スポーツツーリズム需要拡大のための官民連携協議会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成29年12月22日(金曜日) 10時~13時

2.場所

文部科学省15F 特別会議室

3.出席者

委員

原田座長、古川委員、鎌上委員、元田委員、陣内委員、竹山委員、宮嶋委員、高橋委員代理、中村委員、中島委員、名川委員、山口委員、木内委員、倉田委員代理、野口委員代理

4.議事要旨

●プロモーション実施報告(事務局発表)
・ポータルサイトのasoviewにて、特集ページが12月12日にスタート。スポーツツーリズムの魅力と、6月に発表されたアウトドアスポーツ推進宣言の紹介を行うほか、通常のasoviewの特集サイトと差別化を図るため、カヌーの羽根田選手が群馬県みなかみ町でアウトドアスポーツを体験する模様を掲載した。

●スポーツツーリズムに関する海外マーケティング調査結果報告(事務局発表)
・調査目的は、国内及び海外でプロモーションを展開する上での消費者動向やニーズの把握、プロモーションをするための基礎材料を得ること。今回報告する海外調査は、中国、韓国、台湾、香港、アメリカ、タイ、オーストラリアの7か国で、直近3年以内に訪日経験がある人。年代に関しては性年代の割付は行わず、男性と女性、150人サンプルずつ調査。
・日本で経験してみたい、するスポーツツーリズムに関しては全体的にはスノースポーツ、登山、ハイキング、トレッキングの意向はかなり高い。さらにウオーキングに関してもかなり高く出ている。
・日本で経験してみたい、見るスポーツツーリズムについて、大相撲や武道が各国共に高い。スノースポーツについては見るスポーツでも意向が高い。
(各国の分析)
◆中国
・中国に関しては、日本で何らかのスポーツを実施したい意向は97.7%で、今回7カ国中2位。登山・ハイキング・トレッキングが1位。リバースポーツ、スキューバダイビング、マラソンについては、男女で大きく乖離が見られる。性年代においても求めるスポーツが異なっているのが中国の特徴。
・日本で何らかのスポーツを観戦・応援したい意向は7カ国中1位の97.0%になっている。武道、相撲については意向が高く、男女の差が見られる。またフィギュアスケート、エクストリームスポーツに関しても女性の意向が高い。
・「日本でスポーツツーリズムを実施する際の期待については「観光や食事」が高い。「不安に関しては言葉が通じない」、「ルール、マナーが分からない」が上位。金銭面に関する不安は低い。
・「日本でのスポーツツーリズムに関する情報源」は検索エンジンが1位。(百度)
◆韓国
・日本で実施したいスポーツに関しては、登山、ハイキング、ウオーキングが上位になる一方、海水浴、スキューバダイビング、マリンスポーツが3位から5位となっている。
・日本で観戦・応援したいスポーツに関しては、野球がトップ、特に男性が牽引している。またサッカー、格闘技、モータースポーツについても男性の意向が高い。女性に関しては、フィギュアスケートへの意向が高い。
・日本でスポーツツーリズムを実施する際の期待に関しては、観光や食事を楽しみたい意向が高い。不安に関しては金銭面への不安が高い。
・「情報収集源」に関しては、「友人、知人の口コミ」、「個人のSNS、ブログ」、「検索エンジン」の順で高い。
◆台湾
・日本で実施したいスポーツに関しては、スノースポーツが1位。自国でできないスポーツをやってみたいという意向が高い。
・日本で観戦・応援したいスポーツに関しては韓国と同様に野球がトップ。女性に関しては、フィギュアスケートが高く、女性の意向が非常に高く男性の約5倍。
・日本でスポーツツーリズムを実施する際の期待に関しては日本ならではの景色や風景、四季を楽しみたいというのが上位。不安に関しては、金銭面での不安が高い。
・「日本でのスポーツツーリズムに関する情報収集源」に関しては、検索エンジンがトップ。韓国と同様に、友人、知人の口コミも高い。また、旅番組が高いという特徴があった。
◆香港
・日本で実施したいに関しては、登山、ハイキング、トレッキングが1位、スノースポーツ、スノーアクティビティが2位。
・日本で観戦・応援したいスポーツに関しては、「武道」や「相撲」が高くなっている。サッカーについては男性の意向が高い。女性ではフィギュアスケートの意向が高い。
・「日本でスポーツツーリズムを実施する際の不安」に関しては、「言葉が通じない」、「ルールが分からない」に続いて、3位に「お金がかかる」となっている。
・「日本でのスポーツツーリズムに関する情報収集源」については、「検索エンジン」や「友人、知人の口コミ」、「旅番組」が高い。
◆アメリカ
・日本で何らかのスポーツを実施したい意向が98.7%となっており、7カ国中1位。
・日本で観戦・応援したいスポーツについては、男女でかなり差が出ている。男性は「バスケットボール」、「サッカー」、「野球」が上位、女性に関しては大相撲、格闘技が上位となっている。
・日本でスポーツツーリズムを実施する際の期待に関しては2番目に「旅行先、旅先ならではの写真や映像を撮りたい」が入っていることが特徴。中国と同様、費用に関しての不安はない。
・「情報収集源」については、検索エンジン、旅番組、友人口コミ等が高い。また、「旅行会社のウェブサイトやメールマガジン、SNSや公式インターネットサービス」も高い。
◆タイ
・日本で実施したいスポーツに関しては、「スノースポーツ、スノーリゾート、スノーアクティビティ」が1位。
・日本で観戦・応援したいスポーツに関しては、全体ではバレーボールが1位。男性ではサッカーが1位。
・日本でスポーツツーリズムを実施する際の期待に関しては、「日本の文化に触れたい」が高い。不安については、「言葉」や「ルール」、「金銭面」への不安が高い。
・「日本でのスポーツツーリズムに関する情報収集源」については、検索エンジン、旅行雑誌、YouTubeが高い。
◆オーストラリア
・日本で実施したいスポーツに関してはウオーキングが1位。
・日本で観戦・応援したいスポーツに関しては、女性は相撲、武道への意向が高い。男性は、サッカー、ラグビー等が高い。
・日本でスポーツツーリズムを実施する際の期待に関しては、観光スポットを楽しみたい、四季を楽しみたい、文化に触れたいという意向が高い。
・「日本でのスポーツツーリズムに関する情報収集源」に関して、検索エンジンが1位。「友人知人の口コミ」、「旅行会社のパンフレット」も高い。

(調査に関する自由討議)
・対象者を「訪日経験あり」に絞って調査しているが、逆に日本に関心がないが日頃スポーツ好きである人をターゲットにした方がより伸びしろがあると思われる。
・例えば日本に行ったことはないが、日本には見たいスポーツがあって、日本に行けば見ることができる様な仕組みや体制あれば、訪日の需要喚起、すなわち国策に連動する。
・福島県の取組で、会津若松などが昨年、動画プロモーションに成功。1千万回以上再生をされた動画の見込み客を追いかけ、剣道、弓道など武道を見ることができる仕組み、もしくは体験できる仕組みを今整備している。こういった事業が非常に参考になると思う。そのために新規の方の調査も検討してほしい。
・どの国でも押しなべて意向が高い大相撲でのスポーツツーリズムの取組をもっと積極的にやるべき。
→相撲人気は非常に高く、なかなかチケットが入手できない。また入手するルートが昔ながらの入手方法なので、なかなかビジネス化ができないという課題がある。よってインバウンドへの門戸はなかなか開放されないという現状。インバウンドを中心に、朝稽古とちゃんこ鍋を食べるという見学ツアーは今実施している。その他、地域の巡業で外国人を案内できるルートや、一定以上のお客様が集まる巡業場所の開催等の話をしてもなかなか前向きに捉えて頂けない。
・「不安要素」の設問で、「ルールやマナーが分からない」が高い。ルールやマナーはそれほど難しくないはずなので、情報発信次第では払拭できるのではないか。
→ルールやマナーに関しては、世界共通で持っているルールは基本的には分かっているが、例えば武道や相撲は見ていて分からないという部分があるので回答が集まったと推察できる。

●取りまとめ骨子案について
(事務局発表)
・本協議会の成果として、報告書を作成する。構成は、国内調査、海外調査のサマリーの掲載、3つの論点、今後の方向性を示していく。すなわち、
【論点1】各企業がスポーツツーリズムの活性化のために、自社ビジネス活動の延長上で、どのようなアクションが実施検討できるか、【論点2】国と関連産業が連携・協働して、どのように国内外に対し日本のスポーツツーリズムの魅力を発信していくべきか、【論点3】国として、どのようなプロモーション等の需要喚起活動を行うべきか、について協議を行い、最終的に調査結果も踏まえ、今後のスポーツツーリズムの戦略を示していきたい。
・【論点1】について、委員からの発表で見えた方向性をまとめてみたところ、企業の取組として各社が保有している様々なリソースをかけ合わせることで、強化または新たな経営実施が検討できそうなアクションという形でまとめていく。
・【論点2】に関わるこれまでの討議から見えたキーワード、マーケティング調査における関連事項として、1地域の特性、資源を活用したアウトドアアクティビティの意識啓発、2企業間、企業・地域間のコラボレーション・ネットワーク促進、3地域の受入体制の強化の支援の3点を抽出した。
・【論点3】に関わるこれまでの討議から見えたキーワード、マーケティング調査における関連事項として、「誘われて行く」率が高いという傾向が調査から見えたことも踏まえ、1スポーツツーリズムに「誘う」仕組みづくり。2データに基づくプロモーション戦略づくりと事業拡大を図る上で段階によったKPIの設定。3世界のウェブ検索動向からどの様なアプローチを行うのかを分析した上での映像の活用による国内外への発信強化の3点を抽出した。
・これまでの討議を受けて、今後の戦略、方向性については、現状課題と施策の方向性の案を挙げる。施策の方向性について、
1地域特性・資源を活用したアウトドアアクティビティ開発の意識啓発。これはスポーツ庁として、地方自治体や地域スポーツコミッションに対して、アウトドアアクティビティ等の開発を啓発し、その活動を支援するとともに地方公共団体、地域スポーツコミッション、JSTA等が、国が提供したデータ、Googleトレンドなど世界の流行・興味・関心を把握できるツール等を活用して、ニーズにあったスポーツアクティビティを開発し、受入体制を図っていくこと。
2企業間、企業・地域間のコラボレーション・ネットワーク促進については、スポーツツーリズムの需要喚起を行うような事業者、施設をスポーツツーリズム・ムーブメント推進団体として認定してブランディングを図る事を検討したい。情報についてのマッチングを図るような活動を、国も行うが、企業地方公共団体、スポーツコミッション、JSTAも取組むという提案である。また、その様な情報を発信できるプラットフォームの設置も検討できる。
3地域の受け入れ体制の強化への支援について来年度も地域スポーツコミッションへの支援活動を継続し、通季・通年で誘客が見込める様なスポーツアクティビティの優良事例を創出し、共有を図ることを検討したい。
4誘う仕組みづくりについて、他者を誘い、人数を増やすことで特典を付与する仕組みが有効ではないかと考えている。また、企業や職場等の団体旅行、修学旅行においてスポーツツーリズムの促進を図ることを検討したい。
5データに基づくプロモーション戦略づくりについては、全世界のウェブ検索動向から見える潜在ニーズを分析したうえで、戦略戦術及びKPIの設定を検討することをスポーツ庁として行っていきたい。
6日本のスポーツツーリズムの魅力を伝える映像による国内外への発信強化については、本年度のマーケティング調査を踏まえ、スポーツツーリズムの日本の魅力を発信するプロモーション映像の制作をしたいと考えている。JNTOをはじめ省庁間の連携を図り、海外のメディア、観光庁、大使館等を通じて魅力を発信していくことを検討したい。

(自由討議)
・スポーツアクティビティにおいて、各マーケットに対してどの様な商品作りをすれば良いのか検討するために、世界中でどの様なことが検索されているのかを把握できるGoogleトレンド等を活用すべき。例えば英語でカヤックと一緒に何が検索されているのか、各競技別にどの様な検索がどこで行われているか等を深掘りしていくこ事によってヒントが生まれるのではないか。そのヒントを仮説にして実行をする。例えばムービーを作ったら、それをそのマーケットで見せた時に何秒で視聴がやめられたといった細かい事々もデータにし、支持されるようなムービーを興味がある方に届けていくことができれば、日本全体がスポーツフィールドだという世界中の合意形成が、加速度的に進んでいくはずである。
・Facebookではユーザー個人の興味、関心等が登録されており、具体的にアメリカでスキーが好きな人等にターゲティングして、認知することが簡単にできる様になっている。その様なツールを利用することで、より効果的にリーチできる。
・デジタルマーケティングについて基本的なことが理解できていない自治体がまだ多いという印象がある。基本的な考え方を自治体に伝えていく必要がある。
・見るスポーツとしての日本の相撲、武道が極めてデータとして高い値を示している。それをコンテンツ開発していく事が国内・海外ともに、需要の喚起に繋がるという仮説が見える。コンテンツホルダー・ライツホルダーとなるいわゆる競技団体やチームは、よりその社会に開いていく意味で、このようなインバウンド拡大に向けたコンテンツ開発や組織の在り方をその競技ファーストということは前提としながらも、その組織のもう一つのテーマとして持ってもらう様なことはできないか。
・アクティビィティー開発は、地域の事業者が動けないと最終的には総論で終わってしまう。実際、事業者も集客して売上を上げたいというニーズはあるが、開発するものが本当に売れるか、さらにはGoogleやFacebookを通じて海外に発信した時に、ある程度売れそうになる所が事前に分かるとか、事業投資判断が可能な環境整備を国がするこ事が重要ではないか。
・デジタルデータ連携という手法が全世界で行われている。日本ではJNTOが近々開始する。ウェブサイトもしくはYouTubeを見た人、広告を見た人の志向データ等をセグメント分けして蓄積することができる様になっており、そのデータの受渡しは自由に行える。例えば新しい形の官民連携として、スポーツ庁が蓄積したスキーが好きな人々のデータを民間企業側に渡し、世界中のスキー好きを追いかける権利を与える仕組みづくりができる様になる。国がブランディングして、それを売っていくのが民間。そしてどの様な人達が買ってくれたかというデータを国に渡すことにより、費用対効果を全般に可視化するという手法がアメリカでは既に行われている。
・鉄道会社の大きな課題としては駅からの2次交通の部分をどう地元と連携して作っていくのか。地域とのマッチングの仕組みがあると非常にありがたい。
・商業施設では、もともとスポーツに興味がなかった人が来店をきっかけに興味を持ってもらうという仕掛け作りをしてく上で、今後自治体や協会等と連携して、情報ステーションのような場を作っていきたい。しかし、例えばウオーキングステーションの様なものを各地に作るとした場合、協会の体質の問題で、全国各地の協会と話をしなければならない状況。それに関して、スポーツツーリズムを進めていく体制作りというところについて、スポーツ庁からも各団体等に提言してもらえると非常にありがたい。
・限られたコストの中でイベントマーケティングをしようした場合、手間がかかるので、二の足を踏んでしまう。そこで地方自治体が持っている良いコンテンツを活用したいと考えているが、良質なコンテンツがどこにあるか分からず探すのも大変である。色々なコンテンツを持った日本中の地方公共団体が一覧ですぐに分かり、興味のあるところとコンタクトできるワンストップサービスがあるととても良い。
・旅行業界としてインバウンドの拡大のために、どのようにプロモーションするかが一つのテーマ。受入体制で、いわゆるトップエンドの方々向けのファシリティが不足している。インバウンド市場で今、日本でのスキーがブームになっているが、レストラン、レストハウスがシャビーな状態にある。富裕層に対して適正なサービスが整えられているか疑問である。将来的にはハイエンドを意識したファシリティ、あるいはレストラン、宿泊、トランスファー含めたトータル的なサービスコンポーネントが必須になってくる。まだスポーツツーリズムに関心の無い様な、ハイエンドの業者もプロモーションに参加してほしい。
→海外のスノーリゾートだと、例えばアルプスに行くと、2階建てのゴンドラな等があり、途中まで行くと高級なレストランがある。スキーを滑らない方でもアルプスの景色を見ながらおいしいものを食べたりできる。日本の場合は、ラクジュアリーなレストランはなかなか無く、施設もまだまだ足りない状態。これから来る富裕層にいかにサービスを提供するか、その点は国や団体と一緒にやっていかなければならない。
・提供価値が、昔はゲレンデを圧雪して、リフト動かして、ただ滑ってくださいというそれだけの提供をしていた。今後は時代の最先端を行くスノーリゾートにしていかなければ、リピーターは増えない。
・世界中で開催されている旅行博の日本のブースに行くと、神社の絵が描いてあって、紙のパンフレットを配るのが地方自治体としての訪日誘客活動となっている。今回のアンケートの結果から、海外では様々なデジタルツールから情報集めるのは当たり前だということを、地方自治体に周知する必要がある。日本に来て何ができるか、積極的に働きかけていくことが非常に重要。
・インバウンドに関して、例えばJR、全日空、日本航空が同時期に一緒にキャンペーンを行うことができればより効果を生む。その様なことを行政主導で旗振りをしてもらえるとありがたい。
・訪日無関心層に、沖縄は世界でトップスリーに入る透明度を誇ることを伝えたところ、「ぜひ日本行ってみたい」となった。しかし、沖縄のダイビング事業者に受入を尋ねると、外国人対応は「困る、対応できない」となった。言葉とマナーの壁を解決しなければならない。日本はマナーや作法にうるさいというイメージを持つ外国人もいる。事業者の大きな課題は、彼らの心理的なハードルを解決すること。
→情報整備が近道になりうる。1つはウェブサイトの整備。何れの民間企業も「よくある質問コーナー」を作っている。どの様なことが不安なのか自分で解決できるように、通訳する仕組みを作ればよい。二つ目はムービー、動画で情報を解決する。1分でよくある質問を、動画で掲載すればクリアになる。情報のおもてなしを強化することを柱の一つにするということはとても大事な時代となっている。
・航空会社として、エントリー層、潜在層に向けた取組として、例えば現地でレンタルできること等の情報発信も必要。スポーツツーリズムを中心とした話を自治体としていくと、「非常にやる気があってうまくいくと思っている自治体」、「やる気はあるがやり方が分からないという自治体」、それから「そもそもやる気がないという自治体」と分かれる。スポーツ庁で成功事例の共有をして欲しい。
・例えば長野県の阿智村、環境省が日本一星のきれいな街と認定した事で、地方自治体がプロモーションに利用し、地域創生につながる観光客の誘致ができている。国が分かりやすい認定等を行うことで、発信する材料を与えられる事になるのではないか。
・長い間滞在する訪日外国人に関しては様々なニーズがある。現在、日本の発信方法として、コンテンツ毎に情報発信をしている。バラバラではなく、日本の魅力が総合的に分かって、この地域に行きたいという発信方法があっても良い。地域と一緒になって、色々な層を受入れられる様な仕組みづくりが必要。
・その場所でしか味わえない体験を目的に来日してもらい、そこを拠点に地域の色々なところを周ってもらって、その季節でしか味わえないことをやってもらう。その中にアクティビティがあれば、ある意味スポーツツーリズムとして、地域活性の呼び水になっていく。初めからスポーツをするとなると、ハードルが高いのではないか。その場所に滞在、宿泊をした際に、点ではなく面で見せる必要がある。地域と一緒になり、その面のプロモーションができると良い。
・国内外への発信強化において、作って届けて、効果を計測するという一連のフローが必要。限られた財源の中でどう拡散させるかが重要であり、入口はムービーで、出口はハッシュタグという形で、ムービーをしっかり拡散をしてもらうことで視聴数を上げていくという設計を作るべき。そこで蓄積したデータは、官民の関係者で共有し、民間のお金で実際に誘客をする事も可能である。次の年までその効果測定することを3年続けていけば、オリンピック、パラリンピックイヤーを含めると日本全体がスポーツフィールドだという様に伝わる。
・仮にスポーツツーリズムマーケターの様な、スポーツツーリズムの価値の源泉となりうる地域資源を使ったスポーツコンテンツを生み出していくスキルとデジタルマーケティングのスキルの両方を持った専門家をスポーツ庁で養成、あるいは認定し、各自治体に伝えていくような仕組みができると良いのではないか。
・スノー業界のインバウンドが成功した一つの事例として、外国人がウェラブルカメラを持って、例えば野沢温泉でパウダースノーを滑って、自撮りをして、その日のうちに発信する、それが「日本の雪は最高だ」という形で拡散した事がきっかけになってスノーのインバウンドブームが起きた。さらにそれを見て来た人がスキーとかスノボをした後に野沢温泉で外湯を楽しむシーンや、野沢温泉の火祭りを発信したりする事でニューヨーク・タイムズが取材に来た。一般客の発信が原動力となり成功したが、他のスポーツツーリズムに関しても一般の発信力をうまく活用していく事で地域活性化に繋げられる。
・プロモーションの戦略づくりについて、会議でどの国にしようか、何がマーケティングなのかということに時間かけるよりも、例えばFacebookだと20億人のデータがあってどの位の人が関心があるか、1分以内に分かる状況である。トライアンドエラーで何が響くかを積極的に試していくことが今世界的なトレンドになっているので考えた方がよい。

お問合せ先

スポーツ庁参事官(地域振興担当)

(スポーツ庁参事官(地域振興担当))