ナショナルトレーニングセンターの在り方に関する検討会議(第2回) 議事要旨

1.日時

平成30年7月13日(金曜日)

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. (1)NTC競技別強化拠点指定施設の高機能化について
  2. (2)その他

4.出席者

委員

委員13名(石毛委員、大槻委員、大日方委員、勝田委員、久木留委員、櫻井委員、杉田座長代理、友添座長、平岡委員、福井委員、松永委員、皆川委員、結城委員(途中退席))

        

スポーツ庁

籾井競技スポーツ課長、山本トレーニング拠点整備推進専門官

オブザーバー

(発表者)
一般財団法人日本サイクルスポーツセンター競技振興課長 野田尚宏氏
公益財団法人日本自転車競技連盟強化部次長 大島環氏

5.議事要旨

※発言は、内容を変更しない範囲で校正し、読み易くしています。
略語表記:

「HPC」=ハイパフォーマンスセンター
「JISS」=国立スポーツ科学センター
「JOC」=公益財団法人日本オリンピック委員会
「JPC」=公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会
「JSC」=独立行政法人日本スポーツ振興センター
「NF」=中央競技団体
「NTC」=ナショナルトレーニングセンター


○ 議事「NTC競技別強化拠点施設の高機能化について」について、スポーツ庁、日本サイクルスポーツセンター(以下「CSC」)及び日本自転車競技連盟(以下「JCF」)から説明の後、委員から以下のとおりコメントがあった。

  (友添座長)
    平成28年8月にとりまとめられた報告においては、1つはハードに加えて、ソフト・ヒューマン機能の強化が大事ではないかということが1点目。それから、地元との連携、これが何よりも必要だろうということが2点目。それから、中核拠点のJISSと競技別NTCとの連携強化が一層求められるのではないかということが3点目。そして、最終的にはエリアマネジャーというか、いわば経営的なマネジャーがロジスティクスまで含めた広範なマネジメントをできる人が必要ではないかという点に関しましても、御検討いただければと思っております。

  (久木留委員)
    まず、前提として、ハイパフォーマンススポーツという中で、医・科学、情報の支援というのはしっかりやっていかなければいけないということは分かると思います。2001年にJISSができたときに、私は2001年から2013年までナショナルチームのコーチとして強化の中枢におりました。それも西が丘エリアを中心に活動していましたので、つぶさに見てまいりましたけれども、もちろん医・科学、情報の機能はありましたが、実は「ミニトレセン」だったということを忘れてはいけないと思います。
    その当時、水泳、体操、レスリング、フェンシング、ボクシング、ウェイトリフティング、射撃等のトレーニング場を設けたというのはとても大きかったと思います。何故ならば、それまでレスリングは転々といろいろなトレーニング場を回っていました。JISSにトレーニング拠点が設けられ、その場所をうまく活用できたことが一番大きかったと思っていますので、JISSは医・科学機能を有したミニトレセンであったということが一番重要な観点です。
    その次に、2008年にNTCができて、17競技種目のトレーニング拠点ができて、ここでいろいろな交流ができたり、コーチ・アスリートの交流ができて、そしてJISSの機能がより活きてきたということを鑑みると、2016年にHPCになったのは、必然なことだと思います。
    トレーニングの場所があって、支援があって、研究がサイクルとして回っていくといった意味では、このサイクルをうまく回していくためにいろんなことをやっていきますが、研究の点については特に、競技現場のエビデンスベースで考えたときに、常に研究をして、それを支援に回していくということをしていかないと時代にマッチングした支援になっていかないので、やっぱり強化・支援・研究の3つをうまく回していくことが必要だと思います。
    この3つの機能をうまく回していける人が競技団体にいるのか、それともHPCに拠点エリアを担当できる人がいるのかということが大きなポイントになります。
    1つ事例を話しますと、JISSができたときに、ミニトレセンとして機能させるために、うまく活用できていた競技種目は、1つは競泳です。競泳は、今、もちろんコーチや強化本部長がいることは当然ですけれども、ジュニアのときに競泳の代表選手であった科学者がいたことがものすごく大きかった。2つ目は、アーティスティックスイミングです。筑波大学の先生が医・科学を担当してJISSの機能をうまく使いこなせたので、ハードトレーニングが活きていたのだと思います。それから、レスリングの場合は、私がいろんな場所を回って、レスリングに必要なものは何なのかということを常に聞いていました。この3つの機能をうまく活用できることが重要だと考えたときに、そういった人がいることが大きいと思います。

  (友添座長)
    CSCに配置している管理栄養士、トレーナー、メカニックの方たちは、常駐しているという理解でいいでしょうか、それとも、いわば合宿のときのみ来ていただくような形でしょうか。
  ⇒ CSC野田氏より、スポットでの配置である旨の回答があった。

  (杉田座長代理)
    競技別強化拠点のネットワーク化を推進するために、JOCでは、NTCに拠点ネットワーク推進事業というセクションを設けて、様々な支援活動を行っています。例えば、強化拠点の競技団体(以下「NF」)と施設担当者を一堂に集めた合同ミーティングを年に2回、今年は5月にシーガイアで約120名ほど集めてやりましたが、それぞれの拠点がどのようなことをやっているのか、どのような施設を持っているのか、どのようなプログラムを行っているのかというNFの強化担当者と施設の担当者が意見交換、情報交換するといったこともやっております。
    それから、毎月、「NTC NEWS LETTER」を発行していまして、様々な強化拠点、中核拠点も含めてどのようなトレーニングをやっているのか、どのような座学のプログラムをやっているのか、どのような機器を導入したのかといった情報提供を行っています。
    このように、各強化拠点で行っているものは、一定の情報共有、情報交換はできているかと思いますし、それぞれの強化拠点にはNTC拠点活用推進委員会というものが設置されて、各施設担当者、NF、JOC、それから医・科学のスタッフ等の関係者が年に2、3回集まって、強化拠点をどのように活用していけばいいのかといった会議が設置されています。

  (大槻委員)
    パラリンピック競技ですと、各競技団体が合宿地に行くときなどでは、競技団体が専門スタッフを連れていく場合が多いです。特に、下肢の切断者の装具、義肢、義足は調整がすごく難しくて、その両方の精密な機械を調整するためには当然義肢装具士が必要です。
    自転車競技の拠点には義肢装具士が配置されていますが、合宿時だけのスポットなのか、それとも常駐なのでしょうか。
  ⇒ CSC野田氏より、スポットでの配置である旨の回答があった。

  (杉田座長代理)
    中核拠点と競技別強化拠点の間を結ぶ「ネットワーク」という言葉なんですが、どのようなことに注力をして、どのようなやりとりが図られたというふうに考えたらいいでしょうか。そのあたりのイメージといいますか、ネットワークの具体的なやりとりというか、取組についてはいかがでしょうか。

  (久木留委員)
    ネットワークという言葉の意味するところは、なかなか難しいと思いますが、中核拠点の西が丘にいても、北海道にいても、長野にいても、大阪にいても、同じサービスが受けられるのは、おそらくネットワークだと思います。
    例えば、中核拠点であるHPCがいいパッケージを持っている。そのパッケージが関西にデリバリーされて、中核拠点で研修を受けた人がそのパッケージを関西で受けとって、同じサービスを関西で提供できる。これが一番大きなネットワークのポイントだと思います。
    ですから、パッケージを作るということがものすごく大事になってくるのではないかと私自身は考えていますし、日本のどこにいても、もっと言えば海外にいても同じサービスを受けられるようになれば、海外とのネットワークをうまく結んだと言えますし、情報をうまくやりとりするというのがその一つになってくるのではないかと思っています。

  (勝田委員)
    ネットワークには幾つかのカテゴリーがあるように思います。医・科学のサポートとかサービスとか情報とかデータといった、測定を含めたネットワーク。
    それから、コーチングのネットワーク。これは人材発掘や育成・教育を含みます。アスリートの発掘・育成を中心に考えるパスウェイネットワークも挙げられます。
    研究のネットワークもあるでしょう。ハイパフォーマンススポーツ領域における研究・知見のネットワークも必要と思っています。
    それからもう一つは、多様な専門分野における専門的なプロフェッショナル人材を発掘、育成、活用していくネットワークも重要と考えます。
    このようにネットワークというのは、幾つかのカテゴリーがあろうかと思います。
    その構築に当たってのキーワードのひとつとして「エリア」というが概念が挙げられるかと思います。豪州などの海外では州単位でエリアをカバーしていますが、日本の競技力向上は、47都道府県単位という意識が中心であるように思います。より広範囲なエリアをカバーするためには「専門人材」が必要です。フルタイムで活動することも求められると思います。
    そこでお聞きしたいのは、自転車競技で競技力強化活動全体をマネジメントする役割を担っている方は、現在、ボランティアではなくてフルタイムでしょうか。
  ⇒ CSC野田氏より、フルタイムである旨の回答があった。

  (結城委員)
    久木留委員のおっしゃるパッケージづくりというところは賛同するのですが、形式的な言葉にできる形式の知識と、言葉になかなかできない暗黙の知識というのがあると思います。コーチングはどちらかというと形式知を暗黙知にどのように換えて、選手にコツや勘としてどのようにパフォーマンス向上に役立てるかだと思います。
    このことは、ある意味なかなか理論体系として難しくて、どうしてもコーチ術で終わってしまうようなところですが、そこが実は大事で、選手におまじないのような言葉でも、選手がそれで速くなればそれでいいというような部分も今のところあると思います。
    パッケージ化することに何の異論もないのですが、ただ、形式知としては伝わる部分があっても、なかなか研修を受けただけでは伝わらない、その人が行かなければいけないという部分もやっぱりありますので、その人が日本にいるかどうかという、その存在が日本にあるかどうかはすごく大事で、なかなか日本にない競技種目も多いと思いますし、まだ世界で何人しかいないというような、そういったものをどのように作っていくかということもすごく大事だと思います。
    あと、エリアの拠点、エリアという言葉でいいと思うのですが、提供できるものは何かということの明示化と、それを欲しがる側、あえて欲しがる側と言いますが、これはNFだけではなく、トップ選手の方が多かったりします。トップ選手はやっていることがある意味異端ですので、なかなか組織としてうまくいかない部分もあったりするということも現実にあります。

  (友添座長)
    常識を突破していくレベルに行くと、それをパッケージ化できるのかという話で、暗黙知の問題というのはやっぱり勘とかコツということでずっと言い習わされてきたけれども、これをどうするのかということを最終的に考えざるを得ない。例えば、歳をとってくると、友人に会っても名前が出てこないことがありますが、相手の顔を見ると、脳は相手の顔を認知していて「ああ、どうもどうも」ってという言葉が出る。これは、実は暗黙知が働いたと考えるべきだと思うのです。相手の名前を忘れているのだけれども、顔はしっかり認識しているわけです。暗黙知の我々の許容量というのは実はものすごく大きいといわれています。
    暗黙知の開発があまりなされてないと最近の研究では随分指摘されているわけですが、言葉を換えて言えば、隠れたカリキュラム、ヒドゥンカリキュラムだとかヒドゥンメッセージは、パッケージ化した瞬間に明示カリキュラム、明示的なメッセージになって、実はそれはもう役に立たないと言われているものなのかもしれないといったことも踏まえて、実は先ほど申し上げたソフト・ヒューマン機能をどう高次化していくのか、強化していくのかということで、これは研究を待っていたのでは実は間に合わないという重要な問題でもあります。
   
  (皆川委員)
    久木留委員の話は非常に共感できますし、結城委員の意見も非常に現場としてそのとおりだと思っています。ソチ五輪のスキー種目では7個のメダルをとったのですが、そのうち、新種目が4つで、そのメダリストたちはほとんどNFが強化してなかったと思います。
    例えば、パッケージをたくさん作って全体で生産力を上げていこうといったときに、個の力みたいなところは非常に重要なんだろうと思いますが、一方で、やっぱり個の力がないとその場に存在できないので、「10年に1人の逸材」というところに大体ピントが合ってしまいます。
    本来は、パッケージを作ったりとか拠点というのは基地化だと思いますが、基地を作っていったときに、情報のネットワークによってベースの部分をシェア化するということはすごい大事だと思っています。
    スキーでは、ヨーロッパ、北米、北欧、いろいろなところで、あとアジアもこれから出てきますし、南半球といったところを拠点にいろいろな合宿をやっていったときに、どうしても基地でベースになる、まず対処法というところのパッケージになると思いますが、今はトレーニング、医・科学、情報といったところも、結局は各個人個人が人脈を作ってやっているケースが非常に多いですが、その基地にしっかりとしたパッケージがあって、それがそれぞれの拠点、例えば北海道、東北、それから中央という形でやっていくシェアというのはすごい大事だなと思っています。
    一方で、基地を作っても、どうしても現場の人間は内側に必要なサービスばかり求めるケースも確かにあります。例えば、研究にはどれぐらいのお金が必要で、設備にはどれぐらいのお金が必要で、人材、コーチ、こういう人たちが必要ですという話をするんですけども、この拠点をキープするにはやっぱり自己財源もしっかり確保していかなければいけないので、そもそも内側のパッケージとサービスタスクというものと、外向きに対するサービスタスクというのもしっかり一緒に考えないと、コストセンターみたいになってもそれはそれでまた困ってしまいますし、継続的に選手をサポートできなくなるのではないかと思っているので、何かそのあたりが気になります。

  (久木留委員)
    結城委員がおっしゃった暗黙知というところは、コーチングではすごく大事で、ただ、暗黙知だけで終わってしまうと普及はないので、やっぱりそれを形式知に換えて、形式知をまた暗黙知に換えていくという知のサイクルを作っていくというのが、おそらくナレッジマネジメントだと思います。
    ですから、私が言っているパッケージというのは、最低限のものをしっかりパッケージ化して、地域に、エリアにしっかりと供給していく。このことを私たちはやらなければいけないだろうと思います。
    JISSも含めてやってきましたが、形にできていないので、今は、できるだけそれを出してほしいということを言っています。結城委員、皆川委員と意見は一緒だと感じました。

  (友添座長)
    皆川委員がおっしゃった中で、コストセンターからプロフィットセンターにどのように変わっていくのかというのは、非常に大事な話だろうと思います。プロフィットセンターに変わるときに、目に見える収益を上げるというのも一つですが、地域・地元とタイアップしながらやっていくという意味で言えば、今日御発表いただいた自転車競技で言うと、高校の授業に実は導入したりされていた御説明がありましたけど、地域との連携について情報をもう少しもし頂ければ有り難いのですが、いかがでしょうか。
  ⇒ CSC野田氏より、CSCは、寄附行為に自転車競技の普及促進という目的があり、それと強化拠点とが相まっている。高校の体育の授業や地域のタレント発掘事業への協力・指導、子供たちの体験プログラムを行っているが、例えば、お昼に体験プラグラムを行い、終了後にナショナルチームの練習を間近で見ていただいて、更に競技に対しての興味を触発するように考えながらやっているとの回答があった。
  ⇒ JCF大島氏より、トレーニングの内容によっては非公開のものももちろんあるが、体験プログラムを行う日には、できるだけトレーニング時間の前半に子供たちの興味を引くようなことを見せる形で教育ができているとの回答があった。

  (松永委員)
    エリアを作ってネットワーク化していくといったときに、マネジャーの存在が重要になるということですが、その人材が本当に養成されてない、不足していると実感しています。CSCは野田さん御自身がフルタイムということだったんですが、野田さんをサポートするスタッフが実際どのくらいいらっしゃるのか、そして各専門のスタッフは非常に多様な人材で編成されていますが、その方々が専任なのか、ポイントなのか、雇用形態も様々だと思いますが、マネジメントされている方も含めてかなり雇用形態が拠点によって違うんだろうと感じています。例えば、5年任期だったとしたら、次につなげるときにそのパッケージされたものがどのようにつながっていくのかも含めて、現状をもう少しお聞かせください。
  ⇒ CSC野田氏より、競技別NTCの施設側のスタッフとしては、専任ではないがCSCの職員5名のスタッフいるとの回答があった。
  ⇒ JCF大島氏より、メカに関しては、オリンピックが近付いているので、NF側では業務委託契約で、基本的にトレーニング期間は帯同しているが、例えば、短距離と中距離が同じ日に分かれて活動するようなときは、追加のスタッフに関してスポットで配置しているとの回答があった。

  (松永委員)
    競技種目によっても強化拠点によっても条件が全然違うと思うのですが、それぞれのNFの仕事もあり、所属している施設の仕事もあり、このNTCの仕事もありというところで、NTCの専任スタッフというような人材は、日本にはあまり存在しないのが現状です。要するに、兼務している方がほとんどで、その方々の雇用も安定していない仕組みをどのように作っていくのかというところが非常に大きな課題だと思っています。

  (友添委員)
    スポーツ人材をどのように育成するのかというのは、やっぱり大きな課題で、現状ではそれを専門的に育成している場が残念ですけれども、具体的にはまだないような状況です。

  (勝田委員)
    自転車競技のお話を聞いていて、本当に自助努力をしていると感じました。地元の資源と連携し、それを活かし、還元していくといった自助努力が求められていると思います。これは競技力強化の拠点に関するネットワークを考えていくうえで重要な視点の一つであるとも思います。

  (友添座長)
    JOCの中では、各強化拠点の問題を共有する日常的な共有の仕方のシステムは今ございますか。

  (平岡委員)
    JOCでは、先ほど来話が出ているネットワークの協議会で共通の認識をする形はとっています。NTCは御存じのとおり、ハード、ソフト、システム、ヒューマン、この4つがいかに充実するかということで、ハードは各競技別のところもかなり充実されており、ソフトについても、医・科学的なものや栄養学とかはよくなっている。あとはネットワークとかマネジメントを含めたシステム、それをどのような形でうまく各競技に合った形になるかどうかだと思います。
    先ほどから話が出ているヒューマン、人材、これがどれだけ今後、将来に向けて育成できるのか、そのあたりが大きな問題であろうと思います。情報については、うまくとれるような体制にはなりつつあると思います。

  (櫻井委員)
    パラリンピック競技は、強化拠点がまだ始まったばっかりということで、統一的にネットワークの会議をしたりということはできてはおりませんが、いろいろ接触をして話を聞くという中で、施設面での問題も含めて気になっているのは、練習後のリカバリーやコンディショニングです。トレーナーさんの話は割と出てくるんですけれども、施設的にリカバリーの設備はどのようなものがあるのかが見えてこないところがあります。
    例えば、中核拠点でしたら、リカバリープールであるとかジャグジーがあったり、それから交代浴ができますが、競技別強化拠点では、練習後のリカバリーが設備的に、またソフト面で、どのような考え方で整備されていっているのかが気になっているところです。
  ⇒ CSC野田氏より、交代浴とか冷水浴というのは一つの課題には挙がっており検討している最中である。NTC事業で酸素カプセルを導入して使っている状況であるとの回答があった。

  (大日方委員)
    自転車競技では義肢装具士が時々入られているということなのですが、義肢装具士のポイントとなるのが、1つは皮膚の部分との接合をどのようにフィッティングさせていくのか。自転車競技だけの知見といったものを、どのように横に展開するのか。例えば、それは走っている人と同じなのか、違うのか。あるいは、冬の競技でもスノーボードのサポートに義肢装具士の人がたくさん入りましたが、果たしてそのネットワークはされているのか。
    1つは、そのような知をどこでストックして、それをフローさせていくのかというようなところを、強化拠点を充実させていくときには、パラリンピックの方はまだまだ事例が、始まったところなので、今、やり始めているところだろうと思います。これを集める場所というより人あるいはナレッジに関するものかと思います。
    それから、車いすの競技でオランダのNTCを見せていただいたときに、彼らが言っていたのは、肘と肩の関節障害が非常に多いということと、車輪をこぐという運動の中で最も力を発揮できるのかということを、実は相当そこで蓄積しているデータがありそうだということが見えてきました。こういったものは、他の競技、特にテニスが一番分かりやすく出ていましたけれども、それはバスケットボールや陸上競技で使えるものなのかどうかというようなことも考えていく。
    その意味では、医・科学的な面と道具の面という2つの面をどのように情報として共有していくのか、それをつないで活かしていくのかということが必要なのかと感じました。

  (友添座長)
    今日ディスカッションを深めてきて見えてきたのは何かというと、日常的な地域拠点間に共通する問題を地域拠点間で共有する。もちろん中核拠点も共有しながら、そしてその問題の解決策だとか、あるいは具体的な対応策だとか、そういうものを共有するような場が、日常的に簡単に共有できる場が実は必要ではないか。現状の中ではそれがあまりない。こういうものもやっていく必要があるのではないかと考えているところです。

  (福井委員)
    自転車競技連盟のコーチは外国の方お二人いらっしゃって大変効果的だと言われているんですが、その指導法を日本の指導者にうまくつなげるような活動といいますか、一緒に活動されて、そのノウハウを共有するシステムがあるのかどうか伺いたい。
    もう1点、強化拠点について、2020年に向けてはこれからサポートがとても大切になってくると思うのですが、具体的にサポートといっても、NFやアスリートの方が求めているものがもちろんありますが、研究ベースでやってもらいたいこと、もっとこうやっていけばいのではないかということが多々あるような、根拠に基づくサポートもあるような気がします。強化拠点というのは、一つのNFの枠組みの中でないもの、組合せというのが必要なのではないかと思います。それが瞬時にスピード感を持って行き来ができるようなものが必要かと思います。
  ⇒ JCF大島氏より、外国人コーチが求めているのは、スポーツ科学を学んだ人であって、自転車競技の経験はほとんど関係がないとのことだが、今までの日本のやり方は、競技者として成果が上がっていた人をコーチに据えており、学問としてスポーツをどこまで学んだかということに関しては不足があるという評価を受けているとの回答があった。

  (友添座長)
    全国に6,000人ぐらいのスポーツ科学の研究者がいますので、この人たちを有機的にやっぱりつなぐようなネットワークが学会レベルではあります。NFあるいはJOCとうまい形での連携がとれていないかと思います。これは2020年までにやれることだろうと思います。

  (久木留委員)
    西が丘を中心にして、JOC、JPCとJSCでハイパフォーマンスセンターという形で機能しながら、いろいろな医・科学、情報の知見を提供していく場の設定というのを昨年から始めました。今年は10月23、24日に設けます。
    何故そういうものを設けたかというと、最先端の事例を呼んできて、プラットフォームを作るという作業を、今後、日本体育学会や日本臨床スポーツ医学会とも始めていきますので、是非そういったところもうまく使っていただければと思います。

  (友添座長)
    強化拠点別にこのような集団を組織していくということも大事です。HPCにプラスして地域でのスポーツ医・科学の知見を集積しているグループとの連携・ネットワークをいつもとれるようにやっていくことも必要かと思います。

  (石毛委員)
    NTC競技別強化拠点をとり回していく人材というのは海外も取り合いになっている状況だと思うので、なかなか、長期的に人材をどのように確保していくのかということを考えていかないといけないのかと思います。
    今回、NTC競技別強化拠点の機能強化ということで考えると、これは仕組みづくりをどうしていくかということになるかと思うので、まずは、ある程度成功している、うまく回り始めている西が丘の競技の状況とNTC競技別強化拠点を比較してみて、どのようなところに違いがあるのか。当然、地域で同じことは実現できないわけですが、競技特性などを考えてどのようなやり方をしていくかというところを詰めていく作業が必要かと思います。
    自転車競技を今日いろいろお伺いして思ったのは、先ほど外国人コーチのお話もありましたけれども、利用率のところでコーチが誰かということが一番、競技別強化拠点としては問題になってくると思うので、多分、今の自転車競技の外国人コーチは積極的に強化拠点を使おうという考え方なので回っているかもしれないのですが、仮にコーチが変わってしまったら方針が変わってしまうことも起こり得ると思うので、そのあたりを含めて、どのようなコーチを配置するのかなどの全体のマネジメントが非常に重要だと思いました。

○ 友添座長から、次回は8月上旬に開催する旨の発言があった後、閉会となった。

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