと思っておりますので、是非御協力をよろしくお願いしたいと思います。

(石毛委員)
本来なされるべきことがあまりなされてこなかったという前提において、資料の4ページの喫緊の具体的な方策に関して全く異論のないところですが、一方で、現状、NTC競技別強化拠点の活用で一番大切なのは、やはりNFの関与だと思いますので、(1)の2点目に書いてあることなどをしっかりやりながら、NFにもう少しどのように活用していくかという部分を主体的にやっていただくということは非常に重要かなと個人的に思います。
その文脈の中で、拠点のマネジャーというお話があったかと思いますが、NFから拠点エリアマネージャーを出していただいてもいいですし、その場所に合う方を、また新たに考えていくということもあるかと思いますが、海外では「ハイパフォーマンスディレクター」という、このようなことを担う職種というか、ポジションがあるかと思います。
どの国に聞いても、人の取り合いというか、そもそもそのような人材がいないということで、そのような人材をどのように育成していくかという点は非常に重要なところです。
40拠点全部で限られたリソースでやっていくとなったときに、まずは一番フィットしそうなところで、3か所でも、4か所でもやっていくというのが現実的ではないかと思っております。少ないとはいっても、候補の人を検討してやっていくというのが現実的かと感じました。
もう1点は、地域振興について、自治体とか施設設置者に対して、やはりスポーツ庁から話をしていただければ、受け止め方が違うと思いますので、スポーツ庁のマターとして、地域振興とどのように関わっていただくのかということは、一旦御検討いただくのがよろしいのではないかと思います。

(皆川委員)
拠点エリアマネージャーの育成はすごく大事だと思っていますし、NFが関与する役割としてガバナンスという言葉は非常に入れていただきたい部分かと思っています。
というのは、先ほどの議論の中で、トップ選手が使っているのかという部分と、まだ育成枠の選手たちが使っている部分をどのように評価していくのかという意見があったかと思いますが、NTC競技別強化拠点を運用していくためには、適正に利用された結果として選手が強くなったり、トップ選手が使っている比率を上げていくなどという純粋な評価基準に対して、公金が入っている事業収支を見るなどのガバナンスは非常に大事なことだと思っています。
その方が、拠点エリアマネージャーに対しても、すごく働きかけやすくなるのではないかと思います。

(JOC)
やはりNFがいかに主体的にNTC競技別強化拠点の意義を理解して考えていくかということが非常に重要だと思います。また、人材を育成することは重要ですけれども、活用まで一体化してプログラムを組んでいきませんと、育成したものの、採用されず、そういった方が埋もれてしまうということがあるので、是非、NFでも、NTC競技別強化拠点の意義を十分に考えて、スポーツ医・科学とどのように連携していくのかということも、再度、考えていかないといけないし、それがNTC競技別強化拠点として指定される大きなポイントとなるべきことでもあると思います。
このことをNFが十分理解していないところがあるということと、医・科学サポートを望んでいないNFも若干聞かれますので、そのあたりの意識のレベル合わせというか、全体を引き上げるようなこともやっていかなければならないということがあります。
整理すると、NFの考え方、ポリシーメーキングが必要だということと、人材の育成を活用とセットで考えていくということが重要になっていくのではないかなと思います。

(友添座長)
これからは人材育成を計画的にやっていかないといけない。ただし、まず喫緊の課題としてどのようにやっていくのかについて、2年後、4年後を目指して、この検討会議の中で整理をしていくということについては御了解いただければと思っています。
今日頂いた御意見に加えて、御意見があれば是非頂きまして、またそれらを踏まえて、最終的に、私と杉田代理の方に、この機能強化についての案について御一任いただけるということでよろしいでしょうか。御意見の期日は特段定めませんけれども、できるだけ早いうちに、事務局の方にメールでお寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○ 議事「その他」について、友添座長から、次回の検討会議では、NFからNTC競技別強化拠点の具体的な活用についてのヒアリングを予定している旨の発言があり、その際、NFに聞いておくべき事項について委員に対し発言を求めたところ、委員から以下のとおりコメントがあった。

(勝田委員)
NFのコーチの中に、練習場所があれば、それが拠点だという認識になっている人がいないか。是非、NFに聞いていただきたいのは、研究者とか科学者目線というものをどのぐらい持っているか、必要としているかという点です。
コーチングの現場、舞台の上に、科学とか研究とかという名称のスタッフがいるのかどうか。ストリングス&コンディショニングコーチとか、そのような名前の、何々コーチ、何々コーチングというものはありますが、科学とか研究の言葉というのはあまり入ってこないのが現状です。

(松永委員)
マネジメントスタッフが実際に行っている業務内容についてですが、こちらがイメージしているマネジメント業務なのか、それとも施設の利用調整役のような業務が多い感じなのか等、主な役割についてお伺いしたいと思います。

(大日方委員)
先ほど申し上げたように、逆にできていないこと、課題といったようなことがわかると、そこにギャップが見えてくる可能性というのが十分あると思いますので、困り事も含めて、どのような要望があるのかを単刀直入に聞かせていただくことを是非お願いしたいと思います。


○ 友添座長から、次回は10月中旬に開催する旨の発言があった後、閉会となった。


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